説明

血液浄化装置

【課題】 血漿交換法(PE)と持続緩徐式血液浄化法(CRRT)の併用を行う血液浄化装置において、非熟練者であっても取り扱いの容易な装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 制御部11は、血液ポンプ1を運転している際には、治療運転信号の状態に応じて、他の各ポンプ2,3,4,5,6,7を運転、あるいは停止させ、血液ポンプ1を停止している際には、治療運転信号の状態に関わらず、少なくとも他の各ポンプ2,3,4,5,6,7の全てを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に係り、特に、血漿交換療法と持続緩徐式血液浄化法にて総称される持続的血液ろ過法、持続的血液透析法、及び持続的血液ろ過透析法を併用する療法に好適な血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肝不全に対する血液浄化療法として、肝が代謝、解毒する有害物質を除去すると共に、肝が合成する有用物質を補充する血漿交換療法(plasma exchange)(以下単に「PE」という)が行われてきた。しかしながら近年は膠質浸透圧の不均衡などによる合併症を発症する場合があり、また、PEでは肝性昏睡起因物質である小から中分子量物質の除去能力が低いことを補うために、持続緩徐式血液浄化法(continuous renal replacement therapy)(以下単に「CRRT」という)と総称される、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration)(以下単に「CHF」という)、持続的血液透析法(continuous hemodialysis)(以下単に「CHD」という)、あるいは持続的血液ろ過透析法(continuous hemodiafiltration)(以下単に「CHDF」という)の各持続緩徐式血液浄化法とPEを併用することによって効果を上げている。
【0003】
前記PEは、血漿分離膜を収容した膜型血漿分離器に血液を流し、分離膜を介して血漿成分を排出する一方で、新鮮凍結血漿あるいはアルブミン溶液を体内に補充するものである。
【0004】
前記CHFは、半透膜を収容した血液浄化器に血液を流し、半透膜を介して老廃物が含まれた水分を排出する一方で、補充液を体内に補充することを持続的かつ緩徐に施行するものであり、また、前記CHDは、拡散により尿毒物質の除去や酸塩基平衡等を行う透析を持続的、かつ緩徐に施行するものであり、さらに、前記CHDFは、前記CHFの小分子量除去能力を改善するために、血液浄化器内のろ過液側に透析液を流し、透析効果が得られるように前記CHFと前記CHDとを複合させたものである。いずれの血液浄化法においても、「持続緩徐式」といわれる通り、通常、一回の治療に数日をかけながら、徐々に血液浄化が行われる点がこの治療の特徴である。
【0005】
前記PEとCRRTの併用による血液浄化装置の好適な例として、非特許文献1によれば、血液浄化装置JUN500(株式会社ウベ循研製)を2台使用して、1台目の血液浄化装置でPEを施行して、2台目の血液浄化装置でCRRTを施行することが記載されている。
【0006】
図1は、上記した2台の血液浄化装置によるPEとCRRTの併用療法の施行を示す装置構成図である。血液ポンプ1によって患者から取り出された血液は、動脈ライン21を通り、血漿分離膜25が収容された膜型血漿分離器24に導入されて血漿成分が分離ポンプ2によって送液され分離ライン32を通り除去される。膜型血漿分離器24で処理された血液は連結ライン23を通り、半透膜27が収容された血液浄化器26に送液される。連結ライン23は途中で第一の補液ライン33と接続され、第一の補液ライン33上の第一の補液ポンプ3によって新鮮凍結血漿等が膜型血漿分離器24で処理された血液に補充される。血液浄化器26に導入された血液は透析液ライン35上の透析液ポンプ5によって送液された透析液で透析が行われ、また同時に一部の低分子量血液成分の濾過が行なわれ、濾液ライン34上の濾液ポンプ4によって排液される。血液浄化器26で処理された血液は静脈ライン22に通され患者に返血される。静脈ライン22は途中で第二の補液ライン36と接続され、第二の補液ライン36上の第二の補液ポンプ6によって補充液が処理後の血液に補充される。
【0007】
血液ポンプ1、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3は一台目の装置101に装備されており、制御部13によって各ポンプは制御される。また、運転の開始、停止などの人による操作インターフェースは操作部14にあり、操作部14で操作された結果発生する操作信号は制御部13に送られる。また、第一の補液ライン33上には、第一の補液ライン33の液流通が気体になったことを検出するための第一の補液切れセンサ8があり、第一の補液切れセンサ8の信号は制御部13で処理される。
【0008】
濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6は二台目の装置102に装備されており、制御部15よって各ポンプは制御される。また、運転の開始、停止などの人による操作インターフェースは操作部16にあり、操作部16で操作された結果発生する操作信号は制御部15に送られる。また、透析液ライン35上には、透析液ライン35の液流通が気体になったことを検出するための透析液切れセンサ9があり、第二の補液ライン36上には、第二の補液ライン36の液流通が気体になったことを検出するための第二の補液切れセンサ10がある。透析液切れセンサ9、第二の補液切れセンサ10の信号は制御部15で処理される。
【0009】
【非特許文献1】平澤博之著「CHDFの理論と実際―各種疾患応用編―」総合医学社出版、1999年5月25日、p43
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように一般に市販されている二台の装置を用いれば、PEとCRRTの二つの治療法が同時に施行されることが容易に分かる。しかしながら、二台の装置は独立に制御されており、運転を開始するにはまず装置101の運転を開始し、続いて装置102の運転を開始する手順を踏んで操作しなければならない。また、装置101の血液ポンプ1に異常が発生して装置101上の全てのポンプが停止しても、装置101で異常が発生した情報は装置102には伝わらないため、血液が送液されない状態でポンプが運転されてしまう状況に至ってしまう。また、装置102の透析液ライン35の透析液が不足状態に陥った場合は、透析液切れセンサ8によって状態が検出され、信号は制御部15で処理され、装置102の全てのポンプは停止する。その結果、CRRTは停止し、PEだけが続行することになり、膠質浸透圧の不均衡等による副作用を及ぼす可能性があった。
【0011】
また、PEとCRRTは同時に開始するが、PEを先に終了して、CRRTだけを継続することがある。そのために膜型血漿分離器24内にある血液は生理食塩液などの回収液に置換した後、CRRTを継続する。しかしながら、膜型血漿分離器24内にある血液を置換する操作は、鉗止や回路に付属してあるクランプなどの開閉操作と血液ポンプ1の操作を行うため煩雑な作業であり、熟練者でなければ容易に出来るものではなかった。
【0012】
さらに、本治療が施行される場所は主に集中治療室であり、患者には心電計などの生体モニタが接続され、病態に応じて複数のモニタ類が使用される。患者を中心に限られた空間に多くの機器類を配置することは、機器類の操作や監視を煩雑なものにし、看護作業の妨げにもなる。そこに加えて生体モニタと比較すると大きな装置である血液浄化装置を2台使用することは、さらに上記不都合を増大させていた。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決することを課題とするものであり、PEとCRRTの併用を行う血液浄化装置において、非熟練者であっても取り扱いの容易な装置を提供することを目的とする。すなわち、血液を循環するラインまたは分離ライン、補液ラインなどの血液循環ラインから分岐する各送液ラインにおいて異常が発生した場合であっても、膠質浸透圧の不均衡等による副作用の発現をできるだけ少なくして、安全に治療を継続あるいは中断できる血液浄化装置を提供することを目的とする。あわせて、患者周辺スペースを有効に利用できるよう小型な血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る血液浄化装置の代表的な構成は、少なくとも膜型血漿分離器と、前記膜型血漿分離器の血液入口側に血液を導入する動脈ラインと、前記動脈ライン上の血液を送液するための血液ポンプと、血液浄化器と、前記膜型血漿分離器の血液出口側と前記血液浄化器の血液入口側とを接続する連結ラインと、前記血液浄化器の血液出口側に接続され、血液を患者に戻す静脈ラインと、前記膜型血漿分離器の濾液出口に接続され、濾液を導出する分離ラインと、前記分離ライン上の濾液を送液するための分離ポンプと、前記連結ラインに接続され、第一の補充液を導入する第一の補液ラインと、前記第一の補液ライン上の補充液を送液するための第一の補液ポンプと、前記血液浄化器の濾液側に接続され、濾液を導出する濾液ラインと、前記濾液ライン上の濾液を送液するための濾液ポンプと、血液ポンプ運転信号と治療運転信号に応じて、少なくとも前記各ポンプの運転と停止を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記血液ポンプを運転している際には、治療運転信号の状態に応じて、他の前記各ポンプを運転、あるいは停止させ、前記血液ポンプを停止している際には、治療運転信号の状態に関わらず、少なくとも他の前記各ポンプの全てを停止させることを特徴とする。
【0015】
前記第一の補液ライン、または前記透析液ライン、もしくは前記第二の補液ラインのライン上に、流路内の液体が気体に置換されたことを検出する液切れセンサが取り付けられており、前記制御部は前記液切れセンサからのセンサ信号を閾値処理する閾値処理部を有し、センサ信号が閾値範囲を越えている場合には少なくとも前記各ポンプを停止することをが望ましい。
【0016】
また、前記膜型血漿分離器の血液入口側と血液出口側とを連通させるバイパスラインと、前記バイパスラインを開閉する第一の開閉器とを有することが望ましい。この場合において、前記動脈ライン上のバイパスライン接続部より下流側に配置した第二の開閉器と、輸液ラインの途中に輸液ラインを開閉する第三の開閉器と、動脈ライン上であって輸液ラインとの接続部より上流側に動脈ラインを開閉する第四の開閉器とを有し、前記制御部はさらに前記各開閉器の動作の制御を行うものであって、前記制御部は、前記膜型血漿分離器で血液から血漿を分離する際には、前記第一および第三の開閉器を閉塞し、前記第二および第四の開閉器を開放し、少なくとも前記各ポンプを運転させ、前記膜型血漿分離器内の血液を回収する際には、前記分離ポンプと第一の補液ポンプを停止させ、前記第三の開閉器を開放し、前記第四の開閉器を閉塞し、回収液を前記動脈ラインに送液することで、前記膜型血漿分離器内の血液を回収液で置換した後に、前記第一の開閉器を開放し、前記第二、第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放することで、前記血液浄化器での血液処理を継続するように制御することが望ましい。
【0017】
また、前記膜型血漿分離器の血液入口側と血液出口側とを連通させるバイパスラインと、前記動脈ライン上のバイパスライン接続部より下流側に配置した第二の血液ポンプとを有することが望ましい。この場合において、輸液ラインの途中に輸液ラインを開閉する第三の開閉器と、動脈ライン上であって輸液ラインとの接続部より上流側に動脈ラインを開閉する第四の開閉器とを有し、前記制御部はさらに前記各開閉器の動作の制御を行うものであって、前記制御部は、前記膜型血漿分離器で血液から血漿を分離する際には、前記第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放し、少なくとも前記各ポンプを運転させ、前記膜型血漿分離器内の血液を回収する際には、前記分離ポンプと第一の補液ポンプを停止させ、前記第三の開閉器を開放し、前記第四の開閉器を閉塞し、回収液を前記動脈ラインに送液することで、前記膜型血漿分離器内の血液を回収液で置換した後に、前記第二の血液ポンプを停止し、前記第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放することで、前記血液浄化器での血液処理を継続するように制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、血漿交換療法と持続緩徐式血液浄化法の併用を行う血液浄化装置において、血液を循環するラインまたは分離ライン、補液ラインなどの血液循環ラインから分岐する各送液ラインにおいて異常が発生した場合でも安全に治療を中断することができる。また、操作部および制御部を1台に集中させたことにより、監視の負担を低減し、装置も小型化でき、操作も非常に簡便なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第一実施例]
以下、図面を参照しながら、本発明による血液浄化装置を実施例に基づき説明する。図2は本実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。上記従来技術の説明において図1を用いた説明と重複する部材については、同一の符号を付している。
【0020】
図2に示す血液浄化装置100は、PEを施行すると同時に持続的血液ろ過法(CHF)と持続的血液透析法(CHD)とを複合させた持続的血液ろ過透析法(CHDF)を行う血液浄化装置である。CHF、CHDおよびCHDFは、持続緩徐式血液浄化法(CRRT)と総称する。
【0021】
血液ポンプ1によって患者から取り出された血液は、動脈ライン21を通り、血漿分離膜25が収容された膜型血漿分離器24に導入されて血漿成分が分離ポンプ2によって送液され分離ライン32を通り除去される。膜型血漿分離器24で処理された血液は連結ライン23を通り、半透膜27が収容された血液浄化器26に送液される。連結ライン23は途中で第一の補液ライン33と接続され、第一の補液ライン33上の第一の補液ポンプ3によって新鮮凍結血漿等が膜型血漿分離器24で処理された血液に補充される。血液浄化器26に導入された血液は透析液ライン35上の透析液ポンプ5によって送液された透析液で透析が行われ、また同時に一部の低分子量血液成分の濾過が行なわれ、濾液ライン34上の濾液ポンプ4によって排液される。血液浄化器26で処理された血液は静脈ライン22に通され患者に返血される。静脈ライン22は途中で第二の補液ライン36と接続され、第二の補液ライン36上の第二の補液ポンプ6によって補充液が処理後の血液に補充される。
【0022】
膜型血漿分離器24は、少なくとも血球細胞を通過させない細孔径を有する中空糸型の分離膜をハウジングに充填したものであり、中空糸内部に血液を流すと、中空糸の膜壁を通って血漿成分が分離される。分離膜の材質は特に限定しないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステルなどが例示できる。
【0023】
血液浄化器26は、血液中の尿素窒素、クレアチニン、尿酸などの小分子およびアルブミン以下の低分子量蛋白を通過させる中空糸型の半透膜をハウジングに充填したものであり、中空糸内部に血液を流すと、中空糸の膜壁を通って小分子および低分子蛋白が分離される。分離膜の材質は特に限定しないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレートなどが例示できる。
【0024】
第一の補液ライン33から導入される第一の補充液は、膜型血漿分離器24により分離された血漿を補うために用いられる補充液であり、例えば新鮮凍結血漿、アルブミン溶液等が用いられる。
【0025】
第二の補液ライン36から導入される第二の補充液は、血液浄化器によって除去される水分および電解質を補充するために用いられる補充液である。患者の循環動態に応じて調製する場合もあるが、一般的にはバッグに充填されている市販のろ過型人工腎臓用補液(商品例:扶桑薬品製:サブラッドB、味の素ファルマ製:ソリタなど)を使用する場合が多い。
【0026】
透析液ライン35から導入される透析液は、慢性腎不全の患者に施行される人工透析で使用される調製された透析液でもよく、前記ろ過型人工腎臓用補液を使用する場合も多い。
【0027】
制御部11は、液切れ検知器などの各種センサからの情報に基づき、各ポンプの運転、停止、流量の制御や、開閉器の開閉制御などのアクチュエータの動作制御を行う部分である。制御部11は運転開始信号、停止信号などの血液ポンプ運転信号、治療運転信号等を受信する受信機能があり、各ポンプを制御する制御信号を送信する送信機能を有し、これら送受信を制御するための機能が備わっていることが必要である。治療運転信号は後述する操作部12から入力される信号である。ロジック回路で構成するか、CPU(Central Processing Unit)にて構成する。最近は1つのCPUがデジタル入力/デジタル出力、アナログ入力/デジタル出力、デジタル入力/アナログ出力の機能を有しているものもあり、このような高機能なCPUを用いてもよい。また、工業用途によく用いられるシーケンサを使用してもよい。
【0028】
動脈ライン21、静脈ライン22、連結ライン23は血液を送液するチューブであり、分離ライン32、第一の補液ライン33、濾液ライン34、第二の補液ライン36は排液あるいは補液を送液するチューブである。チューブの材質は、合成樹脂、金属およびガラス等の何れでも構わないが、製造コスト、加工性および操作性の観点から合成樹脂、特に熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、弗素系樹脂、シリコン系樹脂等、さらにはABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアセタール等を挙げることができ、何れにおいても好適に用いることができる。なかでも、軟質素材は折れ曲がりや割れ等に強く、操作時の柔軟性に優れるため好ましく、組み立て性の理由から軟質塩化ビニルが特に好ましい。
【0029】
血液ポンプ1、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6は、液体を送液できるポンプであればよい。ただし、ポンプが停止した場合に液の流通を停止する機能を持つ、チューブをしごいて送液するチューブポンプであればなおよい。回転式のチューブポンプは、送液路を形成する弾性のチューブと外周部に複数のローラが取り付けられた回転体を備えており、その回転体が回転されることにより、複数のローラがチューブをしごきながら送液動作をする構造となっている。チューブは円弧状に規制されており、その円弧の中心が回転体の中心となり、複数のローラは公転しつつ自転することによりチューブをしごいて送液する。
【0030】
分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3はそれぞれ独立したポンプでもよいが、一つのポンプで二液を送液できるダブルポンプでもよい。ダブルポンプの例としては、前記回転式のチューブポンプであって、二本のチューブをしごくことで二液を送液するものが挙げられる。
【0031】
CRRTの部分の施行は、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6の三つのポンプを運転すると持続的血液ろ過透析法(CHDF)になり、濾液ポンプ4、第二の補液ポンプ6の二つのポンプを運転すると持続的血液ろ過法(CHF)になり、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5の二つのポンプを運転すると持続的血液透析法(CHD)となる。必要に応じて各ポンプの流量を設定すればよい。あるいは、CHDFモード、CHFモード、CHDモードの三つのモードを設けておき、モードを切り替えることで使用する療法を使い分ける手段でもよい。
【0032】
血液ポンプ1、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6は、制御部11によって制御される。また制御部11は、運転の開始、停止などの人による操作の入力部と各ポンプの流量などの設定値を表示する出力部から成る操作部12に接続される。操作部12には、少なくとも血液ポンプ1の起動と停止のスイッチと、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6の全てのポンプを一括で起動と停止を行うスイッチが設けられている。血液ポンプ1の起動と停止のスイッチの状態は、血液ポンプ運転信号として、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6の全てのポンプを一括で起動と停止を行うスイッチの状態は、治療運転信号として制御部11へ送られ、制御部11によって処理され、各ポンプの起動、停止、流量制御などが行われる。
【0033】
制御部11は、本実施例の特徴的な動作として、以下のように各ポンプを制御する。
【0034】
血液ポンプ1、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6の運転および停止は、制限が設けられており、血液ポンプ1の運転を開始する信号が入力されたら、血液ポンプ1の運転を開始する。血液ポンプ1が運転しているときに分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6の運転を開始する信号が入力されたら、これら血液ポンプ1以外の各ポンプは予め設定された流量に基づき、運転を開始する。一方、血液ポンプ1が停止しているときに血液ポンプ1以外の各ポンプの運転を開始する信号が入力されても、各ポンプは運転を開始しない制御が働く。血液ポンプ1が運転しているときに血液ポンプ1以外の各ポンプを停止する信号が入力されたら、それぞれのポンプは停止する。血液ポンプ1及び他のポンプを運転しているときに血液ポンプ1を停止する信号が入力されたら、血液ポンプ1を含む全てのポンプを停止する。
【0035】
上記の如く構成したことにより、血漿交換療法と持続緩徐式血液浄化法の併用を行う血液浄化装置において、血液ポンプが停止した場合には他の全てのポンプを停止させるよう構成したことにより、血液を循環するラインにおいて異常が発生した場合でも、安全に治療を中断することができる。また、1つの装置によって構成したことにより、装置全体を小型化し、患者周辺スペースを有効に利用することができる。また操作部および制御部を1つに集中させたことにより、人による操作を簡便なものとし、監視の負担を軽減することが可能となる。
【0036】
[第二実施例]
図3は第二実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。上記第一実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施例は、液切れセンサを配置し、これを制御に用いる構成である。
【0037】
図3に示すように、本実施例においては、第一の補液ライン33の液流通が気体になったことを検出するための第一の補液切れセンサ8、透析液ライン35の液流通が気体になったことを検出するための透析液切れセンサ9、第二の補液ライン36の液流通が気体になったことを検出するための第二の補液切れセンサ10が設置されている。これら液切れセンサはライン内に満たされている物質が液体なのか気体なのかの識別をする機能が備わっていることが必要である。例えば、超音波を発信する部分とそれに対向する方向に受信部を設け、発信部と受信部によって送液されるラインが挟み込まれる態様によって、超音波の伝達の変化を捉えることによりラインの中が液体なのか、気体なのかを判定することができる。超音波の変わりにレーザ光を発光する素子と受光素子との組み合わせでもよい。また、静電容量の変化をセンシングしてもよい。
【0038】
センサの出力信号は不図示の閾値処理部に接続され、信号が予め定められた値と比較され、大きいか小さいかの二値化処理され、ライン内に満たされている物質を液体と気体のどちらかに判定する。センサの出力信号の特徴に応じて、二値化処理する前に、ローパスフィルタ処理、バンドパスフィルタ処理などの特定の周波数帯域を通過させるフィルタ処理、あるいは単純平均化処理、移動平均化処理などの平滑化処理をしてもよい。
【0039】
制御部11は、本実施例の特徴的な動作として、以下のように各ポンプを制御する。
【0040】
第一の補液切れセンサ8、透析液切れセンサ9、第二の補液切れセンサ10の信号は制御部11に送られ、ライン内の状態の識別処理がされる。血液ポンプ1を含む各ポンプが運転しているときに、第一の補液ライン33、透析液ライン35、第二の補液ライン36のいずれかが気体状態になった場合には、血液ポンプ1を除く全てのポンプを停止する制御を行う。
【0041】
すなわち、血液が流れる動脈ライン21、連結ライン23、静脈ライン22上で異常が発生した場合は、血液ポンプ1を含む全てのポンプを停止する。一方、分離ライン32などの血液が流れるラインから分岐したライン上で異常が発生した場合は、血液ポンプ1を除く全てのポンプを停止する。これは、血液が滞留すると凝固してしまうため、できるだけ血液自体は流れを止めないようにするためである。
【0042】
上記の如く構成したことにより、血漿交換療法と持続緩徐式血液浄化法の併用を行う血液浄化装置において、上記第一実施例の効果に加え、分離ライン、補液ラインなどの血液循環ラインから分岐する各送液ラインにおいて異常が発生した場合でも、安全に治療を中断することができる。
【0043】
[第三実施例]
図4は第三実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。上記第一実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施例は、PEを先に終了して、CRRTだけを継続するための構成および制御の例である。
【0044】
PEとCRRTの併用での施行は、通常同時に開始するが、同時に終えるとは限らない。肝不全だけではなく腎不全も併発しているいわゆる多臓器不全に至っている場合には、特にPEとCRRTの併用を施行した後に、CRRTだけを継続することもある。
【0045】
そこで本実施例においては、動脈ライン21の途中から分岐し、分岐したラインが連結ライン23の途中に接続されるバイパスライン28を設けて、膜型血漿分離器24をバイパス可能な構成としている。また、バイパスライン28上には、流路を開放あるいは閉塞する第一の開閉器41を設けている。
【0046】
膜型血漿分離器24に血液を導入する場合には、第一の開閉器41は閉塞し、膜型血漿分離器24をバイパスする場合は、第一の開閉器41を開放する。開閉器41は流路を閉塞および開放する機能があればよく、例えば、流路を形成する軟質チューブを機械的に挟み込むことで流路を閉塞し、挟み込みを開放することで流路を開通状態にできる。また、流路途中に弁を設けて、この弁を電磁的に駆動して、流路を閉塞あるいは開放することでもよい。
【0047】
上記の如く構成したことにより、PEとCRRTを両方行うことのできる装置であっても、CRRTのみを継続して実施することが可能となる。
【0048】
[第四実施例]
図5は第四実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図であって、第三実施例にて示したバイパスライン28が設けてある場合における、PEとCRRTの併用療法からCRRT単独療法への施行方法の切り替えを容易にするための他の構成を示している。上記第三実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施例においては、動脈ライン21上に、膜型血漿分離器24よりも上流側かつバイパスライン28との分岐点よりも下流側に、第二の開閉器42を設けている。さらに、動脈ライン21上の血液ポンプ1より上流側に、動脈ライン21から分岐する輸液ライン29を設けている。輸液ライン29の末端は、生理食塩液などの血液を回収するための回収液が貯留してある貯留バッグ51と接続できる形態とし、貯留バッグ51と接続しておく。輸液ライン29上には第三の開閉器43を設け、動脈ライン21上であって、輸液ライン29との接続部よりも上流側に第四の開閉器44を設ける。
【0050】
PEとCRRTの併用療法を施行する場合、すなわち膜型血漿分離器24で血液から血漿を分離する際には、第一の開閉器41と第三の開閉器43は閉塞状態にし、第二の開閉器42、第四の開閉器44は開放状態にして、血液ポンプ1を運転状態にして、患者から導出した血液を膜型血漿分離器24に送り込む。そして分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6を運転状態にすることでPEとCRRTの併用療法を施行する。
【0051】
PEの施行が完了し、膜型血漿分離器24内の血液を回収する際には、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3を停止し、第三の開閉器43を閉塞から開放へ切り替える。第四の開閉器44を開放から閉塞に切り替えることで、確実に回収液を膜型血漿分離器24に送液でき、血液を回収液に置換する。置換が完了したら、第四の開閉器44を開放、第三の開閉器43を閉塞、第一の開閉器41を開放、第二の開閉器42を閉塞を閉塞することで、膜型血漿分離器24をバイパスして、血液浄化器26だけに血液を導入してCRRTを継続して施行することができる。
【0052】
[第五実施例]
図6は第五実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図であって、上記第三実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
上記第三実施例と異なり、本実施例においては、バイパスライン28の流路を開閉する第一の開閉器41は設けていない。その代わりに、動脈ライン21上であって、膜型血漿分離器24よりも上流側かつバイパスライン28との分岐点よりも下流側に、第二の血液ポンプ7を配置している。第二の血液ポンプ7の構造は他のポンプと同じでよく、第一の血液ポンプ1と同等の送液能力があればよい。
【0054】
第一の血液ポンプ1と第二の血液ポンプ7の流量を同量に設定すれば、膜型血漿分離器24へ導入される血液流量と血液浄化器26へ導入される血液流量は等量になる。第一の血液ポンプ1の流量を第二の血液ポンプ7の流量よりも多く設定すれば、膜型血漿分離器24へ導入される血液流量は第二の血液ポンプ7の流量になり、血液浄化器26へ導入される血液流量は第一の血液ポンプ1の流量となる。
【0055】
血液浄化器26へ導入する血液流量を膜型血漿分離器24へ導入する血液流量よりも多くしたい場合には好都合である。ただし、第二の血液ポンプ7の流量が第一の血液ポンプ1の流量よりも高い場合には、バイパスライン28を通じて血液が逆に流れ、再循環してしまうので、制御部11(図2参照)は流量の制限をする制御を行う。
【0056】
[第六実施例]
図7は第六実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図であって、第五実施例にて示した第二の血液ポンプ7が設けてある場合における、PEとCRRTの併用療法からCRRT単独療法への施行方法の切り替えを容易にするための他の構成を示している。上記第五実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
本実施例においては、動脈ライン21上の血液ポンプ1より上流側に、動脈ライン21から分岐する輸液ライン29を設けている。輸液ライン29の末端は、生理食塩液などの血液を回収するための回収液が貯留してある貯留バッグ51と接続できる形態とし、貯留バッグ51と接続しておく。輸液ライン29上には第三の開閉器43を設け、動脈ライン21上であって、輸液ライン29との接続部よりも上流側に第四の開閉器44を設ける。
【0058】
PEとCRRTの併用療法を施行する場合、すなわち膜型血漿分離器24で血液から血漿を分離する際には、第三の開閉器43は閉塞状態にし、第四の開閉器44は開放状態にして、第一の血液ポンプ1と第二の血液ポンプ7を運転状態にして、患者から導出した血液を膜型血漿分離器24に送り込む。そして分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3、濾液ポンプ4、透析液ポンプ5、第二の補液ポンプ6を運転状態にすることでPEとCRRTの併用療法を施行する。
【0059】
PEの施行が完了し、膜型血漿分離器24内の血液を回収する際には、分離ポンプ2、第一の補液ポンプ3を停止して、第三の開閉器43を閉塞から開放へ切り替える。第四の開閉器44を開放から閉塞に切り替えることで、確実に回収液を膜型血漿分離器24に送液でき、血液を回収液に置換する。置換が完了したら、第四の開閉器44を開放、第三の開閉器43を閉塞、第二の血液ポンプ7を停止することで、膜型血漿分離器24をバイパスして、血液浄化器26だけに血液を導入してCRRTを継続して施行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の血液浄化装置は、血漿交換療法と持続緩徐式血液浄化法の併用療法を施行する際に有用に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】2台の血液浄化装置によるPEとCRRTの併用療法の施行を示す装置構成図である。
【図2】第一実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【図3】第二実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【図4】第三実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【図5】第四実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【図6】第五実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【図7】第六実施例に係る血液浄化装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 …血液ポンプ
2 …分離ポンプ
3 …第一の補液ポンプ
4 …濾液ポンプ
5 …透析液ポンプ
6 …第二の補液ポンプ
7 …第二の血液ポンプ
8 …第一の補液切れセンサ
9 …透析液切れセンサ
10 …第二の補液切れセンサ
11 …制御部
12 …操作部
13 …制御部
14 …操作部
15 …制御部
16 …操作部
21 …動脈ライン
22 …静脈ライン
23 …連結ライン
24 …膜型血漿分離器
25 …血漿分離膜
26 …血液浄化器
27 …半透膜
28 …バイパスライン
29 …輸液ライン
32 …分離ライン
33 …第一の補液ライン
34 …濾液ライン
35 …透析液ライン
36 …第二の補液ライン
41 …第一の開閉器
42 …第二の開閉器
43 …第三の開閉器
44 …第四の開閉器
51 …貯留バッグ
100 …血液浄化装置
101 …一台目の装置
102 …二台目の装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも膜型血漿分離器と、
前記膜型血漿分離器の血液入口側に血液を導入する動脈ラインと、
前記動脈ライン上の血液を送液するための血液ポンプと、
血液浄化器と、
前記膜型血漿分離器の血液出口側と前記血液浄化器の血液入口側とを接続する連結ラインと、
前記血液浄化器の血液出口側に接続され、血液を患者に戻す静脈ラインと、
前記膜型血漿分離器の濾液出口に接続され、濾液を導出する分離ラインと、
前記分離ライン上の濾液を送液するための分離ポンプと、
前記連結ラインに接続され、第一の補充液を導入する第一の補液ラインと、
前記第一の補液ライン上の補充液を送液するための第一の補液ポンプと、
前記血液浄化器の濾液側に接続され、濾液を導出する濾液ラインと、
前記濾液ライン上の濾液を送液するための濾液ポンプと、
血液ポンプ運転信号と治療運転信号に応じて、少なくとも前記各ポンプの運転と停止を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記血液ポンプを運転している際には、治療運転信号の状態に応じて、他の前記各ポンプを運転、あるいは停止させ、
前記血液ポンプを停止している際には、治療運転信号の状態に関わらず、少なくとも他の前記各ポンプの全てを停止させることを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
さらに前記血液浄化器の濾液側に接続され、透析液を導入する透析液ラインと、
前記透析液ライン上の透析液を送液するための透析液ポンプとを備え、
前記制御部は、さらに、
前記血液ポンプを運転している際には、治療運転信号の状態に応じて、前記透析液ポンプを運転、あるいは停止させ、
前記血液ポンプを停止している際には、治療運転信号の状態に関わらず、前記透析液ポンプを停止させることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
さらに前記静脈ラインに接続され、第二の補充液を導入する第二の補液ラインと、
前記第二の補液ライン上の補充液を送液するための第二の補液ポンプとを備え、
前記制御部は、さらに、
前記血液ポンプを運転している際には、治療運転信号の状態に応じて、前記第二の補液ポンプを運転、あるいは停止させ、
前記血液ポンプを停止している際には、治療運転信号の状態に関わらず、前記第二の補液ポンプを停止させることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記第一の補液ライン、または前記透析液ライン、もしくは前記第二の補液ラインのライン上に、流路内の液体が気体に置換されたことを検出する液切れセンサが取り付けられており、
前記制御部は前記液切れセンサからのセンサ信号を閾値処理する閾値処理部を有し、
センサ信号が閾値範囲を越えている場合には少なくとも前記各ポンプを停止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記膜型血漿分離器の血液入口側と血液出口側とを連通させるバイパスラインと、
前記バイパスラインを開閉する第一の開閉器とを有することを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記膜型血漿分離器の血液入口側と血液出口側とを連通させるバイパスラインと、
前記動脈ライン上のバイパスライン接続部より下流側に配置した第二の血液ポンプとを有し、
前記制御部は、さらに、
前記血液ポンプを運転している際には前記第二の血液ポンプも運転し、前記血液ポンプを停止している際には前記第二の血液ポンプも停止させることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記分離ポンプと前記第一の補液ポンプが1つのダブルポンプである請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項8】
血液浄化器での血液処理モードが持続的血液透析、持続的血液濾過あるいは持続的血液濾過透析の中から選択する何れかのモードで運転されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の血液浄化装置。
【請求項9】
請求項5に記載の血液浄化装置において、
前記動脈ライン上のバイパスライン接続部より下流側に配置した第二の開閉器と、
前記動脈ライン上の血液ポンプの血液流入側に分岐する輸液ラインと、
前記輸液ラインの他端に接続された血液回収用の回収液を貯留した貯留容器と、
前記輸液ラインの途中に輸液ラインを開閉する第三の開閉器と、
前記動脈ライン上であって輸液ラインとの接続部より上流側に動脈ラインを開閉する第四の開閉器とを有し、
前記制御部はさらに前記各開閉器の動作の制御を行うものであって、
前記制御部は、
前記膜型血漿分離器で血液から血漿を分離する際には、前記第一および第三の開閉器を閉塞し、前記第二および第四の開閉器を開放し、少なくとも前記各ポンプを運転させ、
前記膜型血漿分離器内の血液を回収する際には、前記分離ポンプと第一の補液ポンプを停止させ、前記第三の開閉器を開放し、前記第四の開閉器を閉塞し、回収液を前記動脈ラインに送液することで、前記膜型血漿分離器内の血液を回収液で置換した後に、前記第一の開閉器を開放し、前記第二、第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放することで、前記血液浄化器での血液処理を継続するように制御することを特徴とする血液浄化装置。
【請求項10】
請求項6に記載の血液浄化装置において、
前記動脈ライン上の血液ポンプの血液流入側に分岐する輸液ラインと、
前記輸液ラインの他端に接続された血液回収用の回収液を貯留した貯留容器と、
前記輸液ラインの途中に輸液ラインを開閉する第三の開閉器と、
前記動脈ライン上であって輸液ラインとの接続部より上流側に動脈ラインを開閉する第四の開閉器とを有し、
前記制御部はさらに前記各開閉器の動作の制御を行うものであって、
前記制御部は、
前記膜型血漿分離器で血液から血漿を分離する際には、前記第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放し、少なくとも前記各ポンプを運転させ、
前記膜型血漿分離器内の血液を回収する際には、前記分離ポンプと第一の補液ポンプを停止させ、前記第三の開閉器を開放し、前記第四の開閉器を閉塞し、回収液を前記動脈ラインに送液することで、前記膜型血漿分離器内の血液を回収液で置換した後に、前記第二の血液ポンプを停止し、前記第三の開閉器を閉塞し、前記第四の開閉器を開放することで、前記血液浄化器での血液処理を継続するように制御することを特徴とする血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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