説明

血液浄化装置

【課題】警報の発生原因の追及を容易且つ早急に行わせることができる血液浄化装置を提供する。
【解決手段】体外循環する患者の血液を浄化して血液浄化治療するとともに、当該血液浄化治療に関わる表示を行わせる表示手段2を具備した血液浄化装置において、表示手段2は、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環する患者の血液を浄化して血液浄化治療するとともに、当該血液浄化治療に関わる表示を行わせる表示手段を具備した血液浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透析治療などで用いられる血液浄化装置としての透析装置は、病院等の医療施設内に設けられた透析室に複数設置され、当該透析室内で多数の患者に対する透析治療(血液浄化治療)が施されるようになっている。かかる透析装置には、通常、透析治療に関わる表示を行わせるための表示手段が配設されており、当該表示手段による表示を目視しつつ透析治療に関わる所定の作業が行われ得るよう構成されている。かかる表示手段で表示される画面は、予め複数用意されており、それら複数の画面を切り換え表示させることにより、必要な情報を把握し得るようになっている。
【0003】
ところで、通常の透析装置においては、透析治療に関わる作業(透析治療のための動作及び治療の準備のための動作等)が行われている間、誤操作や誤った設定がなされたとき、或いは例えば監視している静脈圧等のパラメータ(モニタ値)が予め定めた範囲を超えたとき等、警報を発して注意を喚起するよう構成されている。そして、このような警報が発せられると、表示手段による表示画面が自動的に警報画面に切り換えられ、その警報の発生原因の追及に必要とされる事項が例えば文章にて項目毎に表示されるようになっている。
【0004】
しかして、従来の透析装置によれば、警報の発生に伴って表示される警報画面の文章に従い、医師等医療従事者が表示手段の画面を切り換え操作したり或いは操作ボタン等の種々操作手段を操作することにより、警報の発生原因の追及に必要な所望画面を表示させることができ、警報の発生原因の特定及び対処を行うことができる。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の血液浄化装置においては、警報の発生原因の追及や対処を行うには、警報画面の文章に従って医師等医療従事者が表示手段の画面を切り換え操作したり或いは操作ボタン等の種々操作手段を操作する必要があったため、作業が煩わしく且つ複雑となってしまい、警報を解除するのに時間がかかってしまうという問題があった。特に、血液浄化装置においては、患者の負担を軽減する必要から、警報の発生原因に対する処置を早期に行わせる必要があり、警報の解除のための時間を短縮させる要求は極めて高いものであった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、警報の発生原因の追及を容易且つ早急に行わせることができる血液浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、体外循環する患者の血液を浄化して血液浄化治療するとともに、当該血液浄化治療に関わる表示を行わせる表示手段を具備した血液浄化装置において、
前記表示手段は、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記警報画面は、警報の発生原因の追求に必要な確認項目の表示に加え、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフ、血液浄化治療に関わる設定値の少なくとも何れか1つを表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置において、前記警報画面の表示には、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記表示手段は、画面の所望位置に表示されるスイッチ部を触れることにより所定の入力が可能なタッチパネルから成るとともに、前記警報画面は、前記警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部が表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の血液浄化装置において、前記操作用スイッチ部は、警報の発生原因の解消の有無に関わらず一定時間警報を停止させる操作が可能なスイッチ部から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の血液浄化装置において、前記操作用スイッチ部は、前記警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成ることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の血液浄化装置において、前記警報画面は、前記警報の発生原因に対する対処のための操作を行い得る操作画面に切り換え可能とされたショートカット用スイッチ部が表示されることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記警報画面における警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報の表示は、患者に合わせて個々に設定可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、表示手段は、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるので、警報の発生原因の追及を容易且つ早急に行わせることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、警報画面は、警報の発生原因の追求に必要な確認項目の表示に加え、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフ、血液浄化治療に関わる設定値の少なくとも何れか1つを表示させるので、警報の発生原因の追及をより正確に行わせることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、警報画面の表示には、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像を含むので、当該対処方法を視覚的に把握させることができ、警報の発生原因の追及に必要な対処方法をより容易且つ正確に行わせることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、表示手段は、画面の所望位置に表示されるスイッチ部を触れることにより所定の入力が可能なタッチパネルから成るとともに、警報画面は、警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部が表示されるので、表示手段とは別個の操作手段を不要とすることができ、血液浄化装置の構成を簡素化することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、操作用スイッチ部は、警報の発生原因の解消の有無に関わらず一定時間警報を停止させる操作が可能なスイッチ部から成るので、一時的な警報解除のための操作をより早急に行わせることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、操作用スイッチ部は、警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成るので、警報解除のための操作をより早急に行わせることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、警報画面は、警報の発生原因に対する対処のための操作を行い得る操作画面に切り換え可能とされたショートカット用スイッチ部が表示されるので、表示手段の切り換え操作に不慣れな者であっても警報解除のための操作画面に円滑に切り換えさせることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、警報画面における警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報の表示は、患者に合わせて個々に設定可能とされたので、患者毎の事情に合致した警報画面を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る血液浄化装置を示す正面図
【図2】同血液浄化装置における表示手段で表示される画面構成を示す概念図
【図3】同表示手段で表示される警報画面(主警報画面)を示す模式図
【図4】同表示手段で表示される警報画面(詳細警報画面)を示す模式図
【図5】同表示手段で表示される警報画面(主警報画面)を示す模式図
【図6】同表示手段で表示される警報画面(詳細警報画面)を示す模式図
【図7】同表示手段で表示される警報画面(主警報画面)を示す模式図
【図8】同表示手段で表示される警報画面(詳細警報画面)を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、体外循環する患者の血液を浄化して透析治療する血液透析装置に適用されたもので、図1に示すように、血液ポンプ3、補液ポンプ4、バイパスコネクタ受け5、気泡検出器6、注入ポンプ7等を具備した透析装置本体1(透析監視装置)と、該透析装置本体1の上部に配設されて血液浄化治療に関わる表示を行わせる表示手段2とから主に構成されている。
【0025】
なお、この透析装置本体1には、透析液導入ライン及び透析液排出ライン(不図示)等の配管が形成されており、当該透析液導入ライン及び透析液排出ラインにダイアライザ(血液浄化器)を接続するとともに、当該ダイアライザに血液回路が接続されるようになっている。しかして、血液回路により患者の血液を体外循環させつつダイアライザによって体外循環させた血液を浄化し得るよう構成されている。
【0026】
血液ポンプ3は、血液回路(動脈側血液回路)に取り付けられ、当該血液回路を構成する可撓性チューブをしごいて患者の血液を流動させるものであり、補液ポンプ4は、補液のためのチューブをしごいて補液を血液回路内に流動させるものである。また、気泡検出器6は、血液回路内の気泡を検出するものであり、注入ポンプ7は、例えば抗凝固剤(ヘパリン)等を収容したシリンジを駆動させて、血液回路中に当該抗凝固剤を持続注入するものである。
【0027】
また、バイパスコネクタ受け5は、バイパスコネクタを受けて保持させるものである。かかるバイパスコネクタは、血液浄化治療が行われていないとき等、透析液導入ラインの先端(透析液出口)及び透析液排出ラインの先端(透析液戻口)に接続され、これら透析液導入ライン及び透析液排出ラインを短絡(先端同士を連結)させ得るものである。しかして、透析液導入ライン及び透析液排出ラインを短絡するとき、バイパスコネクタ受け5にて保持されるようになっている。したがって、このバイパスコネクタ受け5にバイパスコネクタが保持されていると、スイッチが反応し、「透析液導入ライン及び透析液排出ラインが短絡されている」ことが検出可能とされている。
【0028】
表示手段2は、画面の所望位置に表示されるスイッチ部を触れることにより所定の入力が可能なタッチパネル(例えばカラーLCD等のタッチパネル)から成るものであり、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされている。より具体的には、表示手段2は、図2に示すように、画面A〜画面Fを切り換えて表示可能とされており、例えば血液浄化治療前の待機状態で画面Bが表示された場合、その画面Bに表示された所定のスイッチ部を触れて入力操作することにより、所定の操作を行わせ得る操作画面aを表示されたり、或いは血液浄化治療中に画面Cが表示された場合、その画面Cに表示された所定のスイッチ部を触れて入力操作することにより、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値を表示する画面cや血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフを表示する画面dに切り換え可能とされている。
【0029】
すなわち、表示手段2で切り換え表示される画面には、血液浄化治療に関わる種々情報(血液浄化治療の際の種々設定値や監視対象のパラメータの現在値を示すモニタ値或いは経時的変化を示すグラフ等)が表示されることとなり、これら情報に基づいて治療が行われ得るようになっている。このようにして、本実施形態に係る表示手段2は、所望の画面に切り換えることにより、血液浄化治療に関わる表示(例えば、治療中の患者の状態を示す指標である循環血液量変化率(ΔBV)や静脈圧等の経時的変化等のグラフ表示)に加え、治療に関わるパラメータ(例えば血液ポンプ3の駆動速度や図示しない除水ポンプの駆動速度等)の設定や変更のための入力操作が可能とされている。
【0030】
なお、本実施形態に係る表示手段2は、透析治療(血液浄化治療)中において、以下の項目を表示可能とされている。すなわち、運転状況(HD運転中)、各種圧力値(静脈圧、透析液圧)、除水条件(除水量積算、除水量設定、除水速度)、透析液の条件(透析液温度、透析液濃度、透析液流量)、抗凝固剤注入速度(IP速度)、血流量、透析治療残り時間、血圧/脈拍値、各種操作のためのアイコン等が表示手段2に表示可能とされているのである。
【0031】
ここで、本実施形態においては、透析治療に関わる作業(透析治療のための動作及び治療の準備のための動作等)が行われている間、誤操作や誤った設定がなされたとき、或いは例えば監視している静脈圧やΔBV等のパラメータ(モニタ値)が予め定めた範囲を超えたとき等、血液浄化装置が異常を検出すると、警報を発して注意を喚起するよう構成されている。そして、かかる警報が発生されると、表示手段2の表示が自動的に警報画面α(本実施形態においては、先ずは主警報画面A)に切り換えられるようになっている。なお、警報を発生する手段は、スピーカから警報音を出力するもの或いは警報灯を点灯させるもの等、何れの形態であってもよい。
【0032】
先ず、血液浄化装置が監視している静脈圧(静脈側血液回路のエアトラップチャンバにおける空気層の圧力に基づき検出される静脈圧)が予め定めた範囲を超える(上限値又は下限値を超える)ことにより警報が発生した場合について説明する。
血液浄化装置が監視している静脈圧が予め定めた範囲を超えることにより警報が発生すると、表示手段2の画面が、図3で示すような主警報画面Aに自動的に切り換えられる。かかる主警報画面Aは、同図に示すように、警報の発生の理由(この場合、静脈圧が設定範囲を超えたことを理由とする)を文字にて表示するとともに、警報が発生する前になされていた種々情報の表示(静脈圧、透析液圧、除水量積算、除水量設定、除水速度、IP速度(注入ポンプ7によるシリンジからの持続注入速度)、透析液温度、透析液流量等の表示、及び透析装置の運転若しくは停止、又は返血を行わせるためのスイッチ部の表示)が継続してなされるようになっている。
【0033】
そして、主警報画面Aにおける「詳細」なる表示がなされたスイッチ部を触れて入力操作すると、表示手段2による表示が、図4に示すような詳細警報画面A1に切り換えられることとなる。かかる詳細警報画面A1は、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるもので、本実施形態においては、警報の理由として考え得る事項を示す理由説明部8と、警報の発生原因の追求に必要な確認項目を表示する確認項目部9と、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値(この場合、静脈圧の異常に関する警報である故、静脈圧のモニタ値)を示すモニタ値部10と、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフ(この場合、静脈圧の異常に関する警報である故、静脈圧の推移を示すグラフ)を示すグラフ部11とが表示されるようになっている。
【0034】
しかるに、上記の如く詳細警報画面A1にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報(具体的には、理由説明部8、確認項目部9、モニタ値部10及びグラフ部11)を同一画面に併せて表示させることにより、警報に関連する複数種類の情報を同時に視認させて多面的に把握させることができ、医師等医療従事者による警報の発生原因の追及を容易に行わせることができる。なお、詳細警報画面A1にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を同一画面に併せて表示させるものであれば、理由説明部8、確認項目部9、モニタ値部10及びグラフ部11の何れかを任意組み合わせて選択的に表示させるもの、或いは当該理由説明部8、確認項目部9、モニタ値部10及びグラフ部11に加えて警報に関連する他の種類の情報を表示させるものとしてもよい。
【0035】
さらに、詳細警報画面A1には、上記理由説明部8、確認項目部9、モニタ値部10及びグラフ部11に加え、警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部12が表示される。同図に示す操作用スイッチ部12は、警報の発生原因の解消の有無に関わらず一定時間警報を停止させる操作が可能なスイッチ部から成るものとされ、当該操作用スイッチ部12を操作して警報を一時的に停止させた後、警報が発生した原因の追求や当該原因の追及に必要な対処を行わせることができるようになっている。
【0036】
このように、詳細警報画面A1は、警報の理由として考え得る理由を示す理由説明部8や警報の発生原因の追求に必要な確認項目(確認項目部9)の表示に加え、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値(モニタ値部10)、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフ(グラフ部11)を表示させるので、警報に関連する異なる種類の情報を複数同時に表示することができ、警報の発生原因の追及をより正確に行わせることができる。特に、操作用スイッチ部12は、警報の発生原因の解消の有無に関わらず一定時間警報を停止させる操作が可能なスイッチ部から成るので、一時的な警報解除のための操作をより早急に行わせることができる。
【0037】
次に、注入ポンプ7に対する誤設定により警報が発生した場合について説明する。
注入ポンプ7に対する誤設定により警報が発生すると、表示手段2の画面が、図5で示すような主警報画面Aに自動的に切り換えられる。かかる主警報画面Aは、同図に示すように、警報の発生の理由(この場合、IPシリンジ(シリンジ)がセットされていない、IP電源が「切」(すなわち、オフ)の状態、或いはIP速度(注入ポンプ7によるシリンジからの持続注入速度)の設定がなされていない旨)を文字にて表示するとともに、警報が発生する前になされていた種々情報の表示(静脈圧、透析液圧、除水量積算、除水量設定、除水速度、IP速度(注入ポンプ7によるシリンジからの持続注入速度)、透析液温度、透析液流量等の表示、及び透析装置の運転若しくは停止、又は返血を行わせるためのスイッチ部の表示)が継続してなされるようになっている。
【0038】
そして、主警報画面Aにおける「詳細」なる表示がなされたスイッチ部(例えば、「IP速度が設定されていません」なる文字表示がなされたスイッチ部)を触れて入力操作すると、表示手段2による表示が、図6に示すような詳細警報画面A2に切り換えられることとなる。かかる詳細警報画面A2は、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるもので、本実施形態においては、警報の理由として考え得る事項を示す理由説明部13と、警報の発生原因の追求に必要な確認項目を表示する確認項目部14と、血液浄化治療に関わる設定値(この場合、IP速度に関する警報である故、IP速度の設定値)を示す設定値部15とが表示されるようになっている。
【0039】
しかるに、上記の如く詳細警報画面A2にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報(具体的には、理由説明部13、確認項目部14及び設定値部15)を同一画面に併せて表示させることにより、警報に関連する複数種類の情報を同時に視認させて多面的に把握させることができ、医師等医療従事者による警報の発生原因の追及を容易に行わせることができる。なお、詳細警報画面A2にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を同一画面に併せて表示させるものであれば、理由説明部13、確認項目部14及び設定値部15に加えて警報に関連する他の種類の情報を表示させるものとしてもよい。
【0040】
さらに、詳細警報画面A2には、上記理由説明部13、確認項目部14及び設定値部15に加え、警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部16が表示される。同図に示す操作用スイッチ部16は、警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成るものとされ、当該操作用スイッチ部16を操作することにより、例えばIP使用しない(すなわち、シリンジによる抗凝固剤等の持続注入を行わない)旨の設定の変更を行わせ、警報の解消を図ることができる。なお、操作用スイッチ部は、警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成るものであれば足り、例えば血流量や透析液流量等の設定値を変更し得るものとしてもよい。
【0041】
このように、詳細警報画面A1は、警報の理由として考え得る事項を示す理由説明部13や警報の発生原因の追求に必要な確認項目(確認項目部14)の表示に加え、血液浄化治療に関わる設定値(設定値部15)を表示させるので、警報に関連する異なる種類の情報を複数同時に表示することができ、警報の発生原因の追及をより正確に行わせることができる。特に、操作用スイッチ部16は、警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成るので、警報解除のための操作をより早急に行わせることができる。
【0042】
次に、血液浄化装置の運転が停止して警報が発生した場合について説明する。
血液浄化装置の運転が停止して警報が発生すると、表示手段2の画面が、図7で示すような主警報画面Aに自動的に切り換えられる。かかる主警報画面Aは、同図に示すように、警報の発生の理由(この場合、バイパスコネクタがコネクタ受け(コネクタ受け5)にある、透析停止(すなわち、透析治療が停止)を文字にて表示するとともに、警報が発生する前になされていた種々情報の表示(静脈圧、透析液圧、除水量積算、除水量設定、除水速度、IP速度(注入ポンプ7によるシリンジからの持続注入速度)、透析液温度、透析液流量等の表示、及び透析装置の運転若しくは停止、又は返血を行わせるためのスイッチ部の表示)が継続してなされるようになっている。
【0043】
そして、主警報画面Aにおける「詳細」なる表示がなされたスイッチ部(例えば、「バイパスコネクタがコネクタ受けに有ります」なる文字表示がなされたスイッチ部)を触れて入力操作すると、表示手段2による表示が、図8に示すような詳細警報画面A3に切り換えられることとなる。かかる詳細警報画面A3は、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるもので、本実施形態においては、警報の理由として考え得る事項を示す理由説明部17と、警報の発生原因の追求に必要な確認項目を表示する確認項目部18と、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像19とが表示されるようになっている。画像19は、例えば血液浄化装置(透析装置)全体を画像にて表示させ、警報の発生原因又は当該警報の発生原因の追及に関わる部位の特定及び詳細を視認させ得るもので、静止画像或いは動画の何れであってもよい。
【0044】
しかるに、上記の如く詳細警報画面A3にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報(具体的には、理由説明部17、確認項目部18及び画像19)を同一画面に併せて表示させることにより、警報に関連する複数種類の情報を同時に視認させて多面的に把握させることができ、医師等医療従事者による警報の発生原因の追及を容易に行わせることができる。なお、詳細警報画面A3にて、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を同一画面に併せて表示させるものであれば、理由説明部17、確認項目部18及び画像19に加えて警報に関連する他の種類の情報を表示させるものとしてもよい。
【0045】
このように、詳細警報画面A1は、警報の理由として考え得る事項を示す理由説明部17や警報の発生原因の追求に必要な確認項目(確認項目部18)の表示に加え、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像19を表示させるので、警報に関連する異なる種類の情報を複数同時に表示することができ、警報の発生原因の追及や当該警報の発生原因に対する対処をより正確に行わせることができる。特に、詳細警報画面A1の表示には、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像を含むので、当該確認項目又は対処方法を視覚的に把握させることができ、警報の発生原因の追及に必要な確認や対処方法をより容易且つ正確に行わせることができる。
【0046】
本実施形態によれば、表示手段2は、警報の発生に伴って表示される警報画面αを含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面α(本実施形態においては詳細警報画面)は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させるので、医師等医療従事者に対して警報に関する情報を多面的に把握させることができ、警報の発生原因の追及を容易且つ早急に行わせることができる。なお、本実施形態によれば、警報画面において、警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させる一方、警報に関連しない他の情報を表示させないようにすることで、当該警報の発生原因の追及や対処に作業者の意識を集中させることができる。
【0047】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば表示手段の画面は専ら表示のみを行わせるものとし、当該画面近傍にメカ的なスイッチ等が配設されて入力操作可能なものとしてもよい。但し、本実施形態の如く表示手段2は、画面の所望位置に表示されるスイッチ部を触れることにより所定の入力が可能なタッチパネルから成るとともに、警報画面は、警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部が表示されるものとすれば、表示手段とは別個の操作手段を不要とすることができ、血液浄化装置の構成を簡素化することができる。
【0048】
また、警報画面αにおける主警報画面を省略して警報が発生すると詳細警報画面が直接切り換え表示されるようにしてもよく、或いは警報画面にて表示されるものとして、警報の発生回数等他の表示を加えるようにしてもよい。また、警報画面は、上記実施形態の如き表示と共に、警報の発生原因に対する対処のための操作を行い得る操作画面に切り換え可能とされたショートカット用スイッチ部を表示するものとしてもよい。この場合、表示手段2の切り換え操作に不慣れな者であっても警報解除のための操作画面に円滑に切り換えさせることができる。
【0049】
さらに、警報画面における警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報の表示は、患者に合わせて個々に設定可能とすることができる。例えば、体動が激しい患者や静脈圧が常時高い或いは低い患者に対し、警報画面において、その患者固有の事情に合わせた変更(表示の種類や各表示のレイアウトや大きさ等を患者に合わせて変更)を行わせることができるのである。この場合、患者毎の事情に合致した警報画面を表示させることができる。
【0050】
また、本実施形態においては、血液透析(HD)における血液透析装置に適用しているが、これに代えて他の血液浄化治療(例えば、血液透析濾過(HDF)、血液濾過(HF)又は持続緩徐式血液濾過(CHF)等の治療)を施すことが可能な血液浄化装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
表示手段は、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させる血液浄化装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 透析装置本体
2 表示手段(タッチパネル)
3 血液ポンプ
4 補液ポンプ
5 バイパスコネクタ受け
6 気泡検出器
7 注入ポンプ
8 理由説明部
9 確認項目部
10 モニタ値部
11 グラフ部
12 操作用スイッチ部
13 理由説明部
14 確認項目部
15 設定値部
16 操作用スイッチ部
17 理由説明部
18 確認項目部
19 画像
α 警報画面
A1 警報画面(主警報画面)
A2 警報画面(詳細警報画面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外循環する患者の血液を浄化して血液浄化治療するとともに、当該血液浄化治療に関わる表示を行わせる表示手段を具備した血液浄化装置において、
前記表示手段は、警報の発生に伴って表示される警報画面を含む複数の画面を切り換えて表示可能とされるとともに、当該警報画面は、その警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報を併せて表示させることを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
前記警報画面は、警報の発生原因の追求に必要な確認項目の表示に加え、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの数値、血液浄化治療に関わる監視対象のパラメータの推移を示すグラフ、血液浄化治療に関わる設定値の少なくとも何れか1つを表示させることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記警報画面の表示には、警報の発生原因の追求に必要な確認項目又は当該警報の発生原因に対する対処方法を示すための画像を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記表示手段は、画面の所望位置に表示されるスイッチ部を触れることにより所定の入力が可能なタッチパネルから成るとともに、前記警報画面は、前記警報の発生原因に対する対処のための操作が可能な操作用スイッチ部が表示されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記操作用スイッチ部は、警報の発生原因の解消の有無に関わらず一定時間警報を停止させる操作が可能なスイッチ部から成ることを特徴とする請求項4記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記操作用スイッチ部は、前記警報の発生原因に対する対処を直接行わせる操作が可能なスイッチ部から成ることを特徴とする請求項4記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記警報画面は、前記警報の発生原因に対する対処のための操作を行い得る操作画面に切り換え可能とされたショートカット用スイッチ部が表示されることを特徴とする請求項4記載の血液浄化装置。
【請求項8】
前記警報画面における警報の発生原因の追及に必要な複数の種類の情報の表示は、患者に合わせて個々に設定可能とされたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1つに記載の血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254252(P2012−254252A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130280(P2011−130280)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】