説明

血清アミロイドPの肺および鼻への送達

本開示は、血清アミロイドPを呼吸器系に送達するための方法に関する。呼吸器送達に適したSAPを含む薬学的組成物もまた、提供される。SAPの薬学的組成物が提供され、これは、気道への投与に適切である。液体組成物は、約0.1mg/ml〜約200mg/mlのSAPを含む一方で、固体組成物は、約1%〜約100% w/wのSAPを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約0.5mg/ml〜約100mg/ml、約1mg/ml〜約50mg/ml、もしくは約1〜約10mg/mlを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約10%〜約100%、約20%〜約90%、約30%〜約80%、もしくは約40%〜約70% w/wのSAPを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本開示は、呼吸器系への血清アミロイドPの送達のための方法に関する。呼吸器送達に適したSAPを含む薬学的組成物もまた、提供される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
線維症は、修復もしくは反応プロセスとしての、器官もしくは組織における過剰な線維性結合組織、過剰な細胞外マトリクス(ECM)、過剰な瘢痕化、もしくは過剰なコラーゲン沈着の形成もしくは発達によって特徴付けられる状態である。肺線維症は、瘢痕が肺の間質(もしくは実質)組織に生じることによる疾患の群を説明する。この組織は、気嚢もしくは肺胞を支持し、肺線維症の間に、これら気嚢は、線維性組織によって置換され、上記組織が再構築されて、肺が酸素を血流へ運ぶ能力の低下を引き起こす。この厳しい疾患は、肺の進行性の構造的リモデリングを引き起こし、臨床的には、例えば、息切れ、慢性的な咳、運動耐性の低下および全身的な疲労が増すことによって特徴付けられる。上記疾患は、数年かけて進行し得るか、または非常に急激に進行し得、患者の衰弱、呼吸不全および最終的には死を生じる。肺内の線維症の発生は、慢性炎症性気道疾患(例えば、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気腫)に罹患した患者、および常習的な喫煙者において生じ得る。
【0003】
慢性喘息は、長期間の持続する喘息応答の結果としての、肺内の構造的変化によって特徴付けられる別の線維性障害である。上記構造的変化としては、気道平滑筋の肥大および過形成、上皮下基底膜へのコラーゲン沈着、杯細胞の過形成、気道粘膜の肥厚化、および線維症が挙げられる。慢性喘息の間の組織リモデリングは、経時的に肺機能の進行性の喪失をもたらす気道閉塞を生じる。
【0004】
線維性障害を処置するために現在利用可能な処置としては、一般的な免疫抑制薬(例えば、コルチコステロイド)、および他の抗炎症処置が挙げられる。しかし、線維症の調節に関与する機構は、炎症の調節に関与する機構とは異なるようであり、抗炎症治療は、線維症を軽減もしくは予防することにおいてほとんど有効でない。
【0005】
最近になって、血清アミロイドP(SAP)タンパク質が、線維症を含む障害を処置するための治療剤として提唱されてきた(例えば、米国特許出願第20070243163号を参照のこと)。SAPは、円盤様分子に非共有結合的に会合している5つの同一のサブユニットもしくはプロトマーから構成される、哺乳動物に天然に存在する血清タンパク質である。SAPは、IgGのFcレセプター(FcγR)に結合し、それによって、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体、および/もしくは造血単球前駆体分化の阻害性シグナルを提供する。
【0006】
線維性組織(例えば、肺中の)にSAPを効率的に標的化するための処置を開発することが未だに必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、広く、気道に影響を及ぼす種々の障害を処置するための組成物、エアロゾル化組成物および方法に関する。SAPの固体および液体のエアロゾル化可能な組成物がともに提供され、これらは、SAP応答性障害(例えば、線維症および過敏性障害を処置することにおいて有用である。
【0008】
SAPの薬学的組成物が提供され、これは、気道への投与に適切である。液体組成物は、約0.1mg/ml〜約200mg/mlのSAPを含む一方で、固体組成物は、約1%〜約100% w/wのSAPを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約0.5mg/ml〜約100mg/ml、約1mg/ml〜約50mg/ml、もしくは約1〜約10mg/mlを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約10%〜約100%、約20%〜約90%、約30%〜約80%、もしくは約40%〜約70% w/wのSAPを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、ヒトへの投与に適している。いくつかの実施形態において、上記組成物は、本質的に発熱物質を含まない。いくつかの実施形態において、上記組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含む。いくつかの実施形態において、上記薬学的に受容可能なキャリアは、滅菌水である。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、脂質を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約0.1%〜約2% NaClを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、1mg/mlのSAPおよび0.9% NaClを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約1mM〜約20mM リン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約1mM〜約20mM リン酸ナトリウムおよび1〜10% ソルビトールを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、1mg/mlのSAPおよび10mMのリン酸ナトリウムおよび5% ソルビトールを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、20mg/mlのSAPおよび10mMのリン酸ナトリウムおよび5% ソルビトールを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、SAPおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、呼吸器系への送達に適した乾燥粉末である。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、SAPおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む生分解性ミクロ粒子を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記組成物のうちのいずれも、エアロゾル化される。上記エアロゾルは、上記呼吸器系への投与に適している。いくつかの実施形態において、上記エアロゾル粒子は、約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径(mass median aerodynamic diameter)を有する。いくつかの実施形態において、上記エアロゾル粒子は、約1〜約5ミクロンの質量中央径(mass median diameter)を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、適切な吸入デバイス(例えば、定量吸入器);乾燥粉末吸入器、鼻送達デバイス;もしくはネブライザでエアロゾル化される。いくつかの実施形態において、キットが提供され、上記キットは、上記組成物のうちのいずれかおよび適切な吸入デバイスを含む。いくつかの実施形態において、吸入デバイスが提供され、これは、上記組成物のうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態において、上記吸入デバイスは、定量吸入器;乾燥粉末吸入器、鼻送達デバイス;またはジェットネブライザ、超音波ネブライザ、加圧式ネブライザもしくは振動多孔質板ネブライザから選択される。
【0015】
SAPを患者に投与するための方法が提供され、上記方法は、本明細書に記載されるSAPの薬学的組成物のうちのいずれかの治療上有効な量をエアロゾル化する工程を包含する。上記方法は、SAPを患者の呼吸器系へ送達するのに適している。上記方法は、上記呼吸器系へのSAP投与から利益を得る任意の状態もしくは障害を処置するために有用である。
【0016】
いくつかの実施形態において、患者における呼吸器線維症を処置するための方法が提供され、上記方法は、その必要性がある患者に、治療上有効な量の、本明細書に記載されるSAPの薬学的組成物のうちのいずれかを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記呼吸器線維症は、肺線維症、特発性肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、および慢性喘息から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、患者における呼吸器過敏障害を処置するための方法が提供され、上記方法は、その必要性がある患者に、治療上有効な量の、本明細書に記載されるSAPの薬学的組成物のうちのいずれかを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記呼吸器過敏障害は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、およびアレルギー性喘息から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ブレオマイシン誘発性肺線維症に対する鼻内SAP投与の効果を示す。ヒドロキシプロリンの%変化として測定される総肺コラーゲンを、線維症のマーカーとして使用した。マウスにおけるSAPの鼻内投与は、コントロール処置と比較した場合に、肺線維症の顕著な低下を引き出す。
【図2】図2は、霧状にした、緩衝液中20mg/mLのSAPのSE−HPLCを示す。
【図3】図3は、霧状にした、緩衝液中1mg/mLのSAPのSE−HPLCを示す。
【図4】図4は、霧状にした、0.9% NaCl中1mg/mLのSAPのSE−HPLCを示す。
【図5】図5は、外因性SAPによる治療が、真菌喘息モデルにおいて確立された気道過剰反応性を予防し、改善したことを示す。A.fumigatusで感作し、分生子でチャレンジしたC57BL/6マウスに、分生子の0〜15日後(A)もしくは分生子の15−30日後(B)に1日おきに、腹腔内(ip)注射を介してPBS、もしくはhSAPを与え、気道抵抗性を、侵襲性気道抵抗性分析(Buxco)を使用して、メタコリンチャレンジ後に測定した。データは、平均値±SEM(n=5マウス/群)である。適切な処置群におけるベースライン気道抵抗性と比較して、*P<0.05、***P<0.001。
【図6−1】図6は、単離し、かつaspergillus抗原で刺激し(simulated)、hSAPを用いてインビトロで処理した細胞に由来する脾細胞培養物でのサイトカイン生成を示す。脾細胞を、気管内分生子チャレンジの15日後(A)および30日後(B)に動物から単離した。動物を、上記モデルの続く2週間にわたって、インビボで、hSAP(8mg/kg,q2d,鼻内;黒塗りの棒)もしくはPBSコントロール(q2d,鼻内;白抜きの棒)で処置した。サイトカインを、標準的技術を使用してELISAによって測定した。
【図6−2】図6は、単離し、かつaspergillus抗原で刺激し(simulated)、hSAPを用いてインビトロで処理した細胞に由来する脾細胞培養物でのサイトカイン生成を示す。脾細胞を、気管内分生子チャレンジの15日後(A)および30日後(B)に動物から単離した。動物を、上記モデルの続く2週間にわたって、インビボで、hSAP(8mg/kg,q2d,鼻内;黒塗りの棒)もしくはPBSコントロール(q2d,鼻内;白抜きの棒)で処置した。サイトカインを、標準的技術を使用してELISAによって測定した。
【図6−3】図6は、単離し、かつaspergillus抗原で刺激し(simulated)、hSAPを用いてインビトロで処理した細胞に由来する脾細胞培養物でのサイトカイン生成を示す。脾細胞を、気管内分生子チャレンジの15日後(A)および30日後(B)に動物から単離した。動物を、上記モデルの続く2週間にわたって、インビボで、hSAP(8mg/kg,q2d,鼻内;黒塗りの棒)もしくはPBSコントロール(q2d,鼻内;白抜きの棒)で処置した。サイトカインを、標準的技術を使用してELISAによって測定した。
【図6−4】図6は、単離し、かつaspergillus抗原で刺激し(simulated)、hSAPを用いてインビトロで処理した細胞に由来する脾細胞培養物でのサイトカイン生成を示す。脾細胞を、気管内分生子チャレンジの15日後(A)および30日後(B)に動物から単離した。動物を、上記モデルの続く2週間にわたって、インビボで、hSAP(8mg/kg,q2d,鼻内;黒塗りの棒)もしくはPBSコントロール(q2d,鼻内;白抜きの棒)で処置した。サイトカインを、標準的技術を使用してELISAによって測定した。
【図7A】図7は、肺流入領域リンパ節(AおよびB)もしくは脾細胞培養物(C)におけるFoxP3発現を示す。AおよびBは、PBS(コントロール)で処置した動物、もしくはSAP(+SAP)で処置した動物から15日目に採取し、FoxP3に対して染色した肺の流入領域リンパ節に由来する。Cは、24時間にわたってSAPのインビトロでの存在下もしくは非存在下(0.1〜10μg/ml)で、Aspergillus抗原で、インビトロで刺激した脾細胞培養物に由来する。総FoxP3発現を、リアルタイムRT−PCRを使用して定量した。
【図7B】図7は、肺流入領域リンパ節(AおよびB)もしくは脾細胞培養物(C)におけるFoxP3発現を示す。AおよびBは、PBS(コントロール)で処置した動物、もしくはSAP(+SAP)で処置した動物から15日目に採取し、FoxP3に対して染色した肺の流入領域リンパ節に由来する。Cは、24時間にわたってSAPのインビトロでの存在下もしくは非存在下(0.1〜10μg/ml)で、Aspergillus抗原で、インビトロで刺激した脾細胞培養物に由来する。総FoxP3発現を、リアルタイムRT−PCRを使用して定量した。
【図7C】図7は、肺流入領域リンパ節(AおよびB)もしくは脾細胞培養物(C)におけるFoxP3発現を示す。AおよびBは、PBS(コントロール)で処置した動物、もしくはSAP(+SAP)で処置した動物から15日目に採取し、FoxP3に対して染色した肺の流入領域リンパ節に由来する。Cは、24時間にわたってSAPのインビトロでの存在下もしくは非存在下(0.1〜10μg/ml)で、Aspergillus抗原で、インビトロで刺激した脾細胞培養物に由来する。総FoxP3発現を、リアルタイムRT−PCRを使用して定量した。
【図8A】図8は、IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を示す。マウスをインビボで、Aspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15〜30日目にコントロール(PBS,ip,2qd,白抜きの棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺し、A.総肺IL−10を、luminexによって測定し、B〜E.単一脂肪である脾細胞培養物を、SAPの存在下もしくは非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原で、インビトロで刺激し、無細胞上清を、特異的ELISAによって、B.IL−10タンパク質レベルについて、C.IL−4タンパク質レベルについて、D.IL−5タンパク質レベルについておよびE.IFN−γタンパク質レベルについて評価した。SAP処置動物(15〜30日目にip,2qd)は、喘息コントロール(15〜30日目にPBS,ip,q2d)と比較して、肺におけるIL10レベルが増大し、ネイティブの非アレルギーの肺に匹敵した。さらに、抗原リコール応答が低下した。このことは、T調節性細胞の数および/もしくは機能の増強を示す。
【図8B】図8は、IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を示す。マウスをインビボで、Aspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15〜30日目にコントロール(PBS,ip,2qd,白抜きの棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺し、A.総肺IL−10を、luminexによって測定し、B〜E.単一脂肪である脾細胞培養物を、SAPの存在下もしくは非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原で、インビトロで刺激し、無細胞上清を、特異的ELISAによって、B.IL−10タンパク質レベルについて、C.IL−4タンパク質レベルについて、D.IL−5タンパク質レベルについておよびE.IFN−γタンパク質レベルについて評価した。SAP処置動物(15〜30日目にip,2qd)は、喘息コントロール(15〜30日目にPBS,ip,q2d)と比較して、肺におけるIL10レベルが増大し、ネイティブの非アレルギーの肺に匹敵した。さらに、抗原リコール応答が低下した。このことは、T調節性細胞の数および/もしくは機能の増強を示す。
【図8C】図8は、IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を示す。マウスをインビボで、Aspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15〜30日目にコントロール(PBS,ip,2qd,白抜きの棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺し、A.総肺IL−10を、luminexによって測定し、B〜E.単一脂肪である脾細胞培養物を、SAPの存在下もしくは非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原で、インビトロで刺激し、無細胞上清を、特異的ELISAによって、B.IL−10タンパク質レベルについて、C.IL−4タンパク質レベルについて、D.IL−5タンパク質レベルについておよびE.IFN−γタンパク質レベルについて評価した。SAP処置動物(15〜30日目にip,2qd)は、喘息コントロール(15〜30日目にPBS,ip,q2d)と比較して、肺におけるIL10レベルが増大し、ネイティブの非アレルギーの肺に匹敵した。さらに、抗原リコール応答が低下した。このことは、T調節性細胞の数および/もしくは機能の増強を示す。
【図8D】図8は、IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を示す。マウスをインビボで、Aspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15〜30日目にコントロール(PBS,ip,2qd,白抜きの棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺し、A.総肺IL−10を、luminexによって測定し、B〜E.単一脂肪である脾細胞培養物を、SAPの存在下もしくは非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原で、インビトロで刺激し、無細胞上清を、特異的ELISAによって、B.IL−10タンパク質レベルについて、C.IL−4タンパク質レベルについて、D.IL−5タンパク質レベルについておよびE.IFN−γタンパク質レベルについて評価した。SAP処置動物(15〜30日目にip,2qd)は、喘息コントロール(15〜30日目にPBS,ip,q2d)と比較して、肺におけるIL10レベルが増大し、ネイティブの非アレルギーの肺に匹敵した。さらに、抗原リコール応答が低下した。このことは、T調節性細胞の数および/もしくは機能の増強を示す。
【図8E】図8は、IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を示す。マウスをインビボで、Aspergillus fumigatusで感作およびチャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15〜30日目にコントロール(PBS,ip,2qd,白抜きの棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺し、A.総肺IL−10を、luminexによって測定し、B〜E.単一脂肪である脾細胞培養物を、SAPの存在下もしくは非存在下で、Aspergillus fumigatus抗原で、インビトロで刺激し、無細胞上清を、特異的ELISAによって、B.IL−10タンパク質レベルについて、C.IL−4タンパク質レベルについて、D.IL−5タンパク質レベルについておよびE.IFN−γタンパク質レベルについて評価した。SAP処置動物(15〜30日目にip,2qd)は、喘息コントロール(15〜30日目にPBS,ip,q2d)と比較して、肺におけるIL10レベルが増大し、ネイティブの非アレルギーの肺に匹敵した。さらに、抗原リコール応答が低下した。このことは、T調節性細胞の数および/もしくは機能の増強を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
(概観)
エアロゾル化薬物の送達は、全身的薬物送達と比較して、特定の利点(例えば、安全性および効力)を提供する。例えば、上記薬物は、標的領域に直接送達されるので、その治療効果を確認するために必要とされるエアロゾル化薬物の量は、代表的には、上記全身的投与より低い。なぜなら、上記全身的投与は、上記処置が必要とされる器官のみではなく、身体全体に薬物の送達をもたらすはずだからである。さらに、全身的送達が回避されるので、望ましくない二次的作用もないか、もしくは少ない。最後に、エアロゾル化薬物の送達は、静脈内全身投与と比較して患者コンプライアンスを増大させ得る。
【0020】
これら利点の全てにも拘わらず、全身的処置に代えてのエアロゾル化薬物の送達による試みは、部分的成功を経験したに過ぎなかった。なぜなら、いくつかの薬物は、肺が十分に許容しないか、そして/または効率的にエアロゾル化されないからである。
【0021】
本開示は、血清アミロイドP(SAP)タンパク質の吸入が、効率的な送達法であるという発見に一部基づく。実施例は、SAPの鼻内投与が、アレルギー性気道疾患モデルにおいて肺線維症を効率的に処置することを見いだしたことを実証する。本開示はまた、上記SAPタンパク質が、従来のネブライザによってエアロゾル化され得ることを実証する。
【0022】
本開示は、とりわけ、患者の呼吸器系へのSAPの送達のための組成物および方法を提供する。SAPのエアロゾル化投与は、上記タンパク質を標的部位へ直接送達する一方で、全身的なバイオアベイラビリティーを最小限にする。鼻および肺送達システムは、当該分野で周知であり、任意の適切な吸入デバイスが、SAPを投与するために使用され得る。SAPの呼吸器投与は、SAPの生物学的効果から利益を得る任意の状態もしくは障害を処置するために使用され得る。
【0023】
(定義)
冠詞「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」は、上記冠詞の文法的対象物の1つもしくは1つより多い(即ち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。
【0024】
用語「含む、包含する(comprise)」および「含む、包含する(comprising)」は、さらなる要素が含まれ得ることを意味する包括的な開放系の意味で使用される。
【0025】
用語「含む、包含する(including)」は、語句「〜が挙げられるが、〜に限定されない(including but not limited to)」を意味するために本明細書で使用され、この語句と交換可能に使用される。
【0026】
用語「もしくは、または、あるいは)(or)」は、文脈が明らかに別のことを示さなければ、用語「および/もしくは(ならびに/または)」を意味するために本明細書で使用され、この語句と交換可能に使用される。
【0027】
用語「例えば、〜(〜のような)(such as)」とは、語句「例えば〜だが、〜に限定されない(such as but not limited to)」を意味するために本明細書で使用され、この語句と交換可能に使用される。
【0028】
「質量中央径」もしくは「MMD」は、分散した粒子の平均サイズの尺度である。MMD値は、任意の従来の方法(例えば、レーザー回折測定法、電子顕微鏡法、および遠心分離沈殿法)によって決定され得る。
【0029】
「空気動力学的質量中央径」もしくは「MMAD」は、分散した粒子の空気動力学的サイズの尺度である。上記空気動力学的径は、その沈降挙動に関するエアロゾル化粉末を記載するために使用され、一般に、空気中で粒子と同じ沈降速度を有する単位密度スフェア(unit density sphere)の直径である。上記空気動力学的径は、粒子形状、粒子の密度および粒子の物理的サイズを包含する。本明細書で使用される場合、MMADとは、カスケードインパクション(cascade impaction)によって決定されるエアロゾル化粉末の空気動力学的粒子サイズ分布の中点もしくはメジアンを指す。
【0030】
MMDおよびMMADは、互いに異なり得、例えば、噴霧乾燥によって生成される中空スフェアは、そのMMADより大きいMMDを有し得る。
【0031】
「肺送達に適した」組成物は、エアロゾル化され得かつ上記エアロゾル化粒子の一部が、肺に達して、肺胞への浸透を可能にするように被験体によって吸入される組成物をいう。このような組成物は、「呼吸できる」もしくは「吸入できる」とみなされる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「処置する」とは、望ましい薬理学的および/もしくは生理学的効果を得ることを指す。上記効果は、障害もしくはその症状を完全にもしくは部分的に防止するという点で予防的であり得、そして/または障害および/もしくは上記障害に起因し得る有害な影響を部分的もしくは完全に治癒させるという点で治療的であり得る。「処置する」とは、以下を包含する:(a)生存時間を増大させること;(b)上記疾患に起因する死亡リスクを低下させること;(c)上記疾患に罹りやすい可能性があるが、上記疾患を有するとは未だ診断されていない上記疾患が被験体に発生しないようにすること;(d)上記疾患を阻害すること(すなわち、その発症を止める(例えば、疾患の進行速度を低下させる);および(e)上記疾患を軽減すること(すなわち、上記疾患の退縮を引き起こすこと)。
【0033】
本明細書で使用される場合、障害もしくは状態を「予防する」組成物とは、統計学的サンプルにおいて、未処置コントロールサンプルに対して、処置されたサンプルにおける上記障害もしくは状態の発生を低下させるか、または上記未処置コントロールサンプルに対して上記障害もしくは状態のうちの1つ以上の症状の発生を遅らせるかもしくはその重篤度を軽減する化合物を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は、交換可能に使用され、哺乳動物(ヒトを含む)を含む動物を指す。用語「哺乳動物」は、霊長類、家畜(イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウマが挙げられる)、自由に移動できない動物(例えば、動物園動物)、および野生動物を含む。
【0035】
(血清アミロイドPの薬学的組成物)
一局面において、本開示は、気道への送達に適したSAPの薬学的組成物を提供する。天然に存在するSAPは、5つのヒトSAPプロトマーを含むペンタマーである。上記ヒトSAPサブユニットの配列は、配列番号1に示される(Genbank受託番号NP_001630のアミノ酸20〜223(シグナル配列は示さない))。
HTDLSGKVFVFPRESVTDHVNLITPLEKPLQNFTLCFRAYSDLSRAYSLFSYNTQGRDNELLVYKERVGEYSLYIGRHKVTSKVIEKFPAPVHICVSWESSSGIAEFWINGTPLVKKGLRQGYFVEAQPKIVLGQEQDSYGGKFDRSQSFVGEIGDLYMWDSVLPPENILSAYQGTPLPANILDWQALNYEIRGYVIIKPLVWV (配列番号1)。
【0036】
用語「SAPプロトマー」とは、Brutlagら(Comp.App.Biosci.,6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定される場合、ヒトSAPプロトマー(配列番号1)に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%もしくは100%同一であるポリペプチドを指すことが意図される。具体的実施形態において、アミノ酸アラインメントの%同一性および類似性を計算するために使用されるパラメーターは、以下を含む:マトリクス=PAM 150、k−タプル=2、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=20、無作為化群の長さ(Randomization Growp Length)=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティ=5およびギャップサイズペナルティ=0.05。用語「SAPプロトマー」は、上記のうちのいずれかを含む機能的フラグメントおよび融合タンパク質を包含する。一般に、SAPプロトマーは、生物学的に関連する温度、pHレベルおよび容量オスモル濃度において水溶液中に溶解性であるように設計される。一緒に非共有結合して、SAPを形成する上記プロトマーは、同一のアミノ酸配列および/もしくは翻訳後修飾を有し得るか、または代わりに、個々のプロトマーは、異なる配列および/もしくは改変を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、SAP、もしくはその機能的フラグメントを含む薬学的組成物が提供される。いくつかの実施形態において、SAP改変体を含む薬学的組成物が提供される。いくつかの局面において、上記SAP改変体のアミノ酸配列は、1つ以上の非保存的置換だけ配列番号1とは異なり得る。他の局面において、SAP改変体のアミノ酸配列は、1つ以上の保存的置換だけ配列番号1とは異なり得る。本明細書で使用される場合、「保存的置換」とは、その対応する参照残基に物理的もしくは機能的に類似する残基である。すなわち、保存的置換およびその参照残基は、類似のサイズ、形状、電荷、化学的特性(共有結合もしくは水素結合を形成する能力を含む)などを有する。好ましい保存的置換は、Dayhoffら(Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352(1978および補遺))における許容される点変異について規定される基準を満たすものである。保存的置換の例は、以下の群内の置換である:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸;(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン;および(h)フェニルアラニン、チロシン。そのアミノ酸変化が表現型でサイレントである可能性があることに関するさらなるガイダンスは、Bowieら,Science 247:1306−1310(1990)に見いだされ得る。
【0038】
生物学的機能を保持するSAPの改変体およびフラグメントは、本明細書に記載される薬学的組成物および方法において有用である。いくつかの実施形態において、SAPの改変体もしくはフラグメントは、FcγRI、FcγRIIA、および/もしくはFcγRIIIBを結合する。いくつかの実施形態において、SAPの改変体もしくはフラグメントは、線維細胞分化、線維細胞前駆体分化、筋線維芽細胞前駆体分化、および/もしくは造血単球前駆体分化のうちの1つ以上を阻害する。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、ヒトSAPを含む。
【0040】
SAPの呼吸器送達に適した薬学的組成物は、固体形態もしくは液体形態のいずれかで調製され得る。SAPを含む適切な薬学的組成物は、公報番号20070065368(これは、本明細書に参考として援用される)に記載されている。例示的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア、および必要に応じて、他の治療成分とともに、SAPを含む。上記キャリア(複数可)は、上記組成物の他の成分と適合性でありかつ上記被験体において受容しがたい有害な作用を誘発しないという意味で、「薬学的に受容可能」でなければならない。このようなキャリアは、本明細書に記載されているか、さもなければ、薬理学の当業者に周知である。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、発熱物質を含まず、ヒト患者への投与に適している。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、刺激がなく、ヒト患者への投与に適している。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、アレルゲンを含まず、ヒト患者への投与に適している。上記組成物は、薬学分野で周知の方法のうちのいずれかによって調製され得る。
【0041】
エアロゾルもしくはスプレーを生成するための液体の薬学的組成物は、SAPと、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、滅菌した発熱物質非含有の水もしくはアレルゲンを含まない水)とを組み合わせることによって、調製され得る。液体組成物は、代表的には、生理学的投与(例えば、肺投与もしくは鼻投与)と適合性のpHを有する。いくつかの実施形態において、上記液体組成物は、約3〜約7、もしくは約4〜約6の範囲のpHを有する。液体組成物はまた、代表的には、生理学的投与(例えば、肺投与もしくは鼻投与)と適合性の重量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態において、上記液体組成物は、約90mOsmol/kg〜約500mOsmol/kg、120mOsmol/kg〜約500mOsmol/kg、もしくは約150mOsmol/kg〜約300mOsmol/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、液体組成物は、約0.5〜約100mg/ml、約1〜約50mg/ml、もしくは約10〜約30mg/mlのSAPを含む。いくつかの実施形態において、液体組成物は、約1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、もしくは50mg/mlのSAPを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、SAPを含む液体組成物は、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約2%、もしくは約0.9% NaClをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、SAPを含む液体組成物は、約0.1〜約50mM、約1〜20mM、もしくは約10mMのリン酸ナトリウムをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記SAPを含む液体組成物は、10mM リン酸ナトリウム、5% ソルビトールをさらに含み、pH7.5を有する。
【0046】
SAPの適切な乾燥組成物は、患者の呼吸器系に浸透するに有効なエアロゾル化可能な粒子から構成される。これら乾燥粉末薬学的組成物は、呼吸器送達のために、適切な粒子サイズもしくは適切な粒子サイズ範囲内の乾燥形態にあるSAPを含む。いくつかの実施形態において、上記粒子は、約100μm、50μm、10μm、5μm、4μm、3.5μm、もしくは3μm未満の空気動力学的質量中央径(MMAD)を有する。上記粉末の空気動力学的質量中央径は、特徴的には、約0.1〜10μm、約0.2〜5.0μm、約1.0〜4.0μm、もしくは約1.5〜3.0μmの範囲に及ぶ。
【0047】
乾燥粉末デバイスは、代表的には、単一のエアロゾル化用量(「一吹きの量(puff)」)を生成するために、約1mg〜20mgの範囲にある粉末量(powder mass)を必要とする。上記生物学的に活性な薬剤について必要とされるかもしくは望ましい用量が、この量より少ない場合、上記粉末化活性薬剤は、代表的には、上記必要とされる総粉末量を提供するために、薬学的乾燥増量粉末(pharmaceutical dry bulking powder)と合わせられる。好ましい乾燥増量粉末としては、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、グリシン、トレハロース、ヒト血清アルブミン(HSA)、およびデンプンが挙げられる。他の適切な乾燥増量粉末としては、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸ナトリウム、およびアスコルビン酸ナトリウムが挙げられる、
いくつかの実施形態において、上記乾燥粉末は、約20重量%未満、約10重量%未満、もしくは約5重量%未満の水分含有量を有する。このような低水分含有固体は、パッケージングおよび貯蔵の際に、より大きな安定性を示す傾向にある。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記乾燥粉末は、約10%〜約100% w/wのSAPを含む。いくつかの実施形態において、上記乾燥粉末は、約20%〜約90%、約30%〜約80%、もしくは約40%〜約70% w/wのSAPを含む。
【0049】
呼吸に適する粉末は、種々の従来の技術(例えば、ジェットミリング(jet milling)、噴霧乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体濃縮、凍結乾燥、真空乾燥、風乾、もしくは他の形態の蒸発による乾燥によって生成され得る。上記組成物の噴霧乾燥は、例えば、「Spray Drying Handbook」,第5版,K.Masters,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1991)、ならびにWO 97/41833およびWO 96/32149(これらの内容は、本明細書に参考として援用される)に一般的に記載されるように、行われる。
【0050】
いったん形成されると、上記乾燥粉末組成物は、製造、加工処理、および貯蔵の間に、乾燥(すなわち、比較的低湿度)条件下で維持され得る。使用される乾燥プロセスに関わらず、上記プロセスは、好ましくは、SAPを含む、吸入可能な、非常に分散性の粒子を生じる。
【0051】
SAPを含む薬学的組成物(固体および液体の両方)は、香味剤、味覚マスキング剤、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、甘味剤、抗酸化剤、静電防止剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例えば、「TWEEN 20」および「TWEEN 80」))、ソルビタンエステル、脂質(例えば、リン脂質(例えば、レシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン))、脂肪酸および脂肪エステル、ステロイド(例えば、コレステロール)、およびキレート化剤(例えば、EDTA、亜鉛カチオンおよび他のこのような適切なカチオン)をさらに含み得る。上記組成物における使用に適した他の薬学的賦形剤および/もしくは添加剤としては、ポリビニルピロリドン、セルロースおよび誘導体化セルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース)、フィコール(ポリマー状の糖)、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン(例えば、シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン))、ポリエチレングリコール、およびペクチンが挙げられる。さらなる賦形剤および/もしくは添加剤は、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」,第19版,Williams & Williams,(1995)、および「Physician’s Desk Reference」,第52版,Medical Economics,Montvale,N.J.(1998)(これらはともに、それら全体が本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。
【0052】
SAPの送達を高めるために、組成物はまた、基剤もしくは賦形剤として親水性低分子量化合物を含み得る。このような親水性低分子量化合物は、運搬媒体を提供し、この媒体を介して、SAPが吸収される身体表面に上記基剤を介してSAPが拡散し得る。上記親水性低分子量化合物の分子量は、一般に、10,000Da以下であり、好ましくは、3,000Da以下である。例示的な親水性低分子量化合物としては、ポリオール化合物(例えば、オリゴサッカリド、ジサッカリド、およびモノサッカリド(例えば、スクロース、マンニトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリトロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、D−ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオース)、グリセリンおよびポリエチレングリコール)が挙げられる。キャリアとして有用な親水性低分子量化合物の他の例としては、N−メチルピロリドン、およびアルコール(例えば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)が挙げられる。これら親水性低分子量化合物は、単独で、もしくは互いに組み合わせて、または処方物の他の活性成分もしくは不活性成分と組み合わせて、使用され得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、SAPは、時間放出処方物において(例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物において)投与される。SAPは、迅速な放出から保護するキャリアとともに調製され得る。例としては、放出制御ビヒクル(例えば、ポリマー、ミクロ被包送達系、もしくは生体接着性ゲル)が挙げられる。あるいは、SAPの長期送達は、上記組成物中に吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチン)を含めることによって、達成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、SAPを含む上記薬学的組成物は、脂質をさらに含む。SAPは、リポソーム送達系(例えば、小さなユニラメラ小胞、大きなユニラメラ小胞、およびマルチラメラ小胞)の形態で投与され得る。
【0055】
上記リポソームは、合成脂質、半合成脂質、もしくは天然に存在する脂質(リン脂質、トコフェロール、ステロール、脂肪酸、糖脂質、アニオン性脂質、およびカチオン性脂質が挙げられる)から形成され得る。例示的な脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジン酸;立体的に改変されたホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジル−グリセロール、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジル−エタノールアミン、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴミエリン、およびモノ−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、ミクロ粒子システムは、SAPを上記呼吸器系へ送達するために使用される。上記システムは、SAPおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む生分解性ミクロ粒子を含む。用語「ミクロ粒子」とは、ミクロスフェア(均質なスフェア)、ミクロカプセル(コアおよびポリマーの外挿を有する)、および不規則な形状の粒子を含む。マイクロ粒状薬物の送達システムは、当該分野で周知である。いくつかの実施形態において、薬物の送達は、ミクロ粒子におけるSAPの被包化によって達成される。
【0057】
多くのポリマーのうちのいずれかは、上記ミクロ粒子を形成するために使用され得る。ポリマーは、好ましくは、放出が望まれる期間内でまたはその後比較的すぐに、一般に、1年、より代表的には、数ヶ月、よりさらに代表的には、数日から数週間の範囲で生分解性である。生分解性とは、上記ミクロ粒子の破壊(すなわち、上記ミクロ粒子を形成するポリマーの分離)および/もしくは上記ポリマー自体の破壊のいずれかに言及し得る。いくつかの実施形態において、上記ポリマーは、ジケトピペラジン;ポリ(ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびこれらのコポリマー);ポリ無水物;ポリエステル(例えば、ポリオルトエステル、ポリアミド);ポリカーボネート;ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、およびポリ(エチレンテレフタレート));ポリビニル化合物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、およびポリビニルクロリド);ポリスチレン;ポリシロキサン;アクリル酸およびメタクリル酸のポリマー(ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリウレタンおよびこれらのコポリマーが挙げられる);セルロース(アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、およびセルローススルフェートナトリウム塩が挙げられる);ポリ(吉草酸);およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン);天然ポリマー(アルギネートおよび他のポリサッカリド(デキストランおよびセルロースが挙げられる)が挙げられる);コラーゲン;アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンならびに疎水性タンパク質;これらのコポリマーおよび混合物;生体接着性ポリマー(生体腐食性(bioerodible)ヒドロゲルが挙げられる);ポリヒアルロン酸;カゼイン;ゼラチン;グルチン;ポリ無水物;ポリアクリル酸;アルギネート;キトサン;ならびにポリアクリレートのうちの1種以上から選択される。
【0058】
一局面において、本開示は、SAPを含むエアロゾルを提供する。エアロゾルは、気体(代表的には、空気)中で、代表的には、吸入デバイス(例えば、乾燥粉末吸入器、アトマイザー、定量吸入器、もしくはネブライザ)の作動(もしくは発射)の結果として、懸濁される液体もしくは個体の粒子から構成される。エアロゾルは、SAPの薬学的組成物をエアロゾル化するために、呼吸に適する粒子を生成するために適した任意のデバイスを使用して生成され得る。一般には、水性処方物が、スプレーポンプもしくはネブライザによってエアロゾル化され、プロペラントベースのシステムは、適切な加圧式定量吸入器を使用し、乾燥粉末は、乾燥粉末吸入器デバイスで分散され得る。いくつかの実施形態において、上記エアロゾルは、SAPの液体粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記エアロゾルは、SAPの乾燥粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記エアロゾルは、本明細書に記載される任意の薬学的組成物をエアロゾル化することによって生成される。
【0059】
いくつかの実施形態において、SAP液体薬学的組成物中のSAPのうちの少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、もしくは40重量%が、エアロゾル化される。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記エアロゾル中のSAPのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%が、例えば、SE−HPLCによって決定されるように(実施例2を参照のこと)、モノマー形態にある。
【0061】
エアロゾル化SAPの至適粒子サイズは、標的とされるべき組織に依存する。5ミクロンより大きい粒子は、上部気道に沈着する一方で、約1ミクロンより小さい粒子は、肺胞の中へと送達され、全身の血液循環に移行され得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル化SAP粒子は、約0.05〜約100ミクロン、約1〜約20ミクロン、もしくは約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する。いくつかの実施形態において、エアロゾル化SAP粒子は、約0.05〜約100ミクロン、約1〜約20ミクロン、もしくは約1〜約5ミクロンの質量中央径を有する。小さな空気動力学的直径は、一般に、至適化された乾燥条件、ならびに賦形剤の選択および濃度、当業者に周知のパラメーターの組み合わせによって達成される。
【0062】
いくつかの実施形態において、エアロゾル化されるべき組成物は、プロペラント(例えば、フルオロトリクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、もしくはヒドロフルオロアルカン(例えば、ヒドロフルオロアルカン134a(HFA 134a、1,1,1,2−テトラフルオロエタン)およびヒドロフルオロアルカン227(HFA 227、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン))と混合される。
【0063】
(血清アミロイドPの送達のための吸入デバイス)
当業者が認識するように、多くの従来の方法および装置が、SAPの薬学的組成物を患者の呼吸器系へ投与するために利用可能である。SAPを上記患者の呼吸器系へ送達するのに適した吸入デバイスとしては、例えば、ネブライザ、乾燥粉末吸入器、および鼻スプレーが挙げられる。
【0064】
SAPを含む液体粒子のエアロゾルは、任意の適切な手段によって(例えば、ネブライザで)生成され得る。例えば、米国特許第4,501,729号を参照のこと。ネブライザは、例えば、加圧ガス(代表的には、空気もしくは酸素)の狭いベンチュリ開口部を介する加速によるか、または超音波振動によるかのいずれかで、溶液もしくは懸濁物を治療用エアロゾルミストへと変形させる。
【0065】
代表的なデバイスとしては、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、加圧式エアロゾル生成ネブライザ、および振動多孔質板ネブライザが挙げられる。ジェットネブライザは空気圧を利用して、液体溶液をエアロゾル液滴へと分ける。超音波ネブライザは、液体を小さなエアロゾル液滴へと剪断する圧電結晶によって機能する。加圧式システムは、一般に、小さな粒子を生成するために小さな孔を介して液体を押し出す。振動多孔質板デバイスは、液体の流れを適切な液滴サイズへと剪断変形させるために迅速な振動を利用する。種々の市販のデバイスが、利用可能である。代表的な適切なネブライザとしては、eFlowTM ネブライザ(Pari Inovative Manufactures,Midlothian,Va.から入手可能);iNebTM ネブライザ(West Sussex,United KingdomのProfile Drug Deliveryから入手可能);Omeron MicroAirTM ネブライザ(Chicago,Ill.のOmeron,Inc.から入手可能)およびAeroNebGoTM ネブライザ(Mountain View,Calif.のAerogen Inc.から入手可能)が挙げられる。
【0066】
換気装置で維持されている患者は、米国特許第4,832,012号に記載されるように、上記液体組成物を霧状にし、上記エアロゾルを、上記換気装置の吸入ガスの流れの中へ導入することによって、呼吸に適する粒子のエアロゾルが投与され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記液体薬学的組成物は、鼻スプレーとして患者の呼吸器系へ送達される。例示的デバイスは、米国特許第4,511,069号(本明細書に参考として援用される)において開示されている。上記組成物は、複数用量容器において(例えば、米国特許第4,511,069号に開示される密封された分与システムにおいて)提供され得る。他の適切な鼻スプレー送達システムは、Transdermal Systemic Medication,Y.W.Chien,Elsevier Publishers,New York,1985;および米国特許第4,778,810号に記載されている。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は乾燥粉末であり、任意の固体粒状医薬エアロゾル生成機が、上記組成物を患者の呼吸器系に送達するために使用され得る。乾燥粉末は、エアロゾル化した量へと上記粉末を分散させるために、患者の息に(すなわち、肺もしくは鼻の吸入に)依存する従来の乾燥粉末吸入器(DPI)を介して、患者へと投与され得る。乾燥粉末吸入デバイスとしては、欧州特許第EP129985号、同第EP472598号、および同第EP467172号、ならびに米国特許第5,522,385号、同第5,458,135号、同第5,740,794号、および同第5,785,049号(本明細書に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。また、吸入デバイス(例えば、TurbuhalerTM、RotahalerTM、DiscusTM、SpirosTM 吸入器、およびSpinhalerTM)が、上記乾燥粉末を送達するために適している。あるいは、上記乾燥粉末は、空気補助デバイス(例えば、キャリアスクリーンに空気を通過させることによって該スクリーンから粉末化医薬を持ち上げて、粉末化医薬を移動させる(entraining)か、または混合チャンバ中で空気と粉末医薬とを混合するかのいずれかのために、ピストンを使用して空気を提供する方法を採用するデバイス)を介して投与され得、その後、上記デバイスのマウスピースを介して、上記粉末が患者へ導入される。適切な空気補助デバイスの例は、米国特許第5,388,572号に記載される。
【0069】
上記SAPを含む組成物はまた、薬学的に不活性な液体プロペラント(例えば、クロロフルオロカーボンもしくはフルオロカーボン)中の薬物の溶液もしくは懸濁物を含む、加圧式の定量吸入器(MDI)を使用して送達され得る。MDIの例としては、例えば、VentolinTM 定量吸入器が挙げられる。適切なプロペラント、処方物、分散物、方法、デバイスおよびシステムは、米国特許第6,309,623号(その開示は、その全体が本明細書に参考として援用される)に開示される。
【0070】
いくつかの局面において、SAPを含む吸入デバイスが提供される。上記吸入デバイスは、SAPを患者の呼吸器系に送達するために適した任意のデバイスであり得、上記吸入デバイスは本明細書に記載されるデバイスを含む。上記吸入デバイスは、SAPの薬学的組成物(例えば、本明細書に記載されるデバイス)を含み、いくつかの実施形態において、SAPの単位用量を送達する。
【0071】
いくつかの局面において、本開示は、呼吸器系への送達のために、SAPの薬学的組成物を含むキット、パッケージおよびマルチコンテナユニットを提供する。簡潔には、これらキットは、SAPを含む容器および上記呼吸器系への送達に適した吸入デバイスを含む。パッケージング材料は、必要に応じて、一緒にパッケージされた薬学的薬剤が、気道への送達のために使用され得ることを示すラベルもしくは説明書を含む。
【0072】
(血清アミロイドP送達の治療法)
一局面において、本開示は、患者の呼吸器系へSAPを投与するための方法を提供する。用語「呼吸器系」とは、外部環境と血液との間のガス交換を促進する、哺乳動物の解剖学的特徴を指す。上記呼吸器系は、上部気道および下部気道へとさらに分けることができる。上記上部気道は、鼻道、咽頭および喉頭を含む一方で、気管、一次気管支および肺は、下部気道の一部である。いくつかの実施形態において、上記気道(例えば、肺もしくは鼻腔)に限局した状態の処置のための方法が、提供される。
【0073】
一局面において、本開示は、治療上有効な量のSAPを、その必要がある患者の呼吸器系へ投与することによって、患者のSAP応答性障害を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記SAP応答性障害は、線維症である。いくつかの実施形態において、上記SAP応答性障害は、呼吸器線維症(すなわち、気道の線維症)である。線維症の治療的処置としてのSAPの使用は、米国特許出願公開第20070243163号(これは、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0074】
エアロゾル化SAPでの処置に反応性であり得る線維症関連障害としては、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、閉塞性細気管支炎、特発性肺線維症、既知の病因に由来する肺線維症、肺疾患における腫瘍間質、肺に影響を及ぼす全身性硬化症、ヘルマンスキー・パドラック症候群、炭坑夫塵肺症、石綿症、珪肺症、慢性肺高血圧症、AIDS関連肺高血圧症、サルコイドーシス、慢性喘息、慢性炎症性呼吸器疾患(例えば、COPD(慢性閉塞性肺疾患)および気腫、および急性炎症性呼吸器疾患(例えば、ARDS(急性呼吸窮迫症候群))が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エアロゾル化SAPは、肺線維症を処置するために投与される。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記SAP応答性障害は、過敏性障害(例えば、Th1応答もしくはTh2応答によって媒介されるもの)である。いくつかの実施形態において、上記SAP応答性障害は、呼吸器過敏障害(すなわち、気道に影響を及ぼす過剰なTh1応答もしくはTh2応答に関連する状態)である。過敏性障害の治療的処置としてのSAPの使用はまた、米国仮特許出願(発明の名称「Treatment Methods of Autoimmune Disorders」、Lynne Anne Murray、2009年3月11日出願(本明細書に参考として援用される))に記載される。
【0076】
エアロゾル化SAPでの処置に反応性であり得る過敏性関連障害としては、アレルゲン特異的免疫応答、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性喘息、アナフィラキシー、食物アレルギー、アレルギー性気管支収縮、アレルギー性呼吸困難、肺における粘液生成のアレルギー性増大、アレルゲン(例えば、花粉もしくは病原体(例えば、ウイルス粒子、真菌、細菌))に対する急性炎症性応答により引き起こされる肺疾患、肺炎、および慢性閉塞性肺疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本開示は、SAP応答性障害を処置するための方法を提供し、上記方法は、治療上有効な量のエアロゾル化SAPを患者に投与する工程を包含する。投与量および処置の頻度は、当業者によって決定され得、その症状、上記患者の年齢および体重、ならびに処置されるべきもしくは予防されるべき障害の性質および重篤度に依存して変動する。特定の実施形態において、SAPの投与量は、一般に、0.01ng/kg体重〜10g/kg体重、1ng/kg体重〜0.1g/kg体重、もしくは100ng/kg体重〜10mg/kg体重の範囲にある。いくつかの実施形態において、エアロゾル化SAPは、1日に1回もしくは2回、1週間に1回もしくは2回、1週間に1回もしくは2回、または症状の発生直前もしくは発生のときに、患者に投与される。
【0078】
投与量は、当業者に公知の技術によって、もしくは本明細書で教示されるように、容易に決定され得る。エアロゾル化SAPの毒性および治療効果は、実験動物において標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50およびED50を決定することから、決定され得る。上記ED50(有効用量50)は、動物集団のうちの50%において特定の効果を生じさせるために必要とされる薬物の量である。上記LD50(致死用量50)は、サンプル集団のうちの50%を死滅させる薬物の用量である。SAPの鼻内投与の効果を研究するためのインビボモデルシステムは、実施例1に記載される。
【0079】
患者は、エアロゾル化SAPで処置される一方で、上記患者の健康状態は、関連する指標のうちの1つ以上を測定することによってモニターされ得る。処置(投与および処置の頻度を含む)は、このようなモニタリングの結果に従って最適化され得る。上記患者は、同じパラメーターを測定することによって改善の程度を決定するために、周期的に再評価され得、第1のこのような再評価は、代表的には、治療の開始から4週間の最後に行い、その後の再評価は、治療の間に4〜8週間ごとに行い、次いで、その後3ヶ月毎に行う。
【0080】
処置過程の間および/もしくはその後に測定され得る例示的指数は、肺機能である。肺機能値および上記値を決定するための方法は、当該分野で周知である。肺機能値としては、FEV(努力呼気量)、FVC(努力肺活量)、FEF(努力性呼吸流量)、Vmax(最大流量)、PEFR(最大呼気流速)、FRC(機能的残気量)、RV(残気量)、TLC(全肺気量)が挙げられるが、これらに限定されない。FEVは、最大吸息直後に強制呼吸によって、所定の期間にわたって吐き出した空気の体積を測定する。FVCは、最大吸息直後に吐き出した空気の総体積を測定する。FEFは、FVCの間に吐き出した空気の体積を時間(秒単位)で割ったものを測定する。Vmaxは、FVCの間に測定される最大流量である。PEFRは、最大吸息から始まる強制呼出の間の最大流速を測定する。RVは、最大呼息の後に肺に残っている空気の体積である。いくつかの実施形態において、エアロゾル化SAPの投与は、1つ以上の肺機能値を高める。
【実施例】
【0081】
本発明は、ここで一般的に記載されており、以下の実施例を参照することによってより容易に理解される。この実施例は、本発明の特定の局面および実施形態の例示目的で含められるに過ぎず、本発明を限定することを意図しない。
【0082】
(実施例1:SAPの鼻内送達)
肺線維症を、雄性C57Bl/6マウスにおいて作り出した。気管内用量(経口(transoral)ルートを介して)0.03Uのブレオマイシンを、0日目に投与した。研究の11日目、13日目、15日目、17日目および19日目に、処置群のマウスに、緩衝液(10mM リン酸ナトリウム、5% ソルビトール、pH7.5)中の8mg/kgのhSAP(組換えで生成したヒトSAP)を鼻内投与した。未処置マウスに、緩衝液を投与した。21日目に、上記動物を屠殺し、総肺コラーゲンを、以前に記載される(Trujilloら Am J Pathol.2008 172(5):1209−21)ように、ヒドロキシプロリンアッセイを使用して測定した。簡潔には、肺ホモジネートを、6N HClとともに8時間にわたって120℃でインキュベートした。その後、クエン酸塩/酢酸塩緩衝液(5% クエン酸、7.2% 酢酸ナトリウム、3.4% 水酸化ナトリウム、および1.2% 氷酢酸、pH6.0)およびクロラミン−T溶液(282mg クロラミン−T、2mlのn−プロパノール、2mlの蒸留水、および16mlのクエン酸塩/酢酸塩緩衝液)を、各消化した肺サンプルに添加した。次いで、得られたサンプルを、Ehrlich溶液(Aldrich,Milwaukee,WI)を添加する前に、室温で20分間にわたってインキュベートした。これらサンプルを、15分間にわたって65℃でインキュベートし、冷却したサンプルを、Beckman DU 640分光光度計において550nmで読み取った。ヒドロキシプロリン濃度を、ヒドロキシプロリンの標準曲線(0〜100μg/ml)から計算した。総肺コラーゲンにおける%変化を、気管内PBSを0日目に受けたマウスの肺におけるコラーゲン量に対して正規化した(図1を参照のこと)。
【0083】
(実施例2:鼻内hSAP送達後の全身循環におけるhSAPの検出)
C57Bl/6マウスに、100μlの20mg/ml hSAPを鼻内に与え、投与後6時間もしくは24時間のいずれかに屠殺した。心臓穿刺を行い、得られた血漿を、ELISAによってhSAPレベルについて分析した。肺を、左心室を介してPBSでインサイテュで灌流するか、または灌流を行なわず、そして肺を、次にひとまとめにして取り出した。組織をホモジナイズし、hSAPレベルをELISAによって測定した。表1は、上記ELISAアッセイの結果を示す。鼻内投与時点から6時間後および24時間後の両方で、hSAPのより高いレベルが、血漿よりも肺において検出された。
【0084】
【表1】

(実施例3:hSAPのエアロゾル化)
組換えヒトSAPを、DeVilbissモデル3655Dネブライザを使用して3つの異なる条件下でエアロゾル化した(表2を参照のこと)。3mLの各サンプルを、上記ネブライザボウルの中へ導入し、10分間にわたって霧状にし、その間に生成されたエアロゾを、僅かな減圧下で氷上の50mLチューブ中に集めた。回収されたエアロゾルのサンプル(「回収」)、およびネブライザチャンバ中の上記hSAP溶液の残りのサンプル(「残り」)を、SE−HPLC(サイズ排除高速液体クロマトグラフィー)およびUV吸収によって分析して、それぞれ、生成物の凝集物の含量および濃度を評価した。結果を表3および図2〜4に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

平均すると、初期hSAP質量のうちの20〜30%が、上記エアロゾル中で回収された。このことは、hSAPを霧状にすることが可能であることを示す。10分後に上記ネブライザボウル中に残っているhSAP濃度は、顕著に増大しなかった。緩衝液(10mM リン酸ナトリウム、5% ソルビトール、pH7.5)中、1mg/mLで霧状にしたhSAPは、20mg/mLサンプルと比較して、回収されたエアロゾル中の顕著に多くの凝集物を形成した。第2の実験は、0.9% NaCl中の0.5〜27mg/mLのhSAP濃度範囲の試験を、同じネブライザ装置およびプロトコルを用いて行った。エアロゾル中での生成物回収は、20〜28%の範囲に及んだ。第1の実験とは対照的に、上記回収されたエアロゾルの凝集物含有量は、タンパク質濃度による明らかな傾向を示さなかった。
【0087】
(実施例4)
A.fumigatus分生子によって誘導した慢性アレルギー性気道疾患は、気道過敏性、肺炎症、好酸球増加症、粘液分泌過多、杯細胞過形成、および上皮下線維症によって特徴付けられる。C57BL/6マウスを、以前に記載される(Hogaboamら The American Journal of Pathology.2000;156:723−732)ように、可溶性A.fumigatus抗原の市販の調製物に対して同様に感作した。3回目の鼻内チャレンジの7日後、各マウスに、気管内経路を介して、30μlのPBS tween 80(0.1%,vol/vol)中に懸濁した5.0×10 A.fumigatus分生子を与えた。
【0088】
15日目および30日目の時点(それぞれ、図5Aおよび図5B)で、5匹のマウス群に、SAP(5mg/kg,ip,q2d)もしくはコントロール(PBS,ip,q2d)を処置し、気道過剰反応性の変化について分析した。気管支過剰反応性を、BuxcoTM プレチスモグラフ(Buxco,Troy,NY)を使用して、気管内A.fumigatus分生子チャレンジ後に評価した。簡潔には、ペントバルビタールナトリウム(Butler Co.,Columbus,OH;0.04mg/gマウス体重)を使用してマウスを麻酔し、その後挿管し、換気を、Harvardポンプベンチレーター(Harvard Apparatus,Reno NV)で行った。いったんベースライン気道抵抗性が確立されたら、420mg/kgのメタコリンを、カニューレを入れた尾静脈を介して各マウスに導入し、気道過剰反応性を、約3分間にわたってモニターした。次いで、気道抵抗性におけるピーク増大を記録した。15日目および30日目の時点(それぞれ、図5Aおよび図5B)で、SAP(5mg/kg,ip,q2d)もしくはコントロール(PBS,ip,q2d)を処置した5匹のマウス群を、ペントバルビタールナトリウムで麻酔し、気道過剰反応性の変化について分析した。SAPは、静脈内メタコリンチャレンジに応じたAHRの量を有意に低下させた。
【0089】
(実施例5)
C57BL/6マウスを、上記のとおり可溶性A.fumigatus抗原の市販の調製物に対して同様に感作させた。動物を、上記モデルの最後の2週間にわたって、hSAP(8mg/kg,鼻内(i.n.),2qd)もしくはコントロール(PBS,in,2qd)で、インビボで処置した。15日目および30日目の時点(それぞれ、図6Aおよび図6B)で、処置した5匹のマウス群を、サイトカイン生成における変化について分析した。脾臓細胞を、気管内分生子チャレンジの15日後もしくは30日後に動物から単離し、aspergillus抗原で刺激し、hSAPで、インビトロで処理した。脾細胞培養物を、IL−4、IL−5、およびINF−γの生成について定量(pg/mL)した。
【0090】
(実施例6)
C57BL/6 マウスを、上記のとおり可溶性A.fumigatus抗原の市販の調製物に対して同様に感作させた。15日目に、FoxP3発現の量を、肺流入領域リンパ節もしくは脾細胞培養物において決定した。肺リンパ節を、各マウスから切除し、液体N中で急速凍結させたか、または組織学的分析のために、10% ホルマリン中で固定した。SAP(8mg/kg,i.n.,2qd)もしくはコントロール(PBS,in,2qd)で処置した動物からの組織学的サンプルを、FoxP3について染色し(図7A)、FoxP3+細胞の数を、検鏡した各視野に対して定量した(図7B)。精製した脾細胞培養物を、SAPのインビトロでの存在下もしくは非存在下で(0.1〜10μg/ml)、24時間にわたって、Aspergillus抗原で、インビトロで刺激した。総FoxP3発現を、リアルタイムRT−PCRを使用して定量した(図7C)。
【0091】
(実施例7)
IL−10および抗原リコールに対するインビボおよびインビトロでのSAPの効果を、試験した(図8を参照のこと)。マウスに、Aspergillus fumigatusをインビボで感作させ、チャレンジし、生きている分生子チャレンジ後の15日目〜30日目に、コントロール(PBS,ip,q2d 白抜き棒)もしくはSAP(5mg/kg,ip,q2d,黒塗りの棒)で処置した。30日目に、マウスを屠殺した。A)総肺IL−10を、luminexによって測定した。B〜E)単一細胞の脾細胞培養物を、インビトロで、SAPの存在下もしくは非存在下でAspergillus fumigatus抗原で刺激した(図8)。無細胞上清を、B)IL−10のタンパク質レベル、C)IL−4のタンパク質レベル、D)IL−5のタンパク質レベルおよびE)IFN−γのタンパク質レベルについて、ELISAによって評価した。そのデータは、SAP処置動物(ip,15〜30日目にq2d)が、喘息コントロール(PBS,ip,15〜30日目にq2d)と比較して、肺中のIL−10のレベルが増大し、レベルが、未処置の(naive)非アレルギー性肺中のものに匹敵したことを実証する(図8)。SAP処置マウスの脾細胞は、低下したTh1抗原リコール応答もしくはTh2抗原リコール応答、ならびに増大したIL−10を有する。FoxP3発現の増加もまた存在するので、このデータは、SAPが、アレルギー性気道疾患の状況において調節性T細胞を誘導することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血清アミロイドP(SAP)を呼吸器系に送達するためのミクロ粒子システムであって、該システムは、SAPおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む生分解性ミクロ粒子を含む、システム。
【請求項2】
血清アミロイドP(SAP)を含む、エアロゾル。
【請求項3】
薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み、ヒトにおける使用に適している、請求項2に記載のエアロゾル。
【請求項4】
脂質をさらに含む、請求項2または3に記載のエアロゾル。
【請求項5】
前記エアロゾルは液体であり、約0.5mg/ml〜約100mg/mlのSAPを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項6】
約10mg/ml〜約50mg/ml SAPを含む、請求項5に記載のエアロゾル。
【請求項7】
約0.1%〜約2% NaClをさらに含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項8】
約1mM〜約20mM リン酸ナトリウムをさらに含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項9】
約10%〜約100% w/wのSAPを含む乾燥粒子を含む、請求項2〜8のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項10】
前記乾燥粒子は、約30%〜約80% w/wのSAPを含む、請求項9に記載のエアロゾル。
【請求項11】
エアロゾル化粒子は、約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する、請求項2〜10のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項12】
前記エアロゾル化粒子は、約1〜約5ミクロンの質量中央径を有する、請求項2〜11のいずれか1項に記載のエアロゾル。
【請求項13】
呼吸器系へ送達するのに適した乾燥粉末薬学的組成物であって、血清アミロイドP(SAP)および薬学的に受容可能なキャリアを含む、乾燥粉末薬学的組成物。
【請求項14】
前記粉末の粒子は、約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する、請求項13に記載の乾燥粉末薬学的組成物。
【請求項15】
前記粉末の粒子は、約1〜約5ミクロンの質量中央径を有する、請求項13または14に記載の乾燥粉末薬学的組成物。
【請求項16】
血清アミロイドP(SAP)を含む薬学的組成物、および吸入デバイスを含む、キット。
【請求項17】
前記吸入デバイスは、ネブライザ、定量吸入器、もしくは乾燥粉末送達機械装置から選択される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
血清アミロイドP(SAP)を投与する必要性がある患者に血清アミロイドP(SAP)を投与するための方法であって、該方法は、該患者の呼吸器系へ吸入させるためにSAPを含む薬学的組成物をエアロゾル化する工程を含む、方法。
【請求項19】
患者における呼吸器線維症を処置するための方法であって、該方法は、治療上有効な量のエアロゾル化血清アミロイドP(SAP)薬学的組成物を、呼吸器線維症を処置する必要がある患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
患者における呼吸器過敏障害を処置するための方法であって、該方法は、治療上有効な量のエアロゾル化した血清アミロイドP(SAP)薬学的組成物を、呼吸器過敏障害を処置する必要がある患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記呼吸器線維症は、肺線維症、特発性肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、および慢性喘息から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記呼吸器過敏障害は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、およびアレルギー性喘息から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記薬学的組成物は、SAPを含む生分解性ミクロ粒子を含む、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み、ヒトにおける使用に適している、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記薬学的組成物は、約0.5mg/ml〜約100mg/mlのSAPを含む液体である、請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記液体は、約10mg/ml〜約50mg/ml SAPを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記薬学的組成物は、約0.1%〜約2% NaClをさらに含む、請求項18〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記薬学的組成物は、約1mM〜約20mM リン酸ナトリウムをさらに含む、請求項18〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記薬学的組成物は、脂質をさらに含む、請求項18〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬学的組成物は、呼吸器送達に適した乾燥粉末である、請求項18〜24および27〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥粉末は、約10%〜約100% w/wのSAPを含む、請求項18〜24および27〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記エアロゾル化した薬学的組成物は、約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する、請求項18〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記エアロゾル化した薬学的組成物は、約1〜約5ミクロンの空気動力学的質量中央径を有する、請求項18〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記薬学的組成物は、乾燥粉末吸入器で投与される、請求項18〜24および30〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記薬学的組成物は、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、加圧式ネブライザもしくは振動多孔質板ネブライザで投与される、請求項18〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記薬学的組成物は、鼻送達デバイスで投与される、請求項18〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
血清アミロイドP(SAP)を含む薬学的組成物を含む、吸入デバイス。
【請求項38】
前記薬学的組成物は、SAPを含む生分解性ミクロ粒子を含む、請求項37に記載の吸入デバイス。
【請求項39】
前記薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み、ヒトにおける使用に適している、請求項37または38に記載の吸入デバイス。
【請求項40】
前記薬学的組成物は、約0.5mg/ml〜約100mg/mlのSAPを含む液体である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項41】
前記液体は、約10mg/ml〜約50mg/ml SAPを含む、請求項40に記載の吸入デバイス。
【請求項42】
前記薬学的組成物は、約0.1%〜約2% NaClをさらに含む、請求項37〜41のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項43】
前記薬学的組成物は、約1mM〜約20mM リン酸ナトリウムをさらに含む、請求項37〜42のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項44】
前記薬学的組成物は、脂質をさらに含む、請求項37〜43のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項45】
前記薬学的組成物は、呼吸器送達に適した乾燥粉末である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項46】
前記乾燥粉末は、約10%〜約100% w/wのSAPを含む、請求項45に記載の吸入デバイス。
【請求項47】
前記乾燥粉末の粒子は、約10ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する、請求項45〜46のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項48】
前記乾燥粉末の粒子は、約1〜約5ミクロンの質量中央径を有する、請求項45〜47のいずれか1項に記載の吸入デバイス。
【請求項49】
前記吸入デバイスは、定量吸入器;乾燥粉末吸入器、鼻送達デバイス;またはジェットネブライザ、超音波ネブライザ、加圧式ネブライザもしくは振動多孔質板ネブライザから選択される、請求項37〜39のいずれか1項に記載の吸入デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図7A】
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【公表番号】特表2012−522798(P2012−522798A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503716(P2012−503716)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029671
【国際公開番号】WO2010/115032
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510006945)プロメディオール, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】