説明

血漿又は血清分離方法、及び血漿又は血清分離装置

【課題】血液中から血漿成分又は血清成分を効率的に分離できる手段を提供する。
【解決手段】本血漿分離方法は、第1分離モジュール11の円筒部24を通じて空間23に血液111を注入する第1ステップと、空間23内の血液111における血漿成分112を第1フィルタ33を通じて空間28へ移動させる第2ステップと、空間23に残留した血液111を円筒部25から流出する第3ステップと、円筒部25から流出された血液111を、第2分離モジュール12の円筒部44を通じて空間43に注入する第4ステップと、 空間43内の血液111における血漿成分112を第2フィルタ53を通じて空間48へ移動させる第5ステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液から血漿成分又は血清成分を分離する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に血液検査と称される臨床検査において、ヒトから採取された血液から、血漿成分又は血清成分と、血球成分とを分離することが行われている。この分離方法の一つとして、遠心分離が知られている。この遠心分離により、血液中の血球成分が沈下されるので、上清である血漿成分又は血清成分を採取することができる。しかし、遠心分離は、遠心分離装置が必要であるという問題や、通常、遠心分離だけで10分間以上を要し、血液を凝固させる時間や上清を分離する時間などを加えると、数十分間以上の作業時間を要するという問題があった。
【0003】
これに対し、特許文献1には、入口と出口を有する容器内に、高分子極細繊維集合体又は多孔質ポリマーで構成されるろ過材を装着した血漿又は血清分離フィルタが開示されている。これにより、遠心分離によらずに、血液から血漿成分又は血清成分が分離できるとされている。
【0004】
特許文献2には、血液が流れる流路に複数の血液分離フィルタが設けられた血液分離フィルタ装置が開示されている。流路の上流側に赤血球のような比較的大きな径の血液成分を捕捉する第1フィルタが配置され、流路の下流側に血小板のような比較的小さな径の血液成分を捕捉する第2フィルタが配置される。さらに、第1フィルタ及び第2フィルタの下流側には、血漿又は血清により膨潤して流路を閉塞する水膨潤性ポリマーが配置されている。第1フィルタ及び第2フィルタにより、血液から血漿又は血清が分離され、水膨潤性ポリマーにより、溶血によって赤血球から漏洩した成分が血漿又は血清に混入することが防止されるとされている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−267463号公報
【特許文献2】特開2007−40985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のようにフィルタを用いて血液から血漿成分又は血清成分を分離する場合に、血球成分によりフィルタが目詰まりするという問題がある。フィルタが目詰まりする度合いは、ろ過する血液の量に比例して増加するので、特許文献1,2に示されるように、同種又は異種のフィルタを血液の流路方向に対して積層することにより、目詰まりの頻度を低減させることが考案されている。しかし、フィルタを積層すると、フィルタ内に残留する血漿成分又は血清成分の量が増加するという問題がある。特に、微量の採血によって血液検査を行う場合には、血液中の血漿成分又は血清成分の大半を分離して回収するために、フィルタ内に残留する血漿成分又は血清成分はできる限り減らすことが望ましい。フィルタの面積を大きくしても、同様に、フィルタ内に残留する血漿成分又は血清成分の量が増加するという問題が生じる。また、積層されたフィルタに血漿成分又は血清成分を通過させるために、血液に付与する圧力を高くする必要があり、溶血が生じやすかったり、フィルタが破損しやすいような厳しい条件を設定しなければならないという問題もある。
【0007】
前述された問題に対して、フィルタの厚みを薄くすると、目詰まりが生じやすくなり、さらにろ過を行うために高い圧力を付与すると、溶血が生じたり血球成分がフィルタを通過するという別の問題が生じる。
【0008】
また、血液を予め緩衝液などで希釈してからフィルタでろ過する手法もあるが、分離された血漿成分又は血清成分も緩衝液で希釈されるので、血漿成分又は血清成分中の微量物質が検査試薬の最低検出感度未満の濃度又は単位となる問題が生じる。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、血液中から血漿成分又は血清成分を効率的に分離できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明にかかる血漿又は血清分離方法は、第1ポートを通じて第1室に血液を注入する第1ステップと、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタを介して第1室と区画された第2室へ、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて移動させる第2ステップと、第1室に残留した血液を第2ポートから流出する第3ステップと、第2ポートから流出された血液を、第4ポートを通じて第3室に注入する第4ステップと、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタを介して第3室と区画された第4室へ、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて移動させる第5ステップと、を含む。
【0011】
第1室及び第2室は、血液、血漿又は血清を保持可能な容器形状の筐体により形成される空間であり、第1室と第2室とは、第1フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置される。第1室には、第1ポート及び第2ポートが設けられている。第1ポートを通じて第1室へ血液を注入可能であり、第2ポートを通じて第1室から血液を流出可能である。
【0012】
第3室及び第4室も、前述された第1室及び第2室と同様に、血液、血漿又は血清を保持可能な容器形状の筐体により形成される空間であり、第3室と第4室とは、第2フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置される。第3室には、第4ポート及び第5ポートが設けられている。第4ポートを通じて第3室へ血液を注入可能であり、第5ポートを通じて第3室から血液を流出可能である。
【0013】
第1フィルタ及び第2フィルタは、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させないものである。例えば、赤血球などの血球成分が通過できない孔が形成された半透膜や、血球成分に対して摩擦力や吸着力を付与する繊維シートなどが、第1フィルタ及び第2フィルタとして使用される。
【0014】
血液は、例えばヒトから採血された末梢血が使用される。また、血液にはヘパリンなどの凝固防止剤が加えられてもよい。採血された血液は、第1ステップにおいて、第1ポートを通じて第1室に注入される。第1室において、血液は第1フィルタに接触する。
【0015】
第2ステップにおいて、例えば、第2室の空気圧を第1室の空気圧に対して負圧とすることにより、第1室の血液から血漿成分又は血清成分が、第1フィルタを通過して第2室へ移動する。血液の血球成分は、第1フィルタに捕捉されるか、第1室に残存する。
【0016】
第2ステップにおいて、第1フィルタに血液中の血漿成分又は血清成分を通過させるための第1室と第2室との圧力差や圧力を付与する時間などの条件は、第1フィルタを血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件が設定される。また、第1フィルタの種類や厚みは、第1フィルタに残存する血漿成分又は血清成分が少なくなるように選択される。
【0017】
第2ステップにおいて、血液中の血漿成分又は血清成分が第1フィルタを通過するための条件を緩やかにすることにより、第1室に残存した血液中に血漿成分又は血清成分も残存する。第3ステップでは、この第1室に残留した血液を第2ポートから流出する。
【0018】
第4ステップにおいて、第2ポートから流出された血液を、第4ポートを通じて第3室に注入する。第3室において、血液は第2フィルタに接触する。
【0019】
第5ステップにおいて、例えば、第4室の空気圧を第3室の空気圧に対して負圧とすることにより、第3室の血液から血漿成分又は血清成分が、第2フィルタを通過して第4室へ移動する。血液の血球成分は、第2フィルタに捕捉されるか、第3室に残存する。
【0020】
第5ステップにおいても、第2ステップと同様に、第1フィルタに血液中の血漿成分又は血清成分を通過させるための第3室と第4室との圧力差や圧力を付与する時間などの条件は、第2フィルタを血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件が設定される。また、第2フィルタの種類や厚みは、第2フィルタに残存する血漿成分又は血清成分が少なくなるように選択される。
【0021】
第2ステップ及び第5ステップにおいて血液から分離された血漿成分又は血清成分は、第2室及び第4室に貯留されているので、第2室及び第4室から血漿成分又は血清成分を回収することにより、血液から分離された血漿成分又は血清成分が得られる。
【0022】
なお、第3室に残存した血液に対して、第4ステップ及び第5ステップと同様の手順を再び繰り返してもよい。例えば、第3フィルタを介して区画された第5室と第6室のうちの第5室へ注入して、その中の血漿成分又は血清成分を、第3フィルタを通過させて第6室へ移動させることにより、第3室に残存した血液からさらに血漿成分又は血清成分を分離することができるので、第4ステップにおける条件設定の自由度が向上される。
【0023】
(2) さらに、第1フィルタを通じて第2室へ移動された血漿成分又は血清成分を第3ポートを通じて流出させ、第4ポートを通じて第3室に注入される血液と混合する第6ステップを含んでもよい。
【0024】
第6ステップにおいて、第2室から第3ポートを通じて血漿成分又は血清成分が流出され、その血漿成分又は血清成分を第4ポートを通じて第3室に注入される血液と混合する。血液と血漿成分又は血清成分との混合は、第3室へ注入される前後のいずれでもよいが、混合後の均質な血液を第2フィルタに接触させるには、第3室へ注入前に混合しておくことが好ましい。
【0025】
第2ステップにおいて、血液中の血漿成分又は血清成分が第1フィルタを通過することにより、第1室における血液の粘度が上がる。また、血球成分の一部は、第1フィルタに捕捉又は吸着されて、血液が第1室から第2ポートを通じて流出された後も、第1フィルタに残存する。この第1室から流出された血液に、第2室へ移動した血漿成分又は血清成分を混合することにより、その血液の粘度を低下させて取り扱いを容易にすると共に、その血液に含まれる血漿成分又は血清成分が第2フィルタを通過するための条件を緩やかに設定することができる。
【0026】
(3) 上記第2ステップにおいて、第2室の内圧を第1室の内圧に対して負圧として、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて第2室へ移動させ、上記第5ステップにおいて、第4室の内圧を第3室の内圧に対して負圧として、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて第4室へ移動させることが好ましい。
【0027】
ここで、各室の内圧は、各室の内部における気圧や水圧で示される。例えば、第1室を大気開放し、かつ第2室内の気体を吸引すると、第2室の内圧が第1室の内圧に対して負圧となる。また、第2室を大気開放し、第1室に圧縮空気を注入すると、第2室の内圧が第1室の内圧に対して負圧となる。なお、第3室と第4室との関係でも同様である。
【0028】
(4) 上記第2ステップにおいて、第1フィルタに振動を付与し、上記第5ステップにおいて、第2フィルタに振動を付与してもよい。
【0029】
第1フィルタに振動を付与することにより、第1フィルタにおける血球成分による目詰まりを一時的に解消して、第1フィルタを介して第1室の血液から血漿成分又は血清成分を第2室へ移動させることができる。第2フィルタにおいても同様である。これにより、前述された分離のための圧力などの条件を厳しくすることなく、また、第1フィルタ及び第2フィルタの厚みなどを大きくすることなく、第1フィルタ及び第2フィルタにより分離される血漿成分又は血清成分の量を増大することができる。
【0030】
(5) 本発明にかかる血漿又は血清分離方法は、第1ポートを通じて第1室に血液を注入する第11ステップと、上記第1室において、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタに沿って血液を流動させながら、第1フィルタを介して第1室と区画された第2室へ、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて移動させる第12ステップと、を含む。
【0031】
第1室及び第2室は、血液、血漿又は血清を保持可能な容器形状の筐体により形成される空間であり、第1室と第2室とは、第1フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置される。第1室には、第1ポート及び第2ポートが設けられている。第1ポートを通じて第1室へ血液を注入可能であり、第2ポートを通じて第1室から血液を流出可能である。
【0032】
第1フィルタは、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させないものである。例えば、赤血球などの血球成分が通過できない孔が形成された半透膜や、血球成分に対して摩擦力や吸着力を付与する繊維シートなどが、第1フィルタとして使用される。
【0033】
血液は、例えばヒトから採血された末梢血が使用される。また、血液にはヘパリンなどの凝固防止剤が加えられてもよい。採血された血液は、第11ステップにおいて、第1ポートを通じて第1室に注入される。第1室において、血液は第1フィルタに接触する。
【0034】
第12ステップにおいて、第1室に注入された血液を第1フィルタに沿って流動させる。この流動は、例えば、第1ポートから血液を注入しながら、第2ポートから血液又は空気を吸引することにより行われる。そして、例えば、第2室の空気圧を第1室の空気圧に対して負圧とすることにより、第1室の血液から血漿成分又は血清成分が、第1フィルタを通過して第2室へ移動する。血液の血球成分は、第1フィルタに捕捉されるか、第1室に残存する。
【0035】
第12ステップにおいて、第1フィルタに血液中の血漿成分又は血清成分を通過させるための第1室と第2室との圧力差や圧力を付与する時間などの条件は、第1フィルタを血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件が設定される。また、第1フィルタの種類や厚みは、第1フィルタに残存する血漿成分又は血清成分が少なくなるように選択される。
【0036】
第12ステップにおいて、血液中の血漿成分又は血清成分が第1フィルタを通過するための条件を緩やかにすることにより、第1フィルタを血漿成分又は血清成分が通過し難くなるか、通過するために要する時間が長くなるが、第1室において血液が流動されることにより、第1ポートから第1室へ注入された血液は、血漿成分又は血清成分が第2室へ移動しながら、流動するに伴って目詰まりの無い又は少ない第1フィルタの別の部分と接触することとなる。この第1フィルタの別の部分においては、血漿成分又は血清成分が通過し易い。
【0037】
第12ステップにおいて血液から分離された血漿成分又は血清成分は、第2室に貯留されているので、第2室から血漿成分又は血清成分を回収することにより、血液から分離された血漿成分又は血清成分が得られる。
【0038】
(6) さらに、上記第2ポートから流出された血液を、第4ポートを通じて第3室に注入する第13ステップと、上記第3室において、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタに沿って血液を流動させながら、第2フィルタを介して第3室と区画された第4室へ、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて移動させる第14ステップと、を含んでもよい。
【0039】
第3室及び第4室は、血液、血漿又は血清を保持可能な容器形状の筐体により形成される空間であり、第3室と第4室とは、第2フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置される。第3室には、第4ポート及び第5ポートが設けられている。第4ポートを通じて第3室へ血液を注入可能であり、第5ポートを通じて第3室から血液を流出可能である。
【0040】
第2フィルタは、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させないものである。例えば、赤血球などの血球成分が通過できない孔が形成された半透膜や、血球成分に対して摩擦力や吸着力を付与する繊維シートなどが、第2フィルタとして使用される。
【0041】
第1室に残存した血液に対して、第11ステップ及び第12ステップと同様の第13ステップ及び第14ステップを繰り返すことにより、第1室に残存した血液からさらに血漿成分又は血清成分を分離することができるので、第12ステップにおける条件設定の自由度が向上される。
【0042】
(7) 上記第12ステップにおいて、第2室を第1室に対して負圧として、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて第2室へ移動させ、上記第14ステップにおいて、第4室を第3室に対して負圧として、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて第4室へ移動させることが好ましい。
【0043】
ここで、各室の内圧は、各室の内部における気圧や水圧で示される。例えば、第1室を大気開放し、かつ第2室内の気体を吸引すると、第2室の内圧が第1室の内圧に対して負圧となる。また、第2室を大気開放し、第1室に圧縮空気を注入すると、第2室の内圧が第1室の内圧に対して負圧となる。なお、第3室と第4室との関係でも同様である。
【0044】
(8) 上記第12ステップにおいて、第1フィルタに振動を付与し、上記第14ステップにおいて、第2フィルタに振動を付与してもよい。
【0045】
第1フィルタに振動を付与することにより、第1フィルタにおける血球成分による目詰まりを一時的に解消して、第1フィルタを介して第1室の血液から血漿成分又は血清成分を第2室へ移動させることができる。第2フィルタにおいても同様である。これにより、前述された分離のための圧力などの条件を厳しくすることなく、また、第1フィルタ及び第2フィルタの厚みなどを大きくすることなく、第1フィルタ及び第2フィルタにより分離される血漿成分又は血清成分の量を増大することができる。
【0046】
(9) 本発明は、第1分離モジュールと第2分離モジュールとを具備する血漿又は血清分離装置である。上記第1分離モジュールは、血液を注入するための第1ポート、及び血液を流出するための第2ポートを有する第1室と、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタと、上記第1フィルタを介在させて上記第1室と区画された第2室と、を具備する。上記第2分離モジュールは、血液を注入するための第4ポート、及び血液を流出するための第5ポートを有する第3室と、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタと、上記第2フィルタを介在させて上記第3室と区画された第4室と、を具備する。そして、上記第1分離モジュールの第2ポートと、上記第2分離モジュールの第4ポートとが、血液を流通可能に連結されている。
【0047】
血漿又は血清分離装置は、少なくとも第1分離モジュールと第2分離モジュールとを具備するが、さらに、同様の第3分離モジュール又はそれ以上の個数の分離モジュールを具備するものであってもよい。
【0048】
第1分離モジュールは、容器形状の筐体を主たる外形とし、その筐体の内部に第1室及び第2室を有する。この第1室及び第2室は、血液、血漿又は血清を保持可能な空間である。第1室と第2室とは、第1フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置されている。第1室には、第1ポート及び第2ポートが設けられている。第1ポートを通じて第1室へ血液を注入可能であり、第2ポートを通じて第1室から血液を流出可能である。第2室には、第1フィルタを通過した血漿成分又は血清成分を流出可能な第3ポートが設けられていてもよい。
【0049】
第1フィルタは、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させないものである。例えば、赤血球などの血球成分が通過できない孔が形成された半透膜や、血球成分に対して摩擦力や吸着力を付与する繊維シートなどが、第1フィルタとして使用される。
【0050】
第2分離モジュールも第1分離モジュールと同様の構成である。第1分離モジュールと第2分離モジュールとは、必ずしも同等の構成である必要はないが、同等のものとすれば製造コストを低減したり、さらに第3の新たな分離モジュールを組み付けることが容易になるので好ましい。第2分離モジュールは、容器形状の筐体を主たる外形とし、その筐体の内部に第3室及び第4室を有する。この第3室及び第4室は、血液、血漿又は血清を保持可能な空間である。第3室と第4室とは、第2フィルタを介して区画されて、相互に隣接して配置されている。第3室には、第4ポート及び第5ポートが設けられている。第4ポートを通じて第3室へ血液を注入可能であり、第5ポートを通じて第3室から血液を流出可能である。第4室には、第2フィルタを通過した血漿成分又は血清成分を流出可能な第6ポートが設けられていてもよい。
【0051】
第2フィルタは、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させないものである。例えば、赤血球などの血球成分が通過できない孔が形成された半透膜や、血球成分に対して摩擦力や吸着力を付与する繊維シートなどが、第2フィルタとして使用される。
【0052】
前述された第1分離モジュールの第2ポートと、第2分離モジュールの第3ポートとが、血液を流通可能に連結されている。この連結は、例えば血液が流通可能なチューブを第2ポート及び第3ポートに接続すればよい。また、このチューブにおいて、血液を第1分離モジュールから第2分離モジュールへ流通させるためにチューブポンプが設けられてもよい。
【0053】
血液としては、例えばヒトから採血された末梢血が使用される。また、血液にはヘパリンなどの凝固防止剤が加えられてもよい。採血された血液は、第1ポートを通じて第1分離モジュールの第1室に注入される。第1室において、血液は第1フィルタに接触する。そして、例えば、第2室の空気圧を第1室の空気圧に対して負圧とすることにより、第1室の血液から血漿成分又は血清成分が、第1フィルタを通過して第2室へ移動する。血液の血球成分は、第1フィルタに捕捉されるか、第1室に残存する。
【0054】
第1分離モジュールにおいて第1室に残留した血液は、第2ポートから流出されて、第4ポートを通じて第2分離モジュールの第3室に注入される。第3室において、血液は第2フィルタに接触する。そして、例えば、第4室の空気圧を第3室の空気圧に対して負圧とすることにより、第3室の血液から血漿成分又は血清成分が、第2フィルタを通過して第4室へ移動する。血液の血球成分は、第2フィルタに捕捉されるか、第3室に残存する。
【0055】
第1分離モジュール及び第2分離モジュールにおいて血液から分離された血漿成分又は血清成分は、第2室及び第4室から第3ポート又は第6ポートを通じて回収される。
【発明の効果】
【0056】
本発明にかかる血漿又は血清分離方法、及び血漿又は血清分離装置によれば、第1室の血液から血漿成分又は血清成分が第1フィルタを通過して第2室に移動し、残存した第1室の血液が第3室に注入されて、その血液から血漿成分又は血清成分が第2フィルタを通過して第4室に移動するという段階的な血漿又は血清の分離となるなので、第1フィルタ及び第2フィルタを血漿成分又は血清成分を通過させるための条件を緩やかに設定し、かつ第1フィルタ及び第2フィルタに残存する血漿成分又は血清成分が少なくすることができる。これにより、分離された血漿成分又は血清成分に溶血が生じたり血球成分が混合したりすることなく、また、血漿成分又は血清成分が緩衝液などで希釈されることなく、回収率高く血液から血漿成分又は血清成分を分離することができる。
【0057】
また、本発明によれば、第1室において血液が流動されることにより、第1ポートから第1室へ注入された血液は、血漿成分又は血清成分が第2室へ移動しながら、流動するに伴って目詰まりの無い又は少ない第1フィルタの別の部分と接触することとなるので、血液中の血漿成分又は血清成分が第1フィルタを通過するための条件を緩やかに設定し、かつ第1フィルタに残存する血漿成分又は血清成分が少なくすることができる。これにより、分離された血漿成分又は血清成分に溶血が生じたり血球成分が混合したりすることなく、また、血漿成分又は血清成分が緩衝液などで希釈されることなく、回収率高く血液から血漿成分又は血清成分を分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0059】
[図面の説明]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる血漿分離装置10の外観を示す斜視図である。図2は、第1分離モジュール11の分解斜視図である。図3は、図1におけるIII−III切断面を示す断面図である。なお、図1及び図2においてはチューブ13,14,15が簡略化されている。図4から図7は、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法を示す模式図である。図8及び図9は、第1実施形態の変形例にかかる血漿分離方法を示す模式図である。図10は、本発明の第2実施形態にかかる血漿分離装置60を示す平面図である。図11は、図10におけるXI−XI切断面を示す断面図である。
【0060】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態が説明される。
【0061】
[血漿分離装置10]
以下に、第1実施形態にかかる血漿分離装置10が説明される。血漿分離装置10は、血液から血漿成分を分離するものであるが、血液から血清成分を分離するために用いられてもよいことは言うまでもない。
【0062】
図1に示されるように、血漿分離装置10は、第1分離モジュール11と第2分離モジュール12とを有する。第1分離モジュール11と第2分離モジュール12とは、チューブ14を通じて血液を流通可能に連結されている。本実施形態において、第1分離モジュール11と第2分離モジュール12とは同等の構成であるので、以下には第1分離モジュール11の構成が詳細に説明され、第2分離モジュール12の詳細な説明が省略される。
【0063】
[第1分離モジュール11]
図1に示されるように、第1分離モジュール11は、直方体形状の外形をなしている。図2及び図3に示されるように、第1分離モジュール11の外形は、主として筐体上部21及び筐体下部22により形成される。筐体上部21及び筐体下部22は、筐体上部21を上側として上下二段に配置されており、これらが一体となって直方体形状の外形をなしている。
【0064】
筐体上部21は、厚み(矢印103)の薄い概ね直方体形状であり、その下面側に第1室となる空間23が形成されている。筐体上部21の下面における略中央が厚み方向(矢印103)に凹陥されて直方体形状の空間23が形成されている。この空間23は、筐体上部21の下面に対して大きく開口している。空間23の容量は、第1分離モジュール11に注入する血液の量に応じて適宜設定される。
【0065】
筐体上部21の上面26には、2箇所に円筒部24,25が設けられている。円筒部24,25は、その軸方向を延出方向(矢印103)として筐体上部21の上面26から上側へ突出されている。筐体上部21の上面26における円筒部24,25の配置は、空間23に対して長手方向(矢印102)の一端側と他端側である。円筒部24,25は軸方向に貫通する内空をそれぞれ有する。筐体上部21の上面26には、円筒部24,25の各内空に連続して上下方向(矢印103)に貫通孔がそれぞれ形成されており、各貫通孔は空間23に到達している。これら各貫通孔及び円筒部24,25の内空により、空間23へ血液を流出入するための第1ポート及び第2ポートが形成されている。円筒部24,25のいずれを第1ポート又は第2ポートとして使用するかは任意であるが、本実施形態においては、円筒部24が第1ポートとして使用され、円筒部25が第2ポートとして使用されるものとする。
【0066】
筐体下部22は、厚み(矢印103)の薄い概ね直方体形状であり、その上面27側に第2室となる空間28が形成されている。筐体下部22の上面27における略中央が厚み方向(矢印103)に凹陥されて直方体形状の空間28が形成されている。この空間28は、筐体下部22の上面28に対して大きく開口している。空間28の容量は、第1分離モジュール11に注入する血液の量に応じて適宜設定される。
【0067】
筐体下部22の上面27には、空間28の開口周縁を囲むようにして段落ち部29が形成されている。段落ち部29は、平面視において長方形をなしており、その矩形は、後述される第1フィルタ33の平面視形状に概ね合致する。また、段落ち部29によって、上面27から若干下がった位置に上面27と平行な支持面30が形成されている。支持面30が、第1フィルタ33の周縁と接触する。上面27と支持面30との上下方向(矢印103)の距離は、第1フィルタ33の厚みと同等又は厚み未満である。
【0068】
筐体下部22の側面31には、円筒部32が設けられている。円筒部32は、その軸方向を延出方向(矢印102)として筐体下部22の側面31から側方へ突出されている。筐体下部22の側面31における円筒部32の配置は、空間28に対応している。円筒部32は軸方向に貫通する内空を有する。筐体下部22の側面31には、円筒部32の内空に連続して奥行き方向(矢印102)に貫通孔が形成されており、その貫通孔は空間28に到達している。これら貫通孔及び円筒部32の内空により、空間28から血漿成分を流出するための第3ポートが形成されている。
【0069】
第1フィルタ33は、中空子膜である。第1フィルタ33には、血漿成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない径の微細孔が厚み方向に多数形成されている。例えば、平均径が0.5〜5.0μm程度の微細孔を有する中空子膜が第1フィルタ33として使用可能である。第1フィルタ33は、平面視において長方形をなしており、第1フィルタ33の外周縁形状と、前述された段落ち部29の外周縁形状とがほぼ合致する。
【0070】
筐体上部21と筐体下部22とは、第1フィルタ33を介在させて、筐体上部21を上側として上下二段に接続される。第1フィルタ33は、筐体下部22における段落ち部29に収容され、その周縁が支持面30により支持される。筐体下部22の上面27は、筐体上部21の下面と接触する。この筐体下部22の上面27と筐体上部21の下面とが接着剤などにより固着される。段落ち部29に収容された第1フィルタ33は、その周縁が支持面30と筐体上部21の下面とで狭持されて固定される。この第1フィルタ33により、筐体上部21の空間23と筐体下部22の空間28とが区画されて、それぞれが血液又は血漿を保持可能な第1室と第2室となる。
【0071】
[第2分離モジュール12]
第2分離モジュール12の構成については、詳細な説明が省略されるが、図4に示されるように、第2分離モジュール12は、第1分離モジュール11における筐体上部21、筐体下部22、第1フィルタ33にそれぞれ対応する筐体上部41、筐体下部42、第2フィルタ53を有する。また、筐体上部21における空間23及び各円筒部24,25にそれぞれ対応して、筐体上部41は空間43及び各円筒部44,45を有する。また、筐体下部22における空間28及び円筒部32にそれぞれ対応して、筐体下部42は空間48及び円筒部52を有する。
【0072】
筐体上部41と筐体下部42とが、第2フィルタ53を介在させて、筐体上部41を上側として上下二段に接続され、第2フィルタ53により、筐体上部41の空間43と筐体下部42の空間48とが区画されて、それぞれが血液又は血漿を保持可能な第3室と第4室となる。また、円筒部44,45及び筐体上部41を貫いて空間43に到達する貫通孔により、空間43に血液を流出入するための第4ポート及び第5ポートが形成され、円筒部52及び筐体下部42を貫いて空間48に到達する貫通孔により、空間48から血漿成分を流出する第6ポートが形成される。
【0073】
図1に示されるように、第1分離モジュール11の円筒部25と第2分離モジュール12の円筒部44とにチューブ14がそれぞれ接続されている。これにより、第1分離モジュール11の空間23と第2分離モジュール12の空間43とが、血液を流通可能に接続されている。また、第1分離モジュール11の円筒部24には、空間23へ血液を注入するためのチューブ13が接続されており、第2分離モジュール12の円筒部45には、空間43から血液を流出するためのチューブ15が接続されている。各図には詳細に示されていないが、各チューブ13,14,15には、流路を開閉するための弁が設けられてもよい。
【0074】
[血漿分離方法]
以下に、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法が説明される。この血漿分離方法は、主として5つのステップに大別される。
(1) 円筒部24(第1ポート)を通じて空間23(第1室)に血液111を注入する第1ステップ
(2) 空間23内の血液111における血漿成分112を第1フィルタ33を通じて空間28(第2室)へ移動させる第2ステップ
(3) 空間23に残留した血液111を円筒部25(第2ポート)から流出する第3ステップ
(4) 円筒部25から流出された血液111を、円筒部45(第4ポート)を通じて空間43(第3室)に注入する第4ステップ
(5) 空間43内の血液111における血漿成分112を第2フィルタ53を通じて空間48(第4室)へ移動させる第5ステップ
【0075】
[第1ステップ]
第1ステップに先だって、先ず、ヒトの末梢血を採血する。ヒトは患者でも健常人でもよい。採血量は、目的とする臨床検査の種類により異なる。採血は、採血管や注射器などを用いて公知の手法により行う。また、採血に際して末梢血にヘパリンやEDTAなどの凝固防止剤が加えられる。
【0076】
第1ステップでは、図4に示されるように、採血された血液111を円筒部24を通じて空間23に注入する。円筒部24に接続されたチューブ13に、採血に用いた注射器を接続し、注射器からチューブ13及び円筒部24を通じて血液111を空間23へ注入する。このとき、円筒部25及びチューブ14による流路は大気開放する。これにより、空間23が血液111でほぼ満たされる。
【0077】
[第2ステップ]
第2ステップでは、図5に示されるように、空間23内の血液111における血漿成分112を第1フィルタ33を通じて空間28へ移動させる。このとき、チューブ13,14の流路は閉塞されて空間23が密閉空間となる。そして、円筒部32を通じて、空間28内が減圧される。これにより、空間28の空気圧が空間23の空気圧に対して負圧となる。空間28を空間23に対して負圧とした状態を所定時間維持することにより、空間23内の血液111から血漿成分112が第1フィルタ33を通過して空間28へ移動する。移動した血漿成分112は空間28に貯留される。赤血球などの血球成分は、第1フィルタ33に捕捉されるか、血液111とともに空間23に残存する。
【0078】
第1フィルタ33が目詰まりし始めると、血漿成分112が第1フィルタ33を通過し難くなる。したがって、空間28を空間23に対して負圧とした状態で、第1フィルタ33に所定時間間隔で振動を付与する。この振動は、例えば、第1分離モジュール11に偏心モータによる振動を付与したり、超音波を付与すればよい。これにより、第1フィルタ33における血球成分による目詰まりを一時的に解消して、空間23の血漿成分112を第1フィルタ33を通じて空間28へ更に移動させることができる。
【0079】
なお、第2ステップにおける空間23と空間28との圧力差や圧力を付与する時間などの設定条件は、第1フィルタ33を血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件を設定する。
【0080】
[第3ステップ]
第3ステップでは、空間23に残留した血液111を円筒部25から流出する。例えば、チューブ14にチューブポンプを設けて空間23に対して吸引圧を付与することにより、空間23に残留した血液111が円筒部25を通じて流出される。前述された第2ステップにおける設定条件を緩やかにすることにより、空間23の血液111には血漿成分112が残存する。なお、空間28に移動した血漿成分112は、後に回収しても、第3ステップを行う前に円筒部32を通じて回収してもよい。
【0081】
[第4ステップ]
第4ステップでは、図6に示されるように、円筒部25から流出された血液111を、円筒部45を通じて第2分離モジュール12の空間43に注入する。前述されたチューブポンプを動作し続けると、空間23から流出された血液111は、チューブ14を通じて空間43に流入する。このとき、円筒部45及びチューブ15による流路は大気開放する。
【0082】
[第5ステップ]
第5ステップでは、図7に示されるように、空間43内の血液における血漿成分112を第2フィルタ53を通じて空間48へ移動させる。このとき、チューブ14,15の流路は閉塞されて空間43が密閉空間となる。そして、円筒部52を通じて、空間48内が減圧される。これにより、空間48の空気圧が空間43の空気圧に対して負圧となる。空間48を空間43に対して負圧とした状態を所定時間維持することにより、空間43内の血液111から血漿成分112が第2フィルタ53を通過して空間58へ移動する。移動した血漿成分112は空間58に貯留される。赤血球などの血球成分は、第2フィルタ53に捕捉されるか、血液111とともに空間43に残存する。
【0083】
第2フィルタ53が目詰まりし始めると、血漿成分112が第2フィルタ53を通過し難くなる。したがって、空間48を空間43に対して負圧とした状態で、第2フィルタ43に所定時間間隔で振動を付与する。この振動は、例えば、第2分離モジュール12に偏心モータによる振動を付与したり、超音波を付与すればよい。これにより、第2フィルタ53における血球成分による目詰まりを一時的に解消して、空間43の血漿成分112を第2フィルタ53を通じて空間48へ更に移動させることができる。
【0084】
なお、第5ステップにおける空間43と空間48との圧力差や圧力を付与する時間などの設定条件は、第2フィルタ53を血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件を設定する。そして、空間48に移動した血漿成分112を円筒部52を通じて回収する。
【0085】
[第1実施形態の作用効果]
前述された血漿分離装置10を用いた血漿分離方法によれば、空間23の血液111から血漿成分112を第1フィルタ33を通過して空間28へ移動し、残存した空間23の血液111が空間43に注入されて、その血液111から血漿成分112が第2フィルタ53を通過して空間48へ移動させるという段階的な血漿の分離を行うので、第1フィルタ33及び第2フィルタ53を血漿成分112を通過させるための条件を緩やかに設定し、かつ第1フィルタ33及び第2フィルタ53に残存する血漿成分112を少なくすることができる。これにより、分離された血漿成分112に溶血が生じたり血球成分が混合したりすることなく、また、血漿成分112が緩衝液などで希釈されることなく、回収率高く血液111から血漿成分112を分離することができる。
【0086】
また、第2ステップ及び第5ステップにおいて、第1フィルタ33及び第2フィルタ53に振動を付与することにより、第1フィルタ33及び第2フィルタ53の目詰まりを一時的に解消して、第1フィルタ33又は第2フィルタ53を介して血液111から血漿成分112を更に移動させることができるので、前述された分離のための圧力などの設定条件を厳しくすることなく、また、第1フィルタ33及び第2フィルタ53の厚みなどを大きくすることなく、第1フィルタ33及び第2フィルタ53により分離される血漿成分112の量を増大することができる。
【0087】
なお、本実施形態において血漿分離装置10は、第1分離モジュール11及び第2分離モジュール12を具備するが、さらに、第1分離モジュール11と同等の第3分離モジュールや、第4以上の個数の分離モジュールを直列に連結してもよい。例えば、第3分離モジュールを第2分離モジュール12に直列に連結したときには、空間48に残存した血液11に対して、第4ステップ及び第5ステップと同様の手順を再び繰り返す。詳細には、第3分離モジュールにおいて、第3フィルタを介して区画された第5室と第6室のうちの第5室へ血液111を注入して、その中の血漿成分112を第3フィルタを通過させて第6室へ移動させることにより、空間489に残存した血液111からさらに血漿成分112を分離することができるので、第4ステップにおける条件設定の自由度が向上される。
【0088】
[第1実施形態の変形例]
以下に、前述された第1実施形態の変形例が説明される。変形例では、第1実施形態における第1分離モジュール11と第2分離モジュール12との連結構成が異なるが、第1分離モジュール11及び第2分離モジュール12の構成は同じである。詳細には、図8に示されるように、チューブ16によって、第1分離モジュール11の円筒部25及び円筒部32からの2つの流路が合流されて第2分離モジュール12の円筒部44に接続されている。これにより、第1分離モジュール11の空間23及び空間28と第2分離モジュール12の空間43とが血液111及び血漿成分112を流通可能に接続されている。なお、各図には詳細に示されていないが、チューブ16にも、流路を開閉するための弁が設けられている。
【0089】
この変形例では、図8及び図9に示されるように、前述された第1実施形態にかかる血漿分離方法の第3ステップと同時に、第1分離モジュール11の空間28へ移動された血漿成分112を円筒部32を通じて流出させ、第2分離モジュール12の円筒部44を通じて空間43に注入される血液111と混合する第6ステップが行われる。第1実施例と同様にしてチューブ16にチューブポンプを設け、空間23,28に対して吸引圧を付与することにより、空間23から血液111を流出させると共に、空間28から血漿成分112が流出される。そして、血液111と血漿成分112とがチューブ16において混合されて、空間43に注入される。
【0090】
なお、血液111と血漿成分112との混合は、第2分離モジュール12の空間43へ注入される前後のいずれでもよいが、混合後の均質な血液111を第2フィルタ53に接触させるには、空間43へ注入前に混合しておくことが好ましい。また、血液111と血漿成分112との混合を第2分離モジュール12の空間43において行う場合には、第3ステップと第6ステップとは必ずしも同時に行う必要はなく、いずれか一方を先に行ってから他方を行えばよい。
【0091】
前述された第2ステップにおいて、血液111中の血漿成分112が第1フィルタ33を通過することにより、第1分離モジュール11の空間23における血液111の粘度が上がる。また、血液111中の血球成分の一部は、第1フィルタ33に捕捉されて、血液111が空間23から流出された後も、第1フィルタ33に残存する。この空間23から流出された血液111に、空間28へ移動した血漿成分112を混合することにより、空間23から流出された血液111の粘度が低下するので、第2分離モジュール12の空間43へ注入する作業などの取り扱いを容易になる。さらに、第2分離モジュール12の空間43において、血液111に含まれる血漿成分112が第2フィルタ53を通過するための条件を緩やかに設定することができる。
【0092】
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態にかかる血漿分離装置60は、第1実施形態における第1分離モジュール11の空間23の形状や、円筒部24,25の配置が異なる他は、第1分離モジュール11と同様の構成である。したがって、以下には、第1分離モジュール11と異なる構成が詳細に説明され、同様の構成については詳細な説明が省略される。
【0093】
[血漿分離装置60]
以下に、第2実施形態にかかる血漿分離装置60が説明される。血漿分離装置60は、血液から血漿成分を分離するものであるが、血液から血清成分を分離するために用いられてもよいことは言うまでもない。
【0094】
図10及び図11に示されるように、血漿分離装置60は、前述された第1分離モジュール11と同様に、直方体形状の外形をなしている。血漿分離装置60の外形は、主として筐体上部61及び筐体下部62により形成される。筐体上部61及び筐体下部62は、筐体上部61を上側として上下二段に配置されており、これらが一体となって直方体形状の外形をなしている。
【0095】
筐体上部61は、第1分離モジュール11における空間23と円筒部24,25の配置が異なる他は同様の構成である。筐体上部61には、その下面側に第1室となる空間63が形成されている。筐体上部61の下面において、奥行き方向(矢印102)の向きをUターンにより反転させながら連続する1本の溝として形成されている。そして、この空間63は、筐体上部61の下面に対して全領域において開口している。空間63の断面積や容量は、血漿分離装置60に注入する血液の量に応じて適宜設定される。また、空間63の形状は、流路として要する長さなどを考慮して適宜変更されてよい。
【0096】
筐体上部61の上面66には、2箇所に円筒部64,65が設けられている。円筒部64,65は、その軸方向を延出方向(図10における紙面に垂直な方向、図11における矢印103)として筐体上部61の上面66から上側へ突出されている。筐体上部61の上面66における円筒部64,65の配置は、空間63として形成されている1本の溝の一端側と他端側である。円筒部64,65は軸方向に貫通する内空をそれぞれ有する。筐体上部61の上面66には、円筒部64,65の各内空に連続して上下方向(図10における紙面に垂直な方向、図11における矢印103)に貫通孔がそれぞれ形成されており、各貫通孔は空間63に到達している。これら各貫通孔及び円筒部64,65の内空により、空間63へ血液を流出入するための第1ポート及び第2ポートが形成されている。円筒部64,65のいずれを第1ポート又は第2ポートとして使用するかは任意であるが、本実施形態においては、円筒部64が第1ポートとして使用され、円筒部65が第2ポートとして使用されるものとする。
【0097】
筐体下部62は、前述された第1分離モジュール11における筐体下部22と同様の構成なので詳細な説明が省略される。筐体下部62には第2室となる空間68が形成されている。この空間68は、筐体下部62の上面に対して大きく開口している。空間68の容量は、血漿分離装置60に注入する血液の量に応じて適宜設定される。
【0098】
筐体下部62の側面31には、円筒部72が設けられている。円筒部72は、その軸方向を延出方向(矢印102)として筐体下部62の側面71から側方へ突出されている。筐体下部62の側面71における円筒部62の配置は、空間68に対応している。円筒部72は軸方向に貫通する内空を有する。筐体下部62の側面71には、円筒部72の内空に連続して奥行き方向(矢印102)に貫通孔が形成されており、その貫通孔は空間68に到達している。これら貫通孔及び円筒部72の内空により、空間68から血漿成分を流出するための第3ポートが形成されている。
【0099】
第1フィルタ73は、前述された第1分離モジュール11における第1フィルタ33と同様の中空子膜である。筐体上部61と筐体下部62とは、第1フィルタ73を介在させて、筐体上部61を上側として上下二段に接続される。この第1フィルタ73により、筐体上部61の空間63と筐体下部62の空間68とが区画されて、それぞれが血液又は血漿を保持可能な第1室と第2室となる。
【0100】
[血漿分離方法]
以下に、血漿分離装置60を用いた血漿分離方法が説明される。この血漿分離方法は、主として2つのステップに大別される。
(1) 円筒部64(第1ポート)を通じて空間63(第1室)に血液111を注入する第11ステップ
(2) 空間63において第1フィルタ63に沿って血液111を流動させながら血漿成分112を第1フィルタ63を通じて空間68へ移動させる第12ステップ
【0101】
[第11ステップ]
第11ステップに先だって、先ず、ヒトの末梢血を採血する。ヒトは患者でも健常人でもよい。採血量は、目的とする臨床検査の種類により異なる。採血は、採血管や注射器などを用いて公知の手法により行う。また、採血に際して末梢血にヘパリンやEDTAなどの凝固防止剤が加えられる。
【0102】
第11ステップでは、採血された血液111を円筒部64を通じて空間63に注入する。円筒部64に接続されたチューブに、採血に用いた注射器を接続し、注射器からチューブ及び円筒部64を通じて血液111を空間63へ注入する。このとき、円筒部65側の流路は大気開放する。
【0103】
[第12ステップ]
第12ステップでは、図11に示されるように、空間63に注入された血液111を空間63の形状に沿って第1フィルタ73上を流動させる。この流動は、円筒部64から血液111を注入しながら、円筒部65に対して吸引圧を付与することにより行われる。これにより、円筒部64から空間63に進入した血液111は、空間63の形状に従って第1フィルタ73上を流動する。
【0104】
空間63において血液111を流動させながら、空間63内の血液111における血漿成分112を第1フィルタ73を通じて空間68へ移動させる。円筒部62を通じて、空間68内が減圧すると、空間68の空気圧が空間63の空気圧に対して負圧となる。空間68を空間63に対して負圧とした状態を所定時間維持することにより、空間63内の血液111から血漿成分112が第1フィルタ73を通過して空間68へ移動する。移動した血漿成分112は空間68に貯留される。赤血球などの血球成分は、第1フィルタ73に捕捉されるか、血液111とともに空間63に残存して流動する。
【0105】
なお、第2ステップにおける空間63と空間68との圧力差や圧力を付与する時間などの設定条件は、第1フィルタ73を血球成分が通過したり、溶血が生じたりすることのない緩やかな条件を設定する。
【0106】
例えば、第12ステップにおいて、血液111中の血漿成分112が第1フィルタ73を通過するための設定条件を緩やかにすることにより、第1フィルタ73を血漿成分112が通過し難くなるか、通過するために要する時間が長くなるが、空間63において血液111が流動されることにより、その血液111は血漿成分112が空間68へ移動されながら、流動するに伴って目詰まりの無い第1フィルタ73の新たな部分と順次接触することとなる。この第1フィルタ73の新たな部分においては、血漿成分112が通過し易いので、緩やかな設定条件で血液111中の血漿成分112が第1フィルタ73を通過し得る。
【0107】
また、第1フィルタ63に所定時間間隔で振動を付与してもよい。この振動は、例えば、血漿分離装置60に偏心モータによる振動を付与したり、超音波を付与すればよい。これにより、第1フィルタ73における血球成分による目詰まりを一時的に解消して、空間63の血漿成分112を第1フィルタ73を通じて空間68へ更に移動させることができる。そして、空間68に移動した血漿成分112を円筒部72を通じて回収する。
【0108】
[第2実施形態の作用効果]
前述された血漿分離装置60を用いた血漿分離方法によれば、空間63の血液111から血漿成分112を第1フィルタ73を通過して空間68へ移動させるとともに、残存した空間63の血液111が第1フィルタ73に沿って流動するので、空間63において、血液111は血漿成分112が空間68へ移動されながら、流動するに伴って目詰まりの無い第1フィルタ73の新たな部分と順次接触することとなるので、第1フィルタ73を血漿成分112を通過させるための条件を緩やかに設定し、かつ第1フィルタ73に残存する血漿成分112を少なくすることができる。これにより、分離された血漿成分112に溶血が生じたり血球成分が混合したりすることなく、また、血漿成分112が緩衝液などで希釈されることなく、回収率高く血液111から血漿成分112を分離することができる。
【0109】
また、第12ステップにおいて、第1フィルタ73に振動を付与することにより、第1フィルタ73の目詰まりを一時的に解消して、第1フィルタ73を介して血液111から血漿成分112を更に移動させることができるので、前述された分離のための圧力などの設定条件を厳しくすることなく、また、第1フィルタ73の厚みなどを大きくすることなく、第1フィルタ73により分離される血漿成分112の量を増大することができる。
【0110】
[第2実施形態の変形例]
以下に、前述された第2実施形態の変形例が説明される。変形例では、第2実施形態における2個の血漿分離装置60が直列に接続される。ここでは、新たに接続される血漿分離装置は、血漿分離装置60と同じ構造であるが、以下の説明においては、新たに接続される血漿分離装置60における空間63を第3室と称し、空間68を第4室と称する。第3室には、円筒部64,65によって血液111を流出入するための第4ポート及び第5ポートが設けられている。また、新たな血漿分離装置60における第1フィルタ73を第2フィルタと称する。
【0111】
前述された第12ステップが行われた後、血漿分離装置60の空間63(第1室)から円筒部65(第2ポート)を通じて流出された血液111を、新たな血漿分離装置60における第4ポートを通じて第3室に注入する(第13ステップ)。
【0112】
そして、新たな血漿分離装置60の第3室において、第2フィルタに沿って血液111を流動させながら、第2フィルタを介して第3室と区画された第4室へ、第3室内の血液111における血漿成分112を第2フィルタを通じて移動させる(第14ステップ)。この第14ステップにおける設定条件は、第12ステップと同様に、緩やかに設定される。
【0113】
1個めの血漿分離装置60における空間63(第1室)に残存した血液111に対して、第13ステップ及び第14ステップを行うことにより、その残存した血液111からさらに血漿成分112を分離することができるので、前述された第12ステップにおける条件設定の自由度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる血漿分離装置10の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1分離モジュール11の分解斜視図である。
【図3】図3は、図2におけるIII−III切断面を示す断面図である。
【図4】図4は、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法を示す模式図である。
【図5】図5は、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法を示す模式図である。
【図6】図6は、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法を示す模式図である。
【図7】図7は、血漿分離装置10を用いた血漿分離方法を示す模式図である。
【図8】図8は、第1実施形態の変形例にかかる血漿分離方法を示す模式図である。
【図9】図9は、第1実施形態の変形例にかかる血漿分離方法を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態にかかる血漿分離装置60を示す平面図である。
【図11】図11は、図10におけるXI−XI切断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0115】
10・・・血漿分離装置
11・・・第1分離モジュール
12・・・第2分離モジュール
23・・・空間(第1室)
24・・・円筒部(第1ポート)
25・・・円筒部(第2ポート)
28・・・空間(第2室)
32・・・円筒部(第3ポート)
33・・・第1フィルタ
43・・・空間(第3室)
44・・・円筒部(第4ポート)
45・・・円筒部(第5ポート)
48・・・空間(第4室)
52・・・円筒部(第6ポート)
53・・・第2フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポートを通じて第1室に血液を注入する第1ステップと、
血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタを介して第1室と区画された第2室へ、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて移動させる第2ステップと、
第1室に残留した血液を第2ポートから流出する第3ステップと、
第2ポートから流出された血液を、第4ポートを通じて第3室に注入する第4ステップと、
血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタを介して第3室と区画された第4室へ、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて移動させる第5ステップと、を含む血漿又は血清分離方法。
【請求項2】
第1フィルタを通じて第2室へ移動された血漿成分又は血清成分を第3ポートを通じて流出させ、第4ポートを通じて第3室に注入される血液と混合する第6ステップを更に含む請求項1に記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項3】
上記第2ステップにおいて、第2室の内圧を第1室の内圧に対して負圧として、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて第2室へ移動させ、
上記第5ステップにおいて、第4室の内圧を第3室の内圧に対して負圧として、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて第4室へ移動させる請求項1又は2に記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項4】
上記第2ステップにおいて、第1フィルタに振動を付与し、
上記第5ステップにおいて、第2フィルタに振動を付与する請求項1から3のいずれかに記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項5】
第1ポートを通じて第1室に血液を注入する第11ステップと、
上記第1室において、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタに沿って血液を流動させながら、第1フィルタを介して第1室と区画された第2室へ、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて移動させる第12ステップと、を含む血漿又は血清分離方法。
【請求項6】
上記第2ポートから流出された血液を、第4ポートを通じて第3室に注入する第13ステップと、
上記第3室において、血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタに沿って血液を流動させながら、第2フィルタを介して第3室と区画された第4室へ、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて移動させる第14ステップと、を含む請求項5に記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項7】
上記第12ステップにおいて、第2室を第1室に対して負圧として、第1室内の血液における血漿成分又は血清成分を第1フィルタを通じて第2室へ移動させ、
上記第14ステップにおいて、第4室を第3室に対して負圧として、第3室内の血液における血漿成分又は血清成分を第2フィルタを通じて第4室へ移動させる請求項5又は6に記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項8】
上記第12ステップにおいて、第1フィルタに振動を付与し、
上記第14ステップにおいて、第2フィルタに振動を付与する請求項5から7のいずれかに記載の血漿又は血清分離方法。
【請求項9】
第1分離モジュールと第2分離モジュールとを具備する血漿又は血清分離装置であって、
上記第1分離モジュールは、
血液を注入するための第1ポート、及び血液を流出するための第2ポートを有する第1室と、
血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第1フィルタと、
上記第1フィルタを介在させて上記第1室と区画された第2室と、を具備し、
上記第2分離モジュールは、
血液を注入するための第4ポート、及び血液を流出するための第5ポートを有する第3室と、
血漿成分又は血清成分を通過させ、かつ血球成分を通過させない第2フィルタと、
上記第2フィルタを介在させて上記第3室と区画された第4室と、を具備し、
上記第1分離モジュールの第2ポートと、上記第2分離モジュールの第4ポートとが、血液を流通可能に連結されたものである血漿又は血清分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−273553(P2009−273553A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125708(P2008−125708)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】