説明

血管新生抑制剤及び外用剤

【課題】血管新生抑制作用を有する血管新生抑制剤、及びこれを含有する外用剤の提供。
【解決手段】エンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物及びシャクヤ
クの抽出物から選択される少なくとも1種を含有する血管新生抑制剤である。該血管新生
抑制剤を含有する外用剤である。該血管新生抑制剤は少なくともエンメイソウの抽出物を
含む態様等が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた血管新生抑制作用を有し、血管新生が関係する各種疾患の予防及び治療に有効である、天然系の血管新生抑制剤及び該血管新生抑制剤を含有する外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生とは、既存の血管から新しい血管が形成される現象を意味し、血管内皮細胞が産生するプロテアーゼによって血管の外包膜(基底膜)が分解され、そこに遊走、定着、及び増殖した血管内皮細胞が、分化して血管腔を形成することにより起こる。該血管新生は黄体形成、排卵、胚発生、胎盤形成等の生理条件下で観察される他、創傷の治癒、炎症の修復過程等で起こる等、生体の発生及び組織の回復に重要な役割を果たしているが、一方で、固形腫瘍(胃癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌等)の増殖及び転移、各種炎症性疾患(糖尿病性網膜症、黄斑変性症、リュウマチ性関節炎、乾癬等)、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞等の病的状態にも関係することが知られている(非特許文献1〜5参照)。
【0003】
近年、血管内皮細胞に特異的に働く血管新生促進因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)、アンジオポエチン等のリガンド及びそのレセプター系が次々と見出され、血管新生と該疾患との関係がより明確にされてきている。従って、血管新生の抑制が該疾患の治療及び予防に繋がると考えられ、例えば、前記固形腫瘍の増殖に対しては、酸素や栄養を供給するための主要血管新生が必要であることから、該血管新生を阻害して、固形腫瘍をいわゆる“兵糧攻め”の状態にすれば、結果として腫瘍の縮小が期待できる。また、前記糖尿病性網膜症に対しても、酸素不足により微小毛細血管の形成が促進され、やがてこれが破裂し、出血してはん痕組織を形成し、網膜剥離に至ると考えられていることから、該血管新生を抑制することで該網膜症の重篤化の抑制が期待できる。
【0004】
そこで、前記疾患の治療及び予防を目的として、前記血管新生を抑制する方法が数多く研究されており、例えば、長期紫外線暴露による皮膚血管系の変化が報告されている(非特許文献6)。
また、前記血管新生抑制作用を持つ物質の探索も数多く行われており、安全性の点で有利な天然物由来のものでは、担子菌類の抽出物(特許文献1)、ミカン属の植物の抽出成分(特許文献2)等に有効性が確認されている。
【0005】
したがって、現在までのところ、入手が容易で安価であり、安全性の高い天然物系のものであり、各種疾患の治療及び予防に好適に使用可能な血管新生抑制剤は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−307453号公報
【特許文献2】特開2004−331567号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Folkmanら,Nature,Vol.288,551−556,1980
【非特許文献2】高木 均,細胞工学,Vol.19,No.8,1160−1165,2000
【非特許文献3】寺野 紘,細胞工学,Vol.14,No.4,426−430,1995
【非特許文献4】Richard D Connell,Exp.Opin.Ther.Patens,10(6),767−786,2000
【非特許文献5】渋谷 正史,蛋白質核酸酵素,Vol.45,No.6,1182−1187,2000
【非特許文献6】矢野 喜一郎,第23回IFSCCオーランド大会論文報告会,18−22,2004年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、第1に、優れた血管新生抑制作用を有し、安全性が高く、原料の入手が容易な天然由来の血管新生抑制剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第2に、前記血管新生抑制剤を配合した外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、エンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物及びシャクヤクの抽出物が、優れた血管新生抑制作用を有し、血管新生の抑制が必要とされる各種疾患に対する血管新生抑制剤として有効であることを知見した。
【0010】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> テンチャの抽出物、及びボタンの抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする血管新生抑制剤である。
<2> 前記<1>に記載の血管新生抑制剤を含有することを特徴とする外用剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、前記問題を解決でき、優れた血管新生抑制作用を有する血管新生抑制剤が提供される。また、本発明の血管新生抑制剤は、天然由来であり、使用感と安全性に優れているので外用剤に配合するのに好適なものである。
本発明の外用剤は、本発明の血管新生抑制剤を配合してなるので、優れた血管新生抑制作用を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(血管新生抑制剤)
本発明の血管新生抑制剤は、エンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物及びシャクヤクの抽出物から選択される少なくとも1種を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。これらの中でも、血管新生抑制作用が高い点でエンメイソウの抽出物を含有することが特に好ましい。
【0013】
前記エンメイソウ(延命草、Isodon japonicus)は、北海道西南部から九州にかけて分布している、別名ヒキオコシと呼ばれるシソ科ヒキオコシ属の多年性草本である。前記エンメイソウは健胃薬として知られており、消化不良、食欲不振、軽度の胃痛等に用いることができる。
【0014】
前記テンチャ(甜茶、Rubus suavissimus)は、中国南西部の広西壮族自治区から広東省にかけて分布する、バラ科キイチゴ属の高さ2〜3mの灌木である。前記テンチャは、食欲増進、去痰、咳止め、解熱等に効果があるとされおり、最近では研究の過程で抗アレルギー効果、口臭予防効果、ミネラルバランスの良さ等が次々と見つかり、その味わいの良さも手伝って健康茶としても広く知られている。
【0015】
前記ボタン(牡丹、Paeonia suffruticosa)は、中国北西部原産部原産の、別名ハツカグサ、フカミグサ、ナトリグサ等と呼ばれるボタン科の落葉低木であり、一般に観賞用として庭木に植栽されている。前記ボタンは皮の主成分であるペオニフロリンに消炎、鎮痛、浄血、排膿等の効果が認められ、漢方では婦人病、便秘、痔疾等の薬として用いられている。
【0016】
前記シャクヤク(芍薬、Paeonia lactiflora)は、中国北西部、華北、西北地方から東シベリア、朝鮮半島にかけて自生するボタン科の多年生草本である。前記シャクヤクは、日本には自生せず、奈良時代に薬として渡来したとされており、江戸時代に観賞用として多くの品種が作り出された。前記シャクヤクは、血行促進、鎮痛、解熱、利尿、収斂等の効果があり、漢方では前記ボタンと同様に各種婦人病の薬として用いられている。
【0017】
前記エンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物及びシャクヤクの抽出物は古来より種々の用途に用いられ、安全性の高いものであるが、優れた血管新生抑制作用を持ち、血管新生抑制剤として有用であることは全く知られておらず、このことは、本発明者らによる新知見である。
【0018】
前記エンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物及びシャクヤクの抽出物が有する、血管新生抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、これら有効成分は植物の抽出に一般に用いられている抽出方法により得ることができる。なお、前記抽出物には、抽出液、該抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0019】
前記抽出処理に付す抽出原料であるエンメイソウ、テンチャ、ボタン及びシャクヤクの、抽出に使用する部位としては、特に制限はなく、例えば、葉部、枝部、根部、樹皮部、茎部、果実部等を用いることができる。
前記各抽出原料は、予め乾燥粉砕又は粗砕することが望ましく、また、ヘキサン等の非極性溶媒で脱脂した後のものを用いてもよい。なお、脱脂等の前処理を行うことにより、前記各抽出原料の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0020】
前記抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0021】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒等を用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、前記低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、前記低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、前記多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
【0022】
本発明において、前記各抽出原料から血管新生抑制作用を有する物質を抽出するにあたって特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
【0023】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に、各抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分間〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は、抽出原料の通常5倍量(質量比)〜15倍量(質量比)であることが好ましく、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃で1時間〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いる場合には、通常40℃〜80℃で30分間〜4時間程度である。
得られるエンメイソウ抽出液、テンチャ抽出液、ボタン抽出液又はシャクヤク抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0024】
なお、得られる各抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま配合して本発明の血管新生抑制剤の有効成分として用いることができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。該抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
【0025】
なお、得られるエンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物又はシャクヤクの抽出物は、それぞれ特有のにおいを有しているが、不快なものではなく、そのまま血管新生抑制剤として利用可能である。しかしながら、必要ならば血管新生抑制作用向上や脱色・脱臭を目的とする精製を実施したり、任意の助剤と混合したりして製剤化してもよい。前記抽出物を含有する血管新生抑制剤は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。なお、各抽出物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明の血管新生抑制剤は、優れた血管新生抑制作用を有するため、血管新生が関係する各種疾患の予防及び治療に有用であり、直接皮膚等に適用してもよいが、各種外用剤に配合して用いることが好ましく、以下の本発明の外用剤に特に好適に使用することができる。
【0027】
(外用剤)
本発明の外用剤は、本発明の血管新生抑制剤を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
【0028】
前記外用剤とは、各種薬剤を意味し、例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品、等が含まれる。外用剤の具体例としては、肌に対するものとして、軟膏、パップ、クリーム、乳液、エッセンス、ローション、パック、ゼリー、ファンデーション等を例示でき、頭皮に対するものとして、トニック、リンス、シャンプー、アストリンゼント、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアジェル等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
前記その他の成分としては、前記外用剤を製造するに当り通常用いられる補助的原料又は添加物等が挙げられる。
前記原料又は添加物としては、本発明の効果を損なわない範囲で選択すればよく、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素消去剤、精製水、低級アルコール、多価アルコール、油脂、粉体、界面活性剤、色素、防腐剤、香料等が挙げられる。
【0030】
本発明の外用剤は通常の外用剤として知られる種々の形態の基剤に配合して調製することができる。
本発明の血管新生抑制剤の外用剤への配合量は、外用剤全量に対し乾燥固形分として、好ましくは0.001〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲である。この範囲であれば、血管新生抑制効果が期待できる。
【0031】
本発明の外用剤は、高い安全性を有し、有効成分であるエンメイソウの抽出物、テンチャの抽出物、ボタンの抽出物又はシャクヤクの抽出物の働きによって血管新生の進行を効果的に抑制し得、これにより、血管新生が関係する各種疾患を予防及び治療することができる。
【0032】
以上に説明した本発明の血管新生抑制剤及び外用剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、本発明の作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用されてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
(製造例1)
−エンメイソウの50%エタノール抽出物の製造−
エンメイソウの地上部の乾燥物を細切りしたもの200gに抽出溶媒である50%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)2,000mLを加え、還流抽出器を付けて90℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し乾燥して、エンメイソウの50%エタノール抽出物を得た。抽出物の収率は表1に示す通りであった。
【0035】
(製造例2)
−テンチャの50%エタノール抽出物の製造−
テンチャの葉部の乾燥物を細切りしたもの200gに抽出溶媒である50%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)2,000mLを加え、還流抽出器を付けて90℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し乾燥して、テンチャの50%エタノール抽出物を得た。抽出物の収率は表1に示す通りであった。
【0036】
(製造例3)
−ボタンの50%エタノール抽出物の製造−
ボタンの樹皮部の乾燥物を細切りしたもの200gに抽出溶媒である50%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)2,000mLを加え、還流抽出器を付けて90℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し乾燥して、ボタンの50%エタノール抽出物を得た。抽出物の収率は表1に示す通りであった。
【0037】
(製造例4)
−シャクヤクの50%エタノール抽出物の製造−
シャクヤクの根部の乾燥物を細切りしたもの200gに抽出溶媒である50%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)2,000mLを加え、還流抽出器を付けて90℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し乾燥して、シャクヤクの50%エタノール抽出物を得た。抽出物の収率は表1に示す通りであった。
【0038】
【表1】

【0039】
(実施例1)
−血管新生抑制作用試験−
製造例1〜4で得られた各抽出物について、下記の方法により血管新生抑制作用を試験した。血管新生は、ラット動脈片をコラーゲンゲル中で培養する方法を用いた。
【0040】
−−試験動物−−
日本クレア社より購入した6〜8週齢(体重160g〜240g)のWistar系雄ラットを下記血管新生抑制作用試験に供した。
【0041】
−−血管新生抑制作用試験方法−−
前記試験動物をジエチルエーテルにより麻酔し、右太腿動脈切断により出血死させた後、胸部大動脈を取り出し、1mm〜1.5mmの長さに切断した。この動脈片を6ウェル培養プレートに移し、コラーゲンゲル溶液で包埋し、37℃でゲル化させた。その後1%ITS+(ベクトン・デッキンソンバイオサイエンス社製)を含むRPMI1640培地(ギフコ社製)を2mL加えた。次いで製造例1〜4から得られた各抽出物をそれぞれ100μg/mLとなるように添加し、5%COインキュベーター中で7日間培養した。コントロールには、抽出物を添加しないこと以外は同様の操作を行った。
培養から7日目に、動脈片から生じる微小血管毛を倒立顕微鏡下で撮影し、画像をコンピューターに取り込んだ後、微小血管の長さを測定した。得られた結果から、コントロールの平均微小血管長に対する、各抽出物を添加したサンプルの平均微小血管長の割合を算出し、それを抑制率(%)とした。抑制率(%)と標準偏差(SD)を表2に示す。
なお、コラーゲン溶液は、コラーゲン原液(セルマトリックス型Ia、新田ゼラチン社製)、10×Eagle’s MEM培地(ギブコ社製)、及び再構成緩衝液(新田ゼラチン社製)を体積比で8:1:1になるように混合して調製し、4℃で保存したものを使用した。
【0042】
【表2】

表2の結果から、製造例1〜4の各抽出物が血管新生抑制作用を有することが確認できた。特にエンメイソウの抽出物に優れた血管新生抑制作用が認められた。
【0043】
(配合実施例1)−軟膏−
下記組成の軟膏を常法により製造した。
エンメイソウの50%エタノール抽出物(製造例1) 5.00g
白色ワセリン 24.00g
ステアリルアルコール 20.00g
プロピレングリコール 12.00g
インドメタシン 1.00g
香料 0.10g
パラオキシ安息香酸メチル 0.05g
精製水 残部
合計 100.00g
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の血管新生抑制剤は、血管新生を抑制し、例えば、固形腫瘍(胃癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌等)の増殖及び転移、並びに各種炎症性疾患(糖尿病性網膜症、黄斑変性症、リュウマチ性関節炎、乾癬等)、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞等等の各種疾患の予防及び治療をすることができ、外用剤に好適に用いられる。
該血管新生抑制剤を含有する本発明の外用剤は、優れた血管新生抑制作用を有し、安全性にも優れているので、例えば化粧料、医薬部外品、医薬品等の各種外用剤に幅広く用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンチャの抽出物、及びボタンの抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする血管新生抑制剤。
【請求項2】
請求項1に記載の血管新生抑制剤を含有することを特徴とする外用剤。

【公開番号】特開2012−25777(P2012−25777A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232909(P2011−232909)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2005−195452(P2005−195452)の分割
【原出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】