行動履歴管理装置、方法及びプログラム
【課題】行動履歴情報をもとに長期的な観点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に確認できるようにする。
【解決手段】緯度・経度データベース11から緯度・経度データを読込み、この読込まれた緯度・経度データを緯度・経度/住所データベース12をもとに住所に変換する。そして、行動期間算出部22により、上記変換された住所をもとに同一住所を抽出して、この抽出された同一住所のうち基本滞在間隔xより短い間隔で繰り返し滞在している住所を検出し、この検出された住所への最初の滞在日時から最後の滞在日時までの期間を当該住所に対する訪問行動の継続期間として算出して保存する。
【解決手段】緯度・経度データベース11から緯度・経度データを読込み、この読込まれた緯度・経度データを緯度・経度/住所データベース12をもとに住所に変換する。そして、行動期間算出部22により、上記変換された住所をもとに同一住所を抽出して、この抽出された同一住所のうち基本滞在間隔xより短い間隔で繰り返し滞在している住所を検出し、この検出された住所への最初の滞在日時から最後の滞在日時までの期間を当該住所に対する訪問行動の継続期間として算出して保存する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄積された行動履歴情報から利用者の過去の行動を想起する作業を支援する機能を備えた行動履歴管理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やスマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナル・コンピュータ等の携帯端末では、GPSセンサの搭載やメモリの大容量化により、利用者の位置情報を連続的かつ長期的に蓄積することが可能になっている。この蓄積された位置情報を利用することで、利用者は「自分がいつどこで何をした」という過去の行動を容易かつ正確に想起することが可能となる。
【0003】
しかし、蓄積された位置情報が長期的になるほど、この位置情報を用いた行動の振り返りを行う際には以下のような問題が発生する。
(1) データ量が膨大になるため、利用者が目的とする部分の位置情報を探すことが困難になる。
(2) 時間が経過するに従い位置情報を見るだけでは、その場所で行われた行動の内容を想起することが困難になる。
【0004】
そこで、蓄積された位置情報から1日の各時刻における利用者の位置の存在確率を求め、この存在確率が一定値以下となる箇所を重要な場所・時間帯として算出する方式が提案されている(非特許文献1を参照)。また、GPSデータから算出される滞在地情報とスケジューラ等に登録された情報とを時間情報をキーに対応付けることにより、記録したGPSデータに対応する行動の内容を利用者に提示可能とした技術も提案されている(非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】暦本純一、味八木崇、「WHEN-becomes-WHERE: WiFiセルフロギングによる継続的位置履歴取得とその応用」、情報処理学会インタラクション2007、2007年。
【非特許文献2】牛尼剛聡、渡邉豊英、「ライフログ検索における時間粒度を考慮した索引付け」、情報処理学会研究報告、データベースシステム、IPSJ SIG Notes 2005(68)、pp.469-475、2005年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、非特許文献1に記載された技術では、1日の各時刻における利用者の位置の存在確率に基づく行動は把握できるものの、長期的な視点から見た利用者の行動については簡単かつ的確に把握することができない。また非特許文献2に記載された技術では、スケジューラ等に登録された情報をもとに個々の滞在地に対する利用者の行動を把握することはできる。しかし、非特許文献1に記載された技術と同様に、長期的な視点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に把握することは困難である。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、行動履歴情報をもとに長期的な観点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に確認できるようにする行動履歴管理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理装置にあって、上記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込み、この読込まれた行動履歴情報をもとに同一の滞在地に滞在する行動群を抽出する。そして、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出して、この算出された行動継続期間を表す情報を上記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶するようにしたものである。
【0009】
したがって、同一の行動が一定の時間間隔内で繰り返し実行されている場合には、この行動群全体に対して1つの行動継続期間が定義されて、この情報が利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶される。このため、利用者が自身の過去の行動を振り返る場合に、長期的な観点から見たときの自身の行動を簡単かつ的確に確認できるようになる。
【0010】
また、この発明の1つの観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、上記行動継続期間を算出する際に、上記抽出された行動群のうち上記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と上記検出された第1の行動の総数に対する上記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、上記第2の行動を上記第1の行動に含めて上記行動継続期間を算出するようにしたものである。
このようにすると、例えば、毎週訪れている特定の場所にたまたまある週だけ訪れなかったような場合でも、本来ならば1つの行動群の継続期間と見なせる期間が複数に分割されることを防ぐことができる。
【0011】
第2の態様は、上記行動履歴情報又は利用者の入力情報をもとに利用者の拠点となる滞在地を予め設定しておき、上記行動継続期間を算出する際に、上記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地と上記設定された利用者の拠点滞在地との距離に応じて、上記第1及び第2の時間間隔のうち少なくとも第1の時間間隔を可変設定するようにしたものである。
このようにすると、例えば上記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地が利用者の拠点滞在地から遠いほど第1の時間間隔又は第1及び第2の時間間隔を長く設定することができ、これにより上記行動継続時間の算出処理を、実状にあったパラメタのもとでより適切に行うことが可能となる。
【0012】
第3の態様は、上記利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表すスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶手段が設けられている場合に、上記算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応するスケジュール情報を上記スケジュール記憶手段から読み出して関連付けて記憶するようにしたものである。
このようにすると、同一行動がある周期で繰り返し実行されている行動継続期間に対し、当該行動の行動内容を表す情報が関連付けられて記憶される。このため、利用者は過去の行動継続期間に繰り返し実行した行動の内容を即時確認することが可能となる。
【0013】
第4の態様は、算出された行動継続期間に実行された行動群について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、上記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、上記行動継続期間に実行された行動群の重要度を算出するようにしたものである。
このようにすると、利用者は過去の行動継続期間に繰り返し実行した行動についての重要度を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
すなわちこの発明によれば、行動履歴情報をもとに長期的な観点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に確認できるようにする行動履歴管理装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係る行動履歴管理装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した行動履歴管理装置による、長期的観点から見た行動継続期間の算出処理と、当該行動継続期間における行動の重要度及び行動内容の算出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる緯度・経度データベースに蓄積された位置データの一例を示す図。
【図4】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる緯度・経度/住所データベースに記憶されたデータの一例を示す図。
【図5】図1に示した行動履歴管理装置に設けられるパラメタデータベースに記憶されたパラメタデータの一例を示す図。
【図6】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる行動内容データベースに記憶された、利用者の行動内容を示すデータの一例を示す図。
【図7】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる行動情報データベースに記憶される、長期的観点から見た行動継続期間における行動内容と重要度を示すデータの一例を示す図。
【図8】長期的観点から見た行動継続期間の算出処理方法の実施例1を示す図。
【図9】長期的観点から見た行動継続期間の算出処理方法の実施例2を示す図。
【図10】図2に示したフローチャートにおける行動継続期間算出処理の詳細な手順と処理内容を示すフローチャート。
【図11】図10に示したフローチャートのステップS52による処理の具体例を説明するための図。
【図12】図10に示したフローチャートのステップS54による処理の具体例を説明するための図。
【図13】図10に示したフローチャートのステップS55による処理の具体例を説明するための図。
【図14】図10に示したフローチャートのステップS56による処理の具体例を説明するための図。
【図15】図10に示したフローチャートのステップS59による処理の具体例を説明するための図。
【図16】図10に示したフローチャートのステップS54〜S59に示した処理により得られる結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る行動履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。この行動履歴管理装置は、例えばユーザが所持する携帯端末により構成され、記憶ユニット1と、処理ユニット2と、操作入力部3を備え、さらに図示しない表示部、GPS(Global Positioning Service)受信部、通信インタフェース部を備えている。
【0017】
GPS受信部は、図示しない複数のGPS衛星が送信しているGPS信号を予め定められた受信周期でそれぞれ受信する機能を有する。通信インタフェース部は、携帯通信網や無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークとの間で通信を行う機能を有する。
なお、携帯端末としては、携帯電話機、スマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯可能な小型パーソナル・コンピュータ等が該当する。
【0018】
記憶ユニット1は、例えばHDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等のランダムアクセス可能な不揮発性記憶デバイスを使用したもので、この発明の一実施形態を実現するために必要な記憶部として、緯度・経度データベース11と、緯度・経度/住所データベース12と、期間算出パラメタデータベース13と、行動内容データベース14と、行動情報データベース15を備えている。
【0019】
緯度・経度データベース11は、上記GPS受信部により受信されたGPS信号をもとに処理ユニット2が計算した緯度・経度データを、利用者の滞在地の履歴を表すデータとして蓄積するために用いられる。図3は記憶された緯度・経度データの一例を示すものである。
【0020】
緯度・経度/住所データベース12には、ユーザの行動予定地域を少なくとも含む範囲の住所変換データが記憶されている。この住所変換データは、位置情報の緯度・経度データに対応付けて該当する地点の住所情報を記憶したものである。図4はこの緯度・経度/住所データベース12に記憶された住所変換データの一例を示す。なお、住所情報は、その領域の大きさに応じて複数の住所粒度に、例えば「都道府県」、「区・市町村」、「地名」及び「番地」の4階層の住所粒度に階層化されていてもよい。
【0021】
期間算出パラメタデータベース13には、長期的観点から見た行動継続期間を計算するために用いるパラメタが記憶されている。このパラメタは、時間粒度と、基準滞在間隔xと、許容滞在間隔yと、許容割合αとを1セットとしたもので、複数のセットが用意されている。図5はその一例を示す図である。
【0022】
行動内容データベース14には、スケジューラ等により入力された利用者の行動内容情報を表す情報が複数個記憶される。個々の行動内容情報を表す情報は、行動内容を表す情報と、行動開始日時及び行動終了日時を表す情報とを含む。図6はその一例を示す図である。
【0023】
行動情報データベース15は、後述する処理ユニット2により得られた、利用者の長期的観点から見た行動継続期間における行動情報を記憶するために用いられる。個々の行動情報は、上記長期的観点から見た行動継続期間を表す情報と、当該行動継続期間における利用者の代表的な行動内容を表す情報と、その重要度と、時間粒度を表す情報とから構成される。図7はその一例を示すものである。
【0024】
処理ユニット2は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)を備え、この発明の一実施形態を実施するために必要な制御機能として、滞在住所算出部21と、行動期間算出部22と、拠点住所算出部23と、重要度算出部24と、行動内容付与部25とを備えている。なお、これらの処理機能はいずれも、図示しないプログラムメモリに格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0025】
滞在住所算出部21は、操作入力部3により指定入力された処理対象期間に計測された緯度・経度データの集合を、上記緯度・経度データベース11から選択的に読み出す。そして、この読み出された滞在地の緯度・経度データの各々について、当該緯度・経度データをキーとして緯度・経度/住所データベース12を検索することにより、当該滞在地の緯度・経度データに対応する住所情報を読み出す処理を実行する。
【0026】
行動期間算出部22は、期間算出に必要なパラメタを期間算出パラメタデータベース13から読込む。そして、このパラメタに基づいて、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報を用いて、各時間粒度の観点から長期的観点から見た利用者の行動継続期間を算出する処理を行う。この処理は、同一住所に対し基本滞在間隔x(xは正の定数)以下の滞在(訪問)間隔で繰り返し訪問が行われている期間を、長期的観点から見た行動継続期間とみなすことを基本とする。
【0027】
拠点住所算出部23は、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報に基づいて、利用者の拠点住所を決定する処理を行う。この処理は、各滞在住所の総滞在時間を比較し、総滞在時間が閾値より長い滞在住所の中から指定された個数の住所とその住所に対応する緯度・経度データの組を選択して、これを「拠点となる住所」として決定することにより実現される。また拠点住所算出部23は、利用者が操作入力部3において任意に入力した滞在住所と滞在住所に対応する緯度・経度データの組を入力した場合には、この入力されたデータの組を、「拠点となる住所」として決定する。
【0028】
重要度算出部24は、上記行動期間算出部22により算出された、長期的観点から見た行動継続期間と、該当行動に対応する住所情報と、それに対応する緯度・経度データと、行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報とからなるデータの組を用いて、滞在時間長、滞在回数、平均訪問期間、及び指定された場所からの距離のうちの少なくとも1つを算出し、その算出結果をもとに上記行動継続期間の重要度を算出する。この重要度は、滞在時間長が長いほど、滞在回数が多いほど、平均訪問期間が短いほど、また指定された場所から近いほど大きな値をとる。
【0029】
行動内容付与部25は、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間と、行動期間算出部22によって算出された行動に対応する住所情報と、行動期間算出部24が行動期間の算出に用いた時間粒度情報と、上記重要度算出部24により算出された行動継続期間の重要度の各組に対し、行動内容データベース14に含まれる行動情報群の中から1つの行動情報を選んで付与する処理を行う。
【0030】
[動作]
次に、以上のように構成された行動履歴管理装置による、長期的観点から見た行動継続期間の算出処理と、当該行動継続期間における行動の重要度及び行動内容の算出処理を説明する。図2はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
(1)滞在履歴情報の蓄積処理
ユーザの行動中に装置では、ユーザの緯度・経度データの計測及び蓄積処理が行われる。すなわち、装置では複数のGPS衛星が送信しているGPS信号が予め定められた受信周期でそれぞれGPS受信部により受信される。そして、このGPS受信部によりGPS信号が受信されるごとに、この受信された複数のGPS信号をもとに処理ユニット2の位置計算部(図示せず)により自装置の現在位置を表す緯度・経度が算出され、この算出された緯度・経度とその計測時刻を含むデータが緯度・経度データベース11に書き込まれる。したがって、緯度・経度データベース11には、上記一定の周期で算出された緯度・経度データがユーザの滞在履歴を表す情報として蓄積されることになる。
【0032】
(2)長期的観点から見た行動継続期間の算出
処理時刻になると、処理ユニット2の滞在住所算出部21は、先ず処理ステップS1により緯度・経度データベース11から蓄積済の緯度・経度データを読み込む。なお、読み込まれる緯度・経度データには、図3に示したように緯度・経度取得時刻を表す情報が含まれている。また、緯度・経度データの読み込み対象期間は、緯度・経度データベース11に蓄積されている全てのデータを読み込むように設定してもよいし、別途指定された期間のみ読み込むように設定してもよい。
【0033】
滞在住所算出部21は、続いて処理ステップS2において、緯度・経度/住所データベース12に記憶されている緯度・経度データと住所情報との変換テーブルを用いて、上記緯度・経度データベース11から読み込んだ緯度・経度データを住所情報に変換する。そして、滞在住所ごとの滞在開始時刻及び滞在終了時刻を算出し、この算出した情報を行動期間算出部22及び拠点住所算出部23へ渡す。
【0034】
次に、処理ステップS3において拠点住所算出部23が、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報を用いて、重要度を計算する際に必要となる利用者の拠点住所を決定する。この拠点住所の決定処理は、各滞在住所の総滞在時間を比較して、総滞在時間が長い滞在住所の中から指定された個数の住所とその住所に対応する緯度・経度データの組を選択し、この選択した住所とその位置を表す緯度・経度データの組を、「拠点となる住所」とすることにより行われる。
【0035】
なお、上記利用者の拠点住所を決定する処理は、利用者が操作入力部3において任意に入力した滞在住所とその緯度・経度データの組に基づいて行ってもよい。この場合の処理は、操作入力部3から滞在住所と当該滞在住所に対応する緯度・経度データの組を入力として受け取る。例えば、「住所:東京都港区芝公園、緯度:35.658704、経度:139.745408」を表す入力データを受け取る。そして、この受け取った滞在地のデータをもとに上記した処理により利用者の拠点住所を決定する。
【0036】
次に行動期間算出部22が、先ず処理ステップS4において、長期的観点から見た行動継続期間の算出に必要なパラメタを期間算出パラメタデータベース13から読み込む。なお、期間算出パラメタデータベース13のテーブルには、図5に示したように時間粒度情報と、その時間粒度情報に対応する基本滞在間隔長x及び許容滞在時間長yと、許容滞在間隔の許容割合αを表す情報がセットとして記憶されている。行動期間算出部22はこれらのセットのうちの1つ以上を読み込む。
【0037】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS5において、上記ステップS4により読込まれたパラメタに基づいて、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報より、時間粒度の観点から利用者の行動継続期間を算出する。この行動継続期間の算出処理方法には次の二つの実施例が考えられる。
【0038】
(実施例1)
この実施例1の方法は、同一住所に対し基本滞在間隔x(xは正の定数)以下の滞在(訪問)間隔で繰り返し訪問が行われている期間を、長期的観点から見た行動継続期間とみなすものである。
例えば図8に示すように、基本滞在間隔xの値が10日であるときに、7日おきに同一の住所へ訪問することを4回続けた場合には、この住所へはじめて滞在した時の滞在開始日時(2010/11/1 10:00)から、最後に滞在したときの滞在終了日時(2010/11/22 11:00)までを、同一の「長期的観点からの行動」が継続している期間として扱う。
【0039】
(実施例2)
上記実施例1の方法では、例えば毎週訪れているある場所にたまたまある週だけ訪れなかった場合に、同一の「長期的観点からの行動」の期間が不必要に分割されてしまう。
これを防ぐために実施例2の算出方法は、許容滞在間隔y(yはx≦yを満たす定数)を用意し、同一の「長期的観点からの行動」の期間内における滞在間隔の総数に対する、基本滞在間隔xより大きく許容滞在間隔y以下の滞在間隔である間隔数の割合を算出し、この算出された割合が予め設定された許容割合α(αは0以上の定数)以下であれば、同一の「長期的観点からの行動」が継続されている期間としてみなすものである。
【0040】
例えば図9に示すように、同図中の破線で囲った部分は、7回の同一住所内の滞在に存在する6回の訪問間隔のうち、1回の訪問間隔のみが基本滞在間隔x(=10日)を超えている。したがって、その割合は1/6×100≒17%となり、この値は許容割合α(=25%)以下である。このため、この期間を「長期的観点からの行動」が継続している期間として扱う。
【0041】
(行動継続期間の算出処理の具体例)
ところで、以上述べた行動継続期間の算出処理は具体的には以下のように実行される。図10はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、行動期間算出部22は、先ず処理ステップS51において、上記処理ステップS2において得られた滞在地住所群の中に、指定された期間内に利用者が2回以上滞在した住所があるか否かを判定する。この判定の結果、2回以上滞在した住所が存在しなかった場合には処理を終了する。
【0042】
これに対し、2回以上滞在した住所が見つかったとする。この場合行動期間算出部22は、処理ステップS52において、上記同一の滞在地住所のうち利用者が基本滞在間隔xより短い時間間隔で訪問している滞在地住所を含む期間をひとまとめにし、これを1つの見なし滞在期間とする。なお、この期間の状態を「見なし滞在」と定義する。図11は、この見なし滞在期間を求めるための処理の一例を示すものである。
【0043】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS53において、見なし滞在期間が複数個存在するか否かを判定する。そして、1つしか存在しない場合には処理ステップS60に移行し、ここで当該見なし滞在期間を、先にステップS4により期間算出パラメタデータベース13から読込んだ時間粒度に対応する、「長期的観点からの行動」を表す情報として確定させる。
【0044】
一方、上記見なし滞在期間が複数存在すると判定された場合、行動期間算出部22は処理ステップS54において、許容滞在期間y以下の時間間隔で「見なし滞在」が発生している期間を検出してこれらをひとまとめにし、これを1つの見なし滞在期間とする。なお、この期間の状態を「ひとまとめの見なし滞在」と定義する。図12は、このひとまとめの見なし滞在期間を求めるための処理の一例を示すものである。
【0045】
続いて行動期間算出部22は、処理ステップS55において、上記「ひとまとめの見なし滞在」の各々に対して、その期間内における各滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が、予め設定した許容割合α以下であるか否かを判定する。図13はこの処理ステップS55による判定処理の一例を示すものである。
【0046】
この判定の結果、滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が許容する割合αより大きかったとする。この場合行動期間算出部22は、処理ステップS56において、当該「ひとまとめの見なし滞在」期間内から最後に滞在した「見なし滞在」を除外して、再度処理ステップS55を実行する。この処理ステップS56による処理の一例を図14に示す。
【0047】
上記処理ステップS55において、滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が許容する割合α以下になると、行動期間算出部22は処理ステップS57において、当該「ひとまとめの見なし滞在」を、上記ステップS4により期間算出パラメタデータベース13から読込んだ時間粒度に対応する、「長期的観点からの行動」を表す情報として確定させる。
【0048】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS58において、上記処理ステップS56にて除外された「見なし滞在」が存在するか否かを判定する。そして、除外された「見なし滞在」が存在しない場合はそのまま処理を終了する。
【0049】
これに対し、除外された「見なし滞在」が存在する場合には、行動期間算出部22は処理ステップS59に移行する。そして、この処理ステップS59において、当該「除外された見なし滞在」の全てをまとめて「ひとまとめの見なし滞在」とし、処理ステップS55に戻って上記処理ステップS55から処理ステップS58による処理を再度実行する。図15は、上記処理ステップS59により行われる処理の一例を示すものである。また、図16は上記処理ステップS54から処理ステップS59によって得られる結果の一例を示すもものである。
【0050】
なお、基本滞在間隔長xならびに許容滞在時間長yは、「拠点となる住所」の緯度・経度、設定された住所粒度における同一の「長期的観点からの行動」と見なされる行動の住所の緯度・経度の距離に応じて距離が長いほど値を大きくするなどしてもよい。また、基本滞在間隔長x、許容滞在時間長y及び許容割合αの値は、同一行動と見なされる行動の出現頻度や実行間隔に合わせて適宜変更してもよい。
さらに、行動継続期間の算出処理は、GPSデータから算出された滞在情報以外に、利用者が操作入力部3から手動で入力した滞在情報と等価な情報を用いて行うようにしてもよい。
【0051】
(3)行動ごとの重要度の算出
以上述べた長期的な観点から見た行動継続期間の算出処理が終了すると、行動期間算出部22は当該算出された行動継続期間と、当該行動継続期間に含まれる行動による滞在地住所と、当該住所の緯度・経度情報と、行動期間算出に用いた時間粒度情報との組を、重要度算出部24へ渡す。例えば、期間2010/9/15〜2010/9/30、住所:東京都港区芝公園、緯度:35.658704、経度:139.745408、時間粒度:1週間からなる情報の組を、重要度算出部24へ渡す。
【0052】
上記行動継続期間に関する情報の組を受け取ると、重要度算出部24は処理ステップS6において、上記算出された行動継続期間に含まれる行動に対する重要度を計算する。この重要度は、滞在時間長が長いほど、滞在回数が多いほど、平均訪問期間が短いほど、または指定された拠点滞在地から近いほど大きな値をとるように、例えば下式によって算出される。
【数1】
【0053】
ただし、同式において、ri は長期的観点からの行動iの重要度、ti は長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動を実行した総時間長、taは処理ステップS1により緯度・経度情報を読込む対象となった期間の長さ、niは長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動を実行した回数、na は長期的観点からの行動の種類ののべ総数、di は利用者の拠点住所の緯度・経度データと長期的観点からの行動iの緯度・経度データとの間の距離、ii は長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動が実行された平均時間間隔の長さをそれぞれ示している。なお、a,b,c,dは定数である。
【0054】
上記距離di の算出は、「拠点となる住所」の緯度・経度データと、予めパラメタとして設定された住所粒度における当該住所の緯度・経度データとを用いて行われる。またその際、これら住所に含まれる緯度・経度データが複数存在する場合は、当該住所に含まれる緯度・経度データのうち、利用者が手動で指定した緯度・経度データを用いてもよく、またそれらの住所に含まれる緯度・経度データ群から計算により求められる値、例えば緯度・経度データ群の重心を用いてもよい。
【0055】
(4)行動内容を表す情報の付与
上記重要度算出部24により求められた重要度ri と、前記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間と、当該行動期間算出部22によって算出された行動に対応する住所情報と、当該行動期間算出部22が行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報は、行動内容情報付与部25に渡される。
【0056】
行動内容情報付与部25は、処理ステップS7において、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間に含まれる行動に対応する住所に滞在した期間の全て或いは一部を行動に対応する期間に対して日時が対応する行動内容情報を、図6に例示した行動内容データベース14より読み込む。そして、この読み込んだ各行動内容情報を形態素解析処理等により単語毎に分解し、上記読み込んだ行動内容情報群において多く出現する単語ほどその単語を含む行動内容の適合度が高くなるように設定する。そして、この適合度が最も高くなる行動内容を表す情報を上記行動継続期間の行動に対し付与する。
【0057】
例えば、上記行動内容情報付与部25による処理は以下の手順によって行われる。
すなわち、行動期間算出部22によって算出された行動継続期間において、行動に対応する住所へのi(i=1〜M)回目に滞在した際のi回目の滞在開始時間をss_{i}、滞在終了時間をse_{i}とする。また、行動内容データベース14に蓄積されているj番目(j=1〜N_{all})の行動内容をa_{j}、その行動開始時刻をas_{j}、行動終了時刻をae_{j}とし、
(1) as_{j}<ss_{i}<ae_{j}
(2) as_{j}<se_{i}<ae_{j}
(3) ss_{i}≦as_{j} かつ ae_{j}≦se_{i}
のうちいずれかが成り立つiが存在する行動内容を全て読み込む。
【0058】
続いて、上記読み込んだ行動内容の数がN_{selected}個であるとし、k番目(k=1〜N_{selected})の行動内容をa_{k}とする。N_{selected}個のa_{k}を形態素解析した上で、各行動内容a_{k}の適合度を以下の式により算出し、最も適合度の高いa_{k}を該当の行動の行動内容として扱う。
【数2】
【0059】
ただし、fk は行動内容a_{k}の適合度、wN a_{k} は行動内容a_{k}に含まれる単語数、aNm は行動内容a_{k}に含まれる単語mが読込んだ行動内容個数N_{selected}の中に含まれる個数をそれぞれ示す。
なお、適合度の算出に用いる単語の重みは、該当の住所へ滞在した時間帯と行動内容の指し示す時間帯の重複の度合に合わせ、重複の度合が高い行動内容に用いられている単語ほど重みを重くする、などとしてもよい。
【0060】
(5)行動情報の記憶
上記行動内容の付与処理が終了すると、行動内容付与部25は最後に処理ステップS8において、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間を表す情報と、同じく行動期間算出部22が行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報と、重要度算出部24によって算出された行動継続期間の重要度を表す情報と、行動内容付与部25によって算出した行動内容を表す情報の組を、行動情報データベース15へ格納する。
【0061】
この結果、行動情報データベース15には、例えば図7に示すように、行動内容名情報、時間粒度情報、行動開始日時情報、行動終了日時情報と重要度情報が格納される。格納される情報の一例としては他に、行動内容:特許検討、時間粒度:1週間、期間2010/9/15〜2010/9/30、重要度:0.5のデータの組が考えられる。
【0062】
以上詳述したようにこの実施形態では、行動履歴記憶手段としての緯度・経度データベース11から行動履歴情報としての緯度・経度データを読込み、この読込まれた緯度・経度データを緯度・経度/住所データベース12をもとに住所に変換する。そして、行動期間算出部22により、上記変換された住所をもとに同一住所を抽出して、この抽出された同一住所のうち基本滞在間隔xより短い間隔で繰り返し滞在している住所を検出し、この検出された住所への最初の滞在日時から最後の滞在日時までの期間を当該住所に対する訪問行動の継続期間として算出するようにしている。
【0063】
したがって、同一住所に対し一定の時間間隔内で繰り返し訪問が行われている場合には、この訪問行動群全体に対して1つの行動継続期間が定義され、この行動継続期間を表す情報が利用者の長期的継続行動を表す情報として利用される。このため、利用者が自身の過去の行動を振り返る場合に、長期的な観点から見たときの自身の行動を簡単かつ的確に確認できるようになる。
【0064】
また、行動継続期間を算出する際に、前記抽出された同一住所群のうち基本滞在間隔x以上でかつ当該基本滞在間隔xより長く設定された許容滞在間隔yより短い間隔で訪問された第2の住所をさらに検出し、この検出された第2の住所と上記先に検出された第1の住所の総数に対する上記第2の住所の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合αより少ない場合に、上記第2の住所を前記第1の住所に含めて上記行動継続期間を算出するようにしている。このため、例えば毎週訪れている特定の場所にたまたまある週だけ訪れなかったような場合でも、本来ならば1つの行動群の継続期間と見なせる期間が複数に分割されることを防ぐことができる。
【0065】
さらに、上記行動履歴情報又は利用者の入力情報をもとに、利用者の拠点となる住所を設定しておき、行動継続期間を算出する際に、上記変換された住所をもとに抽出された同一住所と上記設定された利用者の拠点住所との距離が遠くなるほど、上記基本滞在間隔x及び許容滞在間隔yの値を大きくするように設定している。このため、上記行動継続時間の算出処理を、より実状にあったパラメタのもとで適切に行うことが可能となる。
【0066】
さらに、利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表す行動内容情報を行動内容データベース14に記憶しておき、この行動内容データベース14から日時が対応する行動内容情報を読み出して形態素解析等により最も適合性の高い単語を抽出し、この抽出した単語を上記行動継続期間に含まれる滞在住所に対応付けるようにしている。したがって、同一住所に対しある周期で繰り返し訪問がなされている行動継続期間に対し、当該住所における利用者の行動内容を表す単語が対応付けられることになる。このため、利用者は過去の自身の行動を振り返る際に、上記対応付けられた行動内容を表す単語により、直的直感的な観点から見た行動継続期間の行動の内容を即時確認することが可能となる。
【0067】
さらに、行動継続期間に含まれる各住所について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、利用者の拠点住所からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点住所からの距離に基づいて、上記行動継続期間又はこれに含まれる各住所の重要度を算出し、当該行動継続期間又は住所に付与するようにしている。したがって、利用者は過去の長期的な観点から見た行動継続期間について当該期間又はその滞在地についての重要度を確認することが可能となる。
【0068】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では利用者が所持する携帯端末に図1に示すすべての機能を設けた場合を例にとって説明したが、これらの機能のうち記憶ユニット1の各データベースについてはサーバ装置に設け、必要に応じてこのサーバ装置からデータを取得するようにしてもよい。
【0069】
その他、携帯端末の種類やその構成、行動継続期間の算出処理の手順とその処理内容、算出された行動継続期間に付与する当該期間の特徴を表す情報の種類や内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…記憶ユニット、2…処理ユニット、3…操作入力部、11…緯度・経度データベース、12…緯度・経度/住所データベース、13…期間算出パラメタデータベース、14…行動内容データベース、15…行動情報データベース、21…滞在住所算出部、22…行動期間算出部、23…拠点住所算出部、24…重要度算出部、25…行動内容付与部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄積された行動履歴情報から利用者の過去の行動を想起する作業を支援する機能を備えた行動履歴管理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やスマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナル・コンピュータ等の携帯端末では、GPSセンサの搭載やメモリの大容量化により、利用者の位置情報を連続的かつ長期的に蓄積することが可能になっている。この蓄積された位置情報を利用することで、利用者は「自分がいつどこで何をした」という過去の行動を容易かつ正確に想起することが可能となる。
【0003】
しかし、蓄積された位置情報が長期的になるほど、この位置情報を用いた行動の振り返りを行う際には以下のような問題が発生する。
(1) データ量が膨大になるため、利用者が目的とする部分の位置情報を探すことが困難になる。
(2) 時間が経過するに従い位置情報を見るだけでは、その場所で行われた行動の内容を想起することが困難になる。
【0004】
そこで、蓄積された位置情報から1日の各時刻における利用者の位置の存在確率を求め、この存在確率が一定値以下となる箇所を重要な場所・時間帯として算出する方式が提案されている(非特許文献1を参照)。また、GPSデータから算出される滞在地情報とスケジューラ等に登録された情報とを時間情報をキーに対応付けることにより、記録したGPSデータに対応する行動の内容を利用者に提示可能とした技術も提案されている(非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】暦本純一、味八木崇、「WHEN-becomes-WHERE: WiFiセルフロギングによる継続的位置履歴取得とその応用」、情報処理学会インタラクション2007、2007年。
【非特許文献2】牛尼剛聡、渡邉豊英、「ライフログ検索における時間粒度を考慮した索引付け」、情報処理学会研究報告、データベースシステム、IPSJ SIG Notes 2005(68)、pp.469-475、2005年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、非特許文献1に記載された技術では、1日の各時刻における利用者の位置の存在確率に基づく行動は把握できるものの、長期的な視点から見た利用者の行動については簡単かつ的確に把握することができない。また非特許文献2に記載された技術では、スケジューラ等に登録された情報をもとに個々の滞在地に対する利用者の行動を把握することはできる。しかし、非特許文献1に記載された技術と同様に、長期的な視点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に把握することは困難である。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、行動履歴情報をもとに長期的な観点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に確認できるようにする行動履歴管理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理装置にあって、上記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込み、この読込まれた行動履歴情報をもとに同一の滞在地に滞在する行動群を抽出する。そして、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出して、この算出された行動継続期間を表す情報を上記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶するようにしたものである。
【0009】
したがって、同一の行動が一定の時間間隔内で繰り返し実行されている場合には、この行動群全体に対して1つの行動継続期間が定義されて、この情報が利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶される。このため、利用者が自身の過去の行動を振り返る場合に、長期的な観点から見たときの自身の行動を簡単かつ的確に確認できるようになる。
【0010】
また、この発明の1つの観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、上記行動継続期間を算出する際に、上記抽出された行動群のうち上記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と上記検出された第1の行動の総数に対する上記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、上記第2の行動を上記第1の行動に含めて上記行動継続期間を算出するようにしたものである。
このようにすると、例えば、毎週訪れている特定の場所にたまたまある週だけ訪れなかったような場合でも、本来ならば1つの行動群の継続期間と見なせる期間が複数に分割されることを防ぐことができる。
【0011】
第2の態様は、上記行動履歴情報又は利用者の入力情報をもとに利用者の拠点となる滞在地を予め設定しておき、上記行動継続期間を算出する際に、上記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地と上記設定された利用者の拠点滞在地との距離に応じて、上記第1及び第2の時間間隔のうち少なくとも第1の時間間隔を可変設定するようにしたものである。
このようにすると、例えば上記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地が利用者の拠点滞在地から遠いほど第1の時間間隔又は第1及び第2の時間間隔を長く設定することができ、これにより上記行動継続時間の算出処理を、実状にあったパラメタのもとでより適切に行うことが可能となる。
【0012】
第3の態様は、上記利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表すスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶手段が設けられている場合に、上記算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応するスケジュール情報を上記スケジュール記憶手段から読み出して関連付けて記憶するようにしたものである。
このようにすると、同一行動がある周期で繰り返し実行されている行動継続期間に対し、当該行動の行動内容を表す情報が関連付けられて記憶される。このため、利用者は過去の行動継続期間に繰り返し実行した行動の内容を即時確認することが可能となる。
【0013】
第4の態様は、算出された行動継続期間に実行された行動群について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、上記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、上記行動継続期間に実行された行動群の重要度を算出するようにしたものである。
このようにすると、利用者は過去の行動継続期間に繰り返し実行した行動についての重要度を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
すなわちこの発明によれば、行動履歴情報をもとに長期的な観点から見たときの利用者の行動を簡単かつ的確に確認できるようにする行動履歴管理装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係る行動履歴管理装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した行動履歴管理装置による、長期的観点から見た行動継続期間の算出処理と、当該行動継続期間における行動の重要度及び行動内容の算出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる緯度・経度データベースに蓄積された位置データの一例を示す図。
【図4】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる緯度・経度/住所データベースに記憶されたデータの一例を示す図。
【図5】図1に示した行動履歴管理装置に設けられるパラメタデータベースに記憶されたパラメタデータの一例を示す図。
【図6】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる行動内容データベースに記憶された、利用者の行動内容を示すデータの一例を示す図。
【図7】図1に示した行動履歴管理装置に設けられる行動情報データベースに記憶される、長期的観点から見た行動継続期間における行動内容と重要度を示すデータの一例を示す図。
【図8】長期的観点から見た行動継続期間の算出処理方法の実施例1を示す図。
【図9】長期的観点から見た行動継続期間の算出処理方法の実施例2を示す図。
【図10】図2に示したフローチャートにおける行動継続期間算出処理の詳細な手順と処理内容を示すフローチャート。
【図11】図10に示したフローチャートのステップS52による処理の具体例を説明するための図。
【図12】図10に示したフローチャートのステップS54による処理の具体例を説明するための図。
【図13】図10に示したフローチャートのステップS55による処理の具体例を説明するための図。
【図14】図10に示したフローチャートのステップS56による処理の具体例を説明するための図。
【図15】図10に示したフローチャートのステップS59による処理の具体例を説明するための図。
【図16】図10に示したフローチャートのステップS54〜S59に示した処理により得られる結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る行動履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。この行動履歴管理装置は、例えばユーザが所持する携帯端末により構成され、記憶ユニット1と、処理ユニット2と、操作入力部3を備え、さらに図示しない表示部、GPS(Global Positioning Service)受信部、通信インタフェース部を備えている。
【0017】
GPS受信部は、図示しない複数のGPS衛星が送信しているGPS信号を予め定められた受信周期でそれぞれ受信する機能を有する。通信インタフェース部は、携帯通信網や無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークとの間で通信を行う機能を有する。
なお、携帯端末としては、携帯電話機、スマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯可能な小型パーソナル・コンピュータ等が該当する。
【0018】
記憶ユニット1は、例えばHDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等のランダムアクセス可能な不揮発性記憶デバイスを使用したもので、この発明の一実施形態を実現するために必要な記憶部として、緯度・経度データベース11と、緯度・経度/住所データベース12と、期間算出パラメタデータベース13と、行動内容データベース14と、行動情報データベース15を備えている。
【0019】
緯度・経度データベース11は、上記GPS受信部により受信されたGPS信号をもとに処理ユニット2が計算した緯度・経度データを、利用者の滞在地の履歴を表すデータとして蓄積するために用いられる。図3は記憶された緯度・経度データの一例を示すものである。
【0020】
緯度・経度/住所データベース12には、ユーザの行動予定地域を少なくとも含む範囲の住所変換データが記憶されている。この住所変換データは、位置情報の緯度・経度データに対応付けて該当する地点の住所情報を記憶したものである。図4はこの緯度・経度/住所データベース12に記憶された住所変換データの一例を示す。なお、住所情報は、その領域の大きさに応じて複数の住所粒度に、例えば「都道府県」、「区・市町村」、「地名」及び「番地」の4階層の住所粒度に階層化されていてもよい。
【0021】
期間算出パラメタデータベース13には、長期的観点から見た行動継続期間を計算するために用いるパラメタが記憶されている。このパラメタは、時間粒度と、基準滞在間隔xと、許容滞在間隔yと、許容割合αとを1セットとしたもので、複数のセットが用意されている。図5はその一例を示す図である。
【0022】
行動内容データベース14には、スケジューラ等により入力された利用者の行動内容情報を表す情報が複数個記憶される。個々の行動内容情報を表す情報は、行動内容を表す情報と、行動開始日時及び行動終了日時を表す情報とを含む。図6はその一例を示す図である。
【0023】
行動情報データベース15は、後述する処理ユニット2により得られた、利用者の長期的観点から見た行動継続期間における行動情報を記憶するために用いられる。個々の行動情報は、上記長期的観点から見た行動継続期間を表す情報と、当該行動継続期間における利用者の代表的な行動内容を表す情報と、その重要度と、時間粒度を表す情報とから構成される。図7はその一例を示すものである。
【0024】
処理ユニット2は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)を備え、この発明の一実施形態を実施するために必要な制御機能として、滞在住所算出部21と、行動期間算出部22と、拠点住所算出部23と、重要度算出部24と、行動内容付与部25とを備えている。なお、これらの処理機能はいずれも、図示しないプログラムメモリに格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0025】
滞在住所算出部21は、操作入力部3により指定入力された処理対象期間に計測された緯度・経度データの集合を、上記緯度・経度データベース11から選択的に読み出す。そして、この読み出された滞在地の緯度・経度データの各々について、当該緯度・経度データをキーとして緯度・経度/住所データベース12を検索することにより、当該滞在地の緯度・経度データに対応する住所情報を読み出す処理を実行する。
【0026】
行動期間算出部22は、期間算出に必要なパラメタを期間算出パラメタデータベース13から読込む。そして、このパラメタに基づいて、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報を用いて、各時間粒度の観点から長期的観点から見た利用者の行動継続期間を算出する処理を行う。この処理は、同一住所に対し基本滞在間隔x(xは正の定数)以下の滞在(訪問)間隔で繰り返し訪問が行われている期間を、長期的観点から見た行動継続期間とみなすことを基本とする。
【0027】
拠点住所算出部23は、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報に基づいて、利用者の拠点住所を決定する処理を行う。この処理は、各滞在住所の総滞在時間を比較し、総滞在時間が閾値より長い滞在住所の中から指定された個数の住所とその住所に対応する緯度・経度データの組を選択して、これを「拠点となる住所」として決定することにより実現される。また拠点住所算出部23は、利用者が操作入力部3において任意に入力した滞在住所と滞在住所に対応する緯度・経度データの組を入力した場合には、この入力されたデータの組を、「拠点となる住所」として決定する。
【0028】
重要度算出部24は、上記行動期間算出部22により算出された、長期的観点から見た行動継続期間と、該当行動に対応する住所情報と、それに対応する緯度・経度データと、行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報とからなるデータの組を用いて、滞在時間長、滞在回数、平均訪問期間、及び指定された場所からの距離のうちの少なくとも1つを算出し、その算出結果をもとに上記行動継続期間の重要度を算出する。この重要度は、滞在時間長が長いほど、滞在回数が多いほど、平均訪問期間が短いほど、また指定された場所から近いほど大きな値をとる。
【0029】
行動内容付与部25は、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間と、行動期間算出部22によって算出された行動に対応する住所情報と、行動期間算出部24が行動期間の算出に用いた時間粒度情報と、上記重要度算出部24により算出された行動継続期間の重要度の各組に対し、行動内容データベース14に含まれる行動情報群の中から1つの行動情報を選んで付与する処理を行う。
【0030】
[動作]
次に、以上のように構成された行動履歴管理装置による、長期的観点から見た行動継続期間の算出処理と、当該行動継続期間における行動の重要度及び行動内容の算出処理を説明する。図2はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
(1)滞在履歴情報の蓄積処理
ユーザの行動中に装置では、ユーザの緯度・経度データの計測及び蓄積処理が行われる。すなわち、装置では複数のGPS衛星が送信しているGPS信号が予め定められた受信周期でそれぞれGPS受信部により受信される。そして、このGPS受信部によりGPS信号が受信されるごとに、この受信された複数のGPS信号をもとに処理ユニット2の位置計算部(図示せず)により自装置の現在位置を表す緯度・経度が算出され、この算出された緯度・経度とその計測時刻を含むデータが緯度・経度データベース11に書き込まれる。したがって、緯度・経度データベース11には、上記一定の周期で算出された緯度・経度データがユーザの滞在履歴を表す情報として蓄積されることになる。
【0032】
(2)長期的観点から見た行動継続期間の算出
処理時刻になると、処理ユニット2の滞在住所算出部21は、先ず処理ステップS1により緯度・経度データベース11から蓄積済の緯度・経度データを読み込む。なお、読み込まれる緯度・経度データには、図3に示したように緯度・経度取得時刻を表す情報が含まれている。また、緯度・経度データの読み込み対象期間は、緯度・経度データベース11に蓄積されている全てのデータを読み込むように設定してもよいし、別途指定された期間のみ読み込むように設定してもよい。
【0033】
滞在住所算出部21は、続いて処理ステップS2において、緯度・経度/住所データベース12に記憶されている緯度・経度データと住所情報との変換テーブルを用いて、上記緯度・経度データベース11から読み込んだ緯度・経度データを住所情報に変換する。そして、滞在住所ごとの滞在開始時刻及び滞在終了時刻を算出し、この算出した情報を行動期間算出部22及び拠点住所算出部23へ渡す。
【0034】
次に、処理ステップS3において拠点住所算出部23が、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報を用いて、重要度を計算する際に必要となる利用者の拠点住所を決定する。この拠点住所の決定処理は、各滞在住所の総滞在時間を比較して、総滞在時間が長い滞在住所の中から指定された個数の住所とその住所に対応する緯度・経度データの組を選択し、この選択した住所とその位置を表す緯度・経度データの組を、「拠点となる住所」とすることにより行われる。
【0035】
なお、上記利用者の拠点住所を決定する処理は、利用者が操作入力部3において任意に入力した滞在住所とその緯度・経度データの組に基づいて行ってもよい。この場合の処理は、操作入力部3から滞在住所と当該滞在住所に対応する緯度・経度データの組を入力として受け取る。例えば、「住所:東京都港区芝公園、緯度:35.658704、経度:139.745408」を表す入力データを受け取る。そして、この受け取った滞在地のデータをもとに上記した処理により利用者の拠点住所を決定する。
【0036】
次に行動期間算出部22が、先ず処理ステップS4において、長期的観点から見た行動継続期間の算出に必要なパラメタを期間算出パラメタデータベース13から読み込む。なお、期間算出パラメタデータベース13のテーブルには、図5に示したように時間粒度情報と、その時間粒度情報に対応する基本滞在間隔長x及び許容滞在時間長yと、許容滞在間隔の許容割合αを表す情報がセットとして記憶されている。行動期間算出部22はこれらのセットのうちの1つ以上を読み込む。
【0037】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS5において、上記ステップS4により読込まれたパラメタに基づいて、上記滞在住所算出部21により得られた各滞在地の住所情報より、時間粒度の観点から利用者の行動継続期間を算出する。この行動継続期間の算出処理方法には次の二つの実施例が考えられる。
【0038】
(実施例1)
この実施例1の方法は、同一住所に対し基本滞在間隔x(xは正の定数)以下の滞在(訪問)間隔で繰り返し訪問が行われている期間を、長期的観点から見た行動継続期間とみなすものである。
例えば図8に示すように、基本滞在間隔xの値が10日であるときに、7日おきに同一の住所へ訪問することを4回続けた場合には、この住所へはじめて滞在した時の滞在開始日時(2010/11/1 10:00)から、最後に滞在したときの滞在終了日時(2010/11/22 11:00)までを、同一の「長期的観点からの行動」が継続している期間として扱う。
【0039】
(実施例2)
上記実施例1の方法では、例えば毎週訪れているある場所にたまたまある週だけ訪れなかった場合に、同一の「長期的観点からの行動」の期間が不必要に分割されてしまう。
これを防ぐために実施例2の算出方法は、許容滞在間隔y(yはx≦yを満たす定数)を用意し、同一の「長期的観点からの行動」の期間内における滞在間隔の総数に対する、基本滞在間隔xより大きく許容滞在間隔y以下の滞在間隔である間隔数の割合を算出し、この算出された割合が予め設定された許容割合α(αは0以上の定数)以下であれば、同一の「長期的観点からの行動」が継続されている期間としてみなすものである。
【0040】
例えば図9に示すように、同図中の破線で囲った部分は、7回の同一住所内の滞在に存在する6回の訪問間隔のうち、1回の訪問間隔のみが基本滞在間隔x(=10日)を超えている。したがって、その割合は1/6×100≒17%となり、この値は許容割合α(=25%)以下である。このため、この期間を「長期的観点からの行動」が継続している期間として扱う。
【0041】
(行動継続期間の算出処理の具体例)
ところで、以上述べた行動継続期間の算出処理は具体的には以下のように実行される。図10はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、行動期間算出部22は、先ず処理ステップS51において、上記処理ステップS2において得られた滞在地住所群の中に、指定された期間内に利用者が2回以上滞在した住所があるか否かを判定する。この判定の結果、2回以上滞在した住所が存在しなかった場合には処理を終了する。
【0042】
これに対し、2回以上滞在した住所が見つかったとする。この場合行動期間算出部22は、処理ステップS52において、上記同一の滞在地住所のうち利用者が基本滞在間隔xより短い時間間隔で訪問している滞在地住所を含む期間をひとまとめにし、これを1つの見なし滞在期間とする。なお、この期間の状態を「見なし滞在」と定義する。図11は、この見なし滞在期間を求めるための処理の一例を示すものである。
【0043】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS53において、見なし滞在期間が複数個存在するか否かを判定する。そして、1つしか存在しない場合には処理ステップS60に移行し、ここで当該見なし滞在期間を、先にステップS4により期間算出パラメタデータベース13から読込んだ時間粒度に対応する、「長期的観点からの行動」を表す情報として確定させる。
【0044】
一方、上記見なし滞在期間が複数存在すると判定された場合、行動期間算出部22は処理ステップS54において、許容滞在期間y以下の時間間隔で「見なし滞在」が発生している期間を検出してこれらをひとまとめにし、これを1つの見なし滞在期間とする。なお、この期間の状態を「ひとまとめの見なし滞在」と定義する。図12は、このひとまとめの見なし滞在期間を求めるための処理の一例を示すものである。
【0045】
続いて行動期間算出部22は、処理ステップS55において、上記「ひとまとめの見なし滞在」の各々に対して、その期間内における各滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が、予め設定した許容割合α以下であるか否かを判定する。図13はこの処理ステップS55による判定処理の一例を示すものである。
【0046】
この判定の結果、滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が許容する割合αより大きかったとする。この場合行動期間算出部22は、処理ステップS56において、当該「ひとまとめの見なし滞在」期間内から最後に滞在した「見なし滞在」を除外して、再度処理ステップS55を実行する。この処理ステップS56による処理の一例を図14に示す。
【0047】
上記処理ステップS55において、滞在間隔の総数に対する基本滞在間隔xより長い間隔である数が占める割合が許容する割合α以下になると、行動期間算出部22は処理ステップS57において、当該「ひとまとめの見なし滞在」を、上記ステップS4により期間算出パラメタデータベース13から読込んだ時間粒度に対応する、「長期的観点からの行動」を表す情報として確定させる。
【0048】
行動期間算出部22は、続いて処理ステップS58において、上記処理ステップS56にて除外された「見なし滞在」が存在するか否かを判定する。そして、除外された「見なし滞在」が存在しない場合はそのまま処理を終了する。
【0049】
これに対し、除外された「見なし滞在」が存在する場合には、行動期間算出部22は処理ステップS59に移行する。そして、この処理ステップS59において、当該「除外された見なし滞在」の全てをまとめて「ひとまとめの見なし滞在」とし、処理ステップS55に戻って上記処理ステップS55から処理ステップS58による処理を再度実行する。図15は、上記処理ステップS59により行われる処理の一例を示すものである。また、図16は上記処理ステップS54から処理ステップS59によって得られる結果の一例を示すもものである。
【0050】
なお、基本滞在間隔長xならびに許容滞在時間長yは、「拠点となる住所」の緯度・経度、設定された住所粒度における同一の「長期的観点からの行動」と見なされる行動の住所の緯度・経度の距離に応じて距離が長いほど値を大きくするなどしてもよい。また、基本滞在間隔長x、許容滞在時間長y及び許容割合αの値は、同一行動と見なされる行動の出現頻度や実行間隔に合わせて適宜変更してもよい。
さらに、行動継続期間の算出処理は、GPSデータから算出された滞在情報以外に、利用者が操作入力部3から手動で入力した滞在情報と等価な情報を用いて行うようにしてもよい。
【0051】
(3)行動ごとの重要度の算出
以上述べた長期的な観点から見た行動継続期間の算出処理が終了すると、行動期間算出部22は当該算出された行動継続期間と、当該行動継続期間に含まれる行動による滞在地住所と、当該住所の緯度・経度情報と、行動期間算出に用いた時間粒度情報との組を、重要度算出部24へ渡す。例えば、期間2010/9/15〜2010/9/30、住所:東京都港区芝公園、緯度:35.658704、経度:139.745408、時間粒度:1週間からなる情報の組を、重要度算出部24へ渡す。
【0052】
上記行動継続期間に関する情報の組を受け取ると、重要度算出部24は処理ステップS6において、上記算出された行動継続期間に含まれる行動に対する重要度を計算する。この重要度は、滞在時間長が長いほど、滞在回数が多いほど、平均訪問期間が短いほど、または指定された拠点滞在地から近いほど大きな値をとるように、例えば下式によって算出される。
【数1】
【0053】
ただし、同式において、ri は長期的観点からの行動iの重要度、ti は長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動を実行した総時間長、taは処理ステップS1により緯度・経度情報を読込む対象となった期間の長さ、niは長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動を実行した回数、na は長期的観点からの行動の種類ののべ総数、di は利用者の拠点住所の緯度・経度データと長期的観点からの行動iの緯度・経度データとの間の距離、ii は長期的観点からの行動iの継続期間において実際に当該行動が実行された平均時間間隔の長さをそれぞれ示している。なお、a,b,c,dは定数である。
【0054】
上記距離di の算出は、「拠点となる住所」の緯度・経度データと、予めパラメタとして設定された住所粒度における当該住所の緯度・経度データとを用いて行われる。またその際、これら住所に含まれる緯度・経度データが複数存在する場合は、当該住所に含まれる緯度・経度データのうち、利用者が手動で指定した緯度・経度データを用いてもよく、またそれらの住所に含まれる緯度・経度データ群から計算により求められる値、例えば緯度・経度データ群の重心を用いてもよい。
【0055】
(4)行動内容を表す情報の付与
上記重要度算出部24により求められた重要度ri と、前記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間と、当該行動期間算出部22によって算出された行動に対応する住所情報と、当該行動期間算出部22が行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報は、行動内容情報付与部25に渡される。
【0056】
行動内容情報付与部25は、処理ステップS7において、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間に含まれる行動に対応する住所に滞在した期間の全て或いは一部を行動に対応する期間に対して日時が対応する行動内容情報を、図6に例示した行動内容データベース14より読み込む。そして、この読み込んだ各行動内容情報を形態素解析処理等により単語毎に分解し、上記読み込んだ行動内容情報群において多く出現する単語ほどその単語を含む行動内容の適合度が高くなるように設定する。そして、この適合度が最も高くなる行動内容を表す情報を上記行動継続期間の行動に対し付与する。
【0057】
例えば、上記行動内容情報付与部25による処理は以下の手順によって行われる。
すなわち、行動期間算出部22によって算出された行動継続期間において、行動に対応する住所へのi(i=1〜M)回目に滞在した際のi回目の滞在開始時間をss_{i}、滞在終了時間をse_{i}とする。また、行動内容データベース14に蓄積されているj番目(j=1〜N_{all})の行動内容をa_{j}、その行動開始時刻をas_{j}、行動終了時刻をae_{j}とし、
(1) as_{j}<ss_{i}<ae_{j}
(2) as_{j}<se_{i}<ae_{j}
(3) ss_{i}≦as_{j} かつ ae_{j}≦se_{i}
のうちいずれかが成り立つiが存在する行動内容を全て読み込む。
【0058】
続いて、上記読み込んだ行動内容の数がN_{selected}個であるとし、k番目(k=1〜N_{selected})の行動内容をa_{k}とする。N_{selected}個のa_{k}を形態素解析した上で、各行動内容a_{k}の適合度を以下の式により算出し、最も適合度の高いa_{k}を該当の行動の行動内容として扱う。
【数2】
【0059】
ただし、fk は行動内容a_{k}の適合度、wN a_{k} は行動内容a_{k}に含まれる単語数、aNm は行動内容a_{k}に含まれる単語mが読込んだ行動内容個数N_{selected}の中に含まれる個数をそれぞれ示す。
なお、適合度の算出に用いる単語の重みは、該当の住所へ滞在した時間帯と行動内容の指し示す時間帯の重複の度合に合わせ、重複の度合が高い行動内容に用いられている単語ほど重みを重くする、などとしてもよい。
【0060】
(5)行動情報の記憶
上記行動内容の付与処理が終了すると、行動内容付与部25は最後に処理ステップS8において、上記行動期間算出部22によって算出された行動継続期間を表す情報と、同じく行動期間算出部22が行動継続期間の算出に用いた時間粒度情報と、重要度算出部24によって算出された行動継続期間の重要度を表す情報と、行動内容付与部25によって算出した行動内容を表す情報の組を、行動情報データベース15へ格納する。
【0061】
この結果、行動情報データベース15には、例えば図7に示すように、行動内容名情報、時間粒度情報、行動開始日時情報、行動終了日時情報と重要度情報が格納される。格納される情報の一例としては他に、行動内容:特許検討、時間粒度:1週間、期間2010/9/15〜2010/9/30、重要度:0.5のデータの組が考えられる。
【0062】
以上詳述したようにこの実施形態では、行動履歴記憶手段としての緯度・経度データベース11から行動履歴情報としての緯度・経度データを読込み、この読込まれた緯度・経度データを緯度・経度/住所データベース12をもとに住所に変換する。そして、行動期間算出部22により、上記変換された住所をもとに同一住所を抽出して、この抽出された同一住所のうち基本滞在間隔xより短い間隔で繰り返し滞在している住所を検出し、この検出された住所への最初の滞在日時から最後の滞在日時までの期間を当該住所に対する訪問行動の継続期間として算出するようにしている。
【0063】
したがって、同一住所に対し一定の時間間隔内で繰り返し訪問が行われている場合には、この訪問行動群全体に対して1つの行動継続期間が定義され、この行動継続期間を表す情報が利用者の長期的継続行動を表す情報として利用される。このため、利用者が自身の過去の行動を振り返る場合に、長期的な観点から見たときの自身の行動を簡単かつ的確に確認できるようになる。
【0064】
また、行動継続期間を算出する際に、前記抽出された同一住所群のうち基本滞在間隔x以上でかつ当該基本滞在間隔xより長く設定された許容滞在間隔yより短い間隔で訪問された第2の住所をさらに検出し、この検出された第2の住所と上記先に検出された第1の住所の総数に対する上記第2の住所の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合αより少ない場合に、上記第2の住所を前記第1の住所に含めて上記行動継続期間を算出するようにしている。このため、例えば毎週訪れている特定の場所にたまたまある週だけ訪れなかったような場合でも、本来ならば1つの行動群の継続期間と見なせる期間が複数に分割されることを防ぐことができる。
【0065】
さらに、上記行動履歴情報又は利用者の入力情報をもとに、利用者の拠点となる住所を設定しておき、行動継続期間を算出する際に、上記変換された住所をもとに抽出された同一住所と上記設定された利用者の拠点住所との距離が遠くなるほど、上記基本滞在間隔x及び許容滞在間隔yの値を大きくするように設定している。このため、上記行動継続時間の算出処理を、より実状にあったパラメタのもとで適切に行うことが可能となる。
【0066】
さらに、利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表す行動内容情報を行動内容データベース14に記憶しておき、この行動内容データベース14から日時が対応する行動内容情報を読み出して形態素解析等により最も適合性の高い単語を抽出し、この抽出した単語を上記行動継続期間に含まれる滞在住所に対応付けるようにしている。したがって、同一住所に対しある周期で繰り返し訪問がなされている行動継続期間に対し、当該住所における利用者の行動内容を表す単語が対応付けられることになる。このため、利用者は過去の自身の行動を振り返る際に、上記対応付けられた行動内容を表す単語により、直的直感的な観点から見た行動継続期間の行動の内容を即時確認することが可能となる。
【0067】
さらに、行動継続期間に含まれる各住所について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、利用者の拠点住所からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点住所からの距離に基づいて、上記行動継続期間又はこれに含まれる各住所の重要度を算出し、当該行動継続期間又は住所に付与するようにしている。したがって、利用者は過去の長期的な観点から見た行動継続期間について当該期間又はその滞在地についての重要度を確認することが可能となる。
【0068】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では利用者が所持する携帯端末に図1に示すすべての機能を設けた場合を例にとって説明したが、これらの機能のうち記憶ユニット1の各データベースについてはサーバ装置に設け、必要に応じてこのサーバ装置からデータを取得するようにしてもよい。
【0069】
その他、携帯端末の種類やその構成、行動継続期間の算出処理の手順とその処理内容、算出された行動継続期間に付与する当該期間の特徴を表す情報の種類や内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…記憶ユニット、2…処理ユニット、3…操作入力部、11…緯度・経度データベース、12…緯度・経度/住所データベース、13…期間算出パラメタデータベース、14…行動内容データベース、15…行動情報データベース、21…滞在住所算出部、22…行動期間算出部、23…拠点住所算出部、24…重要度算出部、25…行動内容付与部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理装置であって、
前記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込む手段と、
前記読込まれた行動履歴情報をもとに、同一の滞在地に滞在する行動群を抽出して、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出する行動期間算出手段と、
前記算出された行動継続期間を表す情報を、前記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶する手段と
を具備することを特徴とする行動履歴管理装置。
【請求項2】
前記行動期間算出手段は、前記抽出された行動群のうち前記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と前記検出された第1の行動の総数に対する前記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、前記第2の行動を前記第1の行動に含めて前記行動継続期間を算出することを特徴とする請求項1記載の行動履歴管理装置。
【請求項3】
前記行動履歴情報及び利用者が入力する滞在地情報の少なくとも一方に基づいて、当該利用者の拠点となる滞在地を設定する手段を、さらに具備し、
前記行動期間算出手段は、前記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地と前記設定された拠点となる滞在地との距離に応じて、前記第1及び第2の時間間隔のうち少なくとも第1の時間間隔を可変設定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の行動履歴管理装置。
【請求項4】
前記利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表す行動内容情報を記憶する行動内容情報記憶手段と、
前記行動期間算出手段により算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応する行動内容情報を前記行動内容情報記憶手段から読み出し、この読み出された行動内容情報に含まれる行動内容を表す情報を、前記行動継続期間に関連付けて記憶する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の行動履歴管理装置。
【請求項5】
前記行動期間算出手段により算出された行動継続期間に実行された行動について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、前記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、前記行動継続期間に実行された行動の重要度を算出する重要度算出手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の行動履歴管理装置。
【請求項6】
行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理方法であって、
前記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込む過程と、
前記読込まれた行動履歴情報をもとに、同一の滞在地に滞在する行動群を抽出して、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出する行動期間算出過程と、
前記算出された行動継続期間を表す情報を、前記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶する過程と
を具備することを特徴とする行動履歴管理方法。
【請求項7】
前記行動期間算出過程は、前記抽出された行動群のうち前記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と前記検出された第1の行動の総数に対する前記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、前記第2の行動を前記第1の行動に含めて前記行動継続期間を算出することを特徴とする請求項6記載の行動履歴管理方法。
【請求項8】
前記行動期間算出過程により算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応する行動内容情報を行動内容情報記憶手段から読み出し、この読み出された行動内容情報に含まれる行動内容を表す情報を、前記行動継続期間に関連付けて記憶する過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項6又は7に記載の行動履歴管理方法。
【請求項9】
前記行動期間算出過程により算出された行動継続期間に実行された行動について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、前記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、前記行動継続期間に実行された行動の重要度を算出する重要度算出過程を、さらに具備することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の行動履歴管理方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5に記載の行動履歴管理装置が具備する手段の処理機能を、当該行動履歴管理装置が備えるコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理装置であって、
前記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込む手段と、
前記読込まれた行動履歴情報をもとに、同一の滞在地に滞在する行動群を抽出して、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出する行動期間算出手段と、
前記算出された行動継続期間を表す情報を、前記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶する手段と
を具備することを特徴とする行動履歴管理装置。
【請求項2】
前記行動期間算出手段は、前記抽出された行動群のうち前記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と前記検出された第1の行動の総数に対する前記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、前記第2の行動を前記第1の行動に含めて前記行動継続期間を算出することを特徴とする請求項1記載の行動履歴管理装置。
【請求項3】
前記行動履歴情報及び利用者が入力する滞在地情報の少なくとも一方に基づいて、当該利用者の拠点となる滞在地を設定する手段を、さらに具備し、
前記行動期間算出手段は、前記行動履歴情報から抽出された行動群の滞在地と前記設定された拠点となる滞在地との距離に応じて、前記第1及び第2の時間間隔のうち少なくとも第1の時間間隔を可変設定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の行動履歴管理装置。
【請求項4】
前記利用者の行動内容とその実行場所又は実行日時を表す行動内容情報を記憶する行動内容情報記憶手段と、
前記行動期間算出手段により算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応する行動内容情報を前記行動内容情報記憶手段から読み出し、この読み出された行動内容情報に含まれる行動内容を表す情報を、前記行動継続期間に関連付けて記憶する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の行動履歴管理装置。
【請求項5】
前記行動期間算出手段により算出された行動継続期間に実行された行動について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、前記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、前記行動継続期間に実行された行動の重要度を算出する重要度算出手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の行動履歴管理装置。
【請求項6】
行動履歴記憶手段に蓄積された、利用者の滞在地とその日時を表す情報を含む行動履歴情報をもとに、当該利用者の過去の行動状況を表す情報を生成して記憶する行動履歴管理方法であって、
前記行動履歴記憶手段から行動履歴情報を読込む過程と、
前記読込まれた行動履歴情報をもとに、同一の滞在地に滞在する行動群を抽出して、この抽出された行動群のうち予め設定した第1の時間間隔より短い間隔で繰り返し実行されている第1の行動を検出し、この検出された第1の行動が最初に実行された日時から最後に実行された日時までの期間を当該行動の継続期間として算出する行動期間算出過程と、
前記算出された行動継続期間を表す情報を、前記利用者の長期的継続行動を表す情報として記憶する過程と
を具備することを特徴とする行動履歴管理方法。
【請求項7】
前記行動期間算出過程は、前記抽出された行動群のうち前記第1の時間間隔以上でかつ当該第1の時間間隔より長く設定された第2の時間間隔より短い間隔で実行された第2の行動をさらに検出し、この検出された第2の行動と前記検出された第1の行動の総数に対する前記第2の行動の割合を算出して、当該算出された割合が予め設定された許容割合より少ない場合に、前記第2の行動を前記第1の行動に含めて前記行動継続期間を算出することを特徴とする請求項6記載の行動履歴管理方法。
【請求項8】
前記行動期間算出過程により算出された行動継続期間に実行された行動に対し、その実行場所又は実行日時が対応する行動内容情報を行動内容情報記憶手段から読み出し、この読み出された行動内容情報に含まれる行動内容を表す情報を、前記行動継続期間に関連付けて記憶する過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項6又は7に記載の行動履歴管理方法。
【請求項9】
前記行動期間算出過程により算出された行動継続期間に実行された行動について、その滞在時間長と、滞在回数と、平均滞在期間と、前記利用者の拠点となる滞在地からの距離をそれぞれ算出し、この算出された滞在時間長、滞在回数、平均滞在期間及び拠点滞在地からの距離に基づいて、前記行動継続期間に実行された行動の重要度を算出する重要度算出過程を、さらに具備することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の行動履歴管理方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5に記載の行動履歴管理装置が具備する手段の処理機能を、当該行動履歴管理装置が備えるコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図16】
【公開番号】特開2012−173811(P2012−173811A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32555(P2011−32555)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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