説明

行動検出システム

【課題】 非対象物がマットセンサに乗ってもそれ以外の場所における検出を継続し、非対象物がマットセンサに乗った場合の誤報の発生を監視者に手間をかけさせずに防ぐ。
【解決手段】 非対象物に無線機1を取り付け、物体を検出する検出部4を配置したマットセンサ3と無線機1の識別情報を読み取る読取装置2とをベッド近傍に設置し、無線機1を取り付けた物体を検出すると、その物体が非対象物であると判断されて検出場所を含む、識別情報に応じた範囲に配置されている検出部4に対して報知の動作を無効として、その物体を検出した検出部4が物体を検出しなくなると、無効にした検出部4に対して報知の動作を有効とする。検出部4が物体を検出した場合に、読取装置2が識別情報を読み取らなかったとき、または、読取装置2が新たな識別情報を読み取らなかったときには、その物体が被監視者であると判断されて報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者による徘徊や転倒・転落などの行動を検出するための行動検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、施設とする)では、患者や被介護者(以下、被監視者とする)が不意にベッドを離れて徘徊することがあった。また、施設では、被監視者がベッドから転倒・転落してしまうことがあった。そこで、被監視者が徘徊したり、転倒・転落したりすることを医療従事者や介護者(以下、監視者とする)に知らせる必要があった。
【0003】
ところで、被監視者が徘徊していることを検出する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載の徘徊報知器は、被監視者の居るベッド近傍にシート状センサを設置している。被監視者などがシート状センサに乗ると、シート状センサは、シート上の荷重を検出することで人体を検出している。そして、シート状センサが人体を検出した場合に、ベッドに居た被監視者が離床して徘徊したと判断して、徘徊したことを示す信号をナースコールシステムなどへ出力するようにしている。これにより、シート状センサから出力された信号を入力したナースコールシステムなどでは、徘徊が発生した旨を示す警報や表示が行われるので、被監視者が徘徊したことを監視者に知らせることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ベッドから離床した被監視者がシート状センサに乗った場合だけでなく、監視者自身や被監視者に対して使用される医療器具などの徘徊の検出対象ではない物体(以下、これらを非対象物と記載する)がシート状センサの上に乗った場合でも信号を出力するので、誤報が発生してしまうという問題があった。
【0005】
このような課題を解決するために、荷重の検出を所定時間だけ無効にする技術が知られている(例えば、特許文献2など)。特許文献2に記載の誤報防止装置は、被監視者の居るベッド近傍の壁面に設置され、シート状のマットセンサと接続されている壁埋込型子機を備えている。また、壁埋込型子機は、マットセンサによる警報出力を所定時間だけ停止させるための停止ボタンを備えている。そして、監視者により停止ボタンが操作されると、停止ボタンが操作された時点から所定時間が経過するまで、非対象物などがマットセンサに乗っても、壁埋込型子機は信号を出力しないようにしている。これにより、監視者が被監視者に対して看護行為などの処置を実施しているときに、誤ってマットセンサに乗っても、警報出力が行われることがなくなり、誤報を防ぐことができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、監視者が被監視者に対して処置を実施する度に停止ボタンを操作しなければならないため、監視者に手間をかけさせてしまうという問題があった。また、特許文献2に記載の技術では、被監視者が停止ボタンを操作することができるので、被監視者が停止ボタンを操作した後にマットセンサに乗ると壁埋込型子機が信号を出力しなくなり、被監視者の行動を検出できなくなってしまうという問題があった。
【0007】
ところで、シート状の電気カーペットの暖房面積を切り換える技術が知られている(例えば、特許文献3など)。特許文献3に記載の電気カーペットは、四角形のカーペットのヒータの暖房面積を左ブロックと右ブロックとの左右二分割になるように配設している。そして、使用者などにより使用時の状況や使用人数などに応じて暖房面積の切り換えが行われると、電気カーペットは、左ブロックのみを通電したり、右ブロックのみを通電したりすることで暖房面積を切り換える。
【0008】
このような、特許文献3に記載の技術を特許文献2に記載の技術に適用すると、シート状のマットを左右二分割した右ブロックと左ブロックとのうち、一方のブロックに乗った場合における荷重の検出を有効にし、他方のブロックに乗った場合における荷重の検出を無効にすることができる。これにより、監視者は、非対象物がマットセンサに乗っても信号を出力しない場所と、被監視者がマットセンサに乗ると信号を出力する場所とを切り換えることができる。しかしながら、この従来技術では次のような問題があった。すなわち、監視者が信号を出力しない場所を予め決め、その場所に該当するブロックの荷重の検出を無効に切り換えて、そのブロックに非対象物を乗せるという手順が必要になるため、監視者に手間をかけさせてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−213266号公報
【特許文献2】特開2007−282878号公報
【特許文献3】特開平10−276892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、被監視者がマットセンサに乗ったことを検出する行動検出システムにおいて、非対象物がマットセンサに乗った場合に、それ以外の場所における検出を継続するとともに、非対象物がマットセンサに乗った場合の誤報の発生を監視者に手間をかけさせずに防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の行動検出システムは、検出対象外である非対象物に無線機を取り付けるとともに、所定の範囲の物体を検出する複数の検出部を、検出範囲の全域に亘って物体を検出できるように配置したマットセンサと、無線機からの識別情報を読み取る読取装置とをベッド近傍に設置する。そして、検出部が物体を検出した場合に、読取装置が識別情報を読み取ったときに、その検出部を含む読み取った識別情報に応じた範囲に配置されている検出部に対して報知の動作を無効にしている。また、物体を検出した検出部が物体を検出しなくなった場合に、報知の動作を無効にしていた検出部に対して報知の動作を有効にしている。また、無効となっていない検出部が物体を検出した場合に、読取装置が新たな識別情報を読み取ったときには、その検出部を含む読み取った識別情報に応じた範囲に配置されている検出部に対して報知の動作を無効にしている。一方、検出部が物体を検出した場合に、読取装置が識別情報を読み取らなかったとき、または、無効となっていない検出部が物体を検出した場合に、読取装置が識別情報を読み取らなかったときには、報知を行うようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、無線機を取り付けた物体を検出部が検出した場合には、検出した物体が非対象物であると判断されるので、その検出部を含む読み取った識別情報に応じた範囲に配置されている検出部に対して報知の動作が自動的に無効に切り換えられる。また、無線機を取り付けた物体を検出した検出部が物体を検出しなくなった場合には、非対象物がマットセンサから離れたと判断されるので、報知の動作を無効にしていた検出部に対して報知の動作が自動的に有効に切り換えられる。これにより、非対象物に無線機を取り付けると、その非対象物がマットセンサに乗るだけで報知が行われなくなるので、監視者に手間をかけさせずに誤報の発生を防ぐことができる。また、報知の動作が無効となっていない検出部が物体を検出した場合に、読取装置が新たな識別情報を読み取らなかったときには、検出した物体が被監視者であると判断されるので報知が行われる。これにより、非対象物がマットセンサに乗った場合に、それ以外の場所における被監視者の行動の検出を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による行動検出システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による行動検出システムのマットセンサにおける検出部の配置例を示す説明図である。
【図3】本実施形態による行動検出システムの制御装置の記憶部の記憶内容例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態による行動検出システムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態による行動検出システムは、無線機1、読取装置2、マットセンサ3、制御装置10を備えて構成されている。
【0015】
また、マットセンサ3は、検出部4を備えて構成されている。また、制御装置10は、制御部11、インターフェース(以下、I/Fとする)部12、報知部13、記憶部14を備えて構成されている。
【0016】
図1において、無線機1は、所謂IC(Integrated Circuit)タグなどにより構成されており、検出対象外である非対象物の一部分(例えば、監視者の履物、被監視者に対して使用される医療器具の脚など)に取り付けられている。ここで、無線機1には、無線機1を取り付けている非対象物を識別するための識別情報(例えば、非対象物IDなど)が予め記憶されている。また、無線機1は、無線機1と読取装置2とが無線通信可能となる距離に近づくと、読取装置2から送信された電波を受信し、受信した電波によって電源が供給される。そして、無線機1は、自装置に記憶されている識別情報を読取装置2へ送信する。また、無線機1が読取装置2へ識別情報を送信することができるようになる距離は、少なくとも非対象物がマットセンサ3に乗った場合に無線機1が読取装置2から送信された電波を確実に受信することができる距離であることが好ましい。
【0017】
読取装置2は、所謂ICタグリーダーなどにより構成されており、ベッド近傍に設置されている。ここで、読取装置2は、制御装置10に伝送線を介して接続されている。また、読取装置2は、無線機1に電源を供給するために、定期的に電波を送信する。その電波を受信した無線機1が識別情報を送信すると、読取装置2は識別情報を受信する。そして、読取装置2は、受信した識別情報を読み取って制御装置10へ出力する。また、非対象物がマットセンサ3に乗っている状態では、読取装置2は、非対象物に取り付けられている無線機1から送信された識別情報を受信し続ける。
【0018】
マットセンサ3は、シート状のセンサなどにより構成されており、ベッド近傍の物体を検出するためのものである。ここで、マットセンサ3は、被監視者がベッドから降りたことを検出することができるように、ベッド近傍に設置されている。また、マットセンサ3は、制御装置10に伝送線を介して接続されている。また、マットセンサ3には、検出範囲の全域に亘って物体を検出することができるように複数の検出部4が配置されている。検出部4は、シート上の荷重を検出することで、所定の範囲の物体を検出する。ここで、所定の範囲とは、検出部4が物体を検出することができる範囲を示すものである。マットセンサ3に検出部4を配置する際に、ある検出部4の所定の範囲とその検出部4に隣接する他の検出部4の所定の範囲との間に、荷重を検出できない領域が生じないように複数の検出部4を配置することで、マットセンサ3は、自装置の全域に亘って物体を検出することができる。
【0019】
検出部4が物体を検出すると、マットセンサ3は、制御装置10へ検出信号を出力する。また、マットセンサ3は、検出部4が物体を検出し続けている間、継続して検出信号を出力する。また、検出信号は、物体を検出した検出部4を他の検出部4と識別するための検出部識別情報(例えば、検出部4の配置に応じて付与されたアドレス情報など)を含む。
【0020】
例えば、図2に示すように、マットセンサ3には、複数の検出部4がマット本体の全域に亘って縦四行横五列に均等に配置されている。また、検出部4には、縦方向1、2・・・と行アドレスが割り振られており、横方向にA、B・・・と列アドレスが割り振られている。検出部識別情報の値は、行アドレスと列アドレスとを組み合わせたものにより示される。例えば、行アドレスと列アドレスとを組み合わせたものが1Aであり、検出信号に含まれる検出部識別情報の値が1Aであれば、一行目のA列の検出部4が物体を検出したということになる。
【0021】
なお、本実施形態では、検出部4は、マット本体の全域に亘って縦四行横五列に複数配置されているが、これに限定されない。例えば、検出部4がマット本体の全域に亘って縦五行横六列に複数配置されるようにしても良いし、マット本体の全域に亘って縦二行横一列に複数配置されるようにしても良い。要は、マットセンサ3がマット本体の全域に亘って物体を検出することができる状態であれば検出部4の数や配置は限定されない。
【0022】
制御装置10は、被監視者を監視する監視者が居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されており、被監視者の行動を監視者に知らせるためのものである。ここで、制御装置10には、各ベッド近傍に設置されている読取装置2やマットセンサ3が接続されている。読取装置2から出力された識別情報やマットセンサ3から出力された検出信号を入力すると、制御装置10は、後述する判定処理により、非対象物がマットセンサ3に乗っているか否かを判定したり、被監視者がマットセンサ3に乗っているか否かを判定したりしている。
【0023】
制御部11は、制御装置10の各構成要素を後述するように制御する。また、制御部11は、後述する第一の制御〜第三の制御を行う。I/F部12は、読取装置2に制御装置10を接続しており、読取装置2から出力された識別情報を入力する。また、I/F部12は、マットセンサ3に制御装置10を接続しており、マットセンサ3から出力された検出信号を入力する。
【0024】
報知部13は、被監視者の行動を報知するためのものである。また、報知装置13は、スピーカや表示ディスプレイ、表示灯などにより構成されており、スピーカから呼び出し音や音声を出力したり、表示ディスプレイに呼び出し表示を行ったり、表示灯を点灯または点滅したりして報知を行う。ここで、制御部11は、検出部4が物体を検出した場合に、後述の判定処理により、報知部13を動作させたり動作させなかったりしている。
【0025】
記憶部14は、メモリなどの記憶装置により構成されている。また、記憶部14は、非対象物毎にマットセンサ3における検出を無効にする範囲を示す範囲情報を予め記憶している。ここで、検出を無効にする範囲とは、非対象物がマットセンサ3に乗った場合に、非対象物の大きさ(接地面積)や特性(人か物か)などに応じて決まる無効にする検出部4を示すものである。
【0026】
記憶部14は、図3(a)に示すように、無線機1を取り付けている非対象物を識別するための識別情報を格納する非対象物ID領域141、および非対象物がマットセンサ3に乗った場合に、検出を無効にする範囲を示す範囲情報を格納する範囲領域142を関連付けて記憶している。
【0027】
非対象物ID領域141には識別情報として、例えば「01」、「02」などの情報が格納されている。また、範囲領域142には範囲情報として、例えば「9」、「1」などの情報が格納されている。ここで、範囲情報の値である「9」は、物体を検出した検出部4、および、その検出部4の周囲の検出部4を含む合計九個分の検出部4を示す。ここで、周囲に八個の検出部4が存在する検出部4(例えば、図2中の2B、3B、2C、3C、2Dおよび3D)では、合計九個分の検出部4が存在しているが、周囲に五個の検出部4しか存在しない検出部4(例えば、図2中の2A、3A、1B、4B、1C、4C、1D、2D、2Eおよび3E)では、合計六個分の検出部4で範囲情報「9」を満たしているものとする。また、周囲に三個の検出部4しか存在しない検出部4(例えば、図2中の1A、4A、1Eおよび4E)では、合計四個分の検出部4で範囲情報「9」を満たしているものとする。また、範囲情報の値である「1」は、物体を検出した検出部4のみの合計一個分の検出部4を示す。
【0028】
また、記憶部14は、読取装置2が読み取った識別情報およびその識別情報を読み取った際に物体を検出した検出部4を識別するための検出部識別情報を関連付けて記憶する。ここで、初期状態において、読取装置2が読み取った識別情報およびその識別情報を読み取った際に物体を検出した検出部4を識別するための検出部識別情報は、記憶部14に記憶されていない。
【0029】
記憶部14は、図3(b)に示すように、識別情報および検出部識別情報を関連付けて記憶する。同図に示すように、記憶部14は、読取装置2が読み取った識別情報を格納する非対象物ID領域143、その識別情報を読み取った際に物体を検出した検出部4を識別するための検出部識別情報を格納するアドレス領域144を記憶している。例えば、識別情報の値が01である非対象物による荷重を、図2中の一行目のB列に配置されている検出部4が検出した場合には、非対象物ID領域143に識別情報として「01」が格納され、アドレス領域144に検出部識別情報として「1B」が格納される。
【0030】
制御部11は、第一の制御として、非対象物がマットセンサ3に乗って、検出部4が物体を検出し、マットセンサ3が検出部4の検出部識別情報を含む検出信号を出力した場合に、報知部13の動作を無効にする処理を実行する。具体的には、制御部11は、I/F部12がマットセンサ3から出力された検出信号を入力したか否かを判定する。検出信号を入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、I/F部12が読取装置2から出力された識別情報を入力したか否かを判定する。識別情報を入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、記憶部14を参照し、入力した識別情報が既に記憶されているか否かを判定する。識別情報が記憶されていないと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、入力した識別情報に関連付けて記憶されている範囲情報を取得する。また、制御部11は、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報を抽出する。また、制御部11は、抽出した検出部識別情報と取得した範囲情報とによって、報知部13の動作を無効にする検出部4を決めるとともに、報知部13を動作させない。そして、制御部11は、入力した識別情報および抽出した検出部識別情報を関連付けて記憶部14に記憶させる。この状態で、報知部13の動作を無効にする制御部11によって決められた検出部4が物体を検出しても、制御部11は報知部13を動作させない。
【0031】
また、制御部11は、第二の制御として、マットセンサ3に乗っていた非対象物がマットセンサ3から離れた場合に、報知部13の動作を有効にする処理を実行する。具体的には、制御部11は、物体を検出した検出部4の検出部識別情報を含む検出信号をI/F部12が継続して入力しているか否かを判定する。検出信号を入力しなくなったと制御部11にて判断した場合には、制御部11は、物体を検出しなくなった検出部4を検出部識別情報によって特定する。また、制御部11は、記憶部14を参照し、特定した検出部4の検出部識別情報に関連付けて記憶されている識別情報を取得する。そして、制御部11は、取得した識別情報および特定した検出部識別情報を記憶部14から消去させる。一方、制御部11は、識別情報に関連付けて記憶部14に記憶されている範囲情報を取得する。また、制御部11は、特定した検出部識別情報と取得した範囲情報とによって、報知部13の動作を有効にする検出部4を決める。
【0032】
また、制御部11は、第三の制御として、被監視者がマットセンサ3に乗って、検出部4が物体を検出し、マットセンサ3が検出部4の検出部識別情報を含む検出信号を出力した場合に、報知部13を動作させる処理を実行する。具体的には、制御部11は、I/F部12がマットセンサ3から出力された検出信号を入力したか否かを判定する。検出信号を入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、I/F部12が読取装置2から出力された識別情報を入力したか否かを判定する。この場合、識別情報を入力していないと制御部11にて判断されるので、制御部11は報知部13を動作させる。
【0033】
また、制御部11は、第三の制御として、非対象物がマットセンサ3に乗っている状態で被監視者が報知部13の動作を無効にすると制御部11によって決められた検出部4以外の検出部4が配置されている部分に乗って、その検出部4が物体を検出し、マットセンサ3が検出部4の検出部識別情報を含む検出信号を出力した場合に、報知部13を動作させる処理を実行する。具体的には、制御部11は、I/F部12がマットセンサ3から出力された検出信号を入力したか否かを判定する。検出信号を入力したと制御部11にて判断した場合に、I/F部12が読取装置2から出力された識別情報を入力したか否かを判定する。この場合、非対象物に取り付けられた無線機1の識別情報を入力していると制御部11にて判断される。また、制御部11は、I/F部12が読取装置2から新たな識別情報を入力したか否か(換言すると、記憶部14に記憶されている識別情報以外の識別情報を入力したか否か)を判定する。この場合、新たな識別情報は入力しない(換言すると、記憶部14に記憶されている識別情報以外の識別情報を入力しない)と制御部11にて判断されるので、制御部11は報知部13を動作させる。
【0034】
ここで、本実施形態による行動システムにおいて、図2および図3に示す例に基づいて、報知部13を報知する処理を説明する。また、この例では、識別情報の値が「01」である無線機1を点滴台に取り付け、その識別情報に関連付けて記憶部14に予め記憶しておいた範囲情報の値を「9」としている。
【0035】
(1)非対象物をマットセンサ3に乗せた場合
監視者が点滴台をマットセンサ3に乗せると、1Bに配置された検出部4は物体を検出し、読取装置2は無線機1に記憶されている識別情報「01」を読み取る。マットセンサ3は、物体を検出した検出部4の検出部識別情報「1B」を含む検出信号を制御装置10へ出力する。また、読取装置2は、読み取った無線機1の識別情報「01」を制御装置10へ出力する。I/F部12は、マットセンサ3から出力された検出信号を入力し、読取装置2から出力された識別情報「01」を入力する。制御部11は、記憶部14を参照し、入力した識別情報「01」が記憶部14に記憶されていないと判断して、入力した識別情報「01」に関連付けて記憶されている範囲情報「9」を取得する。また、制御部11は、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「1B」を抽出する。また、制御部11は、抽出した検出部識別情報「1B」と取得した範囲情報「9」とによって、報知部13の動作を無効にする検出部4「1A、2A、1B、2B、1C、2C」を決定し、それらの検出部4による物体の検出を無効にする。そして、制御部11は、入力した識別情報「01」および抽出した検出部識別情報「1B」を関連付けて記憶部14に記憶させる。ここで、制御部11は、1Bに配置された検出部4が物体を検出しているが、報知部13を動作させない。
【0036】
(2)監視者がマットセンサ3に乗せていた点滴台を撤去した場合
監視者がマットセンサ3に乗せていた点滴台を撤去すると、I/F部12が物体を検出した検出部4の検出部識別情報「1B」を含む検出信号を入力しなくなり、制御部11は、物体を検出しなくなった検出部4を検出部識別情報「1B」により特定する。また、制御部11は、記憶部14を参照し、特定した検出部4の検出部識別情報「1B」に関連付けて記憶されている識別情報「01」を取得する。そして、制御部11は、取得した識別情報「01」および特定した検出部識別情報「1B」を記憶部14から消去させる。一方、制御部11は、識別情報「01」に関連付けて記憶部14に記憶されている範囲情報「9」を取得する。また、制御部11は、特定した検出部識別情報「1B」と取得した範囲情報「9」とによって、報知部13の動作を有効にする検出部4「1A、2A、1B、2B、1C、2C」を決定し、それらの検出部4による物体の検出を有効にする。
【0037】
(3)マットセンサ3に何も乗っていない状態で、被監視者がマットセンサ3に乗った場合
マットセンサ3に何も乗っていない状態で、被監視者がマットセンサ3に乗ると、2Eに配置された検出部4は物体を検出する。マットセンサ3は、物体を検出した検出部4の検出部識別情報「2E」を含む検出信号を制御装置10へ出力する。また、読取装置2は、無線機1の識別情報を読み取ることができないので、制御装置10へ識別情報を出力しない。I/F部12がマットセンサ3から出力された検出信号のみを入力すると、制御部11は報知部13を動作させる。そして、報知部13は被監視者による行動を報知する。
【0038】
(4)非対象物がマットセンサ3に乗っている状態で、被監視者がマットセンサ3に乗った場合
監視者が点滴台をマットセンサ3に乗せている状態(上述した(1)の状態)で、被監視者がマットセンサ3に乗ると、2Eに配置された検出部4は物体を検出し、読取装置2は無線機1に記憶されている識別情報「01」を読み取る。マットセンサ3は、物体を検出した検出部4の検出部識別情報「2E」を含む検出信号を制御装置10へ出力する。また、読取装置2は、読み取った無線機1の識別情報「01」を制御装置10へ出力する。I/F部12は、マットセンサ3から出力された検出信号を入力し、読取装置2から出力された識別情報「01」を入力する。制御部11は、記憶部14を参照し、入力した識別情報「01」が記憶部14に記憶されていると判断して報知部13を動作させる。そして、報知部13は被監視者による行動を報知する。
【0039】
以上、詳しく説明したように、本発明の行動検出システムでは、検出対象外である非対象物に無線機1を取り付けるとともに、所定の範囲の物体を検出する複数の検出部4を、検出範囲の全域に亘って物体を検出できるように配置したマットセンサ3と、無線機1からの識別情報を読み取る読取装置2とをベッド近傍に設置する。そして、検出部4が物体を検出した場合に、読取装置2が識別情報を読み取ったときに、その検出部4の検出部識別情報と識別情報によって決まる範囲情報とにより報知部13の動作を無効にする検出部4を決めるとともに、取得した識別情報および検出部識別情報を関連付けて記憶部14に記憶させるようにしている。また、物体を検出した検出部4が物体を検出しなくなった場合に、制御部11は、報知部13の動作を無効にしていた検出部4に対して、報知部13の動作を有効にするとともに、記憶部14に記憶されていた識別情報および検出部識別情報を消去するようにしている。これにより、非対象物に無線機1を取り付けると、その非対象物がマットセンサ3に乗るだけで報知が行われなくなるので、監視者に手間をかけさせずに誤報の発生を防ぐことができる。
【0040】
また、報知部13の動作を無効にしていない検出部4が物体を検出した場合に、読取装置2が新たな識別情報を読み取ったときには、その検出部4の検出部識別情報と識別情報によって決まる範囲情報とにより報知部13の動作を無効にする検出部4を決めるとともに、取得した識別情報および検出部識別情報を関連付けて記憶部14に記憶させるようにしている。一方、検出部4が物体を検出した場合に、読取装置2が識別情報を読み取らなかったとき、または、報知部13の動作を無効にしていない検出部4が物体を検出した場合に、読取装置2が新たな識別情報を読み取っていないときには、制御部11は報知部13を動作させるようにしている。これにより、非対象物がマットセンサ3に乗った場合に、それ以外の場所における被監視者の行動の検出を継続することができる。
【0041】
なお、前述した実施形態では、マットセンサ3は、報知部13の動作を無効にするために、制御部11によって決められた検出部4が物体を検出しても、検出信号を出力しないようにしているが、これに限定されない。例えば、報知部13の動作を無効にするために、制御部11によって決められた検出部4が物体を検出した場合に、マットセンサ3が検出信号を出力するようにしても良い。この場合、制御部11は、報知部13の動作を無効にする検出部4を記憶しておき、その検出部4が検出信号を入力しても、報知部13を動作させないようにしている。
【0042】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 無線機
2 読取装置
3 マットセンサ
4 検出部
10 制御装置
11 制御部
12 インターフェース(I/F)部
13 報知部
14 記憶部
141、143 非対象物ID領域
142 範囲領域
144 アドレス領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象外である非対象物に取り付けられ、前記非対象物を識別するための識別情報を記憶する無線機と、
検出対象である被監視者が居るベッド近傍に設置され、所定の範囲の物体を検出する複数の検出部を、検出範囲の全域に亘って物体を検出できるように配置したマットセンサと、
前記ベッド近傍に設置され、前記無線機から識別情報を読み取る読取装置と、
前記被監視者の行動を報知する報知部と、前記読取装置が読み取った前記識別情報および前記識別情報を読み取った際に前記ベッド近傍の物体を検出した検出部を識別するための検出部識別情報を関連付けて記憶するとともに、検出を無効にする範囲を示す範囲情報を前記識別情報毎に予め記憶する記憶部と、前記検出部が前記物体を検出した場合に前記読取装置が識別情報を読み取ったときには、前記記憶部を参照して前記読取装置が読み取った識別情報が前記記憶部に記憶されていなければ、前記物体を検出した検出部を含む前記識別情報に応じた前記範囲情報により特定される範囲に配置されている検出部に対して前記報知部の動作を無効にするとともに、前記読取装置が読み取った識別情報および前記物体を検出した検出部を識別するための検出部識別情報を関連付けて前記記憶部に記憶させる第一の制御と、前記物体を検出した検出部が前記物体を検出しなくなった場合に、前記範囲情報により特定される範囲に配置されている検出部に対して前記報知部の動作を有効にするととともに、前記記憶部を参照して前記物体の検出をしなくなった検出部の検出部識別情報およびその検出部識別情報に関連付けて記憶されている識別情報を前記記憶部から消去させる第二の制御と、前記検出部が前記物体を検出した場合に前記読取装置が識別情報を読み取らなかったときまたは前記物体を検出した検出部を含む前記識別情報に応じた前記範囲情報により特定される範囲に配置されている検出部を除く検出部が前記物体を検出した場合に前記読取装置が識別情報を読み取らなかったときには、前記報知部を動作させる第三の制御とを行う制御部とを備えた制御装置と、
を備えたことを特徴とする行動検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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