説明

衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびに性能測定治具

【課題】性能測定治具が衛星受信用コンバータ装置に対して高い精度で位置決め固定されることが可能な衛星受信用コンバータ装置を得る。
【解決手段】導波管部3およびフィードホーン部6を備え、性能測定治具51を使用して性能が測定される衛星受信用コンバータ装置は、フィードホーン部6が、導波管部3に連通し、導波管部3とは反対側の外方に向かって広がるように延在し、導波管部3の内周面3Sには、導波管部3とフィードホーン部6との接続部8からフィードホーン部6とは反対側に向かって延在する第1嵌合部3Mが設けられ、第1嵌合部3Mの形状は、性能測定治具51が導波管部3に差し込まれた状態で、性能測定治具51に嵌合するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびに性能測定治具に関し、特に、衛星から送信された電波を受信する衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびにその衛星受信用コンバータ装置の製造工程において使用される性能測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星から送信された電波を受信するために、衛星受信用コンバータ装置(LNB:Low Noise Block down Converterとも称される)が使用される(特許文献1参照)。
【0003】
図21〜図24を参照して、一般的な衛星受信用コンバータ装置101について説明する。図21は、衛星受信用コンバータ装置101を示す正面図である。図22は、図21中のXXII−XXII線に関する矢視断面図である。図23は、衛星受信用コンバータ装置101におけるシャーシ102を示す正面図である。図24は、図23中のXXIV−XXIV線に関する矢視断面図である。
【0004】
図21および図22に示すように、衛星受信用コンバータ装置101は、シャーシ102、導波管部103、Oリング104、ホーンキャップ105、フィードホーン部106(一次放射器ともいう)、コネクター109、およびカバー部材110を備える。導波管部103は、シャーシ102の正面側に立設される。シャーシ102の背面側に、カバー部材110が取り付けられる。シャーシ102の内部に、回路基板等が設けられる。
【0005】
フィードホーン部106は、導波管部103の先端に設けられる。フィードホーン部106は、導波管部103に連通する。フィードホーン部106は、同心円状に複数の円周溝を有する。フィードホーン部106の導波管部103との接続部108に連続する内周面部107は、接続部108から遠ざかるにつれて外側に広がるようにテーパー状に形成される。
【0006】
ホーンキャップ105は、フィードホーン部106をその先端側から覆うように設けられる。Oリング104は、フィードホーン部106の先端側の外周面とホーンキャップ105の内周面との間に設けられる。コネクター109は、シャーシ102の内部に設けられた回路基板に接続された状態で、外部に露出している。フィードホーン部106から入力された電波は、導波管部103を経由してシャーシ102内部の回路基板に給電され、コネクター109から出力される。
【0007】
図23および図24は、衛星受信用コンバータ装置101からホーンキャップ105およびカバー部材110を取り外した状態を示している。衛星受信用コンバータ装置101においては、導波管部103の寸法精度(加工精度)によって、衛星受信用コンバータ装置101としての性能(偏波特性等)が決定される。
【0008】
導波管部103の寸法精度を測定するためには、導波管測定装置(図示せず)が使用される(特許文献2参照)。図23および図24に示すように、導波管部103の寸法精度が測定される際には、ホーンキャップ105がフィードホーン部106から取り外された状態で、次述する性能測定治具151(図25〜図27参照)が使用される。
【0009】
図25〜図27を参照して、導波管部103の寸法精度を測定する際に、衛星受信用コンバータ装置101に対して取り付け固定される性能測定治具151について説明する。図25は、性能測定治具151を示す正面図である。図26は、図25中のXXVI−XXVI線に関する矢視断面図である。図27は、図26中の矢印XXVII方向からの矢視図であり、性能測定治具151を示す底面図である。
【0010】
図25および図26に示すように、性能測定治具151には、上面部152から下端開口部153に向かって導波部154が貫設される。上面部152には、複数の雌ネジ156が設けられる。雌ネジ156を利用して、導波管測定装置を構成する所定の部材が固定される。
【0011】
図26および図27に示すように、性能測定治具151の下端開口部153側の外周面部155は、下端開口部153に近づくにつれて内側に寄るようにテーパー状に形成される。外周面部155の形状は、衛星受信用コンバータ装置101の内周面部107(図24参照)の形状に対応している。
【0012】
図28は、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対して取り付け固定された状態を示す断面図である。図28に示すように、衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)の性能が測定される際には、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101に取り付けられる。所定の電波発振器(図示せず)が、性能測定治具151の導波部154に試験用電波を入力する。
【0013】
試験用電波は、導波部154および衛星受信用コンバータ装置101の導波管部103を経由してシャーシ102内部の回路基板に給電され、コネクター109から出力される。コネクター109から出力された信号は、所定の測定装置(図示せず)に入力される。当該測定装置に入力された値に基づいて、導波管部103の寸法精度が測定されるとともに、衛星受信用コンバータ装置101としての性能(偏波特性等)が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−120348号公報
【特許文献2】特開2002−243429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図28に示すように、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101に取り付けられる際、性能測定治具151は、外周面部155と内周面部107との当接によって位置決め固定される。テーパー状に形成された外周面部155とテーパー状に形成された内周面部107との当接では、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対して高い精度で位置決め固定されることが困難であった。性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0016】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであって、性能測定治具が衛星受信用コンバータ装置に対して高い精度で位置決め固定されることが可能な衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびに性能測定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に基づく衛星受信用コンバータ装は、導波管部およびフィードホーン部を備え、性能測定治具を使用して性能が測定される衛星受信用コンバータ装置であって、上記フィードホーン部は、上記導波管部に連通し、上記導波管部とは反対側の外方に向かって広がるように延在し、上記導波管部の内周面には、上記導波管部と上記フィードホーン部との接続部から上記フィードホーン部とは反対側に向かって延在する第1嵌合部が設けられ、上記第1嵌合部の形状は、上記性能測定治具が上記導波管部に差し込まれた状態で、上記性能測定治具に嵌合するように形成されている。
【0018】
好ましくは、上記第1嵌合部は、上記導波管部の径方向に沿って延在する押圧部と、上記押圧部よりも内径側に到達するように上記導波管部の上記径方向沿って延在する位置決め部と、を含み、上記性能測定治具が上記導波管部に差し込まれた状態においては、上記押圧部が上記性能測定治具の先端外周部を上記径方向内側に向かって押圧することによって、上記性能測定治具の揺動が規制され、上記位置決め部と上記性能測定治具の先端とが相互に当接することによって、上記導波管部の軸方向における上記性能測定治具の位置が規定される。
【0019】
好ましくは、上記フィードホーン部の上記接続部に連続する内周面部の形状は、上記フィードホーン部の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、楕円形状である。
【0020】
好ましくは、上記フィードホーン部の上記接続部に連続する内周面部の形状は、上記フィードホーン部の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、多角形状である。
【0021】
本発明に基づく性能測定治具は、本発明に基づく上記の衛星受信用コンバータ装置の上記導波管部の性能を測定する上記性能測定治具であって、上記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部を備える。
【0022】
本発明に基づく衛星受信用コンバータ装置の製造方法は、導波管部およびフィードホーン部を有する衛星受信用コンバータ装置の製造方法であって、上記の上記性能測定治具を使用し、上記第1嵌合部と上記第2嵌合部とを相互に嵌合させた状態で、上記導波管部の検査を行なう工程を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、性能測定治具が衛星受信用コンバータ装置に対して高い精度で位置決め固定されることが可能な衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびに性能測定治具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置を示す正面図である。
【図2】実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置のシャーシを示す正面図である。
【図3】図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。
【図4】図3中のIV線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。
【図5】実施の形態1における性能測定治具を示す断面図である。
【図6】実施の形態1における性能測定治具を示す底面図である。
【図7】実施の形態1における性能測定治具が実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図8】実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置の製造方法を示すフロー図である。
【図9】実施の形態2における衛星受信用コンバータ装置のシャーシを示す正面図である。
【図10】図9におけるX−X線に関する矢視断面図である。
【図11】図9におけるXI−XI線に関する矢視断面図である。
【図12】実施の形態2における性能測定治具を示す断面図である。
【図13】実施の形態2における性能測定治具を示す底面図である。
【図14】実施の形態2における性能測定治具が実施の形態2における衛星受信用コンバータ装置に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図15】実施の形態3における衛星受信用コンバータ装置のシャーシを示す正面図である。
【図16】図15におけるXVI−XVI線に関する矢視断面図である。
【図17】図15におけるXVII−XVII線に関する矢視断面図である。
【図18】実施の形態3における性能測定治具を示す断面図である。
【図19】実施の形態3における性能測定治具を示す底面図である。
【図20】実施の形態3における性能測定治具が実施の形態3における衛星受信用コンバータ装置に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図21】一般的な衛星受信用コンバータ装置を示す正面図である。
【図22】図21中のXXII−XXII線に関する矢視断面図である。
【図23】一般的な衛星受信用コンバータ装置におけるシャーシを示す正面図である。
【図24】図23中のXXIV−XXIV線に関する矢視断面図である。
【図25】一般的な衛星受信用コンバータ装置の性能を測定する際に使用される一般的な性能測定治具を示す正面図である。
【図26】図25中のXXVI−XXVI線に関する矢視断面図である。
【図27】一般的な性能測定治具を示す底面図である。
【図28】一般的な性能測定治具が一般的な衛星受信用コンバータ装置に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0026】
[実施の形態1]
図1〜図8を参照して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置およびその製造方法、ならびに性能測定治具ついて説明する。
【0027】
(衛星受信用コンバータ装置1)
図1〜図3を参照して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1について説明する。図1は、衛星受信用コンバータ装置1を示す正面図である。図2は、衛星受信用コンバータ装置1のシャーシ2を示す正面図である。図3は、図2中のIII−III線に関する矢視断面図である。図2および図3は、衛星受信用コンバータ装置1からホーンキャップ5およびカバー部材を取り外した状態を示している。
【0028】
図1を参照して、衛星受信用コンバータ装置1は、パラボラ反射鏡(図示せず)に対向するように配置固定される。1つのパラボラ反射鏡に対して、複数の衛星受信用コンバータ装置1が取り付けられてもよい。パラボラ反射鏡と衛星受信用コンバータ装置1とによって、いわゆる衛星受信装置が構成される。
【0029】
図1〜図3に示すように、衛星受信用コンバータ装置1は、シャーシ2、導波管部3、Oリング(図示せず)、ホーンキャップ5、フィードホーン部6(一次放射器ともいう)、コネクター9、およびカバー部材(図示せず)を備える。図3に示すように、導波管部3は、シャーシ2の正面側に立設される。シャーシ2と導波管部3とは、一体的に形成されてもよいし、別体として作製された後に一体化されてもよい。シャーシ2の背面側に、カバー部材(図示せず)が取り付けられる。シャーシ2の内部に、回路基板等が設けられる。
【0030】
フィードホーン部6は、導波管部3の先端に設けられる。フィードホーン部6と導波管部3とは、一体的に形成されてもよいし、別体として作製された後に一体化されてもよい。フィードホーン部6は、導波管部3に連通する。フィードホーン部6は、同心円状に複数の円周溝を有する。フィードホーン部6の全体としては、導波管部3との接続部8から放射状に外方に広がるように構成される。
【0031】
フィードホーン部6の接続部8に連続する内周面部7は、接続部8から遠ざかるにつれて外側に広がるようにテーパー状に形成される。本実施の形態における内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸周りに回転対称に形成される。内周面部7の先端には、当接部7Tが形成される。当接部7Tは、正面視において円環状である(図2参照)。
【0032】
ホーンキャップ5(図1参照)は、フィードホーン部6をその先端側から覆うように設けられる。Oリング(図示せず)は、フィードホーン部6の先端側の外周面とホーンキャップ5の内周面との間に設けられる。コネクター9は、シャーシ2の内部に設けられた回路基板に接続された状態で、外部に露出している。フィードホーン部6から入力された電波は、導波管部3を経由してシャーシ2内部の回路基板に給電され、コネクター9から出力される。
【0033】
図4は、図3中のIV線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。上述のとおり、導波管部3とフィードホーン部6(内周面部7)との間には、接続部8(境界)が規定される。導波管部3の内周面3Sには、第1嵌合部3Mが設けられる。第1嵌合部3Mは、接続部8からフィードホーン部6とは反対側に向かって延在する。
【0034】
具体的には、第1嵌合部3Mは、押圧部3Uおよび位置決め部3Vを含む。押圧部3Uおよび位置決め部3Vは、内周面3Sから内径側(径方向の内側)に向かって円環状に凸設される。押圧部3Uおよび位置決め部3Vは、断面視略L字状を呈している。導波管部3の軸方向(図4紙面左右方向)において、押圧部3Uは、位置決め部3Vよりも接続部8寄りに位置する。位置決め部3Vは、押圧部3Uに比べて内径側に到達するように、径方向の内側に向かって延在している。
【0035】
押圧部3Uの凸設によって、押圧部3Uの接続部8寄りの部分に、当接部3Rが形成される。当接部3Rは、導波管部3の軸方向に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。位置決め部3Vの凸設によって、位置決め部3Vの接続部8寄りの部分に、当接部3Tが形成される。当接部3Tも、導波管部3の軸方向に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態における押圧部3Uおよび位置決め部3Vは、正面視円環状に形成される。押圧部3Uおよび位置決め部3Vは、円周方向において連続的に形成されてもよく(図2に示す状態)、円周方向において一部が破断するように形成されてもよい。以上のように構成される衛星受信用コンバータ装置1は、次述する性能測定治具51(図5および図6参照)を使用して、導波管部3における性能(偏波特性等)が測定される。
【0037】
(性能測定治具51)
図5および図6を参照して、本実施の形態における性能測定治具51について説明する。図5は、性能測定治具51を示す断面図である。図6は、図5中の矢印VI方向からの矢視図であり、性能測定治具51を示す底面図である。図5および図6に示すように、性能測定治具51には、上面部52から下端開口部53に向かって導波部54が貫設される。上面部52には、複数の雌ネジ56が設けられる。雌ネジ56を利用して、衛星受信用コンバータ装置1の導波管部3における性能を測定するための導波管測定装置(図示せず)を構成する所定の部材が固定される。
【0038】
性能測定治具51の長手方向(導波部54の中心軸)の略中央に、底面視円形状の中底部55が設けられる。中底部55は、導波部54の中心軸に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。中底部55から下端開口部53に向かって垂れ下がるように、円筒部55Kが設けられる。円筒部55Kの下端開口部53周りに、第2嵌合部53Mが設けられる。
【0039】
具体的には、第2嵌合部53Mは、円筒部55Kが薄肉状に形成された被押圧部53U(先端外周部)を含む。被押圧部53Uが円筒部55Kに設けられることによって、被押圧部53Uの下端開口部53寄りの部分に、当接部53T(性能測定治具51の先端に相当)が形成される。当接部53Tは、導波部54の中心軸に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。被押圧部53Uの上面部52寄りの部分に、当接部53Rが形成される。当接部53Rも、導波部54の中心軸に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。
【0040】
(性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1への取り付け)
図7は、性能測定治具51が衛星受信用コンバータ装置1に取り付けられた状態を示す断面図である。図7を参照して、導波管部3に設けられた第1嵌合部3Mと性能測定治具51の第2嵌合部53Mとの形状は、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合可能なように対応している。具体的には、第1嵌合部3Mの当接部3R、押圧部3U、および当接部3Tの形状は、第2嵌合部53Mの当接部53R、被押圧部53U、および当接部53Tの形状にそれぞれ対応している。
【0041】
性能測定治具51が導波管部3(フィードホーン部6)に差し込まれた際に、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合する。導波管部3に設けられた押圧部3Uが、性能測定治具51の被押圧部53Uを内径側に向かって押圧する。当該押圧によって、性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する揺動が規制される。当該揺動をより確実に規制するために、押圧部3Uの内径と被押圧部53Uの外径との間には、最適な寸法関係が成立しているとよい。
【0042】
導波管部3に設けられた位置決め部3Vの当接部3Tが、性能測定治具51の当接部53Tに当接する。当該当接によって、性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する軸方向(図7紙面左右方向)の位置が規定される。導波管部3に設けられた当接部3Rが、性能測定治具51の当接部53Rに当接するように構成されてもよい。当該当接によって、性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する軸方向(図7紙面左右方向)の位置が規定されてもよい。
【0043】
さらに、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合した際に、当接部7Tと中底部55とが相互に当接するように構成されてもよい。当該構成によって、性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する揺動はさらに抑制される。
【0044】
冒頭において図28を参照して説明したように、一般的には、テーパー状に形成された外周面部155(図28参照)とテーパー状に形成された内周面部107とが相互に当接する。当該当接によって、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対して位置決め固定される。性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0045】
これに対して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1および性能測定治具51によれば、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合する。さらに、当接部7Tと中底部55とが当接するように構成されてもよい。性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する揺動が抑制された状態で、性能測定治具51は、衛星受信用コンバータ装置1に対して高い精度で位置決め固定されることが可能となる。
【0046】
性能測定治具51が衛星受信用コンバータ装置1に対して取り付け固定された状態で、衛星受信用コンバータ装置1(導波管部3)の性能が測定される。この際、性能測定治具51の導波部54に所定の試験用電波が入力される。試験用電波は、導波部54および衛星受信用コンバータ装置1の導波管部3を経由して、シャーシ2内部の回路基板に給電され、コネクター9から出力される。
【0047】
コネクター9から出力された信号は、所定の測定装置(図示せず)に入力される。当該測定装置に入力された値に基づいて、導波管部3の寸法精度(導波管部3の歪みまたは変形など)が測定されるとともに、衛星受信用コンバータ装置1としての性能(偏波特性等)は、高い精度で測定されることが可能となる。
【0048】
(衛星受信用コンバータ装置1の製造方法)
本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1の製造方法は、導波管部3を構成する部材(本実施の形態においてはシャーシ2)を製造する工程を備える。図8は、シャーシ2(図3参照)を製造する工程を示すフロー図である。以下、図8を参照して、シャーシ2を製造する各工程について説明する。
【0049】
シャーシ2(図3参照)を製造するため、まず鋳造工程(S110)が実施される。鋳造工程(S110)においては、シャーシ2を製造するための鋳型(金型)が準備される。この鋳型に、溶融した金属(アルミニウムなど)が流し込まれる。溶融した金属が凝固することによって、シャーシ2となる部材が作製される。作製されたシャーシ2となる部材には、導波管部3(図3参照)およびフィードホーン部6(図3参照)などの基本的な構造が形成される。
【0050】
鋳造工程(S110)の後、第1検査工程(S120)が実施される。具体的には、図5〜図7に示す性能測定治具51が、図7を参照して上述したように、シャーシ2となる部材(導波管部3)に取り付け固定される。この状態で、試験用電波が性能測定治具51からシャーシ2となる部材の導波管部3へと入力される。導波管部3の変形および歪みの有無が検査される。当該検査は、鋳造工程(S110)によって製造された部材の全数について行なわれる。
【0051】
導波管部3において変形などが発生した部材(不良品)が見つかった場合、その不良品は分別され、製造工程から外される。良品(導波管部3に変形の発生していない部材)と判断された部材のみが、次述するプレス工程(S130)に送られる。
【0052】
プレス工程(S130)においては、第1検査工程(S120)において良品と判断された部材に対してプレス加工が行なわれる。プレス工程(S130)においては、たとえばゲートカット工程が実施される。この際、鋳造工程(S110)によっては作り込みが困難な複雑な形状、または、高い寸法精度が求められるような形状が、シャーシ2となる部材に合わせて形成されてもよい。
【0053】
プレス工程(S130)の後、第2検査工程(S140)が実施される。第2検査工程(S140)は、プレス工程(S130)が実施された部材の全数に対して実施される。第1検査工程(S120)と同様に、第2検査工程(S140)においても、図5〜図7に示す性能測定治具51が使用される。不良品と判断された部材は分別され、良品と判断された部材のみが、次述するバリ取り工程(S150)に送られる。
【0054】
バリ取り工程(S150)においては、鋳造工程(S110)またはプレス工程(S130)においてシャーシ2(図3参照)となるべき部材に形成されたバリが切断される。バリ取り工程(S150)の後、第3検査工程(S160)が実施される。第3検査工程(S160)も、バリ取り工程(S150)が実施された部材の全数に対して実施される。第1検査工程(S120)と同様に、第3検査工程(S160)においても、図5〜図7に示す性能測定治具51が使用される。不良品と判断された部材は分別され、良品と判断された部材のみが、次述する機械加工工程(S170)に送られる。
【0055】
機械加工工程(S170)においては、シャーシ2となるべき部材が、必要に応じて部分的に切削される。機械加工工程(S170)の後、第4検査工程(S180)が実施される。第4検査工程(S180)も、機械加工工程(S170)が実施された部材の全数に対して実施される。第1検査工程(S120)と同様に、第4検査工程(S180)においても、図5〜図7に示す性能測定治具51が使用される。不良品と判断された部材は分別され、良品と判断された部材のみが、次述するアロジン工程(S190)に送られる。
【0056】
アロジン工程(S190)においては、シャーシ2の表面に、表面処理としてのアロジン加工が実施される。アロジン工程(S190)の後、第5検査工程(S200)が実施される。第5検査工程(S200)も、アロジン工程(S190)が実施された部材の全数に対して実施される。第1検査工程(S120)と同様に、第5検査工程(S200)においても、図5〜図7に示す性能測定治具51が使用される。不良品と判断された部材は分別され、良品と判断された部材のみが、次述する組立工程(S210)に送られる。
【0057】
組立工程(S210)においては、シャーシ2を構成する部材に、シャーシ2を構成するために必要な所定の部品が組み付けられる。組立工程(S210)の後、第6検査工程(S220)が実施される。第6検査工程(S220)も、組立工程(S210)が実施された部材の全数に対して実施される。第1検査工程(S120)と同様に、第6検査工程(S220)においても、図5〜図7に示す性能測定治具51が使用される。不良品と判断されたシャーシ2は分別される。良品と判断されたシャーシ2のみが、衛星受信用コンバータ装置1の構成部材として利用される。
【0058】
シャーシ2に回路基板が内蔵された状態で、Oリング、ホーンキャップ5、コネクター9、およびカバー部材10などの各部品がシャーシ2にそれぞれ組み付けられることによって、衛星受信用コンバータ装置1が得られる。
【0059】
シャーシ2(図3参照)の製造工程において、各工程が終了した後にそれぞれ第1〜第6検査工程(S120、S140、S160、S180、S200、S220)をそれぞれ行なうことにより、次工程へと不良品が送り込まれることを確実に防止できる。
【0060】
たとえば、鋳造工程(S110)においては、金型などから鋳造後の部材が取り出される。この際、シャーシ2となるべき部材の導波管部3(図3参照)が金型と接触することにより、導波管部3においてかじりまたは変形などの不良が発生することがある。この場合、第1検査工程(S120)において、不良が発生した導波管部3を有する部材は検出および分別される。
【0061】
プレス工程(S130)においては、鋳造された部材(部品)に対してゲートカットまたはその他のプレス工程が行なわれる。この際、導波管部3(図3参照)に変形歪みが生じる場合がある。この場合にも、第2検査工程(S140)において、不良が発生した導波管部3を有する部材は検出および分別される。
【0062】
バリ取り工程(S150)およびアロジン工程(S190)においては、加工対象であるシャーシ2となるべき部材が他の部材と接触し、当該接触によってシャーシ2となるべき部材の導波管部3が変形することがある。この場合にも、第3検査工程(S160)または第5検査工程(S200)において、不良が発生した導波管部3を有する部材は検出および分別される。
【0063】
図8に示す各工程の実施場所へとシャーシ2となるべき部材(半製品)を搬送する場合、またはこの部材を仮置きする場合にも、部材の導波管部3に何らかの応力が加わって導波管部3が歪むことがある。この場合であっても、衛星受信用コンバータ装置1となるべき部材を加工する各工程の後に、加工対象である部材の全数について、その部材の導波管部3についての検査工程が実施されることによって、導波管部3が変形したような衛星受信用コンバータ装置1が製造されることを確実に防止できる。導波管部3が歪んだような不良品が最終的な製品として流出することを確実に防止できる。
【0064】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1および性能測定治具51によれば、衛星受信用コンバータ装置1の第1嵌合部3Mと性能測定治具51の第2嵌合部53Mとが相互に嵌合する。性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1に対する揺動が抑制された状態で、性能測定治具51は、衛星受信用コンバータ装置1に対して高い精度で位置決め固定されることが可能となる。
【0065】
本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1の製造方法においては、性能測定治具51の衛星受信用コンバータ装置1(導波管部3)に対する位置決め固定は、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとの嵌合によって、高い再現性を持って実現される。本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1の製造方法において、安定した導波管部3の性能測定結果を得ることが可能となる。安定した導波管部3の性能測定結果に基づいて、導波管部3の不良品/良品が判別されることが可能となり、導波管部3が歪んだような不良品が最終的な製品として流出することは、確実に防止されることが可能となる。
【0066】
[実施の形態2]
図9〜図14を参照して、本実施の形態について説明する。ここでは、上述の実施の形態1との相違点について説明する。
【0067】
(衛星受信用コンバータ装置1A)
図9〜図11を参照して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1Aについて説明する。図9は、衛星受信用コンバータ装置1Aのシャーシ2を示す正面図である。図10は、図9におけるX−X線に関する矢視断面図である。図11は、図9におけるXI−XI線に関する矢視断面図である。
【0068】
上述の実施の形態1(図2参照)においては、フィードホーン部6の接続部8に連続する内周面部7は、接続部8から遠ざかるにつれて外側に広がるようにテーパー状に形成される。上述の実施の形態1における内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸周りに回転対称に形成される。内周面部7の先端に形成された当接部7Tは、正面視において円環状である(図2参照)。
【0069】
図9〜図11を参照して、本実施の形態においては、フィードホーン部6の接続部8に連続する内周面部7は、接続部8から遠ざかるにつれて外側に正面視楕円形状に広がるようにテーパー状に形成される。本実施の形態における内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸周りに回転対称には形成されない。内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、楕円形状を呈している。内周面部7の先端に形成された当接部7Tは、正面視において楕円環状である(図9参照)。
【0070】
導波管部3とフィードホーン部6(内周面部7)との間には、上述の実施の形態1と同様に、接続部8(境界)が規定される。導波管部3の内周面3Sには、上述の実施の形態1と同様に、接続部8からフィードホーン部6とは反対方向に向かって延在する第1嵌合部3Mが設けられる。
【0071】
(性能測定治具51A)
図12および図13を参照して、本実施の形態における性能測定治具51について説明する。図12は、性能測定治具51Aを示す断面図である。図13は、図12中の矢印XIII方向からの矢視図であり、性能測定治具51Aを示す底面図である。
【0072】
性能測定治具51の長手方向(導波部54の中心軸)の略中央に、底面視楕円形状の中底部55が設けられる。中底部55は、導波部54の中心軸に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。中底部55から下端開口部53に向かって垂れ下がるように、上述の実施の形態1と同様に、円筒部55Kが設けられる。円筒部55Kの下端開口部53周りに、上述の実施の形態1と同様に、第2嵌合部53Mが設けられる。
【0073】
(性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aへの取り付け)
図14は、性能測定治具51Aが衛星受信用コンバータ装置1Aに取り付けられた状態を示す断面図である。図14を参照して、導波管部3に設けられた第1嵌合部3Mと性能測定治具51Aの第2嵌合部53Mとの形状は、上述の実施の形態1と同様に、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合可能なように対応している。
【0074】
上述の実施の形態1と同様に、性能測定治具51Aが導波管部3(フィードホーン部6)に差し込まれた際に、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合する。導波管部3に設けられた押圧部3Uが、性能測定治具51Aの被押圧部53Uを内径側に向かって押圧することによって、性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aに対する揺動が規制される。当該揺動をより確実に規制するために、押圧部3Uの内径と被押圧部53Uの外径との間には、最適な寸法関係が成立しているとよい。
【0075】
導波管部3に設けられた位置決め部3Vの当接部3Tが、性能測定治具51Aの当接部53Tに当接する。当該当接によって、性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aに対する軸方向(図14紙面左右方向)の位置が規定される。導波管部3に設けられた当接部3Rが、性能測定治具51Aの当接部53Rに当接するように構成されてもよい。当該当接によって、性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aに対する軸方向(図14紙面左右方向)の位置が規定されてもよい。
【0076】
さらに、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合した際に、当接部7Tと中底部55とが相互に当接するように構成されてもよい。当該構成によって、性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aに対する揺動はさらに抑制される。
【0077】
冒頭において図28を参照して説明したように、一般的には、テーパー状に形成された外周面部155(図28参照)とテーパー状に形成された内周面部107との当接によって、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対して位置決め固定される。性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0078】
特に、内周面部107が、接続部108から遠ざかるにつれて外側に正面視楕円形状に広がるようにテーパー状に形成される場合、性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が一層低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0079】
これに対して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1Aおよび性能測定治具51Aによれば、内周面部7が、接続部8から遠ざかるにつれて外側に正面視楕円形状に広がるようにテーパー状に形成されていたとしても、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合する。さらに、当接部7Tと中底部55とが当接するように構成されてもよい。性能測定治具51Aの衛星受信用コンバータ装置1Aに対する揺動が抑制された状態で、性能測定治具51Aは、衛星受信用コンバータ装置1Aに対して高い精度で位置決め固定されることが可能となる。
【0080】
性能測定治具51Aが衛星受信用コンバータ装置1Aに対して取り付け固定された状態で、衛星受信用コンバータ装置1A(導波管部3)の性能が測定される。この際、性能測定治具51Aの導波部54に所定の試験用電波が入力される。試験用電波は、導波部54および衛星受信用コンバータ装置1Aの導波管部3を経由して、シャーシ2内部の回路基板に給電され、コネクター9から出力される。
【0081】
コネクター9から出力された信号は、所定の測定装置(図示せず)に入力される。当該測定装置に入力された値に基づいて、導波管部3の寸法精度(導波管部3の歪みまたは変形など)が測定されるとともに、衛星受信用コンバータ装置1Aとしての性能(偏波特性等)は、高い精度で測定されることが可能となる。
【0082】
上述の実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置1の製造方法と同様に、安定した測定結果に基づいて、導波管部3の不良品/良品が判別されることが可能となり、導波管部3が歪んだような不良品が最終的な製品として流出するといったことは、確実に防止されることが可能となる。
【0083】
[実施の形態3]
図15〜図20を参照して、本実施の形態について説明する。ここでは、上述の実施の形態1との相違点について説明する。
【0084】
(衛星受信用コンバータ装置1B)
図15〜図17を参照して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1Bについて説明する。図15は、衛星受信用コンバータ装置1Bのシャーシ2を示す正面図である。図16は、図15におけるXVI−XVI線に関する矢視断面図である。図17は、図15におけるXVII−XVII線に関する矢視断面図である。
【0085】
上述の実施の形態1(図2参照)においては、フィードホーン部6の接続部8に連続する内周面部7は、接続部8から遠ざかるにつれて外側に広がるようにテーパー状に形成される。上述の実施の形態1における内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸周りに回転対称に形成される。内周面部7の先端に形成された当接部7Tは、正面視において円環状である(図2参照)。
【0086】
図15〜図17を参照して、本実施の形態においては、フィードホーン部6の接続部8に連続する内周面部7は、接続部8から遠ざかるにつれて外側に正面視多角形状(本実施の形態においては四角形状)に広がるように延在する。本実施の形態における内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸周りに回転対称には形成されない。
【0087】
内周面部7は、フィードホーン部6の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、多角形状(本実施の形態においては四角形状)を呈している。内周面部7の先端の当接部7Tは、正面視において円環状に形成される(図15参照)。
【0088】
導波管部3とフィードホーン部6(内周面部7)との間には、上述の実施の形態1と同様に、接続部8(境界)が規定される。導波管部3の内周面3Sには、上述の実施の形態1と同様に、第1嵌合部3Mが設けられる。本実施の形態においては、押圧部3Uの接続部8寄りの部分に形成される当接部3Rも、多角形状(本実施の形態においては四角形状)を呈している。
【0089】
(性能測定治具51B)
図18および図19を参照して、本実施の形態における性能測定治具51Bについて説明する。図18は、性能測定治具51Bを示す断面図である。図19は、図18中の矢印XIX方向からの矢視図であり、性能測定治具51Bを示す底面図である。
【0090】
性能測定治具51の長手方向(導波部54の中心軸)の略中央に、底面視円形状の中底部55が設けられる。中底部55は、導波部54の中心軸に対して直交する平面上に位置するように、略平坦に形成される。中底部55から下端開口部53に向かって垂れ下がるように、上述の実施の形態1と同様に、円筒部55Kが設けられる。円筒部55Kの下端開口部53周りに、第2嵌合部53Mが設けられる。
【0091】
円筒部55Kの外側表面は、図18に示すように、テーパー状に形成されていてもよい。なお、円筒部55Kの外側表面は、性能測定治具51Bが衛星受信用コンバータ装置1Bに差し込まれた際に、内周面部7には接触しないように構成される(図20参照)。
【0092】
(性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bへの取り付け)
図20は、性能測定治具51Bが衛星受信用コンバータ装置1Bに取り付けられた状態を示す断面図である。図20を参照して、導波管部3に設けられた第1嵌合部3Mと性能測定治具51Aの第2嵌合部53Mとの形状は、上述の実施の形態1と同様に、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合可能なように対応している。なお、性能測定治具51Bにおいては、当接部53Rが底面視多角形状(本実施の形態においては四角形状)を呈している。
【0093】
上述の実施の形態1と同様に、性能測定治具51Bが導波管部3(フィードホーン部6)に差し込まれた際に、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合する。導波管部3に設けられた押圧部3Uが、性能測定治具51Bの被押圧部53Uを内径側に向かって押圧することによって、性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bに対する揺動が規制される。当該揺動をより確実に規制するために、押圧部3Uの内径と被押圧部53Uの外径との間には、最適な寸法関係が成立しているとよい。
【0094】
導波管部3に設けられた位置決め部3Vの当接部3Tが、性能測定治具51Bの当接部53Tに当接する。当該当接によって、性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bに対する軸方向(図20紙面左右方向)の位置が規定される。導波管部3に設けられた当接部3Rが、性能測定治具51Bの当接部53Rに当接するように構成されてもよい。当該当接によって、性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bに対する軸方向(図20紙面左右方向)の位置が規定されてもよい。
【0095】
さらに、第1嵌合部3Mおよび第2嵌合部53Mが相互に嵌合した際に、当接部7Tと中底部55とが相互に当接するように構成されてもよい。当該構成によって、性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bに対する揺動はさらに抑制される。
【0096】
冒頭において図28を参照して説明したように、一般的には、テーパー状に形成された外周面部155(図28参照)とテーパー状に形成された内周面部107との当接によって、性能測定治具151が衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対して位置決め固定される。性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0097】
特に、内周面部107が、接続部108から遠ざかるにつれて外側に正面視多角形状に広がるように形成される場合、性能測定治具151の衛星受信用コンバータ装置101(導波管部103)に対する位置決め固定は再現性が一層低く、安定した測定結果を得ることができなかった。
【0098】
これに対して、本実施の形態における衛星受信用コンバータ装置1Bおよび性能測定治具51によれば、内周面部7が、接続部8から遠ざかるにつれて外側に正面視多角形状に広がるように形成されていたとしても、第1嵌合部3Mと第2嵌合部53Mとが相互に嵌合する。さらに、当接部7Tと中底部55とが当接するように構成されてもよい。性能測定治具51Bの衛星受信用コンバータ装置1Bに対する揺動が抑制された状態で、性能測定治具51Bは、衛星受信用コンバータ装置1Bに対して高い精度で位置決め固定されることが可能となる。
【0099】
性能測定治具51Bが衛星受信用コンバータ装置1Bに対して取り付け固定された状態で、衛星受信用コンバータ装置1B(導波管部3)の性能が測定される。この際、性能測定治具51Bの導波部54に所定の試験用電波が入力される。試験用電波は、導波部54および衛星受信用コンバータ装置1Bの導波管部3を経由して、シャーシ2内部の回路基板に給電され、コネクター9から出力される。
【0100】
コネクター9から出力された信号は、所定の測定装置(図示せず)に入力される。当該測定装置に入力された値に基づいて、導波管部3の寸法精度(導波管部3の歪みまたは変形など)が測定されるとともに、衛星受信用コンバータ装置1Bとしての性能(偏波特性等)は、高い精度で測定されることが可能となる。
【0101】
上述の実施の形態1における衛星受信用コンバータ装置1の製造方法と同様に、安定した測定結果に基づいて、導波管部3の不良品/良品が判別されることが可能となり、導波管部3が歪んだような不良品が最終的な製品として流出するといったことは、確実に防止されることが可能となる。
【0102】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、上述の各実施の形態における第1嵌合部3Mは、導波管部3の内周面3Sに対して凸設されている。第1嵌合部3Mは、導波管部3の内周面3Sに対して凹設されていてもよい。この場合、第2嵌合部53Mは、第1嵌合部3Mに嵌合可能なように、第1嵌合部3Mの形状に対応して形成される。当該構成によっても、上述の各実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0103】
また、上述の各実施の形態における衛星受信用コンバータ装置の製造方法(図8参照)においては、各工程が終了した後にそれぞれ第1〜第6検査工程(S120、S140、S160、S180、S200、S220)がそれぞれ行なわれる。これらの検査工程は、製造時間の短縮に鑑みて、必要に応じて間欠的に実施されてもよい。
【0104】
したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B,101 衛星受信用コンバータ装置、2,102 シャーシ、3,103 導波管部、3M 第1嵌合部、3R,3T,7T,53R 当接部、3S 内周面、3U 押圧部、3V 位置決め部、5,105 ホーンキャップ、6,106 フィードホーン部、7,107 内周面部、8,108 接続部、9,109 コネクター、51,51A,51B,151 性能測定治具、52,152 上面部、53,153 下端開口部、53M 第2嵌合部、53T 当接部(性能測定治具の先端)、53U 被押圧部(先端外周部)、54,154 導波部、55 中底部、55K 円筒部、56,156 雌ネジ、104 Oリング、110 カバー部材、155 外周面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管部およびフィードホーン部を備え、性能測定治具を使用して性能が測定される衛星受信用コンバータ装置であって、
前記フィードホーン部は、前記導波管部に連通し、前記導波管部とは反対側の外方に向かって広がるように延在し、
前記導波管部の内周面には、前記導波管部と前記フィードホーン部との接続部から前記フィードホーン部とは反対側に向かって延在する第1嵌合部が設けられ、
前記第1嵌合部の形状は、前記性能測定治具が前記導波管部に差し込まれた状態で、前記性能測定治具に嵌合するように形成されている、
衛星受信用コンバータ装置。
【請求項2】
前記第1嵌合部は、前記導波管部の径方向に沿って延在する押圧部と、前記押圧部よりも内径側に到達するように前記導波管部の前記径方向沿って延在する位置決め部と、を含み、
前記性能測定治具が前記導波管部に差し込まれた状態においては、
前記押圧部が前記性能測定治具の先端外周部を前記径方向内側に向かって押圧することによって、前記性能測定治具の揺動が規制され、
前記位置決め部と前記性能測定治具の先端とが相互に当接することによって、前記導波管部の軸方向における前記性能測定治具の位置が規定される、
請求項1に記載の衛星受信用コンバータ装置。
【請求項3】
前記フィードホーン部の前記接続部に連続する内周面部の形状は、前記フィードホーン部の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、楕円形状である、
請求項1または2に記載の衛星受信用コンバータ装置。
【請求項4】
前記フィードホーン部の前記接続部に連続する内周面部の形状は、前記フィードホーン部の中心軸に対して垂直な平面で切断した場合の断面形状が、多角形状である、
請求項1または2に記載の衛星受信用コンバータ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の前記衛星受信用コンバータ装置の前記導波管部の性能を測定する前記性能測定治具であって、
前記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部を備える、
性能測定治具。
【請求項6】
導波管部およびフィードホーン部を有する衛星受信用コンバータ装置の製造方法であって、
請求項5に記載の前記性能測定治具を使用し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを相互に嵌合させた状態で、前記導波管部の検査を行なう工程を備える、
衛星受信用コンバータ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−124814(P2012−124814A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275564(P2010−275564)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】