説明

衛生洗浄装置

【課題】日常生活のなかで手間や負担を生じることなく、人体の覚醒を促し生体リズムを整える衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】起床後にほとんどの人が立ち入るトイレ室9に備えた衛生洗浄装置10の便蓋13に照明手段19を設け、トイレ室9に入室して立っている使用者の人体の前頭部に開いた便蓋13の照明手段19より光を照射して人体の覚醒を促すとともに、洗浄ノズル16の洗浄水により人体局部を刺激することで、負担なく手軽に生体リズムを整えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室内で人体の覚醒を促す衛生洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体には睡眠や摂食などさまざまなリズム(周期)が存在し、このリズムの乱れが人体機能に影響を与え体調不良などを引き起こすといわれている。また、脳の視床下部近辺に存在する松果体は、光と同調し生体リズムを整える重要な働きをすることが知られている。すなわち、人体には朝日の光照射により覚醒することで体内時計をリセットし、光の照射が減少するに従って活動が低下し夜に睡眠を促されるというリズムが存在している。
【0003】
しかしながら、現代社会では生活時間の乱れや生活環境により、朝の太陽光照射が不足しがちになっており、光の照射の必要な朝の時間に十分な光を照射することができないため、体内時計のリセットができなくなり、朝起きてもスッキリしない、午前中は体がだるいなどの睡眠障害が引き起こされ、日中の作業効率の低下や、生体リズムの乱れが体調不良を引き起こす恐れがあった。
【0004】
一般に生体リズムを整えるために朝の覚醒を促すものとして、室内の照明器具を高照度のものに変える方法や卓上型の高照度の照明器具を用いる方法、起床後に入浴(シャワーを浴びることも含む)を行う方法を利用して負担なく手軽に生体リズムを整えることが知られている。さらに、起床後にほとんどの人が立ち入るトイレ室に発光手段を備えトイレ室で人体を覚醒し、便通を整える方法も知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−199690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、家庭内で各個人の起床時間はさまざまであり、室内の照明を高照度のものにする方法では、住環境によっては使用できない場合があるとともに、卓上の照明器具を用いる場合でも、おき場所が必要になるとともに使用に手間がかかるという課題があった。また、入浴を行う方法では、仕度に時間がかかることや光熱費がかかるなどの課題があった。さらにトイレ室に発光手段を備える方法では、トイレに入室している短時間の間に光の照射のみで人体を覚醒させることは困難であるという課題があった。
【0006】
上記従来の課題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、起床後にほとんどの人が立ち入るトイレ室を利用して負担なく手軽に生体リズムを整えることが可能な衛生洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衛生洗浄装置は、トイレ室に人体の洗浄を行う人体洗浄ノズルと便座と便蓋と照明手段を有する衛生洗浄装置を備え、前記照明手段は人体の前頭部に光を照射する構成とし、前記照明手段による光の照射と前記人体洗浄ノズルを用いた洗浄刺激により人体の覚醒を促すもので、トイレ室とその衛生洗浄装置を利用して人体の覚醒を促すことができ、負担なく手軽に生体リズムを整えることができるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衛生洗浄装置は、トイレ室とその衛生洗浄装置を利用して人体の覚醒を促すことができ、手軽で容易に生体リズムを整えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、トイレ室に人体の洗浄を行う人体洗浄ノズルと便座と便蓋と照明手段を有する衛生洗浄装置を備え、前記照明手段は人体の前頭部に光を照射する構成とし、前記照明手段による光の照射と前記人体洗浄ノズルを用いた洗浄刺激で人体の覚醒を促すものであり、起床後に殆どの人が立ち入るトイレ室内で衛生洗浄装置の照明手段により人体の前頭部に光を照射することで、網膜を介して効率的に光の刺激と前記人体洗浄ノズルを用いた洗浄刺激を与えることができ、人体の覚醒を確実に促すことができ、負担なく手軽に生体リズムを整えることができる。
【0010】
第2の発明は、特に第1の発明の照明手段を便蓋に設けた構成とし、簡易な構成で使用者の前頭部に覚醒を促す光を照射することができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1の発明または第2の発明において、人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の水温を可変する温度可変手段を備え、前記水温の可変による刺激により人体の覚醒を促すもので、人体洗浄の水温の可変による刺激により人体の覚醒を促すことができ、短時間で手軽に覚醒効果を得ることができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜第3の発明のいずれか1つの発明において、人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の水量を可変する水量可変手段を備え、前記水量の可変による水勢の刺激により人体の覚醒を促すもので、人体洗浄水の水量可変による水勢の刺激により人体の覚醒を促すことができ、短時間で手軽に覚醒効果を得ることができる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜第4の発明のいずれか1つの発明において、人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の被洗浄面の洗浄面積を可変する洗浄面積可変手段を備え、前記洗浄面積の可変による洗浄部位の刺激により人体の覚醒を促すもので、人体洗浄による洗浄部位の刺激により人体の覚醒を促すことができ、短時間で手軽に覚醒効果を得ることができる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜第5の発明のいずれか1つの発明において、高濃度の酸素を供給する酸素富化手段を備え、前記高濃度酸素の人体への供給により人体の覚醒を促すもので、高濃度酸素の吸引により人体の覚醒を促すことができる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜第6の発明のいずれか1つの発明において、生体情報収集手段を備え、前記生体情報収集手段からの出力によって覚醒を促す刺激の強度を制御するもので、生体情報収集手段からの出力によって覚醒を促す刺激の強度を制御することで、使用者の覚醒状態に合わせた刺激を与えることができる。
【0016】
第8の発明は、特に、第7の発明の生体情報収集手段は、便座に少なくとも2つ以上の電極を設けた構成とし、臀部より生体情報を収集することで、手軽に負担なく生体情報を収集することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、本実施の形態の説明において、同一構成で同一作用効果を奏するところには同一符号を付して重複した説明を行わないものとする。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の外観を示すもので、図1において、衛生洗浄装置10は起床後にほとんどの人が用便のため立ち入るトイレ空間であるトイレ室9に備えられている。そして、衛生洗浄装置10は便器11上部に設置され、その
衛生洗浄装置の本体12、トイレ室9への使用者の入室、退出を検知した人体検知手段17の信号で電動により自動開閉する便蓋13、使用者が座るための便座14から構成され、さらに、水道から洗浄水の供給を受けるための給水配管(図示せず)および壁面のコンセントから電源供給を受けるための電気ケーブル15が備えてある。
【0019】
衛生洗浄装置10の内部には、人体の局部を洗浄する図3に示すお尻洗浄ノズル38、ビデ洗浄ノズルからなる洗浄ノズル16や洗浄後の濡れた人体局部を温風の吹き付けで乾燥させる乾燥機能、寒冷時にトイレ室9を暖房する部屋暖房機能、トイレ室9への使用者の入室、退室したことを検知する人体検知手段17等が備えてあり、さらには、洗浄ノズル16や上記の各機能の操作は壁面に取り付けたリモートコントローラ18(以下、リモコンと略す)および本体12により自動的に操作される。
【0020】
便蓋13には使用者の前頭部への光の照射で人体の覚醒を促す照明手段19が備えてあり、トイレ室9への使用者の入室を検知した人体検知手段17の信号で便蓋13が開いた状態で照明手段19を点灯し、衛生洗浄装置11の前に立った使用者の前頭部に光が照射されるように構成されている。また、洗浄ノズル16は、人体局部の洗浄以外に、洗浄水による人体局部の刺激で人体の覚醒を促すことができるように構成してある。
【0021】
照明手段19は、高輝度白色LEDを1つもしくは複数個用いており、人体に照射される強度が1000Lx以上望ましくは2500Lx以上になるようにしてある。そして、一般に光源の色温度が高いほど覚醒感が高まり、色温度が下がると覚醒が下がることが知られているため、照明手段19では色温度は高温であることが望ましい。なお、本実施の形態では光源として、消費電力は小型であることから高輝度白色LEDを用いたが、白色蛍光灯やLED蛍光等などの応用が考えられることはもちろんである。
【0022】
また、便座14には使用者の存在を検知する検知手段としての着座センサ20を備えており、この着座センサ20は、赤外線を用いて使用者の便座14への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知する方式や、さらには赤外線や超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知する、もしくはトイレ室9に入室、退室したことを検知する方式、さらには例えばトイレの照明に連動して使用者の存在を検知する方式等でも検知手段としての応用が可能である。
【0023】
洗浄水タンク21は、便器11の後方上部に装着されており、便器11内の排泄物を下水に排水する洗浄用水が貯えられている。
【0024】
図2は、リモコン18の外観を示すものであり、トイレ室9の壁に設置され、お尻洗浄スイッチ22、ビデ洗浄スイッチ23、乾燥スイッチ24、そして、前記の各機能のインジケータ25、調節スイッチ26、前記各機能の動作を止める停止スイッチ27および照明手段19の照明を点灯、消灯する覚醒機能のための覚醒スイッチ28を有している。
【0025】
そして、リモコン18の前記した各スイッチへの使用者の操作信号は、赤外線等の無線信号によって衛生洗浄装置の本体12へ送信され、この信号を受信した本体12の全体を制御する、マイクロコンピュータ及びその周辺回路からなる図3に示す制御手段8により前記各機能の動作を制御する構成となっている。
【0026】
図3は、実施の形態1における衛生洗浄装置10の水回路を示す構成図である。図3において、給水源29に接続された分岐水栓30より衛生洗浄装置に水道水を供給する。水道水は、ストレーナ31、逆止弁32、定流量弁33、元電磁弁34、流量センサ35を経て、加熱ユニット36に供給され、流量センサ35は加熱ユニット36への洗浄水の流量を計測し、加熱ユニット36は内部にヒータを備えて洗浄用の洗浄水を加熱する構成で
、本実施の形態では瞬間湯沸かし型の温水ユニットを採用している。
【0027】
加熱ユニット36は、板状のセラミックヒータとその両面に設けた蛇行する内部流路から構成された熱交換器で、入口から供給された常温の洗浄水は、この蛇行する内部流路を流れながらセラミックヒータから熱を受け取り、加熱ユニット36の出口までの間に適温に加熱される仕組みである。
【0028】
セラミックヒータは、熱密度に優れた板状のセラミックヒータを用いたが、シーズヒータやマイカヒータ、さらには板材に抵抗体を設けたプリントヒータなど様々なヒータ応用が考えられることは言うまでもない。
【0029】
そして、加熱ユニット36からの供給される温水は、水ポンプ37で流量が調整され、お尻洗浄ノズル38、ビデ洗浄ノズル39より成る洗浄ノズル16より吐出される。加熱ユニット36の下流側には切換弁40が接続されており、この切換弁40は前述の加熱ユニット36が接続される入口流路41とお尻洗浄ノズル38と接続する第1出口流路42、ビデ洗浄ノズル39と接続する第2出口流路43がモータ46によって選択的に連通される構成となっている。
【0030】
制御手段8は、元電磁便34、流量センサ35、加熱ユニット36、水ポンプ37、切替弁40のモータ46と電気的に接続され、人体検知手段17及びリモコン18の各スイッチからの操作信号を受けて衛生洗浄装置10による人体局部の洗浄、乾燥、暖房の従来からの機能制御以外と、洗浄水による人体局部の刺激で人体の覚醒を促すように洗浄ノズル16から噴出する洗浄水と照明手段19による人体覚醒機能を制御するものである。
【0031】
以上のように構成された衛生洗浄装置について、その作用、動作の1例について説明する。起床した使用者は、人体の覚醒を促すためにドアを開閉してトイレ室9に入る。すると、人体検知手段17により使用者の入室が検知され一方、使用者の入室と同時に便蓋13が自動で開成する。そして、開いた便蓋13に向かって立った使用者が覚醒効果を得るために、リモコン18の覚醒スイッチ28を押すと、リモコン18からの操作信号が衛生洗浄装置の本体12に送信され照明手段19が点灯する。
【0032】
この点灯した照明手段19からの光は、使用者の人体の前頭部に照射され網膜を介して脳(視床下部)に刺激を与え、覚醒を促すとともに、前記覚醒を促す行為に続いて便座14に着座して洗浄ノズル16から洗浄水を噴出して局部を刺激し人体の覚醒を促し、生体時計のリセットに作用するとともに生体リズムを整えることができる。
【0033】
もちろん、この覚醒を促した後に、通常の用便を足して衛生洗浄装置10により、用便後の人体局部の洗浄、乾燥等を行っても良いし、反対に前記した用便後の人体局部の洗浄、乾燥等を行った後に、前記しました照明手段19による人体の覚醒を行っても良いものである。そして、衛生洗浄装置10の覚醒機能を使用した後は、リモコン18の覚醒スイッチ28を押して照明手段19を消灯する。
【0034】
なお、本実施の形態では便蓋13に直接、照明手段19を設け、使用者が開いた便蓋13に向かって立位の状態で光が人体の前頭部に照射するように構成しているが、本体12に、先端に照明手段19を有する可動式の照明アーム(図示せず)を設け、便座14に着座時に使用者が前頭部に照明手段19の光が当たるように、照明アームをセットする方法を用いても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、このように使用者が人体の覚醒を促すためにトイレ室9に入った時に、用便後の人体局部の洗浄、または用便とは関係なく人体局部の洗浄のため、リモコン18のお尻洗
浄スイッチ22を押した場合、その操作信号がリモコン18から衛生洗浄装置の本体12に送信され加熱ユニット36から供給される温水が、水ポンプ37で流量が調整され、洗浄ノズル16より人体の局部に吐出される。
【0036】
この際、加熱ユニット36のヒータの通電量をリモコン18の調節スイッチ26を人体の覚醒を促す温度に操作して制御することにより洗浄水の温度を可変することができるので、局部洗浄による水温の刺激により人体の覚醒を促すことができ、前記した照明手段19による人体の前頭部への光の照射による覚醒と合さり、トイレ室9に備えた衛生洗浄装置10に覚醒機能を持たせたことによる特有の作用効果である、短時間で効率的な覚醒効果を期待することができる。従って、調節スイッチ26には覚醒温度の調節目盛が設けてある。
【0037】
なお、本実施の形態ではリモコン18の調節スイッチ26による洗浄水の温度を可変することによる覚醒機能を衛生洗浄装置10に持たせたが、水ポンプ37により洗浄水の水量を可変することによる洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の水勢を、または洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の人体局部に衝突する洗浄部位の洗浄面積を、リモコン18に設けた覚醒水勢スイッチ、覚醒洗浄部位スイッチ(図示せず)を設け、この各スイッチを操作してそれぞれ可変することでも人体の覚醒を促すことができ、前記した照明手段19による人体の前頭部への光の照射による覚醒と合さり、本実施の形態と同等の作用効果を期待できる。
【0038】
もちろん、前記した照明手段19による人体への覚醒と、衛生洗浄装置10の洗浄水の温度可変、洗浄水の水勢の可変、洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の洗浄部位への洗浄面積の可変のそれぞれの覚醒機能を単独に組み合わせるか、またはいくつかの覚醒機能を組み合わせるか、さらに全部の覚醒機能を組み合わせてもよく、前記覚醒機能の組み合わせ数が多くなれば、それだけ人体への覚醒効果は大きくなる。
【0039】
このように本実施の形態では、人体の覚醒を促す照明手段19を衛生洗浄装置10に設けたので、光の照射による人体への覚醒効果に加えて局部洗浄による刺激を与えることによる覚醒効果で、より短時間に覚醒効果を得ることが可能となる。
【0040】
なお、上記実施の形態では人体の覚醒を促す照明手段19を衛生洗浄装置10の便蓋13に設けたが、人体の前頭部に光が照射できるようにトイレ室9の壁に設けた場合でも、本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものである。そして、その場合の照明手段19の位置は、トイレ室9への使用者の入室を検知した人体検知手段17により点灯し、使用者が立った状態及び便座14への着座状態のいずれでも(複数の箇所に照明手段19の設置)、またはどちらか一方の状態で前頭部に照射できる位置であれば良いものである。
【0041】
また、上記実施の形態では照明手段19をリモコン18に設けた覚醒スイッチ28で使用者が点灯、消灯するようにしたが、人体検出手段17による使用者のトイレ室9への入室、退出の信号で自動開閉する便蓋13の開閉に連動させて点灯、消灯させるようにしても、本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものである。
【0042】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における衛生洗浄装置の概略外観を示す図である。本実施の形態は、衛生洗浄装置10の本体12に酸素富化手段47を備え、実施の形態1で言う、人体の覚醒を促す照明手段による覚醒機能に、酸素富化空気の供給による人体への覚醒機能を付加した点で実施の形態1の発明と異なるだけで、それ以外の機能構成並びに作用効果は同一であり、図1〜図3も利用し異なる所を中心に説明する。
【0043】
図4において、衛生洗浄装置10の本体12の内部には酸素富化手段47を備えている。酸素富化手段47は、周囲の空気を取り入れる吸入部49と、空気搬送手段としての真空ポンプ50、取り入れられた空気から酸素と窒素を分離する酸素富化膜51を有しており、真空ポンプ50が動作することで、酸素濃度が高められた空気(酸素富化空気)が酸素富化手段47の出口より吐出される。なお、酸素富化手段47を動作、停止するスイッチは、図2に示す覚醒スイッチ28で兼用するものである。
【0044】
また、実施の形態1での照明手段19に相当する高輝度白色LED52と酸素富化空気を使用者に供給する吐出口53を備えた照明手段54は、可動式アーム55を介して本体12の酸素富化手段47の出口と接続し、また高輝度白色LED52は制御手段8に電気的に接続しており、図4に示すように酸素富化空気は吐出口53から使用者の口元に供給され、高輝度白色LED52からの光は人体の前頭部に照射される構成となっている。
【0045】
上記実施の形態において、トイレ室9に使用者が入室して開いた便座14に着座する。そして、使用者が酸素富化手段47を動作させて図4に示すように可動式アーム55を人体の頭部付近にセットすると、点灯した高輝度白色LED52から光が人体の前頭部に照射され、一方、酸素富化手段47から送られた酸素富化空気が吐出口53から使用者の口元付近に供給される。
【0046】
なお、酸素富化膜51により酸素富化空気が得られる原理について説明する。酸素富化膜51は有機高分子の平膜により構成され、膜を通過する分子の速度の差を利用するもので、空気中の窒素に比べ酸素をよく通す膜を使用することで、膜通過前よりも酸素濃度が高い酸素富化空気を得ることができる。
【0047】
通常の空気において酸素濃度は約21%(窒素約79%)であり、生成される酸素富化空気の酸素濃度や風量は、酸素富化膜の形態、大きさなどによって変わるが、本実施の形態では、酸素富化膜51を通過後の酸素富化空気の酸素濃度が約30%(窒素約70%)となるものを用いている。酸素富化膜51を複数並列してつなげることで、より酸素濃度の高い空気を得ることも可能である。一般に人体が酸素富化空気の吸引した際には、人体に集中力維持効果や覚醒効果を与えることが知られており、酸素富化空気を吸引することで使用者は覚醒状態を高めることができる。
【0048】
従って、本実施の形態では、実施の形態1で説明したように高輝度白色LED52の人体の前頭部への照射による覚醒効果、または洗浄水の温度、水勢、洗浄部位の面積による各覚醒機能と合わせて、人体が酸素富化空気の吸引による覚醒効果も加わり、短時間で効率的な覚醒効果を期待することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における衛生洗浄装置の概略制御を示す図である。本実施の形態は、人体の生体情報収集手段を便座14に設けた衛生洗浄装置10を備え、実施の形態1または実施の形態2で言う、人体の覚醒を促す各覚醒機能の作用を、前記生体情報収集手段の収集したデータに基づいて制御するようにした点で実施の形態1及び実施の形態2の発明と異なるだけで、それ以外の機能構成並びに作用効果は同一であり、図1〜図4も利用し異なる所を中心に説明する。
【0050】
図5において、便座14には、生体情報収集手段としての電極56が3個以上配設された構成となっている。電極56a、56b、56cはステンレス、錫、鉛、亜鉛、銀、白金、金、塩化銀等の金属材料からなっており、電極56a、56b、56cは互いに電気的に絶縁されており3個の電極間の中央に位置する電極56bをアースとして電極56a、56c間の電位差を得る構成にしている。なお、電極56bをアース電極とすることで
より正確な人体の心電を計測することができるが、電極56aおよび56C間の電位差でも心電を計測することは可能である。
【0051】
制御手段8は、便座14に着座した使用者の人体から電極56a、56c間で得た電位差により心電図を求め、この心電図のピーク間間隔から心拍系列データを作成し、時系列データの周波数解析を行なうことで使用者の交感神経の活動状態を評価するとともに、この評価した使用者の交感神経の活動状態に基づいて、実施の形態1および2で言う、照明手段19および高輝度白色LED52の明るさ、そして実施の形態1で言う、衛生洗浄装置10の本体12の洗浄水の温度可変、洗浄水の水勢の可変、洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の当たる洗浄部位の洗浄面積の可変それぞれの覚醒機能、酸素富化手段47の酸素富化空気の吸引による覚醒機能を制御するプログラムを実行するソフトが内蔵してある。
【0052】
すなわち、制御手段8は前記生体情報収集手段である電極56a、56b、56cからの出力によって照明手段19および高輝度白色LED52の明るさ、そして実施の形態1で言う、衛生洗浄装置10の本体12の洗浄水の温度可変、洗浄水の水勢の可変、洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の当たる洗浄部位の洗浄面積の可変による覚醒を促す刺激の強度を制御するものである。
【0053】
上記実施の形態の衛生洗浄装置10について、その作用、動作の1例について説明する。使用者が便座14に着座すると、電極56aが右大腿部に、電極56bが臀部に、電極56cが左大腿部に密着する。そして、電極56bをアース電極とし、56a、56c間の電位差から制御手段8は心電図を得る。さらに制御手段8は、この心電図のピーク間間隔から心拍系列データを作成し、時系列データの周波数解析を行なうことで使用者の交感神経の活動状態を評価する。
【0054】
この評価した人体の交換神経活動状態を制御手段8は図5に示すように実施の形態1および2で言う、照明手段19および高輝度白色LED52の明るさ、そして実施の形態1で言う、衛生洗浄装置10の本体12の洗浄水の温度可変、洗浄水の水勢の可変、洗浄ノズル16から噴出する洗浄水の当たる洗浄部位の洗浄面積の可変それぞれの覚醒機能、酸素富化手段47の酸素富化空気の吸引による覚醒機能へフィードバックする。
【0055】
そして、例えば酸素富化手段47であれば、評価した人体の交換神経活動状態の出力に基づいて人体に供給される酸素濃度が可変されることで、使用者が最も効率的に覚醒効果を得られる状態に酸素富化手段47の運転を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように本発明に係る衛生洗浄装置は、起床後にほとんどの人が立ち入るトイレ空間内で人体の覚醒を促すことができ、負担なく手軽に生体リズムを整えることができるため、トイレ室に備えた衛生洗浄装置以外にも洗面所などの水周り設備のある空間にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の外観図
【図2】本発明の実施の形態1におけるリモコンの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の水回路構成図
【図4】本発明の実施の形態2における衛生洗浄装置の概略外観図
【図5】本発明の実施の形態3における衛生洗浄装置の概略制御を示す構成図
【符号の説明】
【0058】
8 制御手段
9 トイレ室
10 衛生洗浄装置
14 便座
16 洗浄ノズル
19、52 照明手段
47 酸素富化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に人体の洗浄を行う人体洗浄ノズルと便座と便蓋と照明手段を有する衛生洗浄装置を備え、前記照明手段は人体の前頭部に光を照射する構成とし、前記照明手段による光の照射と前記人体洗浄ノズルを用いた洗浄刺激により人体の覚醒を促すことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
照明手段は、便蓋に設けたことを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の水温を可変する温度可変手段を備え、前記水温の可変による刺激により人体の覚醒を促す請求項1または請求項2記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の水量を可変する水量可変手段を備え、前記水量の可変による水勢の刺激により人体の覚醒を促す請求項1から3のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
人体洗浄ノズルより噴出する洗浄水の被洗浄面の洗浄面積を可変する洗浄面積可変手段を備え、前記洗浄面積の可変による洗浄部位の刺激により人体の覚醒を促す請求項1から4のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
高濃度の酸素を供給する酸素富化手段を備え、前記高濃度酸素の人体への供給により人体の覚醒を促す請求項1から5のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
生体情報収集手段を備え、前記生体情報収集手段からの出力によって覚醒を促す刺激の強度を制御する請求項1から6のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
生体情報収集手段は、便座に少なくとも2つ以上の電極を設け、臀部より生体情報を収集することを特徴とした請求項7記載の衛生洗浄装置。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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