説明

衛生洗浄装置

【課題】広範囲に飛散しやすい小便や下痢便などが便器ボール面に付着するのを防止する衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】使用者のトイレへの入室を検知する人体検知手段2と、この人体検知手段2の信号に基づいて洋式便器内10に水を噴出する噴出手段1を備え、使用者が用便をする前に噴出手段から噴出する水によりあらかじめ便器内面を濡らすようにしたので、小便や下痢便などが洋式便器内面に付着するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルとは別に洋式便器内面に水を噴出する噴出手段を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生洗浄装置として、肛門洗浄やビデ洗浄及び乾燥を行なったりするほか、便器内面に大便が付着するのを防止する噴出手段を備えたものが知られている。( 例えば、特許文献1参照)。図8は従来の噴出手段を備えた衛生洗浄装置の一例を示す断面図。図9はこの従来の衛生洗浄装置の噴出手段の正面図。図10はこの従来の衛生洗浄装置の噴出手段の水平断面図である。
【0003】
同図において、洋式便器500の上面部には、衛生洗浄装置501を装着している。この衛生洗浄装置501には、進退する洗浄用ノズル502が設けられており、この洗浄用ノズル502の進出位置で洗浄水を噴出することにより肛門洗浄やビデ洗浄を行ない、後退位置にてノズル洗浄を行なっている。また、衛生洗浄装置には、噴出手段503が設けられており、使用者が便座504への着座時に、噴出手段503先端側面の複数の噴出口505から、便器500のボール面500aのほぼ全周でやや下向きに洗浄水を噴出して洋式便器500のボール面500aを濡らすことにより、大便がボール面500aに付着するのを防止している。
【特許文献1】特許第3447352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の噴出手段503は、使用者が便座504への着座時に洗浄水の噴出を開始するので、噴出手段503からの洗浄水でお尻や衣服を濡らしてしまう可能性があった。これを濡らさないようにすると、噴出手段503からの洗浄水の噴出角度を極端に下向きにすることが必要となるため、ボール面500aを広く濡らすことができなくなり、広範囲に飛散しやすい下痢便や座ってする小便がボール面に付着するのを防止することができない場合があった。
【0005】
また、男子が立ったまま小便をする場合には、着座状態がないので自動的に噴出手段からの洗浄水噴出がされない。したがって、乾いたボール面500aに直接小便が当たり、周囲に飛散して流れる。そして乾いた面に付着した小便が残ってしまうと固まって尿石など変化してしまい、ブラッシングしても落ちなくなってしまう場合があった。
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを課題とし、広範囲に飛散しやすい小便や下痢便などが便器ボール面に付着するのを防止する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る衛生洗浄装置は、使用者のトイレ室への入室もしくは洋式便器への接近を検知する人体検知手段と、この人体検知手段の信号に基づいて洋式便器内に水を噴出する噴出手段を備え、使用者が洋式便器に座ったり排尿したりする便器使用前に、噴出手段からの水を噴出開始させ便器内面を濡らすようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広範囲に飛散しやすい小便や下痢便などが洋式便器内面に付着するのを防止する衛生洗浄装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、使用者のトイレ室への入室もしくは洋式便器への接近を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段の信号に基づいて洋式便器内に水を噴出開始する噴出手段を備えるものである。
【0009】
これは、使用者が着座したり排尿したりする前に、噴出手段により水の噴出を開始して予め便器内面を広く濡らすように動作するもので、便座に座る使用者の衣服に噴流手段からの噴出水が飛散するのを防止するとともに、大便や小便の便器内面への付着や残留を防止するものである。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明において、人体検知手段により人体を検知すると直ちに噴出手段から水の噴出を開始するものである。これにより、使用者がトイレへの入室または便器への接近が検知されると同時に噴出手段から水が噴出するので、洋式便器の内面を濡らす動作を早期に終了させることができる。したがって、使用者が便器や便座への着座前に確実に噴出手段からの水の噴出を終了させることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1の発明に洋式便器の上面に配置する便座と、前記便座の上面に開閉自在に配置される便蓋をさらに備え、前記人体検知手段の検知信号により前記便蓋を開け、その後に噴出手段から水を噴出するものである。これにより、使用者が噴出手段からの水の噴出を目で確認することができるので、大便や小便の付着や残留に対する使用者の不安を和らげることができる。また、器具の不具合を早期に発見することができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1から3のいずれかひとつの発明における噴出手段からの水の噴出を、噴出開始から所定時間経過後に停止するものである。これにより、自動的に便器内面を事前に濡らすことができるので、使い勝手がよく、時間で制限して、使用水量も限定できるので省資源にできる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1から3のいずれかひとつの発明における噴出手段からの水の噴出を、噴出開始から所定流量噴出後に停止するものである。これにより、自動的に便器内面を事前に濡らすことができるので、使い勝手がよく、使用水量も限定できるので省資源にできる。
【0014】
第6の発明は、特に、第3の発明において、便座に使用者が着座したことを検知する着座検知手段をさらに備え、前記着座検知手段の検知信号により噴出手段からの噴出を停止するものである。これにより、便座に座る使用者のお尻や衣服に噴流手段からの噴出水が飛散するのを確実に防止することができる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1から6のいずれかひとつの発明において、洋式便器内を照らす照明手段を備え、前記照明手段への照射は噴出手段からの噴流に連動して行うものである。これにより、トイレ内が暗くても使用者が噴出手段からの水の噴出を目で確認することができる。また、照明手段が噴出手段の便器に向かって手前に設けられた場合は、照射光が噴出手段からの噴流に照射されることになり、効果的な照明が可能となる。また、噴流に連動して照射するので、噴流の状態の視認性が向上し使用者が噴出状態を認識しやすくなる。
【0016】
第8の発明は、特に、第7の発明において、照明手段は、噴出手段近傍に配置し、便器内面方向に照射するものである。これにより、噴出手段からの噴流に照明手段の光は当たり乱反射するので、使用者が噴流を確実に確認することができ、さらに、噴流と光による演出効果で、清涼感や癒しの効果を与える。
【0017】
第9の発明は、特に、第1から8のいずれかひとつの発明における人体検知手段は、衛生洗浄装置本体から独立した構成とするものである。これにより、使用者の入室検知や便器への近接検知が確実に、しかもより早くできる。
【0018】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は第1の実施の形態における衛生洗浄装置の外観を示すものである。図1において、洋式便器10には衛生洗浄装置11が載置され、この衛生洗浄装置11は、本体部11aと、使用者が着座するための便座12と、電動により自動開閉する便蓋13により構成されている。
【0020】
また、洋式便器10の後方上部には、洗浄水タンク9が装着されており、洋式便器10内面の水洗用水が貯えられている。本体部11aには、人体の局部を洗浄するための洗浄ノズル14や、洗浄ノズル14とは別に洋式便器10の内面に水を噴出する噴出手段1等が内蔵されている。本体部11aの内部で、噴出手段1の周部にはカバー1aを設けて、カバー内の噴出手段1の近傍に照明手段40を備えて、カバー1a内から照明手段が照射する構成である。本体部11aには給水源から洗浄水の給水するための給水管および商用電源から給電するための電気ケーブル(いずれも図示せず)が備えてある。
【0021】
また、衛生洗浄装置11の内部には使用者が肛門の洗浄を行うためのお尻洗浄機能、小用後の女性局部を洗浄するビデ洗浄機能のほか洗浄後の人体局部を乾燥するための乾燥機能、寒冷時にトイレ空間を暖房する部屋暖房機能等(いずれも図示せず)が備えてあり、各々の操作はリモートコントローラ15(以下、リモコンとする)によってなされる。
【0022】
また、本体部11aには使用者の着座を検知する着座検知手段16を備えており、着座検知状態時のみ洗浄機能や乾燥機能が動作可能である。この着座検知手段16は、赤外線により使用者の便座12への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知するもの、超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知するものでもよい。
【0023】
また、使用者のトイレへの入室もしくは洋式便器10への接近を検知する人体検知手段2が、本体部11aから独立した構成で配置されている。この人体検知手段2は、赤外線によりトイレへの入室する人体を検知するもので、この検知に都合のよい位置に設置する。そして、この人体検知手段2が使用者のトイレへの入室を検知した場合に、便蓋13を開け、その後に噴出手段1から洋式便器10内面に水を噴出するように制御する。ここでは、検知方式として赤外線を用いた説明をしたが、超音波やマイクロウエーブ等または画像処理を用いて人体の動きを検知してもよい。さらには、トイレへの入室あるいは退室を検知し、例えばトイレの照明に連動してもよい。
【0024】
図2はリモコン15の外観を示すものであり、お尻洗浄スイッチ17、ビデ洗浄スイッチ18、乾燥スイッチ19、各機能のインジケータ20、調節スイッチ21、停止スイッチ22および図1の噴出手段1から水を噴出させて洋式便器10の内面を洗浄動作させる便器洗浄スイッチ23を有している。そして使用者の操作信号は赤外線等の無線信号によって衛生洗浄装置の本体部11aへ送信される構成となっている。なお、便器洗浄スイッチ23が押釦されることによる後述の便器洗浄動作は、上記着座検知手段16が非着座検知状態時のみ実行されるように構成されている。
【0025】
図3は第1の実施の形態における衛生洗浄装置11の水回路を示す模式図である。同図において、給水源24に接続された分岐水栓25より衛生洗浄装置11に水道水を供給する。水道水は、ストレーナ26、逆止弁27、定流量弁28、元電磁弁29、流路切換弁30、流量センサ31を経て、温水ユニット32に供給される。元電磁弁29の下流に余剰の水を廃棄する捨て水回路33が接続されている。流量センサ31は温水ユニット32への流量を計測する。温水ユニット32は内部にヒータを備えて洗浄用の洗浄水を加熱する構成であり、洗浄時のみ加熱する瞬間湯沸かし型もしくは所定量のお湯を常時所定温に加熱して貯湯しておく貯湯型が適用できる。本第1の実施の形態では瞬間湯沸かし型の温水ユニットを採用している。温水ユニット32からの供給される温水は、水ポンプ34で流量が調整され、お尻ノズル35、ビデノズル36より成る洗浄ノズル14より吐出される。
【0026】
お尻ノズル35とビデノズル36へはノズル切換手段37を介して択一的に供給可能に構成されている。また、流路切換手段30は、水の流れを洗浄ノズル14方向と噴出手段1方向に択一的に切換えるように構成されている。噴出手段1の側部には洋式便器10の内面を照らす照明手段40を備えており、噴出手段1から水が噴出される際に照明手段40を照らすように連動して作用する。したがって、噴出手段1からの噴流は照明手段40の光に照らされて乱反射するので、使用者が噴流を容易に確認することができ、さらに、噴流と光による演出効果で、清涼感や癒しの効果を与える。なお、本実施の形態での照明手段40はLEDにより構成しているが、白熱ランプ、蛍光ランプ、放電ランプなどにより構成してもよい。制御手段43は、便器洗浄動作の制御機能を備えており、元電磁弁29、流路切換手段30、照明手段40等を制御して、便器洗浄制御を行う。便器洗浄動作の際は温水ユニット32、水ポンプ34停止している。
【0027】
次に噴出手段1の構成について図4および図5を用いて説明する。図4は噴出手段1の部分断面図を示し、図5は図4におけるAA断面図である。噴出手段1は、筒状のノズル本体50と、このノズル本体50に内設する噴流ガイド51とから構成している。流路切換弁30から流れてくる水は、ノズル本体50と噴流ガイド51の隙間52を通って、リング状開孔53から吐出される。そして、噴流ガイド51の偏向部54により、約90°偏向され噴出手段1の軸心を中心として放射状に拡散して噴出される。リング状開孔53におけるクリアランスを所定の範囲に設定するために、ノズル本体50と噴流ガイド51との隙間を規定するガイド羽根55を噴流ガイドの中ほどに設けている。
【0028】
リング状開孔53は継ぎ目のない筒状の流れを作り、この筒状流れを偏向部54により放射状に広げるので、ボウルを伏せたような薄い水膜が形成され、視覚的にも美しい流れが実現できる。また、噴流ガイド51の偏向部54の偏向角度により噴流の噴出角度を自由に設定できるので、例えば便器の形状に合わせた角度を設定することで、便器内面に対してより広範囲の水の噴出が可能となる。
【0029】
そして、噴出手段1からの噴流が洋式便器10内面の外周部に当たり内面全体に流れるように、概ね噴出手段1の軸心が洋式便器10の内面中心方向になるように傾斜して配置されている。
【0030】
以上のように構成された衛生洗浄装置について、図6に示すタイムチャートに基づいてその作用、動作について説明する。
【0031】
衛生洗浄装置11は、人体検知手段2により使用者がトイレに入室したことを検知した後、便座12に着座し、リモコン15の各操作スイッチを操作することで局部洗浄、乾燥機能等が実行される。
【0032】
一方、噴出手段1による洋式便器10内面への水の噴出を実行するのは、人体検知手段2により使用者がトイレに入室したことを検知した時点で実行される。すなわち、図6のタイムチャート左側において人体検知手段2により人体検知されると、便蓋13が電動により自動的に開く、これと同時に流路切換手段30を噴出手段1側に切換える。
【0033】
便蓋13の開放完了および流路切換手段30の切換完了までの時間を考慮して所定時間T1経過した後に元電磁弁29を開弁し、噴出手段1による洋式便器10内面への水の噴出を開始する。この時、同時に照明手段40を点灯させて、噴出手段1からの噴流および洋式便器10内面に光を当てる。このように、便蓋13を開いた後に水を噴出するので、使用者はこの噴出される水を、光とともに目で確認できる。
【0034】
噴出手段1からの水の噴出状態を図7を用いて説明する。図7は洋式便器10および、その上面に配置された衛生洗浄装置11の断面図である。図7において、洋式便器10のほぼ中心方向に傾斜して設けられた噴出手段1から噴出される水は、洋式便器10内面の外周部に向けて放射状に広がり、洋式便器10のリム部60の直下に注がれ、洋式便器10内面の傾斜に沿って流れ、ほぼ内面全面を濡らしながら排水される。また、図7のように照明手段40は、噴出手段1の周面に設けられたカバー1aと噴出手段1との間の、噴出手段1の前方側部に設けて噴出手段1の噴出方向と略同一照射されるように、すなわち洋式便器10の内面方向を照らすように配置している。噴出手段1からの噴流を照らし、乱反射で使用者に光と噴流の演出効果で、水流確認だけでなく清涼感や癒しの効果を与えることができる。この時、噴出手段1から噴出した水は、傘状の水膜をつくり、この水膜に照明手段40から発した光が乱反射して、便器内の広範囲を照らすように見え、もちろん便器内面の表面にも照射するので、効果的な照明ができる。また、カバー1a内で発光するので、カバー1aを半透明部材などで構成すると、カバー1a自体も発光をうけて発光する。噴出手段1の基部であるカバー1aが覆う部分が発光し、噴出手段1の噴出する噴流への照射とともに、カバー1aが使用者からも発光するのが確認され、照明手段40の動作を確認できる。
【0035】
この照明手段40は、噴出手段1の噴流開始と終了に連動して照射するほか、噴出量に応じて光量を変えたりすることで、さらに効果的に噴流の照明ができる。
【0036】
そして図6のタイムチャート左側において噴出手段1からの水の噴出は所定時間T2だけ継続する。その後、元電磁弁39を閉止し、流路切換手段30を洗浄ノズル側に切換えて、噴出手段1からの水の噴出を終了する。また同時に照明手段40を消灯する。
【0037】
上記のT1は流路切換手段30と便蓋13開放の時間より僅かに長く設定するものであり、例えば3秒程度の時間となる。T2は洋式便器10内面を濡らすだけの時間を設定するもので、例えば5秒間を設定する。
【0038】
このように使用者の操作をすることなく事前に洋式便器10内面全体を濡らすことができるので、この後に小便や大便をしても便器内面への付着・残留を抑制することができる。
【0039】
ここでは、時間により噴出手段1からの洗浄水噴出を制御したが、これにかぎらず、流量によるものでもよい。所定の流量、便器への汚物の付着等を必要十分に抑制できるように洗浄できる流量を制御するため、節水が効果的に行える。その場合、図3の流路切替手段30の下流で噴出手段1の噴出口までの流路に流量メータ等を備えて、計量するようにすればよい。
【0040】
次に、噴出手段1による水の噴出中に、使用者が便座12に着座した場合の動作につい
て図6の中央のタイムチャートを用いて説明する。上述したように元電磁弁39を開いて噴出手段1から洋式便器10内に水を噴出している際中に使用者が便座12に座ろうとして着座検知手段16が作動した場合は、所定時間T2が経過していなくても元電磁弁39を閉止し、流路切換手段30を洗浄ノズル側に切換えて、噴出手段1からの水の噴出を強制終了する。また同時に照明手段40も消灯する。これにより、着座時に噴出手段1からの噴流によって、使用者のお尻や衣服を濡らしてしまうなどの不都合がなくなる。
【0041】
次に、リモコン15の便器洗浄スイッチ23を押釦して便器洗浄動作を行う場合について図6のタイムチャートの右側を用いて説明する。
【0042】
図6に示すように便器洗浄スイッチ23が押釦されてスイッチオンが判定されると、人体検知の場合と同様に流路切換手段30を噴出手段1側に切換え、所定時間T1経過後に元電磁弁29を開弁し、噴出手段1による水の噴出を開始する。同時に照明手段40を点灯させる。そして所定時間T2だけ継続した後、元電磁弁39を閉止し、流路切換手段30を洗浄ノズル側に切換えて、噴出手段1からの水の噴出を終了する。また同時に照明手段40を消灯する。
【0043】
このように使用者が任意に洋式便器10の内面を濡らすことができるので、便器水洗を行った際に大便や小便が残留した場合に、少ない水量で残留物を流すことができる。またトイレ掃除など必要時に押釦することで、自動的に洋式便器10内面を水が噴出されるので、使い勝手がよい。
【0044】
なお、第1の実施の形態では人体検知をした後に便蓋を開き、その後に噴出手段から水を噴出させる例を説明したが、それに限定されるものではない。例えば、人体検知した直後に噴出手段からの水の噴出を動作させて、素早く洋式便器内面を濡らすことで、より早く使用者が便器を使用可能な状態にできる。
【0045】
また、第1の実施の形態では噴出手段1からの水の噴出を停止するのは、所定時間T2もしくは着座検知によって行う例を説明したが、例えば、リモコン15の停止スイッチ22を押釦することにより、使用者が任意に停止させてもよい。したがって、使用者が緊急に便器を濡らしたくない状況が発生した場合などに対応できる。
【0046】
また、本第1の実施の形態では人体検知手段を衛生洗浄装置本体から独立して配置することによって、使用者のトイレへの入室検知や便器への近接検知が確実に、しかもより早くできることを説明したが、素早い検出には劣るが人体検知手段を衛生洗浄装置本体もしくはリモコンに内蔵してもよいし、衛生洗浄装置本体とリモコン両者に内蔵させてもよい。
【0047】
また、本第1の実施の形態では噴出手段1として、筒状のノズル本体と、このノズル本体に内設して流れを放射状に偏向する噴流ガイドとから成る構成を説明したが、それに限定されるものではない。例えば、従来例のように円筒先端の側面にスリット孔を備えた構成でもよいし、複数のノズルを便器内面外周部方向に水を噴出するように配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる衛生洗浄装置は、使用者のトイレへの入室もしくは洋式便器への接近を検知する人体検知手段と、この人体検知手段の信号に基づいて洋式便器内に水を噴出する噴出手段を備え、使用者が洋式便器に座ったり排尿する前に便器内面を噴出手段から噴出する水により濡らすもので、衛生洗浄装置だけでなく洋式便器や洗面台の機能としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるリモコンの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図4】本発明の実施の形態1における噴出手段の部分断面図
【図5】本発明の実施の形態1における噴出手段のAA断面図
【図6】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置のタイムチャート
【図7】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の噴出手段の動作状態を示す断面図
【図8】従来の衛生洗浄装置の断面図
【図9】従来の噴出手段を示す正面図
【図10】従来の噴出手段を示す水平断面図
【符号の説明】
【0050】
1 噴出手段
2 人体検知手段
10 洋式便器
11 衛生洗浄装置
12 便座
13 便蓋
16 着座検知手段
40 照明手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者のトイレ室への入室もしくは洋式便器への接近を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段の信号に基づいて洋式便器内に水を噴出開始する噴出手段を備えた衛生洗浄装置。
【請求項2】
人体検知手段により人体を検知すると直ちに噴出手段から水の噴出を開始する請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
洋式便器の上面に配置する便座と、前記便座の上面に開閉自在に配置される便蓋をさらに備え、前記人体検知手段の検知信号により前記便蓋を開け、その後に噴出手段から水を噴出する請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
噴出手段からの水の噴出は、噴出開始から所定時間経過後に停止する請求項1から3のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
噴出手段からの水の噴出は、噴出開始から所定流量を噴出した後に停止する請求項1から3のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
便座に使用者が着座したことを検知する着座検知手段をさらに備え、前記着座検知手段の検知信号により噴出手段からの噴出を停止する請求項1から5のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
洋式便器内を照らす照明手段を備え、前記照明手段への照射は噴出手段からの噴流に連動して行う請求項1から6のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
照明手段は、噴出手段近傍に配置し、便器内面方向に照射する請求項7記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
人体検知手段は、衛生洗浄装置本体から独立した構成とする請求項1から8のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。


【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−38334(P2008−38334A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209652(P2006−209652)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】