説明

衛生用紙収納箱

【課題】正面パネルの上側に形成された取り出し口を容易に拡開できるようにするとともに、箱体内の衛生用紙を持ち上げられるようにすることにより内部に収納された衛生用紙を容易に取り出せるようにした衛生用紙収納箱。
【解決手段】箱体1の正面パネル9に輪郭切り込み線26を設け、上面パネル8には、取り出し口拡開用折線27a,27bを、上面パネル8と背面パネル7との間の折線4に向かって互いに接近する方向に設け、正面パネル9および背面パネル7には、正面パネル9と底面パネル10との間の折線6および背面パネル7と底面パネル10との間の折線19の一部を底辺30a,30bとして略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線31a,31bをそれぞれ対称位置に設け、底上げ部形成用第1折線31a,31bの底辺側端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線32a,32bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポップアップ式に取り出せるように交互に折り畳まれて積層されたティシュペーパー等の衛生用紙を収納する衛生用紙収納箱に関し、さらに詳しくは、衛生用紙を正面パネル側から取り出すようにした衛生用紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィス等で広く使用されているティシュペーパー、ペーパータオル等の衛生用紙をポップアップ式に取り出せるように交互に折り畳まれた状態で収納する衛生用紙収納箱として、直方体からなる紙製箱体の上面パネルに衛生用紙を取り出すための取り出し口を開口させる形式の衛生用紙収納箱が知られている。
【0003】
しかしながら、衛生用紙収納箱を設置する場所や使い方によっては、衛生用紙を箱体から横方向に引き出した方が便利な場合がある。このような衛生用紙を横方向に引き出せるようにした衛生用紙収納箱として、箱体の正面パネルに衛生用紙の取り出し口が設けられた衛生用紙収納箱が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1で開示されている衛生用紙収納箱は、内部に収納された衛生用紙が残り少なくなった状態でも取り出し易くするために、取り出し口は正面パネルの上端近傍から下端近傍に渡って略T字状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2586017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の衛生用紙収納箱は、取り出し口が正面パネルの上端近傍から下端近傍に渡って略T字状に形成されているので、取り出し口の開口が大きく、このため取り出し口から塵や埃などの異物が箱体内に入り込み易く、また、積層されている衛生用紙は上層から下層付近まで取り出し口を通して箱体外に露出した状態にあり、不衛生であるといった問題があった。
このような問題を解消するためには取り出し口を正面パネルの上側に且つ狭幅に形成すればよいが、このように形成した取り出し口では衛生用紙の取り出しが困難となり、特に衛生用紙が残り少なくなった場合には一層困難となり、そのような場合、無理に取り出し口を拡開させようとすると取り出し口周辺が破れてしまうといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、正面パネルの上側に形成された取り出し口を容易に拡開できるようにするとともに、箱体内の衛生用紙を持ち上げられるようにすることにより、内部に収納された衛生用紙を容易に取り出せるようにした衛生用紙収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、略直方体の紙製箱体内に積層された衛生用紙が収納されている衛生用紙収納箱であって、前記箱体の正面パネルには、前記衛生用紙の取り出し口を形成するための輪郭切り込み線が設けられ、該輪郭切り込み線は、その両端が上面パネルと正面パネルとの間の折線に繋がり、この折線に沿って横長の輪郭形状を呈しており、上面パネルには、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線が、上面パネルと背面パネルとの間の折線に向かって互いに接近する方向に設けられ、正面パネルおよび背面パネルには、正面パネルと底面パネルとの間の折線および背面パネルと底面パネルとの間の折線の一部を底辺として略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線がそれぞれ対称位置に設けられ、また、底面パネルには、前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記底上げ部形成用第1折線の底辺側端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記上面パネルに設けられた、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線は、前記輪郭切り込み線の左右両端の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交する仮想線を挟んで対称に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記上面パネルに設けられた左右の取り出し口拡開用折線は、略円弧状に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の、前記上面パネルには、前記左右の取り出し口拡開用折線における上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる位置から、それぞれ上面パネルと正面パネルとの間の折線に直交状態で繋がる平行な補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の、前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記略三角形の頂点は、前記輪郭切り込み線の左右両端の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交して正面パネルと背面パネルに延長する仮想線上に有ることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載の、正面パネルおよび背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線および底上げ部形成用第2折線で形成される略三角形は二等辺三角形であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の、正面パネルおよび背面パネルには、前記略三角形の前記頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の、底面パネルに、正面パネルと背面パネルに設けられた略三角形の頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線の両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2補助折線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の衛生用紙収納箱によれば、前記箱体の正面パネルに、両端が上面パネルと正面パネルとの間の折線に繋がり、この折線に沿って横長の輪郭形状を呈する取り出し口を形成するための輪郭切り込み線が設けられているので、前記輪郭切り込み線を破断して、輪郭切り込み線で囲まれた破断片を手前に引き出すことにより、正面パネルに、上面パネルと正面パネルとの間の折線に沿って横長の取り出し口を開口することができる。
【0016】
上面パネルには、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線が設けられているので、取り出し口を開口させた箱体を、その両側から対向方向に押圧して上面パネルに設けられた取り出し口拡開用折線を谷折りさせると、箱体の左右寸法が狭められ左右の取り出し口拡開用折線の間にある中央部位が上方に湾曲し、そして、前記取り出し口拡開用折線が上面パネルと背面パネルとの間の折線に向かって互いに接近する方向に設けられているので、左右の取り出し口拡開用折線の間にある中央部位における取り出し口側の辺が大きく上方に湾曲することになり、これにより前記取り出し口が大きく拡開し、箱体内に収納された衛生用紙を容易に取り出すことができる。
【0017】
また、正面パネルおよび背面パネルには、底面パネルとの間の折線の一部を底辺として略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線がそれぞれ対称位置に設けられ、底面パネルには、前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記底上げ部形成用第1折線の底辺側端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線が設けられているので、前記箱体を、その両側から対向方向に押圧して、正面パネルと背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線を山折りするとともに、底面パネルに設けられた底上げ部形成用第2折線を谷折りすることにより、底面パネルに、正面パネルと背面パネルに設けられた略三角形の頂点を山頂とする山状底上げ部が形成され、この山状底上げ部により箱体内に収納された衛生用紙を前記正面パネルに開口する取り出し口近傍まで持ち上げることができ、そして、底面パネルへの山状底上げ部の形成により箱体の左右寸法が一層狭められ、その分左右の取り出し口拡開用折線の間にある上面パネルにおける中央部位が上方に大きく湾曲することになり、これにより前記取り出し口が一層大きく拡開するので、箱体内に収納されている衛生用紙が残り少なくなった場合でも最後まで容易に取り出すことができる。
【0018】
さらには、箱体内に収納されている衛生用紙の取り出し口は、上面パネルと正面パネルとの間の折線に沿って横長に開口しているので、特許文献1の衛生用紙収納箱に比べ取り出し口から塵や埃などの異物が箱体内に入り込み難く、また、収納されている衛生用紙の箱体外への露出が少ないので衛生的である。
【0019】
請求項2に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1に記載の、前記上面パネルに設けられた、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線は、前記輪郭切り込み線の左右両端の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交する仮想線を挟んで対称に設けられているので、箱体を両側から均等の力で押圧することにより左右の取り出し口拡開用折線を容易に谷折りすることができ、前記取り出し口の拡開が容易となる。
【0020】
請求項3に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記上面パネルに設けられた左右の取り出し口拡開用折線は、略円弧状に設けられているので、箱体を、その両側から対向方向に押圧したとき、取り出し口拡開用折線を軽い力でスムーズに谷折りすることができ、左右の取り出し口拡開用折線で挟まれた中央部位が上方に円弧状に湾曲するので、前記取り出し口を一層大きく拡開させることができる。
【0021】
請求項4に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1乃至3のいずれか1に記載の、前記上面パネルには、前記左右の取り出し口拡開用折線における上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる位置から、それぞれ上面パネルと正面パネルとの間の折線に直交状態で繋がる平行な補助折線が設けられているので、箱体を、その両側から対向方向に押圧する際、取り出し口拡開用折線の谷折りとともに、補助折線を山折りすることにより、取り出し口拡開用折線の谷折りが一層容易となり、また、左右の取り出し口拡開用折線で挟まれた中央部位を上方に容易に湾曲させることができる。
【0022】
請求項5に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1乃至4のいずれか1に記載の、前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記略三角形の頂点は、前記輪郭切り込み線の左右両端の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交して正面パネルと背面パネルに延長する仮想線上に有るので、底面パネルに、正面パネルと背面パネルに設けられた略三角形の頂点を頂上とする山状底上げ部を形成したとき、山状底上げ部で持ち上げられた衛生用紙は取り出し口の略中央位置近傍に盛り上がることになり、取り出し口から容易に取り出すことができる。
【0023】
請求項6に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1乃至5のいずれか1に記載の、正面パネルおよび背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線および底上げ部形成用第2折線で形成される略三角形は二等辺三角形であるので、箱体を両側から均等の力で押圧することにより、底上げ部形成用第1折線を容易に山折りし、底上げ部形成用第2折線を容易に谷折りすることができる。
【0024】
請求項7に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項1乃至6のいずれか1に記載の、正面パネルおよび背面パネルには、前記略三角形の前記頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線が設けられているので、正面パネルと背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線の山折りと底面パネルに設けられた底上げ部形成用第2折線の谷折りとともに、底上げ部形成用第1補助折線を谷折りすることにより、前記底上げ部形成用第1折線の山折りと底上げ部形成用第2折線の谷折りが一層容易となり、底面パネルに山状底上げ部を容易に形成することができる。
【0025】
請求項8に記載の衛生用紙収納箱によれば、請求項7に記載の、底面パネルには、正面パネルと背面パネルに設けられた略三角形の頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線の両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2補助折線が設けられているので、正面パネルと背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線の山折りと底上げ部形成用第1補助折線の谷折りと底面パネルに設けられた底上げ部形成用第2折線の谷折りとともに、底上げ部形成用第2補助折線を山折りすることにより、前記底上げ部形成用第1折線の山折りと底上げ部形成用第2折線の谷折りが一層容易となり、底面パネルに山状底上げ部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る衛生用紙収納箱の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本例の展開図である。
【図3】本例の使用状態を示す斜視図である。
【図4】本例の取り出し口を拡開した状態を示す斜視説明図である。
【図5】本例の取り出し口を拡開した状態を示す側面図である。
【図6】本例の底面パネルに山状底上げ部を形成した状態を示す斜視説明図である。
【図7】本例の底面パネルに山状底上げ部を形成した状態を示す正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る衛生用紙収納箱を実施するための形態を説明する。
図1乃至図7は本発明に係る衛生用紙収納箱の実施の形態の一例を示すもので、図1は本例の斜視図、図2は本例の展開図、図3は本例の使用状態を示す斜視図、図4は本例の取り出し口を拡開した状態を示す斜視説明図、図5は本例の取り出し口を拡開した状態を示す側面図、図6は本例の底面パネルに山状底上げ部を形成した状態を示す斜視説明図、図7は本例の底面パネルに山状底上げ部を形成した状態を示す正面説明図である。
【0028】
本例の衛生用紙収納箱は、略直方体の紙製箱体1内にポップアップ式に取り出せるように交互に折り畳まれて積層された衛生用紙2が収納されたものである。この箱体1は、図2の展開図に示すブランクシート3により組立てられる。ブランクシート3は、折線4,5,6を介して図中上下方向に連接する長方形状の背面パネル7、上面パネル8、正面パネル9、底面パネル10と、上面パネル8及び底面パネル10の左右両端に折線11,12を介して連接する側面パネル13,14と、背面パネル7と正面パネル9の左右両端に折線15,16を介して連接する前記側面パネル13,14の内側に折り込まれる折込パネル17,18と、底面パネル10の下端に折線19を介して連接する前記背面パネル7に接着される糊代パネル20とを有するように構成されている。前記折線19は、ブランクシート3により箱体1を組み立てたとき、背面パネル7と底面パネル10との間の折線となる。
【0029】
前記正面パネル9には、衛生用紙2の取り出し口25を形成するための輪郭切り込み線26が設けられ、輪郭切り込み線26は、その両端部が上面パネル8と正面パネル9との間の折線5に繋がり、この折線5に沿って横長の輪郭形状を呈している。本例では、輪郭切り込み線26はミシン目で形成されている。
なお、本例では、前記取り出し口25を形成するための輪郭切り込み線26が設けられたパネルを正面パネル9と位置づけている。
【0030】
また、上面パネル8には、輪郭切り込み線26の左右両端から上面パネル8と背面パネル7との間の折線4に繋がる取り出し口拡開用折線27a、27bが、折線4に向かって互いに接近する方向に設けられている。
本例では、左右の取り出し口拡開用折線27a、27bは、輪郭切り込み線26の左右両端の略中央位置で、上面パネル8と背面パネル7との間の折線4と直交する仮想線Lを挟んで対称に設けられている。また、左右の取り出し口拡開用折線27a、27bは、略円弧状に設けられている。
【0031】
また、本例では、上面パネル8に、左右の取り出し口拡開用折線27a、27bにおける上面パネル8と背面パネル7との間の折線4に繋がる位置から、それぞれ上面パネル8と正面パネル9との間の折線5に直交状態で繋がる平行な補助折線28a,28bが設けられている。さらに、前記仮想線L上に補助折線28cが設けられている。
【0032】
また、本例では、上面パネル8と正面パネル9との間の折線5から、左右の取り出し口拡開用折線27a、27bに沿って所定寸法のスリット29a,29bが設けられている。
このスリット29a,29bは、後述するところの取り出し口25を拡開するために行う、取り出し口拡開用折線27a、27bの谷折りを容易にし、取り出し口拡開用折線27a、27bで挟まれた上面パネル8における中央部位を容易に湾曲させることを助けるものである。この所定寸法とは、上面パネル8の縦方向1/4以内であることが好ましい。上面パネル8の縦方向1/4を超えると取り出し口25が必要以上に拡開してしまう。
【0033】
また、正面パネル9および背面パネル7には、底面パネル10との間の折線6,19の一部を底辺30a,30bとして略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線31a,31bがそれぞれ対称位置に設けられ、また、底面パネル10には、正面パネル9と背面パネル7に設けられた底上げ部形成用第1折線31a,31bの底辺30a,30bの両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線32a,32bが設けられている。
【0034】
本例では、正面パネル9と背面パネル7に設けられた底上げ部形成用第1折線31a,31bと底辺30a,30bで形成される略三角形の頂点Tは、輪郭切り込み線26の左右両端の略中央位置で、上面パネル8と背面パネル7との間の折線4と直交して正面パネル9と背面パネル7に延長する仮想線L上にある。底上げ部形成用第1折線31a,31bと底辺30a,30bで形成される略三角形は二等辺三角形となっている。
【0035】
また、本例では、正面パネル9および背面パネル7には、略三角形の頂点Tから底辺30a,30bに垂下させた底上げ部形成用第1補助折線33a,33bが設けられている。
また、本例では、底面パネル10には、正面パネル9と背面パネル7に設けられた略三角形の頂点Tから底辺30a,30bに垂下させた底上げ部形成用第1補助折線33a,33bの端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2補助折線34が設けられている。
また、本例では、前記底上げ部形成用第1折線31a,31b、底上げ部形成用第2折線32a,32b、底上げ部形成用第2補助折線34のそれぞれの線上に、折り易くするための間欠的なスリット35が設けられている。
【0036】
また、背面パネル7に接着する糊代パネル20には、背面パネル7に設けられた底上げ部形成用第1折線31bと底上げ部形成用第1補助折線33bに対応し、背面パネル7と糊代パネル20を接着したときに重なる折線36,37が設けられている。
【0037】
前記ブランクシート3による箱体1は、折線4,5,6,19から背面パネル7、上面パネル8、正面パネル9、底面パネル10、糊代パネル20を山折りして、糊代パネル20を背面パネル7に接着し、また、背面パネル7と正面パネル9の左右両端に連接する折込パネル17,18を折線15,16から山折りし、さらに上面パネル8及び底面パネル10の左右両端に連接する側面パネル13,14を折線11,12から山折りして折込パネル17,18の外側に重ね、側面パネル13,14を接着することにより組み立てられる。
そして、この箱体1内には、側面パネル13,14を接着する前に、ポップアップ式に取り出せるようにして交互に折り畳まれて積層された衛生用紙2が収納され、側面パネル13,14が接着されて図1に示す衛生用紙収納箱が完成する。
【0038】
このようにして完成した衛生用紙収納箱の開封にあっては、箱体1の正面パネル9に設けられている輪郭切り込み線26を破断して、輪郭切り込み線26で囲まれた破断片38を手前に引き出すことにより、取り出し口25を開口させる(図3)。
このようにして開口した取り出し口25から箱体1内に収納されている積層された衛生用紙2の最上部にある衛生用紙2を取り出す。
【0039】
このとき、最初の衛生用紙2を取り出す際、取り出し口25を開口させた箱体1を、その両側から対向方向に押圧して(図4の矢印方向。)上面パネル8に設けられた取り出し口拡開用折線27a、27bを谷折りさせると、箱体1の左右寸法が狭められ取り出し口拡開用折線27a、27bの間にある中央部位が上方に湾曲し、そして、取り出し口拡開用折線27a、27bが互いに接近する方向に向かって設けられているので、取り出し口拡開用折線27a、27bで挟まれた中央部位における取り出し口25側の辺が大きく上方に湾曲することになり、これにより取り出し口25が大きく拡開し(図4参照。)、箱体1内に収納された衛生用紙2を容易に取り出すことができる。
【0040】
本例では、取り出し口拡開用折線27a、27bは、輪郭切り込み線26の左右両端の略中央位置で、上面パネル8と背面パネル7との間の折線4と直交する仮想線Lを挟んで対称に設けられているので、箱体1を両側から均等の力で押圧することにより取り出し口拡開用折線27a、27bを容易に谷折りすることができる。
【0041】
また、取り出し口拡開用折線27a、27bは略円弧状に設けられているので、箱体1を、その両側から対向方向に押圧したとき、取り出し口拡開用折線27a、27bを軽い力でスムーズに谷折りすることができ、取り出し口拡開用折線27a、27bの間にある中央部位が上方に円弧状に湾曲するので、取り出し口25を一層大きく拡開させることができる。
【0042】
また、上面パネル8には、取り出し口拡開用折線27a、27bにおける上面パネル8と背面パネル7との間の折線4に繋がる位置から、それぞれ上面パネル8と正面パネル9との間の折線5に直交状態で繋がる平行な補助折線28a,28bが設けられており、さらに、前記仮想線L上に補助折線28cが設けられているので、箱体1を、その両側から対向方向に押圧する際、取り出し口拡開用折線27a、27bの谷折りとともに、補助折線28a,28b,28cを山折りすることにより、取り出し口拡開用折線27a、27bの谷折りが一層容易となる。
【0043】
また、本例では、上面パネル8と正面パネル9との間の折線5から、左右の取り出し口拡開用折線27a、27bに沿って所定寸法のスリット29a,29bが設けられているので、取り出し口拡開用折線27a、27bの谷折りが一層容易となり、取り出し口拡開用折線27a、27bの間にある中央部位を一層大きく湾曲させることができる。
【0044】
また、正面パネル9および背面パネル7には、底面パネル10との間の折線6,19の一部を底辺30a,30bとして略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線31a,31bがそれぞれ対称位置に設けられ、また、底面パネル10には、正面パネル9と背面パネル7に設けられた底上げ部形成用第1折線31a,31bの底辺30a,30bの両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線32a,32bが設けられているので、箱体1を、その両側から対向方向に押圧して(図6の矢印方向。)、底上げ部形成用第1折線31a,31bを山折りするとともに、底上げ部形成用第2折線32a,32bを谷折りすることにより、底面パネル10に、正面パネル9と背面パネル7に設けられた略三角形の頂点Tを山頂とする山状底上げ部39が形成される。
【0045】
そして、底面パネル10への山状底上げ部39の形成により箱体1の左右寸法が一層狭められ、その分左右の取り出し口拡開用折線27a、27bの間にある上面パネル8における中央部位が上方に大きく湾曲することになり、これにより取り出し口25が一層大きく拡開する(図6参照。)。
底面パネル10への山状底上げ部39の形成により、箱体1内に収納された衛生用紙2を正面パネル9に開口する取り出し口25近傍まで持ち上げることができ、箱体1内に収納されている衛生用紙2が残り少なくなった場合でも最後まで容易に取り出すことができる。
【0046】
また、本例では、正面パネル9と背面パネル7に設けられた底上げ部形成用第1折線31a,31bと底辺30a,30bで形成される略三角形の頂点Tは、輪郭切り込み線26の左右両端の略中央位置で、上面パネル8と背面パネル7との間の折線4と直交して正面パネル9と背面パネル7に延長する仮想線L上に有るので、山状底上げ部39で持ち上げられた衛生用紙2は取り出し口25の略中央位置近傍に盛り上がることになり、取り出し口25から容易に取り出すことができる(図7参照。)。
【0047】
また、底上げ部形成用第1折線31a,31bと底辺30a,30bで形成される略三角形は二等辺三角形となっているので、箱体1を両側から均等の力で押圧することにより底上げ部形成用第1折線31a,31bを容易に山折りし、底上げ部形成用第2折線32a,32bを容易に谷折りすることができる。
【0048】
また、正面パネル9および背面パネル7には、略三角形の頂点Tから底辺30a,30bに垂下させた底上げ部形成用第1補助折線33a,33bが設けられているので、底上げ部形成用第1折線31a,31bの山折りと底上げ部形成用第2折線32a,32bの谷折りとともに、底上げ部形成用第1補助折線33a,33bを谷折りすることにより、底上げ部形成用第1折線31a,31bの山折りと底上げ部形成用第2折線32a,32bの谷折りが一層容易となる。
【0049】
また、底面パネル10には、正面パネル9と背面パネル7に設けられた略三角形の頂点Tから底辺30a,30bに垂下させた底上げ部形成用第1補助折線33a,33bの両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2補助折線34が設けられているので、底上げ部形成用第1折線31a,31bの山折りと底上げ部形成用第1補助折線33a,33bの谷折りと底上げ部形成用第2折線32a,32bの谷折りとともに、底上げ部形成用第2補助折線34を山折りすることにより、底上げ部形成用第1折線31a,31bの山折りと底上げ部形成用第2折線32a,32bの谷折りが一層容易となる。
【符号の説明】
【0050】
1 箱体
2 衛生用紙
3 ブランクシート
4,5,6 折線
7 背面パネル
8 上面パネル
9 正面パネル
10 底面パネル
11,12 折線
13,14 側面パネル
15,16 折線
17,18 折込パネル
19 折線
20 糊代パネル
25 取り出し口
26 輪郭切り込み線
27a,27b 取り出し口拡開用折線
28a,28b,28c 補助折線
29a,29b スリット
30a,30b 底辺
31a,31b 底上げ部形成用第1折線
32a,32b 底上げ部形成用第2折線
33a,33b 底上げ部形成用第1補助折線
34 底上げ部形成用第2補助折線
35 スリット
36,37 折線
38 破断片
39 山状底上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体の紙製箱体内に積層された衛生用紙が収納されている衛生用紙収納箱であって、
前記箱体の正面パネルには、前記衛生用紙の取り出し口を形成するための輪郭切り込み線が設けられ、該輪郭切り込み線は、その両端が上面パネルと正面パネルとの間の折線に繋がり、この折線に沿って横長の輪郭形状を呈しており、上面パネルには、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線が、上面パネルと背面パネルとの間の折線に向かって互いに接近する方向に設けられ、正面パネルおよび背面パネルには、正面パネルと底面パネルとの間の折線および背面パネルと底面パネルとの間の折線の一部を底辺として略三角形を形成する山状の底上げ部形成用第1折線がそれぞれ対称位置に設けられ、また、底面パネルには、前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記底上げ部形成用第1折線の底辺側端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2折線が設けられていることを特徴とする衛生用紙収納箱。
【請求項2】
前記上面パネルに設けられた、前記輪郭切り込み線の左右両端から上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる取り出し口拡開用折線は、前記輪郭切り込み線の左右両端の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交する仮想線を挟んで対称に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項3】
前記上面パネルに設けられた左右の取り出し口拡開用折線は、略円弧状に設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項4】
前記上面パネルには、前記左右の取り出し口拡開用折線における上面パネルと背面パネルとの間の折線に繋がる位置から、それぞれ上面パネルと正面パネルとの間の折線に直交状態で繋がる平行な補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項5】
前記正面パネルと背面パネルに設けられた前記略三角形の頂点は、前記輪郭切り込み線の左右両端部の略中央位置で、上面パネルと背面パネルとの間の折線と直交して正面パネルと背面パネルに延長する仮想線上に有ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項6】
正面パネルおよび背面パネルに設けられた底上げ部形成用第1折線および底上げ部形成用第2折線で形成される略三角形は二等辺三角形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項7】
正面パネルおよび背面パネルには、前記略三角形の前記頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の衛生用紙収納箱。
【請求項8】
底面パネルには、正面パネルと背面パネルに設けられた略三角形の頂点から底辺に垂下させた底上げ部形成用第1補助折線の両端部間を繋ぐ底上げ部形成用第2補助折線が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の衛生用紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75680(P2013−75680A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216887(P2011−216887)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】