説明

衛生用紙製品

【課題】 強度低下が小さく、且つしっとり感となめらかさの向上したローションティシュやローショントイレットペーパーを提供することを目的とする。
【解決手段】 保湿剤としてグリセリンとソルビトールを併用し、更になめらかさを出すためにポリシロキサンを加えてなる薬液を適用した衛生用紙製品において、上記のポリシロキサンとしてアミノ変性ポリシロキサンをその配合率配合率0.5〜10wt%の範囲で用いたことを特徴とするローションティシュまたはローショントイレットペーパー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はしっとり感となめらかさを持った衛生用紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フェイシャルティシュやトイレットペーパー等の衛生用紙製品は、より柔軟性を高めたローションティシュやローショントイレットペーパーが多数販売されている。
これらローションティシュ類には、グリセリン等の保湿剤を主成分としたものや、四級アンモニウム等の柔軟剤を主成分としたもの、更にポリシロキサン等の油類を主成分としたもの、又これら薬剤を併用したものがある。
日本においては、グリセリン等の保湿剤を主成分にした薬剤をシートに塗工、含浸又はスプレー塗布した製品が主流になっている。
保湿剤を使った製品は、そのシートの水分含有率が高くなり、その分しっとりした感触となり、柔軟性向上につながる。しかし反面、シートの水分含有率が上がると、紙の強度発現因子であるパルプ繊維間の水素結合が減少し、シート強度は低下する。
従来のローションティシュやローショントイレットペーパーは、シート強度の低下から製造工程での紙切れ等による生産効率低下や製品使用上のポップアップ不良等の不具合が生じていた。
このような強度不足の改善策として、本出願人は保湿剤の多価アルコールグリセリンに、ソルビトールを一定割合で配合した薬液を使用したローションティシュ、ローショントイレットペーパーの柔軟性を向上させても、強度低下が小さいことを見出し、出願した。
しかし強度面の問題は解決したが、柔軟性に関しては更なる向上が求められており、又保湿剤系のしっとり感だけでなく、しなやかさ、なめらかさも併せ持った触感が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−145596号公報
【特許文献2】特開平9−296389号公報
【特許文献3】特開平10−513232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
強度低下が小さく、且つしっとり感となめらかさの向上したローションティシュやローショントイレットペーパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は保湿剤としてグリセリンとソルビトールを併用し、更になめらかさを出すためにポリシロキサンを加えてなる薬液を適用した衛生用紙製品において、上記のポリシロキサンとしてアミノ変性ポリシロキサンをその配合率0.5〜10wt%の範囲で用いたことを特徴とするローションティシュまたはローショントイレットペーパーに係わる。また本発明は上記においてアミノ変性ポリシロキサンの配合率が0.5〜5wt%の範囲であるものに係わる。
【0006】
本発明は又上記においてグリセリンとソルビトールの配合割合が20:80〜80:20(重量比)であるもの、薬液をシートに塗工、含浸またはスプレー塗布するもの、および強度低下が小さくかつしっとり感となめらかさの向上したものに夫々係わる。
【0007】
保湿剤としてグリセリンとソルビトールを併用し、更になめらかさを出すためにポリシロキサンを加えて混合し、ローションティシュ、ローショントイレットペーパー用の薬液を調合した。
この薬液において、シートのしっとり感及びなめらかさが向上するポリシロキサンの種類と配合率を見出した。
具体的には、ポリシロキサンの種類がアミノ変性でポリシロキサンの配合率0.5〜5%の範囲で、他のポリシロキサンに比べ、強度低下が小さく且つ触感(しっとり感、なめらかさ)の向上が認められた。
アミノ変性ポリシロキサンの場合、配合率が10,15%でも他のポリシロキサンに比べて、強度や触感での優位性はあるが、10%以上では強度面で製造上や使用上でのトラブルが懸念される。
【発明の効果】
【0008】
ローションティシュ類の薬剤として、グリセリン+ソルビトールに特定のポリシロキサンを併用することにより、強度低下は小さく、HFのしっとり感及びなめらかさが向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施例を説明するが、これは例示のために掲げたもので、これにより本発明を何ら制約するものではない。
【実施例】
【0010】
当社のフェイシャルティシュ、商品名「スコッティカシミヤ」をベース原紙(坪量=15g/m)として、グリセリンとソルビトールを約30:70の配合割合で混合した薬液に4種類のポリシロキサンを、1,3,5,10,15%配合し、それぞれ上記原紙に塗工量20%でコーター塗工し、恒温恒湿室(温度20±2℃、湿度65±5%)にて8時間以上調湿し、例1〜4のサンプルとした。このサンプルに対して、紙質試験(強度、触感)を行なった。その結果を表1に示す。
【0011】
[例1の薬液配合] 高重合メチルポリシロキサン(低粘度品)、グリセリン、ソルビトール
[例2の薬液配合] アミノ変性ポリシロキサン、グリセリン、ソルビトール
[例3の薬液配合] 高重合メチルポリシロキサン(高粘度品)、グリセリン、ソルビトール
[例4の薬液配合] 高重合メチルポリシロキサン(エラストマー含有品)、グリセリン、ソルビトール
[例1] 高重合メチルポリシロキサン(低粘度品) BY22−874(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株))
[例2] アミノ変性ポリシロキサン SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株))
[例3] 高重合メチルポリシロキサン(高粘度品) BY22−050A(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株))
[例4] 高重合メチルポリシロキサン(エラストマー含有品) BY29−140(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株))
ソルビトール(化粧品グレードでD−ソルビトール含量63%)(日研化成(株))
各薬液の配合率は、ポリシロキサンが1,3,5,10,15%と変化するのに伴って、グリセリンとソルビトールは(100−ポリシロキサン)を30:70に振り分けた。例えば、ポリシロキサンが5%の場合は、グリセリンは100−5=95、95×0.3=28.5%
【0012】
【表1】

【0013】

【0014】
例2の実施例品では強度低下は小さく、HFのしっとり感及びなめらかさが向上しているのが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保湿剤としてグリセリンとソルビトールを併用し、更になめらかさを出すためにポリシロキサンを加えてなる薬液を適用した衛生用紙製品において、上記のポリシロキサンとしてアミノ変性ポリシロキサンをその配合率0.5〜10wt%の範囲で用いたことを特徴とするローションティシュまたはローショントイレットペーパー。
【請求項2】
アミノ変性ポリシロキサンの配合率が0.5〜5wt%の範囲である請求項1記載のローションティシュまたはローショントイレットペーパー。
【請求項3】
グリセリンとソルビトールの配合割合が20:80〜80:20(重量比)である請求項1から2までのいずれか1項記載のローションティシュまたはローショントイレットペーパー。
【請求項4】
薬液をシートに塗工、含浸またはスプレー塗布する請求項1から3までのいずれか1項記載のローションティシュまたはローショントイレットペーパー。
【請求項5】
強度低下が小さくかつしっとり感となめらかさの向上した請求項1から4までのいずれか1項記載のローションティシュまたはローショントイレットペーパー。

【公開番号】特開2006−169690(P2006−169690A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366058(P2004−366058)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000183462)株式会社クレシア (112)
【Fターム(参考)】