衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材及び衛生薄葉紙ディスペンサー
【課題】簡易に使用できる据え置き型の衛生薄葉紙ディスペンサーを提供する。
【解決手段】
取り出し口11Hを有する前板部1が前方に傾斜して設けられているディスペンサー本体部10が、台座部20によって据え置き可能に支持されている衛生薄葉紙ディスペンサーX1により解決される。
【解決手段】
取り出し口11Hを有する前板部1が前方に傾斜して設けられているディスペンサー本体部10が、台座部20によって据え置き可能に支持されている衛生薄葉紙ディスペンサーX1により解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手ふき用等の清拭用ワイプなどの衛生薄葉紙を重層した衛生薄葉紙の束を収納して、取り出し口から1枚ずつ取り出す衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立て可能なシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生薄葉紙ディスペンサーは、細部の形状は種々あるが、衛生薄葉紙の束を収納する本体とその底部に形成された取り出し口とを有し、この取り出し口から衛生薄葉紙を摘み出して、内部の束に触れずに1枚ずつ衛生的に取り出して使用可能にしたものである(特許文献1〜4等)。このディスペンサーの多くは、背面に設けられた適宜の手段により壁に設置して使用する形態を採るが、中には据え置きのものも開発されている(特許文献4等)。
【0003】
他方、このディスペンサーに用いられる衛生薄葉紙の束は、方形の衛生薄葉紙が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接する衛生薄葉紙の折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層されており、最下部又は最下部の一枚を取り出すと、衛生薄葉紙が有する紙特有の摩擦によって、隣接する衛生薄葉紙の折り返し片がつられて引き出されるようになっている。
【0004】
一般的には、図7及び8に示すように、かかる衛生薄葉紙の束100は、樹脂製の外装フィルム200によってピロー包装等された状態で市販に供され、多くはディスペンサーを用いずに使用することも想定して、上面に直線上の開封用ミシン目線201が形成されていて、この開封用ミシン目線を裂開することで上面にスリット状の開封口201Sが形成され、簡易に内部の衛生薄葉紙101を一枚ずつ取り出せるようになっている。
特に、飲食店、総菜店、スーパーマーケットにおける厨房などにおいては、作業中に迅速に手や食料品を清拭する必要があり、また、作業スペースが限られることもあり、設置位置が限定されるとともに設置のための空間をも必要とする上記従来のディスペンサーの使用を嫌って、かかるピロー包装の市販形態のまま作業台においてそのまま使用することが好まれる。
しかし、ピロー包装された衛生薄葉紙束をそのまま使用する場合、特に内包残数が減少してスリット201Sと束上面の距離が空いてきたときに、スリット状開封口201Sによって衛生薄葉紙を支えることができなくなり、包装内部にシートが落ち込んでしまうことがある。
そして、このときに特に濡れたり汚れたりした手を包装内に入れると、未使用で残存する束が汚染され、以降衛生的な使用ができなくなる。また、落ち込んだシートを取り出すために、外装フィルム内に手を入れて取り出す煩雑な操作が必要となることから、結果的に厨房等内における主作業の効率を低下させる場合もある。
【0005】
他方、従来の衛生薄葉紙ディスペンサーといえば、樹脂成型によるものや金属製のものばかりであり、軽量かつハンドリングに優れ、さらに簡易かつ容易に現場で必要時に組立て、また不必要時に廃棄できるものではなかった。
【特許文献1】特開平06−144448号公報
【特許文献2】特開2006−204404号公報
【特許文献3】特開2001−87161号公報
【特許文献4】実用新案登録第3137582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、省スペースで作業台等においても場所を取らず、かつ、取り出し性に優れるとともに衛生的かつ簡易に使用できる衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立てることができるブランクシートから一体的に打ち抜かれてなる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
一枚のブランクシートから打ち抜かれた衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材であって、
この衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材は;
台座部底側部、台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップがこの順に連接され、
底板部の幅方向両側のそれぞれに支持部が連接され、
天面部の幅方向両側のそれぞれに側板部が連接され、
背板部及び前板部の各幅方向両側に第2フラップが連接され、
各側板部の幅方向側に第3フラップが連接され
前板部に衛生薄葉紙の取り出し口となる取り出し口形成線を有し、
天面部に蓋部形成線を有し、
台座部底側部の幅方向両側部に第1係止部を有し、
支持部には、台座部上側部がわの縁に端を有し、その端から底板部との間の連接線から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線に対して所定角度をなす折り線と、この折り線のよりも幅方向外方に配置された前記第1係止部に係止する第2係止部とが配され、
前記台座部上側部から前記台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれ、
前記台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップの間の各連接線を谷折りして、前記第1フラップを介して前板部と底板部とを接続し、
天面部と側板部との間の連接線を谷折りして、前記第2フラップ及び第3フラップにより、底板部、背板部、天面部及び前板部で囲まれる空間の幅方向開放部分を側板部で封止し、
かつ、前記台座部底側部が底になり前記台座部上側部が上になるようにこれらの間の連接線で山折りするとともに、前記支持部と底板部との間の連接線及び支持部の折り線を山折りし、
前記支持部の折り線よりも側方部分を前記台座部底側部に重ね合わせかつ前記折り線により形成される折り筋と台座部底側片の側縁とを当接させるように、支持部の一部で台座部底側部の側縁を巻き込むとともに、この状態において底側位置において第1係止部と第2係止部とを係止することで、
前記台座部を介して水平面上に据え置いたときに、取り出し口を有する前板部が前方に傾斜する衛生薄葉紙ディスペンサーが組立てられる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0008】
(作用効果)
本発明によれば、取り出し口を有する前板部が前傾する構成の衛生薄葉紙ディスペンサーが簡易かつ容易に組立てられる。
そして、かかる衛生薄葉紙ディスペンサーは、取り出し方向が前方又は前方斜め下方向となり、従来の底面に取り出し口を有しそこから下方に衛生薄葉紙を取り出すディスペンサーと比較すると、高さを低くすることできるため極めて省スペース化される。
また、取出し口から塵や埃が入り込むことが防止されるとともに、内部に収めた束が使用に伴う引出し操作によって前板側に傾倒又は移動するので、使用後期においても取り出し口から露出すべき薄葉紙がディスペンサー内に落ち込むことがなく、取り出し性に優れしかも衛生的に使用できる。
さらに、台座部底側部と台座部上側部とで構成される台座部がディスペンサー前方に延在して存在するので、特に前方への傾倒が防止され、安定性をもってディスペンサーを据え置きにすることができる。
また、本発明のシート材は、台座部上側部から台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれているため、衛生薄葉紙の取り出し口が形成された前傾の前板部の幅方向中央部分の底側位置に台座部が欠損されて存在しない衛生薄葉紙ディスペンサーが組み上がる。
そして、この衛生薄葉紙ディスペンサーは、例えば、水や油などに濡れた手で衛生薄葉紙を引き出す操作をするさいに、意図せず手に付いた水等がしたたり落ちても台座部が汚れることがなく衛生的であり見た目にも優れる。
さらにシート材として板紙などの耐水性の低い素材を用いる場合には水によるディスペンサーの崩れも防止される。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前記第1フラップが予め底板部に対して接着されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0010】
(作用効果)
糊などの接着剤を用いずに組立てることができるようになる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
底板部と台座部上側部との間の連接線又はその近傍に第1フラップが差し込み可能な切り込み線を有する請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0012】
(作用効果)
糊などの接着剤を用いずに組立てることができるようになる。
【0013】
<請求項4記載の発明>
取り出し口形成線は、幅方向に延在する長手線とその長手線の両端を基端として底側部に向かって延在する短手線とからなる略コ字状をなし、前記短手線の先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の下側縁が前側に延出して延出片が形成されるように構成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0014】
(作用効果)
取り出し口から露出される衛生薄葉紙の一部が延出片により上方に向かって支持される、当該一部が摘みやすい衛生薄葉紙ディスペンサーを組立てることができる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記長手線の幅方向中央部に凹部形成部が形成されている請求項4記載の衛生薄葉紙ディスペンサー用組立てシート材。
【0016】
(作用効果)
取り出し口から露出される衛生薄葉紙の一部をより一層摘みやすい衛生薄葉紙ディスペンサーを組立てることができる。
【0017】
<請求項6記載の発明>
蓋部形成線の一部に摘み端部又は摘み凹部が形成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0018】
(作用効果)
蓋部材形成線により形成される蓋部の開閉がしやすいものとなる。
【0019】
<請求項7記載の発明>
ブランクシートが、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートの何れかである請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0020】
(作用効果)
組立てが容易なものとなる。しかも、安価に製造できるとともに、破壊も容易であり、使い捨て製品に適するものとなる。また、廃棄もしやすいものとなる。
【0021】
<請求項8記載の発明>
組立て後において台座部底側部を介して水平面に載置したときに、前板部と水平面との間の角度が45〜80度となる請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0022】
(作用効果)
当該角度の範囲であると、取り出し口からの衛生薄葉紙の引出しに起因する、内部に収めた衛生薄葉紙の束の前板側に移動・傾倒がより一層確実なものとなり、使用後期に取り出し口から露出すべき薄葉紙がディスペンサー内に落ち込むことが確実に防止されるようになり、また取り出し口が下向きになりすぎずに適度に前方に向いて衛生薄葉紙の引出し操作がしやすいものとなる。
【0023】
<請求項9記載の発明>
請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の組立てにより形成されたことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0024】
(作用効果)
特に請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、省スペースで作業台等においても場所を取らず、かつ、取り出し性に優れるとともに衛生的かつ簡易に使用できる衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立てることができるブランクシートから一体的に打ち抜かれてなる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次いで、本発明の実施の形態を図1〜11を参照しながら以下に詳述する。
なお、図1〜図8は、本発明の実施形態の第1参考基本形態であり、図9は本発明の実施形態の第2参考基本形態である。本発明の実施形態は、その第1参考基本形態及び第2参考基本形態に後述のとおり特徴部分を追加したものである。
図1は、前記第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1から組立てられた衛生薄葉紙ディスペンサーX1の斜視図である、図2は、その第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1の展開正面図である。図3は、図1のIII−III断面図であり、図4は、その衛生薄葉紙ディスペンサーX1の正面図である。図5は、使用状態の正面図であり、図6は、そのVI−VI断面図である。図7及び8は、第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1に用いられる衛生薄葉紙の束を説明するための斜視図である。
図9は、本発明の実施形態の第2参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1”の展開正面図である。
図10は、本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図であり、図11は、本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられる衛生薄葉紙ディスペンサーの斜視図である。
【0027】
(第1参考基本形態)
本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1は、その組立により図1に示される形状の衛生薄葉紙ディスペンサーX1が組立てられるものである。
この組立てられた衛生薄用紙ディスペンサーX1は、衛生薄用紙の束100を収納する本体部10と、本体部を支持してディスペンサー自体を据え置きにするための台座部20とを有し、キッチン台、洗面台、手洗い場台、作業台、床などに載置して使用する据え置き型として適する。
かかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1が形成される本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1について詳述すると、まず、本シート材1は、一枚のブランクシートを打ち抜いてもしくは切り抜いて形成される平坦なシート状をなしている。ブランクシートの素材は、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートなどが適する。
【0028】
他方、このシート材1は、台座部底側部20A、台座部上側部20B、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1がこの順に連接されており、前記底板部11、背板部12、天面部13、前板部14は、それぞれ同形状の長方形をなし、その長手縁を共有して連接されている。
【0029】
他方、第1フラップF1は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14よりも短手方向が短く先端先細の細長台形状をなしており、前記各部の連接線(本発明及び本明細書においては各部間の仮想線は連接線という)L1〜L4で90度に折り曲げ、第1フラップF1の裏面(紙面裏側)を底板部11の表面(紙面表面)に対して、第1フラップF1と天面部12との間の連接線L1が、底板部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5と接するようにしつつ接着すると、本体部10の一部である直方体形状の角筒状部分が形成される。
【0030】
第1フラップF1の接着に関しては、シート材1の材質に応じた既知の接着剤により接着すればよい。もちろん、第1フラップF1に、予め両面粘着テープを配しておいたり、乾燥糊を配しておくなどすることができ、このようにすればば接着操作はより簡易なものとなる。
【0031】
ここで、本明細書においては、特に指定がないかぎり幅方向は、台座部底側部20A、台座部上側部20B、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1の長手方向に沿う方向とし、これに直行する方向、すなわち前記各部の連接方向は短手方向とする。
【0032】
なお、図示の本形態では、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さがすべて等しく、本体部10の一部として直方体形状の角筒が形成されるようになっているが、必ずしもこのように短手長さを等しくする必要はなく、直方体形状に限らず適当な角筒が形成可能な範囲で短手長さは選択することができる。
【0033】
ここで、各部の幅W1は、この種のディスペンサーに適する衛生薄葉紙の束であるペーパータオル束の幅が205〜245mm程度であることを考慮すると、210〜250mmとするのが望ましく、また、各部の短手長さL2は、この種のディスペンサーに適する衛生薄葉紙の束であるペーパータオル束の厚さ65〜85mm程度であることを考慮すると、70〜90mmとするのが望ましい。
【0034】
一方、本シート材1においては、前記天面部13の幅方向両側に側板部15が連接され、背板部12及び前板部14の各幅方向両側に先端先細の細長台形状の第2フラップF2,F2が連接され、各側板部15,15の幅方向外側に先端先細の細長台形状の第3フラップF3が連接されている。
【0035】
前記側板部15は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14により形成される角筒の幅方向開放部の形状と同形状とされ、図示の本形態では角筒部の幅方向開放部の形状が正方形となるので、これに応じて正方形とされている。
この側板部15及び第2及び第3フラップF2,F3の存在によって、前記角筒部の幅方向開放部分が封止される。すなわち、上述のように底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1の各部間の連接線L1〜L4の折曲げ及び第1フラップF1の底板部11への接着によって本体部10の一部である角筒部を形成したのち、前記第2フラップF2,F2を角筒部の内部側に折曲げ、さらにこの折曲げられた第2フラップF2,F2に重ねて側板部15,15を折曲げ、さらに第3フラップF3を、前記第2フラップF2,F2の縁と底板部11との間に差し込むことで、角筒部の幅方向開放部が封止される。そして、この封止によってディスペンサー本体部10が形成される。
【0036】
他方、前記天面部13には、本体部10の天面に開閉可能なヒンジ蓋13Aを形成するための蓋部形成線13Sが配されている。この蓋部形成線13Sは、天面部13における側板部15,15との間の連接線L6,L6及び前板部14との間の連接線L2にそって略コ字状に配されたシート材1の表裏に通ずるスリット線であり、背板部12との間の連接線L3もしくはこれに沿う線をヒンジとして、天面に開閉可能なヒンジ蓋13Aを形成する。なお、蓋部形成線13Sは、スリット線に限らず、ハーフスリットやミシン目線。さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線などでもよい。なお、蓋部形成線13Sの一部に凸状の突出させた摘み端部や、図示のような凹状に欠損させた摘み凹部13aを形成すると、開閉しやすいヒンジ蓋となる。
【0037】
他方、前記台座部底側部20A及び台座部上側部20Bは、衛生薄葉紙ディスペンサーX1の台座部20を形成するものである。これら各部20A,20Bの幅は、前記ディスペンサー本体部10を形成する各部11〜14の幅と同幅とされ、短手方向長さについては、台座部上側部20Bにおいては、底板部11などと短手方向の長さも等しくされ、台座部底側部20Aについては、台座部上側部20Bの短手長さよりも2倍〜2.5倍程度長くされている。
従って、台座部底側部20Aが底になり前記台座部上側部20Bが上になるようにこれらの間の連接線L7で山折りすると、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14等により構成される前記ディスペンサー本体部10の下方にまで台座部底板部20Aが延在されるとともに、台座部上側部20B及び台座部底側部20Aのこれと重なる部分で形成される積層部分がディスペンサー本体部10の前側に延在される。
【0038】
他方、前記台座部底側部20Aの幅方向両側部には、台座部上側部20Bとの連接線L7と反対の端縁から延在する第1係止部としてのスリット線20S,20Sが配されている。この第1係止部20S,20Sは、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。この第1係止部は、後述する第2係止部と係止する。
【0039】
他方、底板部11の幅方向両側縁にはそれぞれに略正方形状の支持部16,16が連接されている。なお、支持部16,16は正方形状に限定されない。本発明の効果を妨げない範囲で適宜の形状に設計変更可能である。
この支持部16には、台座部上側部20Bがわの縁16Eに端を有し、その端から底板部11との間の連接線L8から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線L8に対して所定角度をなす折り線16Aと、この折り線16Aのよりも幅方向側外方に配置された前記第1係止部20sに係止する第2係止部16sとが配されている。なお、支持部の幅方向外側とは、支持部16における底側部11との連接線L8と反対側をいう。
【0040】
ここで、例えば、支持部16の台座部上側部20Bがわ(の縁16Eと、底側部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5とが一直線上にない形態では、前記折り線16Aと連接線L8は接しないこととなるため、この場合における前記所定角度とは、各線16A,L8の仮想延長線がなす角度とする。
【0041】
折り線16Aは、予め折り筋が付けられた線、ミシン目線、折り曲げることを指示する文言とともに配された印刷線などである。
【0042】
第2係止部16sは、本形態では、第1係止部20sとの関係で、折り線16Aと平行にかつ、台座部上側部20Bがわから切り込まれたスリット線である。なお、この第2係止部16sもまた、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。
【0043】
この構成の支持部16,16は、組立て後にはディスペンサー本体部10の底側に位置して、前記ディスペンサー本体部10をその前板部14が前傾斜するようにして支持する部位を構成する。すなわち、組立てに際して、台座部底側部20Aと台座部上側部20Bを重ね合わせるとともに、前記支持部16と底板部11との間の連接線L8,L8及び支持部16の折り線16Aを山折りし、前記折り線16Aにより形成される折り筋と台座部底側部20Aの側縁とを当接させるともに、前記支持部16の折り線16Aよりも幅方向側方部分16Rを前記台座部底側部20Bに重ね合わせるようにして支持部16で台座部底側部20Aの側縁を巻き込む。そして、このとき第2係止部16sと台座部底側部20Aの第1係止部20sの切り込み開始端とが対面するためこれらを係止する。そうすると、台座部底側部20Aを介して水平台においたときには、支持部16に連接する底側部11は、背板側12が高く、前板側14が低くなるように傾斜して底上げされる。
そして、この底板部11が傾斜して底上げされることに応じて、ディスペンサー本体部10において底板部11に連接する前板部13が底板部12がわよりも天面部13がわ前方になるように前傾状態となる。
なお、第1係止部16sと第2係止部20sとの係止は、本形態の係止部の場合、各係止部であるスリット線を互いに差し込み合うようにすることで行う。ただし、係止方法はこれに限定されず、両係止部の係止は重なり部分の接着によって行ってもよい。
【0044】
ここで、組立て後における前板部13の傾斜は、好ましくは、45〜80度、より好ましくは50〜60である。この角度を達成するには、図示の本形態では、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14が同形状でディスペンサー本体部10が直方体形状となるように構成されているとともに支持部16が略正方形となっていることから、折り線16Aの底板部11との連接線L8に対する所定角度∠Aを好ましく20〜55度、より好ましくは30〜40度に設定すればよい。
ただし、前板部14の傾斜と折り線16Aの所定角との関係は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手方向長さ(角各筒部の構成)及び支持部16の形状等により変化するものである。従って、折り線16Aに関する前記所定角については、これらに応じて適宜、前板部14の前傾角度が45〜80度となるように調整するのが望ましい。
【0045】
他方、本シート材1は、前板部14に衛生薄葉紙の取り出し口14Aとなる取り出し口形成線14sが配されている。ここで、図示の本形態の取出し口形成線14sは、好ましい形態として、幅方向に延在する長手線14wとその長手線の両端を基端として底側部11に向かって延在する短手線14hとからなる略コ字状をなし、前記短手線14hの先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の14Aの下側縁が前側に延出して延出片17が形成されるように構成されている。また、その長手線14wの幅方向中央部に矩形の凹欠損形成部17aが形成されている。凹部欠損用形成の形状は、この矩形に限らず、例えば半円、半楕円等としてもよい。
なお、図示例の取出し口形成線14sは、シート材1を貫通して設けられたスリット線であるが、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。
【0046】
以上のとおり、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1からは、前板部14が前傾であり、かつ、その前傾した前板部14に取出し口14Aを有する衛生薄葉紙ディスペンサーX1が組立てられる。
【0047】
さらに、この組立てられた衛生薄用紙ディスペンサーX1についても詳述する。このディスペンサーX1は、主にディスペンサー本体部10と台座部20とで構成されるが、ディスペンサー本体部10は、シート材の説明からも理解されるように、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、側板部15等が一体となって箱形をなしたものであり、内部に衛生薄葉紙の束100を収納可能な空間10Sを形成する。
【0048】
天面部13には蓋部形成線13sにより形成された衛生薄葉紙の束100を内部に納めるためのヒンジ蓋13Aが配されている。
前板部14は、組立て後の衛生薄葉紙ディスペンサーX1における高さ方向の中央部において幅方向に延在する細長状に開口する衛生薄葉紙の取り出し口14Aが配され、また、特徴的に前方に傾斜されている。
従って、本シート材1からなるこの衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、衛生薄葉紙101の取り出しは、前記取り出し口14Aから露出する衛生薄葉紙101の一部101Aを摘み、下方、前方又は前板部14に対して直行する方向に引き出す操作して行なわれる。
ここで、本発明にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1における「傾斜」とは、台座部20(台座部底側部)を介して水平面上にディスペンサーX1を載置したときを基準とする。
【0049】
ここで、先にも述べたが前記前板部14の好適な傾斜具合は、台座部(台座部底側部)20を介してディスペンサー自体X1を水平面上に載置したときに、前記前板部14の傾斜∠Bが水平面に対して50〜80度となるように構成するのがよい。50度未満となると取り出しの際に作業台などの載置面に手がつきやすくなり、効果的に衛生薄葉紙を取り出し難くなり、80度を超えてくると内部の衛生薄葉紙の束100が前板部14に支持されずに背板側に傾倒して取り出し口14Aから遠ざかり当該一部101Aがディスペンサー本体部内10Sに落ち込んでしまうおそれが高まる。
【0050】
他方、前記前板部14には、好ましく取出し口形成線14sにより形成される延出片17が配され、取り出し口14Aから露出された衛生薄葉紙の一部が、その延出片17に載って上方又は前方に突出するように支持され、本体部10内への当該露出部分101Aの落ち込みが防止されて、衛生的にかつ簡易に摘んで取り出せるようになっている。
この延出片17は、その上縁17eが前板部14の底縁から上縁までの長さの中間位置よりも上方に位置し、また当該上縁17eと前板部14との離間距離D1は、10〜25mmであるのが望ましい。10mm未満であると、露出部分の取り出し性が向上し難い。25mmを超えると衛生薄葉紙の一部を支持し難くなる。この延出片17の構成は、取出し口形成線14s及びその切り起しにより達成される。
【0051】
さらに、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、延出片17の中央部に矩形に欠損された凹部形成部17aにより形成される凹部欠損部17vが形成されており、衛生薄葉紙の露出部分101Aの中央部が摘みやすくなっている。
【0052】
なお、上述のシート材1からなる図示の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、背板部12は前板部14と同様の傾斜、すなわち平行となるが、本衛生薄葉紙ディスペンサーX1は背板部12については、必ずしも傾斜している必要はなく、例えば、背板部12が、台座部20に対して垂直又は前板部14よりも垂直に近い傾斜であれば、前方上部開口が底側に比して口広となり、衛生薄葉紙の束100を収めやすくなる。これは、シート材1における底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さを適宜変更することで達成できる。
【0053】
他方、底板部14は、組見立て後のディスペンサーX1では、水平面に載置した据え置き状態において、背板部12側が高く、前板部14側が低くなるように傾斜して配される。これにより、底板部11に載置された束100が適度に前板部14側に傾倒して、前板部14によっても支持されるようになる。なお、底板部11と前板部14との間の角度∠Cは、好ましくは100〜85度、特には直行しているのがよい。係る角度の調整は、これは、シート材1における底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さを適宜変更することで達成できる。
【0054】
一方、組立て後の衛生薄葉紙ディスペンサーX1を構成する台座部20は、上述のディスペンサー本体部10の底側に位置して、ディスペンサー本体部10を、特に前板部14の傾斜を維持した状態で支持するとともに作業台等に載置可能にするためのものである。
台座部20は、平坦な台座部上側部20Aと台座部底側部20Bとの積層により形成される底面略平坦の平板状であり、組立て状態においてディスペンサー本体部10の側板部15よりも底側に位置する支持部16を介して、ディスペンサー本体部10と連結一体化される。
【0055】
本第1参考基本形態のディスペンサーX1では、主に台座部上側部20Bにより、本体部10の前板部14の上縁より前後方向前方に至るまで延在する延在部が形成され、ディスペンサー本体部10の自重及び取り出し時における前側への傾倒を防止しつつディスペンサー本体部10が支持されている。
【0056】
この台座部20では、前記延在部の長さはL4(前板部の底側縁より前方に延在する部分長さ)は、好ましくは100〜200mmとするのがよい。100mm未満であると引出し時における傾倒防止機能が働かない場合があり、200mmを超えると設置スペースが広く必要となり好ましくない。また、前板部の上縁より前方に0〜40mm、特には1〜30mm延在しているのがよい。過度の延在長は設置面積を増大させ省スペースの効果が得られなくなる。これらの延在部の構成は、台座部上側部及び台座部底側部の短手長さを調整することで達成できる。
【0057】
以上の説明の本発明の第1参考基本形態に係るシート材1より組立てられる第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、その構造から理解されるように、背景技術の欄で述べた衛生薄葉紙の束100をその積層上面が取り出し口14Aに対面するようにして、ディスペンサー本体部10の内部空間10Sに収めると、束100の自重によって取り出し口14Aが形成された前板側14に若干傾倒しつつ前板部14及び底板部111によって支持される。
そして、使用時に前板部14に形成された取り出し口14Aから順次、一枚ずつ内部の衛生薄葉紙100を取り出しても底側部11の傾斜によって束が常に取り出し口近傍に位置するようになるので、使用後期に束を構成する衛生薄葉紙の枚数が減少した場合にも効果的に取り出し操作が行える。
【0058】
なお、第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1に用いる衛生薄葉紙の束は、例えば、図7及び図8に示すような、上面にスリット状開封口201Sとなる開封用ミシン目線201を有する包装形態のものが利用でき、この場合、ミシン目線201を開封した後、樹脂製の外装フィルム200等を剥がさずに包装されたまま収納して使用することが可能である。
【0059】
なお、第1参考基本形態のディスペンサーX1に用いる衛生薄葉紙としては、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ、ティシュペーパー等が例示でき、特に、坪量20〜60g/m2程度のペーパータオル、キッチンペーパーに効果的である。
【0060】
また、上述の図示の形態のシート材1では、第1フラップF1と底板部11とが分離された状態のシート材について説明したが、第1フラップF1は、予め底板部11に対して接着されていてもよい。この場合、底板部11と前板部14、及び天面部13と背板部12とが積層するようにすれば平坦状になってシート状となる。
【0061】
(第2参考基本形態)
次いで、本発明の第2参考基本形態に係るシート材1’について説明する。第2参考基本形態にかかるシート材1’は、第1フラップF1,F1が小片として前板部14の縁に断続的に形成されているとともに、底板部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5又はその近傍に、前記第1フラップF1,F1が差し込まれる切り込み線19が形成されている形態である。その他の構成に関しては、第1の実施の形態と同様である。
この第2参考基本形態にかかるシート材1’は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の各部の間の連接線L1〜L4で折曲げるとともに、第1フラップF1…を前記切り込み線19に差し込むことで角筒部が形成される。
したがって、組立て作業に接着剤等が不要となるので、簡易かつ容易に組立てができるものとなる。
【0062】
(本発明の実施の形態)
次いで、本発明の実施の形態のシート材1”について説明する。本発明の実施の形態にかかるシート材1”は、特に図10に示されるように、上記第1の参考基本形態或いは第2の参考基本形態に係るシート材1,1’において、台座部上側部20Bから台座部底側部20Aにかけてシート材1”の幅方向中央部分が矩形にくり抜かれている形態である(図中においてくり抜き部分は符号25で示す)。本発明の実施形態は、そのくり抜き部分に係る構成・効果以外の構成・効果は上記第1の参考基本形態或いは第2の参考基本形態と同様である。
なお、くり抜き部分の形状は矩形に限定されず、適宜の形状を選択できるが、円形、楕円形、さらには菱形など前後左右対象形状であるのが望ましい。そして、この場合、左右の中心線がシート材の幅方向中心、前後方向の中心が連接線L7となるように配するのが望ましい。
【0063】
このくり抜き部分の幅方向長さは、シート材1”の幅方向の長さの1/3〜4/5程度とするのがよい。またくり抜き部分は、台座部上側部20Bにかかる部分については底板部との連接線L5又はこの連接線L5から30mm未満の位置から台座部底側部20Aとの連接線L7に至るまでの範囲、台座部底側部20Aにかかる部分については前記連接線L7から先端縁に向かって台座部上側部20Bの短手長さと同長さ以上の長さの範囲において刳り抜かれているのが望ましい。
【0064】
この本形態のシート材1”は、上述の第1参考基本形態において説明したのと同様に組立てると、図11に示されるように前傾となり、それに加えて前板部の幅方向中央部分の底側位置に台座部が欠損されて存在しない衛生薄葉紙ディスペンサーが組み上がる。
【0065】
この衛生薄葉紙ディスペンサーでは、例えば、水や油などに濡れた手で衛生薄葉紙を引き出す操作をする際に、意図せず手に付いた水等がしたたり落ちても台座部が汚れることがなく、衛生的であり見た目にも優れる。また、本発明のシート材として板紙などの耐水性の低い素材を用いる場合には水によるディスペンサーの崩れも防止される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ等の衛生薄葉紙が複数枚重層された衛生薄葉紙の束を内部に収納して、取り出し口から1枚ずつ取り出せるようにした衛生薄葉紙ディスペンサーに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられた衛生薄葉紙ディスペンサーX1の斜視図である。
【図2】第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】前記衛生薄葉紙ディスペンサーX1の正面図である。
【図5】前記衛生薄葉紙ディスペンサーX1の使用状態の正面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】ピロー包装された衛生薄葉紙の束の斜視図である。
【図8】ピロー包装された衛生薄葉紙の束をそのまま使用する場合の斜視図である。
【図9】第2参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図10】本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図11】本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられる衛生薄葉紙ディスペンサーの斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1,1’,1”…衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材、10…ディスペンサー本体部、10S…ディスペンサー本体部の内部空間(衛生薄葉紙の束の収納スペース)、11…底板部、12…背板部、13…天面部、13a…摘み用凹部、13A…ヒンジ蓋、13s…蓋部形成線、14…前板部、14A…取り出し口、14s…取出し口形成線、14w…取出し口形成線の長手線、14h…取出し口形成線の長手線、15…側板部、16…支持部、16A…折り線、16E…支持部の台座部上側部がわの縁、16s…スリット線(第2係止部)、16R…折り線よりも外側領域、17…延出片、17a…凹欠損形成部、17e…延出片の上縁、17v…凹部欠損部、19…切り込み線、20…台座部、20A…台座部底側部、20B…台座部上側部、20S…スリット線(第1係止部)、25…くり抜き部分、F1〜F3…第1〜第3フラップ、L1〜L8…連接線、100…衛生薄葉紙の束、101…衛生薄葉紙、101A…取り出し口から露出する衛生薄葉紙の一部、W1…前板部の幅、200…樹脂製外装フィルム、201…開封用ミシン目線、201S…スリット、∠A…折り線と連接線との間の角度、∠B…前板部と水平面との間の角度、∠C…底板部と前板部との間の角度、D1…縁出片の上縁17eと前板部14との離間距離。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手ふき用等の清拭用ワイプなどの衛生薄葉紙を重層した衛生薄葉紙の束を収納して、取り出し口から1枚ずつ取り出す衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立て可能なシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生薄葉紙ディスペンサーは、細部の形状は種々あるが、衛生薄葉紙の束を収納する本体とその底部に形成された取り出し口とを有し、この取り出し口から衛生薄葉紙を摘み出して、内部の束に触れずに1枚ずつ衛生的に取り出して使用可能にしたものである(特許文献1〜4等)。このディスペンサーの多くは、背面に設けられた適宜の手段により壁に設置して使用する形態を採るが、中には据え置きのものも開発されている(特許文献4等)。
【0003】
他方、このディスペンサーに用いられる衛生薄葉紙の束は、方形の衛生薄葉紙が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接する衛生薄葉紙の折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層されており、最下部又は最下部の一枚を取り出すと、衛生薄葉紙が有する紙特有の摩擦によって、隣接する衛生薄葉紙の折り返し片がつられて引き出されるようになっている。
【0004】
一般的には、図7及び8に示すように、かかる衛生薄葉紙の束100は、樹脂製の外装フィルム200によってピロー包装等された状態で市販に供され、多くはディスペンサーを用いずに使用することも想定して、上面に直線上の開封用ミシン目線201が形成されていて、この開封用ミシン目線を裂開することで上面にスリット状の開封口201Sが形成され、簡易に内部の衛生薄葉紙101を一枚ずつ取り出せるようになっている。
特に、飲食店、総菜店、スーパーマーケットにおける厨房などにおいては、作業中に迅速に手や食料品を清拭する必要があり、また、作業スペースが限られることもあり、設置位置が限定されるとともに設置のための空間をも必要とする上記従来のディスペンサーの使用を嫌って、かかるピロー包装の市販形態のまま作業台においてそのまま使用することが好まれる。
しかし、ピロー包装された衛生薄葉紙束をそのまま使用する場合、特に内包残数が減少してスリット201Sと束上面の距離が空いてきたときに、スリット状開封口201Sによって衛生薄葉紙を支えることができなくなり、包装内部にシートが落ち込んでしまうことがある。
そして、このときに特に濡れたり汚れたりした手を包装内に入れると、未使用で残存する束が汚染され、以降衛生的な使用ができなくなる。また、落ち込んだシートを取り出すために、外装フィルム内に手を入れて取り出す煩雑な操作が必要となることから、結果的に厨房等内における主作業の効率を低下させる場合もある。
【0005】
他方、従来の衛生薄葉紙ディスペンサーといえば、樹脂成型によるものや金属製のものばかりであり、軽量かつハンドリングに優れ、さらに簡易かつ容易に現場で必要時に組立て、また不必要時に廃棄できるものではなかった。
【特許文献1】特開平06−144448号公報
【特許文献2】特開2006−204404号公報
【特許文献3】特開2001−87161号公報
【特許文献4】実用新案登録第3137582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、省スペースで作業台等においても場所を取らず、かつ、取り出し性に優れるとともに衛生的かつ簡易に使用できる衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立てることができるブランクシートから一体的に打ち抜かれてなる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
一枚のブランクシートから打ち抜かれた衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材であって、
この衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材は;
台座部底側部、台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップがこの順に連接され、
底板部の幅方向両側のそれぞれに支持部が連接され、
天面部の幅方向両側のそれぞれに側板部が連接され、
背板部及び前板部の各幅方向両側に第2フラップが連接され、
各側板部の幅方向側に第3フラップが連接され
前板部に衛生薄葉紙の取り出し口となる取り出し口形成線を有し、
天面部に蓋部形成線を有し、
台座部底側部の幅方向両側部に第1係止部を有し、
支持部には、台座部上側部がわの縁に端を有し、その端から底板部との間の連接線から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線に対して所定角度をなす折り線と、この折り線のよりも幅方向外方に配置された前記第1係止部に係止する第2係止部とが配され、
前記台座部上側部から前記台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれ、
前記台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップの間の各連接線を谷折りして、前記第1フラップを介して前板部と底板部とを接続し、
天面部と側板部との間の連接線を谷折りして、前記第2フラップ及び第3フラップにより、底板部、背板部、天面部及び前板部で囲まれる空間の幅方向開放部分を側板部で封止し、
かつ、前記台座部底側部が底になり前記台座部上側部が上になるようにこれらの間の連接線で山折りするとともに、前記支持部と底板部との間の連接線及び支持部の折り線を山折りし、
前記支持部の折り線よりも側方部分を前記台座部底側部に重ね合わせかつ前記折り線により形成される折り筋と台座部底側片の側縁とを当接させるように、支持部の一部で台座部底側部の側縁を巻き込むとともに、この状態において底側位置において第1係止部と第2係止部とを係止することで、
前記台座部を介して水平面上に据え置いたときに、取り出し口を有する前板部が前方に傾斜する衛生薄葉紙ディスペンサーが組立てられる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0008】
(作用効果)
本発明によれば、取り出し口を有する前板部が前傾する構成の衛生薄葉紙ディスペンサーが簡易かつ容易に組立てられる。
そして、かかる衛生薄葉紙ディスペンサーは、取り出し方向が前方又は前方斜め下方向となり、従来の底面に取り出し口を有しそこから下方に衛生薄葉紙を取り出すディスペンサーと比較すると、高さを低くすることできるため極めて省スペース化される。
また、取出し口から塵や埃が入り込むことが防止されるとともに、内部に収めた束が使用に伴う引出し操作によって前板側に傾倒又は移動するので、使用後期においても取り出し口から露出すべき薄葉紙がディスペンサー内に落ち込むことがなく、取り出し性に優れしかも衛生的に使用できる。
さらに、台座部底側部と台座部上側部とで構成される台座部がディスペンサー前方に延在して存在するので、特に前方への傾倒が防止され、安定性をもってディスペンサーを据え置きにすることができる。
また、本発明のシート材は、台座部上側部から台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれているため、衛生薄葉紙の取り出し口が形成された前傾の前板部の幅方向中央部分の底側位置に台座部が欠損されて存在しない衛生薄葉紙ディスペンサーが組み上がる。
そして、この衛生薄葉紙ディスペンサーは、例えば、水や油などに濡れた手で衛生薄葉紙を引き出す操作をするさいに、意図せず手に付いた水等がしたたり落ちても台座部が汚れることがなく衛生的であり見た目にも優れる。
さらにシート材として板紙などの耐水性の低い素材を用いる場合には水によるディスペンサーの崩れも防止される。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前記第1フラップが予め底板部に対して接着されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0010】
(作用効果)
糊などの接着剤を用いずに組立てることができるようになる。
【0011】
<請求項3記載の発明>
底板部と台座部上側部との間の連接線又はその近傍に第1フラップが差し込み可能な切り込み線を有する請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0012】
(作用効果)
糊などの接着剤を用いずに組立てることができるようになる。
【0013】
<請求項4記載の発明>
取り出し口形成線は、幅方向に延在する長手線とその長手線の両端を基端として底側部に向かって延在する短手線とからなる略コ字状をなし、前記短手線の先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の下側縁が前側に延出して延出片が形成されるように構成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0014】
(作用効果)
取り出し口から露出される衛生薄葉紙の一部が延出片により上方に向かって支持される、当該一部が摘みやすい衛生薄葉紙ディスペンサーを組立てることができる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記長手線の幅方向中央部に凹部形成部が形成されている請求項4記載の衛生薄葉紙ディスペンサー用組立てシート材。
【0016】
(作用効果)
取り出し口から露出される衛生薄葉紙の一部をより一層摘みやすい衛生薄葉紙ディスペンサーを組立てることができる。
【0017】
<請求項6記載の発明>
蓋部形成線の一部に摘み端部又は摘み凹部が形成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0018】
(作用効果)
蓋部材形成線により形成される蓋部の開閉がしやすいものとなる。
【0019】
<請求項7記載の発明>
ブランクシートが、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートの何れかである請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0020】
(作用効果)
組立てが容易なものとなる。しかも、安価に製造できるとともに、破壊も容易であり、使い捨て製品に適するものとなる。また、廃棄もしやすいものとなる。
【0021】
<請求項8記載の発明>
組立て後において台座部底側部を介して水平面に載置したときに、前板部と水平面との間の角度が45〜80度となる請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【0022】
(作用効果)
当該角度の範囲であると、取り出し口からの衛生薄葉紙の引出しに起因する、内部に収めた衛生薄葉紙の束の前板側に移動・傾倒がより一層確実なものとなり、使用後期に取り出し口から露出すべき薄葉紙がディスペンサー内に落ち込むことが確実に防止されるようになり、また取り出し口が下向きになりすぎずに適度に前方に向いて衛生薄葉紙の引出し操作がしやすいものとなる。
【0023】
<請求項9記載の発明>
請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の組立てにより形成されたことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0024】
(作用効果)
特に請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、省スペースで作業台等においても場所を取らず、かつ、取り出し性に優れるとともに衛生的かつ簡易に使用できる衛生薄葉紙ディスペンサー及びこれを簡易かつ容易に組立てることができるブランクシートから一体的に打ち抜かれてなる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次いで、本発明の実施の形態を図1〜11を参照しながら以下に詳述する。
なお、図1〜図8は、本発明の実施形態の第1参考基本形態であり、図9は本発明の実施形態の第2参考基本形態である。本発明の実施形態は、その第1参考基本形態及び第2参考基本形態に後述のとおり特徴部分を追加したものである。
図1は、前記第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1から組立てられた衛生薄葉紙ディスペンサーX1の斜視図である、図2は、その第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1の展開正面図である。図3は、図1のIII−III断面図であり、図4は、その衛生薄葉紙ディスペンサーX1の正面図である。図5は、使用状態の正面図であり、図6は、そのVI−VI断面図である。図7及び8は、第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1に用いられる衛生薄葉紙の束を説明するための斜視図である。
図9は、本発明の実施形態の第2参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1”の展開正面図である。
図10は、本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図であり、図11は、本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられる衛生薄葉紙ディスペンサーの斜視図である。
【0027】
(第1参考基本形態)
本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1は、その組立により図1に示される形状の衛生薄葉紙ディスペンサーX1が組立てられるものである。
この組立てられた衛生薄用紙ディスペンサーX1は、衛生薄用紙の束100を収納する本体部10と、本体部を支持してディスペンサー自体を据え置きにするための台座部20とを有し、キッチン台、洗面台、手洗い場台、作業台、床などに載置して使用する据え置き型として適する。
かかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1が形成される本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1について詳述すると、まず、本シート材1は、一枚のブランクシートを打ち抜いてもしくは切り抜いて形成される平坦なシート状をなしている。ブランクシートの素材は、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートなどが適する。
【0028】
他方、このシート材1は、台座部底側部20A、台座部上側部20B、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1がこの順に連接されており、前記底板部11、背板部12、天面部13、前板部14は、それぞれ同形状の長方形をなし、その長手縁を共有して連接されている。
【0029】
他方、第1フラップF1は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14よりも短手方向が短く先端先細の細長台形状をなしており、前記各部の連接線(本発明及び本明細書においては各部間の仮想線は連接線という)L1〜L4で90度に折り曲げ、第1フラップF1の裏面(紙面裏側)を底板部11の表面(紙面表面)に対して、第1フラップF1と天面部12との間の連接線L1が、底板部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5と接するようにしつつ接着すると、本体部10の一部である直方体形状の角筒状部分が形成される。
【0030】
第1フラップF1の接着に関しては、シート材1の材質に応じた既知の接着剤により接着すればよい。もちろん、第1フラップF1に、予め両面粘着テープを配しておいたり、乾燥糊を配しておくなどすることができ、このようにすればば接着操作はより簡易なものとなる。
【0031】
ここで、本明細書においては、特に指定がないかぎり幅方向は、台座部底側部20A、台座部上側部20B、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1の長手方向に沿う方向とし、これに直行する方向、すなわち前記各部の連接方向は短手方向とする。
【0032】
なお、図示の本形態では、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さがすべて等しく、本体部10の一部として直方体形状の角筒が形成されるようになっているが、必ずしもこのように短手長さを等しくする必要はなく、直方体形状に限らず適当な角筒が形成可能な範囲で短手長さは選択することができる。
【0033】
ここで、各部の幅W1は、この種のディスペンサーに適する衛生薄葉紙の束であるペーパータオル束の幅が205〜245mm程度であることを考慮すると、210〜250mmとするのが望ましく、また、各部の短手長さL2は、この種のディスペンサーに適する衛生薄葉紙の束であるペーパータオル束の厚さ65〜85mm程度であることを考慮すると、70〜90mmとするのが望ましい。
【0034】
一方、本シート材1においては、前記天面部13の幅方向両側に側板部15が連接され、背板部12及び前板部14の各幅方向両側に先端先細の細長台形状の第2フラップF2,F2が連接され、各側板部15,15の幅方向外側に先端先細の細長台形状の第3フラップF3が連接されている。
【0035】
前記側板部15は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14により形成される角筒の幅方向開放部の形状と同形状とされ、図示の本形態では角筒部の幅方向開放部の形状が正方形となるので、これに応じて正方形とされている。
この側板部15及び第2及び第3フラップF2,F3の存在によって、前記角筒部の幅方向開放部分が封止される。すなわち、上述のように底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、第1フラップF1の各部間の連接線L1〜L4の折曲げ及び第1フラップF1の底板部11への接着によって本体部10の一部である角筒部を形成したのち、前記第2フラップF2,F2を角筒部の内部側に折曲げ、さらにこの折曲げられた第2フラップF2,F2に重ねて側板部15,15を折曲げ、さらに第3フラップF3を、前記第2フラップF2,F2の縁と底板部11との間に差し込むことで、角筒部の幅方向開放部が封止される。そして、この封止によってディスペンサー本体部10が形成される。
【0036】
他方、前記天面部13には、本体部10の天面に開閉可能なヒンジ蓋13Aを形成するための蓋部形成線13Sが配されている。この蓋部形成線13Sは、天面部13における側板部15,15との間の連接線L6,L6及び前板部14との間の連接線L2にそって略コ字状に配されたシート材1の表裏に通ずるスリット線であり、背板部12との間の連接線L3もしくはこれに沿う線をヒンジとして、天面に開閉可能なヒンジ蓋13Aを形成する。なお、蓋部形成線13Sは、スリット線に限らず、ハーフスリットやミシン目線。さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線などでもよい。なお、蓋部形成線13Sの一部に凸状の突出させた摘み端部や、図示のような凹状に欠損させた摘み凹部13aを形成すると、開閉しやすいヒンジ蓋となる。
【0037】
他方、前記台座部底側部20A及び台座部上側部20Bは、衛生薄葉紙ディスペンサーX1の台座部20を形成するものである。これら各部20A,20Bの幅は、前記ディスペンサー本体部10を形成する各部11〜14の幅と同幅とされ、短手方向長さについては、台座部上側部20Bにおいては、底板部11などと短手方向の長さも等しくされ、台座部底側部20Aについては、台座部上側部20Bの短手長さよりも2倍〜2.5倍程度長くされている。
従って、台座部底側部20Aが底になり前記台座部上側部20Bが上になるようにこれらの間の連接線L7で山折りすると、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14等により構成される前記ディスペンサー本体部10の下方にまで台座部底板部20Aが延在されるとともに、台座部上側部20B及び台座部底側部20Aのこれと重なる部分で形成される積層部分がディスペンサー本体部10の前側に延在される。
【0038】
他方、前記台座部底側部20Aの幅方向両側部には、台座部上側部20Bとの連接線L7と反対の端縁から延在する第1係止部としてのスリット線20S,20Sが配されている。この第1係止部20S,20Sは、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。この第1係止部は、後述する第2係止部と係止する。
【0039】
他方、底板部11の幅方向両側縁にはそれぞれに略正方形状の支持部16,16が連接されている。なお、支持部16,16は正方形状に限定されない。本発明の効果を妨げない範囲で適宜の形状に設計変更可能である。
この支持部16には、台座部上側部20Bがわの縁16Eに端を有し、その端から底板部11との間の連接線L8から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線L8に対して所定角度をなす折り線16Aと、この折り線16Aのよりも幅方向側外方に配置された前記第1係止部20sに係止する第2係止部16sとが配されている。なお、支持部の幅方向外側とは、支持部16における底側部11との連接線L8と反対側をいう。
【0040】
ここで、例えば、支持部16の台座部上側部20Bがわ(の縁16Eと、底側部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5とが一直線上にない形態では、前記折り線16Aと連接線L8は接しないこととなるため、この場合における前記所定角度とは、各線16A,L8の仮想延長線がなす角度とする。
【0041】
折り線16Aは、予め折り筋が付けられた線、ミシン目線、折り曲げることを指示する文言とともに配された印刷線などである。
【0042】
第2係止部16sは、本形態では、第1係止部20sとの関係で、折り線16Aと平行にかつ、台座部上側部20Bがわから切り込まれたスリット線である。なお、この第2係止部16sもまた、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。
【0043】
この構成の支持部16,16は、組立て後にはディスペンサー本体部10の底側に位置して、前記ディスペンサー本体部10をその前板部14が前傾斜するようにして支持する部位を構成する。すなわち、組立てに際して、台座部底側部20Aと台座部上側部20Bを重ね合わせるとともに、前記支持部16と底板部11との間の連接線L8,L8及び支持部16の折り線16Aを山折りし、前記折り線16Aにより形成される折り筋と台座部底側部20Aの側縁とを当接させるともに、前記支持部16の折り線16Aよりも幅方向側方部分16Rを前記台座部底側部20Bに重ね合わせるようにして支持部16で台座部底側部20Aの側縁を巻き込む。そして、このとき第2係止部16sと台座部底側部20Aの第1係止部20sの切り込み開始端とが対面するためこれらを係止する。そうすると、台座部底側部20Aを介して水平台においたときには、支持部16に連接する底側部11は、背板側12が高く、前板側14が低くなるように傾斜して底上げされる。
そして、この底板部11が傾斜して底上げされることに応じて、ディスペンサー本体部10において底板部11に連接する前板部13が底板部12がわよりも天面部13がわ前方になるように前傾状態となる。
なお、第1係止部16sと第2係止部20sとの係止は、本形態の係止部の場合、各係止部であるスリット線を互いに差し込み合うようにすることで行う。ただし、係止方法はこれに限定されず、両係止部の係止は重なり部分の接着によって行ってもよい。
【0044】
ここで、組立て後における前板部13の傾斜は、好ましくは、45〜80度、より好ましくは50〜60である。この角度を達成するには、図示の本形態では、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14が同形状でディスペンサー本体部10が直方体形状となるように構成されているとともに支持部16が略正方形となっていることから、折り線16Aの底板部11との連接線L8に対する所定角度∠Aを好ましく20〜55度、より好ましくは30〜40度に設定すればよい。
ただし、前板部14の傾斜と折り線16Aの所定角との関係は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手方向長さ(角各筒部の構成)及び支持部16の形状等により変化するものである。従って、折り線16Aに関する前記所定角については、これらに応じて適宜、前板部14の前傾角度が45〜80度となるように調整するのが望ましい。
【0045】
他方、本シート材1は、前板部14に衛生薄葉紙の取り出し口14Aとなる取り出し口形成線14sが配されている。ここで、図示の本形態の取出し口形成線14sは、好ましい形態として、幅方向に延在する長手線14wとその長手線の両端を基端として底側部11に向かって延在する短手線14hとからなる略コ字状をなし、前記短手線14hの先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の14Aの下側縁が前側に延出して延出片17が形成されるように構成されている。また、その長手線14wの幅方向中央部に矩形の凹欠損形成部17aが形成されている。凹部欠損用形成の形状は、この矩形に限らず、例えば半円、半楕円等としてもよい。
なお、図示例の取出し口形成線14sは、シート材1を貫通して設けられたスリット線であるが、スリット線のほか、ハーフスリットやミシン目線、さらには、切断を指示する文言とともに配された印刷線とすることができる。
【0046】
以上のとおり、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材1からは、前板部14が前傾であり、かつ、その前傾した前板部14に取出し口14Aを有する衛生薄葉紙ディスペンサーX1が組立てられる。
【0047】
さらに、この組立てられた衛生薄用紙ディスペンサーX1についても詳述する。このディスペンサーX1は、主にディスペンサー本体部10と台座部20とで構成されるが、ディスペンサー本体部10は、シート材の説明からも理解されるように、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14、側板部15等が一体となって箱形をなしたものであり、内部に衛生薄葉紙の束100を収納可能な空間10Sを形成する。
【0048】
天面部13には蓋部形成線13sにより形成された衛生薄葉紙の束100を内部に納めるためのヒンジ蓋13Aが配されている。
前板部14は、組立て後の衛生薄葉紙ディスペンサーX1における高さ方向の中央部において幅方向に延在する細長状に開口する衛生薄葉紙の取り出し口14Aが配され、また、特徴的に前方に傾斜されている。
従って、本シート材1からなるこの衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、衛生薄葉紙101の取り出しは、前記取り出し口14Aから露出する衛生薄葉紙101の一部101Aを摘み、下方、前方又は前板部14に対して直行する方向に引き出す操作して行なわれる。
ここで、本発明にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1における「傾斜」とは、台座部20(台座部底側部)を介して水平面上にディスペンサーX1を載置したときを基準とする。
【0049】
ここで、先にも述べたが前記前板部14の好適な傾斜具合は、台座部(台座部底側部)20を介してディスペンサー自体X1を水平面上に載置したときに、前記前板部14の傾斜∠Bが水平面に対して50〜80度となるように構成するのがよい。50度未満となると取り出しの際に作業台などの載置面に手がつきやすくなり、効果的に衛生薄葉紙を取り出し難くなり、80度を超えてくると内部の衛生薄葉紙の束100が前板部14に支持されずに背板側に傾倒して取り出し口14Aから遠ざかり当該一部101Aがディスペンサー本体部内10Sに落ち込んでしまうおそれが高まる。
【0050】
他方、前記前板部14には、好ましく取出し口形成線14sにより形成される延出片17が配され、取り出し口14Aから露出された衛生薄葉紙の一部が、その延出片17に載って上方又は前方に突出するように支持され、本体部10内への当該露出部分101Aの落ち込みが防止されて、衛生的にかつ簡易に摘んで取り出せるようになっている。
この延出片17は、その上縁17eが前板部14の底縁から上縁までの長さの中間位置よりも上方に位置し、また当該上縁17eと前板部14との離間距離D1は、10〜25mmであるのが望ましい。10mm未満であると、露出部分の取り出し性が向上し難い。25mmを超えると衛生薄葉紙の一部を支持し難くなる。この延出片17の構成は、取出し口形成線14s及びその切り起しにより達成される。
【0051】
さらに、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、延出片17の中央部に矩形に欠損された凹部形成部17aにより形成される凹部欠損部17vが形成されており、衛生薄葉紙の露出部分101Aの中央部が摘みやすくなっている。
【0052】
なお、上述のシート材1からなる図示の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、背板部12は前板部14と同様の傾斜、すなわち平行となるが、本衛生薄葉紙ディスペンサーX1は背板部12については、必ずしも傾斜している必要はなく、例えば、背板部12が、台座部20に対して垂直又は前板部14よりも垂直に近い傾斜であれば、前方上部開口が底側に比して口広となり、衛生薄葉紙の束100を収めやすくなる。これは、シート材1における底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さを適宜変更することで達成できる。
【0053】
他方、底板部14は、組見立て後のディスペンサーX1では、水平面に載置した据え置き状態において、背板部12側が高く、前板部14側が低くなるように傾斜して配される。これにより、底板部11に載置された束100が適度に前板部14側に傾倒して、前板部14によっても支持されるようになる。なお、底板部11と前板部14との間の角度∠Cは、好ましくは100〜85度、特には直行しているのがよい。係る角度の調整は、これは、シート材1における底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の短手長さを適宜変更することで達成できる。
【0054】
一方、組立て後の衛生薄葉紙ディスペンサーX1を構成する台座部20は、上述のディスペンサー本体部10の底側に位置して、ディスペンサー本体部10を、特に前板部14の傾斜を維持した状態で支持するとともに作業台等に載置可能にするためのものである。
台座部20は、平坦な台座部上側部20Aと台座部底側部20Bとの積層により形成される底面略平坦の平板状であり、組立て状態においてディスペンサー本体部10の側板部15よりも底側に位置する支持部16を介して、ディスペンサー本体部10と連結一体化される。
【0055】
本第1参考基本形態のディスペンサーX1では、主に台座部上側部20Bにより、本体部10の前板部14の上縁より前後方向前方に至るまで延在する延在部が形成され、ディスペンサー本体部10の自重及び取り出し時における前側への傾倒を防止しつつディスペンサー本体部10が支持されている。
【0056】
この台座部20では、前記延在部の長さはL4(前板部の底側縁より前方に延在する部分長さ)は、好ましくは100〜200mmとするのがよい。100mm未満であると引出し時における傾倒防止機能が働かない場合があり、200mmを超えると設置スペースが広く必要となり好ましくない。また、前板部の上縁より前方に0〜40mm、特には1〜30mm延在しているのがよい。過度の延在長は設置面積を増大させ省スペースの効果が得られなくなる。これらの延在部の構成は、台座部上側部及び台座部底側部の短手長さを調整することで達成できる。
【0057】
以上の説明の本発明の第1参考基本形態に係るシート材1より組立てられる第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、その構造から理解されるように、背景技術の欄で述べた衛生薄葉紙の束100をその積層上面が取り出し口14Aに対面するようにして、ディスペンサー本体部10の内部空間10Sに収めると、束100の自重によって取り出し口14Aが形成された前板側14に若干傾倒しつつ前板部14及び底板部111によって支持される。
そして、使用時に前板部14に形成された取り出し口14Aから順次、一枚ずつ内部の衛生薄葉紙100を取り出しても底側部11の傾斜によって束が常に取り出し口近傍に位置するようになるので、使用後期に束を構成する衛生薄葉紙の枚数が減少した場合にも効果的に取り出し操作が行える。
【0058】
なお、第1参考基本形態にかかる衛生薄葉紙ディスペンサーX1に用いる衛生薄葉紙の束は、例えば、図7及び図8に示すような、上面にスリット状開封口201Sとなる開封用ミシン目線201を有する包装形態のものが利用でき、この場合、ミシン目線201を開封した後、樹脂製の外装フィルム200等を剥がさずに包装されたまま収納して使用することが可能である。
【0059】
なお、第1参考基本形態のディスペンサーX1に用いる衛生薄葉紙としては、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ、ティシュペーパー等が例示でき、特に、坪量20〜60g/m2程度のペーパータオル、キッチンペーパーに効果的である。
【0060】
また、上述の図示の形態のシート材1では、第1フラップF1と底板部11とが分離された状態のシート材について説明したが、第1フラップF1は、予め底板部11に対して接着されていてもよい。この場合、底板部11と前板部14、及び天面部13と背板部12とが積層するようにすれば平坦状になってシート状となる。
【0061】
(第2参考基本形態)
次いで、本発明の第2参考基本形態に係るシート材1’について説明する。第2参考基本形態にかかるシート材1’は、第1フラップF1,F1が小片として前板部14の縁に断続的に形成されているとともに、底板部11と台座部上側部20Bとの間の連接線L5又はその近傍に、前記第1フラップF1,F1が差し込まれる切り込み線19が形成されている形態である。その他の構成に関しては、第1の実施の形態と同様である。
この第2参考基本形態にかかるシート材1’は、底板部11、背板部12、天面部13、前板部14の各部の間の連接線L1〜L4で折曲げるとともに、第1フラップF1…を前記切り込み線19に差し込むことで角筒部が形成される。
したがって、組立て作業に接着剤等が不要となるので、簡易かつ容易に組立てができるものとなる。
【0062】
(本発明の実施の形態)
次いで、本発明の実施の形態のシート材1”について説明する。本発明の実施の形態にかかるシート材1”は、特に図10に示されるように、上記第1の参考基本形態或いは第2の参考基本形態に係るシート材1,1’において、台座部上側部20Bから台座部底側部20Aにかけてシート材1”の幅方向中央部分が矩形にくり抜かれている形態である(図中においてくり抜き部分は符号25で示す)。本発明の実施形態は、そのくり抜き部分に係る構成・効果以外の構成・効果は上記第1の参考基本形態或いは第2の参考基本形態と同様である。
なお、くり抜き部分の形状は矩形に限定されず、適宜の形状を選択できるが、円形、楕円形、さらには菱形など前後左右対象形状であるのが望ましい。そして、この場合、左右の中心線がシート材の幅方向中心、前後方向の中心が連接線L7となるように配するのが望ましい。
【0063】
このくり抜き部分の幅方向長さは、シート材1”の幅方向の長さの1/3〜4/5程度とするのがよい。またくり抜き部分は、台座部上側部20Bにかかる部分については底板部との連接線L5又はこの連接線L5から30mm未満の位置から台座部底側部20Aとの連接線L7に至るまでの範囲、台座部底側部20Aにかかる部分については前記連接線L7から先端縁に向かって台座部上側部20Bの短手長さと同長さ以上の長さの範囲において刳り抜かれているのが望ましい。
【0064】
この本形態のシート材1”は、上述の第1参考基本形態において説明したのと同様に組立てると、図11に示されるように前傾となり、それに加えて前板部の幅方向中央部分の底側位置に台座部が欠損されて存在しない衛生薄葉紙ディスペンサーが組み上がる。
【0065】
この衛生薄葉紙ディスペンサーでは、例えば、水や油などに濡れた手で衛生薄葉紙を引き出す操作をする際に、意図せず手に付いた水等がしたたり落ちても台座部が汚れることがなく、衛生的であり見た目にも優れる。また、本発明のシート材として板紙などの耐水性の低い素材を用いる場合には水によるディスペンサーの崩れも防止される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ等の衛生薄葉紙が複数枚重層された衛生薄葉紙の束を内部に収納して、取り出し口から1枚ずつ取り出せるようにした衛生薄葉紙ディスペンサーに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられた衛生薄葉紙ディスペンサーX1の斜視図である。
【図2】第1参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】前記衛生薄葉紙ディスペンサーX1の正面図である。
【図5】前記衛生薄葉紙ディスペンサーX1の使用状態の正面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】ピロー包装された衛生薄葉紙の束の斜視図である。
【図8】ピロー包装された衛生薄葉紙の束をそのまま使用する場合の斜視図である。
【図9】第2参考基本形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図10】本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の展開正面図である。
【図11】本発明の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材から組立てられる衛生薄葉紙ディスペンサーの斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1,1’,1”…衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材、10…ディスペンサー本体部、10S…ディスペンサー本体部の内部空間(衛生薄葉紙の束の収納スペース)、11…底板部、12…背板部、13…天面部、13a…摘み用凹部、13A…ヒンジ蓋、13s…蓋部形成線、14…前板部、14A…取り出し口、14s…取出し口形成線、14w…取出し口形成線の長手線、14h…取出し口形成線の長手線、15…側板部、16…支持部、16A…折り線、16E…支持部の台座部上側部がわの縁、16s…スリット線(第2係止部)、16R…折り線よりも外側領域、17…延出片、17a…凹欠損形成部、17e…延出片の上縁、17v…凹部欠損部、19…切り込み線、20…台座部、20A…台座部底側部、20B…台座部上側部、20S…スリット線(第1係止部)、25…くり抜き部分、F1〜F3…第1〜第3フラップ、L1〜L8…連接線、100…衛生薄葉紙の束、101…衛生薄葉紙、101A…取り出し口から露出する衛生薄葉紙の一部、W1…前板部の幅、200…樹脂製外装フィルム、201…開封用ミシン目線、201S…スリット、∠A…折り線と連接線との間の角度、∠B…前板部と水平面との間の角度、∠C…底板部と前板部との間の角度、D1…縁出片の上縁17eと前板部14との離間距離。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクシートから打ち抜かれた衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材であって、
この衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材は;
台座部底側部、台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップがこの順に連接され、
底板部の幅方向両側のそれぞれに支持部が連接され、
天面部の幅方向両側のそれぞれに側板部が連接され、
背板部及び前板部の各幅方向両側に第2フラップが連接され、
各側板部の幅方向側に第3フラップが連接され
前板部に衛生薄葉紙の取り出し口となる取り出し口形成線を有し、
天面部に蓋部形成線を有し、
台座部底側部の幅方向両側部に第1係止部を有し、
支持部には、台座部上側部がわの縁に端を有し、その端から底板部との間の連接線から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線に対して所定角度をなす折り線と、この折り線のよりも幅方向外方に配置された前記第1係止部に係止する第2係止部とが配され、
前記台座部上側部から前記台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれ、
前記台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップの間の各連接線を谷折りして、前記第1フラップを介して前板部と底板部とを接続し、
天面部と側板部との間の連接線を谷折りして、前記第2フラップ及び第3フラップにより、底板部、背板部、天面部及び前板部で囲まれる空間の幅方向開放部分を側板部で封止し、
かつ、前記台座部底側部が底になり前記台座部上側部が上になるようにこれらの間の連接線で山折りするとともに、前記支持部と底板部との間の連接線及び支持部の折り線を山折りし、
前記支持部の折り線よりも側方部分を前記台座部底側部に重ね合わせかつ前記折り線により形成される折り筋と台座部底側片の側縁とを当接させるように、支持部の一部で台座部底側部の側縁を巻き込むとともに、この状態において底側位置において第1係止部と第2係止部とを係止することで、
前記台座部を介して水平面上に据え置いたときに、取り出し口を有する前板部が前方に傾斜する衛生薄葉紙ディスペンサーが組立てられる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項2】
前記第1フラップが予め底板部に対して接着されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項3】
底板部と台座部上側部との間の連接線又はその近傍に第1フラップが差し込み可能な切り込み線を有する請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項4】
取り出し口形成線は、幅方向に延在する長手線とその長手線の両端を基端として底側部に向かって延在する短手線とからなる略コ字状をなし、前記短手線の先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の下側縁が前側に延出して延出片が形成されるように構成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項5】
前記長手線の幅方向中央部に凹部形成部が形成されている請求項4記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項6】
蓋部形成線の一部に摘み端部又は摘み凹部が形成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項7】
ブランクシートが、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートの何れかである請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項8】
組立て後において台座部底側部を介して水平面に載置したときに、前板部と水平面との間の角度が45〜80度となる請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の組立てにより形成されたことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項1】
一枚のブランクシートから打ち抜かれた衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材であって、
この衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材は;
台座部底側部、台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップがこの順に連接され、
底板部の幅方向両側のそれぞれに支持部が連接され、
天面部の幅方向両側のそれぞれに側板部が連接され、
背板部及び前板部の各幅方向両側に第2フラップが連接され、
各側板部の幅方向側に第3フラップが連接され
前板部に衛生薄葉紙の取り出し口となる取り出し口形成線を有し、
天面部に蓋部形成線を有し、
台座部底側部の幅方向両側部に第1係止部を有し、
支持部には、台座部上側部がわの縁に端を有し、その端から底板部との間の連接線から遠ざかるように直線的に延在して、その連接線に対して所定角度をなす折り線と、この折り線のよりも幅方向外方に配置された前記第1係止部に係止する第2係止部とが配され、
前記台座部上側部から前記台座部底側にかけて幅方向の中央部分が刳り抜かれ、
前記台座部上側部、底板部、背板部、天面部、前板部、第1フラップの間の各連接線を谷折りして、前記第1フラップを介して前板部と底板部とを接続し、
天面部と側板部との間の連接線を谷折りして、前記第2フラップ及び第3フラップにより、底板部、背板部、天面部及び前板部で囲まれる空間の幅方向開放部分を側板部で封止し、
かつ、前記台座部底側部が底になり前記台座部上側部が上になるようにこれらの間の連接線で山折りするとともに、前記支持部と底板部との間の連接線及び支持部の折り線を山折りし、
前記支持部の折り線よりも側方部分を前記台座部底側部に重ね合わせかつ前記折り線により形成される折り筋と台座部底側片の側縁とを当接させるように、支持部の一部で台座部底側部の側縁を巻き込むとともに、この状態において底側位置において第1係止部と第2係止部とを係止することで、
前記台座部を介して水平面上に据え置いたときに、取り出し口を有する前板部が前方に傾斜する衛生薄葉紙ディスペンサーが組立てられる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項2】
前記第1フラップが予め底板部に対して接着されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項3】
底板部と台座部上側部との間の連接線又はその近傍に第1フラップが差し込み可能な切り込み線を有する請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項4】
取り出し口形成線は、幅方向に延在する長手線とその長手線の両端を基端として底側部に向かって延在する短手線とからなる略コ字状をなし、前記短手線の先端同士を結ぶ線を折り線として切り起こすことで、前記取り出し口の下側縁が前側に延出して延出片が形成されるように構成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項5】
前記長手線の幅方向中央部に凹部形成部が形成されている請求項4記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項6】
蓋部形成線の一部に摘み端部又は摘み凹部が形成されている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項7】
ブランクシートが、板紙、段ボール、プラスチック段ボール、可塑性シートの何れかである請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項8】
組立て後において台座部底側部を介して水平面に載置したときに、前板部と水平面との間の角度が45〜80度となる請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー組立て用シート材の組立てにより形成されたことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−121631(P2012−121631A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54758(P2012−54758)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−254108(P2008−254108)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−254108(P2008−254108)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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