説明

衛生薄葉紙製品包装体

【課題】衛生薄葉紙製品を包装した包装体の見栄えをよくする。
【解決手段】
60度鏡面光沢度が60〜90であり、L*a*b*表色系におけるL*が0〜70かつ、a*及びb*の少なくとも一方の絶対値が10〜60である外面を有する収納箱を、JIS K 7105に基づくヘイズ値が1.0〜9.0である樹脂製フィルムで包装した、前記収納箱のL*a*b*の値と樹脂製フィルムを通して測定した同位置のL*a*b*の値との色差Δeが0〜10の範囲にあり、かつ、包装体外面の60度鏡面光沢度が90〜170である衛生薄葉紙製品包装体により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
衛生薄葉紙製品を包装した衛生薄葉紙包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイプ、ウェス、ティシュペーパー等の衛生薄葉紙を多数、カートン箱とも呼ばれる収納箱に納めた衛生薄葉紙製品はよく知られるところである。
この衛生薄葉紙製品は、複数個を包装した状態で市販に供されることが多く、その場合一般的には収納箱外面の印刷が視認できるように透明の樹脂製フィルムを用いて包装される。
ところで、近年、衛生薄葉紙製品においては、衛生薄葉紙の機能性等の付加価値等に伴い、顧客吸引力を付与すべく、収納箱外面の意匠において極めて光沢感のある印刷を施したものが市販に供されるようになってきている。
【特許文献1】特開2006−69637
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の製品はフィルム包装することで、この光沢感のある収納箱外面の優れた意匠性が感じられなくなり、特に複数個組にした場合に、需用者への購買意欲を十分に向上させることができていなかった。
特に、タイトに包装でき内容物のぐらつきが少ないことから、この種の包装方法として適するとされる、収納箱を包装材で包皮したのち収縮させるシュリンク包装では、収納箱外面の光沢感が極端に感じられなくなる。
そこで、本発明の主たる課題は、収納箱外面の優れた意匠性を感じやすい衛生薄葉紙製品包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本願発明は、衛生薄葉紙を収納箱に収納した衛生薄葉紙製品を透明の樹脂製フィルムで包装した衛生薄葉紙製品包装体であって、
前記収納箱の外面が、60度鏡面光沢度が60〜90であり、L*a*b*表色系におけるL*が0〜70かつ、a*及びb*の少なくとも一方の絶対値が10〜60であり、
前記フィルムは、JIS K 7105に基づくヘイズ値が1.0〜9.0であり、
前記包装体は、前記収納箱のL*a*b*の値と樹脂製フィルムを通して測定した同位置のL*a*b*の値との色差Δeが0〜10の範囲にあり、かつ、包装体外面の60度鏡面光沢度が90〜170であることを特徴とする衛生薄葉紙製品包装体である。
本発明の構成をとることで、包装の有無を確認できつつ、収納箱の意匠性を外部から視認できる。特に、本発明で規定する60度鏡面光沢度及びL*a*b*表色系の色を有する収納箱は、落ち着いた濃色でありながら、くすみがなく光沢感があることで、店頭に並んでも消費者の目を引き、さらに高級感を与えることができる収納箱であり、その意匠性を樹脂製フィルムがあっても外部から十分に視認できるものとなる。
前記衛生薄葉紙製品は、複数個まとめて包装されているのが望ましい。本発明はフィルムによってまとめられるため、複数個としたときの取り扱い性が高まる。
特に、包装がシュリンク包装であるとタイトとなり見栄えがよくなり、複数個とまとめたときに内部で各収納箱が移動せずに一体となった状態を保持でき、取り扱い性が格段二向上する。
また、樹脂製フィルムは、JIS K 7127に準じた破断点強度が5〜60N/25mmであるのが望ましい。シュリンク包装を行う際や持ち運びの際に、収納箱の角部等からフィルムが意図せずに裂開するおそれが格段に小さくなる。
さらに、樹脂製フィルムは、JIS K 7127に基づく伸び率が50〜800%であるのが望ましい。フィルムが裂けがたくなる。
他方、樹脂製フィルムは、JIS K 7128−1に準じた引裂強度が20〜700cNであるのが望ましい。意図せず裂けがたく、使用時には包装を破いて内部の収納箱を取り出しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0005】
以上のとおり、本発明によれば、収納箱外面の優れた意匠性を感じやすい衛生薄葉紙製品包装体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下詳述する。
本発明は、衛生薄葉紙を収納箱Y1に収納した衛生薄葉紙製品を透明の樹脂製フィルムで包装した衛生薄葉紙製品包装体X1である。
<衛生薄葉紙>
前記衛生薄葉紙は、限定されるものではなく、ティシュペーパー、手拭きや口拭き等に用いられる紙ナプキン、厨房等で調理の際に利用されるキッチンペーパー、トイレで用いられるペーパータオル、学校や企業の実験室において試験管やビーカー等の試験器具の汚れや水滴等の拭き取りに用いられる紙製産業用ワイパー等が例示できる。
これらの衛生薄葉紙は、各用途に応じて適宜設計し、パルプを主原料とする抄紙原料を抄紙機にて抄紙する既知の抄紙技術により製造することができる。
【0007】
<収納箱>
また、衛生薄葉紙自体の大きさ、紙厚、プライ数及び組成は本発明では限定されない。
他方、前記収納箱Y1は、上面に環状のミシン目線11を有する紙製の箱本体1(以下、紙箱ともいう)と、前記ミシン目線11により囲まれる範囲を紙箱内側から覆うシート材2とを有する。
紙箱1は、衛生薄葉紙収納箱Y1の外形をなすものであり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の衛生薄葉紙収納箱Y1の紙箱の構成を採用できる。
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁とこれらよりも短い一対の平行な短手縁とで構成される長方形の上面を有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面、底面及びこれらを連接する側面と、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片、側面端面片、上面側端面片とを有し、前記側面端面片を箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片と底面側端面片とを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着して構成される構造が例示できる。
【0008】
他方、紙箱1の上面に形成される環状のミシン目線11は、既知の方法により形成することができ、これにより囲まれる範囲の具体的形状についても限定されない。
ただし、衛生薄葉紙収納箱Y1においては、図示例の如く、紙箱上面1Uの長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形とされている。取り出し性に優れるとともに、代表的であって多くの既存の製造ラインで製造可能であることからもこの形状が好適である。
ここで、紙箱1の素材(以下、紙素材ともいう)としては、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする紙層が積層された既知のボール紙が適する。特には、バージンパルプを原料として白色系填料が塗工された表層と、雑誌古紙、新聞古紙等の安価な再生パルプを原料とする紙層が積層された層構造をなす白コートボール紙が適する。
紙箱の素材の米坪は、250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2である。
【0009】
他方、本形態の収納箱Y1は、特徴的にその外面のJIS K 7105に基づく60度鏡面光沢度が60〜90の範囲にある。好適には65〜85の範囲にある。光沢度が60未満となると汎用的に使用されているティシュペーパーの収納箱と変わりなく、消費者の目を引かず、高級感が感じられ難くなる。また、後述するフィルムによる包装との関係で、包装後の光沢感が発現し難くなり、本発明の効果が効果的に発現されない。反対に90を超えても感者の高級感の感じ方が向上しない。
【0010】
他方、収納箱Y1の外面は、JIS Z 8729に基づくL*a*b*表色系のL*が0〜70かつ、a*及びb*の少なくとも一方の絶対値が10〜60である。
この範囲であると色が濃く、くすみの無い色であり、ほとんどの観者が収納箱外面を視認したときに、高級感があると判断される外観を呈する。
かかる光沢感やL*a*b*表色系の値は、例えば、紙箱外面の印刷等により調整することができる。紙箱外面の印刷は、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の既知の印刷方法により行えばよい。光沢感、前記表色系を達成するのに特に適するには、フレキソ印刷で印刷後、UVグロスニスや、アクアプレスコートなどにより光沢感だし、高級感を出す。
【0011】
他方、紙箱1は、その外面に適宜の模様が印刷されていてもよい。図示例では、複数の花の図案1b,1b…を点在するように配して花柄模様が配されている。ただし、模様は、この花柄に限定されることなく、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。
なお、模様が配されている場合には、箱外面の光沢感やL*a*b*表色系は、その部分によって相違するが、その一部にでも本発明の光沢感やL*a*b*表色系の値を満たす部分があれば、本願発明の効果を少なからず奏する。従って、箱外面の一部にでも本発明の光沢感やL*a*b*表色系の値を満たす部分があれば本発明の収納箱に該当する。ただし、模様を有する場合には、図案のない地の部分が広範であり色による高級感の差を感じる際に最も寄与する部分となるため、前記光沢感及びL*a*b*表色系は、最も面積の多い地の部分1aの値であるのがよい。さらに、当該数値範囲を満たす範囲が箱外面の面積の30%以上あれば高級感が確実に感じられる。
このように模様を付与するには、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0012】
他方、シート材2は、取り出し口(ミシン目線により囲まれる範囲)11aのサイズより大きく、例えば、方形であり紙箱上面の内面面側に接着剤により接着されている。
前記シート材2のスリット21はミシン目線11により囲まれる範囲に位置されており、前記環状ミシン目線11に沿ってミシン目線により囲まれる範囲を引き剥がすことにより、取り出し口12が形成されるとともに、前記シート材2及びそれに形成されたスリット21が取り出し口を介して露出される。
紙箱1への接着に用いる接着剤の種類は特に限定されない。好適には、リサイクルの点で水生接着剤が好ましい。
スリット21の長さは、取り出し口12の長手方向全長より短くすることが望ましいが、取り出し口12の長手方向全長と同じ長さにすることもでき、さらに、シート材2の長手方向長さより短い条件の下で、取り出し口12の長手方向全長より長くすることもできる。
紙箱1とシート材2との接着力(剥離強度)は特に限定されない。従来製品における紙箱とシート材2との接着力と同程度でよい。
シート材2の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステル、合成紙、クラフト紙、化繊混抄紙、ラミネート紙、薄葉紙なども例示できる。
シート材2の厚みは、30〜200μmが適する。30μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパーの取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0013】
<衛生薄葉紙製品>
本発明にかかる衛生薄葉紙製品Y1’は、上述の衛生薄葉紙を適宜折り畳む等して収納箱に納めたものである。その収納方法等は限定されないが、上記の収納箱の形態をとるならば、図2に示すように、いわゆる前記スリット21から一枚の衛生薄葉紙Pを取り出すと次の一枚の一部が露出するように、多数の衛生薄葉紙をポップアップ式に折り畳み束として納めるのがよい。
ポップアップ形式の衛生薄葉紙束の製造は、既知のインターホルダーにより衛生薄葉紙原紙を折り畳んだ後に、所定の大きさに切断する方法を採用できる。
なお、本発明においては、衛生薄葉紙束の高さや大きさ等は特に限定されるものではなく、収納箱の大きさに併せて適宜変更することができる。
【0014】
<衛生薄葉紙製品包装体>
本発明の衛生薄葉紙製品包装体X1は、特に図3に示されるように、上述の60度鏡面光沢度、L*値等を有する収納箱Y1に衛生薄葉紙を収めた衛生薄葉紙製品Y1’を透明の樹脂製フィルム20により包装したものである。
本形態は好適な例として、前記衛生薄葉紙製品Y1’が、3個まとめて包装されている。ただし、本発明においては包装する個数は特に限定されない。3〜5個程度とするのに適する。この場合、衛生薄葉紙製品Y1’が上述のように直六面体である場合には図示例のごとく、その上面と底面とが当接するように積み重ねた状態に包装するのが望ましい。側面の意匠が効果的に視認できる。
【0015】
他方、本包装体X1においては具体的な包装態様は限定されないが、実質的に衛生薄用製品Y1’の外面にフィルムがシート状のまま密接するように包装される態様を採る。少なくとも収納箱Y1の側面1Wにおいてはフィルムが密接するように包装する形態とする。なお、実質的にとは収納箱Y1の形状、フィルム同士の接着部分など包装するに際して必然的に生ずる若干の撓みを許容する意味である。
このような包装態様を達成するには、シート状、筒状、袋状の樹脂製フィルムにより衛生薄葉紙製品Y1’を包装するようにすればよい。包装方法としては、一般的なキャラメル包装でもよいが、収納箱Y1との密着感があって高級感のある見栄えとなるシュリンク包装が極めて望ましい。このシュリンク包装は、フィルムの熱収縮等により被包装体に密着するよう包装する既知の方法である。本発明においても、既知のシュリンク包装の工程を採用できる。
【0016】
他方、図示例の包装体X1は、好適な例として持ち運びを用意にするための取っ手部分30が形成されている。取っ手部分30は前記包装に用いるフィルムと同素材のフィルム又は他のフィルムを帯状として包装体外面に熱有着させるなどすればよい。その構成は限定されないが、包装に用いるフィルムと同素材の方がシール強度が高く、加工しやすい。
【0017】
他方、収納箱Y1を包装する樹脂製フィルム20は、JIS K 7105に基づくヘイズ値が1.0〜9.0のものを用いる。9.0を越えると収納箱の外面の光沢感、色が包装によってくすみ、本発明の効果が得られ難くなる。1.0未満であると包装の際の取り扱い性、コスト面で好ましくない。
そして、本包装体X1は、さらに特徴的に、上記包装態様において、包装体外面の60度鏡面度が90〜170である。この包装体の60度鏡面光沢度の測定は、収納箱外面にフィルムが皺無く密着している位置において測定した値である。90未満であると高級感が発現せず、170を超えると反射によって収納箱外面の意匠が視識し難くなる。なお、この60度鏡面光沢度の測定に際しては樹脂製フィルムが伸びて変形しない程度に適度に張力をかけた状態で測定する。すなわち、ピンと張った状態で測定する。
さらに、本包装体は、樹脂製フィルムが密着している部分のL*a*b*の値と、樹脂製フィルムを介さないで測定した収納箱の同位置のL*a*b*の値との色差Δeが0〜10、好適には0〜8の範囲にある。色差Δeが10を超えると収納箱の外観と、包装後の外観に差がでてしまい、収納箱のデザイン性や高級感を消費者に正しく伝えることが難しくなる。なお、色差Δeは次式で算出する値である。
Δe=√{(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2
ΔL*=(収納箱自体のL*とフィルムを介して測定したL*との差)
Δa*=(収納箱自体のa*とフィルムを介して測定したa*との差)
Δb*=(収納箱自体のb*とフィルムを介して測定したb*との差)
他方、好ましくは上記包装体を構成する樹脂製フィルム20は、JIS K 7127に準じた破断点強度が5〜60N/25mmであるのがよい。5N/25mm未満であると包装体を製造する際に破れたり、収納箱の角部など力の加わりやすい位置から破断しやすく商品としての取り扱いがし難い。また、60N/25mmを超えると被包装物、すなわち衛生薄葉紙製品を取り出し難くなる。特にシュリンク包装したときには、通常包装材を破いて被包装体を採りだす形態となるので、60N/25mmを超える破断強度のフィルム20は望ましくない。なお、準じたとしたのは、樹脂製フィルムの厚さを考慮せず、破断時の荷重:N/25mmを測定値とすることによる。また、試験片の種類はタイプ2(試験片幅25mm×試験片長さ150mm、チャック間距離100mm)とし、試験速度は、200mm/minとする。
【0018】
さらに、前記樹脂製フィルム20は、JIS K 7127に準じた伸び率が50〜800%、好適には100〜750%であるのがよい。伸び率が800%を超えると開封しづらくなり、50未満であると裂けやすくなり、特に持ち運び時に破断しやすくなる。また、特に取っ手を形成したときには、前記所定の伸びがないと取っ手に手を通しづらくなったり、包装フィルムと取っ手フィルムのシール部分から破断しやくすなる。
【0019】
さらに、樹脂製フィルム20は、JIS K 7128−1(トラウザー引裂法)に準じた引裂強度が20〜700cN、好適には50〜600cNであるのが望ましい。引き裂き強度が700cNを超えると手で開封しづらくなり、20cN未満であると持ち運び時に破断しやすくなる。なお、準じたとしたのは、樹脂製フィルムの厚さを考慮せず、引裂き力cNを測定値とし、また、チャートの平均ではなくピーク値を測定値とし、試験片を50mm×150mmの大きさで、短手方向縁から二分するスリットを長手方向半分まで形成したものとしことによる。試験速度は200/minとする。
【0020】
この本発明に適する樹脂製フィルム20としては、シュリンク包装を可能にする熱による収縮性(シュリンク性とも言われる)を有するものが好適である。なお、具体的な収縮率等は限定されないが、収納箱の大きさ、包装個数などを考慮して適宜選択する。
樹脂製フィルム20の具体例としては、PP(ポリエチレン)フィルム、PE(ポリエチレン)/PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)の積層構造を有するフィルム、PE(ポリエチレン)/PP(ポリプロピレン)の積層構造を有するフィルムが挙げられる。より具体的には、ノンスリップタイプポリエチレンフィルム(積水化学株式会社製)、ポリセットUM(株式会社興人製)、ポリエチレンシュリンクフィルム(伏見樹脂製)等が好適に利用できる。
フィルム素材の厚さは15〜40μm、特に20〜30μmであるのが望ましい。15μm未満であるとフィルムの強度不足となり、持ち運び時に破れる恐れがあり、40μmを超えるとフィルムのくすみがでてきて包装後の外観が変わってしまうことに加え、強度が高くなり手で開封しづらくなる。
【実施例1】
【0021】
次いで、本発明の実施例と比較例について見栄え、包装後のタイト性について試験したので、各例の物性・組成とともに表1に結果を示す。なお、見栄え、タイト性の測定方法は次のとおりである。なお、各実施例及び比較例は直六面体の収納箱に衛生薄葉紙をポップアップ式で折り畳み収納した衛生薄葉紙製品(240g)を3個、上面と底面とが隣接する形態で積み重ねフィルム包装し、さらに巾60mmの取っ手を融着により形成したものである。
<見栄え>
収納箱そのものと、フィルムで包装した包装体を見比べた。包装することで見た目が劣ると感じた人が30人中3人以下を◎、4〜9人を○、10人以上のものを×とし、とした。
<タイト性>
直六面体の収納箱に衛生薄葉紙を収納した衛生薄葉紙製品を3個、上面と底面とが接するようにして積み重ねて梱包した衛生薄葉紙梱包体を水平台の上におき、製品1個分のみ水平台外に露出するようにして、どの程度垂れ下がったかを測定した。
<取っ手強度>
実用性を評価すべく、取っ手の強度の強度についてプッシュプルゲージに取っ手を引っ掛けて、手で破断するまで引っ張り、ピーク強度を測定した。
<振り試験>
取っ手を手に持ち、180度の範囲で半円を描くように振り、10往復振ったとき、取ってが破断するか調べた。これを、3回行い3回とも破断しない場合を○、1回破断したものを△、2回または3回とも破断したものを×とした。
【0022】
【表1】

【0023】
表1の結果より、本発明の実施例については、優れた光沢感、外面色を呈しており、見栄えの面で比較例よりも優れていることが理解される。また、タイト性にも優れ、この点からもしっかりとした高級感が得られるとともに取り扱い性にも優れると理解される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、外面に印刷等を施した箱体を透明なフィルムで包装した包装体に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる衛生薄葉紙製品(薄葉紙収納箱)の斜視図である。
【図2】本発明にかかる衛生薄葉紙製品(薄葉紙収納箱)の使用時の斜視図である。
【図3】本発明にかかる衛生薄葉紙製品包装体の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1…紙箱、1a…地の部分、1b…花の図案、1U…紙箱上面、1L…上面長手縁、1S…上面短手縁、1W…紙箱側面、2…シート材、11…ミシン目線、11a…ミシン目線により囲まれる範囲、12…取り出し口、21…スリット、20…樹脂製フィルム(包装材)、30…取手部分、Y1…収納箱、Y1’…衛生薄葉紙製品、X1…衛生薄葉紙製品包装体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生薄葉紙を収納箱に収納した衛生薄葉紙製品を透明の樹脂製フィルムで包装した衛生薄葉紙製品包装体であって、
前記収納箱の外面が、60度鏡面光沢度が60〜90であり、L*a*b*表色系におけるL*が0〜70かつ、a*及びb*の少なくとも一方の絶対値が10〜60であり、
前記フィルムは、JIS K 7105に基づくヘイズ値が1.0〜9.0であり、
前記包装体は、前記収納箱のL*a*b*の値と樹脂製フィルムを通して測定した同位置のL*a*b*の値との色差Δeが0〜10の範囲にあり、かつ、包装体外面の60度鏡面光沢度が90〜170であることを特徴とする衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項2】
衛生薄葉紙製品が、複数個まとめて包装されている請求項1記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項3】
包装がシュリンク包装である請求項1又は2記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項4】
樹脂製フィルムは、JIS K 7127に準じた破断点強度が5〜60N/25mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項5】
樹脂製フィルムは、JIS K 7127に準じた伸び率が50〜800%である請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項6】
樹脂製フィルムは、JIS K 7128−1に準じた引裂強度が20〜700cN である請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−132432(P2009−132432A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311685(P2007−311685)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】