説明

衛生陶器の梱包構造

【課題】 本発明は、輸送効率の向上と梱包資材の低減を図りつつ、衛生陶器の付属品等の副資材を収納でき、物流積載時等の重量を受けても破損することを防止した衛生陶器の梱包構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、衛生陶器を受ける底トレーと、衛生陶器上面を覆う天トレーと、前記底トレーと前記天トレーと前記衛生陶器を一体化するバンド手段とを有する衛生陶器の梱包構造において、前記底トレーの少なくとも一部は樹脂剛体であり、かつ、衛生陶器に組み付けられる副資材の格納部を形成した ことを特徴とする衛生陶器の梱包構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生陶器の梱包資材に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の衛生陶器の梱包は、輸送効率を向上するために被梱包物(例えば、便器など)の外観が識別でき、且つ、材料を減量するためには、便器を段ボール紙からなる底面梱包材上に載せ、その後天面梱包材を便器上面に被せ、ポリプロピレンのような梱包バンドを巻回して梱包している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、大便器、ロータンク、小便器、洗面器などの衛生陶器は、それらを衛生設備機器として利用するには、給水金具やホースなどの付属品等の副資材が必要で、且つ、衛生陶器が共有であっても、付属品には、多くの仕様違いがある。各々で専用商品とすると生産だけでなく、保管を含む物流工程も非効率となることから、仕様違いが存在する商品を物流工程で出荷現場毎に組み入れられるように、機器を梱包する段ボール紙からなる梱包箱に機器の副資材を収納するための備品収納部を設けたものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−2177号公報
【特許文献2】特開平9−058666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行文献1では、衛生陶器を梱包材で上下後方から挟み込み、衛生陶器の一部を露出させる構造であるので、衛生陶器の識別が可能で、廃棄資材が少なくて済む点で優れているもののダンボール紙で形成されている底面梱包材が、輸送中、保管中といった物流工程内で吸湿して強度が低下し、衛生陶器が重量物であるので、物流積載時等の移動時に底面が抜けて衛生陶器が傷付いたり、破損したりする不具合が生じる恐れがあった。
【0006】
また、先行文献2では、ダンボール紙で機器全体を覆った梱包箱を利用しているため、衛生陶器の識別ができなく、また、段ボール紙からなる梱包箱では、先行文献1同様の不具合が起きる恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、輸送効率の向上と梱包資材の低減を図りつつ、衛生陶器の付属品等の副資材を収納でき、物流積載時等の重量を受けても破損することを防止した衛生陶器の梱包構造提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、衛生陶器上面を覆う天トレーと、前記底トレーと前記天トレーと前記衛生陶器を一体化するバンド手段とを有する衛生陶器の梱包構造において、前記底トレーの少なくとも一部は樹脂剛体であり、かつ、衛生陶器に組み付けられる副資材の格納部を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、天トレーと底トレーとバンドとからなる簡易梱包によって、梱包資材の削減が可能となる。また、底トレーを樹脂剛体することによって、耐水性、耐加重に優れたものとし、且つ、副資材の格納部を底トレーに設けることが可能となる。
なお、衛生陶器は、大便器、小便器、ロータンク、洗面器といった陶器製の重量物である。また、天トレーは、バンド接触部の陶器破損を防ぐための緩衝材、保護材である。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記底トレーは、垂直方向に立ち上がる複数の隔壁同士を連結した樹脂剛体からなり、前記隔壁で囲まれた空間の少なくとも1つに底壁を設け格納部としたとしたことを特徴とした。
【0010】
本発明によれば、底トレーを垂直方向に立ち上がる複数の隔壁同士を連結した樹脂剛体とすることで、軽量化を更に図ることが可能となる。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記底トレーは、複数の樹脂剛体からなるコーナー部材と、それぞれを連結する連結部材からなることを特徴とした。
【0012】
本発明によれば、連結部材の大きさを任意にを変更することで、樹脂剛体を共通化して、衛生陶器の大きさ違いにも柔軟に対応できることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、輸送効率の向上と梱包資材の低減を図りつつ、衛生陶器の付属品等の副資材を収納でき、物流積載時等の重量を受けても破損することを防止した衛生陶器の梱包構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の物流積載時の梱包状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す底トレー示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態を底トレーの構成を示す図aは平面図、図bは、図aのA−A線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の第一の実施形態における梱包構造を示す斜視図である。図1を使用して、本実施形態における梱包構造の全体構成について以下に述べる。
【0016】
参照符合100は、梱包構造であり、本発明の梱包構造100で物流に供される衛生陶器としてロータンク10を梱包している、ロータンク10は、図示しない大便器と組み合わせて使用されるものであり、洗浄水の給水部分や大便器との締結部分や排水操作を行うレバーなどが組み付けられ、結果的に側面や底面には突起部分が発生している。ロータンク10は底トレー20に載置され、前記突起部分を逃げるだけの厚さを底トレー20は確保している。また底トレー20はロータンク10の重量に耐えるだけでなく、物流に使用されるパレットや段済みも配慮した強度を有する必要があり、保管中に吸湿したり、水が掛かったりしても強度低下しないように樹脂剛体によって形成されている。樹脂剛体は、樹脂を単独または他の材料を加えたもの所望の形状に成形して利用する。例えば、廃棄木材粉を樹脂で固めたものが、耐圧縮強度が高く望ましい。樹脂剛体は、型等で簡単に成形でき、量産性、精度に優れているので、積載効率を確保する上でも望ましいものである。ロータンク10の上部には天トレー30が被せられ、底トレー20を含む全体は固定バンド(バンド手段)40によって一体化されている。
【0017】
参照符合21は、底トレー20にも受けられた副資材の格納部である。ロータンク10は組み合わされる金具やホースなどの副資材が一体となって物流されるが、その内容は施工される現場によって様々な要求仕様が存在する。本発明においては、底トレー20に金具やホースなどの副資材を格納する格納部分21が外観より視認および組み付け可能として構成されており、物流工程内で、必要な副資材を一体化することで、要求される副資材ごとに在庫を行う必要がないように配慮されている。
【0018】
次に、上記構成に基づき、梱包方法を以下に説明する。
まず、底トレー20の所定位置にロータンク10を載置する。この際、ロータンク10が左右方向に位置ずれしないようにロータンク10の底の外周形状にあった凹部を底トレーに形成しておくことが望ましい。その後、天トレー20を被せる。その後、底トレー10と天トレー10でロータンク10を挟んだ状態のまま、梱包用のバンド手段40によって、ロータンク10が位置ずれしないように固定する。この際、副資材を格納部21に収納しても良いが、格納部21が、衛生陶器梱包後でも副資材を格納できるので、製品出荷前までの物流後工程の何れかで組み入れても良い。
【0019】
図2は、本発明の第二の実施形態を示す底トレーの斜視図である。底トレー以外の梱包構造は、第一の実施形態と同様であるので、底トレーの部分のみ説明する。また、同一部位には、同じ符合を利用する。
【0020】
底トレー20は、外観形状を形成する垂直方向に立ち上がる外周隔壁20aと衛生陶器の底部を支持し、強度を確保するための複数の内周壁20bとそれぞれを接続する接続隔壁20cとから構成されている。それぞれの隔壁で囲まれた空間の1つに底壁20dを形成し、有底とし、副資材の格納部21とした。
なお、底トレー20は、樹脂を用いて一体に成形されているが、分割して成形したものを組み合わせて嵌め合わせて構成しても良い。この際、分割成形した部材をそれぞれ複数容易し、その個数、組み合わせを自由に行なうことで、任意の大きさの衛生陶器に対応できるようにしても良い。また、それぞれの隔壁の個数配置は、衛生陶器の形態によって任意に設定すれば良い。更に、垂直方向に立ち上がる隔壁は、加重方向に対し、比較的強度が高いため、それぞれの隔壁の厚みは、薄く形成でき、底トレーは軽量化が可能となる。
【0021】
図3は、本発明の第三の実施形態を示す底トレーの図である。図aは、平面図、図bは、図aのA−A線断面図である。なお、底トレー以外の梱包構造は、第一の実施形態と同様であるので、底トレーの部分のみ説明する。また、同一部位には、同じ符合を利用する。
【0022】
底トレー20は、2つのコーナー部材20fとコーナー部材20fをコーナー部材20fに形成されたスリット22に嵌合するダンボール紙からなる連結部材23によって構成されている。格納部21は、コーナー部材20fに形成されている。ダンボールは再利用が可能であるが、コーナー部材の樹脂剛体は、再使用をすることが望ましいことから、コーナー部材を共通化して、板部材の大きさを変更することで、複数の衛生陶器の梱包資材として適用できるので望ましい形態である。更に、4分割とすれば、より多くの衛生陶器に対応が可能となる。なお、連結部材も樹脂剛体として、再使用可能として利用しても良い。
【符号の説明】
【0023】
10…ロータンク
20…底トレー
20a…外周隔壁
20b…内周隔壁
20c…接続隔壁
20d…底壁
20e…コーナー部材
21…格納部
22…連結部材
30…天トレー
40…固定バンド(バンド手段)
100…梱包構造


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生陶器を受ける底トレーと、
衛生陶器上面を覆う天トレーと、
前記底トレーと前記天トレーと前記衛生陶器を一体化するバンド手段と
を有する衛生陶器の梱包構造において、
前記底トレーの少なくとも一部は樹脂剛体であり、
かつ、衛生陶器に組み付けられる副資材の格納部を形成した
ことを特徴とする衛生陶器の梱包構造。
【請求項2】
前記底トレーは、垂直方向に立ち上がる複数の隔壁同士を連結した樹脂剛体からなり、前記隔壁で囲まれた空間の少なくとも1つに底壁を設け格納部としたことを特徴とする請求項1記載の衛生陶器の梱包構造。
【請求項3】
前記底トレーは、複数の樹脂剛体と、それぞれを連結する連結部材からなることを特徴とする請求項1記載の衛生陶器の梱包構造。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−195414(P2010−195414A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40604(P2009−40604)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】