説明

衝撃検知装置及び梱包装置

【課題】バネの付勢力で錘の保持解除を行う衝撃検知装置の検出精度を高める。
【解決手段】ケース内に第1錘510を第1保持部材311,321で両側から支持し、2回の落下衝撃で下側錘保持部238に保持される。第2錘520、第3錘530は左右の傾きで右側錘保持部234、左側錘保持部235に保持される。前ケース400には落下衝撃や傾きを受け保持された各錘510,520,530を観察する第1表示窓431乃至第4表示窓434が形成される。板状部材310,320は第1保持部材311,321と第2保持部材312,322とを折返部313,323で連結した全体コ字状に形成され、折返部313,323が挟持固定部241a,242aと押部材461,462で挟まれ第1保持部材311,321が当接固定部241b,242bに第2保持部材312,322が当接固定部241c,242cに接触して固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衝撃検知装置及び梱包装置に係り、特に良好な衝撃検知精度を備える衝撃検知装置及びこの衝撃検知装置を備えた梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機器などの物品を輸送する場合、その輸送過程での荷扱いにより、物品が破損する可能性がある。一定値までの衝撃であれば、梱包状態での事前評価により破損防止策を施すことで、物品の破損を事前に防止することが可能である。
【0003】
特許文献1には、入射光を反射する平滑面を有する錘部と、錘部を支持する梁部とによって、落下等による衝撃を検知すると錘部が傾くことで衝撃を検知したことを視認できる衝撃検知装置が開示されている。
【0004】
非特許文献1には、図23に示すように、衝撃検知装置として、前ケース1、後ケース2、板バネ3、板バネ固定部4、案内板5、錘6、窓穴7で構成されている技術が開示されている。この技術では、縦方向の向きにして、検知対象物に貼付けることで上下方向の衝撃を検知できる。具体的には、衝撃が加わっていない状態では、錘6は板バネ3によって壁部8との間に挟まれてケース中央部に保持されており、衝撃が加わると板バネ3を超えて錘6が下方へ移動することになる。錘6には色が施されているので、移動後の錘6が窓穴7のところに位置することで錘6が移動したことが視認できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図23に示した衝撃検知装置は、1回衝撃を検知した後には再度の衝撃を検知できない他、衝撃検知の精度にばらつきが生じやすいという問題がある。即ちこの衝撃検知装置は、複数の検知レベル設定がされたものがあり、各検知レベルのものにおいて板バネは共通とし、錘の質量を変更して調整するものであるが、実際の検知性能として設定レベルとの差が大きく、検知精度としては低いものとなる。これは、図24(a)に示すように、板バネ3を挿入するために前ケース1と後ケース2との間に板バネ3の厚さよりも大きな隙間が形成されており、図24(b)の符号9で示した領域において板バネ3を前ケース1に固定するものがないため板バネ3の取付基部が撓んでしまうことが一因となっている。この板バネ3基部の撓みは、下側の板バネ3全体が衝撃を受けてしまうことに起因し、その結果、バネの反発力が弱くなってしまい、衝撃検知精度が悪くなってしまうのである。
【0006】
そこで、本発明は、バネの付勢力で錘の保持・保持解除を行う衝撃検知装置の衝撃検知精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、輪郭円形状の錘と、前記錘を内包すると共に、衝撃を検出すべき方向に沿って形成され前記錘が移動可能な移動経路を備えたケースと、前記ケース内において先端部が前記錘の移動方向に向くよう延設され、該先端部で前記錘を前記移動経路における初期位置に保持すると共に、前記ケースが前記衝撃方向に設定強度以上の衝撃を受けたとき湾曲して前記錘の保持が解除され前記移動方向に向け錘を離脱させる板状弾性部材と、前記板状弾性部材を前記ケースに固定する固定部とを備えて構成され、前記板状弾性部材は、前記先端部の反対側に配置された他端側から前記先端部方向へ折り返す折返部と、該折返部から前記先端部までの腕部とを有してなり、前記固定部は、前記折返部の略中央において前記板状弾性部材に両側から当接して挟むように固定する挟持固定部と、前記錘の移動方向に対して腕部と当接して移動を規制する当接部を備えることを特徴とする衝撃検知装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の衝撃検知装置において、前記板状弾性部材は、前記折返部と前記腕部とで略コ字状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の衝撃検知装置において、前記ケースは、前記移動通路を形成した後ケースとこのケースを覆う前ケースとを備え、前記挟持固定部は、前記後ケースに設けられ、前記折り返し部と当接する第1の突部と、前記前ケースに設けられ前記折返部における前記第1の突部との当接位置と反対の位置と当接する第2の突部と、前記後ケースに設けられ、前記第2の突部を案内するガイド部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3記載の衝撃検知装置において、前記腕部は、前記ケースが傾き方向に力を受けたとき該傾き方向に向け錘を移動させる案内部の機能を兼ね備え、前記ガイド部は、前記腕部で案内された錘を所定方向へ案内する案内部の機能を兼ね備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の衝撃検知装置において、前記ガイド部は、前記第1の突部と対向する端部に、前記第1の突部に向けて上方から下方へ傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の衝撃検知装置において、前記固定部は、前記板状弾性部材による前記錘の保持状態を変更できるよう前記ケースに取り付け状態可変に係着されることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6記載の衝撃検知装置において、前記固定部は、所定の突出量を備える突設部を周囲に形成した柱状部材であり、この固定部はケースに回転方向に回転可能且つ所定の位置に設定して、前記板状弾性部材に接触する突設部を変更することにより板状弾性部材の配置位置を変更可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7記載の衝撃検知装置において、前記ケースには、その周縁に前記固定部材の位置決め用の複数の係止孔部を備えた設置孔部を形成し、前記固定部には前記設置孔部に係合する突起部を形成し、前記突起部を前記係止孔部へ係合させることにより固定部材を所定の位置に位置決めすることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載の衝撃検知装置において、前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向すると共に、前記板状弾性部材を構成する2つの腕部に当接して前記2つの腕部の間隔寸法を保持する間隔保持突起対と、前記板状弾性部材の折り返し部に当接して前記腕部の実効長を調整する複数の異なる突出量の調整突起と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項7又は請求項8に記載の衝撃検知装置において、前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向して前記板状弾性部材を構成する複数組と突起対を備え、各突起対を構成する突起はそれぞれ異なる突出量を備えると共に、対をなす2つの突起は2つの腕部に当接したとき前記2つの腕部の間隔寸法を保持する突出量を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、被梱包物を梱包する梱包材の少なくとも一の表面に、請求項1乃至請求項10のいずれか記載の衝撃検知装置を備えてなることを特徴とする梱包装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、板状弾性部材を折返部で挟んで固定するので折返部の無用の撓みを防止でき衝撃検知装置の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】衝撃検知装置の分解斜視図である。
【図2】後ケースを示す平面図である。
【図3】後ケースを示す斜視図である。
【図4】前ケースを示す斜視図である。
【図5】前ケースを示す平面図である。
【図6】後ケースの部分拡大平面図である。
【図7】後ケースの部分拡大斜視図である。
【図8】前ケースの部分拡大斜視図である。
【図9】衝撃検知装置の作動を示す模式図である。
【図10】衝撃検知装置を備えた梱包装置を示す模式図であり、(a)は梱包装置を示す斜視図、(b)は梱包装置への衝撃検知装置の取付状態を示す断面図である。
【図11】第2の実施例に係る衝撃検知装置を示す部分拡大平面図である。
【図12】第1及び第2実施例の板状部材の挙動を示す図であり(a)、(b)は第2の実施例に係る板状部材の場合を示す模式図、(c)、(d)は第1の実施例に係る板状部材の場合を示す模式図、(e)は第1の実施例に係る板状部材を支持する支持部の変形例を示す模式図である。
【図13】第1の実施例に係る衝撃検知装置の変形例を示す模式図である。
【図14】実験の結果を示すものであり、(a)は錘の重量と上下段の衝撃検知量誤差との関係を示すグラフ、(b)は錘の重量と衝撃検知時の反応感度との関係を示すグラフである。
【図15】第3の実施例に係る衝撃検知装置の後ケースを示す平面図である。
【図16】第4の実施例に係る衝撃検知装置の構成を示すものであり、(a)は後ケースに板状部材と第1錘を配置した状態を示す平面図、(b)は(a)中A方向からの端面図、(c)は衝撃検知装置に使用される板状部材の拡大斜視図である。
【図17】後ケースの構成を示すものであり、(a)は後ケースの左側部分を示す正面図、(b)は同部分の背面図である。
【図18】第1支持部と後ケースの取り付け状態を示す図17(b)中のB−B線に相当する断面図である。
【図19】第4の実施例の第1支持部を示すものであり、(a)は保持部材長調整部の拡大平面図、(b)は第1支持部を取り付けた状態を示す平面図である。
【図20】保持部材の取り付け状態を示す平面図である。
【図21】第5の実施例の第1支持部を示すものであり、(a)は保持部材長調整部の拡大平面図、(b)は第1支持部を取り付けた状態を示す平面図である。
【図22】第5の実施例に係る衝撃検知装置の適用例を示す表である。
【図23】従来の衝撃検知装置を示す図である。
【図24】従来の衝撃検知装置を示すものであり、(a)は板バネ取付部の拡大平面図、(b)は板バネの撓みを示す(a)と同様の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る衝撃検知装置は、輪郭円形状の錘と、前記錘を内包すると共に、衝撃を検出すべき方向に沿って形成され前記錘が移動可能な移動経路を備えたケースと、前記ケース内において先端部が前記錘の移動方向に向くよう延設され、該先端部で前記錘を前記移動経路における初期位置に保持すると共に、前記ケースが前記衝撃方向に設定強度以上の衝撃を受けたとき湾曲して前記錘の保持が解除され前記移動方向に向け錘を離脱させる板状弾性部材と、前記板状弾性部材を前記ケースに固定する固定部とを備えて構成され、前記板状弾性部材は、前記先端部の反対側に配置された他端側から前記先端部方向へ折り返す折返部と、該折返部から前記先端部までの腕部とを有してなり、前記固定部は、前記折返部の略中央において前記板状弾性部材に両側から当接して挟むように固定する挟持固定部と、前記錘の移動方向に対して腕部と当接して移動を規制する当接部を備える。この衝撃検知装置によれば、折り返し部での挟み固定により、板状弾性部材の折り返し中央部の撓み量を少なくすることができ、検知精度が向上する。当接固定部により板状弾性部材を当接させることで、挟持固定部と当接固定部の間に配置される折り返し部での撓み量を少なくすることができ、衝撃検知装置の検知精度を向上させることができる。
【0021】
また、本発明に係る衝撃検知装置の板状弾性部材は、前記折返部と前記腕部とで略コ字状に形成されている。これにより、右側板状部材の折返部における無用な変形を防止することができ、衝撃検知装置の検知精度を更に向上させることができる。
【0022】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、ケースは、前記移動通路を形成した後ケースとこのケースを覆う前ケースとを備え、前記挟持固定部は、前記後ケースに設けられ、前記折り返し部と当接する第1の突部と、前記前ケースに設けられ前記折返部における前記第1の突部との当接位置と反対の位置と当接する第2の突部と、前記後ケースに設けられ、前記第2の突部を案内するガイド部と、を備えている。これにより、ガイド部により、前ケース側の突部を装着しやすくなり、衝撃検知装置の組み立てが容易になる。
【0023】
更に、本発明に係る衝撃検知装置において、腕部は、前記ケースが傾き方向に力を受けたとき該傾き方向に向け錘を移動させる案内部の機能を兼ね備え、前記ガイド部は、前記腕部で案内された錘を所定方向へ案内する案内部の機能を兼ね備えている。これにより、ガイド部を錘の移動経路ガイド部と兼ね備えることで衝撃検知装置を小型化することができる。
【0024】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、ガイド部は、前記第1の突部と対向する端部に、前記第1の突部に向けて上方から下方へ傾斜する傾斜面を備えている。これにより、板状弾性部材を後ケースへの組み付け性が向上する。
【0025】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、前記固定部は、前記板状弾性部材による前記錘の保持状態を変更できるよう前記ケースに取り付け状態可変に係着されている。
これにより、板状弾性部材による錘の保持状態を変更して、板状弾性部材の製造誤差を吸収し、衝撃を検知高さの精度を高め、検知性能を保証することができる。
【0026】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、前記固定部は、所定の突出量を備える突設部を周囲に形成した柱状部材であり、この固定部はケースに回転方向に回転可能且つ所定の位置に設定して、前記板状弾性部材に接触する突設部を変更することにより板状弾性部材の配置位置を変更可能とした。これにより、固定部を回転させることにより、板状弾性部材の配置位置を調整して錘の保持状態を変更することができる。
【0027】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、前記ケースには、その周縁に前記固定部材の位置決め用の複数の係止孔部を備えた設置孔部を形成し、前記固定部には前記設置孔部に係合する突起部を形成し、前記突起部を前記係止孔部へ係合させることにより固定部材を所定の位置に位置決めするものである。これにより、固定部材を所定の位置でケースに位置決め固定することができる。
【0028】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向すると共に、前記板状弾性部材を構成する2つの腕部に当接して前記2つの腕部の間隔寸法を保持する間隔保持突起対と、前記板状弾性部材の折り返し部に当接して前記腕部の実効長を調整する複数の異なる突出量の調整突起と、を備えるものである。これにより、板状弾性部材の配置位置を調整して錘の保持状態を変更するに際して、2つの腕部の間隔寸法を変更することがない。
【0029】
また、本発明に係る衝撃検知装置において、前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向して前記板状弾性部材を構成する複数組と突起対を備え、各突起対を構成する突起はそれぞれ異なる突出量を備えると共に、対をなす2つの突起は2つの腕部に当接したとき前記2つの腕部の間隔寸法を保持する突出量を備えるものである。これにより、板状弾性部材の配置位置を細かく調整することができる他、この調整に際して2つの腕部の間隔寸法を変更することがない。
【0030】
そして、本発明に係る梱包装置は、被梱包物を梱包する梱包材の少なくとも一の表面に、前記衝撃検知装置を備えている。これにより、梱包装置は衝撃を優れた精度で表示することができる他、梱包装置の傾斜状態を表示することができる。
【実施例】
【0031】
以下本発明に係る衝撃検知装置を図面に基づいて説明する。図1は衝撃検知装置の分解斜視図、図2は後ケースを示す平面図、図3は後ケースを示す斜視図、図4は前ケースを示す斜視図、図5は前ケースを示す平面図、図6は後ケースの部分拡大平面図、図7は後ケースの部分拡大斜視図、図8は前ケースの部分拡大斜視図である。
【0032】
本実施例に係る衝撃検知装置100は、後ケース200及びこの後ケース200の前側面を覆う前ケース400とからなるケース内に3個の錘、即ち第1錘510、第2錘520、第3錘530を配置し、第1錘510の移動により鉛直方向の落下衝撃を、第2錘520の移動により鉛直方向に対して右側への傾斜を、第3錘530の移動で左側への傾斜を検出して表示し、衝撃検知装置100が取り付けられた梱包装置、例えば画像形成装置が梱包された段ボール箱に加えられた落下、傾斜転倒の履歴を表示する。
【0033】
本例において、前記第1錘510は、板状弾性部材である右側板状部材310及び左側板状部材320により保持され、2回の落下衝撃の検知を行う。右側板状部材310及び左側板状部材320は、上側に配置された第1保持部材311,321と、下側に配置された第2保持部材312,322を折返部313,323で連結したそれぞれ1つの部材として形成されている。これらの右側板状部材310及び左側板状部材320は具体的にはステンレス鋼からなる1枚の弾性薄板を略コ字状に折り曲げて形成される。
【0034】
前記第1錘510は、鉛直移動経路231の初期位置において、右側板状部材310及び左側板状部材320の第1保持部材311,321で両側から支持されており、最初の落下衝撃で第1錘510は第1保持部材311,321を押し広げて落下し、第2保持部材312,322で保持される。また、第2回の落下衝撃により、第1錘510は第2保持部材312,322を押し広げて落下する。
【0035】
また、第2錘520及び第3錘530は、衝撃検知装置100の左右方向の傾斜により、前記第1保持部材311,321の上側を転動して移動する。これにより、本衝撃検知装置100は、第1錘510の移動で落下を検知し、第2錘520、第3錘530の移動で左右の傾斜を検知する。
【0036】
以下各部材について説明する。後ケース200は合成樹脂製の部材であり、底板210とこの底板210の周縁に立設された立設縁部220とを備えて構成される。また、後ケース200には前記第1錘510が落下衝撃により移動する鉛直方向の前記鉛直移動経路231を備える他、この鉛直移動経路231の両側に前記第2錘520が移動する湾曲した右側移動経路232及び前記第3錘530が移動する湾曲した左側移動経路233を備えている(図2参照)。
【0037】
右側移動経路232及び左側移動経路233の下端部には、右側錘保持部234及び左側錘保持部235が、また前記鉛直移動経路231の下端部には下側錘保持部238が形成されている。これらの錘保持部234,235は底板210に立設されたリブ部材236,237,239により形成される。
【0038】
前記鉛直移動経路231の左右両側には、前記右側板状部材310及び左側板状部材320の折返部313,323が嵌挿され保持される所定の形状寸法をなす右側第1支持部241、左側第1支持部242が底板210から立設されている。また、底板210には、右側第1支持部241及び左側第1支持部242の外側上部に、前記右側板状部材310及び左側板状部材320を固定するための円弧部材267,268が立設されている。この円弧部材267,268は右側移動経路232及び左側移動経路233の内側のガイドにもなる。
【0039】
また、前記右側第1支持部241及び左側第1支持部242の下方には、それぞれ右側第2支持部251及び左側第2支持部252が立設されている。この右側第2支持部251及び左側第2支持部252は、その直径寸法を前記右側第1支持部241及び左側第1支持部242より小径に構成されている。右側第2支持部251及び左側第2支持部252は前記右側板状部材310及び左側板状部材320の回り止めの作用をなすと共に、各板状部材310,320の下側をなす第2保持部材312,322の弾性変形の支点となる。
【0040】
また、底板210には、前記鉛直移動経路231に沿って前記第1錘510に接触して第1錘510が鉛直移動経路231に沿って円滑移動するよう形成された2本の垂直方向錘案内レール261,262が形成されている。更に、底板210には、前記右側移動経路232及び左側移動経路233に沿って右側錘案内レール263,264及び左側錘案内レール265,266が形成されている。これらの錘案内レールは底板210と一体に形成され、錘との接触抵抗を軽減するため錘との接触側を断面弧状として形成される。
【0041】
更に、底板210には、右側錘案内レール263,264及び左側錘案内レール265,266にそれぞれ2個所、錘の戻りを防止する逆戻防止突起271,272、273,274、275,276,277,278が形成されている。また、底板210には、第1錘510の跳ね上がり防止用の停止板291、第2錘520及び第3錘530の下側を指示する錘支持部材292,293、及び、第2保持部材312,322の上方向の位置を規制する位置規制部材294,295が立設形成されている。また、立設縁部220の一部であって、停止板291の上部に配置された部分には停止板291に近接した水平部227が形成されている。
【0042】
また、後ケース200は、下方に向け貨物への取付用のフランジ部240が延設されている。このフランジ部240は、前記底板210を延設した位置に形成される。以上のように、この後ケース200は、前記鉛直移動経路231に対して線対称の構成を備える。
【0043】
次に前ケース400について説明する。前ケース400は、透明な合成樹脂性の部材であり、図4及び図5に示すように、前記後ケース200の前側全面を覆う板部材410の周縁に位置決用の突起部420が形成されている他、4個所に錘確認用の表示窓、即ち第1回の落下検出を表示する第1表示窓431、第2回の落下検出を表示する第2表示窓432、右転倒検出を表示する第3表示窓433、左転倒検出を表示する第4表示窓434が形成されている。ここで、第1表示窓431は第2保持部材312,322による第1錘510の保持位置に,第2表示窓432は下側錘保持部238に、第3表示窓433は右側錘保持部234に,第4表示窓434は左側錘保持部235に対応して形成されている。また、第1表示窓431は三角形状の穴部が開設され形成され、他の表示窓422,423,424は同様の三角形状に他の部分より肉薄部として形成されていると共に、内部が視認できるよう表面が研磨されている。
【0044】
更に、板部材410の後ケース200側には、前記鉛直移動経路231に対応して2列の垂直錘案内レール451,452が、また、右側移動経路232及び左側移動経路233に対応してそれぞれ一列の右側錘案内レール453、左側錘案内レール454が形成されている。各錘案内レールは板部材410と一体に形成され、錘との接触抵抗を軽減するため錘との接触側を断面弧状として形成される。また、錘案内レール453,454には錘の逆戻防止突起455,456、457,458が形成されている。この逆戻防止突起455,456、457,458は前記後ケース200に形成された逆戻防止突起271,272、273,274、275,276,277,278の設置位置に対応して配置される。
【0045】
更に板部材410には、前記底板210に形成された前記円弧部材267,268に嵌合される円柱状の押部材461,462が形成されている。前ケース400が後ケース200に配置されると、押部材461,462が前記円弧部材267,268に挿入され、右側第1支持部241及び左側第1支持部242に取り付けられた右側板状部材310及び左側板状部材320をケース中央下方へ固定する。ここで、押部材461,462には、図8に示すように、傾斜部461a,462aが形成され、左右の板状部材310,320を取り付けた状態での前ケース400及び後ケース200の組み付け性を向上させている。
【0046】
また、前ケース400には、図4に示すように、後ケース200及び前ケース400の固定用ビス穴471,472が開設されている他、錘510,520,530固定用の固定具挿入用の挿入穴481,482が開設されている。錘の固定具は金属製線材を折曲加工して3つの脚部を形成した部材であり、衝撃検知装置100の非使用時に前記第1表示窓431及び前記挿入穴481,482から各脚部を挿入して、各脚部を第1錘510の下部、第2錘520及び第3錘530の上部に接触させ、衝撃検知装置100を非検知状態とするため各錘510,520,530を固定する。更に、板部材410には、後述するシール部材740(図10(a))の位置決め用の穴部491,492、前ケース400製造時における逆戻防止突起455,456、457,458による引けを防止するための凹部493,494,495,496が形成されている。
【0047】
次に後ケース200の細部構造を図6及び図7に基づいて説明する。本例に係る衝撃検知装置100の後ケース200は、左右対称形状であるので、各図には右側部分だけを示している。右側第1支持部241及び左側第1支持部242は、その中央部に前ケース400を後ケース200にネジ固定するためのネジ穴241d,242dが形成されている。また、右側第1支持部241及び左側第1支持部242は、前記ネジ穴241d,242dを中心とした小円形筒状部材ネジ固定ボスの周囲に断面半円形状の挟持固定部241a,242a及び当接固定部241b,242b、241c,242cを突出させて形成している。このように、ネジ固定ボスとなる第1支持部241,242の小径化により、ネジ固定時にネジ締め付けに必要なトルクが小さくなり、ネジ締めミスが減ることで組み付け作業性向上が図れる。
【0048】
また、前記円弧部材268(267)は、その外周に錘530(520)を案内するガイド面268a(267a)が形成されると共に、その内周には、押部材462(261)を案内するガイド面268c(267c)が形成されている。更に、円弧部材268(267)には、板状部材320(310)を組み付けるときに、第1支持部242(241)と円弧部材268(267)との間に板状部材320(310)を挿入しやすくするため、傾斜面268b(267b)が設けられている。ここで、円弧部材268(267)の両端は、第1保持部材321(321)の延長線(図中破線L)から突出しないように形成される。このようにすることにより、板状部材320の第1保持部材321との間隔はT1と錘530の直径に比べて小さいものとなり、図中左上方向に錘530が移動するときに、第1保持部材321上を通過した後、円弧部材268の端部に移動するとき第3錘530がひっかかってしまうことを防止できる。
【0049】
次に、左右の板状部材310,320について説明する。本例では、右側板状部材310及び左側板状部材320はそれぞれ、同一幅寸法(例えば6mm)及び厚さ(例えば0.3mm)の1枚のステンレス鋼薄板材を折返部313,323の両端で屈曲形成して、その上側部分を腕部である第1保持部材311,321、下側部分を腕部である第2保持部材312,322としている。この例では、各板状部材310,320は第2保持部材312,322がそれぞれ第1支持部241,242の挟持固定部241a,242aに接触し、前ケース400の押部材461,462が円弧部材267,268に差し込まれて押さえられた状態で挟まれ、更に第1支持部241,242が当接固定部241b,242bに、第2支持部251,252が当接固定部241c,242cに接触し固定された状態となる。なお、板状部材310,320は、細かな反発調整を必要とする場合は、リン青銅で構成することができる他、長期保管のため発錆を確実に予防する必要があるときには樹脂(ナイロン等)で形成することができる。
【0050】
図6及び図7に示すように、左側板状部材320を後ケース200に取り付けると、折返部323は、挟持固定部242aに、第1保持部材321は当接固定部242bに、第2保持部材322は当接固定部242cに接触して保持される。この状態で後ケース200に前ケース400を取り付けると、前ケース400の押部材462が円弧部材268に挿入された状態で、押部材462は折返部323に接触して、折返部323は、押部材462と、挟持固定部242aとの間に挟まれ固定された状態となる。なお、挟持固定部242aと押部材462とは、別の部材に配置されていること及び部品の公差を考慮すると寸法誤差を有し、実際には押部材462及び挟持固定部242aと折返部323とが密着しないことがあるが、板状部材320の第1保持部材321が当接固定部242bに、第2保持部材322が242cに接触しているため、板状部材320は後ケース200内に確実に保持される。本明細書では前記のような各部材間に若干の隙間が形成され密着していない場合も挟持されているものとして説明している。
【0051】
ここで、押部材462を円弧部材268のガイド面268bに沿って前前ケースを装着させようとしたときに、折返部323の位置が円弧部材268側にずれていると折返部323と押部材462とが干渉してしまう。そこで、本例では、傾斜部462aにより、折返部323が円弧部材268側にずれていたとしても、折返部323は、傾斜部462aに沿って案内され、その後、押部材462はガイド面268cにより、円弧部材268側への位置が規制される。そして、押部材の円筒部462bにより折返部323が挟持固定部242a方向へ移動するので、折返部323が押部材の円筒部462bと挟持固定部242aとで挟持される位置で位置決めされる。
【0052】
次に、衝撃検知装置100が下方向への衝撃を受けて、錘510が321との係合状態を解除して下方へ移動するときの板状部材320の状態について説明する。衝撃検知装置100が下方への衝撃を受けたとき、錘510は第1保持部材321と接する端部(作用点)を下方に押し広げながら移動する。そのとき、板状部材320は、3点で保持されているので、折返部323の中央部が撓まず、第1保持部材321と接する当接固定部242bが支点として湾曲する。このため、検知精度を向上させることができる。本実施形態の板状部材320は、折り返し部323を曲面ではなく直線状とし全体が略コ字状になるよう形成されている。このように板状部材320をコ字状にすることで、第1保持部材321と折返部323との折曲げ点と円弧部材268の端部との距離T1が小さくなる。よって、第3錘530は、第1保持部材321と円弧部材268との隙間に係合することなく円滑に移動することができる。
【0053】
本例では、両板状部材310,320を後ケース200に取り付けた状態において、図2に示すように、第1保持部材311,321のバネ実効長aは第1支持部241,242との接点から先端まで、第2保持部材312,322のバネ実効長bは第2支持部251,252との接点から先端までとなり、本例ではバネ実効長aとバネ実効長bとが等しくなるように設定している(例えば20mm)。また、本例では、同状態において両第1保持部材311,321の間隔寸法cと、両第2保持部材312,322の間隔寸法dとを等しくするようにしている。このため、第1錘510は同じ大きさの衝撃を2回検知することができる。
【0054】
また、本例では、各第1保持部材311,321、第2保持部材312,322は、前記鉛直移動経路231に対して角度θ(θは90°以下、例えば45°)をなすものとしている。上側(第1)保持部312,322は、上述したように、それぞれ第2錘520及び第3錘530が右側移動経路232、左側移動経路233を移動するときの下側ガイド部材としての役割をなす。このため、前記角度θの設定により、検出する傾きの角度を設定することができる。ここでこの角度θは、前記検出角度を定める他、第1錘510による衝撃検出の感度の大小に影響を与える。本例では、主に適用する梱包装置が直法体であることが多いことに鑑みθを45°としている。
【0055】
前記落下衝撃検出値の大小及び精度は、前記角度θの他、前記第1保持部材311,321、第2保持部材312,322の材質、断面形状、実効長a,b、先端の間隔寸法c,d、錘の質量、直径など様々な要因により定まる。この例では、大型の梱包装置を対象とする場合についてこれらの値を設定した。大型の梱包装置は高い位置からの落下より低い位置からの落下を検出することを主たる目的とすることが一般的である。低い位置からの落下衝撃は、錘の質量が小さいと保持部材のバネ力を極端に小さくしなければ検出できない。しかし、軽量の錘で低い位置からの落下衝撃を検出するためには、小さなバネ力のものを使用しなければならず、この場合検出の精度が悪くなる。これは、錘と保持部材との間の摩擦やかじり、折返部313,323の変形が不安定要素として大きく関与するためであろうと思われる。
【0056】
そこで、本例では、錘として、ある程度質量があるものを使用した。本例では、錘としてステンレス鋼製の直径10mm、厚さ6mmの輪郭円形で、質量約3.7gのタブレット状ものを使用した。錘は摩擦やかじりを防止するため面取りがされることが望ましい。また、錘の表面は金属色のままでもよいが、視認性を向上させるためその端面が所定の色に塗装したりシールを貼付したりすることができる。なお、ステンレス鋼を使用した場合比重が大きいため厚さや大きさを小さくでき装置を小型化できるが、錘の材質としては他の金属例えばアルミニウムなどを使用することができる。
【0057】
ここで、所定の錘を使用して所定高さからの落下衝撃を検出するために必要な板状部材の仕様は計算で求めることができる。即ち、所定高度からの衝撃エネルギーによって変形する所定材料、所定断面形状の板バネのたわみ量を計算し、これにより必要な有効バネ長を導き出すのである。この値により前記第1保持部材311,321及び第2保持部材312,322の寸法などが決定した。ここで、錘の直径に比して板バネの有効長が小さいと、板バネの変位量が大きくならないと、錘が離脱しないことになる。このように板バネの変形量を大きくすると、錘への板バネ先端の接触長さや時間が長くなり、かじりが発生して錘が板バネに挟まれたままで落下しないことがある。このため、検出精度を保つためには、錘の直径寸法に比して板バネの有効長を大きくする必要がある。
【0058】
次に、衝撃検知装置100の動作について説明する。図9は衝撃検知装置の作動を示す模式図である。初期位置では、第1錘510は第1保持部材311,321で保持され、第2錘520は、第3錘530は、停止板291及び錘支持部材292,293で保持さ
れいずれの観察窓からも視認されない(図9(a))。
【0059】
第1回の落下があると、第1錘510は、第1保持部材311,321を押し広げ落下し、第2保持部材312,322上に停止して保持される。これにより、第1錘510は第1表示窓431から視認できる状態となる(図9(b))。
【0060】
この状態から右転倒すると、第2錘520が右側板状部材310の第1保持部材311をガイドとして転動し右側移動経路232を径て右側錘保持部234に落下し保持される。この状態で、第2錘520は第3表示窓433で視認できる状態となる(図9(c))。
【0061】
更に、第2回の落下があると、第1錘510は、第2保持部材312,322を押し広げ落下し、下側錘保持部238上に停止して保持される。これにより、第1錘510は第1表示窓431から視認できる状態となる(図9(d))。
【0062】
この状態から左転倒すると、第3錘530が左側板状部材320の第1保持部材321の上面をガイドとして転動し左側移動経路233を径て左側錘保持部235に落下し保持される。この状態で、第2錘520は第4表示窓434で視認できる状態となる(図9(e))。
【0063】
このように、本例によれば、第1回、第2回の落下、左右の転倒に対応して、各表示窓に錘が視認できる状態となるので、衝撃検知装置100の各表示窓431〜434に表示される錘により衝撃検知装置100に加えられた落下衝撃、転倒の履歴が表示される。
【0064】
次に実施例に係る梱包装置について説明する。図10は衝撃検知装置を備えた梱包装置を示す模式図であり、(a)は梱包装置を示す斜視図、(b)は梱包装置への衝撃検知装置の取付状態を示す断面図である。本例に係る梱包装置700は、段ボール箱710の側面部720に衝撃検知装置100を配置している。衝撃検知装置100は、段ボール箱710の側面部720に開設した開口部730に嵌め込んで物品垂直面に水平に固定することができる。
【0065】
段ボール箱710の側面部720に衝撃検知装置100を嵌め込むには、図10(b)に示すように衝撃検知装置100の後ケース200にフランジ部240を形成しておく他、前ケース400の張出部480と、下部突出部490を形成しておくことが好ましい。衝撃検知装置100下側を、フランジ部240と下部突出部490とで開口部730の下縁部を挟み込むように開口部730に差し込み、張出部480を側面部720の表面に密着させるようにする。その後、衝撃検知装置100を覆うようにシール部材740を貼付しておけば、衝撃検知装置100は梱包装置700に確実に取り付けられる他、段ボール箱710に衝撃を加えてしまったとき、衝撃検知装置100を取り外し、錘を初期状態に戻してしまう(改ざん)ことを防止できる。このとき、シール部材740の粘着面は、ラベルを剥がす際に貼付け面の糊の一部が転移してケースに付着するような材質とすることが好ましく、こうすることで、改ざんのために開封したか否かを確認できるようになる。
【0066】
次に第2の実施例に係る衝撃検知装置について説明する。図11は第2の実施例に係る衝撃検知装置を示す部分拡大平面図である。この実施例に係る衝撃検知装置600は、板状部材として折返部の形状が第1実施例に係る板状部材と異なるものを使用する以外は、第1の実施例と同様の構造を備える。また、2つの板状部材は対称形であるため、以下の説明では左側の板状部材620側について説明する。本例の板状部材620は、直板状の第1保持部材621及び第2保持部材622と、半円状の折返部623とを備えて全体略U字形状に構成されている。
【0067】
板状部材620が後ケース200に配置されるに際して、折返部623は、挟持固定部242a、当接固定部242b、当接固定部242cに接触すると共に、挟持固定部242aと、押部材462との間に挟まれる。また、第1保持部材621は錘支持部材293に接触し、第2保持部材622は左側第2支持部252及び位置規制部材295に接触する。本実施例に係る衝撃検知装置600によっても、第1実施例に係る衝撃検知装置100と同様に高い精度で衝撃を検知することができる。なお、本例に係る衝撃検知装置1100では、第1保持部材621と折返部623との折曲げ点と円弧部材268の端部との距離T2が、前記第1実施例の場合の距離T1よりも大きいものとなるが、錘530は第1保持部材321を通過するとき支障なく円滑に移動することができる。
【0068】
図12は板状部材の挙動を示す図であり(a)、(b)は第1の実施例に係る板状部材の場合を示す模式図、(c)、(d)は第2の実施例に係る板状部材の場合を示す模式図である。第1の実施例の場合、挟持固定部242aから当接固定部242bまでの間には板状部材320と当接する部材は存在していない。このため、321が外力Fを受けて下に変形するとき、挟持固定部242aから当接固定部242bまでの間の部分は、回転方向の力を受けて外側に膨れだそうとする力S1が発生する。ここで、前記第2実施例では、図12(c)、(d)に示すように、折返部623が湾曲しているため、S2方向にそのまま力を受けてしまい、板状部材620全体がねじれ回転方向に引っ張られ外側に膨らむことになる。これに対し、第1実施例の場合、折返部313と第1保持部材321とはコ字形となっているため、F方向の力を受けても、S1方向の力を受けるがコ字形が保持されるためS1方向へはほとんど屈曲しない。よって、第1実施例は第2実施例に比べて予期しない撓みを抑えることができ、衝撃検知装置をより精度が高いものとすることができる。
【0069】
図13は第1の実施例に係る衝撃検知装置の変形例を示す模式図である。この例は、上述した板状部材320の挙動を考慮して、支持部824の上端に平面部824aを設け、2本の保持部825,826を配置したものである。ここで、前記平面部824aは、折返部323に接触し、前記保持部825,826は、折返部323と両保持部材321,322がなす角部に位置し、保持部材321と両保持部材321,322に接触するよう配置されている。本例では、板状部材320の無用の変形を防止してより検知精度の高い衝撃検知装置を提供することができる。
【0070】
発明者は、前記第1実施例と第2実施例の衝撃検知実験について比較する実験を行った。なお、実験は、錘の種類(直径、厚さ)と、板状部材を構成する板バネの種類(厚さ、幅、長さ)を適宜変更して行った。試験は以下の条件で行った。
【0071】
包装貨物−試験の前処理(JIS
Z 0203:2000)
Standard Test Methods for Programmable Horizontal Impact Tests for
Shipping Containers and Systems(ASTMD 4003:92)
【0072】
包装貨物−評価試験方法通則 (JIS
Z 0200:1999)
試験容器の記号表示方法 (JIS
Z 0201:1989)
包装貨物−落下試験方法 (JIS
Z 0202:1994)
ISTA PACKAGE PROJECT-1 PRE-SHIPMENT
TEST PROCEDURES (REVISED JANUARY 1984)
【0073】
試験には下記の装置を使用した
装置概要:
供試品を搭載した衝撃台を、衝撃台の支柱上部のホイストによって動作させ、電子制御窒素ガス油圧式ブレーキシステムにより衝撃台の位置を設定し、ブレーキの解放によって衝撃台を自由落下させ、プログラマに衝突させる。衝撃波形及び応答波形は、衝撃試験システムに組み込まれた波形解析ソフト「テストパートナー」によってモニタリングすることができる。
【0074】
用途:包装貨物の落下衝撃強さ試験及び輸送再現試験
JIS Z 0119, ASTM-D3332等の規格試験,輸送中の積み替え・ハンドリングの再現試験製品の落下衝撃強さ試験(ダメージバウンダリー)及び輸送再現試験
製品回収時の裸輸送試験等
MODEL 122は、大型製品及び大型ユニットの試験、MODEL 65/81は、小型製品及びユニットの試験に使用。
【0075】
装置の基本仕様:
メーカー:LANSMONT社(米国)
MODEL:MODEL 122(大型)
衝撃台寸法:1,220X1,220mm
最大搭載質量:455kg
衝撃波形(最大加速度):正弦半波(5.9km/s2),台形波(1.5km/s2)
最大速度変化:7.6m/s
波形発生装置:高圧窒素ガスプログラマ(150bar)
波形解析ソフト:テストパートナー
【0076】
図14は実験の結果を示すものであり、(a)は錘の重量と上下段の衝撃検知量誤差との関係を示すグラフ、(b)は錘の重量と衝撃検知時の反応感度との関係を示すグラフである。図14(a)に示すように、上下の検知高さの誤差を比較すると、第1実施例のもの(コ状バネ)は、第2実施例のもの(U字状バネ)に比して小さい傾向にある。上下で同一の高さを検出するよう板状部材の設定を行っていることを考慮すると、第1実施例のものは第2実施例のものに比べて狙いの検知高さに近い値に設定しやすく高い検出精度を備えることがわかる。また、図14(b)に示すように、衝撃検知時の反応感度を落下高さに換算した結果においても第1実施例の感度の優位性が確認された。
【0077】
次に第3の実施例について説明する。図15は第3の実施例に係る衝撃検知装置の後ケースを示す平面図である。本例に係る衝撃検知装置900は、上述した第1実施例に係る衝撃検知装置100の左半分を切り取ったような構成であり、他の構成は第1実施例のものと同じであるので、第1実施例と同じ符号を付しその説明を省略する。
【0078】
本例では、第1錘510は、板状部材320と壁部910とで保持されており、落下衝撃により、第1保持部材321及び第2保持部材322を変形させて鉛直移動経路231を移動する。また錘530は左方向の転倒により、左側移動経路233を移動する。
【0079】
本例に係る衝撃検知装置によれば、簡易な構成で2回の落下と左右方向の転倒を検知することができる。
【0080】
次に第4の実施例について説明する。図16は第4の実施例に係る衝撃検知装置の構成を示すものであり、(a)は後ケースに板状部材と第1錘を配置した状態を示す平面図、(b)は(a)中A方向からの端面図、(c)は衝撃検知装置に使用される板状部材の拡大斜視図、図17は後ケースの構成を示すものであり、(a)は後ケースの左側部分を示す正面図、(b)は同部分の背面図、図18は図17(b)中のB−B線に相当する断面図である。なお、図16中の第2及び第3錘の表示は省略している。
【0081】
本例に係る衝撃検知装置1100は、後ケース1200に配置される左右の第1支持部1510,1520を別部材として、後ケース1200に開設された設置孔部1310,1320に取り付け方向可変に配置するものとしている。そして、この第1支持部1510,1520の取り付け方向で、錘530を支持している板状部材1410,1420の配置位置を調整して、その実効長即ち錘を保持するギャップの寸法Dを微調整できるようにしたものである。本例では、図16(a)、(b)に示すように、板状部材1410,1420は、後ケース1200に配置された第1支持部1510,1520に配置され、円弧部材267,268に係合される前ケース400の押部材461,462で押圧されることにより後ケース1200に固定される。なお、後ケース1200は、設置孔部1310,1320を開設した他は、前記第1実施例で説明したものと同じ構成を備えるため、主要な部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0082】
このような板状部材1410の微調整は、板バネである板状部材1410の長さ寸法の加工時のばらつき(例えば±0.15mm)に対処できるものであり、調整を行うことにより、衝撃を検知高さの精度を高め、検知性能を保証する他、検出落下高さの変更に対処することができる。
【0083】
次に設置孔部1310,1320について説明する。後ケース1200に開設された設置孔部1310,1320は、同一の構成を備えるので、以下図16中の左側に配置される設置孔部1320について説明する。設置孔部1320は、図17(a)、(b)及び図18に示すように、後ケース1200の底板部1210に開設されており、底板部1210の表側面に開口する小径部1236と、裏面側に開口する大径部1235とを連通して段部1237を備えて形成される。また、大径部1235には、第1支持部1520の回転方向の位置決めを行うための4つの係止孔部1321,1322,1323,1324が90度ごとに形成されている。
【0084】
次に板状部材1410,1420について説明する。これらの板状部材1410,1420は、左右対称形状に構成されているので、図16中の左側に配置される板状部材1420について説明する。板状部材1420は、ステンレス鋼製の薄板を切断し折り曲げ加工されて構成され、図16(c)に示すように、第1保持部材1421と第2保持部材1422と、この第1保持部材1421及び第2保持部材1422を連結する折返部1423と、折返部1423から折り返し形成された弾性片部1424とからなる。弾性片部1424は、板状部材1420が後ケース1200の第1支持部1520に配置され、折返部1423が押部材462と第1支持部1520との間で挟まれたとき、板状部材1420を第1支持部1520方向に付勢して、板状部材1420が両部材の間に確実に保持されるように板状部材1420を付勢する。なお、板状部材に弾性片部を形成することなく、他の部材例えば前ケースの押部材に板状部材の折返部を押圧する弾性部を形成するようにしてもよい。
【0085】
次に第1支持部1510,1520について説明する。第1支持部1510,1520は同じ構成であるので、以下図16中の左側に配置される第1支持部1520について説明する。図19は第4の実施例の第1支持部を示すものであり、(a)は保持部材長調整部の拡大平面図、(b)は第1支持部を取り付けた状態を示す平面図、図20は板状部材の取り付け状態を示す平面図である。第1支持部1520は、図16、図18及び図19に示すように、後ケース1200の設置孔部1310に嵌合する台座部1530と、この台座部1530に立設された柱状の保持部材長調整部1540とを備えている。前記台座部1530は、前記設置孔部1320の小径部1326に嵌合する小径台座部1531と、大径部1325に嵌合する大径台座部1532とを備え、大径台座部1532には、前記設置孔部1320の係止孔部1321,1322,1323,1324のいずれかに嵌合可能な突起部1533が形成されている。この突起部1533は、第1支持部1520を設置孔部1320に挿入したとき前記係止孔部1321,1322,1323,1324のいずれかに係合して第1支持部1520を後ケース1200に固定する。この第1支持部1520は、公知の弾性嵌合を利用した係合手段で後ケース1200に取り付けるようにする。なお、前記大径部1335を後ケース1200の前側に、小径部1326を後側に形成し、小径台座部1531と大径台座部1532とをこれに合わせて形成することができる。このようにすれば、第1支持部1510,1520を後ケース1200の表側から設置することができる。
【0086】
また、保持部材長調整部1540は、前記台座部1530に立設される円柱部材1545の周面から4方に放射状に突出形成された4つの突設部1541,1542,1543,1544を備えている。本例では、図19(a)に示すように、突設部1541の高さ寸法をa1,突設部1542の高さ寸法をa2,突設部1543の高さ寸法をa3,突設部1544の高さ寸法をa4とし、本例ではa1<a3、a2=a4となる関係を備えるようにしている。そして、本例では、突設部1542の先端から突設部1544の先端のまでの寸法bを板状部材1420の第1保持部材1421と第2保持部材1422との間の寸法に等しい寸法bとなるように設定している。
【0087】
そして、本例では、第1支持部1520を設置孔部1320に取り付けるに際して、前記突起部1533を設置孔部1320の係止孔部1321及び係止孔部1323のいずれか一方に係止するように取り付けることができる。突起部1533を係止孔部1321に係止するように取り付けると、図20に示すように、突設部1541が円弧部材268側に配置され板状部材1420の折返部1423に接触するが、突設部1543は板状部材1420に接触しない。また、突設部1542は第1保持部材1421に接触し、突出部1543は第2保持部材1422に接触して第1保持部材1421と第2保持部材1422の間隔を寸法bに保持する。これにより、板状部材1420の第1保持部材1421の先端と、板状部材1410の第1保持部材の先端の間隔寸法D1(図中D1/2を示している)とする。
【0088】
一方、突起部1534を係止孔部1321に係止するように取り付けると、突設部1543が円弧部材268側に配置され板状部材1420の折返部1423に接触するが、突設部1541は板状部材1420に接触しない状態となる。また、突設部1542は第2保持部材1422に接触し、突設部1543は第1保持部材1421に接触して第1保持部材1421と第2保持部材1422の間隔を寸法bに保持する。これにより、板状部材1420の第1保持部材1421の先端と、板状部材1410の第1保持部材の先端の間隔寸法D2(図中D2/2を示している)とする。
【0089】
従って、前者の状態から後者の状態に変更すると、図20に示すように、第1保持部材1421及び第2保持部材1422をその延設方向に(a3-a1)だけ移動させることができることとなり、板状部材1420の第1保持部材1421及び第2保持部材1422の先端の位置を同寸法(a3−a1)だけ移動でき、板状部材1410,1420で形成される第1錘510の保持間隔D1とD2に調整することができる。従って、本例によれば、板状部材1410,1420の加工精度によるバネの長さのばらつきを、第1支持部1510,1520の取り付け状態で補正し、設定した衝撃を受けた場合の検知性能を保証することができる。また、調整の量の大きさによっては、検知高さ寸法を変更することができる。
【0090】
以上のように、本実施例によれば、板状部材1410,1420の板バネ長さ寸法のばらつきを補正でき、包装貨物に採用される仕様の差異に対して、外箱に設置したセンサーの応答衝撃力の変動補正が可能となり、部品点数を増加することなく低コストで検知性能保証が向上する。
【0091】
次に第5の実施例について説明する。本例に係る衝撃検知装置は、板状部材1410,1420の実効長を4通りに調整できるものである。図21は第5の実施例の第1支持部を示すものであり、(a)は保持部材長調整部の拡大平面図、(b)は第1支持部を取り付けた状態を示す平面図である。
【0092】
本例に係る衝撃検知装置は、前記第4の実施例に係る第1支持部1510,1520に代え図21に示す第1支持部1610,1620を使用する。以下第1支持部1620について説明する。本例に係る第1支持部1620は、図21(a)に示すように、円柱部材1645の周囲に4つの異なる突出量を備える突設部1641,1642,1643,1644を備える。本例では、突設部1641,1642,1643,1644の円柱部材1645からの突出量をそれぞれ、c1,c2,c3,c4とし、c4<c1<c3<c2なる関係となるようにし、且つ突設部1641の先端と突設部1643の先端の距離及び、突設部1642の先端と突設部1644の先端の距離が共に前記寸法b(第1保持部材1421と第2保持部材1422の間隔寸法)となるようにしている。
【0093】
そして、本例では、第1支持部1620を設置孔部1320に取り付けるに際して、突設部1641,1642,1643,1644のうち適正なものを板状部材1420の折返部1423に接触するよう第1支持部1620の取り付け方向を調整して設置孔部1320に配置する。このとき、第1支持部1620の突設部1633が設置孔部1320の係止孔部1321,1322,1323,1324のいずれかに係止する(図19(b)参照)。これにより、第1保持部材1421及び第2保持部材1422をその延設方向に4つの位置に設定することができる。なお、板状部材1410,1420は、第1支持部1610,1620の取り付け位置により僅かに回転が、以下の議論はこの回転による影響を含めて行う。
【0094】
従って、本実施例では、板状部材1410の第1保持部材(図示していない)と1420の第1保持部材1421との間隔寸法を、4通り、即ち折返部1423に突設部1641が接触したときG1、同じく突設部1642が接触したときG2、同じく突設部1642が接触したときG3、同じく突設部1644が接触したときG4として設定できる。このとき、G2>G3>G1>G4となる。なお、この各寸法は、2つの板状部材の各保持部材の寸法が同じであれば2つの第2保持部材の間も同寸法となる。このため本実施例によれば、板状部材1410,1420の加工精度によるバネの長さのばらつきを、第1支持部1510,1520の取り付け状態で補正し、設定した衝撃を受けた場合の検知性能を保証することができる。
【0095】
また、本実施例では、前記第1支持部1510,1520の突出部の突出寸法を予め所定の値に設定しておけば、板状部材を変更することなく、衝撃検知装置の検出高さの変更を行うことができる。
【0096】
図22は第5の実施例に係る衝撃検知装置の板状部材の間隔寸法を示す表である。ここで、板状部材1410,1420には、±0.15mmの誤差があり、この誤差に伴い、前記間隔寸法には、±0.4mmの誤差(7±0.4mm:6.6mm〜7.4mm)が生じることとなる。このような状態で、本例では、第1支持部1510,1520の取り付け状態を変更して、ギャップ寸法を4通り、即ちG1として7.3mm、G2として6.6mm、G3として7.2mm、G4として、7.4mmに設定できるものとしている。同図では比較として、落下検出高さ20cmのときに使用される間隔寸法S6.8mmのものを併せて表示している。
【0097】
図22に示すように、本例では、第1支持部の設置位置を、落下検出高さ10cmとするときは、G1、G3及びG4に設定して誤差に対処することができ、落下検出高さ15cmとするときはG3で対処することができ、落下検出高さ20cmとするときはG2で対処できることがわかる。
【符号の説明】
【0098】
100 衝撃検知装置
200 後ケース
210 底板
220 立設縁部
227 水平部
231 鉛直移動経路
232 右側移動経路
233 左側移動経路
234 右側錘保持部
235 左側錘保持部
236,237,239 リブ部材
238 下側錘保持部
240 フランジ部
241,242 第1支持部
241a,242a 挟持固定部
241b,242b、241c,242c 当接固定部
241d,242d ネジ穴
251,252 第2支持部
261,262 垂直方向錘案内レール
263,264 右側錘案内レール
265,266 左側錘案内レール
267,268 円弧部材
267b,268b ガイド面
268a 傾斜面
268c ガイド面
271,272、273,274、275,276,277,278 逆戻防止突起
291 停止板
292,293 錘支持部材
294,295 位置規制部材
310,320 板状部材
311,321 第1保持部材
312,322 第2保持部材
313,323 折返部
400 前ケース
410 板部材
420 突起部
422,423,424 表示窓
431 第1表示窓
432 第2表示窓
433 第3表示窓
434 第4表示窓
451 垂直錘案内レール
452 右側錘案内レール
453 左側錘案内レール
454,455、456,457 逆戻防止突起
461,462 押部材
461a,462a 傾斜部
462b 円筒部
471,472 固定用ビス穴
480 張出部
481,482 挿入穴
490 下部突出部
491,492 穴部
493,494,495,496 凹部
510 第1錘
520 第2錘
530 第3錘
600 衝撃検知装置
610,620 板状部材
621 第1保持部材
622 第2保持部材
623 折返部
700 梱包装置
710 段ボール箱
720 側面部
730 開口部
740 シール部材
824 支持部
824a 平面部
825,826 保持部
900 衝撃検知装置
910 壁部
1100 衝撃検知装置
1200 後ケース
1210 底板部
1235 大径部
1236 小径部
1237 段部
1310,1320 設置孔部
1320 設置孔部
1310,1320 設置孔部
1321,1322,1323,1324 係止孔部
1410,1420 板状部材
1421 第1保持部材
1422 第2保持部材
1423 折返部
1424 弾性片部
1510,1520 第1支持部
1530 台座部
1531 小径台座部
1532 大径台座部
1533 突起部
1534 突起部
1540 保持部材長調整部
1541,1542,1543,1544 突設部
1545 円柱部材
1620 第1支持部
1633 突起部
1641,1642,1643,1644 突設部
1645 円柱部材

【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2001−108703号公報
【非特許文献】
【0100】
【非特許文献1】日本化工機材株式会社カタログ「ドロップサイン」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭円形状の錘と、
前記錘を内包すると共に、衝撃を検出すべき方向に沿って形成され前記錘が移動可能な移動経路を備えたケースと、
前記ケース内において先端部が前記錘の移動方向に向くよう延設され、該先端部で前記錘を前記移動経路における初期位置に保持すると共に、前記ケースが前記衝撃方向に設定強度以上の衝撃を受けたとき湾曲して前記錘の保持が解除され前記移動方向に向け錘を離脱させる板状弾性部材と、前記板状弾性部材を前記ケースに固定する固定部とを備えて構成され、
前記板状弾性部材は、前記先端部の反対側に配置された他端側から前記先端部方向へ折り返す折返部と、該折返部から前記先端部までの腕部とを有してなり、
前記固定部は、前記折返部の略中央において前記板状弾性部材に両側から当接して挟むように固定する挟持固定部と、前記錘の移動方向に対して腕部と当接して移動を規制する当接部を備えることを特徴とする衝撃検知装置。
【請求項2】
前記板状弾性部材は、前記折返部と前記腕部とで略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の衝撃検知装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記移動通路を形成した後ケースとこの後ケースを覆う前ケースとを備え、
前記挟持固定部は、前記後ケースに設けられ、前記折り返し部と当接する第1の突部と、
前記前ケースに設けられ前記折返部における前記第1の突部との当接位置と反対の位置と当接する第2の突部と、
前記後ケースに設けられ、前記第2の突部を案内するガイド部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衝撃検知装置。
【請求項4】
前記腕部は、前記ケースが傾き方向に力を受けたとき該傾き方向に向け錘を移動させる案内部の機能を兼ね備え、
前記ガイド部は、前記腕部で案内された錘を所定方向へ案内する案内部の機能を兼ね備えていることを特徴とする請求項3記載の衝撃検知装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記第1の突部と対向する端部に、前記第1の突部に向けて上方から下方へ傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の衝撃検知装置。
【請求項6】
前記固定部は、前記板状弾性部材による前記錘の保持状態を変更できるよう前記ケースに取り付け状態可変に係着されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の衝撃検知装置。
【請求項7】
前記固定部は、所定の突出量を備える突設部を周囲に形成した柱状部材であり、この固定部はケースに回転方向に回転可能且つ所定の位置に設定して、前記板状弾性部材に接触する突設部を変更することにより板状弾性部材の配置位置を変更可能であることを特徴とする請求項6記載の衝撃検知装置。
【請求項8】
前記ケースには、その周縁に前記固定部材の位置決め用の複数の係止孔部を備えた設置孔部を形成し、前記固定部には前記設置孔部に係合する突起部を形成し、前記突起部を前記係止孔部へ係合させることにより固定部材を所定の位置に位置決めすることを特徴とする請求項7記載の衝撃検知装置。
【請求項9】
前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向すると共に、前記板状弾性部材を構成する2つの腕部に当接して前記2つの腕部の間隔寸法を保持する間隔保持突起対と、前記板状弾性部材の折り返し部に当接して前記腕部の実効長を調整する複数の異なる突出量の調整突起と、を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の衝撃検知装置。
【請求項10】
前記固定部材に形成した突設部は、互いに対向して前記板状弾性部材を構成する複数組と突起対を備え、各突起対を構成する突起はそれぞれ異なる突出量を備えると共に、対をなす2つの突起は2つの腕部に当接したとき前記2つの腕部の間隔寸法を保持する突出量を備えることを特徴とする請求項7又は請求項7に記載の衝撃検知装置。
【請求項11】
被梱包物を梱包する梱包材の少なくとも一の表面に、請求項1乃至請求項10のいずれか記載の衝撃検知装置を備えてなることを特徴とする梱包装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−75533(P2011−75533A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240254(P2009−240254)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】