説明

衝撃記録センサ

【課題】梱包用の箱やその箱の中に収納される物品がどのような形状のものであっても、箱の中に配設するだけで、箱にどのような方向から衝撃が加わっても、その衝撃を検知・記録可能な衝撃記録センサを提供すること。
【解決手段】衝撃記録センサ10は、発色剤カプセルおよび顕色剤を樹脂組成物中に配合した樹脂材料からなる感圧部材13と、感圧部材13により周囲を立体的に取り囲まれている錘15と、感圧部材13を外側から覆う形態の容器11とから構成されている。この衝撃記録センサ10が衝撃を受けた場合は、錘15の相対的な移動方向が、直行三軸方向のどちらへの変位成分を含む場合であっても、感圧部材13が容器11の内壁と錘15との間に挟まれて圧縮され、発色剤カプセルが破壊されて感圧部材13は発色する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃が加わったことを検知および記録可能な衝撃記録センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精密機器に衝撃が加わったことを検知および記録するものとしては、精密機器の内部に感圧紙を設け、精密機器に衝撃が加わると感圧紙が発色するように構成されたものが知られている(特許文献1および特許文献2を参照。)。また、製品の運搬時に利用する運搬用容器を衝撃により発色する部材で構成し、その部材の発色作用により、運搬用容器に衝撃が加わったことを検知および記録するものもある(特許文献3を参照。)。
【特許文献1】特開2003−143275号公報
【特許文献2】特開2004−184229号公報
【特許文献3】特開2006−323740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のような精密機器において、破損原因となる衝撃は、精密機器を梱包する前の段階(例えば、製造途中など)で加わることもあれば、精密機器を梱包した後の段階(例えば、輸送途中など)で加わることもある。
【0004】
しかし、上記特許文献1や特許文献2に記載の技術では、精密機器の内部に感圧紙を貼り付けてあるだけなので、衝撃が梱包前に加わっても梱包後に加わっても区別なく発色してしまい、衝撃が加わった時点を判断することは難しい。
【0005】
また、精密機器の内部に加えて、梱包用の箱の内側にも感圧紙を貼付することはできるが、このような感圧紙を発色させることは容易ではない。具体的には、第1に感圧紙を、梱包用の箱の内側に貼付したとしても、貼付箇所によっては、衝撃を受けた際、箱に収納された物品が感圧紙の貼付箇所に衝突するか否かは定かではない。また第2に、物品の形状も様々なので、衝撃を受けた際、特定形状の物品が梱包用の箱の特定箇所に接触したとしても、その特定箇所に別の形状の物品が接触するとは限らない。
【0006】
さらに第3に、衝撃を受ける方向も様々なので、ある方向から衝撃を受けたときに物品が梱包用の箱に接触したとしても、別の方向から衝撃を受けたときに物品が梱包用の箱に接触するとは限らない。したがって、この感圧紙を梱包用の箱の内側に貼付するだけでは、梱包用の箱に加わった衝撃を適切に検知することができない、という問題があった。
【0007】
また、上記特許文献3に記載の技術を利用して、梱包用の箱を衝撃で発色する部材で構成した場合には梱包用の箱が発色するが、梱包用の箱そのものを特殊な素材で製造することになるので、既存の箱を利用することはできない、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、梱包用の箱やその箱の中に収納される物品がどのような形状のものであっても、箱の中に配設するだけで、箱にどのような方向から衝撃が加わっても、梱包後に加わった衝撃を検知・記録可能な衝撃記録センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明において、上記目的を達成するために採用した構成について説明する。
本発明の衝撃記録センサは、接触に伴って発色する発色剤および顕色剤の内、少なくとも一方をマイクロカプセルに封入して、双方をマトリクスとなる樹脂組成物中に配合した樹脂材料からなる感圧部材と、外部から衝撃を受けたときに感圧部材に対して相対的に移動して感圧部材を圧縮することにより、感圧部材中のマイクロカプセルを破壊して感圧部材を発色させる錘とを備え、感圧部材が、錘の周囲を立体的に取り囲む位置に配置されていて、衝撃を受けたときの錘の相対的な移動方向が、直行三軸方向のどちらへの変位成分を含む場合であっても、感圧部材が錘によって圧縮されることを特徴とする。
【0010】
本発明の衝撃記録センサによれば、発色機能を有する感圧部材に加えて、上述の如き錘をも備えており、衝撃を受けた際には錘によって感圧部材が圧縮される。そのため、梱包用の箱やその箱の中に収納される物品がどのような形状のものであっても、この衝撃記録センサを箱の中に配設するだけで、その衝撃を検知・記録することができる。つまり、単なる感圧紙を貼付するものとは異なり、感圧紙に当接する部材との関係を考慮して、感圧紙が確実に衝撃を受ける箇所を厳密に選定して感圧紙を貼付する、といった面倒な手間がかからず、衝撃記録センサの取り付け箇所に関する自由度が飛躍的に高くなる。
【0011】
しかも、この衝撃記録センサにおいて、感圧部材は、錘の周囲を立体的に取り囲む位置に配置されているため、衝撃を受けたときの錘の相対的な移動方向が、直行三軸方向のどちらへの変位成分を含む場合であっても、感圧部材が錘によって圧縮される。したがって、この衝撃記録センサを箱の中に配設すると、梱包用の箱に対してどのような方向から衝撃を受けても錘が感圧部材を圧縮するので、特定の方向から衝撃を受けたときにだけ何らかの部材が感圧紙に当接するものとは異なり、衝撃が加わったことを確実に検知し、記録に残すことができる。
【0012】
次に、本発明の衝撃記録センサにおいて、感圧部材は、発色の状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有していると好ましい。
このような構成を採用すれば、感圧部材の表面における発色はもちろんのこと、感圧部材の内部における発色状態をも観察することができる。したがって、表面での発色しか観察できない感圧紙とは異なり、感圧部材の表面から内部にかけての発色状態から、衝撃が伝播した方向などを推定することもできるようになる。
【0013】
次に、本発明の衝撃記録センサにおいて、感圧部材の外側を覆う形態で、感圧部材の発色状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有する容器を備えており、衝撃を受けたときに、感圧部材が容器と錘との間に挟まれて圧縮されるものであると好ましい。
【0014】
このような容器を備えていれば、錘の移動に伴って感圧部材が錘から逃げる方向へ移動しようとしても、そのような移動は容器によって阻止されるので、感圧部材は錘と容器に挟み込まれる形で圧縮される。したがって、このような容器を備えていないものに比べ、感圧部材を発色させやすくすることができる。また、容器は感圧部材の発色状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有するため、容器によって発色状態が確認しづらくなることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態として説明する衝撃記録センサ10の斜視図であり、図1(b)は、衝撃記録センサ10の断面図である。
【0016】
衝撃記録センサ10は、容器11、感圧部材13、および鋼球である錘15により構成されている。容器11は、透明度の高いアクリル樹脂製の直方体形状の容器である。
感圧部材13は、直方体の容器11の各面内側に貼付され、衝撃記録センサ10の内部には、感圧部材13に囲まれた内部空間が形成されている。この感圧部材13は、きわめて低硬度なエラストマー材料(ゲル状樹脂材料)からなるものであり、発色の状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有する。
【0017】
具体的には、本実施形態において、感圧部材13を形成する材料は、加熱溶融状態のスチレン系エラストマー(北川工業株式会社製、YMG−80)に、発色剤カプセル(平均粒径20〜30μmのメラミン樹脂製マイクロカプセルに発色剤を封入したもの)および顕色剤(発色剤との化学反応により発色剤を発色させる化合物)を添加配合したものである。
【0018】
錘15は、上述の感圧部材13に囲まれた内部空間に配置され、直交三軸方向のどの方向にも移動可能となっている。
次に、上述のように構成された衝撃記録センサ10を、物品を収納した梱包用の箱の内部に配設した場合を例に挙げて、衝撃記録センサ10の機能について説明する。
【0019】
衝撃記録センサ10が取り付けられた梱包用の箱が輸送時に衝撃を受けると、その衝撃は衝撃記録センサ10にも伝わる。このとき、箱に収納されている物品が衝撃記録センサ10に接触しなくても、感圧部材13は、容器11の内壁と錘15との間に挟まれて圧縮される。
【0020】
感圧部材13が圧縮されると、発色剤カプセルの破壊を招く程度に強い応力が作用した部分では、発色剤カプセルが破壊されて発色剤と顕色剤が接触するため、当該部分において感圧部材13が発色する。
【0021】
また、錘15は感圧部材13に囲まれているため、衝撃記録センサ10が衝撃を受けたときの錘15の相対的な移動方向が直交三軸方向のどちらへの変位成分を含む場合であっても、感圧部材13が容器11の内壁と錘15との間に挟まれて圧縮される。
【0022】
したがって、このような衝撃記録センサ10であれば、衝撃記録センサ10を箱の内部のどのような場所に取り付けておいても、衝撃を受けた際には感圧部材13を発色させることができる。
【0023】
また、このような衝撃記録センサ10であれば、どのような方向から衝撃を受けても錘15が感圧部材13を圧縮するので、特定方向から物品が接触しなければ発色しない感圧紙とは異なり、衝撃が加わったことを確実に検知し、記録に残すことができる。
【0024】
また、容器11は高い透明度を有しているため、容器11によって感圧部材13の発色状態が確認しづらくなることもない。さらに、感圧部材13は、発色の状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有しているため、感圧部材13の内部における発色状態を確認することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2(a)は、第2実施形態として説明する衝撃記録センサ20の斜視図であり、図2(b)は、衝撃記録センサ20の断面図である。衝撃記録センサ20は、感圧部材23、錘15により構成されている。なお、感圧部材23および錘15は、上述の第1実施形態のものと同様の素材で構成されている。
【0026】
感圧部材23は、上述のエラストマー材料を直方体形状に成形した部材である。錘15は、第1実施形態の衝撃記録センサ10のような内部空間がない状態で、感圧部材23の内部の略中心に封入されている。
【0027】
また、この衝撃記録センサ20は、第1実施形態の衝撃記録センサ10とは異なり、容器11を備えておらず、衝撃記録センサ20の表面に感圧部材23が露出している。このような容器11を備えない構造とすることにより、衝撃記録センサ20は、緩衝材としても使用できるようになっている。すなわち、感圧部材23を形成しているエラストマー材料は、緩衝材としても優れた特性を備えているため、衝撃記録センサ20を緩衝材としても使用できるのである。
【0028】
このように構成された衝撃記録センサ20でも、衝撃記録センサ20が取り付けられた梱包用の箱が輸送時に衝撃を受けると、その衝撃が衝撃記録センサ20に伝わるので、錘15の慣性力によって感圧部材23が圧縮されて発色する。また、錘15は感圧部材23の内部に封入されているため、衝撃記録センサ20が衝撃を受けたときの錘15の相対的な移動方向がどのような方向であっても、感圧部材13が圧縮されて発色する。したがって、衝撃記録センサ20の発色によって、梱包用の箱に衝撃が加わったことを知ることができる。
【0029】
また、この衝撃記録センサ20は緩衝材としても使用できるので、この衝撃記録センサ20を梱包用の箱と、その内部に収納されている物品との間に介装することで、箱の内部に収納されている物品を衝撃から保護することもできる。
【0030】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0031】
例えば、上述の実施形態の衝撃記録センサにおいて、物品の梱包用の箱を輸送する時の箱に取り付けて、箱が受けた衝撃を検知・記録する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、衝撃の検知・記録が必要となる様々なものに取り付けて利用することができる。
【0032】
また、上述の実施形態の衝撃記録センサにおいて、錘としては、鋼鉄製の球体を例示したが、錘の形状は球状のものに限定されるものではない。
例えば、図3に示す衝撃記録センサ30は、第1実施形態において例示した衝撃記録センサ10と同様の容器11と感圧部材13を備えているが、錘35の形状が第1実施形態の錘15とは異なり、立体的な星型の形状の鋼鉄製部材となっている。
【0033】
このような衝撃記録センサ30でも、発色の仕組みは上述の衝撃記録センサ10と同様であるが、感圧部材13が錘35の星型の頂点と容器11との間に挟まれると、球状の錘15によって感圧部材13が圧縮される場合に比べて、同程度の衝撃を受けても感圧部材13の狭い範囲に応力が集中する。したがって、より小さな衝撃を受けた場合にも、感圧部材13を発色させることができるようになる。
【0034】
なお、錘の材質、重さ、および形状は、感圧部材を圧縮することができるようなものであれば、どのようなものでもよい。
また、上述の衝撃記録センサにおいて、発色剤および顕色剤としては、例えば、感圧紙等において一般的に用いられている公知の電子受容性顕色剤および電子供与性発色剤を用いることができる。
【0035】
具体的な発色剤としては、例えば、トリアリールメタン化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロ系化合物等を用いることができる。より具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−3,4−ジクロルアニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトビラン、3,3−ジクロロ−スピロ−ジナフトビラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトビラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等を用いることができる。
【0036】
また、具体的な顕色剤としては、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等を用いることができる。
なお、これらの発色剤や顕色剤をマイクロカプセルに封入する場合は、発色剤または顕色剤を高沸点溶媒に溶解して、マイクロカプセルに内包するという方法を利用することができる。高沸点溶媒としては、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン類、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアルキルアルカン類、ジプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル類、アルキルベンゼン類、ベンジルナフタレン類、ジアルキルアルキレン類、マレイン酸ジオクチル等のカルボン酸エステル系化合物、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル化合物、ヒマシ油、大豆油、綿実油等の植物油、鉱物油のような天然物沸点留分(脂肪族炭化水素よりなる)等が挙げられる。
【0037】
また、上述の衝撃記録センサにおいて、マイクロカプセルとしては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、またはゼラチンからなるものを利用することができる。
より具体的には、マイクロカプセルは、ゼラチン、アラビアゴム系を利用したコンプレックスコアセルベーション法、ポリウレタンウレア樹脂皮膜等を界面にして形成する界面重合法、メラミン‐ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等の皮膜樹脂初期縮合物を分散媒側から添加し、樹脂化するinsitu重合法等によって形成することができる。特に,メラミン‐ホルマリン樹脂,尿素―ホルマリン樹脂等の皮膜樹脂等の皮膜樹脂初期縮合物を用い、これを分散媒側から添加し、樹脂化するinsitu重合法が高濃度のマイクロカプセルが得られ、比較的粒径を小さくすることができるので好ましい。
【0038】
また、上述の衝撃記録センサにおいて、マトリクスとなる具体的な樹脂組成物としては、目的に応じて、比較的硬質なものから軟質なものまで任意に利用することができる。
例えば、硬質なものとしては、ポリアミド樹脂(PA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフェニレンオキシド樹脂(PPO)などを用いることができる。
【0039】
また、軟質なものとしては、ゴムやエラストマーを樹脂組成物として用いればよく、CPE(塩素化ポリエチレン)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー三元共重合体)、TPE(熱可塑性エラストマー)、液状シリコーン、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどを用いることができる。
【0040】
また、上述の衝撃記録センサにおいて、エラストマーとしては、ベースポリマーに対して液状の軟化材を配合してなるゲル状樹脂組成物を利用することもできる。ベースポリマーについては、ゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がないポリマーであれば任意であるが、代表的なものとしては、例えば、スチレン系、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他による変性物、あるいは、スチレン系、ABS系、オレフィン系、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、カーボネート系、アセタール系、アミド系、ハロゲン化ポリエーテル系、ハロゲン化オレフィン系、セルロース系、ビニリデン系、ビニルブチラール系、アルキレンオキサイド系などの熱可塑性樹脂、およびこれらの樹脂のゴム変性物などを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、相性のよいもの同士であれば、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0041】
液状の軟化剤についても、最終的にゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がない軟化剤であれば何でもよく、親水性、疎水性のいずれの軟化剤をも利用することができる。
具体的な軟化剤としては、鉱物油系、植物油系、合成系などの各種ゴム用または樹脂用軟化剤を使用可能である。鉱物油系としては、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系などのプロセスオイルが挙げられ、植物油系としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、椰子油、落花生油、木蝋、パインオイル、オリーブ油などが挙げられ、合成系としてはポリαオレフィン(PAO)、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンなどが挙げられる。これらの軟化剤は単独で用いてもよいが、互いの相溶性が良好な2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0042】
これらベースポリマーおよび軟化剤の配合比は、軟化剤の量が多いほどゲル状樹脂材料の硬度は低いものとなるので、所望の硬度となるように適宜調製することができる。ベースポリマーおよび軟化剤の組み合わせについて一例を挙げれば、例えば、前記ベースポリマーとしては、スチレン系エラストマーを利用し、軟化剤としては、パラフィン系オイルを利用すると好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系エラストマー、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系エラストマー、スチレン−イソブチレン−スチレン系エラストマーなどを用いることができる。
【0043】
また、上述の衝撃記録センサにおいて、ベースポリマーの選択および配合の調整により感圧部材の硬度を任意に調整することができる。例えば、感圧部材の硬度をアスカーFP硬度20〜95の範囲となるように調整することで、感圧部材は、非常に高い衝撃緩衝能力、防振特性を有するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は第1実施形態として説明した衝撃記録センサの斜視図であり、(b)は第1実施形態として説明した衝撃記録センサの断面図である。
【図2】(a)は第2実施形態として説明した衝撃記録センサの斜視図であり、(b)は第2実施形態として説明した衝撃記録センサの断面図である。
【図3】第1実施形態の変形例として説明した衝撃記録センサの斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
10,20,30・・・衝撃記録センサ、11・・・容器、13,23・・・感圧部材、15,25,35・・・錘。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触に伴って発色する発色剤および顕色剤の内、少なくとも一方をマイクロカプセルに封入して、双方をマトリクスとなる樹脂組成物中に配合した樹脂材料からなる感圧部材と、
外部から衝撃を受けたときに前記感圧部材に対して相対的に移動して前記感圧部材を圧縮することにより、前記感圧部材中の前記マイクロカプセルを破壊して前記感圧部材を発色させる錘と
を備え、
前記感圧部材が、前記錘の周囲を立体的に取り囲む位置に配置されていて、前記衝撃を受けたときの前記錘の相対的な移動方向が、直行三軸方向のどちらへの変位成分を含む場合であっても、前記感圧部材が前記錘によって圧縮される
ことを特徴とする衝撃記録センサ。
【請求項2】
前記感圧部材は、前記発色状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃記録センサ。
【請求項3】
前記感圧部材の外側を覆う形態で、前記感圧部材の前記発色の状態を外部から観察可能な程度の光透過性を有する容器を備えており、
前記衝撃を受けたときに、前記感圧部材が前記容器と前記錘との間に挟まれて圧縮される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝撃記録センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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