説明

衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び衣料洗浄剤

【課題】 液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、洗濯時の水量が少なくても再汚染防止性能に優れる衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び前記衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるポリマー(P)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【化7】


式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種;OA1は炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基;OA2及びOA3はそれぞれ独立して炭素数2〜4のオキシアルキレン基;aは10〜500の数;b及びcはそれぞれ独立して0〜10の数;dは1〜120の数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料洗浄剤用再汚染防止剤に関する。更に詳しくは、衣料用の液体洗浄剤用再汚染防止剤及びそれを含有してなる液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類の洗濯に使用される衣料洗浄剤として、液体衣料洗浄剤が頻繁に使用されている。液体衣料洗浄剤は、粉末衣料洗浄剤と比較して、水への溶解性が良好である、粉むせがない、汚れに直接塗布することで高い洗浄効果が得られるといった点で優れている。従来、粉末液体衣料洗浄剤に使用される再汚染防止剤としては、ポリエーテルに(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体をグラフト重合したポリマー(特許文献−1参照)、不飽和カルボン酸や(メタ)アクリル酸エステルといった単量体を重合して得られるポリマー(特許文献−2参照)等が知られていて、これらを液体衣料洗浄剤用再汚染防止剤として用いることが試みられている。しかしながら、従来の粉末衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、液体衣料洗浄剤に配合した時の配合安定性が悪いため、配合量を増やすことができないという問題がある。また、近年、節水や省エネ等の観点から、ドラム型洗濯機が使用されるようになってきたが、従来の縦型水槽洗濯機に比べて洗濯時の水量が少なく、従来の液体衣料洗浄剤用再汚染防止剤では、再汚染防止性能が不十分であり、再汚染が顕著に発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特開平7−53993号公報
【特許文献−2】特開平11−140488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、洗濯時の水量が少なくても再汚染防止性能に優れる衣料洗浄剤用再汚染防止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、一般式(1)で表されるポリエステル(P)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び前記衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤である。
【化1】

式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種;OA1は炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基;OA2及びOA3はそれぞれ独立して炭素数2〜4のオキシアルキレン基;aは10〜500の数;b及びcはそれぞれ独立して0〜10の数;dは1〜120の数である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好である。また、本発明の再汚染防止剤を含む液体衣料洗浄剤は再汚染防止性が良好であり、特に、少量の水で洗浄した場合においても優れた再汚染防止性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるポリマー(P)を表す一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基である。
【0008】
炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、2−エチルへキシレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基及びイコシレン基等が挙げられる。
芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基の炭素数が1〜6のフェニルアルキレン基(例えばフェニルメチレン基、1−フェニルエチレン基、2−フェニルプロピレン基、1−フェニルブチレン基、1−フェニルペンチレン基及び2−フェニルヘキシレン基等)、アルキル基の炭素数が1〜6のアルキルフェニレン基(例えばメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、プロピルフェニレン基、ブチルフェニレン基、ペンチルフェニレン基及びヘキシルフェニレン基等)及び下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
【化2】

【0009】
式中、X1及びX2はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられ、好ましいのはメチル基である。
【0010】
1のうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは、炭素数1〜20のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、及びアルキレン基の炭素数が1〜6のフェニルアルキレン基であり、更に好ましいのは、炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基及びアルキレン基の炭素数が1〜6のフェニルアルキレン基である。
【0011】
2のうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは、炭素数4〜12のアルキレン基、及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基であり、更に好ましいのは、炭素数6〜12のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、及び一般式(2)で表される基であり、特に好ましいのは、炭素数6〜12のアルキレン基及び一般式(2)で表される基である。
【0012】
一般式(1)におけるOA1は炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基が挙げられる。またOA1は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用であってもよい。これらのうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは、オキシエチレン基の単独使用、及びオキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用であり、更に好ましいのは、オキシエチレン基の単独使用である。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基を併用する場合のオキシエチレン基/オキシプロピレン基のモル比率は、再汚染防止性の観点から好ましいのは99/1〜60/40であり、更に好ましいのは9/10〜70/30である。
【0013】
OA2及びOA3は、それぞれ独立して炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。これらのうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基であり、更に好ましいのはオキシエチレン基である。またOA2及びOA3は、2種以上のオキシアルキレン基の併用であってもよい。2種以上のオキシアルキレン基を併用する場合、好ましいのは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用である。オキシエチレン基とオキシプロピレン基を併用する場合のオキシエチレン基/オキシプロピレン基のモル比率は、再汚染防止性の観点から好ましいのは99/1〜60/40であり、更に好ましいのは90/10〜70/30である。
【0014】
一般式(1)におけるaは10〜500の数であり、再汚染防止性の観点から好ましいのは20〜400であり、更に好ましいのは30〜300である。
b及びcは、それぞれ独立して0〜10の数であり、再汚染防止性の観点から好ましいのは1〜8であり、更に好ましいのは1〜5である。
dは1〜120の数であり、再汚染防止性の観点から好ましいのは2〜100であり、更に好ましいのは3〜50である。
なお、(OA1a、(OA2b及び(OA3cは、通常はアルキレンオキサイドの開環付加反応で製造されるので、a、b及びcはアルキレンオキサイドの付加モル数の平均であり、必ずしも整数であるとは限らない。また、dはR1を有するジカルボン酸とR2を有するジオールとのエステル化反応によって製造される(ポリ)エステルにおける繰り返し単位数の平均であり、必ずしも整数であるとは限らない。
【0015】
ポリマー(P)の数平均分子量(以下、Mnと略記する。)は、再汚染防止性の観点から好ましいのは1,000〜30,000であり、更に好ましいのは2,000〜20,000であり、特に好ましいのは3,000〜10,000である。なお、Mnは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定することができる。
【0016】
ポリマー(P)は、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有化合物(A)と、一般式(4)で表されるポリエーテル(B)とのエステル化反応で得ることができる。
【0017】
【化3】

【0018】
一般式(3)において、R1、R2、OA2及びOA3はそれぞれ一般式(1)における前記R1、R2、OA2及びOA3に対応した同じ基であり、b、c及びdはそれぞれ一般式(1)における前記b、c及びdに対応した同じ数である。
【0019】
H−(OA1)a−OH (4)
式中、OA1は、前記一般式(1)におけるOA1と同様の基であり、aも一般式(1)のaと同様である。
【0020】
本発明におけるポリマー(P)は、カルボキシル基含有化合物(A)とポリエーテル(B)とのエステル化反応で得ることができる。エステル化反応としては、例えばカルボキシル基含有化合物(A)とポリエーテル(B)を反応容器に仕込み、反応温度100〜250℃、圧力−0.1〜1.2MPaで撹拌下、エステル反応で生成する水(以下、生成水と略記する。)を反応系外に溜去させながらエステル化する方法が挙げられる。カルボキシル基含有化合物(A)とポリエーテル(B)の仕込みモル比[(A)/(B)]は、再汚染防止性の観点から好ましいのは0.1〜1.0であり、更に好ましいのは0.2〜0.5である。また、反応を促進させるために、ポリマー(P)の重量に基づいて0.05〜0.5重量%の触媒を使用することが好ましい。触媒としては、無機酸(例えば硫酸及び塩酸等)有機スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等)及び有機金属化合物(例えばジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート、ビストリエタノールアミンチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等)等が挙げられる。触媒を使用した場合は、エステル化反応終了後必要により触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。生成水を反応系外に溜去する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)水と相溶しない有機溶媒(例えばトルエン、キシレン及びシクロヘキサン等)を使用して、還流下、有機溶媒と生成水とを共沸させて、生成水のみを反応系外に溜去する方法
(2)反応系内にキャリアガス(例えば空気、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素等)を吹き込み、キャリアガスと共に生成水を反応系外に溜去する方法
(3)反応系内を減圧にして生成水を反応系外に溜去する方法
また、前記(1)の方法で有機溶媒を使用した場合は、エステル化反応終了後反応系内を減圧にして有機溶媒を溜去することができる。
【0021】
カルボキシル基含有化合物(A)は、一般式(5)で表されるジカルボン酸(a)又はジカルボン酸の無水物と、一般式(6)で表されるジオール(b)との(ポリ)エステル化反応により得ることができる。(ポリ)エステル化反応については、(A)と(B)のエステル化反応によりポリマー(P)を得る方法と同様の方法が挙げられる。
【0022】
HOOC−R1−COOH (5)
式中、R1は前記一般式(3)における基と同じ基である。
【0023】
H−(OA2)b−O−R2−(OA3)c−OH (6)
式中、R2、OA2、OA3、b及びcは前記一般式(3)におけると同じである。
【0024】
一般式(5)で表されるジカルボン酸(a)及びその無水物としては、炭素数3〜22の直鎖又は分岐の鎖式飽和ジカルボン酸(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸及びドデシルコハク酸等)、並びに炭素数8〜26の芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−及び4,4’−ジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
【0025】
ジカルボン酸の無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物、例えば、無水コハク酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
【0026】
ジカルボン酸及びその無水物は、単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましいのは、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸である。
【0027】
一般式(6)で表されるジオール(b)としては、炭素数1〜20のアルカンジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する。)付加物及び芳香環を有する炭素数6〜24の2個の水酸基を有する化合物のAO付加物が挙げられる。
【0028】
炭素数1〜20のアルカンジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール及びデカンジオール等が挙げられる。アルカンジオールのAO付加物としては、上記ジオールに炭素数2〜4のAOを付加した化合物が挙げられる。炭素数2〜4のAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する。)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記する。)、1,2−ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する。)等が挙げられる。これらのAOは2種以上を併用してもよく、2種以上の併用の場合の結合様式は、ブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよい。アルカンジオール1分子当たりのAOの付加モル数は、通常2〜20モルである。
【0029】
芳香環を有する炭素数6〜24の2個の水酸基を有する化合物のAO付加物における2個の水酸基を有する化合物としては、ビスフェノールA、クレゾール、ヒドロキシメチルフェノール及びヒドロキシエチルフェノール等が挙げられる。
【0030】
一般式(6)で表されるジオール(b)のうちで、再汚染防止性の観点から好ましいのは、芳香環を有する炭素数6〜24の2個の水酸基を有する化合物のAO付加物であり、更に好ましいのはビスフェノールAのAO付加物である。
【0031】
一般式(1)で表されるポリマー(P)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1):[一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=45、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]
(2):[一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]
(3):[一般式(1)において、OA1=オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]
(4):[一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=2、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]
(5):[一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=ヘキサメチレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]
(6):[一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2=ヘキサメチレン基である化合物]
(7):[一般式(1)において、OA1=オキシエチレン基、OA2及びOA3=オキシプロピレン基、R1=オクタデシレン基、a=300、b及びc=10、d=100、R2=フェニレン基である化合物]
(8):[一般式(1)において、OA1=オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=2−フェニルプロピレン基、a=30、b及びc=8、d=100、R2=ドデシレン基である化合物]
(9):[一般式(1)において、OA1=オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=2−フェニルプロピレン基、a=450、b及びc=3、d=50、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=水素原子である化合物]
【0032】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、必要により溶媒及び/又は公知の再汚染防止剤を含有してもよい。溶媒としては、水、一価アルコール(例えばメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)及び二価アルコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等)等が挙げられる。これらのうち、溶解性の観点から好ましいのは水である。溶媒の含有量は、ポリマー(P)の全重量に基づき、好ましいのは5〜300重量%である。
公知の再汚染防止剤としては、ポリカルボン酸塩[例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸等の重合体(Mn=1,000〜100,000)とアルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びモノエタノールアミン等)との塩]、カルボキシメチルセルロース(Mn=10,000〜100,000)、ポリエチレングリコール(Mn=1,000〜100,000)及びポリビニルアルコール(Mn=1,000〜100,000)等が挙げられる。
公知の再汚染防止剤の含有量は、ポリマー(P)の全重量に基づき、好ましいのは5〜300重量%である。
【0033】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の性状は特に限定されないが、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状及びブロック状等が挙げられる。これらの内、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【0034】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、ポリマー(P)だけを含有する場合は、ポリマー(P)を合成した後、粉砕機(例えばミルミキサー、ボールミル、ジェット粉砕機、コロイドミル及びホモジナイザー等)で適度な大きさ(粉末状、フレーク状及びブロック状等)に粉砕することにより製造できる。
溶媒を含有する場合、ポリマー(P)を合成した後、溶媒に溶解する方法等により製造できる。
公知の再汚染防止剤を含有する場合、ポリマー(P)[又はポリマー(P)の溶液(懸濁液又は乳化液)]と公知の再汚染防止剤{又は公知の再汚染防止剤の溶液(懸濁液又は乳化液)}とを均一混合することで製造できる。
【0035】
なお、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、本発明の衣料洗浄剤の構成成分として使用することも可能であるが、衣料洗浄剤に配合せずに、衣料洗浄剤とは別々に衣料の洗浄水に添加することも可能である。
【0036】
本発明の衣料洗浄剤は、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有する衣料洗浄剤である。また本発明の再汚染防止剤の他に、公知の非イオン性、アニオン性、両性又はカチオン性界面活性剤(特開2004−27181号公報に記載のもの)等を含有する。これらの界面活性剤の内、洗浄性の観点から好ましいのは、非イオン性界面活性剤(C)及びアニオン性界面活性剤(D)である。
【0037】
非イオン性界面活性剤(C)としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤(C1)及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤(C2)等が挙げられる。
【0038】
(C1)としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO付加物(付加モル数1〜30)、高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)、脂肪酸(炭素数8〜18)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等が挙げられる。
【0039】
(C2)としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0040】
非イオン性界面活性剤(C)の内、洗浄性の観点から好ましいのは、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)及び高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)である。
【0041】
アニオン性界面活性剤(D)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ若しくはジアルキルスルホコハク酸エステルジ若しくはモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ若しくはジアルキルスルホコハク酸エステルジ若しくはモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0042】
アニオン性界面活性剤(D)の内、洗浄性の観点から好ましいのは、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸(塩)、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩である。
【0043】
本発明の衣料洗浄剤は、性状を液状又はぺースト状にするために、必要により水を含有してもよい。
【0044】
本発明の衣料洗浄剤は、必要により、公知のその他の成分、例えば特開2004−27181号公報に記載のビルダー、キレート剤、酵素、親水性溶媒、消泡剤、蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、除菌剤、香料及び着色剤を含有してもよい。
【0045】
ビルダーとしては、ポリカルボン酸塩(アクリル酸塩ホモポリマー及びマレイン酸塩ホモポリマー等)、多価カルボン酸塩(クエン酸及びリンゴ酸等)、及びアルカリビルダー(苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、トリポリリン酸ソーダ及びケイ酸ソーダ等)等が挙げられる。キレート剤としては、EDTA及びNTA等が挙げられる。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼ等が挙げられる。親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤及び鉱物油系消泡剤等が挙げられる。
【0046】
本発明の衣料洗浄剤における本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤、界面活性剤、水及びその他の成分の含有量は以下の通りである。
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、再汚染防止性の観点から好ましいのは0.1〜5重量%であり、更に好ましいのは0.5〜5重量%であり、特に好ましいのは1〜5重量%である。
界面活性剤の含有量は、洗浄剤の全重量に基づいて、洗浄性の観点から好ましいのは95〜99.9重量%であり、更に好ましいのは95〜99.5重量%であり、特に好ましいのは95〜99重量%である。
水の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは1,000重量%以下であり、更に好ましいのは500重量%以下であり、特に好ましいのは100重量%以下である。
その他の成分の内、ビルダー及びキレート剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは10重量%以下であり、更に好ましいのは5重量%以下である。蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、酵素、除菌剤、香料、着色剤及び消泡剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは5重量%以下であり、更に好ましいのは2重量%以下である。親水性溶媒の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは20重量%以下であり、更に好ましいのは10重量%以下である。
【0047】
本発明の衣料洗浄剤の性状は特に限定されないが、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状及びブロック状等が挙げられる。これらの内、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【0048】
本発明の衣料洗浄剤は、衣料洗浄剤の性状の違いにより、以下の方法を選択して製造することができる。
(1)衣料洗浄剤の性状が液状又はペースト状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、水及び/又はその他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、10〜50℃で均一になるまで攪拌して製造する方法。
(2)衣料洗浄剤の性状が粉末状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、水及び/又はその他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、10〜50℃で均一になるまで攪拌した後、噴霧乾燥器(例えば圧力噴霧ノズル型噴霧乾燥機、2流体噴霧ノズル型噴霧乾燥機及び回転円盤式噴霧乾燥機等)で噴霧乾燥する方法。
(3)衣料洗浄剤の性状が粉末状、フレーク状及びブロック状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、その他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、30〜100℃で均一に溶融するまで攪拌した後、離型紙上に溶融物を取り出して室温まで冷却し、得られた固化物を粉砕機(例えば、ミルミキサー、ボールミル、ジェット粉砕機、コロイドミル及びホモジナイザー等)で適度な大きさ(粉状、フレーク状又はブロック状)に粉砕する方法。
【0049】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及びこれを含有してなる衣料洗浄剤は、天然繊維、化合繊繊維及びこれらの混紡交編織繊維の水洗浄に有用である。
【0050】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の使用量は、洗浄する衣料の汚れの度合い等に従って任意に選択されるが、洗浄する衣料1kgあたり好ましいのは0.2mg〜2gであり、更に好ましいのは0.9mg〜1.5gであり、特に好ましいのは7mg〜1.2gである。
【0051】
本発明の衣料洗浄剤の使用量は、洗浄する衣料の汚れの度合い等に従って任意に選択されるが、洗浄する衣料1kgあたり好ましいのは1〜30gであり、更に好ましいのは5〜20gであり、特に好ましいのは10〜15gである。
【0052】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤又はこれを含有してなる衣料洗浄剤を用いて、衣料を洗浄(洗濯)するのに必要な水の使用量は、衣料1kgあたり1〜30L程度である。
【0053】
洗浄の温度は、適用する繊維の種類によって任意に選択できるが、好ましいのは5〜80℃であり、更に好ましいのは15〜50℃である。
【0054】
洗浄方法は特に制限はなく、家庭においては手洗い及び洗濯機等、産業界において(業務用として)は液流染色機によるバッチ処理及び連続精錬装置による連続処理等が適用できる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部及び%は、特記しない限りそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0056】
Mnは、以下の条件によりGPCで測定した。
機種 :HLC−8220GPC[東ソー(株)製液体クロマトグラフ]
カラム :TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
[いずれも東ソー(株)製]
カラム温度:40℃
検出器 :RI(Refractive Index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/分
試料濃度 :0.25重量%
注入量 :10μl
標準 :ポリスチレン
[TSK STANDARD POLYSTYRENE;東ソー(株)製]
【0057】
<製造例1>[ポリマー(P−1)の合成]
攪拌装置、加熱冷却装置、窒素通気管及び分水管を備えたガラス製反応容器に、ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製:以下BPE−20と略記する。]300部、テレフタル酸120部(BPE−20/テレフタル酸=1.28/1モル比)及びビストリエタノールアミンチタネート1.2部を仕込み、窒素流通下200℃で水を留去しながら10時間反応させた。180℃に冷却後、ポリオキシエチレングリコール「PEG2000」[三洋化成工業(株)製]840部を加えて、窒素流通下180℃で水を留去しながら5時間反応させ、ポリマー(P1)1285部(Mn=5500)を得た[(P−1)は、一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=45、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]。
【0058】
<製造例2>[ポリマー(P−2)の合成]
「PEG2000」840部をポリオキシエチレングリコール「PEG4000」[三洋化成工業(株)製)1325部に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー(P2)1725部(Mn=7600)を得た[(P−2)は、一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]。
【0059】
<製造例3>[ポリマー(P−3)の合成]
「PEG2000」840部をポリオキシプロピレンのEO付加物「ニューポールPE−74」[三洋化成工業(株)製]1435部に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー(P3)1840部(Mn=7800)を得た[(P−3)は、一般式(1)において、OA1=オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]。
【0060】
<製造例4>[ポリマー(P−4)の合成]
攪拌装置、加熱冷却装置、窒素通気管及び分水管を備えたガラス製反応容器に、ビスフェノールAのEO4モル付加物「ニューポールBPE−40」[三洋化成工業(株)製:以下BPE−40と略記する。]180部、テレフタル酸60部(BPE−40/テレフタル酸=1.28/1モル比)及びビストリエタノールアミンチタネート0.6部を仕込み、窒素流通下200℃で水を留去しながら10時間反応させた。180℃に冷却後、ポリオキシエチレングリコール「PEG4000」[三洋化成工業(株)製]650部を加えて180℃で5時間反応させ、ポリマー(P4)877部(Mn=8200)を得た[(P−4)は、一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=2、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]。
【0061】
<製造例5>[ポリマー(P−5)の合成]
テレフタル酸120部をアジピン酸124部に、「PEG2000」840部を「PEG4000」1325部に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー(P5)1730部(Mn=7600)を得た[(P−5)は、一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=テトラメチレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2が一般式(2)で表される基であってX1及びX2=メチル基である化合物]。
【0062】
<製造例6>ポリマー(P−6)の合成]
「BPE−20」300部を1,6ヘキサンジオールのEO2モル付加物187部に、「PEG2000」840部を「PEG4000」1325部に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリマー(P6)1615部(Mn=7600)を得た[(P−6)は、一般式(1)において、OA1、OA2及びOA3=オキシエチレン基、R1=フェニレン基、a=91、b及びc=1、d=7.5、R2=ヘキサメチレン基である化合物]。
【0063】
<製造例7>[非イオン性界面活性剤(C−1)の合成]
撹拌器、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた加圧反応容器に、ステアリルアミン109部及び水酸化カリウム0.2部を仕込み、窒素置換後、減圧下(20mmHg)、120℃で1時間脱水を行った。次いで130℃に昇温し、圧力が0.5MPaを超えないように調整しながらEO267部を2時間かけて滴下し、更に同温で3時間熟成させ、非イオン性界面活性剤(A1)[ステアリルアミン−(EO)15付加物]376部を得た。
【0064】
<製造例8>[アニオン性界面活性剤(D−1)の合成]
攪拌装置、加熱冷却装置及び滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、ドデシルベンゼンスルホン酸「テイカパワーL−121」[固形分濃度20重量%、テイカ(株)製]100部を仕込み、攪拌下、20〜30℃でモノエタノールアミン3.7部を1時間かけて滴下し、更に同温で1時間攪拌し、アニオン性界面活性剤(D−1)[ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩(中和度:100モル%、固形分濃度22.9重量%)]103.7部を得た。
【0065】
<実施例1〜11及び比較例1〜3>
表1に記載した部数の衣料洗浄剤の各原料を、撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に仕込み、20〜30℃で1時間攪拌して衣料洗浄剤(実施例1〜11及び比較例1〜3)を作製した。得られた衣料洗浄剤について下記方法により配合安定性、洗浄性及び再汚染防止性を評価し、結果を表1に示した。
なお、表1に記載の各原料は、以下のものを使用した。
ポリアクリル酸ナトリウム(Mn=10,000):キャリボンL−400[三洋化成工業(株)製]
酵素:プロテアーゼ「アルカラーゼ2.5L」[ノボノルディスクファーマ(株)製]
【0066】
<配合安定性>
実施例1〜11及び比較例1〜3の衣料洗浄剤を40℃の恒温槽に1カ月間静置後、外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:均一透明液状
△:わずかにかすみあり
×:二層に完全分離
【0067】
<洗浄性>
実施例1〜11及び比較例1〜3のいずれかの衣料洗浄剤0.6gを水999.4gに溶解させた水溶液に、表2の汚垢組成を有する湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製)10枚を投入し、ターゴトメーター[大栄化学(株)製]を用いて以下の条件で洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン「GPS−222」[エスペック(株)製]を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。次いで、分光式色差計「SpectroPhotometer SD5000」[日本電色工業(株)製]を使用して、試験布の540nmの反射率を試験布1枚ごとに表裏1個所ずつ計2個所(試験布10枚で合計20個所)測定し、得られた反射率の平均値を求め、以下の式(7)にて洗浄率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:85rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:85rpm
洗浄率(%)={(RW−RS)/(RI−RS)}×100 (7)
式(7)中、RIは清浄布(洗浄試験前の汚垢組成を有しない布)の反射率、RWは洗浄布(洗浄試験後の汚垢組成を有する布)の反射率、RSは汚染布(洗浄試験前の汚垢組成を有する布)の反射率を示す。
また、使用した人工汚染布は、表2の汚垢組成を有する湿式人工汚染布[540nmにおける反射率が40±5%、財団法人洗濯科学協会製]である。
【0068】
<再汚染防止性>
実施例1〜11及び比較例1〜3のいずれかの衣料洗浄剤0.3gを水499.7gに溶解させた水溶液に、予め下記測定法で反射率を測定した布[綿金巾3号(JIS L0803−1980)]を10cm×10cmに裁断したもの20枚、社団法人油化学協会指定のカーボンブラック(財団法人洗濯科学協会製)0.04gを投入し、ターゴトメーター[大栄化学(株)製]を用いて以下の条件で洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン「GPS−222」[エスペック(株)製]を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。次いで、分光式色差計[SpectroPhotometer SD5000][日本電色工業(株)製]を使用して、試験布の540nmにおける反射率を試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布20枚で合計80個所)測定し、得られた反射率の平均値を求め、以下の式(8)にて再汚染防止率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
再汚染防止率(%)=100−[(RI−RS)/RI]×100 (8)
式(8)中、RIは清浄布(洗浄試験前の布)の反射率、RSは試験布(洗浄試験後の布)の反射率示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
表1に示した通り、本発明の衣料洗浄剤(実施例1〜11)は、比較例1〜3に比べて、配合安定性、洗浄性及び再汚染防止性に優れる結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及びこれを含有してなる衣料洗浄剤は、液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、再汚染防止性及び洗浄性に優れるため、天然繊維、化合繊繊維及びこれらの混紡交編織繊維の水洗浄に有用であり、従来の縦型水槽洗濯機用としてだけでなく、繊維量に比べて洗濯中の水量が比較的少ないことの多いドラム型洗濯機などの洗濯機用として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるポリマー(P)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【化4】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種;OA1は炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基;OA2及びOA3はそれぞれ独立して炭素数2〜4のオキシアルキレン基;aは10〜500の数;b及びcはそれぞれ独立して0〜10の数;dは1〜120の数である。)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるR2が炭素数6〜12のアルキレン基又は一般式(2)で表される基である請求項1記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【化5】

(式中、X1及びX2はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項3】
前記ポリマー(P)の数平均分子量が1,000〜30,000である請求項1又は2記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【請求項4】
前記ポリマー(P)が、一般式(3)で表されるカルボキシル基含有化合物(A)と、一般式(4)で表されるポリエーテル(B)とのエステル化反応で得られるポリマーである請求項1〜3いずれか記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【化6】

(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基及び芳香環を有する炭素数6〜24の2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種;OA2及びOA3は、それぞれ独立して炭素数2〜4のオキシアルキレン基;b及びcはそれぞれ独立して0〜10の数;dは1〜120の数である。)
H−(OA1a−OH (4)
(式中、OA1は炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基;aは10〜500の数である。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤を洗浄剤の重量に基づいて0.1〜5重量%含有してなる衣料洗浄剤。

【公開番号】特開2010−229369(P2010−229369A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81261(P2009−81261)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】