説明

衣料用液体漂白剤組成物

【課題】非イオン界面活性剤を含有する系で高い安定性を示し、更に、高い漂白性、洗浄性を発現することができる衣料用液体漂白剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)過酸化水素、(b)一般式(1)で表される特定の硫酸エステル塩、(c)一般式(2)で表される特定の非イオン界面活性剤、及び(d)金属封鎖剤を、それぞれ特定範囲の質量%で含有する衣料用液体漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素を使用した衣料用の液体タイプの漂白剤にはアルカリ性のものと酸性のものとがある。過酸化水素はアルカリ域では分解が促進され、酸性域では分解が遅くなる。それゆえ、酸性タイプのものは低温では比較的良好な貯蔵安定性を有するが、それでも高温になると貯蔵安定性は充分ではない。過酸化水素を配合した液体漂白剤の貯蔵安定性を改良する研究は従来よりなされている。特許文献1にはノニオン界面活性剤、カルボン酸系ポリマーおよび特定の有機ホスホン酸化合物を組み合わせた例が開示されている。また、特許文献2には実質的にノニオン界面活性剤を含有しない系において、特定のアニオン界面活性剤とカルボン酸系ポリマー、更に有機リン化合物を組み合わせる事によって高温貯蔵時の安定性が著しく改良され、漂白性が良好な酸性過酸化水素系液体漂白剤が開示されている。
【特許文献1】特開平4−23897号公報
【特許文献2】特開平9−78094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている漂白剤組成物は、高温の安定性が充分であるとはいえず、特許文献2では過酸化水素の安定性が悪くなる為、非イオン界面活性剤を実質的に含有しない事が必要である。従って、洗浄性、及び漂白剤(過酸化水素)の浸透性等が充分ではなく、汚れに対して充分な漂白性能が得られないといった課題があった。
【0004】
本発明の課題は、非イオン界面活性剤を含有する系で高い安定性を示し、更に、高い漂白性や洗浄性を発現することができる衣料用液体漂白剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(a)成分0.1〜30質量%、(b)成分0.1〜15質量%、(c)成分0.1〜20質量%、及び(d)成分0.01〜5質量%を含有する衣料用液体漂白剤組成物に関する。
(a)成分:過酸化水素
(b)成分:下記一般式(1)で表される硫酸エステル塩
1O−PO−(AO)n−SO3M (1)
〔式中、R1は、炭素数8〜22の炭化水素基を示す。POはプロピレンオキシ基、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を示す。アルキレンオキシ基が2種以上の場合の付加形態は、ランダム付加、ブロック付加いずれでも良い。nはAOの総平均付加モル数であり0≦n≦40の数である。Mは陽イオンである。〕
(c)成分:下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤
2−O[(EO)a/(PO)b]−H (2)
〔式中、R2は、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。aはEOの平均付加モル数であり0〜40の数、bはPOの平均付加モル数であり0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
(d)成分:金属封鎖剤
【発明の効果】
【0006】
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、特定の硫酸エステル塩と、金属封鎖剤を配合する事により、非イオン界面活性剤を含有する系で非常に高い安定性を示し、さらに、非常に高い漂白性、洗浄性を発現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(a)成分]
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、(a)成分として過酸化水素を含有する。(a)成分の過酸化水素としての含有量は、衣料用液体漂白剤組成物中に0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。このような範囲において優れた漂白効果を得ることができる。
【0008】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、下記一般式(1)で表される硫酸エステル塩である。
1O−PO−(AO)n−SO3M (1)
〔式中、R1は、炭素数8〜22の炭化水素基を示す。POはプロピレンオキシ基、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を示す。アルキレンオキシ基が2種以上の場合の付加形態は、ランダム付加、ブロック付加いずれでも良い。nはAOの総平均付加モル数であり0≦n≦40の数である。Mは陽イオンである。〕
【0009】
高温での製品中の過酸化水素の安定性の観点から、R1は炭素数10〜20が好ましく、炭素数12〜16がより好ましく、炭素数12〜14が更に好ましい。また、R1はアルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。さらに、R1は天然アルコール由来のアルキル基である事が特に好ましい。高温での製品中の過酸化水素の安定性の観点から、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基が更に好ましい。AOの2種以上の付加は、高温での製品中の過酸化水素の安定性、製造容易性の観点から、エチレンオキシ基/プロピレンオキシ基のランダム付加が好ましい。nは、高温での製品中の過酸化水素の安定性の観点から、0≦n≦20が好ましく、0≦n≦10がより好ましく、0≦n≦5が更に好ましい。Mは陽イオンであれば特に制限されるものではないが、好適な具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。特に、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
【0010】
(b)成分の含有量は、高温での安定性の観点から、組成物中、0.1〜15質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%が更に好ましい。
【0011】
本発明の(b)成分は、R1O−に1モル以上のPOが結合した構造を有するが、このような化合物を単離、精製したものを用いる事ができるだけでなく、製造容易性の観点から、R1OHのアルコール化合物にプロピレンオキシ基を該アルコールに対して、0.1〜2モル当量の仕込み比で付加反応した後、所望のAOを付加し、硫酸化を行った混合物を(b)成分を含んだ混合物として配合しても良い。その際、(b)成分としての含有量が上記の範囲となるように当該混合物が用いられる。
【0012】
(b)成分を含んだ混合物は、具体的には、次の工程(I)〜(III)を含む方法より製造することができる。
工程(I):炭素数8〜22の直鎖アルコール1モルにプロピレンオキサイドを平均で0.1〜2モルの範囲で付加させる工程
工程(II):上記工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物にアルキレンオキサイドを平均で0〜40モルの範囲で付加させる工程
工程(III):上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【0013】
工程(I)、(II)を実施する方法としては、従来公知の方法が使用可能である。すなわち、オートクレーブにアルコールとアルコールに対し0.5〜1モル%のKOHを触媒として仕込み、昇温・脱水し、130〜160℃の温度で、それぞれ所定量のプロピレンオキサイド及びアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド)を付加反応させることにより製造できる。このとき、プロピレンオキサイド付加〔工程(I)〕、アルキレンサイド付加〔工程(II)〕の順に行う。工程(II)をブロック付加させる場合は所望のアルキレンオキサイドを順次付加し、ランダム付加の場合は、複数種のアルキレンオキサイドの混合物を仕込んで付加反応を行う。使用するオートクレーブには攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えられていることが望ましい。
【0014】
工程(III)は、上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和させる工程である。硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好まし好ましく、更にはガス状の三酸化硫黄を、液状のアルコキシレートと同時に供給する方法が好ましい。。
【0015】
硫酸化物の中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行うループ式などが挙げられるが、本発明では中和方法に限定はない。ここで使用される中和剤としてはアルカリ金属水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、アルカリ金属水溶液が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0016】
(b)成分を含んだ混合物の好ましい具体例として、高温での製品中の過酸化水素の安定性、洗浄性能の観点から、特に下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
RO−(PO)m(EO)nSO3M (3)
(式中、Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基であり、POとEOは夫々プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、RO−にPOが結合し、次いでEOが結合したブロック配列である。m及びnは平均付加モル数であり、それぞれ独立して0<m<5、0≦n≦5の数である。Mは陽イオンである。)
【0017】
一般式(3)において、高温での製品中の過酸化水素の安定性、洗浄性能の観点から、mは、0<m<5であり、更に0<m<1、特に0.2<m<0.8が好ましく、nは、0≦n<5であり、更に0≦n<3.5、特に1≦n<2.3が好ましい。
【0018】
[(c)成分]
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、(c)成分として、一般式(2)で表される非イオン界面活性剤を含有する。
2−O[(EO)a/(PO)b]−H (2)
〔式中、R2は、炭素数10〜18、好ましくは12〜14の、アルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。aはEOの平均付加モル数であり0〜40の数、bはPOの平均付加モル数であり0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。好ましくはaは5〜30、より好ましくは7〜25の数であり、好ましくはbは0〜10、より好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3の数である。〕
【0019】
なお、一般式(2)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0020】
(c)成分としては、グリフィン法で求めたHLBが11〜17の非イオン界面活性剤が好ましい。
【0021】
また、一般式(2)で表される非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、並びにオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が挙げられ、これらは、2種両方を併用することもできる。
【0022】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤としては、具体的には、下記一般式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
C1225-O(C2H4O)m1-H (m1=6〜20、HLB=11.7〜16.9)
C14H29-O(C2H4O)m2-H (m2=6〜24、HLB=11.0〜17.0)
【0023】
更に具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数6、HLB13.1)が挙げられる。
【0024】
また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤としては、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基がランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよく、その中でもブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体の形態としては、下記一般式(43)で表される化合物、更に、グリフィン法で求めたHLBが13〜17である化合物が好ましい。
3−O(EO)p(PO)q(EO)r−H (43)
〔式中、R3は炭素数10〜18、好ましくは12〜14の、アルキル基又はアルケニル基を示す。pは平均で1〜20の数、qは平均で1〜20の数、rは平均で1〜20の数を示す。pは好ましくは6〜15、より好ましくは7〜12、qは好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3、rは好ましく6〜15、より好ましくは7〜12である。〕
【0025】
一般式(43)の具体的な化合物として以下のものが挙げられる。
C12H25-O(C2H4O)p1(C3H6O)q1(C2H4O)r1-H (p1+q1+r1=5〜20、HLB=13.4〜17.0)
【0026】
更に、具体的には、C12H25-O(C2H4O)7(C3H6O)2(C2H4O)4-H(HLB15.8)などが挙げられる。
【0027】
(c)成分は、2種以上の混合物として配合し得る。(c)成分の含有量は、本発明の液体漂白剤組成物中、0.1〜20質量%であり、更に0.5〜18質量%、特に0.5〜15質量%が好ましい。
【0028】
[(d)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(d)成分として、金属封鎖剤を含有する。金属封鎖剤としては、ホスホン酸系が好ましく用いられる。その具体例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上配合することができる。中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等が好ましい。(d)成分の含有量は、本発明の液体漂白剤組成物中、0.01〜5質量%、更に0.05〜3質量%が好ましい。
【0029】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、以下の成分を含有することができる。
【0030】
[(e)成分]
本発明の組成物は、洗浄性能の観点で、(e)成分として炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩を含有することが好ましい。高温安定性の観点から炭素数12〜16が好ましく、12〜14が更に好ましい。
【0031】
塩の具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。中でもナトリウム、カリウムが好ましい。
【0032】
高温安定性の観点で、(b)成分/(e)成分の質量比が1/10〜10/1であることが好ましく、1/8〜8/1がより好ましく、1/5〜5/1が更に好ましく、1/3〜3/1が特に好ましい。
【0033】
[漂白活性化剤]
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、漂白性向上の観点から、漂白活性化剤を含有し得る。漂白活性化剤としては、特開平10−251689段落[0010]に記載のものが挙げられる。
【0034】
[ラジカルトラップ剤]
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、ラジカルトラップ剤を含有し得る。ラジカルトラップ剤としては、フェノール系、すなわちフェノール性OH基を有する化合物、そのエステル誘導体やエーテル誘導体等の誘導体が好ましい。好適な例としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0035】
その他に本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、ハイドロトロープ剤、シリコーン類、殺菌剤、酵素、香料、蛍光染料等の任意成分を配合し得る。本発明の液体漂白剤組成物は水を含有し、通常、組成物の残部は水である。
【0036】
香料としては、例えば、特開2003−213295の段落[0007]〜[0022]に記載の香料を使用することができる。
【0037】
蛍光染料としては、例えば、特開2004−308070に記載の蛍光染料を使用することができる。
【0038】
[pH]
本発明の衣料用液体漂白剤組成物は、20℃におけるpHが好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは2.0〜5.5、更に好ましくは2.3〜5.0である。この範囲のpHにおいて、過酸化水素の安定性の向上、及び優れた漂白洗浄性能を発現し得る。
【0039】
このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸などの無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることができる。この中でも特に、塩酸及び硫酸から選ばれる無機酸、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれる無機塩基を用いることが好ましい。
【0040】
本発明の液体漂白剤組成物は、衣料以外の繊維製品にも適用することができる。
【実施例】
【0041】
実施例1〜5、比較例1〜5
下記成分を用い、表1に示す組成の衣料用液体漂白剤組成物を調製した。pHはNaOHで調整した。この衣料用液体漂白剤組成物について、下記方法で、組成物の安定性及び漂白性能を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
<配合成分>
(a)成分
・a−1;過酸化水素
(b)成分
・b−1;C1225O−(C36O)0.4−(C24O)1.5−SO3Na〔(b)成分(アルコールに直接POが付加している化合物)の割合が29質量%である混合物〕
・b−2;C1225O−(C36O)0.3−(C24O)1.8−SO3Na〔(b)成分(アルコールに直接POが付加している化合物)の割合が25質量%である混合物〕
・b−3;C1225O−C36O−SO3Na
・b’−1;C1225O−(C24O)3−SO3Na
・b’−2;LAS(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
(c)成分
・c−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数6、HLB11.7)
(d)成分
・d−1;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010、ソルーシア社製)
(e)成分
・e−1;C1225OSO3Na
(f)成分
・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量8000)
【0043】
<安定性>
図1に示すガラス容器1(内容量1000mL)に図中3より液体漂白剤組成物を充填し、60℃の恒温室に1ヶ月間静置し、発生するガスを閉じた目盛り付きガラス管(図中2)に捕集し、発生したガス量(mL)を目盛り2(100mLまで測定可能)により測定した。発生するガスは、過酸化水素が分解した酸素であり、ガス発生量が少ない事は、過酸化水素の分解が少なく組成物の安定性が高い事を示している。
【0044】
<漂白性能>
液体漂白剤組成物1mLと0.0667質量%濃度の市販洗剤(アタック(花王(株)製 ロット番号W153137)溶液1000mLを混合した後、そこに以下の方法で調製したミートソース汚染布(4枚)を入れ、ターゴトメータを用いて20℃、80rpmで10分間漂白処理を行った。処理前後の布表面の反射率を測定し、下式により漂白率を求めた。
【0045】
・ミートソース汚染布の調製
カゴメ(株)製ミートソース(完熟トマトのミートソース(2009年6月20日賞味期限、ロット番号:D7620JG)/内容量295gの缶詰)の固形分をメッシュ(目の開き;500μm)で除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、30分間煮沸した。そのまま火からおろし2時間程度放置し30℃まで放置した後、布を取りだし、余分に付着している液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10cm×10cmの試験布として実験に供した。
【0046】
漂白率(%)=(漂白後の反射率−漂白前の反射率)/(白布の反射率−漂白前の反射率)×100
【0047】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例及び比較例において、ガス発生量の測定に用いた装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分0.1〜30質量%、(b)成分0.1〜15質量%、(c)成分0.1〜20質量%、及び(d)成分0.01〜5質量%を含有する衣料用液体漂白剤組成物。
(a)成分:過酸化水素
(b)成分:下記一般式(1)で表される硫酸エステル塩
1O−PO−(AO)n−SO3M (1)
〔式中、R1は、炭素数8〜22の炭化水素基を示す。POはプロピレンオキシ基、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を示す。アルキレンオキシ基が2種以上の場合の付加形態は、ランダム付加、ブロック付加いずれでも良い。nはAOの総平均付加モル数であり0≦n≦40の数である。Mは陽イオンである。〕
(c)成分:下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤
2−O[(EO)a/(PO)b]−H (2)
〔式中、R2は、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。aはEOの平均付加モル数であり0〜40の数、bはPOの平均付加モル数であり0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
(d)成分:金属封鎖剤
【請求項2】
更に下記(e)成分を含有し、(b)成分/(e)成分の質量比が1/10〜10/1である請求項1記載の衣料用液体漂白剤組成物。
(e)成分:炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩

【図1】
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【公開番号】特開2009−155512(P2009−155512A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336279(P2007−336279)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】