説明

衣服等に取付けられる貼着プリント

【課題】衣服に対し、従来技術の模様、記号や写真等をシャツなどの衣服へ設けることは、製作時に既に印刷されているか又は染色により一方的に決められているので、そのものを選択的に選ぶかして、結局、購入後に変更したりすることは、難しい。
【解決手段】 透明なトップコート層及び再帰反射シート層からなる貼着プリントにおいて、該透明なトップコート層はその該表面が平滑であり、再帰反射シート層とは、接着材により一体化され形成されている衣服等に取付けられる貼着プリントであって、前記透明なトップコート層は、ウレタン材からなり、又その製法は、ウレタン層の透明化により再帰反射シートの反射機能の低下を防ぐことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャツ等の衣服に安易にして随意に取付けられる模様、記号や写真等が描かれた貼着プリントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャツに色々の模様、記号、写真等を、その製作時に、特にその背中の部分に印刷したり染色することは広く行なわれている。この固有性のあるものは、若者にとって魅力があり、需要も多い。
【0003】
そこで本発明では、簡単且つ容易に取付ができ衣服に貼着できる貼着プリントを使用できるようにした。
【特許文献1】登録実用新案第3001441号
【特許文献2】特開2005−125684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術の模様、記号や写真等をシャツなどの衣服へ取付ける場合には、次のような問題があり指摘されていたところである。
【0005】
従来のシャツへの模様や記号等は、製作時に既に印刷されているか又は染色により一方的に決められているので、そのものを選択的に選ぶかして、結局、購入後に変更したりすることは、難しい。
従って、シャツ購入後に、好きな模様、記号、写真等の印刷物をシャツに施すには、そのものを別に作り、貼るかミシン縫製以外にない。ところが、この場合に、洗濯時に縫い付けたもの又は印刷物も剥がれてしまうので、その手法にも限界がある。
【0006】
又再帰反射部を設けるものもあり、衣服にも接着剤により貼るものもあるが、該表面上には直接何も保護するものが無いので、洗濯では、再帰反射上の印刷体が剥がれてしまい不適合である。
【0007】
即ち、インクジェットプリンターで直接印刷した印字(インク)面は、洗濯を行なうと、剥がれ、色落ち、ひび割れをおこすのである。
【0008】
そこで、印字面上にトップコートを設けることで、洗濯可能とすることも考えられるが、従来のホットメルトタイプのフイルムのトップコートは、ミシン縫製加工により、剥がれが発生する。又洗濯時も同様である。
【0009】
・更に、粘着剤タイプのラミネートも、上記のホットメルトタイプのラミネートと同様に、縫製による剥がれ、洗濯による折れ、剥がれが発生してしまう問題がある。
又、液状タイプのトップコート剤は、耐水性、耐擦過性に弱く、洗濯には不適であって、アイロンによる加熱にも弱い。
【0010】
更に、ウレタン材をフイルム状にしてトップコート材にすることが考えられるが、ウレタンフイルムに再帰反射性能を阻害しない程度の透明性を持たせることが難しかったことが挙げられる。
その原因はウレタンフイルムの表面に製作の工程上できてしまう凹凸が、光の乱反射を誘発し、その下にある再帰反射シートの再帰反射性能を低下させてしまうからであった。
これでは、折角の再帰反射シートも機能低下となり採用には難しい点がある。
【0011】
そこで、本願発明では、衣服等に簡単に貼着することができる耐水性、特に繰り返し洗濯に耐えられる貼着プリントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決する為に、透明なトップコート層及び再帰反射シート層からなるものにおいて、該透明なトップコート層の外表面は平滑であって、再帰反射シート層とは、接着材により一体化した衣服等に取付けられる貼着プリントを提供する。
【0013】
前記トップコート層は、ウレタン材からなる衣服等に取付けられる貼着プリントを提供する
【0014】
透明なトップコート層及び再帰反射シート層からなる製法において、該トップコート層を平面な板状体の上にウレタンを流し込む工程と、次に、該ウレタン層の上に接着剤層を設ける工程と、次に該ウレタン層を引っくり返し、板状体を取り剥がし、接着材層が下方になる工程と、該トップコート層と前記再帰反射シート層とを加熱圧着させる工程とからなる衣服等に取付けられる貼着プリントの製造方法を提供する・
【発明の効果】
【0015】
本発明の貼着プリントは、耐水性、特に、繰り返し洗濯することが可能であり、又再帰反射シートの反射機能を維持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、図1に示すように、シャツ等の背中に好みの模様や記号或いは写真等を貼り付けるものである。
シャツ(9)等に接着することで、好みの記号や写真を貼れる貼着プリント(1)が示される。図2の(3)に示すように、その構造は、再帰反射シート層(400)上にウレタンフイルムホットメルト接着タイプのトップコート層(300)が、基本的に設けられているものである。
【0017】
その工程は、以下のようである。図2の(1)に示すように、最初インクジェットプリンター(100)によって、再帰反射シート層(400)上に選択された記号、模様、写真等の印刷をインクによって施す。
次に、図2の(2)に示すように、ホットラミネート機(200)によって、前記再帰反射シート層(400)上にトップコート(300)の層を、接着剤(401)を介して、接着し重ねて保護する。又、再帰反射コート層(400)の下側に、更にホットメルト系の接着剤の層(402)を設ければ、シャツ等への取り付けが容易となる。
次に、再帰反射シート層(400)の接着剤(402)の下側に更には、リタック紙(403)を設けて、使用時に、剥がして使うようにすることも可能である。
【0018】
又図2の(4)に示すように、裏面が布(410)やターボリン(420)製として再帰反射シートを構成することも出来る。この場合には、シャツ等に縫製して取りつけることになる
【0019】
更に、詳細にその工程を説明すれば、図3の(1)に示すように、ウレタン液をPETフイルム(4)上に流し込む。ここでいうPETフイルムのPETとは、ポリエチレンテレフタレートの略である。耐熱温度が高く、物性が硬く安定しており、更にコスト等の総合的優位性から採用されるもので、幾多の材料のテストの結果も、良好であった。
その他、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。又耐熱性のものとして、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポルアリレート、ABS樹脂等がある。
【0020】
次に、図3の(2)に示すように、次に、ホットメルト接着剤(6)をその上に設ける作業を行なう。又更にその上に離形紙や離刑フイルム(5)を設けることも出来る。
次に、図3の(3)に示すように、その全体をひっくり返し離形紙や離刑フイルム(5)がある場合は剥がす。
【0021】
次いで、図3の(4)に示すように、印刷された再帰反射シート層(400)と前記トップコート層(300)のウレタンの接着面とが合わさる。そこで、加熱装置(2)による加熱ローラ(201)(201)で両者を加熱加圧し両者を一体化する。
【0022】
次に、図3の(5)に示すように、上側のPETフイルム(4)を剥がす。すると、この面は、平らな面となっているのが分かる。そこで、トップコート層(300)が形成される。
【0023】
この場合、なぜひっくり返すかは、以下の理由である。
即ち、先の図3の(1)に示すときの上面は、ウレタン液を流し込んだ場合、微妙な凹凸が生じている。
すると、光は、再帰反射シート10の面へ入光するとき、凹凸により光が散乱しているため、反射してきても、反射面が暗くなるか不鮮明になるからである。
ところが、ひっくり返すことで、外表面は平滑となり、平らな面から入光するので、印刷面が鮮明に反射され、明るく反射されることになる。その剥がされた面はPETフイルム(4)面に接していたので、面は凹凸が無くなめらかであるのがわかる。トップコート層(300)が完成する。
【0024】
次に、図3の(4)に示すように、熱ローラー(201)(201)で再帰反射シート層(400)とトップコート層(300)とを重ねて一体化させる。すると、接着剤層(6)が溶解し再帰反射シート層(400)とトップコート層(300)とが一体化する。
仮に、ひっくり返さないと、入光は、表面の凹凸により乱反射してしまうので、再帰反射シート(400)からの鮮明な画面は得られない。
【0025】
又、上記の場合、平滑面を形成する場合に、粘度の低い樹脂をコーティングすれば、重力により平滑性を得ることも可能である。この場合、一工程が必要となる。
【0026】
又ウレタンによるトップコート層(300)材の形成は、押出しや重力利用のカレンダー製法があるが、キャスティング製法によるものが、密度分布や厚さが一定のものができるので好ましい。
【0027】
このようにして製作された貼着プリント1をシャツ(9)に対して張り付けるときは、リタック紙・リタックフイルム(402)を剥がして、アイロンでシャツに当てて加熱により接着剤層(401)を溶かして行なう。この実施例では、シャツとしたが衣服全てに適用可能である。
【0028】
この結果、しっかりとシャツに取付けることが短時間で簡単に行なうことが出来る。テストの結果でも、繰り返し洗濯をしても、シャツから剥がれることや色の鮮明さも落ちることがなかった。従って、購入者の希望する貼着プリントを用意しておけば、好きなものや気に入ったものを直ちに貼着することが可能にうなる。
しかし、シャツへの取付けは、接着材層ではなく、縫製で行なうことも可能である。
【0029】
特に、再帰反射シート層(400)の再帰反射機能は、懐中電灯や自動車のヘッドライトにも明るく反射する。この衣服を着けた場合、夜間走行する車に対して、交通安全に大きく貢献することができる。
更に一般市民の衣類だけでなく、警察官や消防・レスキュー隊員の制服にも備えておけば、災害に際して、懐中電灯の光に再帰反射させ目立たせる事により、避難誘導や救助活動の円滑化、二次災害の防止に役立つことができる。
従って衣服の背中側や全面に貼れば、種々の安全機能を持たせることが容易に理解される。
【0030】
又、本件発明の熱接着プリントは、シャツ等の衣類だけでなく、鞄や靴、傘、ベルトなどの身につける製品を始め、横断幕や懸垂幕、バナー、テント、オーニング等のサイン・看板関連にも応用することが可能である。
【0031】
以上説明をしてきたが、本発明は上記実施例に限定されることなく、本発明の技術思想の範囲内で当事業者により、種々の変化が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のシャツに取付けた状況を示す。
【図2】本発明の貼着プリントの製造過程の概略図を示す。
【図3】本発明の貼着プリントのより詳細な製造過程を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 貼着プリント
2 加熱装置
300 トップコート層
400 再帰反射シート層
100 インクジェットプリンター
200 ホットラミネート器
401 接着剤層
402 リタック紙
4 PETフイルム
5 離形紙
6 ホットメタル接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なトップコート層及び再帰反射シート層からなる貼着プリントにおいて、該透明なトップコート層はその該表面が平滑であり、再帰反射シート層とは、接着材により一体化され形成されていることを特徴とする衣服等に取付けられる貼着プリント
【請求項2】
前記透明なトップコート層は、ウレタン材からなることを特徴とする請求項1項記載の衣服等に取付けられる貼着プリント
【請求項3】
透明なトップコート層及び再帰反射シート層からなる製法において、該トップコート層を平面な板状体の上にウレタンを流し込む工程と、次に、該ウレタン層の上に接着剤層を設ける工程と、次に該ウレタン層を引っくり返し、板状体を取り剥がし、接着材層が下方になる工程と、該トップコート層と前記再帰反射シート層とを加熱圧着させる工程とからなる衣服等に取付けられる貼着プリントの製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−35849(P2009−35849A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220379(P2007−220379)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(503120128)株式会社 広仁社 (4)
【Fターム(参考)】