説明

衣類乾燥機

【課題】乾燥運転の開始時からフィルタの目詰まり検知ができ、回転ドラムの過熱や被乾燥物の熱的ダメージ等の発生を防止する衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】運転制御手段7は、乾燥運転開始時に、ファン回転数が初期制限レベル回転数を超えている場合はフィルタFが軽度な目詰まり状態にあると判断し(ステップS4)、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりも加熱手段4の最高加熱出力を低下させて加熱手段4を作動させ(ステップS8、S5)、ファン回転数が初期制限レベル回転数よりも高い初期停止レベル回転数を超えている場合はフィルタFが重度な目詰まり状態にあると判断し(ステップS3)、フィルタ目詰まりを報知させ、加熱手段4を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる(ステップS7、S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の被乾燥物から発生した糸屑等を捕集するフィルタを備えた衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機は、衣類等の被乾燥物を回転ドラム内に収容し、一つのモータで回転ドラムとファンを回転駆動し、ファンにより回転ドラム内に加熱手段で加熱された空気を供給して回転ドラムの排気出口から湿潤空気を排出することで、回転ドラム内の被乾燥物を乾燥させる構成となっている。回転ドラムの排気出口側には、被乾燥物から発生した糸屑等を捕集するフィルタが取り付けられている。このフィルタが目詰まりすると回転ドラム内から湿潤空気の排出が制限されるため、正常な乾燥運転ができなくなる。
【0003】
そこで、従来の衣類乾燥機は、乾燥運転が開始されてから所定時間が経過した時に、排気温度から乾燥残時間を推定して全体の乾燥時間を把握し、全体の乾燥時間が一定時間以上であるときはフィルタが目詰まりしていると判断して報知するようにしていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−140494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の衣類乾燥機では、乾燥残時間を推定するには乾燥運転が安定するのを待つ必要があるため(特許文献1の段落0042)、乾燥運転の開始から所定時間が経過してからフィルタの目詰まり検知が行われていた。そのため、乾燥運転の開始時からフィルタの目詰まりが進行していた場合は、フィルタの目詰まり検知が遅れ、目詰まり検知されるまでの間に加熱空気が異常に昇温して被乾燥物の一部が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等のおそれがあった。なお、回転ドラム内に被乾燥物を詰め過ぎて乾燥運転を開始するような場合も同様の問題が起こり得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、乾燥運転の開始時からフィルタの目詰まり検知ができ、回転ドラムの過熱や被乾燥物の熱的ダメージ等の発生を防止する衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る衣類乾燥機は、
衣類等の被乾燥物を収容する回転ドラムと、空気を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された空気を回転ドラム内へ供給するファンと、回転ドラム内から排出される湿潤空気の排気経路に取り付けられたフィルタとを備える衣類乾燥機において、
ファンを回転駆動するファン用モータと、
ファンの回転数を検知するための回転数検知手段と、
ファン用モータのモータ電流値を一定に制御してファンを回転駆動して乾燥運転を行う運転制御手段とを備え、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン回転数が初期制限レベル回転数を超えている場合はフィルタが軽度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりも加熱手段の最高加熱出力を低下させて加熱手段を作動させ、ファン回転数が初期制限レベル回転数よりも高い初期停止レベル回転数を超えている場合はフィルタが重度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる制御構成とする。
【0008】
上記構成より、ファン用モータは、ファンだけを回転駆動するので、ファン用モータにはファンの回転負荷しか掛らない。また、フィルタが目詰まりしてフィルタを通過する空気量が減少すると、ファンの回転負荷が小さくなる。それゆえ、ファン用モータへのモータ電流値を一定に制御してファンを回転駆動すると、フィルタの目詰まり状態が大きいほどファンの回転数が高くなる。従って、乾燥運転開始時にファン回転数が初期制限レベル回転数を超えている場合は、既にフィルタの目詰まりが進行(軽度な目詰まり)していると判断する。そして、加熱手段の最高加熱出力をフィルタ目詰まりが無い状態のときよりも低下して加熱手段を作動させる。よって、乾燥運転中にフィルタが目詰まりして加熱空気が異常に昇温するのを回避でき、被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【0009】
また、乾燥運転開始時にファン回転数が初期制限レベル回転数よりも高い初期停止レベル回転数を超えている場合はフィルタが目詰まりにより閉塞状態(重度の目詰まり)にあると判断する。この場合は、フィルタ目詰まりを報知するとともに、加熱手段を作動させず乾燥運転をエラー停止する。従って、フィルタが重度に目詰まりして閉塞した状態で加熱手段を作動して乾燥運転を開始することで加熱空気が異常に昇温して被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【0010】
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン回転数が前回の乾燥運転終了時の最終ファン回転数よりも更に一定回転数以上に上昇していた場合は回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路閉塞の状態にある旨を報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる構成を備えるのが望ましい。
【0011】
前回の乾燥運転終了時から今回の乾燥運転を開始するまでの間に、フィルタの目詰まり状態が進行することはない。従って、乾燥運転開始時にファン回転数が前回の乾燥運転終了時の最終ファン回転数よりも更に一定回転数以上に上昇していた場合は、フィルタの目詰まりではなく、例えば、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎによるものと判断する。この場合、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路の閉塞状態である旨を報知するとともに、加熱手段を作動させず乾燥運転をエラー停止する。従って、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等により空気流路が閉塞した状態で乾燥運転が開始されて加熱空気が異常に昇温して被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。そして、空気流路閉塞の報知により、被乾燥物の詰め過ぎを解消させる等の対処をして、正常な乾燥運転を開始することができる。
【0012】
なお、「排気閉塞」は、回転ドラム内の被乾燥物の詰め過ぎによる回転ドラム内の閉塞以外に、例えば、排気経路の排気ダンパーが閉じられていたり排気管出口付近の窓が閉じられている等の排気側の閉塞や、器具の給気口付近に障害物が置かれる等の給気側の閉塞も含む(以下、同様である。)。
【0013】
上記運転制御手段は、加熱手段を作動した後の乾燥運転中に、ファン回転数が制限レベル回転数を超えた場合はフィルタが軽度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりもファン出力を上昇させるとともに加熱手段の最高加熱出力を低下させ、ファン回転数が制限レベル回転数よりも高い停止レベル回転数を超えた場合はフィルタが重度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、乾燥運転をエラー停止させる構成を備えるのが望ましい。
【0014】
ファン用モータはファンだけを回転駆動するので、乾燥運転中にフィルタの目詰まり状態が進行するに従ってファン回転数が高くなっていく。そして、ファン回転数が制限レベル回転数に達すると、フィルタが軽度に目詰まりしたと判断し、ファン出力を上昇させるとともに、バーナユニットの最高加熱出力を低下させる。これにより、バーナユニットの最高加熱出力を低下させることで加熱空気の異常昇温を防止することができ、被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。しかも、ファン出力を上昇させることでフィルタ目詰まりにより回転ドラム内へ供給される加熱空気の空気量の減少が阻止され、被乾燥物の乾燥効率の低下が防止される。従って、フィルタが軽度に目詰まりした状態となっても、加熱空気の異常昇温を防止しつつ被乾燥物の乾燥効率の低下を防止することができる。
【0015】
そして更に、フィルタの目詰まり状態が進行しファン回転数が停止レベル回転数に達すると、フィルタが重度に目詰まりし閉塞状態になったと判断し、乾燥運転をエラー停止させる。これにより、フィルタの閉塞状態で乾燥運転が継続されることがなく、乾燥運転中に被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る衣類乾燥機は、
衣類等の被乾燥物を収容する回転ドラムと、空気を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された空気を回転ドラム内へ供給するファンと、回転ドラムから排出される湿潤空気の排気経路に取り付けられたフィルタとを備える衣類乾燥機において、
ファンを回転駆動するファン用モータと、
ファン用モータのモータ電流値を検知するための電流値検知手段と、
ファン回転数を一定に制御してファンを回転駆動して乾燥運転を行う運転制御手段とを備え、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン用モータのモータ電流値が初期制限レベル電流値未満の場合はフィルタが軽度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりも加熱手段の最高加熱出力を低下させて加熱手段を作動させ、ファン用モータのモータ電流値が初期制限レベル電流値よりも低い初期停止レベル電流値未満の場合はフィルタが重度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる制御構成とする。
【0017】
上記構成より、ファン用モータは、ファンだけを回転駆動するので、ファン用モータにはファンの回転負荷しか掛らない。また、フィルタが目詰まりしてフィルタを通過する空気量が減少すると、ファンの回転負荷が小さくなる。それゆえ、ファン回転数を一定に制御してファンを回転駆動すると、フィルタの目詰まり状態が大きいほどファン用モータのモータ電流値が低くなる。従って、乾燥運転開始時にモータ電流値が初期制限レベル電流値未満の場合は、既にフィルタの目詰まりが進行(軽度な目詰まり)していると判断する。そして、加熱手段の最高加熱出力をフィルタ目詰まりが無い状態のときよりも低下して加熱手段を作動させる。よって、乾燥運転中にフィルタが目詰まりして加熱空気が異常に昇温するのを回避でき、被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【0018】
また、乾燥運転開始時にモータ電流値が初期制限レベル電流値よりも低い初期停止レベル電流値未満の場合はフィルタが目詰まりにより閉塞状態(重度の目詰まり)にあると判断する。この場合は、フィルタ目詰まりを報知するとともに、加熱手段を作動させず乾燥運転をエラー停止する。従って、フィルタが重度に目詰まりして閉塞した状態で加熱手段を作動して乾燥運転を開始することで加熱空気が異常に昇温して被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【0019】
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、モータ電流値が前回の乾燥運転終了時の最終モータ電流値よりも更に一定電流値以下に低下していた場合は回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路閉塞の状態にある旨を報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる構成を備えるのが望ましい。
【0020】
前回の乾燥運転終了時から今回の乾燥運転を開始するまでの間に、フィルタの目詰まり状態が進行することはない。従って、乾燥運転開始時にモータ電流値が前回の乾燥運転終了時の最終モータ電流値よりも更に一定電流値以下に低下していた場合は、フィルタの目詰まりではなく、例えば、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎによるものと判断する。この場合、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路の閉塞状態である旨を報知するとともに、加熱手段を作動させず乾燥運転をエラー停止する。従って、回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等により空気流路が閉塞した状態で乾燥運転が開始されて加熱空気が異常に昇温して被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。そして、空気流路閉塞の報知により、被乾燥物の詰め過ぎを解消させる等の対処をして、正常な乾燥運転を開始することができる。
【0021】
上記運転制御手段は、加熱手段を作動した後の乾燥運転中に、モータ電流値が制限レベル電流値未満になった場合はフィルタが軽度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりもファン出力を上昇させるとともに加熱手段の最高加熱出力を低下させ、モータ電流値が制限レベル電流値よりも低い停止レベル電流値未満になった場合はフィルタが重度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、乾燥運転をエラー停止させる構成を備えるのが望ましい。
【0022】
ファン用モータはファンだけを回転駆動するので、乾燥運転中にフィルタの目詰まり状態が進行するに従ってモータ電流値が低くなっていく。そして、このモータ電流値が制限レベル電流値未満に下がると、フィルタが軽度に目詰まりしたと判断し、ファン出力を上昇させるとともに、バーナユニットの最高加熱出力を低下させる。これにより、バーナユニットの最高加熱出力を低下させることで加熱空気の異常昇温を防止することができ、被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。しかも、ファン出力を上昇させることでフィルタ目詰まりにより回転ドラム内へ供給される加熱空気の空気量の減少が阻止され、被乾燥物の乾燥効率の低下が防止される。従って、フィルタが軽度に目詰まりした状態となっても、加熱空気の異常昇温を防止しつつ被乾燥物の乾燥効率の低下を防止することができる。
【0023】
そして更に、フィルタの目詰まり状態が進行しモータ電流値が停止レベル電流値未満に下がると、フィルタが重度に目詰まりし閉塞状態になったと判断し、乾燥運転をエラー停止させる。これにより、フィルタの閉塞状態で乾燥運転が継続されることがなく、乾燥運転中に被乾燥物が熱的ダメージを受けたり回転ドラムが過熱される等の不具合を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る衣類乾燥機によれば、乾燥運転の開始時からフィルタの目詰まり検知ができるので、乾燥運転開始時に既にフィルタの目詰まり状態が進行していることによる回転ドラムの過熱や被乾燥物の熱的ダメージ等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態による衣類乾燥機の構造を示した断面図である。
【図2】衣類乾燥機の実施例1としての乾燥運転開始時の閉塞検知及びフィルタ目詰まり検知の制御動作を示したフローチャートである。
【図3】衣類乾燥機の実施例1としての乾燥運転中のフィルタ目詰まり検知の制御動作を示したフローチャートである。
【図4】衣類乾燥機の実施例1としての乾燥運転中の動作タイムチャートである。
【図5】衣類乾燥機の実施例2としての乾燥運転開始時の閉塞検知及びフィルタ目詰まり検知の制御動作を示したフローチャートである。
【図6】衣類乾燥機の実施例2としての乾燥運転中のフィルタ目詰まり検知の制御動作を示したフローチャートである。
【図7】衣類乾燥機の実施例2としての乾燥運転中の動作タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の衣類乾燥機1は、矩形箱状の本体ケース10と、本体ケース10の正面壁に開設された取出口11を開閉する扉2とで外郭が構成されている。本体ケース10内には、衣類やタオル類等の被乾燥物Cを収容する回転ドラム3と、回転ドラム3内に供給する空気を加熱するバーナユニット(加熱手段)4と、バーナユニット4で加熱された空気を回転ドラム3内に供給させるとともに回転ドラム3内の被乾燥物Cから放出される湿潤空気を排出させるファン5とを備える。
【0027】
回転ドラム3は、前面に開口部33が設けられた円筒形状に形成され、本体ケース10内に横向き姿勢となって回動可能に設置されている。回転ドラム3の後壁の吹出口32には、本体ケース10内の後部空間に配設された給気ダクト13が連通されている。また、回転ドラム3は、本体ケース10内の下部空間に配設されたドラム用モータ31によって回転駆動される。
【0028】
バーナユニット4は、本体ケース10内の下部空間に配設され、本体ケース10の側壁下部に貫通形成された給気口12から取り込まれた空気を加熱する。バーナユニット4は、熱源のバーナ41と、バーナ41へ供給するガス量を調節する比例制御弁42とを備える。この比例制御弁42によりガス量を調節することでバーナ41の燃焼量が可変されてバーナユニット4の最高加熱出力が制御される。
【0029】
ファン5は、本体ケース10内の上部空間に配設された排気ダクト14内に設置されている。このファン5はファン用モータ51を備えており、ファン用モータ51はファン5だけを回転駆動するように構成されている。また、本衣類乾燥機1には、図示しないが、ファン用モータ51のモータ回転数を検出することでファン回転数を検知する回転数検知手段と、ファン用モータ51へのモータ電流値を検知する電流値検知手段とが設けられている。
【0030】
扉2の内部には、連絡ダクト21が設けられ、扉2の内側面には、連絡ダクト21と連通する排気流入口22及び排気流出口23が設けられている。扉2を閉じた状態では、扉2の排気流入口22が本体ケース10の取出口11と連通され、扉2の排気流出口23が本体ケース10の正面壁に接続する排気ダクト14のダクト入口15と連通される。また、扉2の排気流入口22の裏側には、回転ドラム3内の衣類等の被乾燥物Cから発生した糸屑や埃等を捕集するフィルタFが着脱自在に取り付けられている。
【0031】
本体ケース10の正面壁の下部には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6には、図示しないが、電源スイッチ、運転スイッチ、コース切換スイッチ、表示部等が設けられている。表示部には、フィルタFの目詰まりを報知するための目詰まりサイン表示器(報知手段)が設けられている。目詰まりサイン表示器は、例えば、フィルタFが軽度な目詰まり状態になると黄色に点灯され、フィルタFが重度な目詰まり状態になると赤色に点灯される。従って、使用者は、この目詰まりサイン表示器を見て適時にフィルタFの掃除又は交換を行うことができる。また、表示部には、被乾燥物Cの詰め過ぎ等による空気流路閉塞を報知するための詰め過ぎサイン表示器(報知手段)が設けられている。従って、使用者は、この詰め過ぎサイン表示器を見て回転ドラム3内の被乾燥物Cの収容量を減らして適切に乾燥運転を開始させることができる。尚、この目詰まりサイン表示器と詰め過ぎサイン表示器は、別個に設けても良いが、1つの表示器で兼用し運転開始後の数秒毎に交互に報知させても良い。
【0032】
操作パネル6の裏側の本体ケース10内には、電気部品の実装基板が取り付けられており、この実装基板には、本衣類乾燥機1の動作を制御するための運転制御部(運転制御手段)7や記憶部71等が設けられている。記憶部71には、乾燥運転の運転プログラムや各種のパラメータ(フィルタ目詰まり検知に必要な閾値等も含む。)等が記憶されており、運転制御部7は、記憶部71に記憶された運転プログラムやパラメータ等に従って本衣類乾燥機1の各部を制御して乾燥運転及びフィルタ目詰まり検知等の動作を実行させる。すなわち、運転制御部7は、運転スイッチがON操作されると、乾燥運転を開始し、回転ドラム3を回転させるとともにファン5を回転させ、次いでバーナユニット4を燃焼させる。すると、バーナユニット4で加熱された空気が給気ダクト13を通って回転ドラム3の後壁の吹出口32から回転ドラム3内に供給され、回転ドラム3内の被乾燥物Cから放出される湿潤空気が回転ドラム3の前面の開口部33からフィルタFを通過して扉2の連絡ダクト21及び排気ダクト14を通って排気口16から外部へ排出される。この乾燥運転により、回転ドラム3内の被乾燥物Cを乾燥させる。
【0033】
乾燥運転に際して、ファン5の風量抵抗は被乾燥物Cの収容量によって異なり、また被乾燥物Cの収容量は乾燥運転毎に毎回異なる。そのため、ファン回転数を一定に制御すると、加熱空気の空気量(風量)が被乾燥物Cの収容量によって乾燥運転毎に毎回異なり、乾燥運転を効率良く行えない場合も起こり得る。これに対して、ファン回転数を変動可能に制御することにより、被乾燥物Cの収容量に対応してファン回転数が自由に設定されるので、乾燥運転毎に被乾燥物Cの収容量が毎回異なっても被乾燥物Cへの加熱空気の空気量を略一定に制御することができ、乾燥運転を毎回適切に行うことが可能となる。そこで、運転制御部7は、ファン用モータ51のモータ電流値を一定に制御してファン回転数を変動可能にしてファン5を回転駆動させるようにする。但し、運転制御部7は、ファン用モータ51へのモータ電流値を変動可能にしてファン回転数を一定に制御するようにファン5を回転駆動させるようにしてもよい。
また、運転制御部7は、乾燥運転が開始されるとフィルタFの目詰まり検知処理を行う。
【0034】
ところで、フィルタFの目詰まり状態が進行すると、フィルタFを通過する湿潤空気の空気量が減少してファン5の回転負荷が小さくなる。従って、ファン5の回転負荷が小さくなるに従ってモータの負荷が小さくなるため、ファン5を回転するモータへのモータ電流値を一定に制御する場合はファン回転数(モータ回転数)が高くなり、ファン回転数を一定に制御する場合はモータ電流値が小さくなるといえる。
【0035】
しかるに、従来は、同じモータでファン5と回転ドラム3を回転駆動させていた。この場合、モータにかかる負荷は、ファン5の回転負荷よりも回転ドラム3の回転負荷の方が大きい。そのため、ファン5の回転負荷が変動してもモータの負荷への影響は微小であった。しかも、回転ドラム3内への被乾燥物Cの収容量が乾燥運転毎に毎回異なるため、回転ドラム3の回転負荷は乾燥運転毎に毎回変わっている。従って、モータ回転数及びこれに連動するファン回転数の変動、又はモータ電流値の変動は、ファン5の回転負荷よりも回転ドラム3の回転負荷によって大きく影響されていた。そのため、特に乾燥運転開始時にファン回転数やモータ電流値に基づいてフィルタFの目詰まり状態を判断することは困難であった。
【0036】
本実施形態の衣類乾燥機1では、ファン用モータ51は、ファン5だけを回転駆動するので、ファン用モータ51にはファン5の回転負荷しか掛らない。従って、ファン用モータ51へのモータ電流値を一定に制御する場合は、フィルタFの目詰まり状態が進行するに従ってフィルタFを通過する空気量が減少していくと、ファン5の回転負荷が小さくなることに伴ってファン回転数が高くなっていく。このことから、ファン回転数が所定レベル以上に高くなっている場合は、フィルタFの目詰まりが進行していると判断することができる。
【0037】
一方、フィルタFの目詰まり状態は、前回の乾燥運転終了時から今回の乾燥運転を開始するまでの間に進行することは通常考え難い。従って、ファン用モータ51へのモータ電流値を一定に制御する場合は、乾燥運転開始時のファン回転数が前回の乾燥運転終了時の最終ファン回転数よりも大幅に高くなっていると、フィルタFの目詰まりではなく、例えば、回転ドラム3内への被乾燥物Cの詰め過ぎによる空気流路の閉塞が生じている可能性が高いと判断することができる。
【0038】
なお、ファン回転数を一定に制御する場合は、フィルタFの目詰まり状態が進行するに従ってファン用モータ51のモータ電流値が低くなっていく。この場合は、モータ電流値が所定レベル以下に低くなっている場合はフィルタFの目詰まりが進行していると判断することができる。一方、乾燥運転開始時のモータ電流値が前回の乾燥運転終了時の最終モータ電流値よりも大幅に低くなっている場合は、フィルタFの目詰まりではなく、回転ドラム3内への被乾燥物Cの詰め過ぎ等による空気流路の閉塞が生じている可能性が高いと判断することができる。
【0039】
(実施例1)
以下に、フィルタFの目詰まり検知処理について、図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。なお、この実施例1では、運転制御部7は、ファン用モータ51へのモータ電流値(例えば、0.4A)を一定に制御して回転駆動する。図2を参照して、運転制御部7は、使用者による運転スイッチのON操作により乾燥運転を開始すると、ステップS1にて、ファン用モータ51を駆動してファン5を回転させ、ドラム用モータ31を駆動して回転ドラム3を回転させるが、バーナユニット4は未だ点火させない。ファン5の回転により、空気が回転ドラム3内に供給されるとともに回転ドラム3の開口部33からフィルタFを通過して器具外に排出される。
【0040】
そして、まずは空気流路の閉塞判定を行う。ステップS2にて、ファン用モータ51のモータ電流値が一定に安定すると、その時点でのファン回転数(乾燥運転開始時のファン回転数)を前回の乾燥運転終了時の最終ファン回転数と比較する。乾燥運転開始時のファン回転数が、最終ファン回転数に一定回転数α(例えば、1000rpm)を加算した閉塞レベル回転数以上に上昇している場合は、フィルタ目詰まりではなく、回転ドラム3内への被乾燥物Cの詰め過ぎ等により空気流路が閉塞を起こしていると判断する。これは、前回の乾燥運転終了時から今回の乾燥運転を開始するまでの間に、フィルタFの目詰まり状態が進行することはないことに基づく。そして、空気流路が閉塞していると判断した場合は、ステップS6にて空気流路の閉塞状態である旨を報知して、ステップS9にてバーナユニット4を点火させずに乾燥運転をエラー停止する。これにより、回転ドラム3内への被乾燥物Cの詰め過ぎ等により空気流路が閉塞した状態でバーナユニット4を燃焼させて乾燥運転が開始されることによって加熱空気が異常に温度上昇して被乾燥物Cが熱的ダメージを受けたり回転ドラム3が過熱される等の不具合を回避することができる。また、空気流路閉塞の報知により被乾燥物Cの詰め過ぎ状態を解消させる等の対処を行って正常な乾燥運転を開始することができる。なお、上記空気流路閉塞として、主に回転ドラム3へ被乾燥物Cを大量に入れ過ぎて回転ドラム3内が閉塞している場合が想定されるが、その他に排気口16に接続した排気管の出口付近の窓が閉じられていたりケース本体の給気口12が障害物で塞がれている等が想定される。
【0041】
上記ステップS2にて、乾燥運転開始時のファン回転数が閉塞レベル回転数未満であった場合は、次のフィルタ目詰まり判定に処理を進める。ステップS3にて、乾燥運転開始時のファン回転数が初期停止レベル回転数(例えば、2000rpm)を超えているか判定し、初期停止レベル回転数を超えている場合はフィルタFが重度の目詰まり状態であると判断する。この場合、ステップS7にてフィルタ目詰まりの旨を報知して、ステップS9にて乾燥運転をエラー停止する。ステップS3にて乾燥運転開始時のファン回転数が初期停止レベル回転数以下である場合は、ステップS4にて上記初期停止レベル回転数よりも低い初期制限レベル回転数(例えば、1800rpm)を超えているか判定し、初期制限レベル回転数を超えている場合はフィルタFが軽度な目詰まり状態であると判断する。この場合、ステップS8にてフィルタ目詰まりが無い状態のときよりもバーナユニット4の最高加熱出力を低下させる。例えば、バーナユニット4の比例制御弁42を絞って最大ガス燃焼量を一定値(例えば、2.3kw/h)以下に制限する。そして、バーナユニット4の最高加熱出力を低く制限した状態でバーナ41を点火、燃焼させる(ステップS5)。一方、ステップS4にて乾燥運転開始時のファン回転数が初期制限レベル回転数以下である場合はフィルタFの目詰まりは無いと判断して、バーナユニット4の最高加熱出力を平常時の最大ガス燃焼量(例えば、4.7kw/h)により点火、燃焼させる(ステップS5)。
【0042】
本実施形態の衣類乾燥機1では、上述のとおり、ファン用モータ51にはファン5の回転負荷しか掛らないので、ファン用モータ51へのモータ電流値を一定に制御してファン5を回転駆動すると、フィルタFの目詰まり状態が進むにつれてファン5の回転負荷が減少してファン5の回転数が高くなっていく。このことから、ステップS3、S4にて、乾燥運転開始時にファン回転数が初期制限レベル回転数を超えている場合は既にフィルタFの目詰まりが進行(軽度な目詰まり)していると判断し、初期制限レベル回転数よりも高い初期停止レベル回転数を超えている場合は既にフィルタFが目詰まりにより閉塞状態(重度の目詰まり)に達していると判断することができる。
【0043】
そして、フィルタFが軽度に目詰まりしていると判断した場合は、バーナユニット4の最高加熱出力を低下して燃焼させることで(ステップS8、S5)、乾燥運転中にフィルタFの目詰まりによる加熱空気の異常昇温を防止することができ、被乾燥物Cが熱的ダメージを受けたり回転ドラム3が過熱される等の不具合を防止することができる。一方、フィルタFが重度に目詰まりしていると判断した場合は、乾燥運転をエラー停止することで(ステップS7、S9)、フィルタFの閉塞状態でバーナユニット4を燃焼し乾燥運転を開始することにより加熱空気が異常に昇温して被乾燥物Cが熱的ダメージを受けたり回転ドラム3が過熱される等の不具合を回避することができる。
【0044】
次に、図3を参照して、バーナユニット4を燃焼開始した後の乾燥運転中では、まず、ステップS10にて軽度のフィルタ目詰まり状態の報知がされているか判定する。この報知が無いときは(ステップS10で「Yes」)、ステップS11にて、現時点でのファン回転数(現ファン回転数)が制限レベル回転数(例えば、1800rpm)に達しているか否か判定する。現ファン回転数が制限レベル回転数以下である場合はフィルタFの目詰まりが生じていないと判断して、ステップS13へ進める。現ファン回転数が制限レベル回転数を超えている場合はフィルタFが軽度に目詰まりしたと判断し、ステップS15にて、軽度のフィルタ目詰まり状態を報知し、ファン出力を上昇させるとともに、バーナユニット4の最高加熱出力を低下させる。例えば、ファン用モータ51のモータ電流値を所定値(例えば、0.1A)上昇させたモータ電流値(例えば、0.5A)にしてファン回転数が上がるようにファン出力を増大させるとともに、バーナユニット4の比例制御弁42を絞ってガス量を制限して最大ガス燃焼量を一定値(例えば、2.3kw/h)以下に制限する。
【0045】
そして、ステップS10にて軽度の目詰まり報知がされているとき、及びステップS15にて軽度の目詰まり報知が行われたときは、ステップS12にて現ファン回転数が上記制限レベル回転数よりも高い停止レベル回転数(例えば、2000rpm)に達しているか否か判定する。現ファン回転数が停止レベル回転数以下である場合は、フィルタFは未だ重度の目詰まりが生じていないと判断して、ステップS13へ進める。現ファン回転数が停止レベル回転数を超えている場合はフィルタFが重度に目詰まりしたと判断して、ステップS16にてフィルタFが重度に目詰まりして閉塞状態となった旨を報知し、ステップS17にて乾燥運転をエラー停止させる。一方、ステップS13では、衣類乾燥の全工程が終了したか否か判定し、未だ終了していない場合はステップS10へ戻る。衣類乾燥の全工程が終了した場合は、ステップS14にてこの終了時のファン回転数を最終ファン回転数として記憶部71に記憶して、乾燥運転を終了させる。
【0046】
図4は、以上の乾燥運転中の動作タイムチャートを示しており、図4を参照して、一点鎖線で示すようにファン用モータ51へのモータ電流値(ファン出力)を一定に制御すると、実線で示すようにファン回転数は乾燥運転中にフィルタFの目詰まり状態が進行するに従って徐々に高くなっていく。そして、ファン回転数が制限レベル回転数に達すると、フィルタFが軽度に目詰まりしたと判断し、軽度のフィルタ目詰まり状態の報知を行い、バーナユニット4の最高加熱出力を低下させるとともに、ファン出力を上昇させる。このときファン回転数はファン出力の上昇によって高くなる。
【0047】
このように乾燥運転中にフィルタFが軽度に目詰まり状態となると、バーナユニット4の最高加熱出力を低下させることで加熱空気の異常昇温を防止することができ、被乾燥物Cが熱的ダメージを受けたり回転ドラム3が過熱される等の不具合を防止することができる。しかも、ファン出力を上昇させファン回転数を高くすることでフィルタ目詰まりにより回転ドラム3内へ供給される加熱空気の空気量の減少が阻止され、被乾燥物Cの乾燥効率の低下が防止される。従って、フィルタFが軽度に目詰まりした状態となっても、加熱空気の異常昇温を防止しつつ被乾燥物Cの乾燥効率の低下を防止することができる。また、軽度のフィルタ目詰まり報知により使用者に対してフィルタFの目詰まりを早く知らせてフィルタFの掃除を促進させることができる。
【0048】
そして更に、フィルタFの目詰まり状態が進行しファン回転数が停止レベル回転数に達すると、フィルタFが重度に目詰まりし閉塞状態になったと判断し、乾燥運転をエラー停止させる。これにより、フィルタFの閉塞状態で乾燥運転が継続されることがなく、乾燥運転中に被乾燥物Cが熱的ダメージを受けたり回転ドラム3が過熱される等の不具合を防止することができる。
【0049】
(実施例2)
実施例2では、運転制御部7は、ファン回転数(例えば、1800rpm)を一定に制御してファン5を回転駆動する。そして、フィルタFの目詰まり検知処理は、ファン用モータ51へのモータ電流値を監視して行うようにする。この場合の作用効果はファン回転数を監視して行った上記実施例1(図2〜図4)と基本的に変わりなく、その説明は省略する。
【0050】
次に、この実施例2でのフィルタFの目詰まり検知処理について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。図5を参照して、運転制御部7は、使用者による運転スイッチのON操作により乾燥運転を開始すると、ステップS21にて、ファン用モータ51を駆動してファン5を回転させ、ドラム用モータ31を駆動して回転ドラム3を回転させるが、バーナユニット4は未だ点火させない。ファン5の回転により、空気が回転ドラム3内に供給されるとともに回転ドラム3の開口部33からフィルタFを通過して器具外に排出される。
【0051】
そして、まずは空気流路の閉塞判定を行う。ステップS22にて、ファン回転数が一定に安定すると、その時点でのファン用モータ51のモータ電流値(乾燥運転開始時のモータ電流値)を前回の乾燥運転終了時の最終モータ電流値と比較する。乾燥運転開始時のモータ電流値が最終モータ電流値に一定電流値β(例えば、0.2A)を減算した閉塞レベル電流値以下に低下している場合は、フィルタ目詰まりではなく、回転ドラム3内への被乾燥物Cの詰め過ぎ等により空気流路が閉塞を起こしていると判断する。そして、空気流路が閉塞していると判断した場合は、ステップS26にて空気流路の閉塞状態である旨を報知するとともに、ステップS29にてバーナユニット4を点火させずに乾燥運転をエラー停止する。
【0052】
上記ステップS22にて乾燥運転開始時のモータ電流値が閉塞レベル電流値より高い場合は、次のフィルタFの目詰まり判定に処理を進める。ステップS23にて乾燥運転開始時のモータ電流値が初期停止レベル電流値(例えば、0.2A)未満か判定し、初期停止レベル電流値未満である場合はフィルタFが重度の目詰まり状態であると判断する。この場合、ステップS27にてフィルタ目詰まりの旨を報知して、ステップS29にて乾燥運転をエラー停止する。ステップS23にて乾燥運転開始時のモータ電流値が初期停止レベル電流値以上である場合は、ステップS24にて上記初期停止レベル電流値よりも高い初期制限レベル電流値(例えば、0.3A)未満か判定し、初期制限レベル電流値未満である場合はフィルタFが軽度な目詰まり状態であると判断する。この場合、ステップS28にてフィルタ目詰まりが無い状態のときよりもバーナユニット4の最高加熱出力を低下させる。例えば、バーナユニット4の比例制御弁42を絞って最大ガス燃焼量を一定値(例えば、2.3kw/h)以下に制限する。そして、バーナユニット4の最高加熱出力を低く制限した状態でバーナ41を点火、燃焼させる(ステップS25)。一方、ステップS24にて乾燥運転開始時のモータ電流値が初期制限レベル電流値以上である場合はフィルタFの目詰まりは無いと判断して、バーナユニット4の最高加熱出力を平常時の最大ガス燃焼量(例えば、4.7kw/h)により点火、燃焼させる(ステップS25)。
【0053】
次に、図6を参照して、バーナユニット4を燃焼開始した後の乾燥運転中では、まず、ステップS30にて軽度のフィルタ目詰まり状態の報知がされているか判定する。この報知が無いときは(ステップS30で「Yes」)、ステップS31にて現時点でのファン用モータ51へのモータ電流値(現モータ電流値)が、制限レベル電流値(例えば、0.3A)未満に低下しているか否か判定する。現モータ電流値が制限レベル電流値以上である場合はフィルタFの目詰まりが生じていないと判断して、ステップS33へ進める。現モータ電流値が制限レベル電流値未満に低下した場合はフィルタFが軽度に目詰まりしたと判断し、ステップS35にて、軽度のフィルタ目詰まり状態を報知し、ファン回転数を上昇させるとともに、バーナユニット4の最高加熱出力を低下させる。例えば、ファン回転数を所定値(例えば、200rpm)上昇させたファン回転数(例えば、2000rpm)となるように制御するとともに、バーナユニット4の比例制御弁42を絞ってガス量を制限して最大ガス燃焼量を一定値(例えば、2.3kw/h)以下に制限する。
【0054】
そして、ステップS30にて軽度の目詰まり報知がされているとき、及びステップS35にて軽度の目詰まり報知が行われたときは、ステップS32にて現モータ電流値が上記制限レベル電流値よりも低い停止レベル電流値(例えば、0.2A)未満か否か判定する。現モータ電流値が停止レベル電流値以上である場合は、フィルタFは未だ重度の目詰まりが生じていないと判断して、ステップS33へ進める。現モータ電流値が停止レベル電流値未満になった場合はフィルタFが重度に目詰まりしたと判断して、ステップS36にてフィルタFが重度に目詰まりして閉塞状態となった旨を報知し、ステップS37にて乾燥運転をエラー停止させる。一方、ステップS33では、衣類乾燥の全工程が終了したか否か判定し、未だ終了していない場合はステップS30へ戻る。衣類乾燥の全工程が終了した場合は、ステップS34にてこの終了時のファン用モータ51のモータ電流値を最終モータ電流値として記憶部71に記憶して、乾燥運転を終了させる。
【0055】
図7は、以上の乾燥運転中の動作タイムチャートを示しており、図7を参照して、一点鎖線で示すようにファン回転数を一定に制御すると、実線で示すようにファン用モータ51のモータ電流値は乾燥運転中にフィルタFの目詰まり状態が進行するに従って徐々に下がっていく。そして、モータ電流値が制限レベル電流値未満に下がると、フィルタFが軽度に目詰まりしたと判断し、軽度のフィルタ目詰まり状態の報知を行い、バーナユニット4の最高加熱出力を低下させるとともに、ファン回転数を上昇させる。このときモータ電流値はファン回転数の上昇によって高くなる。そして更に、フィルタFの目詰まり状態が進行しモータ電流値が停止レベル電流値に達すると、フィルタFが重度に目詰まりし閉塞状態になったと判断し、乾燥運転をエラー停止させるようにする。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず本発明の要旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、加熱手段は、バーナユニット4に代えてヒータを用いてもよい。また、回転数検知手段は、モータ回転数から検知することに代えてファン5にセンサを取りつけて直接的にファン回転数を検知するようにしてもよい。さらに、電流値検知手段は、ファン用モータ51への出力電流値又はファン用モータ51に流れる電流値を検知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 衣類乾燥機
2 扉
3 回転ドラム
4 バーナユニット
5 ファン
7 運転制御部
10 本体ケース
31 ドラム用モータ
41 バーナ
42 比例制御弁
51 ファン用モータ
71 記憶部
C 被乾燥物
F フィルタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類等の被乾燥物を収容する回転ドラムと、空気を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された空気を回転ドラム内へ供給するファンと、回転ドラム内から排出される湿潤空気の排気経路に取り付けられたフィルタとを備える衣類乾燥機において、
ファンを回転駆動するファン用モータと、
ファンの回転数を検知するための回転数検知手段と、
ファン用モータのモータ電流値を一定に制御してファンを回転駆動して乾燥運転を行う運転制御手段とを備え、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン回転数が初期制限レベル回転数を超えている場合はフィルタが軽度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりも加熱手段の最高加熱出力を低下させて加熱手段を作動させ、ファン回転数が初期制限レベル回転数よりも高い初期停止レベル回転数を超えている場合はフィルタが重度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる制御構成とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン回転数が前回の乾燥運転終了時の最終ファン回転数よりも更に一定回転数以上に上昇していた場合は回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路閉塞の状態にある旨を報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衣類乾燥機において、
上記運転制御手段は、加熱手段を作動した後の乾燥運転中に、ファン回転数が制限レベル回転数を超えた場合はフィルタが軽度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりもファン出力を上昇させるとともに加熱手段の最高加熱出力を低下させ、ファン回転数が制限レベル回転数よりも高い停止レベル回転数を超えた場合はフィルタが重度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、乾燥運転をエラー停止させる衣類乾燥機。
【請求項4】
衣類等の被乾燥物を収容する回転ドラムと、空気を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された空気を回転ドラム内へ供給するファンと、回転ドラムから排出される湿潤空気の排気経路に取り付けられたフィルタとを備える衣類乾燥機において、
ファンを回転駆動するファン用モータと、
ファン用モータのモータ電流値を検知するための電流値検知手段と、
ファン回転数を一定に制御してファンを回転駆動して乾燥運転を行う運転制御手段とを備え、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、ファン用モータのモータ電流値が初期制限レベル電流値未満の場合はフィルタが軽度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりも加熱手段の最高加熱出力を低下させて加熱手段を作動させ、ファン用モータのモータ電流値が初期制限レベル電流値よりも低い初期停止レベル電流値未満の場合はフィルタが重度な目詰まり状態にあると判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる制御構成とする衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
上記運転制御手段は、乾燥運転開始時に、モータ電流値が前回の乾燥運転終了時の最終モータ電流値よりも更に一定電流値以下に低下していた場合は回転ドラム内への被乾燥物の詰め過ぎ等による空気流路閉塞の状態にある旨を報知させ、加熱手段を作動させずに乾燥運転をエラー停止させる衣類乾燥機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の衣類乾燥機において、
上記運転制御手段は、加熱手段を作動した後の乾燥運転中に、モータ電流値が制限レベル電流値未満になった場合はフィルタが軽度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりが無い状態のときよりもファン出力を上昇させるとともに加熱手段の最高加熱出力を低下させ、モータ電流値が制限レベル電流値よりも低い停止レベル電流値未満になった場合はフィルタが重度な目詰まり状態になったと判断し、フィルタ目詰まりを報知させ、乾燥運転をエラー停止させる衣類乾燥機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66647(P2013−66647A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208748(P2011−208748)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】