説明

表層改質木質材料の製造装置および製造方法

【課題】表層部分に対して圧縮変形の履歴を付与し、この履歴を利用して表層部分を効果的に圧縮(固定化乃至は永久固定化)した表層圧縮木材を製造する。
【解決手段】表層部分を選択的に圧縮した木質材料としての表層圧縮木材W3を製造する装置(方法)であり、各プレスロール対31,32,33を用いて原料木材W0の表層部分を合成樹脂含有液中または天然系接着剤含有液中で選択的に圧縮する圧縮装置としてのロールプレス装置30(注入工程P1)と、このロールプレス装置30によって表層部分が選択的に圧縮され、かつ、圧縮履歴を有する表層部分に接着成分含有液Hが含浸された接着成分含浸木材W1に対し脱水処理を施す脱水装置50(脱水工程P2)と、ロールプレス装置30によって圧縮変形の履歴を付与された前記表層部分を加熱しつつプレスするヒーティングプレス装置60(加熱工程P3)とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層部分を改質した木質材料を製造するための製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような表層部分を選択的に圧縮した木質材料を製造するための表層圧縮木材の製造装置が知られている。この表層圧縮木材の製造装置は、木質材料の表層部分をロール体を用いて水中で選択的に圧縮する圧縮装置と、圧縮装置によって圧縮変形の履歴を付与された前記表層部分を加熱しつつ平板でプレスする加熱装置とを備えて構成されている。
【0003】
かかる構成の製造装置によれば、圧縮工程で圧縮変形された木質材料の表層部分は、少なくともロール体の出口で元の寸法形状に回復しようとするが、このとき、木質材料は水中に浸漬されているので、圧縮から解放されることによる膨張時に表層部分のみに集中的に吸水が行われる。
【0004】
そして、表層にのみ吸水処理が施された木材は、例えば容器などに収納されて密閉状態にされ、この履歴が付与された寸法分だけ加熱工程で圧縮された状態、すなわち吸水が施された表層部分が圧縮され、かつ、その部分に水分が含浸された状態で、永久固定されるに充分な温度、例えば180℃以上で選択的に加熱されつつ圧密化されることにより、表層部分が非常に固くなった表層圧縮木材を容易に得ることができるという優れた作用効果を奏する。
【特許文献1】特開2004−98619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の製造装置にあっては、高圧環境下で木質材料の表層部分に選択的に吸水された水が加熱されることによる化学作用により木質材料の表層部分を固化させるようになされているのであるが、高圧環境を作り出すためには設備コストが嵩むという問題点を有している。
【0006】
また、木材組織を改質して固化するためには、木質材料を180°以上の高温環境に曝さなければならず、これにより木質材料の表面が暗色に変色して木の風合いが損なわれるという問題点も存在する。
【0007】
本発明は、従来のかかる状況に鑑みなされたものであって、生産設備の簡素化、生産性の向上および木材の風合いの保持を図ることが可能な表層改質木質材料の製造装置および製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明(表層改質木質材料の製造装置)は、表層部分を改質した木質材料を製造する装置であって、接着成分含有液中でロール体を用いて前記木質材料の表層部分を選択的に一時的に圧縮しながら前記表層部分に前記接着成分含有液を注入する注入装置と、この注入装置によって前記接着成分含有液が注入された前記表層部分に加熱処理を施す加熱装置とを有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項8記載の発明(表層改質木質材料の製造方法)は、請求項1乃至7のいずれかに記載の製造装置を用いて表層改質木質材料を製造する製造方法であって、前記注入装置を用いて木質材料の表層部分を選択的に、かつ、一時的に圧縮しながら前記接着成分含有液を前記表層部分に注入する注入工程と、前記加熱装置を用いて前記注入工程で前記接着成分含有液が注入された前記表層部分に加熱処理を施す加熱工程とを含むことを特徴とするものである。
【0010】
請求項1および8記載の発明によれば、注入装置(工程)において合成樹脂含有液中または天然系接着剤含有液中で表層部分がロール体の周面により一旦選択的に圧縮変形された木質材料は、ロール体を通過して圧縮状態が解除された時点で元に復元し(すなわち、一時的に圧縮され)、そのとき合成樹脂含有液または天然系接着剤含有液中が一旦縮まった木質材料の組織内の空間の元の容量への復元で当該組織内に吸収される。
【0011】
そして、引き続き加熱しつつ実行される加熱装置(工程)での加熱処理により、木材組織内に注入された加熱状態の合成樹脂が接着剤または固化剤の役割を果たし、これにより表層部分の永久固形化が実現する。
【0012】
そして、液が合成樹脂含有液または天然系接着剤含有液であり、その中の有効成分が熱硬化するものである場合には、当該有効成分が加熱装置(工程)での加熱処理時に硬化し、これによって木質材料の表層部分の選択的な圧縮弾性変形状態、すなわち硬化状態が安定して維持される。
【0013】
これに対し、合成樹脂含有液中の合成樹脂が熱可塑性合成樹脂である場合には、当該熱可塑性合成樹脂が加熱装置(工程)での加熱処理時に軟化して良好な流動性を発揮し、木材組織の深部に浸透した状態になる。この状態の木質材料に自然放冷または強制冷却の処理を施すことにより木質材料の表層部分は圧縮変形状態で硬化状態が安定して維持される。
【0014】
このように、注入装置(工程)において木質材料の表層部分に有効成分含有液を含浸させることにより、引き続き実行される加熱装置(工程)での加熱処理により、合成樹脂が本来的に保有している接着性能または粘着性能に基づき木質材料の表層部分の圧縮変形状態が維持されるため、従来のように、単に木材組織と加熱された水との長時間に亘る反応によって木質材料の圧縮変形状態を固定させる方式に比較し、表面性能が向上するとともに、生産性も向上する。また、合成樹脂の硬化温度または軟化温度は、木材組織と水との反応温度より低く設定することが可能であるため、高温に起因した木質材料の表面の変色を防止することができ、木質材料の風合いが保持される。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接着成分含有液は、合成樹脂含有液および天然系接着剤含有液のいずれか一方であることを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成によれば、接着成分含有液として合成樹脂含有液および天然系接着剤含有液のいずれかを採用しても、木質材料の表層部分を改質するための材料として有効に機能する。そして、特に天然系接着剤含有液を採用した場合、当該天然系のものは生分解性を備えているため、改質処理された後の木質材料が環境に優しいものになる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂が溶解された合成樹脂溶液であることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、熱硬化性合成樹脂を水に溶解することにより合成樹脂含有液が容易に得られる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂および熱可塑性合成樹脂の少なくとも一方がコロイド状に分散された合成樹脂エマルジョンであることを特徴とするものである。
【0020】
かかる構成によれば、所定の溶剤に溶解された熱硬化性合成樹脂を界面活性剤の助けを借りて水中にコロイド状で分散させて合成樹脂エマルジョンとすることにより合成樹脂含有液が容易に得られる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂および熱可塑性合成樹脂の少なくとも一方の粒状物が分散された合成樹脂懸濁液であることを特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、熱硬化性合成樹脂を微粉砕することで得られた微細な粒状物を水中に分散させることにより合成樹脂含有液が容易に得られる。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記注入装置による一時的な圧縮処理の完了後の木質材料に対して脱水処理を施す脱水装置を備えることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記注入工程と前記加熱工程との間に、注入工程による一時的な圧縮処理の完了後の木質材料に対して脱水処理を施す脱水工程を有することを特徴とするものである。
【0025】
請求項6および9記載の発明において、脱水とは、主に木質材料の表層部分に含浸されている合成樹脂含有液または天然系接着剤含有液を抜き出すことである。
【0026】
請求項6および9記載の発明によれば、注入装置(工程)で表層部分に圧縮処理が施されて復元することにより表層部分に合成樹脂含有液が含浸された木質材料は、加熱装置(工程)での加熱されつつ施される圧縮処理に先立ち、脱水装置(工程)での脱水処理により予め余分な水(具体的には、合成樹脂含有液または天然系接着剤含有液)が取り除かれるため、加熱装置(工程)における圧縮によって水が漏れ出すことがない。また、余分な水が取り除かれているため、突沸による木質材料の破裂が防止される。
【0027】
また、木質材料に脱水処理が施されることにより、加熱装置(工程)で木質材料の加熱に供される熱量を低減させることが可能になるため(すなわち、水分の蒸発に供する熱量が不要になり、合成樹脂の加熱溶融あるいは加熱固化のために効果的に熱が用いられるようになるため)、製造効率の向上およびエネルギーコストの低減化に貢献する。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記加熱装置は、前記注入装置のロール体により圧縮変形の履歴が付与された前記表層部分を圧縮する圧縮装置を備えることを特徴とするものである。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項8または9記載の発明において、前記加熱工程において前記注入工程で圧縮変形の履歴が付与された前記表層部分を圧縮することを特徴とするものである。
【0030】
請求項7および10記載の発明によれば、表層部分に接着成分含有液が注入された木質材料を圧縮装置で圧縮しながら加熱装置(工程)で加熱処理を施すことにより、木質材料の表層部分は、圧縮状態で固化され、密度が高くなることにより硬度が高くなる。具体的には、例えば、スギ材の場合、比重は通常0.35であるが、圧縮処理が施された表層部分は、比重が0.6〜0.7程度にまで高められる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1および8記載の発明によれば、接着性能または固化性能を備えた接着成分の作用で木質材料の表面の硬さをより向上させることができるとともに、生産性をも向上させることができる。また、適正な種類の接着成分を選ぶことにより当該合成樹脂の硬化温度または軟化温度を、木材組織と水との反応温度より低く設定することが可能であるため、高温に起因した木質材料の表面の変色を防止することができ、改質された木質材料について木の風合いが損なわれるような不都合の発生を確実に防止することができる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、特に天然系接着剤含有液を採用した場合、当該天然系のものは生分解性を備えているため、改質処理された後の木質材料を環境に優しいものにすることができる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、熱硬化性合成樹脂を水に溶解することにより合成樹脂含有液を容易に調製することができる。
【0034】
請求項4記載の発明によれば、所定の溶剤に溶解された熱硬化性合成樹脂を界面活性剤の助けを借りて水中にコロイド状で分散させてエマルジョン化することにより合成樹脂含有液を容易に調製することができる。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、熱硬化性合成樹脂または熱可塑性樹脂を微粉砕することで得られた微細な粒状物を水中に分散させることにより合成樹脂含有液を容易に調製することができる。
【0036】
請求項6および9記載の発明によれば、脱水装置(工程)で木質材料から予め余分な水が取り除かれているため、加熱装置(工程)での突沸による木質材料の破裂を確実に防止することができる。また、木質材料に脱水処理が施されることにより、加熱装置(工程)で木質材料の加熱に供される熱量を低減させることが可能になるため、製造効率の向上およびエネルギーコストの低減化に貢献することができる。
【0037】
請求項7および10記載の発明によれば、表層部分に接着成分含有液が注入された木質材料を圧縮装置で圧縮しながら加熱装置(工程)で加熱処理を施すことにより、木質材料の表層部分は、減容状態で固化され、これによって表層部分の硬度がより高い木質材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は、本発明に係る表層改質木質材料の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。図1に示すように、表層圧縮木材W3は、原料木材W0に圧縮処理を施しつつ表層部分に接着成分含有液Hを含浸させる注入工程P1と、この注入工程P1で表層部分に合成樹脂含有液が含浸された接着成分含浸木材W1に脱水処理を施す脱水工程P2と、この脱水工程P2で脱水処理が施されることにより得られた脱水木材W2に対してプレス視ながら加熱処理を施す加熱工程P3とを経ることにより製造される。
【0039】
前記注入工程P1では、接着成分含有液H中で原料木材W0の表層部分にのみ圧縮処理が施される。そして、この圧縮処理が施された表層部分が元の容量に復元するとき木材組織中に接着成分含有液Hを吸引させ、これによって接着成分含浸木材W1を得るようになされている。
【0040】
前記脱水工程P2では、注入工程P1で得られた脱水木材W2に脱水処理が施され、これによって次工程の加熱工程P3に先立ち余分な水(具体的には、合成樹脂含有液)が機械的に取り除かれた脱水木材W2が得られる。かかる脱水工程P2を経ることで、加熱工程P3での加熱処理に供される熱量を低減させることができる。また、加熱工程P3で木材内の水分が突沸して木材を破裂させてしまうような不都合の発生を防止することができる。
【0041】
前記加熱工程P3では、先の脱水工程P2で得られた脱水木材W2に対して、加熱処理が実行されつつ再度の圧縮処理が施される。圧縮処理については、脱水木材W2を2枚の金属板間で押圧挟持する方法が採用される。また、加熱処理については、金属板の内部に通電発熱体を内装し、この通電発熱体への通電による発熱で金属板を介して脱水木材W2を加熱したり、金属板を介して脱水木材W2に高周波を印加する高周波加熱が採用されたりする。
【0042】
そして、加熱工程P3での脱水木材W2に対するこのような加熱しながらの圧縮処理において、前記接着成分含有液Hに含まれている接着成分が、熱可塑性合成樹脂である場合には、脱水木材W2は、当該熱可塑性合成樹脂の軟化点よりも高温になるまで加熱される。こうすることで脱水木材W2の表層部分の木材組織中に含浸された熱可塑性合成樹脂は軟化溶融した状態になる。
【0043】
そしてこの状態で脱水木材W2に圧縮処理が施されるため、軟化溶融した熱可塑性合成樹脂は、木材組織内で糊の役割を果たし、木材組織の減容状態を粘着維持することになる。そして、加熱工程P3から導出された表層圧縮木材W3は、自然放冷あるいは強制冷却されることで軟化溶融していた熱可塑性合成樹脂が固化し、これによって表層圧縮木材W3の表層の固化状態が安定した状態で維持される。
【0044】
これに対し、加熱工程P3での脱水木材W2に対するこのような加熱しながらの圧縮処理において、前記接着成分含有液Hに含まれている接着成分が、熱硬化性合成樹脂である場合には、脱水木材W2は、当該熱効果性合成樹脂の硬化点よりも高温になるまで加熱されつつ圧縮処理が施される。こうすることで脱水木材W2の表層部分の木材組織中に含浸された熱硬化性合成樹脂は固化し、特に冷却処理を施すことなくそのまま最終製品としての表層圧縮木材W3になる。
【0045】
図2は、平板プレスにより加える押圧力に対応した木材の応力(kgf/cm)と、木材表層部分の圧縮変形(ひずみ(mm))寸法との関係を示すグラフである。図中、実線で示す線図L1は木材に対して注入工程P1による圧縮処理が施されていない場合の図であり、破線で示す線図L2は注入工程P1での圧縮変形履歴の寸法が4mmの場合の図であり、一点鎖線で示す線図L3は注入工程P1での圧縮変形履歴の寸法が8mmの場合の図であり、二点鎖線で示す線図L4は注入工程P1での圧縮変形履歴の寸法が12mmの場合の図である。
【0046】
線図L1では、応力が35(kgf/cm)という大きな応力が発生するまでは木材が変形しないが、これを越えると、あるひずみまでは比較的容易にひずみが増大しており、その後は応力とほぼ比例するようにひずみが増大している。
【0047】
線図L2では、2mmまでは容易に(すなわち、小さい応力で)変形し、この後、4〜5mm程度までは応力の増加が少ない状態で変形し、この後は応力とほぼ比例するようにひずみが増大している。
【0048】
線図L3では、2mm強までは容易に変形し、この後、8mmまで応力の増加が少ない状態で変形し、この後は応力とほぼ比例するようにひずみが増大している。
【0049】
線図L4では、2mm強までは容易に変形し、この後、10mmまで応力の増加が少ない状態で変形し、この後は応力とほぼ比例するようにひずみが増大している。
【0050】
このように、線図L2の場合には、注入工程P1で4mmの圧縮変形履歴が付与されているため、4mmまでの変形に必要な応力と、4mm以上の変形に必要な応力の大きさに差がある。
【0051】
線図L3の場合には、注入工程P1で8mmの圧縮変形履歴が付与されているため、8mmまでの変形に必要な応力と、8mm以上の変形に必要な応力の大きさに差がある。
【0052】
線図L4の場合には、注入工程P1で12mmの圧縮変形履歴が付与されているため、12mmまでの変形に必要な応力と、12mm以上の変形に必要な応力の大きさに差がある。
【0053】
そして、本発明は、図2に示すような木材の挙動に基づき、当該挙動を有効に利用するべく構成されたものである。具体的には、注入工程P1において、前記ブランク試験の場合における水に代えて合成樹脂含有液中で木材に圧縮処理を施すようにしている。このようにするのは、水の場合には、加熱工程P3における固定化処理時に、当該水の木材組織を対象とした加水分解作用のみを利用し、一旦分解して軟化した木材組織を硬質のものに再構築することが行われるのであるが、本発明においては、かかる水の作用に加えて接着効果あるいは粘着効果を備えた合成樹脂の性質、または天然系接着剤の性質を積極的に木材の表層の固化処理に利用するものであり、こうすることで単に水のみを使用した場合に比較し、表層の高度が格段に向上した表面圧縮木質材料を短時間で効率的に製造することができる。従って、加熱工程P3において、脱水木材W2を必ずしも木質材料の改質温度である例えば180℃以上にまで昇温する必要はない。
【0054】
原料木材W0が浸漬される液としては、まず第1実施形態のものとして水中に熱硬化性合成樹脂を溶解することによって形成される合成樹脂溶液を挙げることができる。かかる熱硬化性合成樹脂としては、例えば、グリオキザール樹脂(Glyoxal resin)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、メラミン樹脂(Melamine formaldehyde resin)、ユリア樹脂(Urea formaldehyde resin)、およびマレイン酸(Maleic acid)等を挙げることができる。これらの熱硬化性の合成樹脂の所定量を水に溶解させることによって本発明に係る第1実施形態の合成樹脂含有液を容易に得ることができる。
【0055】
また、第2実施形態に係る液としては、水中に熱硬化性合成樹脂または熱可塑性合成樹脂がコロイド状に分散された合成樹脂エマルジョンを挙げることができる。かかる目的に使用される熱硬化性合成樹脂としては、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、アクリル樹脂(Acrlic resin)、ポバール(PVA:Polybinyl alcohl)、ポリエチレングリコール(PEG:Polyethylene glycol)およびシリコーン樹脂(Silicone resin)等を挙げることができる。
【0056】
また、かかる目的に使用される熱可塑性合成樹脂としては、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA:Ethylene vinyl acetate copolymer)、ポリスチレン(Polysthyrene)、塩化ビニル(Poly vinyl chloride)、アクリロニトリルスチレン共重合体(Acrylonitrile styrene prastics)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(Acrylonitrile butadiene styrene copolymer)、ポリアミド(Polyamide)およびポリエステル(PET:Polyethylene terephthalate)等を挙げることができる。
【0057】
さらに、第3実施形態に係る液として、熱硬化性合成樹脂または熱可塑性合成樹脂の微細な粒状物が分散された合成樹脂懸濁液を挙げることができる。合成樹脂懸濁液を調製するためのものとしては、第1および第2実施形態に係る合成樹脂のいずれをも、あるいはその他の合成樹脂をも適用することができる。このような合成樹脂を、例えば粒径が1μm以下になるまで微粉砕し、水中に投入して攪拌することにより、合成樹脂懸濁液を得ることができる。
【0058】
これらに加えて第4実施形態に係る液としては、天然系接着剤を挙げることができる。天然系接着剤としては、ゼラチン(Gelatin)、カゼイン(Casein)、デキストリン(Dextrin)、アルギン酸ソーダ(Sodium alginate)、キトサン(Chitosan)、タンニン酸(Tannic asid)および絹フィブロイン(Silk fibroin)等を挙げることができる。
【0059】
そして、原料木材W0は、このような第1〜第4実施形態に係るいずれかの液中に浸漬された状態で、軸心回りに回転するロール体(後述の各プレスロール対31,32,33)により圧縮される注入工程P1と、この注入工程P1で圧縮変形の履歴を付与された接着成分含浸木材W1に対し脱水処理を施す脱水工程P2と、この脱水工程P2で脱水された脱水木材W2に対して加熱し筒プレス処理を施す加熱工程P3とを経て表層圧縮木材W3が製造される。
【0060】
従って、注入工程P1において液中で行われる、ロールプレス装置(圧縮装置)30により圧縮された原料木材W0の容量復元時に、当該原料木材W0の表層部分の木材組織内に合成樹脂含有液または天延系接着剤含有液からなる接着成分含有液Hが吸引され、これによって原料木材W0の表層部分の木材組織中に合成樹脂が均一に注入された接着成分含浸木材W1が得られる。この状態で引き続き脱水工程P2で脱水処理が施された後、加熱工程P3において脱水木材W2は、加熱されつつプレス処理が施される。
【0061】
これにより、接着成分含浸木材W1内に含浸された合成樹脂が熱硬化性合成樹脂である場合には、当該熱硬化性合成樹脂が表層圧縮木材W3内で硬化し、これによって木材の表層部分の圧縮変形状態が固定化される。
【0062】
これに対し接着成分含浸木材W1に含浸された合成樹脂が熱可塑性合成樹脂である場合には、当該熱硬化性合成樹脂が表層圧縮木材W3内で軟化して広がり、木材組織内に浸透した状態になる。従って、この状態で表層圧縮木材W3が放冷または強制冷却処理で冷却されることにより、一旦軟化した熱可塑性合成樹脂が固化するため、木材の表層部分の圧縮変形状態が固定化される。
【0063】
そして、本実施形態においては、このような本発明に係る表層圧縮木材W3の製造方法に供される表層圧縮木材W3の製造装置10は、前記注入工程P1で採用される樹脂液槽20、ロールプレス装置30および移送装置40と、前記脱水工程P2で採用される脱水装置50と、前記加熱工程P3で採用されるヒーティングプレス装置(加熱装置)60とを備えて構成されている。
【0064】
以下、かかる製造装置10について図3および図4に基づき説明する。図3は、表層圧縮木材W3の製造装置10の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図4は、その正面視の断面図である。なお、図3および図4においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0065】
図3および図4に示すように、製造装置10は、先に説明したとおり、樹脂液槽20と、ロールプレス装置30と、移送装置40と、脱水装置50と、ヒーティングプレス装置60とを備えている。
【0066】
前記樹脂液槽20は、一般的な容器でよいが、ここでは、平面視で矩形状を呈する底板21と、この底板21の前縁部から斜めに立設された、後方に向かって先下がりに傾斜する前方傾斜板22と、底板21の後縁部から垂直に立設された後方板23と、底板21の左右の縁部から垂直に立設された左右一対の側板24とを備えた、上面が開放状態の側面視で逆台形状の容器によって形成されている。樹脂液槽20の上下寸法は、少なくとも原料木材W0の長さ寸法より長尺(略2倍)に設定されている。このような樹脂液槽20に、略満杯状態で前記のような接着成分含有液Hが装填されている。
【0067】
前記ロールプレス装置30は、樹脂液槽20内において前方傾斜板22に沿うように上方から下方に向かって配設された上部プレスロール対(ロール体)31、中間プレスロール対(ロール体)32および下部プレスロール対(ロール体)33からなる3つのプレスロール対と、各プレスロール対31,32,33を駆動させるためのプレスロール駆動機構34とを備えている。
【0068】
前記上部プレスロール対31は、一対の上部ロール軸311と、各上部ロール軸311にそれぞれ同心で一体回転可能に外嵌された一対の上部ロール本体312とからなっている。また、前記中間プレスロール対32は、一対の中間ロール軸321と、各中間ロール軸321にそれぞれ同心で一体回転可能に外嵌された一対の中間ロール本体322とからなっている。さらに、前記下部プレスロール対33は、一対の下部ロール軸331と、各下部ロール軸331にそれぞれ同心で一体回転可能に外嵌された一対の下部ロール本体332とからなっている。
【0069】
そして、原料木材W0は、上方から上部プレスロール対31間、中間プレスロール対32間および下部プレスロール対33間に順番に差し通され、これによって順次圧縮処理が進行するようになされている。
【0070】
このような各プレスロール対31,32,33において、各上部ロール本体312の対向周面間の距離d1は、図4に示すように、原料木材W0の厚み寸法より僅かに短めに設定され、各中間ロール本体322の対向周面間の距離d2は、前記距離d1より僅かに短めに設定され、各下部ロール本体332の対向周面間の距離d3は、前記距離d2よりさらに僅かに短めに設定されている。
【0071】
従って、原料木材W0は、プレスロール駆動機構34の駆動で上部プレスロール対31から順番に中間プレスロール対32および下部プレスロール対33へ向けて差し込まれていくことにより順次薄く圧縮されていき、下部プレスロール対33を出たときには、下部ロール本体332間の距離d3と同一の厚み寸法にまで圧縮されている。但しこの圧縮状態は、原料木材W0の表層部分にのみ起こり、原料木材W0の芯の部分が圧縮されることはない。
【0072】
そして、距離d3にまで圧縮された原料木材W0は、中間プレスロール対32間を通過した直後から本来的に保持している復元力により元の厚みに向かって復元される。このとき木材組織の一旦減容された細胞内の空間が元の容量に戻るため、樹脂液槽20内の接着成分含有液Hが原料木材W0の表層部分の木材組織内に吸引され、当該原料木材W0の表層部分の細胞内は、接着成分含有液Hで満たされた状態になる。
【0073】
前記プレスロール駆動機構34は、前記各上部ロール軸311に同心で一体回転可能に外嵌された互いに噛合する一対の上部ギヤ341と、前記各中間ロール軸321に同心で一体回転可能に外嵌された互いに噛合する一対の中間ギヤ342と、前記各下部ロール軸331に同心で一体回転可能に外嵌された互いに噛合する一対の下部ギヤ343と、一対の上部ギヤ341の一方および一対の中間ギヤ342の一方間に介設された上部アイドルギヤ344と、一対の中間ギヤ342の一方および一対の下部ギヤ343の一方間に介設された下部アイドルギヤ345と、前記一対の下部ギヤ343の一方と噛合する(図3および図4に示す例では後方の下部ギヤ343に噛合する)駆動ギヤ35と、この駆動ギヤ35を駆動回転させる第1駆動モータ36とを備えている。
【0074】
各一対のギヤ341,342,343は、それぞれ互いに噛合されている。また、前記第1駆動モータ36は、駆動軸361を有し、この駆動軸361は、同心で一体回転可能に前記駆動ギヤ35に連結されている。
【0075】
かかるプレスロール駆動機構34によれば、第1駆動モータ36を駆動して駆動軸361を軸心回りに時計方向に駆動回転させることにより、この駆動回転は、駆動ギヤ35を介して下部ギヤ343に伝達され、これによって一対の下部ギヤ343は、互いに反対方向(前方の下部ギヤ343は時計方向、後方の下部ギヤ343は反時計方向)に向けて回転する。一対の下部ギヤ343の駆動回転により、下部プレスロール対33もそれぞれ回転する。
【0076】
また、この下部ギヤ343の駆動回転は、下部アイドルギヤ345を介して後方の中間ギヤ342に伝達され、これによって一対の中間ギヤ342も互いに反対方向(前方の中間ギヤ342は時計方向、後方の中間ギヤ342は反時計方向)に向けて回転する。一対の中間ギヤ342の駆動回転により、中間プレスロール対32もそれぞれ回転する。
【0077】
また、中間ギヤ342の駆動回転は、上部アイドルギヤ344を介して後方の上部ギヤ341に伝達され、これによって一対の上部ギヤ341も互いに反対方向(前方の上部ギヤ341は時計方向、後方の上部ギヤ341は反時計方向)に向けて回転する。一対の上部ギヤ341の駆動回転により、上部プレスロール対31もそれぞれ回転する。
【0078】
すなわち、第1駆動モータ36の駆動により、各プレスロール対31,32,33は、それぞれ前記各ギヤを介して駆動回転した状態になるため、この状態で上部プレスロール対31間に原料木材W0を供給することにより、当該原料木材W0は、各プレスロール対31,32,33により順番にプレス処理が施されることになる。
【0079】
前記移送装置40は、原料木材W0にロールプレス装置30により注入工程P1での圧縮処理が施され、かつ、その表層部分に接着成分含有液Hが含浸された接着成分含浸木材W1を移動して脱水装置50へ向かわせるためのものである。
【0080】
かかる移送装置40は、前記下部プレスロール対33の直下位置に配設された接着成分含浸木材W1を受けて傾斜姿勢から垂直姿勢へ姿勢変更させるための姿勢変更容器41と、この姿勢変更容器41を姿勢変更のために駆動する油圧装置42とを備えている。
【0081】
前記姿勢変更容器41は、左右方向に細長く形成されているとともに、前後幅寸法が接着成分含浸木材W1の厚さ寸法より僅かに幅広に設定され、かつ、上下寸法が接着成分含浸木材W1の上下寸法より若干長めに設定され、これによって接着成分含浸木材W1を余すところなく全て収納し得るような断面サイズおよび長さ寸法にされている。
【0082】
かかる姿勢変更容器41は、前記ロールプレス装置30により下降される原料木材W0の下降方向に沿うように樹脂液槽20内においてロールプレス装置30の直下位置に斜めに配設されている。従って、ロールプレス装置30により下方に向けて押し出された接着成分含浸木材W1は、傾斜姿勢に姿勢設定された姿勢変更容器41内に収容される。
【0083】
また、姿勢変更容器41の下端部には、左右の側板を一体回転可能に貫通した回動軸411が設けられている。この回動軸411は、樹脂液槽20の一対の側板24に防水状態で回転可能に貫通されている。従って、姿勢変更容器41の姿勢変更は、回動軸411の軸心回りの正逆回動でおこなわれることになる。
【0084】
前記油圧装置42は、油圧ポンプ等の油圧機器が内装された第1油圧源43と、この第1油圧源43から供給される油圧により駆動する姿勢変更用シリンダ装置44とから構成されている。姿勢変更用シリンダ装置44は、油圧シリンダ441と、この油圧シリンダ441から進退するピストンロッド442とからなっている。
【0085】
一方、樹脂液槽20の右側の側板24を貫通した前記回動軸411の右端部には、軸心と直交する方向に延びる連結アーム412が固定されている。この連結アーム412と、前記姿勢変更用シリンダ装置44のピストンロッド442の先端とは、接続ピン443を介して互いに接続されている。従って、ピストンロッド442が油圧シリンダ441から進退することにより、姿勢変更容器41は、連結アーム412および回動軸411を介して傾斜姿勢と垂直姿勢との間で姿勢変更することになる。
【0086】
従って、姿勢変更容器41が傾斜姿勢に姿勢設定された状態でロールプレス装置30からの接着成分含浸木材W1を受け入れた後に、油圧装置42の駆動で姿勢変更容器41を垂直姿勢に姿勢変更することにより、姿勢変更容器41内に収容された接着成分含浸木材W1は、自身の浮力で姿勢変更容器41から抜け出て浮き上がり、前記脱水装置50へ向けて上昇する。
【0087】
脱水装置50は、接着成分含浸木材W1の表層部分に一旦吸収された接着成分含有液Hを排出させて脱水するものである。かかる脱水装置50は、樹脂液槽20の上部の後方位置で一対の側板24間に架設された一対の脱水ロール51と、これら一対の脱水ロール51を駆動する第2駆動モータ52と、この第2駆動モータ52の駆動によって駆動回転する脱水ギヤ53とを備えている。
【0088】
前記一対の脱水ロール51は、側板24間に貫通架設された一対の脱水ロール軸511回りに同心で一体回転可能に外嵌されている。これら一対の脱水ロール51の対向した周面間の距離は、先の下部プレスロール対33の下部ロール本体332の対向周面間の距離d3と同一か、それより若干広めに設定されている。また、樹脂液槽20に満たされる接着成分含有液Hは、脱水ロール51に到達しない液位に設定されている。
【0089】
第2駆動モータ52の駆動軸521には、同心で一体回転可能に駆動ギヤ522が外嵌されている。この駆動ギヤ522は、互いに噛合している一対の脱水ギヤ53の一方側に噛合され、第2駆動モータ52の駆動による駆動ギヤ522の駆動軸521回りの一体回転が脱水ギヤ53に伝達されるようになっている。そして、これら一対の脱水ギヤ53の回転は、各脱水ロール軸511を介して各脱水ロール51に伝達され、これによって各脱水ロール51が互いに反対方向に向けて回転する。
【0090】
従って、垂直になった姿勢変更容器41から浮上した接着成分含浸木材W1は、各脱水ロール軸511回りに互いに反対方向に回転している一対の脱水ロール51間の隙間に捕捉され、引き続き各脱水ロール51の駆動回転によって両脱水ロール51間の隙間を圧縮されながら通過するに際して表層に含んだ水分が絞り取られて脱水される。脱水処理後の脱水木材W2は、図略の作業ロボット等の作業手段により、あるいは作業者の手作業によりヒーティングプレス装置60へ送り込まれて加熱圧縮処理が施される。
【0091】
前記ヒーティングプレス装置60は、脱水装置50で脱水処理が施された脱水木材W2に対して圧縮しながら高周波加熱処理を施し、これによって脱水木材W2を表層圧縮木材W3に加工するためのものである。かかるヒーティングプレス装置60は、直方体状を呈する装置本体61と、この装置本体61装着され脱水木材W2に高周波を印加して加熱処理を施す高周波加熱機構62と、同脱水木材W2に圧縮処理を施す圧縮機構63とを備えている。
【0092】
前記装置本体61は、平面視で矩形状の基礎台611と、この基礎台611の四隅部からそれぞれ立設された4本の支柱612と、これら4本の支柱に支持された天板613とを備えている。
【0093】
前記高周波加熱機構62は、基礎台611と天板613との間に配設された上部電極621aおよび下部電極621bからなる上下一対の対向電極621と、これら一対の対向電極621に高周波を印加する高周波発生機622とからなっている。そして、脱水木材W2が上部電極621aおよび下部電極621b間に押圧挟持された状態で、これら一対の対向電極621に高周波発生機622からの高周波が印加されることにより、脱水木材W2に高周波加熱処理が施され、これによって脱水木材W2の表層に含まれた接着成分含有液中の接着成分が所定の温度(接着成分が熱可塑性合成樹脂である場合には軟化点以上の温度、接着成分が熱硬化性合成樹脂である場合には硬化点以上の温度)加熱される。
【0094】
前記圧縮機構63は、前記対向電極621を昇降させる圧縮処理用シリンダ装置64と、この圧縮処理用シリンダ装置64に対して油圧を供給する第2油圧源65とを備えている。
【0095】
前記圧縮処理用シリンダ装置64は、縦置きで装置本体61の天板613に固定された3本の油圧シリンダ641と、各油圧シリンダ641から天板613を貫通してそれぞれ垂下されたピストンロッド642とを備えている。本実施形態においては、かかる3台の圧縮機構63が左右方向の中央部で前後方向に直列に並設されているが、本発明は、圧縮処理用シリンダ装置64が3台であることに限定されるものではなく、2台以下であってもよいし、3台以上採用してもよい。
【0096】
そして、各ピストンロッド642の下端部が上部電極621aの上面に固定され、各ピストンロッド642が各油圧シリンダ641内に引き込まれたり、油圧シリンダ641から突出されたりすることにより、上部電極621aが昇降するようになされている。
【0097】
前記第2油圧源65には、オイル貯留槽や駆動モータの駆動で動作する油圧ポンプ等の所定の油圧機器が内装されている。かかる第2油圧源65の駆動により一方向から油圧が油圧シリンダ641へ供給されることによりピストンロッド642が油圧シリンダ641から突出する一方、他方向から油圧が供給されることによりピストンロッド642が油圧シリンダ641から突出するようになっている。
【0098】
そして、上部電極621aが上昇された状態で、前記脱水装置50から導出された脱水木材W2を下部電極621b上に載置する。引き続き第2油圧源65からの油圧シリンダ641への油圧の供給でピストンロッド642を突出させ、これによって下部電極621b上の脱水木材W2を上部電極621aにより押圧して圧縮する。これにより、対向電極621間に押圧挟持された脱水木材W2は、先のロールプレス装置30により圧縮癖が付けられた表層部分が再度圧縮された状態になる。
【0099】
以下、図4および図5を基に、必要に応じて図1および図2を参照しながら本発明に係る製造装置10の作用について説明する。因みに、図5は、ロールプレス装置30における原料木材W0の状態変化を説明するための説明図であり、図5(A)は、原料木材W0が上部プレスロール対31により圧縮されつつある状態、図5(B)は、原料木材W0が上部プレスロール対31および中間プレスロール対32により圧縮されつつある状態、図5(C)は、原料木材W0が上部プレスロール対31,中間プレスロール対32および下部プレスロール対33により圧縮されつつある状態をそれぞれ示している。なお、図5におけるYによる方向表示は、図4の場合と同様(−Y:前方、+Y:後方)である。
【0100】
前記原料木材W0に対して表層圧縮処理を施し、表層圧縮木材W3を製造するに際しては、まず、樹脂液槽20内に略満杯になるまで接着成分含有液Hを注ぎ入れ、引き続き第1駆動モータ36および第2駆動モータ52をそれぞれ駆動する。こうすることにより、第1駆動モータ36の駆動力は、駆動軸361および駆動ギヤ35を介して一対の下部ギヤ343に伝達され、この下部ギヤ343の回転は下部アイドルギヤ345を介して一対の中間ギヤ342に伝達され、この中間ギヤ342の回転は上部アイドルギヤ344を介して一対の上部ギヤ341に伝達される。
【0101】
また、第2駆動モータ52の駆動力は、駆動軸521、駆動ギヤ522および一対の脱水ギヤ53を介して一対の脱水ロール51に伝達され、これによって各脱水ロール51は、各脱水ロール軸511回りに互いに反対方向へ向けて駆動回転する。
【0102】
このような状態で、前記各一対のギヤ341,342,343が駆動回転することにより各プレスロール対31,32,33が各ローラ軸311,321,331回りにそれぞれ回転する。この回転においては、右側のプレスロールがローラ軸回りに図4における反時計方向に向けて駆動回転する一方、左側のプレスロールがローラ軸回りに図4における時計方向に向けて駆動回転する。
【0103】
このように各プレスロール対31,32,33が駆動回転された状態において原料木材W0を、図4に示すように、上部プレスロール対31の各単位ロール間に形成された隙間へ右下がりの傾斜状態で差し込む。こうすることにより原料木材W0は、上部プレスロール対31の互いに反対方向に向かう回転に誘導されて中間プレスロール対32へ導入され、ついで上部プレスロール対31および中間プレスロール対32の駆動回転に誘導されて下部プレスロール対33へ導入される。そして、下部プレスロール対33を通過した原料木材W0は、接着成分含浸木材W1となって表層部分が圧縮された状態で姿勢変更容器41内へ排出される。
【0104】
ここで、原料木材W0が接着成分含浸木材W1になるメカニズムを、各プレスロール対31,32,33の配列状態を示す図4の部分拡大図である図5を基に詳細に説明する。まず、図5(A)に示す状態では、厚み寸法d0の原料木材W0が互いに反対方向に向けて駆動回転している上部プレスロール対31の隙間に引き込まれ、これによって厚み寸法がd1にまで圧縮された状態で上部プレスロール対31から下方に向けて排出されている。なおこのとき原料木材W0は、全体的に均等に圧縮されるのではなく、表層部分の木材組織が破壊されてその部分のみが圧縮された状態になっている。
【0105】
ついで、上部プレスロール対31の駆動回転の継続により原料木材W0が駆動回転している中間プレスロール対32に到達すると、当該原料木材W0は、図5(B)に示すように、この中間プレスロール対32の各ロール間に噛み込まれ、これによってd1であった厚み寸法がd2にまで圧縮される。このときも原料木材W0は、全体的に均等に圧縮されるのではなく、表層部分のみが圧縮された状態になっている。
【0106】
ついで、上部プレスロール対31および中間プレスロール対32の駆動回転の継続により原料木材W0が駆動回転している下部プレスロール対33に到達すると、当該原料木材W0は、図5(C)に示すように、この下部プレスロール対33の各ロール間に噛み込まれ、これによってd2であった厚み寸法がd3にまで圧縮される。このときも原料木材W0は、全体的に均等に圧縮されるのではなく、表層部分のみが圧縮された状態になっている。
【0107】
そして、下部プレスロール対33から下方に向けて押し出された原料木材W0は、元の厚さに復元されるため、この復元された木材組織の細胞内に接着成分含有液Hが吸引され(図5(C)に点描で表示)、これによって原料木材W0の表層部分に接着成分含有液Hが含浸された接着成分含浸木材W1が形成される。
【0108】
ついで、図4に戻り、原料木材W0が各プレスロール対31,32,33を順次通過することにより形成された接着成分含浸木材W1は、傾斜姿勢に姿勢設定された姿勢変更容器41内に収容される。そして、接着成分含浸木材W1が姿勢変更容器41に収容された後、油圧装置42が駆動され、これによるピストンロッド442の油圧シリンダ441内への没入によって連結アーム412が回動軸411回りに時計方向回動され、結果として連結アーム412と一体の姿勢変更容器41が傾斜姿勢から垂直姿勢に姿勢変更する。
【0109】
そうすると、姿勢変更容器41内に収容されていた接着成分含浸木材W1は、自身の浮力によって浮き上がり、その上端が互いに反対方向に回転している脱水装置50の一対の脱水ロール51により受け止められる。
【0110】
そして、一対の脱水ロール51により受け止められた接着成分含浸木材W1は、その後、当該一対の脱水ロール51の互いに反対方向へ向かう回転(後方の脱水ロール51は、後方の脱水ロール軸511回りに時計方向に向けて一体回転するとともに、前方の脱水ロール51は、前方の脱水ロール軸511回りに反時計方向に向けて一体回転する)により押圧挟持された状態で上方に向けて押し上げられ、このときに一対の脱水ロール51による圧縮処理で表層部分に吸収されていた接着成分含有液Hが絞り取られ、これによって脱水処理が行われる。
【0111】
脱水処理が施された脱水木材W2には、その表層部分に吸収されていた余分な接着成分含有液Hが排出され、これによって必要かつ充分な接着成分含有液Hが木材の表層部分の細胞組織内に残留した状態になる。
【0112】
ついで、脱水装置50から排出された脱水木材W2は、作業ロボットまたは作業者の人力により、ヒーティングプレス装置60の対向電極621間に装填される。引き続き、圧縮機構63の駆動によりピストンロッド642が油圧シリンダ641から突出され、これによる上部電極621aの下降によって上部電極621aと下部電極621bとの間に挟持された脱水木材W2に圧縮処理が施される。
【0113】
この圧縮処理によって、脱水木材W2の圧縮履歴があり、かつ、内部組織に接着成分含有液Hが吸収されている表層部分が圧縮されて減容した状態になる。この状態で高周波加熱機構62の駆動により高周波発生機622からの高周波が対向電極621を介して脱水木材W2に印加される。かかる高周波加熱によって脱水木材W2の表層部分に吸収されている接着成分含有液H中の接着成分は、熱処理が施されることになる。
【0114】
そして、接着成分含有液H中の合成樹脂成分が熱可塑性合成樹脂である場合には、かかる高周波加熱で軟化溶融され、接着剤としての機能を発揮する。従って、所定時間の高周波印加処理の後に脱水木材W2を対向電極621間から取り出し、所定のクリップ金具でクリップした状態で自然放冷することにより、表層圧縮木材W3を得ることができる。
【0115】
これに対し、接着成分含有液H中の接着成分が熱硬化性合成樹脂である場合には、高周波加熱処理で当該合成樹脂の硬化温度以上にまで加熱することにより、直ちに表層圧縮木材W3を得ることができる。
【0116】
以上詳述したように、本実施形態に係る表層改質木質材料の製造装置(方法)は、表層部分を選択的に圧縮した木質材料としての表層圧縮木材W3を製造する装置(方法)であり、各プレスロール対31,32,33を用いて原料木材W0の表層部分を合成樹脂含有液中または天然系接着剤含有液中で選択的に圧縮する圧縮装置としてのロールプレス装置30(注入工程P1)と、このロールプレス装置30によって表層部分が選択的に圧縮され、かつ、圧縮履歴を有する表層部分に接着成分含有液Hが含浸された接着成分含浸木材W1に対し脱水処理を施す脱水装置50(脱水工程P2)と、ロールプレス装置30によって圧縮変形の履歴を付与された前記表層部分を加熱しつつプレスするヒーティングプレス装置60(加熱工程P3)とを備えて構成されている。
【0117】
かかる構成の表層改質木質材料の製造装置(方法)によれば、ロールプレス装置30(注入工程P1)において接着成分含有液H中で表層部分が各プレスロール対31,32,33の周面により一旦選択的に圧縮変形された原料木材W0は、各プレスロール対31,32,33を通過して圧縮状態が解除された時点で元に復元し、そのとき接着成分含有液Hが一旦縮まった原料木材W0の組織内の空間の元の容量への復元で当該組織内に吸収され、これにより接着成分含浸木材W1が形成される。
【0118】
ついで実行される脱水装置50(脱水工程)による脱水処理により、接着成分含浸木材W1から余分な水分が取り除かれて脱水木材W2が形成される。
【0119】
そして、引き続き加熱しつつ行われる圧縮処理が可能なヒーティングプレス装置60(加熱工程P3)での加熱圧縮処理により、脱水木材W2は、その表層部分にロールプレス装置30での圧縮変形履歴が残った状態になっていることで容易に圧縮処理が施される。この加熱圧縮処理により原料木材W0の表層部分に一旦吸収され、かつ、木材組織内に残留した加熱状態の合成樹脂が接着剤または固化剤の役割を果たして圧縮された原料木材W0の表層部分が元の容量に戻るのを阻止するため、結果として表層部分の圧縮変形状態が維持される永久固形化が実現する。
【0120】
そして、接着成分含有液H中の合成樹脂が熱硬化性合成樹脂である場合には、当該熱硬化性合成樹脂が加熱工程P3での加熱処理時に硬化し、これによって原料木材W0の表層部分の選択的な圧縮弾性変形状態、すなわち硬化状態が安定して維持される。
【0121】
これに対し、接着成分含有液H中の合成樹脂が熱可塑性合成樹脂である場合には、当該熱可塑性合成樹脂が加熱工程P3での加熱処理時に軟化して良好な流動性を発揮し、木材組織の深部に浸透した状態になる。この状態の原料木材W0に自然放冷または強制冷却の処理を施すことにより原料木材W0の表層部分は圧縮変形状態で硬化状態が安定して維持される。
【0122】
このように、注入工程P1においてロールプレス装置30を用いて原料木材W0の表層部分に接着成分含有液Hを含浸させることにより、引き続き脱水工程P2の後に実行される加熱工程P3での加熱しながらのプレス処理により、合成樹脂が本来的に保有している接着性能または固化性能に基づき原料木材W0の表層部分の圧縮変形状態が維持されるため、従来のように、単に木材組織と加熱された水との長時間に亘る反応によって原料木材W0の圧縮変形状態を固定させる方式に比較し、表面性能が向上するとともに、生産性も向上する。また、合成樹脂の硬化温度または軟化温度は、木材組織と水との反応温度より低く設定することが可能であるため、高温に起因した原料木材W0の表面の変色を防止することができ、原料木材W0の風合いが維持される。
【0123】
表1は、本発明の効果を項目毎に一覧表にまとめた効果表である。
【0124】
【表1】

なお、天然系接着剤やシリコン系の合成樹脂は、元々ホルムアルデヒドを含まないため安全である。その他のホルムアルデヒドを含む合成樹脂であっても、熱処理を施すことで基準値(日本農業規格のF☆☆☆☆(フォースター))以下の低VOC(Volatile Organic Compounds:低揮発性有機化合物)とすることができる。
【0125】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の態様をも採用することが可能である。
【0126】
(1)上記の実施形態の表層圧縮木材W3の製造装置10においては、ロールプレス装置30、移送装置40および脱水装置50が1つの樹脂液槽20内に装着されているが、こうする代わりにロールプレス装置30、移送装置40および脱水装置50をそれぞれ他とは独立した別個の装置として別々に構成してもよい。
【0127】
(2)上記の実施形態においては、注入工程P1と、加熱工程P3との間に脱水工程P2を介設しているが、脱水工程P2は必ずしも必須ではなく、特に設ける必要はない。この場合、注入工程P1で原料木材W0に圧縮処理を施すことで得られた接着成分含浸木材W1は、直ちに加熱工程P3へ送り込まれる。
【0128】
(3)上記の実施形態においては、加熱工程P3での脱水木材W2(脱水処理が施されない場合は接着成分含浸木材W1)への加熱処理に高周波加熱機構62による高周波加熱が採用されているが、本発明は、加熱工程P3での木材の加熱に高周波加熱を採用することに限定されるものではなく、例えば、木材を挟持する上下のプレス板内にニクロム線などの通電発熱体を埋設し、この通電発熱体への通電による発熱で木材を加熱してもよい。
【0129】
(4)上記の実施形態においては、ロールプレス装置30に上部プレスロール対31、中間プレスロール対32および下部プレスロール対33の3つのプレスロール対が採用されているが、本発明は、プレスロール対が3つであることに限定されるものではなく、2つ以下でもよいし、4つ以上であってもよい。
【0130】
(5)上記の実施形態においては第1油圧源43および第2油圧源65をまとめて1台の油圧源とし、この1台の油圧源からの油圧で姿勢変更用シリンダ装置44および圧縮処理用シリンダ装置64の双方を駆動させるようにしてもよい。
【0131】
(6)上記の実施形態においては、加熱工程P3でヒーティングプレス装置60が採用され、脱水木材W2にプレス処理を施しながら加熱処理を施すようになされているが、プレス処理を施すことなく加熱処理のみを施すようにしてもよい。こうすることによって脱水木材W2の表層部分がたとえ圧密されていない状態であっても、表層部分の木材組織内に侵入した接着成分含有液H中の接着成分である樹脂や天然系接着剤が固化し、これら当該接着成分そのものの作用で木質材料の表面を硬くするなど、表面性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に係る表層改質木質材料の製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図2】平板プレスにより加える押圧力に対応した木材の応力(kgf/cm)と、木材表層部分の圧縮変形(ひずみ(mm))寸法との関係を示すグラフである。
【図3】表層圧縮木材の製造装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。
【図4】図3に示す製造装置の正面視の断面図である。
【図5】ロールプレス装置における原料木材の状態変化を説明するための説明図であり、(A)は、原料木材が上部プレスロール対により圧縮されつつある状態、(B)は、原料木材が上部プレスロール対および中間プレスロール対により圧縮されつつある状態、(C)は、原料木材が上部プレスロール対,中間プレスロール対および下部プレスロール対により圧縮されつつある状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0133】
10 製造装置 20 樹脂液槽
21 底板 22 前方傾斜板
23 後方板 24 側板
30 ロールプレス装置(圧縮装置)
31 上部プレスロール対(ロール体)
311 上部ロール軸 312 上部ロール本体
32 中間プレスロール対(ロール体)
321 中間ロール軸 322 中間ロール本体
33 下部プレスロール対(ロール体)
331 下部ロール軸 332 下部ロール本体
34 プレスロール駆動機構 341 上部ギヤ
342 中間ギヤ 343 下部ギヤ
344 上部アイドルギヤ 345 下部アイドルギヤ
35 駆動ギヤ 36 第1駆動モータ
361 駆動軸 40 移送装置
41 姿勢変更容器 411 回動軸
412 連結アーム 42 油圧装置
43 第1油圧源 44 姿勢変更用シリンダ装置
441 油圧シリンダ 442 ピストンロッド
443 接続ピン 50 脱水装置
51 脱水ロール 511 脱水ロール軸
52 駆動モータ 521 駆動軸
522 駆動ギヤ 53 脱水ギヤ
60 ヒーティングプレス装置(加熱装置)
61 装置本体 611 基礎台
612 支柱 613 天板
62 高周波加熱機構 621 対向電極
621a 上部電極 621b 下部電極
622 高周波発生機 63 圧縮機構
64 圧縮処理用シリンダ装置
641 油圧シリンダ 642 ピストンロッド
65 第2油圧源 H 接着成分含有液
P1 注入工程 P2 脱水工程
P3 加熱工程 W0 原料木材
W1 接着成分含浸木材 W2 脱水木材
W3 表層圧縮木材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層部分を改質した木質材料を製造する装置であって、接着成分含有液中でロール体を用いて前記木質材料の表層部分を選択的に一時的に圧縮しながら前記表層部分に前記接着成分含有液を注入する注入装置と、この注入装置によって前記接着成分含有液が注入された前記表層部分に加熱処理を施す加熱装置とを有することを特徴とする表層改質木質材料の製造装置。
【請求項2】
前記接着成分含有液は、合成樹脂含有液および天然系接着剤含有液のいずれか一方であることを特徴とする請求項1記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項3】
前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂が溶解された合成樹脂溶液であることを特徴とする請求項2記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項4】
前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂および熱可塑性合成樹脂の少なくとも一方がコロイド状に分散された合成樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項2記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項5】
前記合成樹脂含有液は、水中に熱硬化性合成樹脂および熱可塑性合成樹脂の少なくとも一方の粒状物が分散された合成樹脂懸濁液であることを特徴とする請求項2記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項6】
前記注入装置による一時的な圧縮処理の完了後の木質材料に対して脱水処理を施す脱水装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項7】
前記加熱装置は、前記注入装置のロール体により圧縮変形の履歴が付与された前記表層部分を圧縮する圧縮装置を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表層改質木質材料の製造装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の製造装置を用いて表層改質木質材料を製造する製造方法であって、前記注入装置を用いて木質材料の表層部分を選択的に、かつ、一時的に圧縮しながら前記接着成分含有液を前記表層部分に注入する注入工程と、前記加熱装置を用いて前記注入工程で前記接着成分含有液が注入された前記表層部分に加熱処理を施す加熱工程とを含むことを特徴とする表層改質木質材料の製造方法。
【請求項9】
前記注入工程と前記加熱工程との間に、注入工程における一時的な圧縮処理の完了後の木質材料に対して脱水処理を施す脱水工程を有することを特徴とする請求項8記載の表層改質木質材料の製造方法。
【請求項10】
前記加熱工程において前記注入工程で圧縮変形の履歴が付与された前記表層部分を圧縮することを特徴とする請求項8または9記載の表層改質木質材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−307798(P2008−307798A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157960(P2007−157960)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(390024394)山本ビニター株式会社 (16)
【Fターム(参考)】