説明

表示システムおよび表示プログラム

【課題】
色覚弱者が2種類以上の類似する色で描画を行ったときに、色覚弱者でない者が色の違いがあることを容易に認識できる表示システムおよび表示プログラムを提供する。
【解決手段】
表示部11とタッチ入力部12と制御部13と備える表示システム1において、制御部13を、タッチ入力部12からの入力があったとき、入力結果に対応する描画処理を行うことによって、表示部11に入力画像を表示させる入力画像描画部21として機能させるとともに、入力画像描画部21によって表示部11に入力画像が表示されるとき、表示中の入力画像の色情報ごとに、該色情報が示す色で表される所定の形状のカラーアイコンを、それぞれ1つずつ、表示部11におけるパレット領域に表示させる使用色報知画像描画部22として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムおよび表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子黒板システムなどの表示システムは、会議や講義等で用いられ、操作者による入力操作に基づいて、表示部の表示画面に画像を表示する。一般的に、表示画面には、種々の色の画像を表示することが可能であるが、色覚は人によって異なるので、操作者が描画した画像の色の違いを、会議等の参加者が認識できない場合がある。たとえば、色覚弱者によっては、赤色と濃い緑色との違いを認識できない場合があり、このような場合、色覚弱者ではない操作者が、赤色と濃い緑色とを選択して描画を行うと、会議等の参加者である色覚弱者は色の違いを認識できず、操作者が描画した画像の意図を理解できなくなってしまう。
【0003】
このような問題を解決する技術として、特許文献1には、操作者の描画により画像が表示されたときに、表示された画像を、色覚弱者が見たときの画像に変換し、縮小して表示部に表示させる技術が開示されている。この技術によれば、色覚弱者ではない操作者は、表示部に表示された、色覚弱者が見たときの画像を確認することで、色覚弱者が区別して認識できる色に選択し直し、色覚弱者に理解できるように描画を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−334053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、操作者が色覚弱者である場合、色覚弱者が区別して認識することができる色域は狭く限られているので、色を選択し直すのは難しく、必然的に、選択される色は類似してしまう。そうすると、会議等の参加者が色覚弱者でない者である場合、逆に、その参加者が、色の違いを容易には認識できなくなり、色覚弱者が描画した画像の意図を理解できない場合がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、表示された画像を変換および縮小して表示しているが、このような複雑な画像処理を行うと、処理に時間がかかり、表示システムを使用する会議等の迅速な進行を妨げるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、色覚弱者が2種類以上の類似する色で描画を行ったときに、色覚弱者でない者が色の違いがあることを容易に認識できる表示システムおよび表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像を表示するための表示部と、前記表示部を制御するための制御部と、前記制御部に指示を入力するための入力部とを備える表示システムであって、
前記制御部は、
前記入力部からの入力があったとき、入力結果に対応する描画処理を行うことによって、前記表示部に入力画像を表示させる入力画像描画部と、
前記入力画像描画部によって前記表示部に入力画像が表示されるとき、表示中の入力画像の色情報ごとに、該色情報が示す色で表される所定の形状の使用色報知画像を、それぞれ1つずつ、前記表示部における所定の使用色報知領域に表示させる使用色報知画像描画部とを含むことを特徴とする表示システムである。
【0009】
また本発明は、前記使用色報知画像描画部は、各色情報について、前記入力画像中における該色情報が示す色で表される画素の総数が第1の閾値よりも多いか、または、前記入力画像中における該色情報が示す色で表される連結成分の画素数が、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値よりも多い場合にのみ、該色情報が示す色で表される前記使用色報知画像を表示させることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記使用色報知画像描画部は、前記使用色報知画像とともに、該使用色報知画像の色の名称とは異なる色の名称を表示させることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、表示部および入力部を備えるコンピュータを、前記表示システムとして機能させることを特徴とする表示プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、入力画像が表示されるときには、表示中の入力画像の色情報ごとに、該色情報が示す色で表される使用色報知画像が、それぞれ1つずつ、使用色報知領域に表示される。したがって、表示部に2色以上の類似した色で入力画像が表示されていても、使用色報知領域に表示される使用色報知画像を確認することで、使用されている色の数を認識することが容易になる。よって、色覚弱者が本発明に係る表示システムを操作する場合において、その色覚弱者が2種類以上の類似する色を使用して描画を行ったときに、色覚弱者でない者は色の違いがあることを容易に認識することができる。
【0013】
また本発明によれば、各色情報について、入力画像中における該色情報が示す色で表される画素の総数が第1の閾値よりも多いか、または、入力画像中における該色情報が示す色で表される連結成分の画素数が、第1の閾値よりも小さな第2の閾値よりも多い場合にのみ、該色情報が示す色で表される使用色報知画像が表示される。したがって、ある色について、第1の閾値以下の画素数の不連続な画像か、または、第2の閾値以下の画素数の連結成分しか、入力画像として表示されていない場合には、その色で表される使用色報知画像が表示されないこととなり、操作者が意図して使用している色が分かり易くなる。
【0014】
また本発明によれば、使用色報知画像とともに、その使用色報知画像の色とは異なる色の名称が表示される。たとえば、青みの強い緑色で描画される使用色報知画像とともに、「みどり」という色の名称が表示される。本来の緑色であれば、色覚弱者にとって緑色であるのか黄緑色であるのか判別し難いが、青みの強い緑色であれば、他の色と混同せずに認識することができる。しかしながら、青みの強い緑色や薄い青色などは、正式名称が広く知られていなかったり、存在しなかったりする場合がある。そこで、本発明では、青みの強い緑色に類似する代表的な色である「みどり」色の名称を、青みの強い緑色で描画される使用色報知画像とともに表示する。これによって、色覚弱者がどのような色のつもりで画像を描画しているかを、色覚弱者でない者は容易に知ることができる。そして、使用色報知画像とともに色の名称が表示されることで、本発明に係る表示システムを初めて見る人であっても、使用色報知画像が入力画像に使用されている色を示していることをすぐに理解することができる。
【0015】
また本発明によれば、表示部および入力部を備えるコンピュータを前記表示システムとして機能させる表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表示システム1の外観を示す模式図である。
【図2】表示システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3A】表示パネル111における画像の表示例を示す図である。
【図3B】表示パネル111における画像の表示例を示す図である。
【図3C】表示パネル111における画像の表示例を示す図である。
【図3D】表示パネル111における画像の表示例を示す図である。
【図4A】入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22の処理を示すフローチャートである。
【図4B】入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態の1つである表示システム1について説明する。図1は、表示システム1の外観を示す模式図である。図2は、表示システム1の電気的構成を示すブロック図である。表示システム1は、たとえば、縦100cm、横150cm程度の略矩形状の表示パネル111を有する電子黒板システムであり、表示部11と、タッチ入力部12と、制御部13とを備える。
【0018】
表示部11は、たとえば、液晶ディスプレイ、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどであり、表示パネル111を有し、制御部13から入力された画像を、表示パネル111に表示する。表示部11は、表示パネル111に画像を表示させるための表示パネルドライバ112を含んでいる。表示パネルドライバ112は、制御部13から入力された画像を記憶するためのビットマップRAM(Random Access Memory)113を備え、記憶された画像に基づいて表示パネル111に画像を表示させる。ビットマップRAM113は、表示パネル111に描画可能な色ごとに設けられ、ビットマップRAM113の1ビットと、表示パネル111の1画素とが1対1に対応する。より詳細には、表示パネル111に描画されている画像の画素ごとに、その画素の色に対応するビットマップRAM113における、その画素に1対1に対応する1ビットに、数値「1」が記憶され、それ以外に数値「0」が記憶される。なお、本発明の他の実施形態としては、表示部11が、スクリーンを画面として、その画面に画像を投影するプロジェクタであってもよい。
【0019】
タッチ入力部12は、投影型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、赤外線遮断検出方式タッチパネルなどから構成され、制御部13に対して指示を入力することができる。タッチ入力部12は、表示部11の表示パネル111の周辺に固定されるタッチパネル部121と、操作者による操作を検出し、表示パネル111の画素の位置を示す情報である位置情報を取得して、制御部13に入力するタッチパネルドライバ122とを含む。
【0020】
たとえば、タッチ入力部12が抵抗膜方式タッチパネルである場合、タッチパネル部121は表示パネル111を被覆するように表示パネル111上に固定される。この場合、操作者が、タッチパネル部121の表面を手指やスタイラスなどによって押圧すると、タッチパネルドライバ122によって押圧操作が検出されるとともに、押圧された位置に対応する位置情報が取得され、その位置情報が制御部13に入力される。また、たとえば、タッチ入力部12が赤外線遮断検出方式タッチパネルである場合、タッチパネル部121は表示パネル111の周縁部を取り囲むように固定され、タッチパネル部121の送信部および受信部によって、表示パネル111に対して平行に赤外線の送受信が行われる。この場合、操作者が、表示パネル111に手指やスタイラスなどを近接または当接させると、表示パネル111上で送受信される赤外線が手指やスタイラスなどによって遮断されたことが、タッチパネルドライバ122によって検出されるとともに、遮断された位置に対応する位置情報が取得され、その位置情報が制御部13に入力される。
【0021】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)などの制御演算回路、DDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ、および、フラッシュROM(Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリから構成され、表示部11およびタッチ入力部12に電気的に接続される。制御部13は、表示部11を制御して表示パネル111に画像を表示させることができる装置であり、表示部11の一部であってもよいし、表示部11とは別の装置、たとえばPC(Personal Computer)であってもよい。制御部13がPCである場合は、PCに付随するマウスなどの入力部によっても、制御部13に対して指示を入力することができる。
【0022】
制御部13の揮発性メモリには、タッチ入力部12から入力された位置情報や画像などが記憶される。制御部13の不揮発性メモリには、本発明に係る表示プログラムが記憶され、この表示プログラムに基づいて制御演算回路が演算および制御を行うことで、制御部13は、後述する入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22の機能を発揮する。なお、本発明の他の実施形態としては、制御部13が、後述する入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22の機能をそれぞれ発揮する複数のIC(Integrated Circuit)チップから構成されてもよい。
【0023】
表示システム1は、タッチ入力部12によって位置情報が取得されると、後述する入力画像描画部21の機能により、その位置情報に対応する表示パネル111の画素に、画像を描画することができる(描画処理)。また、表示システム1は、タッチ入力部12によって位置情報が取得されたときに、後述する入力画像描画部21の機能により、その位置情報に対応する表示パネル111の画素に既に描画されていた画像を、消去することもできる(消去処理)。
【0024】
このような画像の描画処理および消去処理を行う公知のシステムとしては、公知のPC(Personal Computer)と、タッチパネル一体型ディスプレイPN−L600B(シャープ株式会社製)などの公知の表示装置とから構成されるシステムを挙げることができる。表示システム1は、このようなシステムに、本発明に係る表示プログラムを記憶させることで構成されてもよい。また、表示システム1は、電子黒板システムではなく、タブレットPCやスマートフォンであってもよい。
【0025】
図2に示すように、制御部13は、入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22として機能する。入力画像描画部21は、タッチ入力部12からの位置情報の入力があったとき、位置情報に対応する描画処理を行うことによって、表示部11の表示パネル111に、入力された位置情報に対応する画像(入力画像)を表示させる機能を有し、位置情報記憶部211と、選択モード記憶部212と、選択色記憶部213と、アイコン描画部214と、描画処理部215とを含む。
【0026】
位置情報記憶部211は、タッチ入力部12から入力された位置情報を記憶する。記憶した位置情報は、後述するように、表示部11の表示パネルドライバ112に入力され、その後削除される。
【0027】
選択モード記憶部212は、操作者によって選択されたモードを記憶する。選択可能なモードとしては、描画処理を行う描画処理モードと、消去処理を行う消去処理モードとがある。たとえば、操作者は、表示パネル111に表示されるモード選択用アイコンをタッチすることで、描画処理モードか、消去処理モードかを選択することができる。描画処理モードに対応するモード選択用アイコンは、たとえば、ペンを模したアイコン(ペンアイコン)であり、このアイコンにタッチすることで、描画処理モードを選択するとともに、描画される画像の大きさ(ペンの太さ)も選択できる。このとき、選択されたペンの太さも、選択モード記憶部212に記憶される。また、消去処理モードに対応するモード選択用アイコンは、たとえば、消しゴムを模したアイコン(消しゴムアイコン)であり、このアイコンにタッチすることで、消去処理モードを選択するとともに、消去される画像の大きさ(消しゴムの太さ)も選択できる。このとき、選択された消しゴムの太さも、選択モード記憶部212に記憶される。
【0028】
選択色記憶部213は、選択された色情報を記憶する。選択色記憶部213に記憶される色情報は、描画処理モードにおいて表示パネル111に描画される画像の色を示す。たとえば、操作者は、表示パネル111に表示される色選択用アイコンをタッチすることで、描画に使用する色を選択することができる。本実施形態では、色選択用アイコンは、描画処理モードに対応するモード選択用アイコン(ペンアイコン)をタッチしたときに表示される。また、本実施形態では、色選択用アイコンで選択可能な色は、予め、後述する色情報記憶部223に記憶されている4つの色である。
【0029】
アイコン描画部214は、上述したモード選択用アイコンや色選択用アイコンを、表示パネル111に表示させる。描画処理部215は、入力された位置情報に基づいて、表示パネル111に画像を描画したり、描画した画像を消去したりする。
【0030】
このような入力画像描画部21は、タッチ入力部12からの位置情報が制御部13に入力されると、入力された位置情報を位置情報記憶部211に記憶する。位置情報の記憶後、入力画像描画部21は、アイコン描画部214を参照して、上述したモード選択用アイコンや色選択用アイコンなどのアイコンがタッチされたか否かを判断する。アイコンがタッチされた場合、入力画像描画部21は、モードの変更や色の変更などの、各アイコンに対応する処理を行う。
【0031】
アイコン以外の箇所がタッチされた場合、入力画像描画部21は、選択モード記憶部212を参照して、描画処理モードか消去処理モードかを判断する。描画処理モードの場合、入力画像描画部21の描画処理部215は、位置情報記憶部211に記憶されている位置情報と、選択色記憶部213に記憶されている色情報とを、表示部11の表示パネルドライバ112に入力して、その後、位置情報記憶部211は、記憶した位置情報を削除する。そして、表示パネルドライバ112は、入力された色情報に対応するビットマップRAM113において、入力された位置情報に対応するビットに数値「1」を記憶し、そのビットマップRAM113に従って、表示パネル111に画像を表示させる。消去処理モードの場合、入力画像描画部21の描画処理部215は、位置情報記憶部211に記憶されている位置情報と、その位置情報に対応する画像を消去する指示とを、表示部11の表示パネルドライバ112に入力して、その後、位置情報記憶部211は、記憶した位置情報を削除する。そして、表示パネルドライバ112は、各ビットマップRAM113において、入力された位置情報に対応するビットに数値「0」を記憶し、各ビットマップRAM113に従って、表示パネル111から画像を消去する。
【0032】
制御部13のもう1つの機能である使用色報知画像描画部22は、入力画像描画部21によって表示部11に入力画像が表示されているとき、表示中の入力画像に使用されている色情報ごとに、該色情報が示す色で、所定の形状の使用色報知画像(カラーアイコン)を、それぞれ1つずつ、表示部11における所定の使用色報知領域(パレット領域)に表示させる。
【0033】
使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221と、アイコン形状記憶部222と、色情報記憶部223と、パレット領域設定部224と、カラーアイコン描画部225と、消去色記憶部226とを含む。これらの各部221〜226について説明する前に、図3A〜図3Dを用いて、使用色報知画像描画部22の機能について概説する。図3A〜図3Dは、表示パネル111における画像の表示例を示すものであり、表示パネル111の右上隅の部分を表している。
【0034】
図3Aは、操作者によるタッチ入力により、入力画像描画部21が、表示パネル111に、「あお」色で「集合場所:」という文字列を描画した場合を示している。図3Aでは、「集合場所:」という文字列は斜線部であるが、実際には、選択色記憶部213には「あお」色の色情報が記憶され、「集合場所:」という文字列は「あお」色で描画されているとする。なお、ここでいう「あお」色は、本来の青色ではなく、後述するように、薄い青色(R,G,B=1,100,255)である。
【0035】
図3Aのように、入力画像描画部21によって「あお」色で描画が行われたとき、使用色報知画像描画部22は、表示パネル111の右上のパレット領域Rに、「あお」色で描画されるカラーアイコンC1と、所定の色(たとえば黒色)で描画される「あお」という色の名称とを表示させる。また、このとき、使用色報知画像描画部22は、パレット領域Rを囲む枠線Wも表示させる。
【0036】
図3Bは、図3Aの状態から、さらに、操作者によるタッチ入力により、入力画像描画部21が、表示パネル111に、「みどり」色で「入口前」という文字列を描画した場合を示している。図3Bでは、「入口前」という文字列はドット部であるが、実際には、選択色記憶部213に記憶されている色情報は、操作者によって「あお」色から「みどり」色の色情報に変更されており、「入口前」という文字列は「みどり」色で描画されているとする。なお、ここでいう「みどり」色は、本来の緑色ではなく、後述するように、青みの強い緑色(R,G,B=5,160,100)である。
【0037】
図3Bのように、入力画像描画部21によって「みどり」色での描画が追加されたとき、使用色報知画像描画部22は、表示パネル111の右上のパレット領域Rを、2倍の大きさに拡大し、このパレット領域Rに、「みどり」色で描画されるカラーアイコンC2と、所定の色(たとえば黒色)で描画される「みどり」という色の名称とを追加して表示させる。
【0038】
なお、図3A、図3Bでは、入力画像描画部21によって「みどり」色での描画が追加されると、使用色報知画像描画部22は、既に表示されていたカラーアイコンC1は変更せずに、追加するカラーアイコンC2を、既に表示されていたカラーアイコンC1の左に隣接させて表示しているが、これに限られず、たとえば、追加するカラーアイコンC2を、既に表示されていたカラーアイコンC1に隣接する、上下左右のいずれかの位置に表示させるようにしてもよい。また、たとえば、既に表示されていたカラーアイコンC1を表示パネル111において左に移動させて表示し、そのカラーアイコンC1の右に、カラーアイコンC2を追加して表示させてもよい。
【0039】
このように、使用色報知画像描画部22は、入力画像描画部21によって表示パネル111に描画が行われると、その描画に使用された色のカラーアイコンおよびそのカラーアイコンの色の本来の名称とは異なる色の名称を、表示パネル111のパレット領域Rに描画する。カラーアイコンは、図3A、図3Bでは、横に並んだ3本の縦線であるが、この形状に限られず、各カラーアイコン同士が同じ形状であれば、どのような形状であってもよい。なお、本実施形態で、カラーアイコンが図3A、図3Bに示す形状であるのは、このカラーアイコンにタッチすることで、ペンの太さを変更できることを操作者に示すためであり、操作者がこのカラーアイコンにタッチすれば、ペンの太さを選択することができ、選択後のペンの太さが、選択モード記憶部212に記憶される。また、図3Bのように2色以上のカラーアイコンが表示されているときは、選択中の色とは異なる色のカラーアイコンにタッチすることで、色の変更を行うこともできる。
【0040】
パレット領域Rは、カラーアイコンおよび色の名称を表示することができる大きさの領域であり、たとえば、(カラーアイコンの面積+色の名称の表示領域)×カラーアイコンの表示数×1〜2程度の面積の領域である。本実施形態では、入力画像描画部21によって描画された入力画像と重ならないように、パレット領域Rを表示パネル111の右上に設定しているが、パレット領域Rの場所はこれに限られない。また、操作者がパレット領域Rの枠線Wをタッチしてスライドすることで、パレット領域Rの場所を変更することが可能である。
【0041】
以上のような使用色報知画像描画部22の機能によれば、表示パネル111に2色以上の類似した色で入力画像が描画されていても、使用されている色の数を認識することが容易になる。たとえば、色覚弱者にとって、「あお」色(薄い青色)と「みどり」色(青みの強い緑色)とは、異なる色として認識し易いが、色覚弱者が操作者となって「あお」色と「みどり」色とを使用して描画を行うと、色覚弱者でない者は、入力画像を一見しただけでは、「あお」色と「みどり」色との2色が使用されていることを直ちには認識し難い。しかしながら、本実施形態では、使用色報知画像描画部22によって、パレット領域Rに、「あお」色のカラーアイコンC1と、「みどり」色のカラーアイコンC2とが表示されるので、色覚弱者でない者にも、「あお」色と「みどり」色との2色が使用されていることを容易に理解でき、操作者である色覚弱者によって描画された入力画像の意図を理解し易くなる。
【0042】
また、本実施形態では、カラーアイコンとともにそのカラーアイコンの色とは異なる色の名称が表示される。たとえば、上述したように、青みの強い緑色で描画されるカラーアイコンとともに、「みどり」という色の名称が表示される。本来の緑色であれば、色覚弱者にとって緑色であるのか黄緑色であるのか判別し難いが、青みの強い緑色であれば、他の色と混同せずに認識することができる。しかしながら、青みの強い緑色や薄い青色などは、正式名称が広く知られていなかったり、存在しなかったりする場合がある。そこで、本実施形態では、青みの強い緑色に類似する代表的な色である「みどり」色の名称を、青みの強い緑色で描画されるカラーアイコンとともに表示する。これによって、色覚弱者がどのような色のつもりで画像を描画しているかを、色覚弱者でない者は容易に知ることができる。そして、カラーアイコンとともに色の名称が表示されることで、表示システム1を初めて見る人であっても、カラーアイコンが入力画像に使用されている色を示していることを、すぐに理解することができる。
【0043】
なお、図3Cは、図3Bの状態から、さらに、操作者によるタッチ入力により、入力画像描画部21が、表示パネル111に、「あお」色で「集合時間:」という文字列を描画した場合を示している。図3Cでは、「集合時間:」という文字列は斜線部であるが、実際には、選択色記憶部213に記憶されている色情報は、操作者によって「みどり」色から「あお」色の色情報に変更されており、「集合時間:」という文字列は「あお」色で描画されているとする。このように、既に「あお」色のカラーアイコンC1が表示されている状態で、入力画像描画部21によって「あお」色での描画がさらに行われた場合、使用色報知画像描画部22は、「あお」色のカラーアイコンC1を追加する処理は行わず、図3B、図3Cに示すように、パレット領域R内の画像を変更しない。このように、既にカラーアイコンが表示されている場合には、同じ色のカラーアイコンの追加は行われず、色とカラーアイコンとが1対1に対応するので、パレット領域Rを不必要に大きくすることがない。また、色とカラーアイコンとが1対1に対応するので、色の名称を表示しない場合であっても、カラーアイコンの表示数を見れば、入力画像中に何色の色が使用されているかを認識することができる。
【0044】
また、図3Dは、図3Bの状態から、操作者によって描画処理モードから消去処理モードへと変更され、操作者によるタッチ入力により、入力画像描画部21が、表示パネル111に描画されていた、「あお」色の「集合場所:」という文字列を消去した場合を示している。このように、入力画像描画部21によって、「あお」色の画像が表示パネル111からすべて消去された場合、使用色報知画像描画部22は、「あお」色のカラーアイコンC1および「あお」という色の名称を、パレット領域Rから消去するとともに、パレット領域Rを1/2に縮小する。縮小されたパレット領域Rには、図3Dに示すように、「みどり」色のカラーアイコンC2が表示されている。このように、既に描画されていない色のカラーアイコンは表示パネル111から消去されるので、表示中の入力画像に使用されている色を確実に認識することができる。
【0045】
上述したように、入力画像描画部21による描画処理が行われれば、使用色報知画像描画部22によってカラーアイコンおよび色の名称の描画が行われるので、描画された画像がたとえ1ドットであっても、カラーアイコンおよび色の名称の描画が行われることになる。しかしながら、ある色の画像が表示パネル111に1ドットしか存在しないような場合というのは、操作者が意図せずに描画してしまったものである可能性が高く、このような場合にカラーアイコン等を描画すると、却って、使用されている色が何色であるかが分かり難くなる。そこで、使用色報知画像描画部22は、各色情報について、入力画像中における該色情報が示す色で表される画素の総数が第1の閾値よりも多いか、または、入力画像中における該色情報が示す色で表される連結成分の画素数が第2の閾値よりも多い場合にのみ、該色情報が示す色のカラーアイコンを表示させることが好ましい。
【0046】
ここで、第1の閾値は、たとえば、50ドット〜100ドットである。また、連結成分(Connected Component,CC)とは、描画されている画素の連続した集まりであり、「連続」とは、注目する画素の周囲の8画素のうちのいずれかの画素が同じ色であることを意味する。また、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さく、たとえば、5ドット〜50ドットである。すなわち、使用色報知画像描画部22は、表示パネル111に表示中の、ある色の入力画像が、不連続に散在する小さな画像の集合である場合には、その入力画像の画素数が比較的大きな第1の閾値よりも多い場合にのみ、その色のカラーアイコン等の描画を行い、ある色の入力画像が、連続した小さな画像である場合には、その入力画像の画素数が比較的小さな第2の閾値よりも多い場合にのみ、カラーアイコン等の描画を行う。第1の閾値よりも第2の閾値が小さいのは、入力画像中の連結成分は、不連続な点よりも視認し易いので、異なっている色であることに気づき易いと考えられるからである。
【0047】
このように使用色報知画像描画部22を機能させることで、操作者が意図的に小さな点を複数描画したり、短い線を描画したりした場合には、カラーアイコン等の描画を正しく行うことができ、操作者が意図せずに表示パネル111にタッチして小さな画像が描画されてしまったり、消去処理モードにおいて画像を消去し切れず、操作者が意図せずに小さな画像を残してしまったりした場合には、カラーアイコン等が表示されなくなる。これによって、操作者が意図して使用している色が分かり易くなる。
【0048】
次に、使用色報知画像描画部22の詳細について説明する。上述したように、使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221と、アイコン形状記憶部222と、色情報記憶部223と、パレット領域設定部224と、カラーアイコン描画部225と、消去色記憶部226とを含む。既使用色記憶部221は、表示パネル111に既に描画されているカラーアイコンの色の色情報を記憶する。パレット領域設定部224は、表示パネル111にパレット領域Rを設定する。本実施形態において、設定されるパレット領域Rは、初期設定では表示パネル111の右上隅であるが、パレット領域Rの枠線Wにタッチしてスライドすることにより、パレット領域Rを他の場所に設定することが可能である。
【0049】
アイコン形状記憶部222は、カラーアイコンの形状のみを記憶しており、カラーアイコン描画部225は、既使用色記憶部221に記憶されていない色情報が示す色での描画が入力画像描画部21によって行われたときに、その色情報とアイコン形状記憶部222に記憶される形状とから、カラーアイコンを合成して表示パネル111に描画する。
【0050】
色情報記憶部223は、選択可能な色の色情報(RGB値)と各色情報に対応する名称を表す文字列とを、関連付けて記憶しており、カラーアイコン描画部225は、カラーアイコンを描画するときに、色情報記憶部223を参照して、表示パネル111においてカラーアイコンの上側に、対応する色の名称を描画する。たとえば、色情報記憶部223は、表1のようなテーブルを記憶している。
【0051】
【表1】

【0052】
このテーブルは、R,G,B=0,0,0の色に、「くろ」という名称が対応し、R,G,B=235,30,40の色に、「あか」という名称が対応し、R,G,B=1,100,255の色に、「あお」という名称が対応し、R,G,B=5,160,100の色に、「みどり」という名称が対応することを示している。ここで、「くろ」色は、本来の黒色と同じ色であるが、「あか」色は、本来の赤色とは異なる色であり、「あお」色は、本来の青色とは異なる色であり、「みどり」色は、本来の緑色とは異なる色である。たとえば、「みどり」色は、青みの強い緑色である。
【0053】
色情報記憶部223は、上述したように、操作者が選択可能な色を記憶している。したがって、操作者が選択するのは、本来の緑色ではなく、「みどり」色ということになる。このように色情報記憶部223が設定されるのは、本来の色であると、色覚弱者が区別して使用し難いからである。「あか」色、「あお」色、「みどり」色の3色であれば、色覚弱者が区別して使用し易いので、これらの色が、色情報記憶部223に設定されている。
【0054】
消去色記憶部226は、消去対象となるカラーアイコンの色の色情報を一時的に記憶する。カラーアイコン描画部225は、カラーアイコンを消去する指示があったときに、消去色記憶部226に記憶中の色情報が示す色のカラーアイコンを、表示パネル111から消去する。
【0055】
これらの各部221〜226を含む使用色報知画像描画部22と、入力画像描画部21とによる処理を、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。図4Aおよび図4Bは、表示システム1に電源が投入された時からの入力画像描画部21および使用色報知画像描画部22の処理を示すフローチャートである。
【0056】
電源が投入されると、まず、ステップS1として、表示パネル111の画面がクリアされる。次に、ステップS2では、アイコン描画部214によって、表示パネル111に、ペンアイコンや消しゴムアイコンなどが表示される。ステップS3では、初期設定が行われる。初期設定は、黒色での描画処理モードである。
【0057】
ステップS4では、表示パネル111の画面がタッチされた否かを判断し、タッチされればステップS5の処理に進む。画面がタッチされると、ステップS5において、タッチパネルドライバ122によってタッチ位置に対応する位置情報が検出され、その位置情報を、位置情報記憶部211が記憶する。
【0058】
ステップS6では、入力画像描画部21は、アイコン描画部214を参照して、モード選択用アイコンなどの各種アイコンがタッチされたか否かを判断し、ペンアイコンがタッチされればステップS18の処理に進み、消しゴムアイコンがタッチされればステップS22の処理に進み、終了アイコンがタッチされれば、電源が切断されて終了する。アイコン以外の位置がタッチされた場合は、ステップS7の処理に進む。
【0059】
ステップS22では、選択モード記憶部212は、消去処理モードであることを記憶する。ステップS18では、アイコン描画部214は、表示パネル111の画面に色選択用アイコンを表示させる。ステップS19では、入力画像描画部21は、操作者によって色選択用アイコンがタッチされたか否かを判断し、タッチされていればステップS20の処理に進み、タッチされていなければステップS4の処理に戻る。ステップS20では、選択モード記憶部212が、描画処理モードであることを記憶し、ステップS21では、選択色記憶部213が、タッチされた色選択用アイコンの示す色の色情報を記憶する。
【0060】
ステップS7では、使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221を参照して、カラーアイコンを表示中か否かを判断し、表示中であればステップS8の処理に進み、表示中でなければステップS9の処理に進む。ステップS8では、使用色報知画像描画部22は、カラーアイコン描画部225を参照して、カラーアイコンがタッチされたか否かを判断し、カラーアイコンがタッチされればステップS20の処理に進み、カラーアイコン以外の位置がタッチされれば、ステップS9の処理に進む。
【0061】
ステップS9では、入力画像描画部21は、選択モード記憶部212を参照し、選択中のモードが描画処理モードである場合には、ステップS10の処理に進み、選択中のモードが描画処理モードでない場合、すなわち、消去処理モードである場合には、ステップS23の処理に進む。
【0062】
ステップS10では、使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221を参照して、カラーアイコンを表示中か否かを判断し、表示中であればステップS12の処理に進み、表示中でなければステップS11の処理に進む。ステップS11では、使用色報知画像描画部22のパレット領域設定部224は、1つのカラーアイコンが入るようにパレット領域Rを設定する。そして、使用色報知画像描画部22のカラーアイコン描画部225は、選択色記憶部213に記憶されている選択中の色の色情報に基づいて、アイコン形状記憶部222および色情報記憶部223を参照して、パレット領域Rに、選択中の色のカラーアイコンと、対応する名称とを描画するように、表示部11の表示パネルドライバ112へ指示を出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、表示パネル111にカラーアイコンおよび色の名称を表示する。
【0063】
ステップS12では、使用色報知画像描画部22は、選択色記憶部213に記憶されている色情報が、既使用色記憶部221に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、ステップS15の処理に進み、記憶されていない場合には、ステップS13の処理に進む。ステップS13では、使用色報知画像描画部22のパレット領域設定部224は、追加するカラーアイコンが入るようにパレット領域Rを拡大して設定する。そして、使用色報知画像描画部22のカラーアイコン描画部225は、選択色記憶部213に記憶されている選択中の色の色情報に基づいて、アイコン形状記憶部222および色情報記憶部223を参照して、パレット領域Rに、選択中の色のカラーアイコンと、対応する名称とを描画するように、表示部11の表示パネルドライバ112へ指示を出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、表示パネル111にカラーアイコンおよび色の名称を追加表示する。
【0064】
ステップS14では、使用色報知画像描画部22は、選択中の色の色情報を、既使用色記憶部221に記憶させる。ステップS15では、入力画像描画部21は、表示パネル111の画面がタッチされてからタッチオフされるまでに検出された位置情報を確認し、ステップS16において、表示パネルドライバ112へ、検出された位置情報と、選択中の色の色情報とを出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、入力された位置情報に対応する位置に、選択中の色で、画像の描画を行う。入力画像描画部21は、表示パネルドライバ112への位置情報の出力後、位置情報記憶部211に記憶されている位置情報を削除する。
【0065】
ステップS17では、タッチオフされたか否かを判断し、タッチオフされればステップS4の処理に戻り、タッチオフされなければステップS15の処理に戻る。
【0066】
ステップS23では、使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221を参照して、カラーアイコンを表示中か否かを判断し、表示中であればステップS24の処理に進み、表示中でなければステップS4の処理に戻る。ステップS24では、入力画像描画部21は、表示パネル111の画面がタッチされてからタッチオフされるまでに検出された位置情報を確認する。
【0067】
ステップS25では、入力画像描画部21は、検出された位置情報に対応する位置に描画があるか否かを、表示パネルドライバ112に対して確認し、描画があれば、ステップS26において、描画されている色の色情報を取得し、描画が無ければ、ステップS30の処理に進む。ステップS27では、使用色報知画像描画部22は、ステップS26において取得した色情報が、消去色記憶部226に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、ステップS29の処理に進み、記憶されていなければ、ステップS28において、その色情報を消去色記憶部226に記憶させる。
【0068】
ステップS29では、入力画像描画部21は、検出された位置情報と、その位置情報に対応する位置に描画されている画像を消去する指示とを、表示部11の表示パネルドライバ112へ出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、入力された位置情報に対応する位置における画像の消去を行う。入力画像描画部21は、表示パネルドライバ112への位置情報の出力後、位置情報記憶部211に記憶されている位置情報を削除する。
【0069】
ステップS30では、タッチオフされたか否かを判断し、タッチオフされればステップS31の処理に進み、タッチオフされなければステップS24の処理に戻る。
【0070】
ステップS31では、使用色報知画像描画部22は、表示パネルドライバ112に対して、消去色記憶部226に記憶されている色情報が示す色の画像が表示パネル111の画面に残っているか否かを判断し、残っていれば、ステップS36の処理に進み、残っていなければ、ステップS32の処理に進む。ステップS32では、使用色報知画像描画部22は、消去色記憶部226に記憶されている色情報を既使用色記憶部221から削除する。
【0071】
ステップS33では、使用色報知画像描画部22は、既使用色記憶部221から色情報がすべて無くなったか否かを判断し、すべて無くなった場合には、ステップS35の処理に進み、既使用色記憶部221にまだ色情報が残っている場合には、ステップS34の処理に進む。
【0072】
ステップS34では、カラーアイコン描画部225は、消去色記憶部226に記憶されている色情報が示す色のカラーアイコンおよび色の名称を消去するように、表示パネルドライバ112へ指示を出力し、パレット領域設定部224は、パレット領域Rを縮小して、縮小後のパレット領域Rを示す枠線Wを表示するように、表示パネルドライバ112へ指示を出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、消去色記憶部226に記憶されている色情報が示す色のカラーアイコンおよび色の名称を消去するとともに、縮小後のパレット領域Rを示す枠線Wを表示する。
【0073】
ステップS35では、カラーアイコン描画部225は、消去色記憶部226に記憶されている色情報が示す色のカラーアイコンおよび色の名称を消去するように、表示パネルドライバ112へ指示を出力し、パレット領域設定部224は、パレット領域Rの設定を解除して、パレット領域Rを示す枠線Wを消去するように、表示パネルドライバ112へ指示を出力する。これによって、表示パネルドライバ112は、消去色記憶部226に記憶されている色情報が示す色のカラーアイコンおよび色の名称を消去するとともに、パレット領域Rを示す枠線Wを消去する。
【0074】
ステップS36では、使用色報知画像描画部22は、消去色記憶部226に記憶されている色情報を削除して、ステップS4の処理に戻る。
【0075】
以上のステップS1〜S36の処理によって、表示システム1は、入力画像の描画や消去に応じて、上述したように、カラーアイコンおよび色の名称を描画したり消去したりすることができる。なお、本実施形態では、ステップS11,S13,S16のように、カラーアイコンおよび色の名称の描画の後に、入力画像の描画を行っているが、この順番は逆であってもよい。また、本実施形態では、ステップS29,S34,S35のように、入力画像の消去の後に、カラーアイコンおよび色の名称の消去を行っているが、この順番は逆であってもよい。
【0076】
上記のような表示システム1の制御部13の不揮発性メモリ133に記憶される表示プログラムは、入力部および表示部を備えるコンピュータを表示システム1として機能させるプログラムである。この表示プログラムは、従来公知の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録できる。
【0077】
上記表示プログラムを記録媒体に記録することで、表示プログラムに基づく処理を実行するためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラムなど)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0078】
なお、記録媒体は、マイクロコンピュータが処理を行うためのメモリ、たとえばROMのようなプログラムメディアであってもよいし、または、コンピュータが外部記憶装置として備えるプログラム読取装置に挿入することで読み取られるプログラムメディアであってもよい。
【0079】
記録媒体に格納されているプログラムは、マイクロプロセッサが記録媒体にアクセスして実行する方式であってもよいし、または、マイクロプロセッサが記録媒体からプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードがマイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされることで、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0080】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープ、カセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、MO(Magneto Optical disc)、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。
【0081】
また、コンピュータが、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、記録媒体は、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように、流動的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、または他の記録媒体からインストールしておく。また、上記表示プログラムは、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0082】
1 表示システム
11 表示部
12 タッチ入力部
13 制御部
21 入力画像描画部
22 使用色報知画像描画部
211 位置情報記憶部
212 選択モード記憶部
213 選択色記憶部
214 アイコン描画部
215 描画処理部
221 既使用色記憶部
222 アイコン形状記憶部
223 色情報記憶部
224 パレット領域設定部
225 カラーアイコン描画部
226 消去色記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための表示部と、前記表示部を制御するための制御部と、前記制御部に指示を入力するための入力部とを備える表示システムであって、
前記制御部は、
前記入力部からの入力があったとき、入力結果に対応する描画処理を行うことによって、前記表示部に入力画像を表示させる入力画像描画部と、
前記入力画像描画部によって前記表示部に入力画像が表示されるとき、表示中の入力画像の色情報ごとに、該色情報が示す色で表される所定の形状の使用色報知画像を、それぞれ1つずつ、前記表示部における所定の使用色報知領域に表示させる使用色報知画像描画部とを含むことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記使用色報知画像描画部は、各色情報について、前記入力画像中における該色情報が示す色で表される画素の総数が第1の閾値よりも多いか、または、前記入力画像中における該色情報が示す色で表される連結成分の画素数が、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値よりも多い場合にのみ、該色情報が示す色で表される前記使用色報知画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記使用色報知画像描画部は、前記使用色報知画像とともに、該使用色報知画像の色の名称とは異なる色の名称を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示システム。
【請求項4】
表示部および入力部を備えるコンピュータを、請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示システムとして機能させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−88726(P2013−88726A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231105(P2011−231105)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】