説明

表示システム及び表示システムにおける表示制御方法

【課題】複数の表示画面に複数のウィンドウを表示する際に、ウィンドウの表示位置を適切な位置に制御できるようにする。
【解決手段】第1の表示画面16−1に対応する第1の座標系と、第2の表示画面16−2に対応する第2の座標系と、を管理する座標管理手段111と、第1及び第2の表示画面16−1及び16−2の一方に第1のウィンドウを表示するとともに、第1のウィンドウに関連付けられた第2のウィンドウの表示位置の決定に用いる座標系を、前記第1及び第2の表示画面16−1及び16−2の選択条件に従って前記第1及び第2の座標系から選択する表示制御手段112と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、複数の表示画面に複数のウィンドウを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントの操作と監視とを行なうための画面を表示する、プラント制御システムの表示装置が知られている。
【0003】
当該表示装置では、マルチウィンドウの環境下で効率的な操作と監視を行なうために、操作監視用のウィンドウをグループ化し、グループ化したウィンドウセットを管理する。また、プラントで発生したメッセージをシステムメッセージウィンドウとしてウィンドウの重ね合わせの最上位に表示するよう、ウィンドウの重ね合わせの切り替えを行なう。
【0004】
これにより、システムメッセージウィンドウを常に最前面ウィンドウとして表示し続けることができ、マルチウィンドウ環境でシステムメッセージウィンドウが他のウィンドウの背後に隠れ、プラントで発生したメッセージを見落とすことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−124284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、表示装置の単一の表示画面に表示する複数ウィンドウの管理及び重ね合わせの切り替えについて教示するに留まる。
【0007】
本発明の目的の一つは、複数の表示画面に複数のウィンドウを表示する際に、ウィンドウの表示位置を適切な位置に制御できるようにすることにある。
【0008】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示システムの一態様は、第1の表示画面に対応する第1の座標系と、第2の表示画面に対応する第2の座標系と、を管理する座標管理手段と、前記第1及び第2の表示画面の一方に第1のウィンドウを表示するとともに、前記第1のウィンドウに関連付けられた第2のウィンドウの表示位置の決定に用いる座標系を、前記第1及び第2の表示画面の選択条件に従って前記第1及び第2の座標系から選択する表示制御手段と、を備える。
【0010】
ここで、前記選択条件は、ポインティングデバイスのカーソルの座標が含まれる表示画面を選択することであり、前記表示制御手段は、前記選択した表示画面に対応する座標系を基準に前記第2のウィンドウの表示位置を決定する、こととしてもよい。
【0011】
また、前記第2のウィンドウは、前記第1のウィンドウに設定されたターゲットに対する操作に応じて呼び出されるサブウィンドウである、こととしてもよい。
【0012】
さらに、前記第1及び第2の表示画面は、それぞれ別個の表示装置に表示される画面である、こととしてもよい。
【0013】
また、本発明の表示システムにおける表示制御方法の一態様は、第1の表示画面に対応する第1の座標系と第2の表示画面に対応する第2の座標系とを管理する表示システムにおける表示制御方法であって、前記第1及び第2の表示画面の一方に第1のウィンドウを表示する処理と、前記第1のウィンドウに関連付けられた第2のウィンドウの表示位置の決定に用いる座標系を、前記第1及び第2の表示画面の選択条件に従って前記第1及び第2の座標系から選択する処理と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る表示システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に例示した表示システムの機能ブロック図である。
【図3】図1に例示した表示システムにおいて表示されるグラフィックウィンドウの一例を示す図である。
【図4】図1に例示した表示システムにおいて用いられるレイアウト設定ウィンドウの一例を示す図である。
【図5】図1に例示した表示システムにおいて用いられるレイアウト設定ウィンドウの一例を示す図である。
【図6】図1に例示した表示システムにおけるモニタの表示例を示す図である。
【図7】図1に例示した表示システムにおけるモニタの表示例を示す図である。
【図8】図1に例示した表示システムの動作(ウィンドウ表示制御)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0016】
〔1〕一実施形態の説明
図1は、一実施形態に係る表示システムの一例を示すブロック図である。図1に示す表示システム1は、例示的に、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、ハードディスク等の記憶装置14、1又は複数のインターフェース(I/F)15A〜15D、複数のモニタ16−1〜16−N(Nは自然数であり、以下ではN=2と仮定する)、キーボード17、マウス18等のポインティングデバイスを備える。
【0017】
キーボード17及びマウス18は、表示システム1のユーザが表示システム1に情報を入力するために用いられる入力デバイスの一例である。キーボード17は、タッチパネル式のものでもよい。入力情報の一例は、どのモニタ16−i(i=1〜Nのいずれか)にどのウィンドウをどのようなレイアウト(座標)で表示させるか等を指定する情報である。ウィンドウレイアウトの設定例については図4を用いて後述する。
【0018】
モニタ16−iは、それぞれ、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等の表示装置である。モニタ16−iは、例えばCPU11による表示制御の下、RAM12やROM13、記憶装置14に記憶されているデータを表示する。なお、モニタ16−iのいずれか又はすべては、情報入力が可能なタッチパネル式のものでもよい。
【0019】
インターフェース15A〜15Dは、それぞれモニタ16−i、キーボード17及びマウス18等の周辺機器(ペリフェラル)を接続するために用いられるインターフェースである。当該インターフェースには、例示的に、USB、IEEE1394、シリアル、パラレル、赤外線、無線等のインターフェースを用いることができる。
【0020】
記憶装置14は、例えばモニタ16−iの表示画面制御を行なう表示制御プログラムを記憶する。表示制御プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供することができる。記録媒体には、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blue-ray Disk)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。コンピュータの一例である表示システム1は当該記録媒体から表示制御プログラムを読み取って記憶装置14やRAM12に転送し格納して用いる。また、表示制御プログラムは、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して表示システム1に提供することもできる。
【0021】
なお、「コンピュータ」とは、例示的に、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味することがある。また、OSが不要でプログラム単独でハードウェアを動作させることが可能な場合には、そのハードウェアがコンピュータに相当すると位置付けることができる。ハードウェアは、CPU等の演算装置と、記録媒体に記録されたプログラムを読み取り可能な読み取り装置とを含むことができる。
【0022】
表示制御プログラムは、上述のようなコンピュータに、表示システム1としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。その機能の一部はプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0023】
ROM13は、不揮発性記憶媒体の一例であり、例えば、表示システム1が起動する際に、CPU11にマイクロコードを設定したり、各部を初期化したり、記憶装置14からOS等を起動し、プログラムが実行されるような指示を行なったりするためのプログラムやデータを記憶する。
【0024】
RAM12は、揮発性記憶媒体の一例であり、CPU11の作業領域(ワークメモリ)を提供する。
【0025】
CPU11は、演算処理能力を備えたプロセッサの一例である。CPU11は、ROM13や記憶装置14に記憶されたプログラムやデータ、インターフェース15A〜15Dを通じて与えられる各種入力情報を作業領域であるRAM12に展開し、展開したプログラム等に従って動作することにより、コンピュータを表示システム1として機能させる。なお、CPU11の代わりに、MPU(Micro Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Processor)を用いてもよい。
【0026】
次に、図2に図1に例示した表示システム1の機能ブロック図を示す。図2に示す表示システム1は、上述したようにCPU11がRAM12、ROM13及び記憶装置14と協働して表示制御プログラムを実行することよって、例示的に、モニタ/ウィンドウ管理部111及びウィンドウ表示制御部112としての機能を有する。
【0027】
モニタ/ウィンドウ管理部(以下、単に「管理部」ともいう。)111は、例示的に、モニタ16−iを識別する情報(以下「モニタID」と称する。)や、個々のモニタ16−iの表示領域に対応する座標系及びサイズのデータ、モニタ16−iのいずれかに表示する1又は複数のウィンドウのデータ等、をRAM12やROM13、記憶装置14において管理する。
【0028】
「モニタID」は、例示的に、メインモニタとサブモニタ、あるいはプライマリモニタとセカンダリモニタといったモニタ16−iの名称や、モニタ16−iに割り当てられた番号等であってよい。
【0029】
「ウィンドウ」には、1又は複数のアプリケーションがグラフィカルユーザインタフェース(GUI)で表示するウィンドウが含まれてよい。別言すると、モニタ/ウィンドウ管理部111は、個々のアプリケーションに依存しない独立したウィンドウ管理を可能にする。
【0030】
「ウィンドウのデータ」には、モニタ16−iの表示画面におけるウィンドウの名称や、種類、表示位置(座標データ)、表示サイズ、表示形式等を示すデータ(以下「属性データ」という。)が含まれてよい。
【0031】
「ウィンドウ」の一例は、プラント等の監視制御のために表示されるプラント監視制御ウィンドウである。プラント監視制御ウィンドウには、例示的に、グラフィックウィンドウ、グラフィックサブウィンドウ等の複数種類のウィンドウが含まれてよい。
【0032】
グラフィックウィンドウは、例えばプラント等に配置されたポンプ、タンク、バルブ等の機器や、当該機器の運転状態等を検出するセンサ等の計器類、それらの接続関係を示す配管等を、所定の画面部品(アイコン等)データを用いて視覚的に表示するウィンドウである。
【0033】
図3に、グラフィックウィンドウ160の表示例を示す。図3は、プラント設備の一例である減圧軽油脱硫装置の構成を視覚的に表示している。図3には、例示的に、反応塔供給加熱炉(F−1)、積留塔供給加熱炉(F−2)、アミンタンク、サワーガスタンク、硫化水素回収系、配管等の要素がそれぞれに対応する画面部品を用いて表示されている。
【0034】
このようなグラフィックウィンドウ160には、他のウィンドウやプログラム等を呼び出すスクリプト等の簡易的なプログラムを関連付けることができる。例えばグラフィックウィンドウ160の所定位置に設定(表示)されるメニューやアイコンに所定のイベントの発生に応じて別のウィンドウを出現(例えばポップアップ表示)させるスクリプトを関連付けておくことで、当該イベントの発生に応じて別のウィンドウをモニタ16−iの画面に出現させることができる。
【0035】
別のウィンドウの一例は、グラフィックウィンドウに関連付けられたグラフィックサブウィンドウ161である。また、所定のイベントが発生する例としては、メニューやボタン(以下「ターゲット」ともいう。)に対するユーザの操作(例えばマウスクリック)が挙げられる。
【0036】
グラフィックサブウィンドウ161は、例えばグラフィックウィンドウに表示されている画面部品に対応する機器や計器類の詳細や設定(制御パラメータやリミット値等)、状態等の情報を表示する。
【0037】
グラフィックサブウィンドウ161には、例示的に、機器や計器類についてのアラーム情報を表示するアラームサブウィンドウ、機器や計器類についてのメッセージを表示するメッセージサブウィンドウ、機器や計器類の状態を表示したり調整したりするために用いられるフェイスプレートサブウィンドウ、計器類の計測値のヒストリカルデータやリアルタイムデータを表示するトレンドサブウィンドウ等が含まれてよい。
【0038】
上述した各種ウィンドウは、モニタ/ウィンドウ管理部111において、適宜、相互に関連付けることで階層化して管理することができる。
【0039】
ウィンドウ表示制御部112は、管理部111で管理されている上記各種ウィンドウの属性データに基づいて、当該ウィンドウをモニタ16−iの表示画面に表示するための制御を行なう。
【0040】
表示制御には、1又は複数のウィンドウを表示システム1のユーザが使い易いようにモニタ16−iにおいてレイアウトする制御や、ウィンドウに表示された監視対象ポイントや操作ポイント等に対する操作に応じたスクリプトの実行等が含まれてよい。
【0041】
モニタ16−iに表示するウィンドウのレイアウトは、上述した各種のウィンドウ別に設定することが可能である。図4及び図5にGUIを用いたレイアウト設定ウィンドウ110の一例を示す。
【0042】
レイアウト設定ウィンドウ110には、例示的に、所定の設定項目を有する設定タブがウィンドウ#0〜#M(Mは自然数であり、例えば6)別に用意されている。ユーザは、設定を行ないたい設定タブをマウスクリック等によって選択して、選択したウィンドウ#j(j=0〜Mのいずれか)について設定項目(フィールド)に応じた設定データの入力を行なう。
【0043】
設定項目の一例としては、ウィンドウ#jに関する「基本データ」や、ウィンドウ#jを表示すべき「位置とサイズ」等が挙げられる。「基本データ」には、例示的に、当該ウィンドウ#jの表示の有効/無効を制御するデータ(フラグ)、当該ウィンドウ#jの表示先「モニタ」を指定する情報が含まれてよい。
【0044】
表示先「モニタ」の指定は、モニタID(例えば、プライマリ=1、セカンダリ=2等)で明示的に行なってもよいし、他のパラメータ、例えばマウスカーソルの現在の表示位置に依存して表示先の「モニタ」が決まるようにしてもよい。例示的に、「カーソル位置依存」(例えば、モニタID=0)を指定すると、マウスカーソルが表示されているモニタ16−iにウィンドウ#jを表示させる設定となる。
【0045】
ウィンドウ#jを表示すべき「位置」の設定は、例示的に、「基本データ」により特定されたモニタ(「カーソル位置依存」の場合はマウスカーソルが現在表示されているモニタ)16−iの座標を入力することで行なう。別言すると、ウィンドウ#jの表示位置の指定は、「モニタ」と当該「モニタ」に対応する座標系における「座標」(相対座標)との組み合わせで行なうことができる。
【0046】
別言すると、本実施形態におけるウィンドウ#jの表示位置の管理、制御は、複数のモニタ16−iの表示画面を1つの表示画面として管理する座標系(絶対座標)を基準にするのではなく、モニタ16−i別の表示画面に対応する座標系(相対座標)を基準にする。
【0047】
なお、モニタ16−iに対応する座標系の基準座標や、モニタ16−iに表示するウィンドウ#jの基準となる座標は、自由に設定してよいが、非限定的な一例として、モニタ16−iの表示領域やウィンドウ#jに向かって例えば左上角や右下角等に決めておくと設定が容易である。
【0048】
図4の例では、「基本データ」により特定されたモニタ16−iに向かって左上角を基準座標(原点)とし、当該原点を基準にウィンドウ#jの基準座標(例えば左上角の座標)を例えばピクセル単位で設定できることを示している。表示するウィンドウ#jの「サイズ」(幅×高さ)は、例えばピクセル単位で設定できる。図4には、モニタ16−iの左上角(原点)として画面サイズと同じサイズ(1280×1024)でウィンドウ#0が表示される設定が例示されている。
【0049】
一方、図5の例は、別のウィンドウ#1についての設定例を示しており、例えばモニタ16−iの左上角を原点として170×880のサイズのウィンドウ(サブウィンドウ)#1の左上角が(1080,120)の座標に位置するようウィンドウ#1(フェイスプレート$FSP)を(モニタ16−iの常に前面に)表示させる設定例を示している。
【0050】
図4及び図5に例示した設定により、例えばウィンドウ#0とサブウィンドウ#1とを図3や図6に例示するようなレイアウトでモニタ16−iに表示させることが可能になる。
【0051】
以上のようにしてレイアウト設定ウィンドウ110の各設定項目に入力された情報は、例えば「OK」ボタンをマウスクリックすることで、既述の属性データの一例としてモニタ/ウィンドウ管理部111にて記憶、管理される。
【0052】
以下、本実施形態の表示システム1による表示制御の一例について、図6〜図8を用いて詳述する。なお、以下では、便宜的に、モニタ数がN=2の場合であり、モニタ16−1が第1の表示画面を表示するプライマリモニタ、モニタ16−2が第2の表示画面を表示するセカンダリモニタであると仮定する。また、プライマリモニタ16−1に対応する座標系が第1の座標系の一例であり、セカンダリモニタ16−2に対応する第2の座標系の一例である。
【0053】
まず、プライマリモニタ16−1及びセカンダリモニタ16−2のいずれか一方(例えば図6に例示するようにプライマリモニタ16−1)に、例えば図3に例示した減圧軽油脱硫装置についてのグラフィックウィンドウ160が表示されているとする。当該グラフィックウィンドウ160は、第1のウィンドウの一例である。
【0054】
なお、他方の表示内容は不問であるが、図6には、例示的に、減圧軽油脱硫装置に対して設定された複数の監視ポイントについてのトレンドグラフを並列的に表示するウィンドウ(グループウィンドウ)162が表示された様子を示している。
【0055】
かかる表示状態において、ユーザが、例えば当該グラフィックウィンドウ160に表示されたアイコン等のターゲットに対する操作(例えばマウスクリック等)を行なう。すると、当該ターゲットに関連付けられたスクリプトがウィンドウ表示制御部112にて実行され、当該ターゲットに対応するグラフィックサブウィンドウ(例えばフェイスプレートサブウィンドウ)161が呼び出される(ポップアップ表示される)。当該サブウィンドウ161は第2のウィンドウの一例である。呼び出されたサブウィンドウ161は、既述のレイアウト設定ウィンドウ110(図4参照)を通じて指定された座標に自動的に配置される。
【0056】
ここで、仮に、指定された座標がプライマリモニタ16−1の表示領域に対応する座標系を基準にした絶対座標で指定されていたとする。この場合、サブウィンドウの呼び出し元のグラフィックウィンドウ(以下「親ウィンドウ」ともいう。)160がプライマリモニタ16−1に表示されていたとすると、親ウィンドウ160から呼び出されたサブウィンドウ161は、プライマリモニタ16−1に所期の位置に表示される。
【0057】
しかし、例えば図7に点線枠161で示すように、親ウィンドウ160がセカンダリモニタ16−2に表示された状態でサブウィンドウ161が呼び出されると、サブウィンドウ161は、プライマリモニタ16−1の表示領域に対応する座標系を基準にした絶対座標指定のため、親ウィンドウ160が表示されているセカンダリモニタ16−2とは異なるプライマリモニタ16−1に表示されてしまう。
【0058】
これは、呼び出し元のウィンドウと関係性のあるサブウィンドウが、呼び出し元のウィンドウが表示されているモニタ16−2とは異なるモニタ16−1に表示される結果になることを意味する。別言すると、プライマリモニタ16−1には、その表示内容とは無関係あるいは関係性の低いサブウィンドウが表示されることになる。結果として、ユーザの誤認識や誤操作を誘発する可能性がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、図4を用いて説明したように、呼び出し元のウィンドウと関係性のあるサブウィンドウの表示位置を、「モニタ」を指定する情報と当該「モニタ」に対応する座標を基準にした「相対座標」との組み合わせで指定する。
【0060】
これにより、サブウィンドウは、その呼び出し方法(例えばスクリプトの記述内容)を変更しなくても、指定されたモニタ16−iに望ましい位置で表示させることができる。仮に、モニタ16−iの指定(別言すると、モニタ16−iの選択条件)を「カーソル位置依存」に設定しておけば、サブウィンドウは、当該サブウィンドウの呼び出し元である親ウィンドウが表示されているモニタ16−iに表示させることができる。
【0061】
図8に、以上のようなウィンドウ表示制御を実現するフローチャートの一例を示す。まず、或るウィンドウがモニタ16−iのいずれかに表示されている状態で、当該ウィンドウのサブウィンドウA(以下、単に「ウィンドウA」と表記する。)が呼び出されると(処理P10)、ウィンドウ表示制御部112は、管理部111から当該ウィンドウAのモニタID(例示的にモニタ番号)と相対座標とを取得する(処理P20)。
【0062】
次いで、ウィンドウ表示制御部112は、モニタ番号(#N)=0であるか否か(すなわち、「カーソル位置依存」が指定されているか否か)をチェックする(処理P30)。「カーソル位置依存」が指定されていれば(処理P30でYESであれば)、ウィンドウ表示制御部112は、マウスカーソルの現在位置(座標)を検知(取得)する(処理P40)。
【0063】
さらに、ウィンドウ表示制御部112は、モニタ番号Nを1に設定した上で(処理P50)、モニタ#番号N=1のモニタ16−1が存在するか否かをチェックする(処理P60)。モニタ番号N=1のモニタ16−1が存在すれば(処理P60でYESであれば)、ウィンドウ表示制御部112は、管理部111から当該モニタ16−1の表示領域の座標とサイズとを取得する(処理P70)。
【0064】
そして、ウィンドウ表示制御部112は、マウスカーソルの現在位置座標と、取得したモニタ16−1の座標及びサイズとを比較することにより、マウスカーソルの現在位置座標がモニタ16−1の表示領域に含まれているか否か、すなわちマウスカーソルがモニタ16−1に表示されているか否かをチェックする(処理P80)。
【0065】
マウスカーソルがモニタ16−1に表示されていなければ(処理P80でNOであれば)、ウィンドウ表示制御部112は、モニタ番号Nを1つインクリメント(N=N+1)し(処理P90)、他のモニタ16−2にマウスカーソルが表示されているか否かを同様にチェックする(処理P60)。
【0066】
モニタ16−1(又は16−2)にマウスカーソルが表示されていれば(処理P80でYESであれば)、ウィンドウ表示制御部112は、当該モニタ16−1(又は16−2)に対応する座標系(あるいは当該座標系の基準座標)を取得し(処理P120)、当該座標系の基準座標とウィンドウAの相対座標とを加算した座標にウィンドウAを表示する(処理P130)。別言すると、ウィンドウ表示制御部112は、各モニタ16−1及び16−2のそれぞれに対応する座標系のうち、マウスカーソルの座標が含まれる座標系を選択し、選択した座標系を基準にウィンドウAの表示位置を決定する。
【0067】
ここで、ウィンドウAが親ウィンドウのターゲットに対してマウスクリック等の操作によって呼び出された場合、マウスカーソルは、当該操作を行なったモニタ16−i、すなわちウィンドウAの呼び出し元である親ウィンドウを表示しているモニタ16−iに表示されている確率が高い。したがって、ウィンドウAは、マウスクリック等の操作の行なわれたモニタ16−i、別言すれば、ユーザが作業中のモニタ16−iに表示されることになる。
【0068】
なお、マウスカーソルがN個のどのモニタ16−iにも表示されていない場合(接続ミス等でモニタ数が0とCPU11で認識されている場合を含む)、ウィンドウ表示制御部112は、例えばエラーメッセージを出力する(処理P100)。エラーメッセージの出力先は、存在している(CPU11が接続を認識している)モニタ16−iでもよいし、CPU11(図1参照)に接続されたプリンタ等の周辺機器でもよい。
【0069】
また、「カーソル位置依存」が指定されていない場合(処理P30でNOの場合)、ウィンドウ表示制御部112は、レイアウト設定ウィンドウ110でウィンドウAについて指定されたモニタ番号(例えばプライマリモニタなら1、セカンダリモニタなら2)を変数Nに設定する(処理P110)。
【0070】
これにより、ウィンドウ表示制御部112は、当該モニタ番号Nのモニタ16−iに対応する座標系(あるいは当該座標系の基準座標)を取得し(処理P120)、当該座標系の基準座標とウィンドウAの相対座標とを加算した座標にウィンドウAを表示する(処理P130)。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、複数のモニタ16−iを備えた表示システム1において、サブウィンドウの表示位置を、モニタ16−iの選択条件に従って選択した座標系を基準にした相対座標で制御するので、座標系を変換したり、親ウィンドウに設定するスクリプトの内容を変更したりしなくても、サブウィンドウを所期のモニタ16−iに適切な位置で表示することが可能となる。
【0072】
また、モニタ16−iの選択条件の一例として「カーソル位置依存」を指定しておくことで、サブウィンドウを、当該サブウィンドウの呼び出し元である親ウィンドウが表示されているモニタ16−iに表示させることができる。したがって、ユーザが作業中のモニタ16−iを自動的に認識あるいは推定して、当該モニタ16−iにサブウィンドウを表示させることができる。結果として、ユーザのプラント監視制御に係る作業効率の向上、ユーザの誤認識や誤操作の低減を図ることができ、ひいてはプラント等の保守コストの低減化に寄与する。
【0073】
〔2〕その他
上述した実施形態では、モニタ16−i(基準座標系)の選択条件の一例がマウスカーソルの「カーソル位置依存」である例について説明したが、例えばキーボード17による文字入力等の作業中に表示されるカーソルの表示位置に依存してモニタ16−i(基準座標系)が選ばれるようにしてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、モニタ数N=2の場合を中心に表示システム1の動作(ウィンドウ表示制御)について説明したが、図8のフローチャートに例示したように本実施形態のウィンドウ表示制御はN≧3の場合に一般化することができる。
【0075】
さらに、上述した実施形態では、第1の表示画面及び第2の表示画面がそれぞれ別個のモニタ16−1及び16−2に表示される態様を例にしたが、同じモニタの表示領域を第1及び第2の表示画面に分割した場合についても上述した実施形態を適用できる。
【0076】
また、上述した実施形態では、プラントの監視制御に用いられる各種ウィンドウの表示制御に本実施形態を適用したが、当該実施形態は、一般的なマルチウィンドウシステムにおける各種ウィンドウの表示制御に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…表示システム、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…記憶装置、15A〜15D…インターフェース、16−1〜16−N…モニタ、17…キーボード、18…マウス(ポインティングデバイス)、110…レイアウト設定ウィンドウ、111…モニタ/ウィンドウ管理部、112…ウィンドウ表示制御部、160…グラフィックウィンドウ、161…グラフィックサブウィンドウ、162…グループウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示画面に対応する第1の座標系と、第2の表示画面に対応する第2の座標系と、を管理する座標管理手段と、
前記第1及び第2の表示画面の一方に第1のウィンドウを表示するとともに、前記第1のウィンドウに関連付けられた第2のウィンドウの表示位置の決定に用いる座標系を、前記第1及び第2の表示画面の選択条件に従って前記第1及び第2の座標系から選択する表示制御手段と、
を備えた、表示システム。
【請求項2】
前記選択条件は、ポインティングデバイスのカーソルの座標が含まれる表示画面を選択することであり、
前記表示制御手段は、前記選択した表示画面に対応する座標系を基準に前記第2のウィンドウの表示位置を決定する、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記第2のウィンドウは、前記第1のウィンドウに設定されたターゲットに対する操作に応じて呼び出されるサブウィンドウである、請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の表示画面は、それぞれ別個の表示装置に表示される画面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
第1の表示画面に対応する第1の座標系と第2の表示画面に対応する第2の座標系とを管理する表示システムにおける表示制御方法であって、
前記第1及び第2の表示画面の一方に第1のウィンドウを表示する処理と、
前記第1のウィンドウに関連付けられた第2のウィンドウの表示位置の決定に用いる座標系を、前記第1及び第2の表示画面の選択条件に従って前記第1及び第2の座標系から選択する処理と、
を含む表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194765(P2012−194765A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58092(P2011−58092)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】