説明

表示シート、表示装置および電子機器

【課題】機械的強度および信頼性が高く、優れた表示特性を発揮することのできる表示シート、それを備えた表示装置および信頼性が高い電子機器を提供すること。
【解決手段】表示装置20は、表示面121側に設けられた基板12と、基板12に対向配置された対向基板11と、基板12と対向基板11との間に設けられた表示層400とを有している。表示層400は、正または負に帯電する黒色粒子Aを分散媒7に分散してなる分散液100が含浸された三次元網目状弾性体6と、三次元網目状弾性体6と基板12との間に設けられこれらを接合する接合層81と、三次元網目状弾性体6と対向基板11との間に設けられこれらを接合する接合層82とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示シート、表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子ペーパーの画像表示部を構成するものとして、粒子の電気泳動を利用した電気泳動ディスプレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。電気泳動ディスプレイは、優れた可搬性および省電力性を有しており、電子ペーパーの画像表示部として特に適している。
電気泳動ディスプレイは、対向配置された一対の電極と、これらの間に設けられた表示層とを有しており、表示層には、例えば正に帯電する白色粒子と、負に帯電する黒色粒子とを液相分散媒に分散してなる分散液が充填されている。このような電気泳動ディスプレイは、一対の電極間に電圧を印加し、白色粒子および黒色粒子を所望の方向へ泳動させることにより所望の画像を表示するように構成されている。
【0003】
ここで、従来から、表示層の構成として、特許文献1のように表示層を1つの空間として(すなわち、隔壁等により分割せず)その空間内に分散液を充填する「液晶型」が知られている。
このような「液晶型」の表示層を有する表示装置では、表示面内のほぼ全域を有効表示領域(表示色を表示する(切り替える)ことができる領域)として利用できるが、例えば、ディスプレイを本のように立てた場合に、白色粒子および黒色粒子が自重によって鉛直方向下側に移動(沈降)し、表示画像を維持することができず、信頼性が低下する問題がある。さらには、表示層400内に隔壁等の補強部材としても機能する部材が設けられていないため、表示装置の強度が低いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−510790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、機械的強度および信頼性が高く、優れた表示特性を発揮することのできる表示シート、それを備えた表示装置および信頼性が高い電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の表示シートは、第1基板と、
前記第1基板に対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた表示層とを有し、
前記表示層は、
正または負に帯電する少なくとも1種の粒子を分散媒に分散してなる分散液が含浸された三次元網目状弾性体と、
前記三次元網目状弾性体と前記第1基板との間に設けられ前記三次元網目状弾性体と前記第1基板とを接合する第1基板側接合層と、
を有していることを特徴とする。
これにより、機械的強度および信頼性が高く、優れた表示特性を発揮することのできる表示シートを提供することができる。
【0007】
本発明の表示シートでは、前記表示層は、さらに、前記三次元網目状弾性体と前記第2基板との間に設けられ前記三次元網目状弾性体と前記第2基板とを接合する第2基板側接合層を有していることが好ましい。
これにより、表示装置の機械的強度がより高くなる。
本発明の表示シートでは、前記第1基板および前記第2基板は、それぞれ、可撓性を有していることが好ましい。
これにより、利便性の高い表示装置となる。
【0008】
本発明の表示シートでは、前記三次元網目状弾性体は、親油基および親水基の両方を有する両親媒性高分子で構成されていることが好ましい。
これにより、三次元網目状弾性体の分散媒との親和性が高くなると共に、分散媒への溶解が防止される。
本発明の表示シートでは、前記三次元網目状弾性体は、熱可塑性高分子で構成されていることが好ましい。
これにより、より空隙率の高い三次元網目状弾性体を得ることができる。
【0009】
本発明の表示シートでは、前記三次元網目状弾性体は、前記第1基板側の方が前記第2基板側よりも空隙率が高いことが好ましい。
これにより、表示装置の表示特性がより向上する。
本発明の表示シートでは、前記三次元網目状弾性体は、前記粒子と異なる色を呈していることが好ましい。
これにより、色の異なる複数の粒子を用いなくても、2色以上の表示色を表示することができるため、表示装置の構成が簡単となる。
【0010】
本発明の表示シートでは、前記第1基板側接合層および前記第2基板側接合層は、それぞれ、前記三次元網目状弾性体よりも軟化温度が低い熱可塑性樹脂で構成されていることが好ましい。
これにより、三次元網目状弾性体の空孔の消滅を防止しつつ、三次元網目状弾性体と第1基板側接合層および第2基板側接合層とをより強固に接合することができる。
【0011】
本発明の表示シートでは、前記第1基板側接合層および前記第2基板側接合層は、それぞれ、空隙率が前記三次元網目状弾性体よりも低いことが好ましい。
これにより、三次元網目状弾性体と第1基板側接合層および第2基板側接合層とをより強固に接合することができる。また、第1基板側接合層や第2基板側接合層の内部に粒子が入り込んでしまうのを効果的に防止することができる。
本発明の表示装置は、本発明の表示シートを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】従来の表示装置の問題点を示す図である。
【図3】従来の表示装置の問題点を示す図である。
【図4】図1に示す表示装置の駆動と効果を説明する断面図である。
【図5】図1に示す表示装置の駆動と効果を説明する断面図である。
【図6】図1に示す表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1に示す表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の表示装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図9】図8に示す表示装置の駆動を説明するための断面図である。
【図10】本発明の表示装置の第3実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明の表示装置の第4実施形態を示す概略斜視図である。
【図12】図11に示す表示シートの断面図である。
【図13】本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
【図14】本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の表示シート、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.表示装置
まず、本発明の表示シートを組み込んだ表示装置について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図、図2および図3は、従来の表示装置の問題点を示す図、図4および図5は、それぞれ、図1に示す表示装置の駆動と効果を説明する断面図、図6および図7は、それぞれ、図1に示す表示装置の製造方法を説明するための断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0014】
図1に示す表示装置(本発明の表示装置)20は、粒子の泳動を利用して所望の画像を表示する電気泳動表示装置である。この表示装置20は、表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22とを有している。
図1に示すように、表示シート21は、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた第2の電極4とを備える基板(第1基板)12と、基板12上に設けられ、分散液100が充填された表示層400とを有している。このような表示シート21では、基板12の上面が表示面121を構成している。なお、以下では、表示面121とは、表示装置20の平面視にて、基板12の上面の表示層400と重なる領域を言い、それ以外の領域(例えば後述する封止部9と重なる領域)は除くものとする。
【0015】
一方、回路基板22は、平板状の基部1と基部1の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える対向基板11と、この対向基板11に設けられた図示しない回路とを有している。回路は、例えば、マトリックス状に配列されたTFT(スイッチング素子)と、TFTに対応して形成されたゲート線およびデータ線と、ゲート線に所望の電圧を印加するゲートドライバーと、データ線に所望の電圧を印加するデータドライバーと、ゲートドライバーとデータドライバーの駆動を制御する制御部とを有している。
このような表示装置20では、対向基板11が表示シート21の第2基板を兼ねている。
【0016】
以下、各部の構成について順次説明する。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な表示装置20を得ることができる。
【0017】
各基部(基材層)1、2を可撓性を有するものとする場合、その構成材料としては、それぞれ、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン、COP(環状ポリオレフィン)等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
このような基部1、2の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20μm以上500μm以下程度であるのが好ましく、50μm以上200μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、表示装置20の小型化(特に薄型化)を図ることができる。
【0019】
これらの基部1、2の表示層400側の面、すなわち、基部1の上面および基部2の下面に、それぞれ、膜状をなす第1の電極3および第2の電極4が設けられている。本実施形態では、第2の電極4が共通電極とされ、第1の電極3がマトリックス状に分割された個別電極(TFTに接続された画素電極)とされている。この表示装置20では、1つの第1の電極3と第2の電極4とが重なる領域が1つの画素を構成する。
【0020】
電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等の炭素系材料、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフルオレンまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
電極3、4の構成材料としては、これらの中でも、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等の炭素系材料であるのが好ましい。これにより、後述するように、第2の電極4と接合層81との接着性および第1の電極3と接合層82との接着性を高めることができるため、表示装置20の機械的強度が向上する。
また、電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.01μm以上、10μm以下程度であるのが好ましく、0.02μm以上、5μm以下程度であるのがより好ましい。
【0022】
ここで、各基部1、2および各電極3、4のうち、表示面121側に配置される基部および電極は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。本実施形態では、基板12の表面が表示面121を構成するため、少なくとも基部2および第2の電極4は、実質的に透明とされる。これにより、分散液100中における黒色粒子Aの状態、すなわち、表示装置20に表示された情報(画像)を表示面121側から目視により容易に認識することができる。
【0023】
基板12と対向基板11との間には、それらの縁部に沿って封止部9が設けられている。この封止部9により、表示層400が気密的に封止されている。これにより、表示装置20外部への分散液100の漏出や、表示装置20内への水分の浸入を防止して、表示装置20の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
封止部9の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
図1に示すように、表示層400は、分散液100が含浸された三次元網目状弾性体6と、基板12および三次元網目状弾性体6を接合する接合層(第1基板側接合層)81と、対向基板11および三次元網目状弾性体6を接合する接合層(第2基板側接合層)82とを有している。言い換えれば、分散液100が充填された表示層400内に、三次元網目状弾性体6が配置(浸漬)させており、この三次元網目状弾性体6が接合層81を介して基板12に接合されると共に、接合層82を介して対向基板11に接合されているとも言える。
【0025】
分散液100は、正または負に帯電した黒色粒子(粒子)Aを分散媒7に分散させたものである。
分散媒7としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。また、分散媒7の沸点としては、特に限定されないが、150℃以上であるのが好ましい。かかる分散媒7としては、例えば、メタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、シリコーンオイルまたはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0026】
中でも、分散媒7としては、脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)またはシリコーンオイルを主成分とするものが好ましい。流動パラフィン、またはシリコーンオイルを主成分とする分散媒7は、透明性や耐熱性に優れており、黒色粒子Aの凝集抑制効果も高いことから好ましい。これにより、表示装置20の表示性能が経時的に劣化するのをより確実に防止または抑制することができる。また、流動パラフィンまたはシリコーンオイルは、不飽和結合を有しないため耐候性に優れ、および安全性も高いという点からも好ましい。
【0027】
また、分散媒7中には、必要に応じて、例えば電解質、アルケニルコハク酸エステルのような界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。また、分散媒7を着色する場合には、分散媒7に必要に応じてアントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。
【0028】
黒色粒子Aは、荷電を有し、電界が作用することにより分散媒7中を電気泳動し得る粒子である。黒色粒子Aは、それぞれ、荷電を有するものであればいかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0029】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック、亜クロム酸銅等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
なお、黒色粒子Aとしては、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子を好適に用いることができる。
【0031】
また、黒色粒子Aの形状は、それぞれ、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。また、黒色粒子Aの平均粒子径は、それぞれ、特に限定されるものではないが、好ましくは10nm以上500nm以下、より好ましくは20nm以上300nm以下である。黒色粒子Aの平均粒子径が10nm未満であると充分な色度が得られず、コントラストが低下して表示が不鮮明になることがある。逆に、黒色粒子Aの平均粒子径が300nmを超えると粒子自体の着色度を必要以上に高くする必要があり、顔料などの使用量が増大することや、表示のために電圧を印加した部分で粒子の速やかな移動が困難となり、その応答速度が低下することがある。
なお、黒色粒子Aの平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、製品名:LB−500、(株)堀場製作所製)で測定した体積平均粒子径を意味する。
【0032】
次いで、三次元網目状弾性体6について説明するが、それに先立って、三次元網目状弾性体6を省略した場合(すなわち、従来の「液晶型」の表示装置)に起きる問題点について説明する。
電極3、4の間に所定の電圧を印加すると、図2に示すように、黒色粒子Aを表示層400の第2の電極4(基板12)側に集めることができる。これにより、表示面121全域に黒色が表示された状態となる。
【0033】
ここで、表示装置20は、手に持って本のようにして立てた状態で視認される場合を想定している。そこで、図3に示すように、三次元網目状弾性体6を省略した表示装置20を本のように立てて保持した場合、黒色粒子Aのうち第2の電極4と接触している粒子や第2の電極4の近傍に位置しる粒子は、第2の電極4との吸着力によってその位置が維持されるが、第2の電極4から比較的離間している粒子は、第2の電極4との間に吸着力が働かないため(または働く吸着力が微少であるため)、自重により鉛直方向へ下側へ移動(沈降)する。
【0034】
このような現象が起こると、表示層400内にて黒色粒子Aの偏りが生じ、表示面121に表示される画像は、ムラのある画像となる。また、黒色粒子Aの移動(沈降)によって黒色粒子Aの数が減少した画素では、低い反射率を得ることができなくなるため、コントラストが低下する。
このように、三次元網目状弾性体6のない従来型の表示装置では、優れた表示特性を発揮することができない。
【0035】
また、一端、黒色粒子Aの沈降が生じると、再び、表示層400中に黒色粒子Aを均一に分散させるのは困難であり、例えば、表示を一旦リセットする必要等がある。そのため、リセットができない場合には表示特性が悪化したまま表示が続けられたり、表示特性を回復するためにリセットする場合には、一端表示が中止されたりし、表示装置20の利便性が悪化する。
【0036】
このような問題に加えて、従来の表示装置では、表示層400中に、表示装置が撓んだときの表示層400の厚さの変化を抑制する機能を有する部材が何ら設けられていないため、表示装置が撓んだ際に表示層400の厚さが部分的に大きく変化してしまい、これにより、表示特性が悪化する。さらに、基部1および基部2の間の接合を封止部9でのみおこなっているため、表示装置の機械的強度を高めることができない。
三次元網目状弾性体6は、このような問題を解消、すなわち、表示装置20の機械的強度を高めつつ、黒色粒子Aの鉛直方向下側への移動(沈降)を防止または抑制することにより、表示装置20に優れた表示特性を発揮させる機能を有している。
【0037】
以下、三次元網目状弾性体6について詳細に説明する。
図1に示すように、三次元網目状弾性体6は、表示層400内に設けられており、接合層81によって基板12に接合されると共に、接合層82によって対向基板11に接合されている。この三次元網目状弾性体6は、黒色粒子Aの表示層400の厚さ方向への移動を許容しつつ、表示層400の面内方向の移動を抑制する機能を有している。
【0038】
また、三次元網目状弾性体6は、三次元で網目状に形成された樹脂性の弾性体である。具体的には、三次元網目状弾性体6は、発泡体等の多孔質体や、繊維の集合体等で構成することができる。これにより、上記機能に優れ、かつ比較的簡単な構成の三次元網目状弾性体6が得られる。なお、繊維の集合体としては、所定の繊維を織って形成される織物体、所定の繊維同士を織り込まずに形成される不織体等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、三次元網目状弾性体6として発泡体を用いるのが好ましい。これにより、簡単かつ精度よく、三次元網目状弾性体6を形成することができる。
また、三次元網目状弾性体6の空隙率としては、特に限定されないが、50%以上、99.9%以下程度であることが好ましい。これにより、黒色粒子Aの移動経路を充分に確保することができ、三次元網目状弾性体6で、黒色粒子Aがスムーズに移動することができる。
【0040】
また、三次元網目状弾性体6の弾性率としては、特に限定されないが、0.01MPa以上、1000MPa以下程度であることが好ましい。これにより、三次元網目状弾性体6の柔軟性を充分に高めることができると共に、基板12および対向基板11との線膨張係数の違いを効果的に吸収することができる。
このような三次元網目状弾性体6を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、分子量が10000以上の高分子であるのが好ましい。これにより、適度な硬さを有する三次元網目状弾性体6が得られ、表示装置20の可撓性を阻害せずに表示層400の強度を高めることができる。
【0041】
また、三次元網目状弾性体6を構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、後述するように、三次元網目状弾性体6を形成する際の発泡工程において樹脂材料を軟化させることが容易となり、より高い空隙率の三次元網目状弾性体6を形成することができる。
また、三次元網目状弾性体6を構成する樹脂材料としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基などの親油基と、水酸基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレア基、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基、スルホ基、シロキサン基などの親水基の両方を併せ持つ高分子であるのが好ましい。これにより、分散媒7との親和性に優れると共に、分散媒7への溶解が防止された三次元網目状弾性体6を得ることができる。
【0042】
このような樹脂材料としては、具体的には、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、エーテル樹脂、尿素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)やエチレンアクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレンメタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン環状オレフィン共重合体(COC樹脂)などのエチレン系共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
以上、三次元網目状弾性体6について詳細に説明したが、本実施形態の三次元網目状弾性体6は、黒色粒子Aと異なる色に着色されている。具体的には、本実施形態の三次元網目状弾性体6は、白色に着色されている。これにより、後述するように、白黒表示が可能な表示装置20が得られる。なお、このように、三次元網目状弾性体6を着色することにより、1種類の粒子用いるだけで2色表示(白黒表示)が可能となるため、表示装置20の構成がより簡単となる。
【0044】
三次元網目状弾性体6を着色する方法としては、特に限定されず、例えば、三次元網目状弾性体6を構成する樹脂材料に有機顔料、無機顔料等の顔料を混ぜ合わせる方法が挙げられる。
このような三次元網目状弾性体6は、接合層81を介して基板12に接合されていると共に、接合層82を介して対向基板11に接合されている。このように、三次元網目状弾性体6を基板12および対向基板11に接合することにより、表示装置20が湾曲した際の基板12と対向基板11との離間距離の変化が三次元網目状弾性体6が発揮する弾性によって抑制されるため、表示装置20の機械的強度が向上する。また、外部から衝撃が加わった際には、三次元網目状弾性体6がクッション機能を発揮することにより、その衝撃を緩和することができるため、この点からも表示装置20の機械的強度が向上する。また、基板12と三次元網目状弾性体6との間に隙間が形成されることがないため、表示装置20がどのように変形しようと、表示面121から三次元網目状弾性体6が視認でき、優れた白色表示特性を発揮することができる。
【0045】
接合層81、82は、それぞれ、膜状をなしている。これら接合層81、82のうち少なくとも表示面121側に位置する接合層81は、実質的に無色透明であるのが好ましい。
接合層81の膜厚としては、特に限定されないが、1μm以下程度であるのが好ましい。これにより、表示特性の低下を防止または抑制しつつ、三次元網目状弾性体6と基板12とを接合することができる。
【0046】
一方、接合層82の膜厚としては、特に限定されないが、1μm以上、10μm以下程度であるのが好ましい。対向基板11は、複数の第1の電極3が形成されているため、その上面に凹凸が存在する。接合層82の膜厚を上記数値範囲とすることにより、接合層82の厚さを抑えつつ、対向基板11の上面の凹凸(段差)を吸収することができ、接合層82の上面をほぼ平坦面とすることができる。これにより、接合層82と三次元網目状弾性体6との接触面積をより大きくすることができるため、接合層82と三次元網目状弾性体6との接着強度を高めることができる。
このように、接合層81、82で膜厚をそれぞれ独立して設定することにより、表示特性および機械的強度に優れる表示装置20を得ることができる。
【0047】
また、後述するように、黒色粒子Aを第2の電極4側に集めることにより表示面121に黒色が表示される。そのため、第2の電極4側に位置する接合層81は、絶縁性(すなわち電荷が残り易い誘電性)を有していることが好ましい。これにより、後述するように、第1の電極3および第2の電極4間への電圧印加を停止した後でも、黒色粒子Aを第2の電極4側に保持しておくことが容易となる。すなわち、優れたメモリー性を付与することができる。
【0048】
一方、接合層82は、前述したように、対向基板11の凹凸を吸収するために、その膜厚をある程度厚くする必要がある。そのため、接合層82は、その厚さ方向にある程度電流を流すことができるものとするのが好ましい。これにより、黒色粒子Aに効率的に電界を作用させることができ、表示装置20の省電力駆動を図ることができる。なお、接合層82は、横方向(面方向)への電流の流れを防止できる程度の膜厚となっているため、例えば、所定の第1の電極3に供給した電流が、接合層82を介して他の第1の電極3の領域に流れてしまうことはない。
【0049】
なお、上記機能を発揮し得る接合層82の電気抵抗(比抵抗率)としては、特に限定されないが、1×10Ω・cm以上、1×1012Ω・cm以下程度である。
また、接合層81、82の空隙率は、それぞれ、三次元網目状弾性体6の空隙率よりも低いことが好ましい。これにより、例えば、接合層81、82内に黒色粒子Aが入り込んでしまったり、接合層81、82の接着性(接着強度)が低下したりするのを、効果的に防止することができる。
【0050】
このような接合層81、82の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、エーテル樹脂、尿素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)やエチレンアクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレンメタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン環状オレフィン共重合体(COC樹脂)などのエチレン系共重合体等の熱可塑性樹脂材料や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、必要に応じて、シランカップリング剤等の接着補助剤を添加してもよい。
【0051】
これらの中でも、接合層81、82の構成材料としては、三次元網目状弾性体6よりも軟化温度が低い熱可塑性樹脂で構成されているのが好ましい。これにより、後述する表示装置20の製造方法で述べるように、三次元網目状弾性体6の軟化を防ぎつつ、すなわち三次元網目状弾性体6内の空孔の消滅を防止しつつ、三次元網目状弾性体6と接合層81、82とを接合することができる。そのため、所望の特性を有する表示装置20を簡単に製造することができる。
【0052】
なお、接合層82の電気抵抗を上記数値範囲に調整する場合には、接合層82の構成材料である樹脂(高分子)の末端に、例えば、カルボン酸アンモニウム塩、カルボン酸ナトリウム塩、スルホン酸ナトリウム塩などの官能基を付加することにより、接合層82の電気抵抗を調整すればよい。また、接合層82中に、カーボンブラック等の導電性フィラーを分散させてもよい。
【0053】
以上、表示層400について説明した。このような表示層400の厚さとしては、特に限定されないが、5μm以上、50μm程度であるのが好ましい。これにより、表示層400の厚さを抑えつつ、後述する白色表示状態のときに、三次元網目状弾性体6によって黒色粒子Aを隠蔽することができる。すなわち、白色表示状態において、表示面121から黒色粒子Aを実質的に視認することができなくすることができ、反射率の高い白色を表示することができる。
【0054】
2.表示装置の駆動方法
このような表示装置20は、次のようにして駆動する。
電極3、4の間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。この電界に従って黒色粒子Aは、電極3、4のいずれかに向かって移動(電気泳動)する。以下では、黒色粒子Aとして負荷電のものを用いた場合について代表して説明する。また、以下では、説明の便宜上、1つの画素について代表して説明する。
【0055】
−白色表示状態−
第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3が正電位、第2の電極4が負電位となる電圧を印加すると、当該電圧印加により発生した電界が表示層400中の黒色粒子Aに作用する。すると、図4(A)に示すように、黒色粒子Aは、第1の電極3側に泳動して第1の電極3に集まる。この状態を表示面121から見ると、黒色粒子Aが三次元網目状弾性体6に隠蔽され、白色に着色された三次元網目状弾性体6だけが視認される。これにより、表示面121に白色が表示される白色表示状態となる。
【0056】
さらに、この状態で表示装置20を立てた場合、黒色粒子Aは、その自重により鉛直方向下側へ移動(沈降)しようとする。しかしながら、図4(B)に示すように、黒色粒子Aは、三次元網目状弾性体6に拘束されているため、前記移動が防止または抑制される。このような表示装置20によれば、黒色粒子Aの不本意な移動を防止または抑制し、表示層400中での粒子の偏りを効果的に防止または抑制することができるため、表示面121に、ムラのない鮮明な画像を表示することができる。これは、後述する黒色表示状態のときも同様である。
【0057】
−黒色表示状態−
第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3が負電位、第2の電極4が正電位となる電圧を印加すると、当該電圧印加により発生した電界が表示層400中の黒色粒子Aに作用する。すると、図5(A)に示すように、黒色粒子Aは、第2の電極4側に泳動して第2の電極4に集まる。これにより、表示面121に黒色粒子Aの色である黒色が表示される黒色表示状態となる。なお、このような状態では、第2の電極4に集まった黒色粒子Aによって三次元網目状弾性体6の大半が覆い隠されるため、三次元網目状弾性体6が黒色表示状態に与える影響は実質的にない。
さらに、この状態で表示装置20を立てた場合、黒色粒子Aは、その自重により鉛直方向下側へ移動(沈降)しようとする。しかしながら、図5(B)に示すように、黒色粒子Aは、三次元網目状弾性体6に拘束されているため、前記移動が防止または抑制される。
【0058】
表示装置20では、画素毎に、白色表示状態か黒色表示状態を選択することにより、すなわち、白色表示状態の画素と黒色表示状態の画素とを組み合わせることにより、表示面121に所望の画像を表示することができる。このような表示装置20では、表示面121のほぼ全面を有効画像表示領域(表示色を切り替えることのできる領域)とすることができるため、表示面121により鮮明な画像を表示することができる。
【0059】
3.表示装置の製造方法
次いで、表示装置20の製造方法について、図6および図7に基づいて説明する。
まず、図6(A)に示すように、基板12を用意する。基板12は、例えば、PETで構成された基部2の一方の面にITO薄膜で構成された第2の電極4を形成することにより得られる。
【0060】
次いで、図6(B)に示すように、第2の電極4の表面に接着剤を塗布して接合層81を形成する。なお、接着剤としては、前述したように、三次元網目状弾性体6の構成材料よりも軟化温度が低い熱可塑性樹脂を用いることができる。また、接着剤の塗布方法としては、例えば、ダイコート、コンマコート、グラビアコート、リップコート、スクリーン印刷等の各種塗布方法を用いることができる。
【0061】
次いで、例えば、平均粒径が0.1μm〜1μm程度のウレタン樹脂(熱可塑性樹脂)を水系の分散媒に分散してなる水系エマルション分散液を用意し、図6(C)に示すように、この水系エマルション分散液を接合層81の表面に塗布する。水系エマルション分散液の塗布方法としては、例えば、ダイコート、コンマコート、グラビアコート、リップコート、スクリーン印刷等の各種塗布方法を用いることができる。
【0062】
次いで、接合層81の表面に形成された水系エマルション分散液の層をロールラミネーター等によって熱ラミネートすることにより高温高圧下とし、水系エマルション分散液中の樹脂材料を軟化させつつ、水分(分散媒)を気化させることによる発泡を行うことにより、図6(D)に示すように、互いに重なり合う多数の空孔が形成された三次元網目状弾性体6が得られる。
【0063】
次いで、三次元網目状弾性体6をその厚さ方向に押し潰した状態で、三次元網目状弾性体6を分散液100が貯留されたタンクに浸漬し、その後、三次元網目状弾性体6を自然状態に復帰させる。三次元網目状弾性体6は、自然状態に復帰する際に、空孔内に分散液100を吸収する。これにより、図7(A)に示すように、分散液100を含浸する三次元網目状弾性体6が得られる。
【0064】
次いで、図7(B)に示すように、三次元網目状弾性体6の表面に接着剤を塗布して接合層82を形成する。なお、接着剤としては、前述したように、三次元網目状弾性体6の構成材料よりも軟化温度が低い熱可塑性樹脂を用いることができる。また、接着剤の塗布方法としては、例えば、ダイコート、コンマコート、グラビアコート、リップコート、スクリーン印刷等の各種塗布方法を用いることができる。
【0065】
次いで、図7(C)に示すように、接合層82上に対向基板11を配置し、ロールラミネーター等によって、接合層81を介して基板12と三次元網目状弾性体6とを接合するとともに、接合層82を介して対向基板11と三次元網目状弾性体6とを接合する。ロールラミネーターによる加熱温度は、接合層81、82の軟化温度よりも高く、三次元網目状弾性体6の軟化温度よりも低く設定する。これにより、三次元網目状弾性体6内の軟化(すなわち、三次元網目状弾性体6内の空隙の消滅)を防止しつつ、前述したような接合を行うことができる。
【0066】
次いで、図7(D)に示すように、基板12および対向基板11の間に、エポキシ系接着剤からなる封止部を形成することにより表示装置20が得られる。
このような製造方法によれば、比較的簡単かつ安価に表示装置20を製造することができる。
なお、三次元網目状弾性体6の形成方法としては、前述の方法に限定されず、例えば、次のような方法であってもよい。すなわち、まず、水分散系イソシアネートプレポリマーに熱可塑性を持たせるためにエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール等のエマルションを添加してなる塗布液を、接合層81の表面に塗布し、その後、高温高圧下に置き、三次元ウレア架橋によって発生する炭酸ガスによって発泡を行うことにより三次元網目状弾性体6を形成してもよい。また、予め、用意しておいたシート状の三次元網目状弾性体6を接合層81の表面に貼り付けてもよい。
【0067】
<第2実施形態>
図8は、本発明の表示装置の第2実施形態を示す断面図、図9は、図8に示す表示装置の駆動を説明するための断面図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる表示装置は、分散液の構成が異なること以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0068】
図8に示すように、本実施形態の表示装置20では、分散液100中に黒色粒子Aと白色粒子Bとが含まれている。また、黒色粒子Aと白色粒子Bは、互いに反対の極性に帯電している。
このような表示装置20では、図9(A)に示すように、黒色粒子Aを第2の電極4側に集めると共に、白色粒子Bを第1の電極3側に集めることにより黒色表示状となり、図9(B)に示すように、白色粒子Bを第2の電極4側に集めると共に、黒色粒子Aを第1の電極3側に集めることにより白色表示状となる。
【0069】
<第3実施形態>
図10は、本発明の表示装置の第3実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる表示装置は、三次元網目状弾性体の構成が異なること以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0070】
図10に示すように、本実施形態の表示装置20では、三次元網目状弾性体6が基板12側に位置する第1層61と、第1層61よりも対向基板11側に位置する第2層62とを有している。また、第1層61は、第2層62よりも空隙率が大きくなっている。
第1層61の空隙率としては、特に限定されないが、70%以上、99.9%以上であるのが好ましい。これにより、第2の電極4側により多くの黒色粒子Aを集めることができるため、黒色表示状態のときに、より反射率の低い黒色を表示することができる。一方、第2層62の空隙率としては、第1層61の空隙率よりも低ければ特に限定されないが、例えば、50%以上、70%以下程度であるのが好ましい。これにより、白色表示状態において、第2層62によって黒色粒子Aをより確実に遮蔽することができるため、より反射率の高い白色を表示することができる。
【0071】
また、第1層61の厚さは、特に限定されないが、第2層62の厚さの1/10以上、1/2以下程度であるのが好ましい。これにより、前述した効果がより顕著なものとなる。
このような三次元網目状弾性体6は、第1層61と第2層62とを別工程にて形成してもよいし、同じ工程で同時に形成してもよい。別工程で形成する場合には、まず、第2の電極4の表面に第1層61となる樹脂材料を塗布して発泡させることにより第1層61を得た後、第1層61の表面に第2層62となる樹脂材料を塗布して発泡させることにより第2層62を得ることにより、三次元網目状弾性体6を形成することができる。同工程で形成する場合には、例えば、三次元網目状弾性体6となる樹脂材料を第2の電極4の表面に塗布した後、それを発泡させる際に、厚さ方向の一方側と他方側とで加熱温度を異ならせて発泡条件を異ならせることにより、空隙率の異なる第1層61および第2層62を同時に形成することができる。
【0072】
<第4実施形態>
図11は、本発明の表示装置の第4実施形態を示す概略斜視図、図12は、図11に示す表示シートの断面図である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本願発明の第4実施形態にかかる表示装置は、表示シートが別体として構成されている以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0073】
図11に示すように、本実施形態の表示装置20Eは、表示シート21Eと、書き込み装置22Eとを有している。
表示シート21Eは、図12に示すように、基板(第1基板)12Eと、基板12Eと対向配置された基板(第2基板)11Eと、基板12E、11Eの間に設けられた表示層400と、表示層400内に設けられた三次元網目状弾性体6と、表示層400を封止する封止部9とを有している。基板12E、11Eは、それぞれ、前述した第1実施形態の基板12の基部2と同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0074】
書き込み装置22Eは、表示シート21Eに所望の画像(模様、色彩、文字、絵またはこれらの組み合わせ等)を書き込む際に使用する装置である。図11に示すように、書き込み装置22Eは、台座221Eと、台座221E上に設けられたシート状の共通電極222Eと、先端に部分電極223Eが設けられた書き込みペン(入力具)224Eと、共通電極222Eおよび部分電極223E間に電圧を印加する電圧印加手段225Eとを有している。
【0075】
このような表示装置20Eは、例えば、次のように使用する。
まず、表示面121の全域が白色表示状態である表示シート21Eを、表示面121を上側にして書き込み装置22Eの共通電極222E上に載置する。次いで、電圧印加手段225Eによって共通電極222Eおよび部分電極223E間に、部分電極223E側が低電位となる電圧を印加する。この状態で、書き込みペン224Eを表示面121に接触させつつ所望の軌跡で移動させることにより、その軌跡に対応する領域にて粒子の泳動が生じ、表示色が白色から黒色に変化する。
このような表示装置20Eによれば、紙に鉛筆で文字等を描くのと同様の感覚で、表示シート21Eの表示面121に所望の文字等を描くことができる。そのため、表示装置20Eの操作性(操作感覚)が向上する。
【0076】
以上説明したような表示装置20は、それぞれ、各種電子機器に組み込むことができる。電気泳動表示装置を備える本発明の電子機器としては、例えば、電子ペーパー、電子ブック、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
【0077】
これらの電子機器のうちから、電子ペーパーを例に挙げ、具体的に説明する。
図13は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図13に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような表示装置20で構成されている。
【0078】
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図14は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図14中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図14に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図13に示す構成と同様である。
【0079】
本体部801は、その側部(図14(b)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
【0080】
また、本体部801の表示面側(図14(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
【0081】
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図14(b)中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。これにより、利便性が向上する。
【0082】
以上、本発明の表示シート、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、分散液に含まれる粒子が黒色の場合、または、白色と黒色が混ざっているものについて説明したが、粒子の色は、これに限定されず、例えば、青、赤、緑等の有彩色であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1‥‥基部 2‥‥基部 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 6‥‥三次元網目状弾性体 61‥‥第1層 62‥‥第2層 7‥‥分散媒 81‥‥接合層 82‥‥接合層 9‥‥封止部 100‥‥分散液 11、11E‥‥対向基板 12、12E‥‥基板 121‥‥表示面 20、20E‥‥表示装置 21、21E‥‥表示シート 22‥‥回路基板 22E‥‥書き込み装置 221E‥‥台座 222E‥‥共通電極 223E‥‥部分電極 224E‥‥書き込みペン 225E‥‥電圧印加手段 400‥‥表示層 600……電子ペーパー 601……本体 602……表示ユニット 800……ディスプレイ 801……本体部 802a、802b……搬送ローラ対 803……孔部 804……透明ガラス板 805……挿入口 806……端子部 807……ソケット 808……コントローラー 809……操作部 A‥‥黒色粒子 B‥‥白色粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた表示層とを有し、
前記表示層は、
正または負に帯電する少なくとも1種の粒子を分散媒に分散してなる分散液が含浸された三次元網目状弾性体と、
前記三次元網目状弾性体と前記第1基板との間に設けられ前記三次元網目状弾性体と前記第1基板とを接合する第1基板側接合層と、
を有していることを特徴とする表示シート。
【請求項2】
前記表示層は、さらに、前記三次元網目状弾性体と前記第2基板との間に設けられ前記三次元網目状弾性体と前記第2基板とを接合する第2基板側接合層を有している請求項1に記載の表示シート。
【請求項3】
前記第1基板および前記第2基板は、それぞれ、可撓性を有している請求項1または2に記載の表示シート。
【請求項4】
前記三次元網目状弾性体は、親油基および親水基の両方を有する両親媒性高分子で構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の表示シート。
【請求項5】
前記三次元網目状弾性体は、熱可塑性高分子で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の表示シート。
【請求項6】
前記三次元網目状弾性体は、前記第1基板側の方が前記第2基板側よりも空隙率が高い請求項1ないし5のいずれかに記載の表示シート。
【請求項7】
前記三次元網目状弾性体は、前記粒子と異なる色を呈している請求項1ないし6のいずれかに記載の表示シート。
【請求項8】
前記第1基板側接合層および前記第2基板側接合層は、それぞれ、前記三次元網目状弾性体よりも軟化温度が低い熱可塑性樹脂で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の表示シート。
【請求項9】
前記第1基板側接合層および前記第2基板側接合層は、それぞれ、空隙率が前記三次元網目状弾性体よりも低い請求項1ないし8のいずれかに記載の表示シート。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の表示シートを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−93626(P2012−93626A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242241(P2010−242241)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】