説明

表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器

【課題】駆動の効率化を図ることのできる表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】 表示装置20は、白色粒子5Aの色が表示される白色表示状態と、赤色粒子6Aの色が表示される赤色表示状態と、赤色粒子とシアン色の分散媒の混色である黒色が表示される黒色表示状態とをとることができる。そして、白色表示状態と赤色表示状態とを切り替えるために電極に印加する電圧よりも、白色表示状態と黒色表示状態とを切り替えるために電極に印加する電圧および赤色表示状態と黒色表示状態とを切り替えるために電極に印加する電圧の方が、大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子ペーパーの画像表示部を構成するものとして、粒子の電気泳動を利用した電気泳動ディスプレイが知られている(例えば、特許文献1参照)。電気泳動ディスプレイは、優れた可搬性および省電力性を有しており、電子ペーパーの画像表示部として特に適している。
特許文献1には、対向配置された一対の電極(共通電極および複数の画素電極)と、これらの間に設けられた複数の分割セルとを有し、フルカラー表示が可能な電気泳動表示装置が記載されている。この電気泳動表示装置では、互いに隣り合う3つのセルで1画素が構成されている。具体的には、第1のセルには、白色とイエローの電気泳動粒子を青色の分散媒に分散してなる分散液が充填されており、第2のセルには、白色とマゼンタの電気泳動粒子を緑色の分散媒に分散してなる分散液が充填されており、第3のセルには、白色とシアンの電気泳動粒子を赤色の分散媒に分散してなる分散液が充填されている。そして、1画素中の3つのセルにおいて、電気泳動粒子の状態(偏在位置等)を独立して制御することにより、当該1画素において所望の色を表するように構成されている。
このような電気泳動表示装置の第1のセル(第2のセル、第3のセルについても色が異なる以外は同様)では、電極に所望の電圧を印加することにより、白色粒子の色が表示される白色表示状態と、イエローの粒子の白が表示される黄色表示状態と、分散液の色が表示される青色表示状態とをとることができる。
【0003】
しかしながら、例えば、第1のセルの直前の表示状態が何であるかに関わらず、白色表示状態とするための電圧パターンが同じであるため、すなわち、黄色表示状態から白色表示状態とするために印加する電圧と、青色表示状態から白色表示状態とするために印加する電圧とが同じであるため、過度な電圧が印加されるおそれがあり、駆動の効率が悪化したり、電気泳動粒子が第1のセルの内壁に焼き付いて動けなくなり表示品質が低下したりする問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−72617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、例えば、駆動の効率化を図ることのできる表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の表示シートの駆動方法は、白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有する表示シートの駆動方法であって、
前記表示シートは、前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができ、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
これにより、駆動の効率化を図ることのできる表示シートの駆動方法を提供することができる。
【0007】
本発明の表示シートの駆動方法は、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
これにより、表示シート駆動の効率化をさらに図ることができる。
【0008】
本発明の表示シートの駆動方法では、前記第1の粒子の前記分散媒中の移動度と前記第2の粒子の前記分散媒中の移動度とが異なっていることが好ましい。
これにより、より反射率の低い黒色を表示することができる。
本発明の表示シートの駆動方法では、前記第1の粒子の前記分散媒中の移動度は、前記第2の粒子の前記分散媒中の移動度と等しいことが好ましい。
これにより、第1の粒子および第2の粒子の制御を容易に行うことができる。
【0009】
本発明の表示シートの駆動方法では、前記第1の色表示状態から前記第3の色表示状態へ切り替えるときは、前記第2の色表示状態を経由することが好ましい。
これにより、より確実に、表示される黒色の反射率を揃えることができる。
本発明の表示シートの駆動方法では、前記第2の色表示状態から前記第3の色表示状態へ切り替えるときは、前記第1の色表示状態を経由することが好ましい。
これにより、より確実に、表示される黒色の反射率を揃えることができる。
【0010】
本発明の制御装置は、白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有し、前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができる表示シートの駆動を制御する制御装置であって、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすように前記表示シートの駆動を制御することを特徴とする。
これにより、駆動の効率化を図ることのできる表示シートの制御装置を提供することができる。
【0011】
本発明の表示装置は、白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有し、
前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができ、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
これにより、駆動の効率化を図ることのできる表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の平面図である。
【図3】図1に示す表示装置の1つの画素を示した拡大断面図である。
【図4】図1に示す表示装置の表示状態を示す断面図である。
【図5】図1に示す表示装置の第1の電極に印加する電圧を示す図である。
【図6】印加電圧の大きさと粒子の移動距離との関係を示すグラフである。
【図7】図1に示す表示装置の第1の電極に印加する電圧を示す図である。
【図8】表示装置の黒色表示状態を示す断面図である。
【図9】表示装置の黒色表示状態を示す断面図である。
【図10】本発明の表示装置の第5実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.表示装置
まず、本発明の表示シートを組み込んだ表示装置について説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す表示装置の平面図、図3は、図1に示す表示装置の1つの画素を示した拡大断面図、図4は、図1に示す表示装置の表示状態を示す断面図、図5は、図1に示す表示装置の第1の電極に印加する電圧を示す図、図6は、印加電圧の大きさと粒子の移動距離との関係を示すグラフである。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0015】
図1に示す表示装置(本発明の表示装置)20は、粒子の泳動を利用して所望の画像を表示する電気泳動表示装置である。この表示装置20は、表示シート21と、回路基板(制御装置)22とを有している。
図1に示すように、表示シート21は、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた第2の電極4とを備える基板12と、基板12上に設けられ、分散液100が充填された複数のセル(充填部)410を有する表示層400とを有している。
【0016】
一方、回路基板22は、平板状の基部1と基部1の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える対向基板11と、この対向基板11(基部1)に設けられた図示しない回路とを有している。前記回路は、例えば、マトリックス状に配列されたTFTと、これに対応して形成された複数のゲート線および複数のデータ線と、ゲート線に所望の電圧を印加するゲートドライバーと、データ線に所望の電圧を印加するデータドライバーと、ゲートドライバーとデータドライバーの駆動を制御する制御部(コントローラー)とを有している。
【0017】
以下、各部の構成について順次説明する。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な表示装置20を得ることができる。
【0018】
各基部(基材層)1、2を可撓性を有するものとする場合、その構成材料としては、それぞれ、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル、ポリエチレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
このような基部1、2の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20μm以上、500μm以下程度であるのが好ましく、25μm以上、250μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、表示装置20の小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
【0020】
これらの基部1、2の表示層400側の面、すなわち、基部1の上面および基部2の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極3および第2の電極4が設けられている。本実施形態では、第2の電極4が共通電極とされ、第1の電極3がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(前記スイッチング素子に接続された画素電極)とされている。また、第1の電極3は、表示層400が有する各セル410に対応して(1つのセル410に1つの第1の電極3が位置するように)設けられている。なお、第2の電極4も、第1の電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
【0021】
各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリフルオレンまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.01μm以上、10μm以下程度であるのが好ましく、0.02μm以上、5μm以下程度であるのがより好ましい。
【0022】
ここで、各基部1、2および各電極3、4のうち、表示面側に配置される基部および電極は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。本実施形態では、基板12の表面(上面)が表示面121を構成するため、少なくとも基部2および第2の電極4は、実質的に透明とされる。これにより、分散液100中における粒子5、6の状態、すなわち表示装置20に表示された情報(画像)を表示面121側から目視により容易に認識することができる。
【0023】
表示シート21では、第2の電極4の下面に接触して、表示層400が設けられている。表示層400は、分散液(電気泳動分散液)100が充填(封入)された複数のセル(充填部)410がマトリクス状に配列することにより構成されている。なお、分散液100は、互いに反対の極に帯電した第1の粒子5および第2の粒子6が分散媒(液相分散媒)7に分散したものである。
【0024】
図1に示すように、表示層400は、複数の凹部401aがマトリクス状(行列状)に形成された基体401と、凹部401aの開口を覆う(塞ぐ)ように基体401に接合された蓋体402とを有しており、これにより複数のセル410が形成されている。
基体401は、比較的高い絶縁性と、分散液100の不透過性とを有している。このような基体401の構成材料としては、特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の各種樹脂材料や、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
一方の蓋体402も、比較的高い絶縁性と、分散液100の不透過性とを有している。また、蓋体402は、実質的に無色透明であり、セル410の外部からセル410内を視認することができるようになっている。このような蓋体402の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン66)、スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
なお、蓋体402は、省略してもよく、その場合は、基板12によって凹部401aの開口を覆えばよい。これにより、装置の構成が簡単なものとなる。また、表示面121と分散液100との間に介在する部材の数を減らすことができるため、光の吸収を抑制でき、より鮮明で明るい画像を表示することができる。
【0026】
図2に示すように、表示装置20では、隣り合う3つのセル410で1つの画素Pixを構成しており、さらに、このような構成の画素Pixがマトリクス状に複数配列している。
各画素Pixは、それぞれ同様の構成をなしているため、以下では、説明の便宜上、1つの画素Pixについて代表して説明し、その他の画素Pixについては、その説明を省略する。また、以下では、画素Pixを構成する3つのセル410を、第1のセル410A、第2のセル410Bおよび第3のセル410Cとし、第1のセル410Aに充填された分散液100を分散液100A、第2のセル410Bに充填された分散液100を分散液100B、第3のセル410Cに充填された分散液100を分散液100Cとして説明する。
【0027】
図3に示すように、第1のセル410Aに充填された分散液100Aは、白色をなす白色粒子(第1の粒子)5Aと赤色をなす赤色粒子(第2の粒子)6Aとがシアン色をなす分散媒7Aに分散したものである。また、白色粒子5Aおよび赤色粒子6Aは、互いに反対の極に帯電した電気泳動粒子である。すなわち、白色粒子5Aおよび赤色粒子6Aのうちの一方の粒子が正に帯電し、他方の粒子が負に帯電している。また、これら白色粒子5Aおよび赤色粒子6Aを分散する分散媒7Aの色は、赤色粒子6Aの色と補色の関係にある。
【0028】
第2のセル410Bに充填された分散液100Bは、白色をなす白色粒子(第1の粒子)5Bと緑色をなす緑色粒子(第2の粒子)6Bとがマゼンタ色をなす分散媒7Bに分散したものである。また、白色粒子5Bおよび緑色粒子6Bは、互いに反対の極に帯電した電気泳動粒子である。すなわち、白色粒子5Bおよび緑色粒子6Bのうちの一方の粒子が正に帯電し、他方の粒子が負に帯電している。また、これら白色粒子5Bおよび緑色粒子6Bを分散する分散媒7Bの色は、緑色粒子6Bの色と補色の関係にある。
【0029】
第3のセル410Cに充填された分散液100Cは、白色をなす白色粒子(第1の粒子)5Cと青色をなす青色粒子(第2の粒子)6Cとがイエロー色をなす分散媒7Cに分散したものである。また、白色粒子5Cおよび青色粒子6Cは、互いに反対の極に帯電した電気泳動粒子である。すなわち、白色粒子5Cおよび青色粒子6Cのうちの一方の粒子が正に帯電し、他方の粒子が負に帯電している。また、これら白色粒子5Cおよび青色粒子6Cを分散する分散媒7Cの色は、青色粒子6Cの色と補色の関係にある。
これら電気泳動粒子(白色粒子5A、5B、5C、赤色粒子6A、緑色粒子6Bおよび青色粒子6C。以下同様)の分散媒7(7A、7Bおよび7C)への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
【0030】
分散媒7(7A、7Bおよび7C)としては、基体401および蓋体402に対する溶解性が低く、かつ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。かかる分散媒7としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、メタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族復素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0031】
中でも、分散媒7としては、脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、またはシリコーンオイルを主成分とするものが好ましい。流動パラフィン、またはシリコーンオイルを主成分とする分散媒7は、電気泳動粒子の凝集抑制効果が高く、かつセル410の構成材料との親和性が低い(溶解性が低い)ことから好ましい。これにより、表示装置20の表示性能が経時的に劣化するのをより確実に防止または抑制することができる。また、流動パラフィン、またはシリコーンオイルは、不飽和結合を有しないため耐候性に優れ、および安全性も高いという点からも好ましい。
【0032】
また、本実施形態では、分散媒7A、7Bおよび7Cを、それぞれ、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色に着色するために、分散媒7A、7Bおよび7Cに、例えば、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料等の各種染料を適宜溶解する。
また、分散媒7中には、必要に応じて、例えば、電解質、アルケニルコハク酸エステルのような界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0033】
電気泳動粒子は、荷電を有し、電界が作用することにより、分散媒7中を電気泳動し得る粒子である。かかる電気泳動粒子には、荷電を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0034】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック、亜クロム酸銅等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができ、かかる粒子は、白色粒子5A、5B、5Cとして好適に用いられる。
また、電気泳動粒子の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
【0036】
電気泳動粒子は、分散媒7中での分散性を考慮した場合、より小さいものが好適に用いられ、具体的には、その平均粒径が、10nm以上、500nm以下程度であるのが好ましく、20nm以上、300nm以下程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子同士の凝集や、分散媒7中における沈降を確実に防止して、分散媒7中に分散させることができ、その結果、表示装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態のように、2種の異なる粒子を用いる場合、2種の粒子の平均粒径を異ならせること、特に、白色粒子5A、5B、5Cの平均粒径を赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6Cの平均粒径より大きく設定するのが好ましい。これにより、表示装置20の表示コントラストをより向上させることや、保持特性を向上させることができる。具体的には、赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6Cの平均粒径を20nm以上、100nm以下程度、白色粒子5A、5B、5Cの平均粒径を150nm以上、300nm以下程度とするのが好ましい。
【0038】
また、電気泳動粒子の比重は、分散媒7の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子は、電極3、4間への電圧の印加を停止した後においても、分散媒7中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、表示装置20にメモリー性を付与することができ、表示された情報が長時間保持されることとなる。
【0039】
2.表示装置の駆動方法(本発明の駆動方法)
このような表示装置20は、次のようにして駆動する。
表示装置20の第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。この電界に従って、電気泳動粒子(白色粒子5A、5B、5C、赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6C)は、電極3、4のいずれかに向かって移動(電気泳動)する。以下、白色粒子5A、5B、5Cとして正荷電を有するものを用い、赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6Cとして負荷電のものを用いた場合について代表して説明する。
【0040】
また、第1のセル410A、第2のセル410Bおよび第3のセル410Cのうちの第1のセル410Aについて代表して説明し、第2のセル410Bおよび第3のセル410Cについては、その説明を省略する。また、以下では、白色粒子5Aと赤色粒子6Aの移動速度(所定の電界を印加したときの分散媒中における粒子の単位時間当たりの移動距離)は、等しいものとする。また、以下では、所定温度下(例えば室温下)での駆動について説明する。また、第2の電極4は、接地状態(0V)となっているものとする。
【0041】
第1のセル410Aは、図4(a)に示す白色表示状態(第1の色表示状態)と、(b)に示す赤色表示状態(第2の色表示状態)と、(c)に示す黒色表示状態(第3の色表示状態)とになることができる。白色表示状態は、白色粒子5Aが第2の電極4側に偏在する状態であり、赤色表示状態は、赤色粒子6Aが第2の電極4側に偏在する状態であり、黒色表示状態は、赤色粒子6Aが分散液7A中で分散した状態である。黒色表示状態では、白色粒子5Aが第1の電極3側に偏在する状態が好ましい。
表示装置20では、回路基板(制御装置)22に形成された回路によって、少なくとも、白色表示状態と赤色表示状態との切り替え、赤色表示状態と黒色表示状態との切り替え、黒色表示状態と白色表示状態との切り替えを行うことができる。以下、これら切り替えについて説明する。
【0042】
−白色表示状態と赤色表示状態との切り替え−
赤色表示状態から白色表示状態へ切り替える場合は、赤色表示状態のときに第1の電極3に図5(a)に示す電圧V1を印加する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aは、第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在し、赤色粒子6Aは、第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在する。これにより白色表示状態となり、表示面121に白色が表示される。
なお、本願明細書において、「偏在」とは、複数の白色粒子5A(赤色粒子6Aについても同様である。)が、第1のセル410の内壁や他の粒子と接触することによって、実質的に直前の移動方向への移動ができない状態で集まっていることを言う(以下、同様である)。
【0043】
反対に、白色表示状態から赤色表示状態へ切り替える場合は、白色表示状態のときに第1の電極3に図5(b)に示す電圧V2を印加する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aは、第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在し、赤色粒子6Aは、第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在する。これにより赤色表示状態となり、表示面121に赤色が生じされる。
【0044】
電圧V1は、プラス(+)の電圧であり、矩形状の波形をなし、大きさが経時的に一定である。電圧V1の大きさは、特に限定されないが、本実施形態では+15Vに設定されている。また、第1の電極3への電圧V1の印加時間は、第1のセル410A内で白色粒子5Aを第2の電極4側から第1の電極3側へ移動させる(すなわち、第1のセル410Aの厚さと等しい距離を移動させる)ことができれば、特に限定されないが、白色粒子5Aが第2の電極4側から第1の電極3側へ移動するのに必要な時間(すなわち、第1のセル410Aの厚さと等しい距離を移動するのに必要な時間)とほぼ等しいか、または、若干長いのが好ましい。これにより、第1の電極3への過度な電圧印加が防止され、電圧印加時間を最適化することができる。さらに、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの第1のセル410Aの内壁への焼き付きを防止または抑制することができる。
一方、電圧V2は、極性が異なる以外は電圧V1と同じである。すなわち、電圧V2は、マイナス(−)の電圧であり、矩形状の波形をなし、大きさが経時的に一定である。また、電圧V2の大きさは、本実施形態では(−)15Vである。また、第1の電極3への電圧V2の印加時間は、電圧V1の印加時間と同じである。
【0045】
−赤色表示状態と黒色表示状態との切り替え−
赤色表示状態から黒色表示状態へ切り替える場合は、赤色表示状態のときに第1の電極3に図5(c)に示す電圧V3を印加する。電圧V3は、矩形状の波形をなし、電圧の大きさが経時的に一定である。また、第1の電極3への電圧V3の印加時間は、電圧V1の印加時間と同じである。
【0046】
また、電圧V3の大きさ(絶対値)は、電圧V1の大きさ(絶対値)よりも低く、電圧V1の大きさ(絶対値)の1/4以上、1/2以下程度であるのが好ましい。言い換えれば、電圧V3を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界の強さは、電圧V1を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界の強さの1/4以上、1/2以下程度であるのが好ましい。これにより、後述するように、より反射率の低い黒色が表示された黒色表示状態とすることができる。なお、本実施形態では、電圧V3の大きさは、(+)5Vに設定されている。
このような電圧V3を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが第1の電極3側から第2の電極4側に移動すると共に、赤色粒子6Aが第2の電極4側から第1の電極3側へ移動する。
【0047】
しかしながら、前述のように、電圧V3の大きさ(絶対値)が電圧V1と比較して小さいため、電圧V3を電圧V1と等しい時間印加しても、白色粒子5Aは第2の電極4に到達せず、同様に赤色粒子6Aも第1の電極3に到達しない。その結果、図4(c)に示すように、第1のセル410A中の第2の電極4側にて、赤色粒子6Aが分散すると共に、その下側(第1の電極3側)にて、白色粒子5Aが分散した状態となる。これにより、黒色表示状態となり、表示面121に赤色粒子6Aの色と分散媒7Aの色との混合色である黒色が表示される。
なお、本願明細書において、「分散」とは、複数の白色粒子5A(赤色粒子6Aについても同様)が、第1のセル410A内でそれぞれ離間しながら、すなわち直前の移動方向への移動が可能な状態で、実質的に均一に散らばっていること言う。
【0048】
ここで、第1の電極3への電圧印加時間が同じ場合の、印加電圧の大きさと粒子(白色粒子5Aおよび赤色粒子6A)の移動距離との関係を図6(a)、(b)に示す。図6(a)から分かるように、電圧印加時間が同じ場合、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの移動距離は、電圧の大きさ(絶対値)に比例する。
このような性質を利用して、電圧V3の大きさを電圧V1の1/3程度とすることにより、黒色表示状態のときに、赤色粒子6Aを第2の電極4から、第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散させることができ、白色粒子5Aを第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散させることができる。そのため、表示面121側から第1のセル410Aを見たときに、赤色粒子6Aによって白色粒子5Aを効果的に覆い隠すことができるので、より反射率の低い黒色を表示することができる。
【0049】
反対に、黒色表示状態から赤色表示状態へ切り替える場合は、黒色表示状態のときに第1の電極3に図5(d)に示す電圧V4を印加する。電圧V4は、極性が異なる以外は電圧V3と同じである。すなわち、電圧V4は、マイナス(−)の電圧であり、矩形状の波形をなし、大きさが経時的に一定である。また、電圧V4の大きさは、本実施形態では(−)5Vである。また、第1の電極3への電圧V4の印加時間は、電圧V1の印加時間と等しい。
【0050】
このような電圧V4を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが分散状態から第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在し、赤色粒子6Aが分散状態から第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在する。これにより、赤色表示状態となり、表示面121に赤色が表示される。
【0051】
ここで、電圧V4の大きさを電圧V2の大きさの1/3程度とすることにより、第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散している赤色粒子6Aを、第2の電極4側に第1のセル410Aの厚さの1/3程度移動させることができ、同様に、第1の電極3から第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散している白色粒子5Aを、第1の電極3側に第1のセル410Aの厚さの1/3程度移動させることができる。そのため、過度な電圧印加を防止しつつ、黒色表示状態から赤色表示状態へ切り替えることができる。
【0052】
−黒色表示状態と白色表示状態との切り替え−
白色表示状態から黒色表示状態へ切り替える場合は、白色表示状態のときに、第1の電極3に図5(e)に示す電圧V5を印加する。電圧V5は、矩形状の波形をなし、電圧の大きさが経時的に一定である。また、第1の電極3への電圧V3の印加時間は、電圧V1の印加時間と等しい。
【0053】
また、電圧V5の大きさ(絶対値)は、電圧V1の大きさ(絶対値)よりも低く、電圧V3の大きさ(絶対値)よりも高い。具体的には、電圧V5の大きさ(絶対値)は、電圧V1の大きさ(絶対値)の1/2以上、3/4以下程度であるのが好ましい。言い換えれば、電圧V5を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界の強さは、電圧V1を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界の強さの1/2以上、3/4以下程度であるのが好ましい。これにより、後述するように、より反射率の低い黒色が表示された黒色表示状態とすることができる。なお、本実施形態では、電圧V5の大きさは、(−)10Vに設定されている。
このような電圧V5を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが第2の電極4側から第1の電極3側に移動すると共に、赤色粒子6Aが第1の電極3側から第2の電極4側へ移動する。
【0054】
しかしながら、前述のように、電圧V5の大きさ(絶対値)が電圧V1と比較して小さいため、電圧V5を電圧V1と等しい時間印加しても、白色粒子5Aは第1の電極3に到達せず、同様に赤色粒子6Aも第2の電極4に到達しない。その結果、図4(c)に示すように、第1のセル410A中の第2の電極4側にて、赤色粒子6Aが分散すると共に、その下側(第1の電極3側)にて、白色粒子5Aが分散した状態となる。これにより、黒色表示状態となり、表示面121に黒色が表示される。
【0055】
ここで、図6(b)から分かるように、電圧V5の大きさを電圧V1の2/3程度とすることにより、黒色表示状態のときに、赤色粒子6Aを第2の電極4から、第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散させることができ、白色粒子5Aを第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散させることができる。そのため、表示面121側から第1のセル410Aを見たときに、赤色粒子6Aによって白色粒子5Aを効果的に覆い隠すことができるので、より反射率の低い黒色を表示することができる。また、赤色表示状態から黒色表示状態した場合と同じ色(反射率のほぼ等しい黒色)とすることができるため、表示ムラのない鮮明な画像を表示することができる。
【0056】
反対に、黒色表示状態から白色表示状態へ切り替える場合には、黒色表示状態のときに第1の電極3に図5(f)に示す電圧V6を印加する。電圧V6は、極性が異なる以外は電圧V5と同じである。すなわち、電圧V5は、(+)の電圧であり、矩形状の波形をなし、大きさが経時的に一定である。また、第1の電極3への電圧V4の印加時間は、電圧V1の印加時間と等しい。本実施形態では、電圧V6の大きさは(+)10Vに設定されている。
【0057】
このような電圧V6を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが分散状態から第2の電極4側に移動して第2の電極4側に偏在し、赤色粒子6Aは、分散状態から第1の電極3側に移動して第1の電極3側に偏在する。これにより、白色表示状態となり、表示面121に白色が表示される。
【0058】
ここで、電圧V6の大きさを電圧V1の大きさの2/3程度とすることにより、第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散している白色粒子5Aを、第2の電極4側に第1のセル410Aの厚さの2/3程度移動させることができ、同様に、第1の電極3から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散している赤色粒子6Aを、第1の電極3側に第1のセル410Aの厚さの2/3程度移動させることができる。そのため、過度な電圧印加を防止しつつ、黒色表示状態から白色表示状態へ切り替えることができる。
【0059】
以上、第1のセル410Aを用いて表示装置20の駆動方法について詳細に説明した。このような駆動方法によれば、第1のセル410Aの直前の状態に応じて第1の電極3に印加する電圧パターンを選択しているため、より効率的に表示状態を切り替えることができる。その結果、省電力駆動が可能となると共に、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの第1のセル410Aの内壁への焼き付き等を効果的に防止または抑制することができる。
特に、本実施形態では、白色粒子5Aと赤色粒子6Aの移動度を等しく設定しているため、白色粒子5Aと赤色粒子6Aの移動を第1のセル410Aの厚さ方向に対称的に制御することができるため、より簡単かつ確実に、各色の表示状態とすることができる。
【0060】
なお、白色表示状態、赤色表示状態および黒色表示状態のいずれの表示状態とする場合でも、直前の第1のセル410Aの表示状態が同じ場合(例えば、白色表示状態から白色表示状態にする場合)には、第1の電極3に前述したような電圧を印加しなくてもよい。これにより、省電力駆動を実現することができるとともに、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの焼き付きを防止することができる。
また、図6(a)(b)に示すように、電圧V1〜V6は、いずれも、白色粒子5Aおよび赤色粒子6Aが泳動をするのに必要な電圧(電界)の大きさの閾値(Vmin)よりも高く設定されている。
【0061】
次いで、1つの画素Pixにおける色表示について説明する。上述した第1のセル410Aと同様に、第2のセル410Bでも、白色表示状態(第1の色表示状態)と、緑色表示状態(第2の色表示状態)と、黒色表示状態(第3の色表示状態)とを選択することができる。また、第3のセル410Cでも、白色表示状態(第1の色表示状態)と、青色表示状態(第2の色表示状態)と、黒色表示状態(第3の色表示状態)とを選択することができる。
【0062】
そのため、1つの画素Pixでは、各セル410A、410B、410Cの表示状態を独立して制御(選択)することにより、フルカラー表示を行うことができる。例えば、(第1のセル410A/第2のセル410B/第3のセル410C)を(赤色表示状態/緑色表示状態/白色表示状態)とすれば、赤色と緑色の混色を表示することができ、(白色表示状態/緑色表示状態/青色表示状態)とすれば、緑色と青色の混色を表示することができる。さらに、画素Pix毎に、表示色を選択することにより、表示面121にフルカラーの画像を表示することができる。
【0063】
<第2実施形態>
図7は、図1に示す表示装置の第1の電極に印加する電圧を示す図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる表示装置(表示シートの駆動方法、制御装置)は、第1のセル410Aに印加する電圧のパターンが異なる以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の表示装置は、第1実施形態の表示装置20と同様の構成である。そのため、表示装置20の駆動方法について、以下、第1のセル410Aを代表して説明する。
【0064】
−白色表示状態と赤色表示状態との切り替え−
赤色表示状態から白色表示状態へ切り替える場合は、赤色表示状態のときに第1の電極3に図7(a)に示す電圧V1’を印加する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aは、第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在し、赤色粒子6Aは、第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在する。これにより白色表示状態となり、表示面121に白色が表示される。
【0065】
反対に、白色表示状態から赤色表示状態へ切り替える場合は、白色表示状態のときに第1の電極3に図7(b)に示す電圧V2’を印加する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aは、第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在し、赤色粒子6Aは、第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在する。これにより赤色表示状態となり、表示面121に赤色が表示される。
【0066】
電圧V1’は、プラス(+)の電圧であり、大きさが経時的に変化する矩形状のパルス波である。電圧V1’の大きさは、特に限定されないが、本実施形態では+15Vである。また、第1の電極3への電圧V1’の印加時間(パルス波の印加数)は、第1のセル410内で白色粒子5Aを第2の電極4側から第1の電極3側へ移動させることができれば、特に限定されないが、白色粒子5Aが第2の電極4側から第1の電極3側へ移動するのに必要な時間(すなわち、第1のセル410の厚さと等しい距離を移動するのに必要な時間)とほぼ等しいか、または、若干長いのが好ましい。これにより、第1の電極3への過度な電圧印加が防止され、電圧印加時間を最適化することができる。
一方、電圧V2’は、極性が異なる以外は電圧V1’と同じである。すなわち、電圧V2’は、マイナス(−)の電圧であり、大きさが経時的に変化する矩形状のパルス波である。また、電圧V2’の大きさは、本実施形態では(−)15Vである。また、第1の電極3への電圧V2’の印加時間は、電圧V1’の印加時間と等しい。
【0067】
−赤色表示状態と黒色表示状態との切り替え−
赤色表示状態から黒色表示状態へ切り替える場合は、赤色表示状態のときに第1の電極3に図7(c)に示す電圧V3’を印加する。電圧V3’は、電圧V1’と同じ波形(大きさおよび周期)を有するパルス波である。
電圧V3’の第1の電極3への印加時間は、電圧V1’の第1の電極3への印加時間よりも短い。具体的には、電圧V3’の印加時間(すなわち、印加されるパルス波の数)は、電圧V1’の印加時間の1/4以上、1/2以下程度であるのが好ましい。言い換えれば、電圧V3’を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界が作用する時間は、電圧V1’を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界が作用する時間の1/4以上、1/2以下程度であるのが好ましい。これにより、後述するように、より反射率の低い黒色が表示された黒色表示状態とすることができる。本実施形態では、電圧V3’の印加時間は、電圧V1’の1/3程度に設定されている。
このような電圧V3’を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが第1の電極3側から第2の電極4側に移動すると共に、赤色粒子6Aが第2の電極4側から第1の電極3側へ移動する。
【0068】
しかしながら、前述のように、電圧V3’の印加時間が電圧V1’と比較して短いため、白色粒子5Aは、第2の電極4に到達せず、同様に赤色粒子6Aも第1の電極3に到達しない。その結果、図4(c)に示すように、第1のセル410A中の第2の電極4側にて、赤色粒子6Aが分散すると共に、その下側(第1の電極3側)にて、白色粒子5Aが分散した状態となる。これにより、黒色表示状態となり、表示面121に黒色が表示される。
【0069】
ここで、第1の電極3へ印加する電圧が同じ場合、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの移動距離は、電圧印加時間に比例する。このような性質を利用して、電圧V3’の印加時間を電圧V1’の1/3程度とすることにより、黒色表示状態のときに、赤色粒子6Aを第2の電極4から、第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散させることができ、白色粒子5Aを第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散させることができる。そのため、表示面121側から第1のセル410Aを見たときに、赤色粒子6Aによって白色粒子5Aを効果的に覆い隠すことができるので、より反射率の低い黒色を表示することができる。
反対に、黒色表示状態から赤色表示状態へ切り替える場合は、黒色表示状態のときに第1の電極3に図7(d)に示す電圧V4’を印加する。電圧V4’は、電圧V2’と同じ波形(大きさおよび周期)を有するパルス波である。また、電圧V4’の第1の電極3への印加時間は、電圧V3’と同じでる。
【0070】
このような電圧V4’を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが分散状態から第1の電極3側に移動して第1の電極3に偏在し、赤色粒子6Aが分散状態から第2の電極4側に移動して第2の電極4に偏在する。これにより、赤色表示状態となり、表示面121に赤色が生じされる。
【0071】
電圧V4’の印加時間を電圧V2’の大きさの1/3程度とすることにより、第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散している赤色粒子6Aを、第2の電極4側に第1のセル410Aの厚さの1/3程度移動させることができ、同様に、第1の電極3から第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散している白色粒子5Aを、第1の電極3側に第1のセル410Aの厚さの1/3程度移動させることができる。そのため、過度な電圧印加を防止しつつ、黒色表示状態から赤色表示状態へ切り替えることができる。
【0072】
−黒色表示状態と白色表示状態との切り替え−
白色表示状態から黒色表示状態へ切り替える場合は、白色表示状態のときに、第1の電極3に図7(e)に示す電圧V5’を印加する。電圧V5’は、電圧V2’と同じ波形(大きさおよび周期)を有するパルス波である。
電圧V5’の第1の電極3への印加時間は、電圧V2’の印加時間よりも短く、電圧V4’の印加時間よりも長い。具体的には、電圧V5’の印加時間(すなわち、印加されるパルス波の数)は、電圧V2’の印加時間の1/2以上、3/4以下程度であるのが好ましい。言い換えれば、電圧V5’を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界が作用する時間は、電圧V2’を第1の電極3に印加することにより第1の電極3と第2の電極4との間に発生する電界が作用する時間の1/2以上、3/4以下程度であるのが好ましい。これにより、後述するように、より反射率の低い黒色が表示された黒色表示状態とすることができる。本実施形態では、電圧V5’の印加時間は、電圧V2’の2/3程度に設定されている。
このような電圧V5’を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して低電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが第2の電極4側から第1の電極3側に移動すると共に、赤色粒子6Aが第1の電極3側から第2の電極4側へ移動する。
【0073】
しかしながら、前述のように、電圧V5’の印加時間が電圧V2’と比較して短いため、電圧V2’と同じ波形の電圧V5’を印加しても、白色粒子5Aは第1の電極3に到達せず、同様に赤色粒子6Aも第2の電極4に到達しない。その結果、図4(c)に示すように、第1のセル410A中の第2の電極4側にて、赤色粒子6Aが分散すると共に、その下側(第1の電極3側)にて、白色粒子5Aが分散した状態となる。これにより、黒色表示状態となり、表示面121に黒色が表示される。
【0074】
電圧V5’の大きさを電圧V2’の2/3程度とすることにより、黒色表示状態のときに、赤色粒子6Aを第2の電極4から、第1のセル410Aの厚さの1/3程度離間した位置付近で分散させることができ、白色粒子5Aを第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散させることができる。そのため、表示面121側から第1のセル410Aを見たときに、赤色粒子6Aによって白色粒子5Aを効果的に覆い隠すことができるので、より反射率の低い黒色を表示することができる。また、赤色表示状態から黒色表示状態した場合と同じ色(反射率のほぼ等しい黒色)とすることができるため、表示ムラのない鮮明な画像を表示することができる。
反対に、黒色表示状態から白色表示状態へ切り替える場合には、黒色表示状態のときに第1の電極3に図7(f)に示す電圧V6’を印加する。電圧V6’は、電圧V1’と同じ波形(大きさおよび周期)を有するパルス波である。また、電圧V6’の第1の電極3への印加時間は、電圧V5’と同じでる。
【0075】
このような電圧V6’を第1の電極3に印加すると、第1の電極3と第2の電極4との間に、第1の電極3側が第2の電極4側に対して高電位となる電界が生じる。この電界の作用によって、白色粒子5Aが分散状態から第2の電極4側に移動して第2の電極4側に偏在し、赤色粒子6Aは、分散状態から第1の電極3側に移動して第1の電極3側に偏在する。これにより、白色表示状態となり、表示面121に白色が表示される。
【0076】
ここで、電圧V6’の印加時間を電圧V1’の印加時間の2/3程度とすることにより、第2の電極4から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散している白色粒子5Aを、第2の電極4側に第1のセル410Aの厚さの2/3程度移動させることができ、同様に、第1の電極3から第1のセル410Aの厚さの2/3程度離間した位置付近で分散している赤色粒子6Aを、第1の電極3側に第1のセル410Aの厚さの2/3程度移動させることができる。そのため、過度な電圧印加を防止しつつ、黒色表示状態から白色表示状態へ切り替えることができる。
【0077】
以上、第1のセル410Aを用いて表示装置20の駆動方法について詳細に説明した。このような駆動方法によれば、第1のセル410Aの直前の状態に応じて第1の電極3に印加する電圧パターンを選択しているため、より効率的に表示状態を切り替えることができる。その結果、省電力駆動が可能となると共に、白色粒子5Aや赤色粒子6Aの第1のセル410Aの内壁への焼き付き等を効果的に防止または抑制することができる。
また、本実施形態では、電圧印加時間を制御することにより、上記の駆動を実現しているが、これによれば、例えば第1実施形態のような電圧の大きさを制御する駆動方法に対して制御装置の簡易化を図ることができる。具体的には、第1実施形態のような電圧の大きさを制御する場合には、昇圧回路等を設ける必要があるが、本実施形態では、そのような回路を設ける必要がないため、装置構成が簡単となる。
【0078】
<第3実施形態>
図8は、表示装置の黒色表示状態を示す断面図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる表示装置(表示シートの駆動方法、制御装置)は、白色粒子5A、5B、5Cの移動度が、赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6Cの移動度とよりも大きいこと以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の表示装置は、第1実施形態の表示装置20と同様の構成である。そのため、以下では、表示装置20の駆動方法について、第1のセル410Aを代表して説明する。
【0079】
白色粒子5Aの移動度(泳動速度)は、赤色粒子6Aの移動度よりも大きく設定されている。具体的には、白色粒子5Aの移動度は、赤色粒子6Aの移動度の2倍以上とするのが好ましい。これにより、白色表示状態から黒色表示状態へ切り替えることにより、より低い反射率の黒色を表示することができる。
具体的には、白色表示状態から、赤色粒子6Aを第1の電極3側から第2の電極4側へ移動させ、赤色粒子6Aが第1のセル410A中の第2の電極4側にて分散する状態としたときには、図8(a)に示すように、すでに白色粒子5Aは、第2の電極4側から第1の電極3側に移動し、第1の電極3に集まっている。これにより、赤色粒子6Aの色と分散媒7Aの色との混合色である黒色に、白色粒子5Aの色がさらに混合されるのをより効果的に防止できる。そのため、黒色表示状態にて、より反射率の低い黒色を表示することができる。
【0080】
一方、赤色表示状態から黒色表示状態へ切り替えようとし、赤色粒子6Aを第2の電極4側から第1の電極3側へ移動させ、赤色粒子6Aが第1のセル410A中の第2の電極4側にて分散する状態としたときには、図8(b)に示すように、白色粒子5Aは、すでに第2の電極4側へ到達しており、赤色粒子6Aの色と分散媒7Aの色との混合色である黒色に、白色粒子5Aの色がさらに混合され、反射率の低い黒色を表示することができないおそれがある。
そこで、本実施形態では、赤色表示状態から黒色表示状態へ切りかえる際は、一旦、白色表示状態を経由する、すなわち、赤色表示状態から白色表示状態した後、黒色表示状態とするように駆動するのが好ましい。これにより、より反射率の低い黒色を表示することができるため、高いコントラストを発揮することができる。
【0081】
<第4実施形態>
図9は、表示装置の黒色表示状態を示す断面図である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる表示装置(表示シートの駆動方法、制御装置)は、白色粒子5A、5B、5Cの移動度が、赤色粒子6A、緑色粒子6B、青色粒子6Cの移動度とよりも大きいこと以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の表示装置は、第1実施形態の表示装置20と同様の構成である。そのため、以下では、表示装置20の駆動方法について、第1のセル410Aを代表して説明する。
【0082】
白色粒子5Aの移動度(泳動速度)は、赤色粒子6Aの移動度よりも低く設定されている。具体的には、白色粒子5Aの移動度は、赤色粒子6Aの移動度の1/2以下に設定されている。これにより、赤色表示状態から黒色表示状態へ切り替えることにより、より低い反射率の黒色を表示することができる。
具体的には、赤色表示状態から、赤色粒子6Aを第2の電極4側から第1の電極3側へ移動させ、赤色粒子6Aが第1のセル410A中の第2の電極4側にて分散する状態としたとき、図9(a)に示すように、白色粒子5Aは、未だ、第1の電極3側に集まっている。これにより、赤色粒子6Aの色と分散媒7Aの色との混合色である黒色に、白色粒子5Aの色がさらに混合されるのをより効果的に防止できる。そのため、黒色表示状態にて、より反射率の低い黒色を表示することができる。
【0083】
一方、白色表示状態から黒色表示状態へ切り替えようとし、赤色粒子6Aを第1の電極3側から第2の電極4側へ移動させ、赤色粒子6Aが第1のセル410A中の第2の電極4側にて分散する状態としたときには、図9(b)に示すように、白色粒子5Aは、未だ第2の電極4側に集まっており、赤色粒子6Aの色と分散媒7Aの色との混合色である黒色に、白色粒子5Aの色がさらに混合され、反射率の低い黒色を表示することができないおそれがある。
そこで、本実施形態では、白色表示状態から黒色表示状態へ切りかえる際は、一旦、赤色表示状態を経由する、すなわち、白色表示状態から赤色表示状態した後、黒色表示状態とするように駆動するのが好ましい。これにより、より反射率の低い黒色を表示することができるため、高いコントラストを発揮することができる。
【0084】
<第5実施形態>
図10は、本発明の表示装置の第5実施形態を示す断面図である。
以下、第5実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる表示装置は、表示シートと制御装置とが別体として形成されている以外は、第1実施形態の表示装置と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0085】
図10に示すように、表示装置20Aは、表示シート21Aと、制御装置22Aとを有している。表示シート21Aは、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた第2の電極4とを備える基板12と、平板状の基部81と基部81の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える基板8と、基板12、8の間に設けられた表示層400とを有している。基部81には、図示しない回路が設けられており、前記回路は、例えば、各第1の電極3に対応して設けられた複数のTFTと、これに対応して形成された複数のゲート線および複数のデータ線と、ゲート線に所定の電圧を印加するゲートドライバーと、データ線に所定の電圧を印加するデータドライバーとを有している。
【0086】
制御装置22Aは、表示シート21Aに接続して使用され、表示シート21Aが有するゲートドライバーおよびデータドライバーの駆動を制御する。このような制御装置22Aは、CPU221Aと、表示シートコントローラー222Aと、駆動波形生成部223Aとを有している。表示シートコントローラー222Aは、駆動波形生成部223Aで生成された電圧(波形、印加時間、電圧値等)が所定のゲート線およびデータ線に印加されるように、ゲートドラーバーおよびデータドライバーの駆動を制御する。また、CPU221Aは、表示シートコントローラー222Aの駆動を制御する。
このような構成によれば、表示シート21Aと別体として構成された制御装置22Aによって、表示シート21Aに所望の画像を表示することができる。
【0087】
以上説明したような表示装置20は、それぞれ、各種電子機器に組み込むことができる。電気泳動表示装置を備える本発明の電子機器としては、例えば、電子ペーパー、電子ブック、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
【0088】
これらの電子機器のうちから、電子ペーパーを例に挙げ、具体的に説明する。
図11は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図11に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような表示装置20で構成されている。
【0089】
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図12は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図12中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図12に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図11に示す構成と同様である。
【0090】
本体部801は、その側部(図12(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
【0091】
また、本体部801の表示面側(図12(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
【0092】
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図12(a)中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。これにより、利便性が向上する。
【0093】
以上、本発明の表示シートの駆動方法、制御装置、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した第1実施形態では、電圧の大きさを制御することにより、各表示状態を切り替え、前述した第2実施形態では、電圧の印加時間を制御することにより、各表示状態を切り替える構成を説明したが、これらを組み合わせてもよい。
【0094】
例えば、第1のセルにおいて、白色表示状態と赤色表示状態とを切り替えるために第1の電極に印加する電圧と、白色表示状態と黒色表示状態とを切り替えるために第1の電極に印加する電圧および赤色表示状態と黒色表示状態とを切り替えるために第1の電極に作用させる電圧の方が大きさ(絶対値)が小さくかつ印加時間が短くなるように設定してもよい。これにより、より緻密な制御が可能となり、より高品質な画像を表示することができる。
【0095】
また、前述した実施形態では、1つの画素が3つのセルで構成され、フルカラー表示が可能な構成について説明したが、1つの画素が1つのセルで構成されていてもよい。すなわち、白色、黒色、その他1色の色(第2の粒子の色)の3色表示が可能な表示装置であってもよい。
また、前述した実施形態では、第1のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、赤色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをシアン色をなす分散媒に分散したものを用い、第2のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、緑色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをマゼンタ色をなす分散媒に分散したものを用い、第3のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、青色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをイエロー色をなす分散媒に分散したものを用いた構成について説明したが、これに限定されない。すなわち、第1のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、シアン色をなす赤色粒子(第2の粒子)とを赤色をなす分散媒に分散したものを用い、第2のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、マゼンタ色をなす赤色粒子(第2の粒子)とを緑色をなす分散媒に分散したものを用い、第3のセルに充填された分散液として、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、イエロー色をなす赤色粒子(第2の粒子)とを青色をなす分散媒に分散したものを用いた構成としてもよい。これによっても、フルカラー表示が可能な表示装置を得ることができる。
【0096】
また、前述した実施形態では、分散液がセルに充填された構成(いわゆる隔壁型)の表示装置について説明したが、これに限定されず、例えば、分散液が封入されたマイクロカプセルを配列して構成されるマイクロカプセル型の表示装置であってもよい。マイクロカプセル型の表示装置は、例えば、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、赤色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをシアン色をなす分散媒に分散した分散液を封入する第1のマイクロカプセルと、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、緑色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをマゼンタ色をなす分散媒に分散した分散液を封入する第2のマイクロカプセルと、白色をなす白色粒子(第1の粒子)と、青色をなす赤色粒子(第2の粒子)とをイエロー色をなす分散媒に分散した分散液を封入する第3のマイクロカプセルを用意し、これらを定められた領域に、例えばインクジェット法によって塗布することにより得ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1‥‥基部 2‥‥基部 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 5‥‥第1の粒子 5A、5B、5C‥‥白色粒子 6‥‥第2の粒子 6A‥‥赤色粒子 6B‥‥緑色粒子 6C‥‥青色粒子 7、7A、7B、7C‥‥分散媒 8‥‥基板 81‥‥基部 100、100A、100B、100C‥‥分散液 11‥‥対向基板 12‥‥基板 121‥‥表示面 20、20A‥‥表示装置 21、21A‥‥表示シート 22、22A‥‥回路基板 221A‥‥CPU 222A‥‥表示シートコントローラー 223A‥‥駆動波形生成部 400‥‥表示層 401‥‥基体 401a‥‥凹部 402‥‥蓋体 410‥‥セル 410A‥‥第1のセル 410B‥‥第2のセル 410C‥‥第3のセル 600……電子ペーパー 601……本体 602……表示ユニット 800……ディスプレイ 801……本体部 802a、802b……搬送ローラ対 803……孔部 804……透明ガラス板 805……挿入口 806……端子部 807……ソケット 808……コントローラー 809……操作部 V1〜V6、V1’〜V6’‥‥電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有する表示シートの駆動方法であって、
前記表示シートは、前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができ、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする表示シートの駆動方法。
【請求項2】
前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする表示シートの駆動方法。
【請求項3】
前記第1の粒子の前記分散媒中の移動度と前記第2の粒子の前記分散媒中の移動度とが異なっている請求項2に記載の表示シートの駆動方法。
【請求項4】
前記第1の粒子の前記分散媒中の移動度は、前記第2の粒子の前記分散媒中の移動度と等しい請求項2に記載の表示シートの駆動方法。
【請求項5】
前記第1の色表示状態から前記第3の色表示状態へ切り替えるときは、前記第2の色表示状態を経由する請求項1ないし4のいずれかに記載の表示シートの駆動方法。
【請求項6】
前記第2の色表示状態から前記第3の色表示状態へ切り替えるときは、前記第1の色表示状態を経由する請求項1ないし4のいずれかに記載の表示シートの駆動方法。
【請求項7】
白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有し、前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができる表示シートの駆動を制御する制御装置であって、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすように前記表示シートの駆動を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
白色をなし正または負に帯電する第1の粒子と前記第1の粒子と異なる色をなし前記第1の粒子と反対の極に帯電する第2の粒子とを、前記第2の粒子の色と補色の関係にある色の分散媒に分散してなる分散液が充填された表示層を有し、
前記表示層へ電界を作用させることにより、前記第1の粒子を前記表示層の一方側に設けられた表示面側に偏在させて前記表示面に前記第1の粒子の色を表示する第1の色表示状態、前記第2の粒子を前記表示層の前記表示面側に偏在させて前記表示面に前記第2の粒子の色を表示する第2の色表示状態および前記分散媒中に前記第2の粒子を分散させて前記表示面に前記第2の粒子と前記分散媒の混合色を表示する第3の色表示状態のうちのいずれか1つの状態をとることができ、
前記第1の色表示状態と前記第2の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界よりも、前記第1の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界および前記第2の色表示状態と前記第3の色表示状態とを切り替えるために前記表示層に作用させる電界の大きさが小さいか作用時間が短いかの少なくとも一方を満たすことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−83386(P2012−83386A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226921(P2010−226921)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】