説明

表示モジュール及び電子機器

【課題】表示モジュールの筐体から導出されるFPC基板において、スルーホールの形成
領域や電気部品の搭載領域など、FPC基板の屈曲によって損傷し易い領域を、筐体のF
PC基板の出口開口近傍に形成できるようにした、表示モジュール及び電子機器を提供す
ること。
【解決手段】表示パネル11と、FPC基板18と、表示パネル11及びFPC基板18
を収納する筐体を有し、FPC基板18は底ケース19に設けられた出口開口19fから
導出される導出部18bを有する表示モジュールであって、底ケース19とFPC基板1
8との間に曲げ抑制部材20が配置され、曲げ抑制部材20は底ケース19に設けられた
出口開口19fを狭くするように出口開口19fに延出されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示モジュール及びこの表示モジュールを使用した電子機器に関し、詳しく
は、フレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC基板」という。)が導出される筐体
の出口開口部分に曲げ抑制部材を設けることによって、FPC基板が折り曲げられた際に
もFPC基板に形成されたスルーホール等が損傷し難い表示モジュール及びこの表示モジ
ュールを使用した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置はCRT(陰極線管)と比較して軽量、薄型、低消費電力という特徴があ
るため、表示用として多くの電子機器に使用されている。液晶表示装置は、配向膜に対し
てラビング処理することにより、所定方向に整列された液晶分子の向きを電界により変え
て、液晶層を通過する光の量を変化させて画像を表示させるものである。液晶層に入射さ
せる光源には、反射型液晶表示装置における外光と透過型の液晶表示装置におけるバック
ライトがある。反射型の液晶表示装置は省電力及び強い外光下での視認性が高いという長
所があり、透過型の液晶表示装置は暗い環境での視認性が高いという長所がある。また、
その両方の性質を備えた半透過型の液晶表示装置も知られている。現在は、暗い環境でも
視認性が高いという長所のために、液晶表示装置としては透過型あるいは半透過型の液晶
表示装置が多く使用されている。
【0003】
このように透過型あるいは半透過型の液晶表示装置は、液晶パネルの背面にバックライ
トユニットを有している。そして、この液晶パネルとバックライトユニットを筐体に収納
した表示モジュールがモジュール製造工場で量産され、この表示モジュールが電子機器製
造工場で各種の電子機器に組み込まれている。この表示モジュールには、下記特許文献1
の図4に示されているように、液晶パネルとバックライトユニットが収納されているもの
や、下記特許文献2の図1に示されているように、筐体に表示制御回路基板も収納されて
いるものが知られている。この表示モジュールはFPC基板の延在部が筐体の出口開口か
ら導出されており、延在部の端子が電子機器と接続されて駆動電源の供給や表示データの
入力などが行われている。このFPC基板の出口開口は、下記特許文献1の図1、図3に
示されているように、筐体の側面に設けられる形態や、特許文献2の図1、図2に示され
ているように、筐体の底面に設けられる形態が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226965号公報
【特許文献2】特開2008−009229号公報
【特許文献3】特開2000−183526号公報
【特許文献4】特開2008−112663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示モジュールの筐体から導出されているFPC基板は、電子機器に接続される際に屈
曲したり、電子機器への設状態によっては屈曲した状態で接続したりするなど、屈曲する
ことが多い。そして通常筐体から導出されるFPC基板は、筐体の出口開口が屈曲の起点
となってします。またFPC基板は通常スルーホールを介しての積層構造となっており、
上記特許文献3に開示されるように、この屈曲によってFPC基板のスルーホールが損傷
したり、このスルーホールを起点として銅箔配線部分が損傷したりしてしまう。
【0006】
したがって、スルーホールやスルーホール周辺部は、FPC基板が屈曲されると損傷し
易いために、筐体の出口開口から遠ざけなければならず、スルーホールの形成領域に規制
が生じて設計に時間がかかったり、スルーホールの形成領域を筐体の出口開口から離れた
ところに形成するためにFPC基板を長くしたりしなければならないという問題点があっ
た。また、搭載部品の電気的な結合部分もFPC基板の屈曲によって損傷しやすく、この
形成領域も筐体の出口開口近傍に形成することができないという問題点があった。なお、
このような問題点は、液晶表示パネルを用いた表示モジュールのみではなく、上記特許文
献4に開示されているような有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどのフ
ラットパネルを用いた表示モジュールについても同様に生じる問題点である。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、表示モジュール
の筐体から導出されるFPC基板において、スルーホールの形成領域や電気部品の搭載領
域など、FPC基板の屈曲によって損傷し易い領域を、筐体のFPC基板の出口開口近傍
に形成できるようにした、表示モジュール及びこの表示モジュールを使用した電子機器を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の表示モジュールは、表示パネルと、フレキシブルプ
リント配線基板と、前記表示パネル及び前記フレキシブルプリント配線基板を収納する筐
体と、を有する表示モジュールであって、前記フレキシブルプリント配線基板は、前記筐
体に設けられた出口開口から導出される導出部を有しており、前記筐体には、前記出口開
口から延出する曲げ抑制部材が前記フレキシブルプリント配線基板の導出部と対向する位
置に設けられていることを特徴とする。
【0009】
FPC基板の導出部は、電子機器に接続する際ないし電子機器組み込む際に屈曲される
ことが多い。そして、FPC基板のスルーホールなどの電気的な接合部分や搭載部品が配
置されている部分は、屈曲によって損傷し易い。本発明の表示モジュールでは、FPC基
板の屈曲を規制する曲げ抑制部材を筐体に設けられた出口開口に配置し、FPC基板をこ
の出口開口から延出するようにしたので、FPC基板が屈曲しない領域あるいは屈曲し難
い領域を増加させることができる。これにより、本発明の表示モジュールによれば、FP
C基板のスルーホールや電気部品の搭載位置の設計の自由度を増加させて設計時間を短縮
することができ、また、FPC基板が大きくなることを防止することができるようになる

【0010】
また、従来FPC基板の導出部において、別体の補強板を貼り付けてこの補強板により
導出部での曲げを防止することで、補強板を貼り付けた部分にスルーホールを形成するこ
とも行われていたが、このような構成はFPC基板の導出部における厚みの増加や、貼り
付け加工によるFPC基板のコスト増加等の問題を有していた。しかしながら、本発明に
おいては、筐体自体に曲げ抑制部材を設けているので、FPC基板の導出部における厚み
の増加や、FPC基板のコスト増加等の問題も生じない。
また、ますます表示モジュールの小型、薄型化が進む中で、FPC基板も小型、薄型化
が進んでおり、本発明のような簡単な方法によりスルーホールの設計可能なエリアを拡大
できることは非常に重要である。
【0011】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記FPC基板にはスルーホールが形成さ
れており、前記スルーホールは前記FPC基板が前記曲げ抑制部材と対向する位置に形成
されていることが好ましい。
【0012】
FPC基板が導出される出口開口近傍では接続端子への配線の集結のために、スルーホ
ールが多く使用されている。本発明の表示モジュールによれば、スルーホールはFPC基
板が曲げ抑制部材と対向する位置に形成されているため、スルーホールが形成されている
位置のFPC基板は曲がり難くなっているので、スルーホールが損傷し難くなる。
【0013】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記曲げ抑制部材は、片持梁状に保持され
るように前記筐体の出口開口に設けられているが好ましい。
【0014】
本発明の表示モジュールによれば、曲げ抑制部材が片持梁状に保持されているので、よ
りFPC基板が小さな曲率半径にならないように屈曲を規制することができ、更にスルー
ホールが損傷し難くなる。
【0015】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記筐体は金属材料で形成されており、前
記曲げ抑制部材は絶縁材料からなるとともに、前記FPC基板と平面視で重畳するように
前記筐体に設けられていることが好ましい。
【0016】
表示モジュールの筐体が金属材料で形成されていると、高強度の筐体が得られると共に
高周波雑音の外部への漏洩を防止することができるようになるが、FPC基板にキズがつ
きやすくなり、FPC基板との間で短絡が生じ易くなる。本発明の表示モジュールによれ
ば、曲げ抑制部材が絶縁材料からなり、しかも、FPC基板の平面視で重畳するように形
成されているので、振動などによりFPC基板が筐体の開口の鋭利な切断面で損傷するこ
とを回避することができると共に、FPC基板と筐体との間の短絡も抑制される。
【0017】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記筐体には前記FPC基板に搭載される
電気部品との当接を回避する開口が設けられ、前記曲げ抑制部材は前記開口の周縁を覆う
ように形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の表示モジュールによれば、筐体の厚さが薄くても、筐体に形成された開口によ
ってFPC基板に形成された電気部品が筐体と接触することがなくなり、しかも、筐体の
開口の周縁は曲げ抑制部材が設けられているから、振動などによって電機部品が筐体の開
口に接触することが抑制される。
【0019】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記補強部材は曲げ弾性を有する材料から
なることが好ましい。
【0020】
補強部材が曲げ弾性部材からなっていると、補強部材によってよりFPC基板が小さな
曲率半径にならないように屈曲を規制することができる。そのため、本発明の表示モジュ
ールによれば、よりスルーホールが損傷し難くなる。
【0021】
また、本発明の表示モジュールにおいては、前記曲げ抑制部材はポリエチレンテレフタ
レートフィルムからなることが好ましい。
【0022】
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高強度であり、しかも、良好な電気絶縁性を
備えている。本発明の表示モジュールによれば、曲げ抑制部材として高強度、良電気絶縁
性のポリエチレンテレフタレートを用いているので、よりFPC基板がキズつき難くなる
と共に、FPC基板と筐体との間の短絡も抑制されるようになる。
【0023】
更に、上記目的を達成するため、本発明の電子機器は、請求項1から7のいずれか1つ
に記載の表示モジュールを有することを特徴とする。
【0024】
本発明の電子機器によれば、FPC基板のスルーホールや電気部品の搭載位置の設計の
自由度を増加させて設計時間を短縮することができ、また、FPC基板が大きくなること
を防止することができる表示モジュールを用いた電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る表示モジュールの分解斜視図である。
【図2】図2Aは第1実施形態に係る表示モジュールの外枠を外した状態の平面図であり、図2Bは図2Aの底面図である。
【図3】図3Aは図2AのIIIA−IIIA線に沿った断面図であり、図3Bは図2AのIIIB−IIIB線に沿った断面図である。
【図4】図4Aは第2実施形態に係る表示モジュールの外枠を外した状態の平面図であり、図4Bは図4AのIVB−IVB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態及び図面を参照して本発明を実施するための形態を説明するが、以下に
示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、
本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものに
も均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図
面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部
材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているも
のではない。
【0027】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の表示モジュール10を図1〜図3を用いて説明する。第1実施
形態の表示モジュール10は、透過型の液晶の表示パネル11と、表示パネル11の背面
に配設されるバックライト部12と、表示パネル11をバックライト部12とで挟んで収
納する外枠13を有している。図1及び図3Aに示すように、表示パネル11は液晶層1
4と、これを挟持するアレイ基板15とカラーフィルター基板16と、液晶が漏れないよ
うにするため液晶層14の周囲を囲むシール材17を有している。表示パネル11には、
外部のコントロール基板(図示せず)から映像信号等を受信すると共に、電源を供給する
ための駆動用の第1FPC基板18が接続されている。第1FPC基板18は、両面にパ
ターンが形成され、両面のパターン間を電気的に接続させるスルーホールが形成されてい
る両面FPC基板である。
【0028】
図1に示すように、バックライト部12は、表示モジュール10の背面側から重畳され
る底ケース19、曲げ抑制部材20、反射シート21、内枠22、導光板23、複数枚の
光学シート24(本実施形態では1枚の拡散シート25と1枚のプリズムシート26から
なっている。)と、導光板23の側面に配設される第2FPC基板27からなっている。
【0029】
底ケース19は、例えば厚さ0.3mmのステンレス板をプレス加工することにより形
成されたものからなる。曲げ抑制部材20は曲げ弾性を有するPET(ポリエチレンテレ
フタレート)フィルムからなり、2枚の両面テープ28(図3A参照)で底ケース19に
粘着されている。反射シート21は、内枠22に図示省略した凹部と凸部との嵌合によっ
て保持されており、バックライト光源であるLED29からの光を表示パネル11の方向
へ反射するために用いられるものである。
【0030】
内枠22は、合成樹脂材の射出成型によって形成され、中央にバックライトからの光が
通る大きな開口22aを有する額縁の形状をしている。図1及び図3Aに示すように、内
枠22の側壁22bの突起22cと底ケース19の側壁19aの嵌合孔21bとが嵌合す
ることにより、内枠22と底ケース19が機械的に結合されている。導光板23は、透明
なPMMA(ポリメチルメタクリレート)からなり、内枠22に図示省略した凹部と凸部
との嵌合によって保持されている。導光板23の入光面となる側面には、LED29から
の入射光の輝度を均一にするための凹凸の処理が施されており、出光面となる上面には所
望する方向に光を集光するための凹凸の処理が施されている。
【0031】
拡散シート25は、導光板23からの出射光を輝度が均一になるように拡散し、プリズ
ムシート26は導光板23からの出光を表示パネル11側に集光させるためのものである
。図1に示すように、これら2枚の光学シート24の延在部24aが内枠22の凹部22
dに嵌入することにより、光学シート24の位置決めが行われる。第2FPC基板27に
は表示パネル11に白色光を出射するLED29が複数個配設されている。LED29が
導光板23の入光面となる側面に対向配置されるように、第2FPC基板27が表示パネ
ル11に取り付けられている。そして、第2FPC基板27は、LED29とは反対側の
端が第1FPC基板18に半田付けによって電気的に接続されている。
【0032】
一端が表示パネル11に電気的に接続された第1FPC基板18の他端は反射シート2
1と曲げ抑制部材20との間に180度曲げて整形されている。表示パネル11は内枠2
2に図示省略した両面テープによって粘着されている。図1に示すように、外枠13は、
例えばステンレス板をプレス加工することにより形成され、中央に表示窓となる大きな開
口13aを有した額縁の形状をしている。外枠13の側壁13bの嵌合孔13cと底ケー
ス19の側壁19aの突起19cとが嵌合することにより、外枠13と底ケース19が機
械的に結合され、外枠13と底ケース19との間に表示パネル11が挟持されている。
【0033】
上述の構成により、第2FPC基板27のLED29から照射された光は導光板23の
側面で拡散され、反射シート21で反射拡散され、導光板23で所定の方向の輝度が高め
られ、拡散シート25で拡散され、更にプリズムシート26で表示方向に集光されて表示
パネル11の背面に照射される。
【0034】
次に、曲げ抑制部材20の構成について、図1及び図2Bを用いて詳細に説明する。曲
げ抑制部材20が貼付される底ケース19には、第1FPC基板18の電気部品が搭載さ
れる領域18aと対向する部分の底板19dに開口19eが設けられている。この開口1
9eは、表示モジュール10の厚さを薄くする必要上、底ケース19と反射シート21と
の間の第1FPC基板18の収容高さが低くなっているため、第1FPC基板18上に配
置されている電気部品の収容を許容する逃げ孔である。また、底ケース19の側壁19a
には、第1FPC基板18の他端側である導出部18bが筐体外に導出される出口開口1
9fが設けられている。この出口開口19fの端面には傷防止用のヘミング加工(180
度の曲げ加工)された曲げ部19gが形成されている。
【0035】
曲げ抑制部材20は、底ケース19の開口19eよりも小さな開口20aが設けられて
おり、底ケース19の開口19eの周縁を覆い、また、底ケース19の曲げ部19gと、
第1FPC基板18の導出部18bを部分的に覆うように形成されている。第1FPC基
板18には、図2B及び図3Bに示すように、第1FPC基板18の背面側の位置決めの
ために、内枠22の背面側の2つのダボ22eの嵌合孔18cと嵌合切欠き18d(図1
参照)が嵌入されている。また、曲げ抑制部材20には内枠22の2つのダボ22eとの
当接を避けるために切欠き20bが設けられている。第1FPC基板18の露出部分であ
る導出部18bの長さは図2B、図3Bに示すように、L1である。また、曲げ抑制部材
20は、底ケース19の曲げ部19gから外枠13の側壁13b(図1参照)の表面まで
延在されており、この延在部分の長さはL2である。
【0036】
第1FPC基板18の導出部18cの先端には外部の電子機器と接続される接続端子1
8eが形成されている。第1FPC基板18は、幅が狭くなっている接続端子18eまで
配線を集結するために、特にスルーホールを底ケース19の出口開口19f近傍にできる
だけ形成しておきたい。したがって、第1FPC基板18には、出口開口19fの近傍に
広いスルーホールの形成領域があることが望ましい。しかしながら、上記特許文献3に開
示されているように、スルーホールやスルーホール周辺は屈曲に弱く、小さな曲率半径で
屈曲されると破損する恐れがあるために、従来は、出口開口19fの縁である曲げ部19
gを超える位置の第1FPC基板18にスルーホールを形成することは困難であり、仮に
スルーホールを形成しようとした場合には第1FPC基板18自体に補強板を貼り付ける
ことにより、第1FPC基板の厚みの増加や、コストの増加等の問題が生じていた。
【0037】
なお、曲げ部19gを更に延出させることによって第1FPC基板18のスルーホール
形成領域の面積の増大化を図ることは、第1FPC基板18が位置決め用のダボ22eか
ら容易に抜けないようにするためのダボ22eを底ケース19の露出面まで高く延在させ
る必要があるため、及び、底ケース19の製造用金型の変更が必要となるため、直ちには
採用できない。また曲げ部19gを例えば外枠13の端部と面一になるまで延出させると
、スルーホールの形成領域は増加するが、第1FPC基板18の曲げ可能な位置は19g
より外側になるので、第1FPC基板18の曲げ位置が外枠13よりも外側に大きくはみ
だすため、表示モジュール10そのものの外形が大きくなってしまう。当然表示モジュー
ルを電子機器に組み込む際にそれだけのスペースが必要になってしまうことになる。
【0038】
そこで、本発明では、上述のように、曲げ抑制部材20に曲げ部19gをL2だけ超え
て延在する延出部20cを設けている。この延出部20cにより、第1FPC基板18の
曲げの起点位置を簡単に延ばすことができるので、その分、スルーホールの形成領域を広
げることができる。なお、曲げ抑制部材20の延出部20cの長さL2は筐体(ここでは
、底ケース19と外枠13)を超えない長さであるが、L2の長さは任意の長さにするこ
とができる。また、曲げ抑制部材20の延出部20cは片持梁状に保持されているために
容易に屈曲可能である。そして、曲げ抑制部材20は、例えばPETフィルムであり、曲
げ弾性を有する。このために、曲げ抑制部材20の延出部20cの先端を越えた近傍の第
1FPC基板18は、小さな曲率半径の屈曲とはならないため、スルーホールの形成領域
を、L2を超えた位置にまで広げることができるようになる。
【0039】
絶縁性を有するPETフィルムからなる曲げ抑制部材20は、導電性のステンレス材か
らなる底ケース19と第1FPC基板18の間を、平面視で第1FPC基板18を覆うよ
うに形成されている。これにより、第1FPC基板18が底ケース19と直接接触して短
絡することを防止することができる。また、底ケース19には、第1FPC基板18の電
気部品の収容を許容する開口19eが設けられているが、この開口19eはプレスで形成
されるために、その切断面、特にコア側(バリが出る側)は鋭利である。そこで、曲げ抑
制部材20は、底ケース19の開口19eよりも小さな開口20aを設け、底ケース19
の開口19eの周縁が曲げ抑制部材20で覆われるようにしている。これにより、底ケー
ス19の開口19eで第1FPC基板18や作業者の指が傷つきにくくなる。また、曲げ
抑制部材20は曲げ弾性と絶縁性の両方を兼ね備えたPETフィルムであるから、曲げ弾
性による上記効果と絶縁性による短絡抑制効果の両方の効果を同時に発揮することができ
る。
【0040】
[第2実施形態]
次に第2実施形態の表示モジュール40を、図4を用いて説明する。ただし、図4Aは
、第1実施形態の図2Bに対応する図であり、図4Bは第1実施形態の図3Aに対応する
図である。なお、図4に記載の第2実施形態の表示モジュールにおいては、第1実施形態
の表示モジュール10と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与し、その詳細
な説明は省略する。第2実施形態の表示モジュール40が第1実施形態の表示モジュール
10と構成が相違している点は、FPC基板が、第1実施形態の表示モジュール10では
筐体の側面から導出されているが、第2実施形態の表示モジュール40では筐体の底ケー
ス41から導出されている点である。
【0041】
第2実施形態の表示モジュール40は、図4Bに示すように、底ケース41と反射シー
ト21の離間距離が第1実施形態の表示モジュール10よりも大きくなっており、底ケー
ス41の底板41aに第1FPC基板42の表面に配置されている電気部品の収容を許容
する逃げ孔用の開口を形成しなくても、第1FPC基板42を収容することができる。そ
して、底ケース41の底板41aに第1FPC基板42の導出部42aが導出される出口
開口41bが形成されている。この底ケース41の出口開口41bは、第1FPC基板4
2が筐体の内側となる第1辺41cには傷防止の曲げ加工はなされておらず、単に切断さ
れた状態となっている。第1FPC基板42が筐体の外側に位置するケース41の出口開
口41bの第2辺41dには、Z曲げ加工がなされている。このZ曲げ加工は第1FPC
基板42が傷つくのを防止すると共に、反射シート21や導光板23を支持している。そ
して、第1辺41cと第2辺41dの間が第1FPC基板42の導出部42aの嵌入空部
となっている。図4Bに示すように、第1FPC基板42は底ケース41の出口開口41
bの第1辺41cからL3だけ導出されている。すなわち、第1FPC基板42の導出部
42aの長さはL3になっている。
【0042】
第2実施形態の曲げ抑制部材43は、第1実施形態の曲げ抑制部材20の場合と同様に
、PETシートからなり、第1FPC基板42と底ケース41の間をFPC基板42の全
域にわたって平面視で重畳するように配設されている。そして、曲げ抑制部材43は、底
ケース41の第1辺41cからL4だけ延在されている。すなわち、曲げ抑制部材43の
延出部43aの長さはL4になっている。この場合においても、第2実施形態の表示モジ
ュール40は、第1実施形態の表示モジュール10と同様に、スルーホールの形成領域や
電気部品の搭載領域を増加させることができる。また、曲げ抑制部材43は第1辺41c
の鋭利な切断面を覆っているので、FPC基板42や作業者の指が傷つくのを防止してい
る。
【0043】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態の表示モジュール10、40では、表示制
御回路の具体例については説明を省略したが、この表示制御回路を表示パネル上又は第1
FPC基板上に形成されている表示モジュールに対しても適用することができる。第1実
施形態及び第2実施形態の表示モジュール10、40内に表示制御回路を備えていると、
高周波雑音の漏洩を防止するために、第1実施形態及び第2実施形態の表示モジュール1
0、40はシールドを兼ねる金属製の筐体内に配置されることとなる。その場合、金属製
の筐体の底板に形成されるFPC基板の導出用出口開口は狭く設計されるが、本発明の表
示モジュールによれば、FPC基板が小さな曲率半径で屈曲されることがなくなるため、
スルーホールが損傷されてしまうとが促成される。なお、本発明の表示モジュールは、上
述の液晶表示パネルの場合だけでなく、有機EL表示パネル等の薄型のフラットパネルを
用いた表示モジュールに対しても、適用することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態として表示モジュールの例を説明した。このような本発明の表
示モジュールは、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末、カーナビゲーシ
ョンシステムなどの各種電子機器に使用することができる。なお、これらの各種電子機器
の基本的構成は当業者に周知であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0045】
10…表示モジュール 11…表示パネル 12…バックライト部 13…外枠 13
a…外枠の開口 13b…外枠の側壁 13c…外枠の嵌合孔 14…液晶層 15…ア
レイ基板 16…カラーフィルター基板 17…シール材 18…第1FPC基板 18
a…第1FPC基板の搭載部 18b…第1FPC基板の導出部 18c…第1FPC基
板の嵌合孔 18d…第1FPC基板の嵌合切欠き 18e…第1FPC基板の接続端子
19…底ケース 19a…底ケースの側壁 19b…底ケースの嵌合孔 19c…底ケ
ースの突起 19d…底ケースの底板 19e…底ケースの開口 19f…底ケースの出
口開口 19g…底ケースの曲げ部 20…曲げ抑制部材 20a…曲げ抑制部材の開口
20b…曲げ抑制部材の切欠き 20c…曲げ抑制部材の延出部 21…反射シート
22…内枠 22a…内枠の開口 22b…内枠の側壁 22c…内枠の突起 22d…
内枠の凹部 22e…内枠のダボ 23…導光板 24…光学シート 24a…光学シー
トの延在部 25…拡散シート 26…プリズムシート 27…第2FPC基板 28…
両面テープ 29…LED 40…表示モジュール 41…底ケース 41a底ケースの
底板 41b…底ケースの出口開口 41c…底ケースの第1辺 41d…底ケースの第
2辺 42…第1FPC基板 42a…第1FPC基板の導出部 43…曲げ抑制部材
43a…曲げ抑制部材の延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
フレキシブルプリント配線基板と、
前記表示パネル及び前記フレキシブルプリント配線基板を収納する筐体と、を有する表
示モジュールであって、
前記フレキシブルプリント配線基板は、前記筐体に設けられた出口開口から導出される
導出部を有しており、
前記筐体には、前記出口開口から延出する曲げ抑制部材が前記フレキシブルプリント配
線基板の導出部と対向する位置に設けられていることを特徴とする表示モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント配線基板にはスルーホールが形成されており、前記スルーホ
ールは前記導出部と前記曲げ抑制部材とが対向する位置に形成されていることを特徴とす
る請求項1に記載の表示モジュール。
【請求項3】
前記曲げ抑制部材は、片持梁状に保持されるように前記筐体の出口開口に設けられてい
ることを特徴とする請求項1または2に記載の表示モジュール。
【請求項4】
前記筐体は金属材料で形成されており、前記曲げ抑制部材は絶縁材料からなるとともに
、前記フレキシブルプリント配線基板と平面視で重畳するように前記筐体に設けられてい
ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表示モジュール。
【請求項5】
前記筐体には前記フレキシブルプリント配線基板に搭載される電気部品との当接を回避
する開口が設けられ、前記曲げ抑制部材は前記開口の周縁を覆うように形成されているこ
とを特徴とする請求項4に記載の表示モジュール。
【請求項6】
前記曲げ抑制部材は曲げ弾性を有する材料からなることを特徴とする請求項1ないし5
のいずれかに記載の表示モジュール。
【請求項7】
前記曲げ抑制部材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることを特徴とする
請求項6に記載の表示モジュール。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の表示モジュールを有することを特徴とする電子機
器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95450(P2011−95450A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248524(P2009−248524)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】