説明

表示モニタのための座標検出システム

本発明は、表示モニタのスクリーン上の入力位置を検出する装置に関する。前記装置は、光ガイド層(301)を有しており、該光ガイド層(301)は、当該装置の外部から層(301)上に入射した光(303)の一部(304)が、層(301)内に閉じ込められるような光学構造を有している。入射光(303)は、前記装置との対話のために、ユーザによって操作可能な、リモート入力装置によって発せられる。前記リモート入力装置は、例えば、レーザポインタ(205)である。当該装置内の光検出手段(803)は、層(301)内に閉じ込められた光(304)を検出する。従って、前記入力装置からの光(207)が層(301)に入射した入力位置(206)を判断することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置とのユーザ対話の結果としての該装置に対する入力位置を検出するユーザ入力装置に関する。当該装置は、好ましくは、表示モニタを有する。
【背景技術】
【0002】
ユーザとコンピュータとの間の対話を改善するように、タッチスクリーン表示器が、マルチメディア情報キオスク、教育センタ、自動販売機、ビデオゲーム及びパーソナルコンピュータ等のために導入されている。タッチスクリーン表示器とは、物理的接触によって影響を受けることができる表示スクリーンであり、ユーザがアイコン、ピクチャ、ワード又はコンピュータスクリーン上の他の視覚的オブジェクトをタッチすることにより、該コンピュータと対話することを可能にする。タッチ、即ち当該スクリーンとの物理的接触の確立は、通常、指、スクリーンが汚れる及び変色するのを防止するためのペン、又は何らかの他の適切なスタイラス若しくはポインティングデバイスによって行われる。
【0003】
直進的な対話を提供するための物理的接触は、ときどき、例えば、スクリーンが大きい場合及び/又はスクリーンがユーザからある距離離れて位置されている場合、最良の位置におけるものではない。例えば、プレゼンテーションをする場合、スクリーンと対話をするユーザが、該プレゼンテーションの観衆の視野を遮ることがある。
【0004】
このような場合、光源によって供給される光ビームの使用は、スクリーンとの対話用に魅力的なオプションである。対話の目的で、人間の目に可視的である光源の使用は、通常の赤外線リモコンを使用するよりも魅力的なオプションである。
【0005】
欧州特許明細書第0 572 182 B1号は、一体型の光入力装置を備える表示ユニットを開示している。前記表示ユニットは、液晶表示(LCD)パネルであって、当該LCDパネルの基板の1つに配されているX軸及びY軸方向における導体を有している。これらの導体は、前記基板の表面に平行な光をガイドするための光波ガイドである。光信号を感知する受光素子は、前記光波ガイドの各々の端部に配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光学ペンから発せられた光が、前記基板と接触するようになる場合、発せられた光の接触部のX及びY座標は、例えばフォトセンサの形態である前記受光素子によって決定される。欧州特許明細書第0 572 182 B1号に関する問題は、前記光波ガイドが、LCDパネルの、前記基板又は複数の基板内に形成されていることである。このことは、前記基板内の光波ガイドを形成するのに使用される処理がかなり複雑であるため、前記表示ユニットの製造を困難及び高価なものにする。更に、前記光波ガイドが、前記基板内に形成されるという事実は、前記光波ガイドは、製造の時点で前記基板内に実際に形成されなければならず、従って、表示ユニットの製造の後に該表示ユニットに付加されることができないので、前記表示ユニットの製造の柔軟性を損なう。
【0007】
本発明の目的は、ユーザ入力の装置であって、好ましくは表示装置と組み合わされており、該装置のスクリーン上の入力位置を検出するためのユーザ入力の装置において、該装置の製造が容易であり、前記表示装置の画質が受ける影響ができるだけ小さい、ユーザ入力の装置を提供することにある。この状況において、「入力位置」とは、ユーザ対話が行われる(例えば、光学ペンから発せられる光が当該装置に入る)当該装置に対する座標を含むものであると理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、添付の請求項1による装置によって達成される。好適実施例は、添付の独立請求項によって規定記載されている。
【0009】
本発明の見地によれば、光ガイド層が当該装置内に配されている座標検出のシステムが提供される。前記層は、光が前記装置の外部から前記層に入射する場合には、該光の一部(a fraction of the light)を該層内に閉じ込め、光が前記装置の内部から前記層に入射する場合には、前記層を介して光を伝送するように配された光学構造を有する。前記システムは、前記層内に閉じ込められた前記光を検出するように配された光検出手段を有する。
【0010】
本発明の考え方は、ある光学特性を有する光ガイド層が、装置内に配されることである。前記層は、一方では、当該装置の外部から前記層に入射する光の一部が前記層内に閉じ込められるように、他方では、当該装置の内部から前記層に入射する光に対しては、前記層はほぼ透明であり、ほとんど全ての光が前記層を介して透過されるような、光学構造を有する。
【0011】
前記外部から生じる光は、当該装置との対話のためにユーザによって操作されるリモート入力装置から発せられる。例えば、前記リモート入力装置は、光学ペン又はレーザペンを含む。前記装置の内部から生じる光は、表示モニタ自身によって発せられている。この光は、表示される画像のコントラスト及びブライトネスを減少しないように、できるだけ小さい減衰を伴って前記層を通過するのが好ましい。
【0012】
例えば当該装置内に配されているフォト検出器のような形態の、光検出手段は、前記入力装置によって発せられた光の閉じ込められた部分を検出する。前記層内に閉じ込められた光を検出することによって、レーザポインタ、又は何らかの他の適切な、焦点を合わせられた光ポインタ手段のような入力装置から前記層に当たる光の前記入力位置(入射の点)を判断することができる。
【0013】
本発明は、入射光の信頼できる検出が、かなり柔軟な態様で提供されることができるため、有利である。箔又は薄膜等の構造を有する前記光ガイド層は、装置内で組み立て易い又は表示モニタと一体化され易く、LCD又はCRTのような表示モニタのほとんどの種類、及びOLED又はPLED等のようなLED技術の様々な種類に対して働く。本発明が利用されることができる装置は、移動電話のスクリーン、PDA、ラップトップ型コンピュタ、様々な種類のモニタ装置、テレビジョン装置又は投影スクリーン等を含む。前記層は、前記表示モニタ内の適切な基板に、粘着又は何らかの他の適切な取り付け手段によって取り付けられることができる。更に、前記のような透明特性のために、前記層は、前記表示モニタの内部から前記層に当たる光に対して小さい透過損失のみを生じる。更に、前記層は、該層が前記表示モニタの下にあるピクセルによって記録される(registered)又は完全に整列される必要はなく、前記層の組み立て手順を容易にするという利点を有する。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記層内に閉じ込められた光を、該閉じ込められた光が、前記層の平面に平行である第1及び第2方向に進行するように導くための導配(canalizing)手段が、前記層内に配される。前記第1方向は、前記第2方向にほぼ垂直であるのが、必須ではないが好ましく、この結果、X軸及びY軸が前記層の平面内に規定されている。これは、前記光検出手段に指向される光の量が多いほど、前記光検出手段の感度は低くても良くなるので、有利である。更に、座標の検出は、前記光検出手段に指向される前記光のビームが、いくらか焦点を合わされている場合(前記光検出手段の、光にさらされる領域がより小さくなることを意味する)、より正確になる。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、前記導配手段は、前記層内に配されたピラミッド状の構造を有する。約90度の前記ピラミッド構造の頂角によって、前記光学構造は、前記装置の外側から前記層に入射する光の一部を捕捉し、該光を、前記第1及び第2方向に導くことができる。前記のようなピラミッドの幾何学的パラメータを変更することによって、光学性能はカスタマイズされることができる。代替的には、前記導配手段は、傾斜されたグレーティングを有するボリュームホログラフィック構造を有する。この光学構造は、前記表示装置の外部から前記層上に入射する光の一部を捕捉することもできると共に、該閉じ込められた光を、該閉じ込められた光が前記第1及び第2方向に導くこともできる。ホログラムのグレーティングピッチ及び/又は傾斜角を変更することによって、光学特性がカスタマイズされることができる。
【0016】
本発明の更に他の実施例によれば、前記光検出手段は、例えば、フォト検出器の形態において、第1の光検出手段及び第2の光検出手段を有し、これらは、前記層内に閉じ込められた光であって前記第1方向及び前記第2方向に進行する光をそれぞれ検出するように配されている。前記第1の光検出手段は、前記層の第1の縁に配されており、前記第1方向に進行する光を検出し、これによって、前記装置の外側から前記層に当たる光の入射の点のx座標を判断する。前記第2の光検出手段は、前記層の(前記第1の縁の反対側ではない)第2の縁に配されており、前記第2方向に進行する光を検出し、これによって、前記装置の外側から前記層に当たる光の入射の点のy座標を判断する。この実施例は、前記第1及び第2の光検出手段を前記層の前記縁に沿って配することで、表示モニタの前に位置されることができるスタンドアローンの検出ユニットを提供するので、有利である。
【0017】
本発明の更なる実施例によれば、当該装置は、LCD、LED型の表示器、電子インク表示器又は何らかの他の種類のアクティブマトリックス表示器のような、表示モニタを有する。前記光検出手段は、前記表示モニタのアクティブマトリックス基板内に一体化されており、当該装置は、光結合手段(例えば、小さい、傾斜されて配されたミラー)を有し、該光結合手段は、前記層内に閉じ込められた光を、前記層から、前記アクティブマトリックス基板内に一体化されている前記光検出手段に結合するように配されている。例えば、前記表示モニタは、アクティブマトリックス液晶表示器(AMLCD)を有し、前記光検出手段は、前記アクティブマトリックス基板の薄膜トランジスタ(TFT)を有する。
【0018】
半導体材料の特性は、光電性(photo electricity)であって、該光電性とは、光にさらされた場合、光誘起電流がTFT内で発生されることができることを意味する。従って、例えば、従来型の液晶表示器におけるTFTは、いかなる入射光からも、光阻止の層によって遮蔽される。
【0019】
前記層内に開口を作ることによって、又は前記層を、特定波長に対して不透明である他の材料の層に置き換えることにより、今、前記TFTは、(特定波長の)外部光に対する感度を意図的に高くされることができる。この実施例は、既存のTFTが、フォト検出器として使用されることができ、従って、当該システムに付加的なフォト検出器を設ける必要がないため、滑らかな、一体化された解決策が提供されることができる利点を有する。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、前記光ガイド層は、当該装置の前面板の外面上に配される。これは、前記座標検出システムが、スタンドアローンのシステムとしてみなされることができるので、前記表示モニタの内部に一体化される必要が無いという利点を有する。従来技術の表示モニタ用の座標検出システムとは対照的に、検出システムの一部を、モニタの基板内に形成する必要が無く、前記光ガイド層は、前記表示モニタの製造及び流通の後、前記表示器の前面板に取り付けられることができる。既存の表示システムへの一体化も可能であるので、製品化までの時間が短縮されることができる。
【0021】
本発明の好適実施例によれば、光ガイド内に光を発するように配された光源を有する該光ガイドが、前記層の外面に配されている。前記光ガイドと、その周囲のものとの間の光学的整合は、前記光源の光が、全内部反射によって前記光ガイド内に、通常、閉じ込められるように適応化されている。前記スクリーンとの物理的接触(例えば、ユーザによるタッチ入力)は、前記光ガイド内の前記全内部反射をかき乱し(perturb)、これにより、光は、前記光ガイドから抽出され、前記層に指向される。
【0022】
好ましくは、前記光ガイドは、該光ガイドが前記層と物理的に接触するように、前記層の外面上に配されている。しかしながら、何らかの光透過媒体が、前記層と前記光ガイドとの間に配されることが可能である。この媒体は、例えば、前記光ガイド及び前記層の両方の屈折率よりも低い屈折率を有する液体であっても良い。前記光ガイドは、前記リモート入力装置から生じる光に対して透明であるのが好ましい。
【0023】
当該装置のユーザがタッチ入力を提供する場合、全内部反射の状態はかき乱され、光は前記光ガイドから抽出され、前記層に指向される。前記光源から前記光ガイドを介して前記層に当たる光の入射の点を判断することにより、前記装置上の接触の点を判断することが可能である。
【0024】
この実施例は、当該装置に関して、該装置との物理的接触及び光接触の両方を検出するのを可能にするため、非常に有利である。従って、ユーザは、状況に依存して、タッチ入力、又はレーザポインタ等を使用するリモート入力のいずれも提供することができる。
【0025】
本発明の更に別の実施例によれば、光フィルタが、それぞれの光検出手段に入射する光に対する選択性を高めるように、前記第1及び第2の光検出手段上に配される。単色光の場合、前記光フィルタは、該単色光に対する選択性を向上する。選択性は、前記光検出器に当たる光を、周囲の光と区別するのに必要とされることができる。前記光検出器及び/又は前記光フィルタは、前記光源がパルス型のものである場合、パルス状の光との同期によって、及び/又は興味のある帯域幅のみを通過させるように配されている前記光フィルタによって、パルス光を取り扱うように適応化されなければならない。
【0026】
本発明の更に他の実施例によれば、電気信号フィルタが、前記光検出手段上に当たる光の結果として該光検出手段によって生成され得る電気信号に対する選択性を高めるために、該前記光検出手段に配される。これは、前記表示器上の位置を示すように使用されている光が、電気信号フィルタにおいて、処理される(例えば、変調され、次いで復調される)ことができるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の更なるフィーチャ及び利点は、添付請求項及び以下の記載を熟読すると、明らかになるであろう。当業者であれば、本発明の種々のフィーチャが、以下に記載されるものとは異なる実施例を作るように組み合わされることができると理解するであろう。
【0028】
本発明は、例として、添付図面を参照することにより詳細に記載される。
【0029】
図1は、キーボード101及びLCDフラットスクリーン102を配されているラップトップ型コンピュータの形態における表示装置100を示しており、該表示装置において、本発明は、有利に利用されることができる。光ガイドの層及び光検出手段を有する本発明による座標検出システムは、後述されるように、複数の異なる仕方で前記表示装置内に配されることができる。例えば、前記層は、当該表示装置の内部に配されることができ、又は好ましくは、前記スクリーンの外部に取り付けられる。前記光検出手段は、スクリーンの2つの縁103、104に配されることができるが、前記表示装置の基板内に配されることもでき、これにより前記光検出手段を、前記表示装置の内部に位置させることもできる。
【0030】
図2は、表示装置スクリーン201の模式的な正面図を示しており、該表示装置スクリーン201上に、光ガイド層202が、粘着手段によって配されている。前記層の前記2つの縁において、例えばフォト検出器の形態で光検出手段203が配されている。前記光検出手段は、CPU204に又は処理能力を有する何らかの他の適切な手段に接続されている。典型的には、前記CPUは、前記座標検出システムが利用される装置(例えば、ラップトップ型コンピュータ、移動電話、投影スクリーン及びテレビジョン装置等である)の既存の処理システムを含む。しかしながら、前記のような検出システムは、自身のCPUを備えるスタンドアローンのシステムであることができ、該スタンドアローンのシステムは、前記座標検出が利用されるべきである装置に接続されており、該装置と協動させられる。レーザペン205の形態の光伝送装置は、スクリーン上の光の点206を示すようにユーザによって使用される。
【0031】
前記のような層は、前記表示装置の外部から前記層に入射する光207に対しては、該光の一部が該層内に閉じ込められると共に、前記層の平面の前記X及びY方向に導かれるような、光学構造を有している。前記表示装置の内部から前記層に入射する光に対しては、前記層は透明になり、ほぼ全ての光が前記層を介して透過される。前記光検出手段は、前記層内に閉じ込められた前記光を検出する。前記層内に閉じ込められた前記光を検出することによって、該光は、X及びY方向に導かれ、前記表示装置の外部からの前記層上に当たる光の入射の点206を判断することができる。ここで、前記光は、前記レーザペンから発せられる。
【0032】
図3の上部は、ピラミッド状の光屈折ユニットの形態における導配手段302が配されている、光ガイド層301の一部の正面図を示している。図3の下部は、同じ層301及びピラミッド状の前記導配手段302の側面図を示している。導配手段302は、前記表示装置の外部から前記層上に入射する光303の一部を捕捉すると共に、閉じ込められた光304が前記層の平面に平行な第1方向及び第2方向に進行するように、前記層内に閉じ込められた光を導くように、層301内に配されている。前記第1方向は前記第2方向に垂直であるのが、必須ではないが、好ましく、この結果、X軸及びY軸は、前記層の前記平面内に規定されている。前記のようなピラミッドの幾何的パラメータ(例えば、頂角、ベース面積又は高さ等)を変更することにより、光学性能は、カスタマイズされることができる。
【0033】
図4は、本発明による導配手段の代替的な実施例を示している。図4において、光ガイド層401の側面図が示されており、導配手段402は、傾斜されたグレーティングを有するボリュームホログラフィック構造によって構成されている。この光学構造は、前記表示装置の外部から前記層上に入射する光403の一部を捕捉することもできると共に、閉じ込められた光404が前記第1及び第2方向(前記X及びY方向)に進行するように、前記層内に閉じ込められた光を導くこともできる。ホログラムのグレーティングピッチ及び/又は傾斜角を変更することによって、光学特性がカスタマイズされることができる。
【0034】
図5は、本発明が利用可能な表示装置501の一部の模式図を示している。これは、行又は選択電極507と、列又はデータ電極506との交差の領域において、マトリックス状のエレメント又はピクセル508を有する。前記行電極は、行ドライバ504によって選択されるのに対し、前記列電極は、データレジスタ505を介してデータを供給される。この目的を達成するために、到来するデータ502は、必要であれば、プロセッサ503において最初に処理される。行ドライバ504とデータレジスタ505との間の相互同期化は、駆動ライン509を介して行われる。
【0035】
行ドライバ504からの信号は、薄膜トランジスタ(TFT)510を介して、ピクチャ電極を選択し、該薄膜トランジスタ(TFT)510のゲート電極523は行電極507に電気的に接続されており、該薄膜トランジスタ(TFT)510のソース電極524は、列電極506に電気的に接続されている。列電極506に存在する信号は、前記TFTを介して、ドレイン電極525に結合されているピクセル508のピクチャ電極に伝送される。他のピクチャ電極は、例えば、1つ(以上)のコモン対向電極に接続されている。データレジスタ505はスイッチ511も含んでおり、到来するデータは、該スイッチ511によって、列電極506に転送されることができるか(状況511a)、又は感知段階において、TFT510の状態が感知されることができるか(スイッチ511の状況511b)のいずれかである。
【0036】
半導体材料の特性は、光電性(photo electricity)であって、該光電性とは、TFTが光にさらされた場合、光誘起電流がTFT510内に誘起されることを意味する。従って、従来型の表示器におけるTFTは、いかなる入射光からも、ブラックマトリックス層のような、光阻止層(図示略)によって遮蔽される。前記光阻止層内に開口を作ることによって、又は前記光阻止層を、特定波長に対して不透明である他の材料の層に置き換えることにより、前記TFTは、(特定波長の)外部光に対して高感度にされることができる。
【0037】
例えばレーザペンからの(焦点を合わさられた)光ビームが、局所的にTFT510を照明することができ、該TFTに関連するコンデンサ508に蓄えられている電圧は、照明の際、降下する。この電圧降下の感知(スイッチ511の状況511b)は、次の書き込みサイクルの間に新しい情報を書き込む前、意図的に照明されているピクセルと照明されていないピクセルとの間の区別を可能にする。感知された情報は、プロセッサ503内に記憶されており、専用ソフトウェアを使用することにより、前記表示装置の外部から該表示装置に当たる光の入射の点が、検出されることができる。
【0038】
図6は、傾斜して配されているミラー605の形態の光結合手段を示している。上述したように、導配手段602は、前記表示装置の外部から当該層上に入射する光603の一部を捕捉すると共に、前記層内に閉じ込められた光を、該閉じ込められた光604が上述の第1及び第2方向に進行するように導くように、光ガイド層内601に配されている。ミラー605は、閉じ込められた光604を、表示器606に結合するように配されており、該表示器606は、アクティブマトリックス基板を配されている。アクティブマトリックスの記載に関して、図5を参照する。図5におけるように、TFT607の形態のフォト検出手段は、前記表示装置の外部から光ガイド層601に当たる光の入射の点を検出するように配されている。簡単にするために、1つのTFT607のみが図6に示されていることに留意されたい。実際のアプリケーションにおいて、ピクセル毎に1つのTFTが使用されている。光結合手段605を使用し、前記表示器の2つの縁(図2)の2つにおいて前記TFT上に配されている前記光阻止層(図示略)に開口を作る必要があるのみであり、光は、前記光ガイド層から前記TFTまで下って結合される。代替的に、前記光阻止層が、他の材料の不透明な層と取り替えられる場合、この取替えは、前記2つの端部において必要であるのみである。
【0039】
図7は、本発明の実施例による光ガイド層の外部表面に配されている光ガイドを示している。図7の上部は、表示装置スクリーン701の模式的な正面図を示しており、該表示装置スクリーン701上に、光ガイド層702が取り付けられている。TFTの形態の光検出手段703が、入射光を検出するように前記表示装置のアクティブマトリックス基板内に組み込まれている。光ガイド層702上に、光ガイド704が配されている。光ガイド704は、前記光ガイド内に光を発するように配された光源708を有する。図7の下部は、スクリーン701の側面図を示している。光ガイド704と、その周囲のものとの間の光学的整合は、光源708の光が、全内部反射によって前記光ガイド内に閉じ込められるように、適応化されている。
【0040】
図8は、スクリーン801の側面図を示している。例えば、ペン805による、光ガイド804との物理的接触は、全内部反射をかき乱し、光809が、前記光ガイドから抽出され、光ガイド層802に指向される。図2におけるように、層802は、ピラミッド状の導配手段806を有しており、該導配手段806は、光ガイド804から前記層上に入射する光809の一部を捕捉すると共に、層内に閉じ込められた光を、該閉じ込められた光807が前記層の平面に平行な前記X及びY方向(前記Y方向は、図8内に示されている)に進行するように導くように配されている。好ましくは、光ガイド804は、前記光ガイドが、前記層と物理的に接触しているように、光ガイド層802の外側面上に配されている。しかしながら、何らかの光透過媒体が、層802と光ガイド804との間に配されることも可能である。全内部反射の状態が乱され、光は、光ガイド804から抽出され、層802に指向される場合、光ガイド804を介して光源808から層802に当たる光809の入射の点を判断することによって、前記表示器上の接触の点810を判断することができる。ミラー812の形態における前記光結合手段は、前記閉じ込められた光807を表示器813に結合し、該表示器813は、アクティブマトリックス基板を配されている。アクティブマトリックスの記載に関しては、図5を参照する。図5におけるように、TFT803の形態における光検出手段は、前記のような入射光を検出するように配されており、これにより、前記表示器上の接触の点810を検出する。接触の点810において、光809は、複数の方向に散乱されることに留意されたい。即ち、接触の点810は、光809を発する光源として振舞うと言える。図8は、一般的に多数の方向に生じるこの散乱の簡略化された図を示している。
【0041】
この実施例は、当該システムが、前記表示器との物理的接触及び光接触の両方を検出するのを可能にするため、非常に有利である。
【0042】
光入力に関して、光ガイド804は透明であり、上述したように検出が達成される。例えば図2を参照されたい。
【0043】
上述の実施例の多くの異なる代替的なもの、変形及び組み合わせが、当業者にとって明らかになるであろう。従って、上述の実施例は、添付請求項によって規定されているように、本発明の範囲に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明が利用されることができる従来技術の表示装置の例を示している。
【図2】本発明の実施例による表示装置及び座標検出システムの模式的な正面図を示している。
【図3】本発明の実施例による導配手段の正面図及び側面図を示している。
【図4】本発明の代替的な実施例による導配手段の正面図を示している。
【図5】本発明が利用されることができる表示装置の一部の模式図を示している。
【図6】本発明の実施例によるアクティブマトリックス基板に光を結合するように配された光結合手段の側面図を示している。
【図7】本発明の実施例による光ガイド層の外面に配された光ガイドの正面図及び側面図を示している。
【図8】前記光ガイド層の外面に配された光ガイドの側面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に対する入力位置を検出するユーザ入力装置であって、
− 外側から前記装置に入射する光であって、当該装置との対話のためにユーザによって操作可能なリモート入力装置によって生成される入射する光の一部を、前記光ガイドの層内に閉じ込めるように構成されていると共に、閉じ込められた前記光を、該閉じ込められた光を検出し該閉じ込められた光の検出を前記入力位置に関連付ける光検出手段に向かって、前記層を介して伝送するように構成されている光学構造を持つ光ガイドの層、
を有するユーザ入力装置。
【請求項2】
前記光ガイド層は、前記層内に閉じ込められた光を、前記層の平面に平行な第1方向と前記層の前記平面に平行な第2方向とに導くための導配手段を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1方向は前記第2方向に実質的に直交している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記導配手段はピラミッド状の構造を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記導配手段はボリュームホログラフィック構造を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記光検出手段が、
− 前記層の平面に平行な第1方向に進行する前記閉じ込められた光を検出するように配されている第1光検出手段と、
− 前記層の前記平面に平行な第2方向に進行する前記閉じ込められた光を検出するように配されている第2光検出手段と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
表示モニタを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記表示モニタは、液晶表示器、LED表示器又は電子インク表示器を含んでいる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記表示モニタはアクティブマトリックス型の表示器を有し、前記光検出手段は前記表示器のアクティブマトリックス基板と一体化されていると共に、前記閉じ込められた光の少なくとも一部を前記層から前記光検出手段に結合するように構成されている光結合手段を更に有する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記層は前記表示モニタのスクリーンの外面に配されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
− 前記層の前記外面に配されており、光ガイド内に光を発するように配されている光源を有する該光ガイドであって、発せられた前記光が、全内部反射によって前記光ガイド内に閉じ込められ、前記光ガイドから抽出され、ユーザが前記入力位置において前記装置との物理的接触を確立した場合、前記層内に指向される仕方で、自身の周りのものと光学的に整合されている光ガイド、
を更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記光検出手段上に入射する光に対する選択性を向上するように該光検出手段上に配されている光フィルタを更に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記光検出手段に当たる光の結果として前記光検出手段によって生成される電気信号に対する選択性を向上するように、前記光検出手段に配されている電気信号フィルタを更に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記光検出手段はフォト検出器を有する、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−506180(P2007−506180A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526789(P2006−526789)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051769
【国際公開番号】WO2005/029395
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】