表示体、粘着ラベル、転写箔及び表示体付き物品
【課題】偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有した表示体を実現する。
【解決手段】表示体10は、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域RG1と、第1領域RG1と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、第1領域RG1と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域RG2とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層110と、第1領域RG1と第2領域RG2との双方を被覆した金属又は合金層120との積層体100を具備し、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分は、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分と比較して光透過率がより大きい。
【解決手段】表示体10は、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域RG1と、第1領域RG1と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、第1領域RG1と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域RG2とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層110と、第1領域RG1と第2領域RG2との双方を被覆した金属又は合金層120との積層体100を具備し、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分は、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分と比較して光透過率がより大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オバート技術は、一般のユーザが物品への適用を容易に認めることができ且つ顕微鏡等の判別機器を使用することなしに容易に真偽判定をすることができる偽造防止技術である。オバート技術では、ホログラム及び回折格子等の回折構造を利用することがある。
【0003】
回折構造には、以下の特徴がある。即ち、回折構造は、印刷では再現できない特殊な視覚効果を提供することを可能とする。また、回折構造の製造には電子線描画及びナノインプリント等の特殊な技術が必要であるため、このような回折構造の偽造は困難である。
【0004】
このように、回折構造はオバート技術にとって有利な特徴を有している。それゆえ、紙幣、証券及びクレジットカード等の物品の多くは、その偽造の防止を目的として、回折構造を含んだ表示体を支持している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、近年、回折構造を含んだ表示体を支持させた物品について、偽造品の流通が問題となりつつある。このような偽造品の大半は、これが支持している表示体を、顕微鏡等の判別機器を用いて解析すれば、真正品と判別することが可能である。しかしながら、この場合、回折構造を含んだ表示体の利点であるオバート機能が損なわれてしまう。
【0006】
また、表示体に、偏光板、ブラックライト及び赤外線カメラ等の他の判別機器を利用した偽造防止技術を更に適用することによっても、偽造品と真正品との判別が可能となり得る。しかしながら、この場合も、偽造品と真正品との判別のために、判別機器が必要となる。
【0007】
紙幣等の偽造を防止するために利用可能なオバート技術として、紙の密度差による透過率の相違を利用した紙透かし技術がある。この紙透かし技術が適用された紙媒体では、肉眼での観察により、偽造品と真正品との判別を比較的容易に行うことが可能である。即ち、このような紙透かし技術を用いれば、優れたオバート機能を達成し得る。
【0008】
しかしながら、紙の密度差に基づいた紙透かし技術を適用した紙媒体を日本国内で許可なく製造することは、すき入紙製造取締法によって禁じられている。それゆえ、日本国内においては、このような原理に基づいた紙透かし技術を紙媒体の偽造防止手段として自由に採用することはできない。しかも、日本以外の国の一部では、紙媒体の偽造防止手段として紙の密度差に基づいた紙透かし技術を適用することが一般的となりつつある。それゆえ、上記の紙透かし技術に取って代わり得る新たな偽造防止技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−191604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有した表示体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面によると、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、前記第1領域と前記第2領域との双方を被覆した金属又は合金層との積層体を具備し、前記積層体のうち前記第1領域に対応した部分は、前記積層体のうち前記第2領域に対応した部分と比較して光透過率がより大きい表示体が提供される。
【0012】
本発明の第2側面によると、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、前記第1及び第2領域上に、前記第1及び第2領域の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の膜厚が20nm乃至100nmの範囲内となるような量の金属又は合金を堆積させることにより形成される金属又は合金層とを具備した表示体が提供される。
【0013】
本発明の第3側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体上に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0014】
本発明の第4側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔が提供される。
【0015】
本発明の第5側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備した表示体付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有した表示体を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す表示体の界面部に採用可能な構造の一例を示す斜視図。
【図4】図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図5】図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図6】一変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図7】図6に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図。
【図8】他の変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図
【図9】図8に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図。
【図10】更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図11】図10に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図12】図10に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図13】更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図14】図13に示す表示体のXIV−XIV線に沿った断面図。
【図15】図13及び図14に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図16】図13及び図14に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図17】本発明の他の態様に係る表示体の一例を示す断面図。
【図18】本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図。
【図19】本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図。
【図20】表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図。
【図21】表示体付き物品の他の例を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1及び図2に示す表示体の第1領域に採用可能な構造の一例を示す斜視図である。図1乃至図3では、表示体10の主面に平行であり且つ互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、表示体10の主面に垂直な方向をZ方向としている。
なお、図1では、表示体10をその前面側から観察した様子を描いている。他方、図3では、表示体10のうち参照符号DP1で示す表示部をその背面側から観察した様子を描いている。
【0020】
この表示体10は、図2及び図3に示すように、レリーフ構造形成層110と金属又は合金層120との積層体100を含んでいる。ここでは、一例として、レリーフ構造形成層110側を前面側とし、金属又は合金層120側を背面側とするが、レリーフ構造形成層110側を背面側とし、金属又は合金層120側を前面側としてもよい。
【0021】
レリーフ構造形成層110の金属又は合金層120側の主面は、第1領域RG1と第2領域RG2と第3領域RG3とからなる。表示体10のうち、領域RG1、RG2及びRG3に対応した部分は、それぞれ、図1に示す表示部DP1、DP2及びDP3である。後述するように、表示部DP1は、通常、表示部DP2と比較して、光透過率がより大きい。また、表示部DP3は、通常、表示部DP1と比較して、光透過率がより大きい。
【0022】
第1領域RG1は、凹構造及び/又は凸構造を備えている。具体的には、第1領域RG1は、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えている。ここでは、一例として、第1領域RG1は、二次元的に配列した複数の第1凹部を備えているとする。
【0023】
二次元的に配列した第1凹部は、典型的には、先細りしている。例えば、これら第1凹部は、円錐、角錐、円錐台、角錐台、楕円放物面又は回転放物面形状を有している。第1凹部の側壁は、滑らかであってもよく、階段状であってもよい。或いは、第1凹部は、円柱及び角柱状等の柱状であってもよい。ここでは、一例として、第1凹部は回転放物面形状を有しているとする。
【0024】
第1凹部は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第1凹部は、典型的には、回折格子及びホログラム等の回折構造を形成している。ここでは、一例として、第1凹部は、X方向とY方向とに沿って正方格子状に配列しており、回折格子を形成しているとする。
【0025】
第1凹部の最大空間周波数、即ち第1凹部の最小ピッチPR1の逆数は、例えば1500/mm乃至4000/mmの範囲内とする。この最大空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。この最大空間周波数が過度に大きいと、第1凹部の形成が困難となる。
【0026】
なお、第1凹部の先端の位置は、第1凹部の開口の位置と比較してばらつきを生じ易い。従って、第1凹部の空間周波数は、第1凹部の開口が形成している配列に基づいて決定する。
【0027】
第1凹部のZ方向の寸法、即ち深さDR1は、例えば50nm乃至500nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至300nmの範囲内にある。第1凹部の最小ピッチPR1に対する深さDR1の比DR1/PR1は、例えば0.2乃至2.0の範囲内にあり、典型的には0.4乃至1.2の範囲内にある。比DR1/PR1を小さくすると、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が小さくなる。比DR1/RR1を大きくすると、第1凹部を高い形状精度で形成することが比較的困難となる。
【0028】
第1領域RG1の見かけ上の面積A1に対する第1領域RG1の表面積S1の比S1/A1は1より大きく、例えば1.2以上であり、典型的には1.4以上である。この比S1/A1が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。また、この比S1/A1は、例えば5.0以下とし、典型的には4.0以下とする。この比S1/A1が過度に大きいと、第1凹部を高い形状精度で形成することが比較的困難となる。
【0029】
なお、ここでは、領域の「見かけ上の面積」とは、当該領域に平行な平面への当該領域の正射影の面積、即ち、凹構造及び凸構造を無視した当該領域の面積を意味することとする。また、領域の「表面積」とは、凹構造及び凸構造を考慮した当該領域の面積を意味することとする。
【0030】
第2領域RG2は、第1領域RG1と隣り合っている。図1及び図2には、一例として、第2領域RG2が第1領域RG1と隣接している場合を描いている。
【0031】
第2領域RG2は、平坦であるか又は凹構造及び/又は凸構造を備えている。具体的には、第2領域RG2は、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備えている。図2には、一例として、第2領域RG2が平坦面のみからなる場合を描いている。
【0032】
第2領域RG2の見かけ上の面積A2に対する表面積S2の比S2/A2は、第1領域RG1の見かけ上の単位面積A1に対する表面積S1の比S1/A1と比較してより小さい。例えば、第2領域RG2が平坦である場合、この比S2/A2は1に等しい。また、第2領域RG2が複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、この比S2/A2は、1より大きく且つ比S1/A1より小さい。
【0033】
第3領域RG3は、領域RG1及びRG2と隣り合っている。図1及び図2には、一例として、第3領域RG3が第2領域RG2と隣接していると共に、第2領域RG2を間に挟んで第1領域RG1と隣り合っている場合を描いている。
【0034】
第3領域RG3は、典型的には、平坦面からなる。第3領域RG3は、省略してもよい。即ち、レリーフ構造形成層110は、一方の主面に領域RG1及びRG2のみを備えていてもよい。
【0035】
レリーフ構造形成層110と金属又は合金層120との積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分は、光透過性を有している。他方、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより小さい。典型的には、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、遮光性である。また、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には光透過性を有している。従って、積層体100を背面側から照明して、これを前面側から観察した場合、これら各部分は、互いから識別することができる。この光学効果については、後で詳しく説明する。
【0036】
レリーフ構造形成層110は、例えば、微細な凸部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。この際、これら凸部の形状は、例えば第1凹部の形状に対応した形状とする。レリーフ構造形成層110は、例えば、基材上に設けられた熱可塑性樹脂層に、これら凸部が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当てる方法により形成される。或いは、レリーフ構造形成層110は、基材上に設けられた硬化前の熱硬化性樹脂層に、これら凸部が設けられた原版を押し当てながら熱を印加し、その後、原版を取り除く方法により形成されてもよい。或いは、レリーフ構造形成層110は、基材上に紫外線又は電子線硬化樹脂を塗布し、これに原版を押し当てながら基材側から紫外線又は電子線を照射して紫外線又は電子線硬化樹脂を硬化させ、その後、原版を取り除く方法により形成してもよい。
【0037】
これら原版は、例えば、電子線描画装置を用いて製造する。なお、通常は、原版の凹凸構造を転写して反転版を製造し、この反転版の凹凸構造を転写して複製版を製造する。そして、必要に応じ、複製版を原版として用いて反転版を製造し、この反転版の凹凸構造を転写して複製版を更に製造する。実際の製造では、通常、このようにして得られる複製版を使用する。
【0038】
レリーフ構造形成層110は、典型的には、基材と、この基材上に形成された樹脂層とを含んでいる。基材及び樹脂層の材料としては、光透過性の材料を使用する。これら材料は、例えば透明であり、典型的には無色透明である。
【0039】
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリルスチレン共重合体又は塩化ビニルのシート又はフィルムを使用する。
【0040】
樹脂層の材料としては、光透過性樹脂を使用する。例えば、この材料として、ポリカーボネート、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルスチレン共重合体、塩化ビニル、及びポリメタクリル酸メチル等の熱可塑性樹脂を使用する。或いは、この材料として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、エポキシウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂、及びメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用してもよい。或いは、この材料として、アクリルモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート及びポリエステルアクリレート等のオリゴマー、並びに、アクリル、エポキシ及びセルロース系樹脂等の反応性ポリマー等の紫外線又は電子線硬化樹脂を使用してもよい。
【0041】
なお、レリーフ構造形成層110の厚みは、例えば5μm乃至10μmの範囲内とする。
【0042】
金属又は合金層120は、レリーフ構造形成層110の領域RG1乃至RG3のうち領域RG1及びRG2のみを被覆している。即ち、金属又は合金層120は、領域RG1及びRG2の双方を被覆しており、第3領域RG3を被覆していない。
【0043】
金属又は合金層120の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、鉄、クロム、錫、銅、又はこれらの合金を使用する。典型的には、金属又は合金層120の材料として、アルミニウムを使用する。
【0044】
金属又は合金層120のうち第1領域RG1に対応した部分と、金属又は合金層120のうち第2領域RG2に対応した部分とは、典型的には、見かけ上の単位面積当りに含まれている金属又は合金の量が互いに等しい。また、先に説明した通り、比S1/A1は、比S2/A2と比較してより大きい。従って、典型的には、金属又は合金層120のうち第1領域RG1に対応した部分の厚みの平均値は、金属又は合金層120のうち第2領域RG2に対応した部分の厚みの平均値と比較してより小さい。
【0045】
金属又は合金層120は、例えば、領域RG1及びRG2上に、金属又は合金を堆積させることにより形成される。金属又は合金層120の形成は、例えば、以下のようにして行う。即ち、まず、レリーフ構造形成層110の領域RG1乃至RG3上に、金属又は合金を堆積させる。この堆積は、例えば、蒸着及びスパッタリング等の気相堆積法、又は、無電解めっき等の液相堆積法により行う。次に、この堆積により形成された堆積層のレリーフ構造形成層110とは反対側の主面のうち領域RG1及びRG2に対応した部分の上に、マスク層を形成する。その後、エッチング処理を行って、堆積層のうち領域RG3に対応した部分を除去する。このようにして、領域RG1乃至RG3のうち領域RG1及びRG2のみを被覆した金属又は合金層120を得る。
【0046】
マスク層の材料としては、例えば、先にレリーフ構造形成層110の材料として挙げた樹脂を使用することができる。マスク層は、カップリング剤を更に含んでいてもよい。この場合、マスク層と堆積された金属又は合金との密着性を向上させることができる。このカップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系又はアルミ系のカップリング剤を使用する。なお、マスク層の膜厚は、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0047】
エッチング処理は、典型的には、水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液及び水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液を用いて行う。或いは、エッチング処理は、塩酸、硝酸、硫酸及び酢酸等の酸性溶液を用いて行ってもよい。
【0048】
なお、領域RG1及びRG2上に堆積させる金属又は合金の量は、例えば、以下のようにして定める。即ち、領域RG1及びRG2の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の領域RG1及びRG2上における膜厚(以下、設定膜厚という)が、例えば20nm乃至100nmの範囲内となり、典型的には30nm乃至80nmの範囲内となるようにする。この設定膜厚が過度に小さいと、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分の光透過率が過度に大きくなる場合がある。この設定膜厚が過度に大きいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。
【0049】
この表示体10は、前面側又は背面側から白色光で照明し、前面側から観察した場合、例えば、以下に説明する画像を表示する。
【0050】
図4は、図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図5は、図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0051】
この表示体10では、第1領域RG1は正方格子状に配列した複数の第1凹部を備えており、これら複数の第1凹部は回折構造を形成している。そして、この第1領域RG1上には、金属又は合金層120が形成されている。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、回折光を知覚可能な条件下では、この回折光に対応した色を表示し、回折光を知覚不可能な条件下では、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。
【0052】
なお、第1凹部の最大空間周波数が大きい場合、例えばこの最大空間周波数が3000/mm以上の場合には、第1領域RG1は前面側に回折光を射出しないか又は第1領域RG1が前面側に射出する回折光は視感度が低い波長の光のみである。この場合、表示部DP1は、黒色又は暗灰色を表示する。
【0053】
この表示体10では、第2領域RG2は平坦である。そして、この第2領域RG2上には、金属又は合金層120が形成されている。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP2は、金属光沢を有している部分として、例えば銀白色に見える。
【0054】
この表示体10では、第3領域RG3は平坦である。そして、この第3領域RG3上には、金属又は合金層120が形成されていない。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP3は、レリーフ構造形成層110の材料の色又はレリーフ構造形成層110の背面側に存在するものの色を表示する。例えば、この場合、表示部DP3は、白色を表示する。
【0055】
また、先に述べた通り、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより小さい。従って、通常、表示部DP2は、表示部DP1と比較して光透過率がより小さい。この場合、表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察すると、表示部DP1は、表示部DP2と比較してより明るい色を表示する。例えば、表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察すると、表示部DP1は光源色である白色を表示し、表示部DP2は黒色又は暗灰色を表示する。
【0056】
また、先に述べた通り、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には光透過性である。また、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより大きい。従って、表示部DP3は、例えば、光源色である白色を、表示部DP1が表示する白色よりも高い輝度で表示する。
【0057】
このように、表示体10は、回折光及び/又は反射光を観察する場合と、透過光を観察する場合とで、互いに異なったコントラストの画像を表示する。このような特殊な視覚効果は、複写機等による複写によっては再現できない。そして、このような視覚効果は、判別機器を用いることなしに容易に知覚することができる。加えて、このような視覚効果を達成可能とする構造を解析すること及びそのような構造を偽造することは、極めて困難である。即ち、この表示体10は、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有している。
【0058】
なお、上では、第1凹部又は凸部が正方格子状に配列し、第2領域RG2が平坦面からなる場合について説明したが、領域RG1及びRG2の構成はこれには限られない。
【0059】
例えば、第1凹部の配列は、正方格子以外の格子を形成していてもよい。例えば、第1凹部の配列は、矩形格子又は三角格子を形成していてもよい。
【0060】
第1凹部の配列が矩形格子を形成している場合、第1凹部の最大空間周波数は、例えば1500/mm乃至4000/mmの範囲内とする。そして、この最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った第1凹部の空間周波数は、例えば1000/mm以上とする。これら空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。これら空間周波数が過度に大きいと、第1凹部の形成が困難となる。
【0061】
第1領域RG1は、二次元的に配列した第1凹部の代わりに、複数の第1凹部又は凸部として、一次元的に配列した複数の第1溝を備えていてもよい。これら第1溝は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第1溝は、典型的には、回折構造を形成している。
【0062】
第1溝の長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、V字形状及びU字形状等の先細り形状とするか又は矩形状とする。
第1溝が規則的に配列している場合、第1溝の空間周波数、即ち第1溝のピッチの逆数は、例えば5500/mm乃至8000/mmの範囲内にある。この空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。この空間周波数が過度に大きいと、第1溝の形成が困難となる。
【0063】
第1溝のZ方向の寸法、即ち深さDG1は、例えば150nm乃至400nmの範囲内にあり、典型的には200nm乃至300nmの範囲内にある。また、これら第1溝のピッチPG1に対する深さDG1の比DG1/PG1は、例えば0.8乃至3.5の範囲内にあり、典型的には1.0乃至2.0の範囲内にある。
【0064】
なお、第1領域RG1では、一次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部によって、パールグラム(登録商標)を構成してもよい。即ち、第1領域RG1は、赤色、緑色及び青色に対応した空間周波数をそれぞれ有する複数の回折格子セルを含み、これら回折格子セルによって加法混色に基づいた種々の色を表示可能であってもよい。
【0065】
また、第2領域RG2が一次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら凹部又は凸部は、複数の第2溝であってもよい。これら第2溝は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第2溝は、典型的には、回折構造を形成している。
【0066】
第2溝の長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、V字形状及びU字形状等の先細り形状とするか又は矩形状とする。
【0067】
第2溝のZ方向の寸法、即ち深さDG2は、例えば50nm乃至300nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至200nmの範囲内にある。また、これら第2溝のピッチPG2に対する深さDG2の比DG2/PG2は、例えば0.01乃至1.2の範囲内にあり、典型的には0.05乃至1.0の範囲内にある。
【0068】
なお、複数の第1凹部又は凸部が一次元的に配列した複数の第1溝のみからなり且つ第2領域RG2が複数の第2凹部又は凸部として一次元的に配列した複数の第2溝のみを備えている場合、比DG2/PG2は、典型的には、比DG1/PG1と比較してより小さくする。
【0069】
第2領域RG2が規則的に配列した第2溝を備えており且つ第1凹部又は凸部が規則的に配列している場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行な特定の方向に沿った第2溝の間隔と、この特定の方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに等しくする。また、この場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行であり且つ上記の特定の方向に交差する方向に沿った第2溝の間隔と、この方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに異ならしめる。
【0070】
例えば、この場合、第2溝の空間周波数、即ち第2溝のピッチの逆数は、複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の何れかと等しくし、典型的にはそれらの最大空間周波数と等しくする。そして、第2溝の配列方向、即ち第2溝の長さ方向に垂直な方向は、典型的には、複数の第1凹部又は凸部が第2溝と同じ空間周波数で配列している方向と一致させる。例えば、複数の第1凹部又は凸部が矩形格子を形成している場合には、第2溝の空間周波数は、複数の第1凹部又は凸部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向に沿った空間周波数と等しくしてもよい。この場合、第2溝の配列方向は、典型的には、複数の第1凹部又は凸部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向と一致させる。
【0071】
第2領域RG2が一次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら第2凹部又は凸部は、上述したパールグラム(登録商標)を構成していてもよい。
【0072】
第2領域RG2が二次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら凹部又は凸部は、二次元的に且つ規則的に配列した複数の第2凹部であってもよい。
【0073】
この場合、第2凹部の最大空間周波数は、例えば1500/mm未満とし、典型的には300/mm乃至1000/mmの範囲内とする。この最大空間周波数が過度に大きいと、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分の光透過率が過度に大きくなる場合がある。この最大空間周波数が過度に小さいと、表示部DP2は一次回折光を射出しなくなる。
【0074】
第2凹部が二次元的に且つ規則的に配列している場合、第2凹部のZ方向の寸法、即ち深さDR2は、例えば50nm乃至500nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至300nmの範囲内にある。また、この場合、第2凹部の最小ピッチPR2に対する深さDR2の比DR2/PR2は、例えば0.02乃至0.5の範囲内にあり、典型的には0.03乃至0.3の範囲内にある。
【0075】
なお、複数の第1凹部又は凸部が二次元的に配列した複数の第1凹部のみからなり且つ第2領域RG2が二次元的に配列した複数の第2凹部のみを備えている場合、比DR2/PR2は、典型的には、比DR1/PR1と比較してより小さくする。
【0076】
第2領域RG2が二次元的に且つ規則的に配列した複数の第2凹部を備えており且つ第1凹部又は凸部が規則的に配列している場合、例えば、レリーフ構造形成層110の主面に平行な特定の方向に沿った第2凹部の間隔と、この特定の方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに等しくする。また、この場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行であり且つ上記の特定の方向に交差する方向に沿った第2凹部の間隔と、この方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに異ならしめる。
【0077】
即ち、この場合、例えば、これら第2凹部の空間周波数の何れかを複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の何れかと互いに等しくする。そして、典型的には、第2凹部の上記空間周波数に対応した配列方向を第1凹部の上記空間周波数に対応した配列方向と一致させる。
【0078】
図6は、一変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図7は、図6に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0079】
図6及び図7に示す表示体10は、第2領域RG2を平坦面とする代わりに、第2領域RG2に規則的に配列した第2溝を設けたことを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0080】
この表示体10では、第1凹部の最大空間周波数と第2溝の空間周波数とを互いに等しくしている。また、この表示体10では、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向をX及びY方向とし、第2溝の配列方向をY方向としている。即ち、この表示体10では、第2溝の配列方向を第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向の1つと一致させている。
【0081】
このように、この表示体10では、Y方向に沿った第2溝の間隔とY方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに等しくしている。そして、この表示体10では、X方向に沿った第2溝の間隔とX方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに異ならしめている。
【0082】
この表示体10の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、先に図4及び図5を参照しながら説明した色を表示する。そして、Y方向に沿った第1凹部の空間周波数と第2溝の空間周波数とは互いに等しいため、表示部DP2は、表示部DP1と同一又は極めて類似した色を表示する。従って、この観察条件の下では、図6に示すように、表示部DP1とDP2とを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0083】
このように、この表示体10では、特定の観察条件下において、表示部DP1とDP2との対比による画像の視認を不可能又は極めて困難とすることができる。それゆえ、この表示体10では、例えば、文字及び図形等の印刷パターンを設け、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するように、この印刷パターンの上下方向をY方向に一致させれば、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察する際に表示される像の存在を比較的悟られ難くすることができる。
【0084】
また、この表示体10の前面をY方向に対して垂直な方向から照明し、これをY方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、先に図4及び図5を参照しながら説明した色を表示する。他方、表示部DP2は、例えば、表示部DP2が平坦面からなる場合と同様の色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2とを互いから判別することができる。即ち、この観察条件の下では、図7に示すように、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することが可能である。
【0085】
これから明らかなように、この表示体10では、表示体10を前面側から照明し、これを前面側から観察する際に、照明方向及び観察方向を一定としたまま表示体10をその法線の周りで90゜回転させることにより、表示部DP1とDP2との組み合わせが表示する画像を変化させることができる。
【0086】
図6及び図7を参照しながら説明した表示体10は、上記のような追加の視覚効果を有している。それゆえ、この表示体10は、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と比較して更に優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0087】
図8は、他の変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図9は、図8に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0088】
図8及び図9に示す表示体10は、第1領域RG1に正方格子状に配列した第1凹部を設ける代わりに、第1領域RG1に矩形格子状に配列した第1凹部を設けたことを除いては、図6及び図7を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0089】
この表示体10では、一例として、第1凹部の2番目に大きな空間周波数と第2溝の空間周波数とを互いに等しくしている。また、この表示体10では、一例として、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向をX方向とし、2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向をY方向とし、第2溝の配列方向をY方向としている。即ち、この表示体10では、第2溝の配列方向を第1凹部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向と一致させている。
【0090】
このように、この表示体10では、Y方向に沿った第2溝の間隔とY方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに等しくしている。そして、この表示体10では、X方向に沿った第2溝の間隔とX方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに異ならしめている。
【0091】
この表示体10の前面側をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、第1凹部の2番目に大きな空間周波数に対応した色を表示する。また、表示部DP2も、この空間周波数に対応した色を表示する。即ち、この観察条件の下では、図8に示すように、表示部DP2は、表示部DP1と同一又は極めて類似した色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0092】
このように、この表示体10では、特定の観察条件下において、表示部DP1とDP2との対比による画像の視認を不可能又は極めて困難とすることができる。それゆえ、この表示体10では、例えば、文字及び図形等の印刷パターンを設け、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するように、この印刷パターンの上下方向をY方向に一致させれば、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察する際に表示される像の存在を比較的悟られ難くすることができる。
【0093】
また、この表示体10の前面をY方向に対して垂直な方向から照明し、これをY方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、第1凹部の最大空間周波数に対応した色を表示する。そして、表示部DP2は、例えば、表示部DP2が平坦面からなる場合と同様の色を表示する。従って、この観察条件の下では、図9に示すように、表示部DP1とDP2とを互いから判別することができる。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することが可能である。加えて、この観察条件の下で表示部DP1が表示する色は、図8を参照しながら説明した観察条件の下で表示部DP1が表示する色とは異なっている。
【0094】
即ち、この表示体10では、表示体10を前面側から照明し、これを前面側から観察する際に、照明方向及び観察方向を一定としたまま表示体10をその法線の周りで90゜回転させることにより、表示部DP1とDP2との組み合わせが表示する画像を変化させることができる。加えて、この表示体10では、上記の回転により、表示部DP1が表示する色を変化させることができる。
【0095】
更には、この表示体10の第1凹部に採用した矩形格子状の配列は、陽極酸化により得られたポーラスアルミナを型として利用する等の簡易な方法により再現することが困難である。即ち、複数の第1凹部又は凸部が矩形格子状に配列した構成を採用すると、表示体10の偽造がより困難となる。
【0096】
以上の通り、図8及び図9を参照しながら説明した表示体10は、上記のような追加の視覚効果を有していると共に、例えば図6及び図7を参照しながら説明した表示体と比較して、その偽造がより困難である。それゆえ、この表示体10は、特に優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0097】
図10は、更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図である。
【0098】
図10に示す表示体10では、第1領域RG1は、3000/mm以上の最大空間周波数で正方格子状に配列した第1凹部を備えている。また、この表示体10では、第2領域RG2にパールグラム(登録商標)を設けている。
【0099】
図11は、図10に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図12は、図10に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0100】
この表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、黒色又は暗灰色を表示する。また、この観察条件の下では、表示部DP2は、典型的には白色を表示する。
【0101】
この表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、典型的には、光源色である白色を表示する。また、この観察条件の下では、表示部DP2は、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。
【0102】
このように、図10及び図11を参照しながら説明した構成を採用した場合、回折光及び/又は反射光を観察する場合と透過光を観察する場合とで、コントラストが互いに反転した画像を表示させることが可能となる。
【0103】
領域RG1は、複数のサブ領域を備えていてもよい。この場合、これらサブ領域間では、第1凹部又は凸部の配列、空間周波数及び形状等を互いに異ならしめる。また、領域RG2は、複数のサブ領域を備えていてもよい。この場合、これらサブ領域間では、第2凹部又は凸部の有無、これらの配列、空間周波数及び形状等を互いに異ならしめる。
【0104】
図13は、更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す表示体のXIV−XIV線に沿った断面図である。
【0105】
図13及び図14に示す表示体10では、第2領域RG2は、複数の第2凹部又は凸部を備えたサブ領域RG2Aと、平坦面からなるサブ領域RG2Bとを備えている。
【0106】
サブ領域RG2Aは、第1領域RG1と隣接している。サブ領域RG2Bは、サブ領域RG2Aを間に挟んで第1領域RG1と隣り合っている。また、第3領域RG3は、サブ領域RG2Bと隣接していると共に、サブ領域RG2Bを間に挟んで第1領域RG1及びサブ領域RG2Aと隣り合っている。この表示体10のうち、サブ領域RG2A及びRG2Bに対応した部分は、それぞれ、図13に示す表示部DP2A及びDP2Bである。
【0107】
この表示体10では、領域RG1及びRG3は、図1乃至図5を参照しながら説明したのと同様の構成を有している。サブ領域RG2Aは、図6及び図7を参照しながら説明した第2領域RG2と同様の構成を有している。そして、サブ領域RG2Bは、図1乃至図5を参照しながら説明した第2領域RG2と同様の構成を有している。
【0108】
図15は、図13及び図14に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図16は、図13及び図14に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0109】
この表示体10の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に対して垂直な方向から観察すると、図6を参照しながら説明したのと同様の理由により、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。即ち、この観察条件の下では、図15に示すように、表示部DP1とDP2Aとの対比による画像を視認することが不可能であるか又は非常に困難である。また、この観察条件の下では、表示部DP2B及びDP3は、それぞれ、図1乃至図5を参照しながら説明した表示部DP2及びDP3と同様の色を表示する。
【0110】
従って、この観察条件の下では、典型的には、表示部DP1とDP2Aとは同一又は極めて類似した色を表示し、これら表示部DP1及びDP2Aと表示部DP2Bと表示部DP3とは、互いに異なった色を表示する。それゆえ、図15に示すように、表示体10は、表示部DP2Bを背景として、表示部DP1及びDP2Aの組み合わせによる画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0111】
この表示体10を背面側から照明し、これを前面側から観察した場合、先に図1乃至図5を参照しながら説明した表示体の場合と同様に、表示部DP1及びDP3は、典型的には光源色である白色を表示し、表示部DP2A及びDP2Bは、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとの対比による画像を視認することが可能である。具体的には、図16に示すように、表示体10は、表示部DP2A及びDP2Bを背景として、表示部DP1による画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0112】
このように、この表示体10は、特定の観察条件下で回折光及び/又は反射光を観察する場合には、表示部DP1及びDP2Aの組み合わせによる画像と表示部DP3による画像とを表示する。他方、この表示体10は、透過光を観察する場合には、表示部DP1による画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0113】
以上の通り、表示部DP2が複数の表示部からなる構成を採用すると、表示部DP2が単一の表示部からなる場合と比較してより複雑な視覚効果を達成し得る。即ち、この表示体10は、より優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0114】
なお、図示は省略するが、表示体10は、第1凹部又は凸部が不規則的に配列しており且つ第2領域RG2が不規則的に配列した第2凹部又は凸部を備えた構成を有していてもよい。
【0115】
この場合、表示体10を前面側から照明し且つ前面側から観察すると、表示部DP1及びDP2の各々は、典型的には、散乱光に基づいた色を表示する。即ち、この観察条件の下では、例えば、表示部DP1及びDP2の双方が白色を表示する。よって、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0116】
他方、この場合、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察すると、表示部DP1は、表示部DP2と比較してより明るい色を表示する。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することが可能である。
従って、このような構成を採用することによっても、優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0117】
図17は、本発明の他の態様に係る表示体の一例を示す断面図である。
【0118】
図17に示す表示体10は、レリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った光散乱層130を更に備えていることを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0119】
このような構成を採用すると、光散乱層130の光散乱性に起因して、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合に、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し、これを前面側から観察した場合に表示される像の存在をより悟られ難くすることができる。従って、このような構成を採用すると、更に優れた偽造防止効果を達成できる。
【0120】
光散乱層130の材料としては、例えば、酸化チタン粒子等の無機酸化物粒子を樹脂に分散させた白色インキを使用することができる。或いは、光散乱層130の材料として、セルロース繊維を使用してもよい。即ち、光散乱層130は、紙であってもよい。この場合、光散乱層130は、例えば、セルロース繊維と分散媒とを含んだ分散液から分散媒を除去することにより得られる。
【0121】
なお、図17では、光散乱層130がレリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った場合を描いているが、表示体10における光散乱層130の配置はこれに限られない。
【0122】
例えば、光散乱層130は、金属又は合金層120を間に挟んでレリーフ構造形成層110と向き合っていてもよい。
【0123】
このような構成を採用すると、表示体10を背面側から照明し且つ背面側から観察した場合に、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される像の存在をより悟られ難くすることができる。
【0124】
また、このような構成を採用すると、レリーフ構造形成層110及び/又は金属又は合金層120の表面が露出しないようにできる。レリーフ構造形成層110の表面の形状は、通常、金属又は合金層120と外界との界面の形状とほぼ等しい。そのため、このような構成を採用することにより、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0125】
或いは、光散乱層130は、積層体100の両主面を被覆していてもよい。即ち、表示体10は、レリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った第1光散乱層と、金属又は合金層120を間に挟んでレリーフ構造形成層110と向き合った第2光散乱層とを備えていてもよい。
【0126】
このような構成を採用すると、表示体10を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合と、表示体10を背面側から照明し且つ背面側から観察した場合との双方において、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される像の存在を更に悟られ難くすることができる。加えて、こうすると、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0127】
以上において説明した表示体10は、粘着ラベル及び転写箔等の一部として使用してもよい。
【0128】
図18は、本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。
【0129】
粘着ラベル20は、表示体10と、表示体10上に設けられた粘着層140とを備えている。図18には、一例として、図2に示す表示体10の背面上に粘着層140が設けられている場合を示している。
【0130】
粘着層140を設けると、レリーフ構造形成層110及び/又は金属又は合金層120の表面が露出しないようにできる。レリーフ構造形成層110の表面の形状は、通常、金属又は合金層120と外界との界面の形状とほぼ等しい。そのため、表示体10を粘着ラベル20の一部として使用することにより、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0131】
粘着層140の材料としては、例えば、感圧接着剤を使用する。粘着層140は、例えば、この接着剤と溶媒との混合物を、グラビアコート、ロールコート、スクリーンコート及びブレードコート等の方法により塗布することによって形成する。なお、粘着層140の厚みは、例えば1μm乃至10μmの範囲内とする。
【0132】
この粘着ラベル20は、例えば、真正さが確認されるべき物品に貼り付けるか、或いは、そのような物品に取り付けられるべきタグの基材等の他の物品に貼り付ける。これにより、当該物品に偽造防止効果を付与することができる。
【0133】
なお、表示体10と粘着層140との間に脆性層を更に設けることにより、粘着ラベル20に貼替え防止機能を付与することもできる。これにより、更に高い偽造防止効果を達成できる。
【0134】
図19は、本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図である。
【0135】
転写箔30は、表示体10と、表示体10を剥離可能に支持した支持体層150とを備えている。図9には、一例として、金属又は合金層120及び支持体層150間に剥離層160が設けられ且つレリーフ構造形成層110の背面上に接着層170が設けられている場合を描いている。
【0136】
支持体層150は、例えば、樹脂からなるフィルム又はシートである。支持体層150の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は塩化ビニル樹脂を使用する。
【0137】
剥離層160は、転写箔30を被転写体に転写する際の支持体層150の剥離を容易にする役割を担っている。剥離層160の材料としては、例えば、先にレリーフ構造形成層110の材料として挙げた樹脂を使用する。剥離層160は、パラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス及びシリコーン等の添加剤を更に含んでいてもよい。なお、剥離層160の厚みは、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0138】
接着層170の材料としては、例えば、反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト型接着剤、電子線硬化型接着剤及び感熱接着剤等の接着剤を使用する。
【0139】
反応硬化性接着剤としては、例えば、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン及びアクリルウレタン等のポリウレタン系樹脂、又は、エポキシ樹脂を使用する。
【0140】
溶剤揮散型接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂及びウレタン樹脂等を含んだ水性エマルジョン型接着剤、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂等を含んだラテックス型接着剤を使用する。
【0141】
ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂及びポリウレタン樹脂等をベース樹脂として含んだものを使用する。
【0142】
電子線硬化型接着剤としては、例えば、アクリロイル基、アリル基及びビニル基等のビニル系官能基を1個又は複数個有したオリゴマーを主成分として含んだものを使用する。例えば、電子線硬化型接着剤として、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレートと、接着付与剤との混合物を使用することができる。この接着付与剤としては、例えば、リンを含んだアクリレート若しくはその誘導体、又は、カルボキシ基を含んだアクリレート若しくはその誘導体を使用する。
【0143】
感熱接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を使用する。
【0144】
この転写箔30は、例えば、ロール転写機又はホットスタンプによって、被転写体に転写される。この際、支持体層150と剥離層160との界面において剥離を生じると共に、表示体10が、被転写体に、接着層170を介して貼付される。
【0145】
上述したように、表示体10は、優れた偽造防止効果を有している。従って、表示体10を物品に支持させた場合、真正品であるこの表示体付き物品の偽造も困難である。また、この表示体10は上述した視覚効果を有しているため、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。
【0146】
図20は、表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図である。図20には、表示体付き物品の一例として、印刷物40を描いている。この印刷物40は、商品券であって、印刷物本体200を含んでいる。
【0147】
印刷物本体200は、基材210を含んでいる。基材210は、例えば、少なくとも表示体10に対応した部分が光透過性を有している紙である。基材210上には、印刷層220が形成されている。基材210の印刷層220が形成された面には、上述した表示体10が固定されている。表示体10は、例えば、粘着層又は接着層を介して貼り付けることにより、基材210に固定する。図20には、表示体10の一例として、図1乃至図9を参照しながら説明した表示体を描いている。
【0148】
なお、印刷物40では、印刷層220が形成している印刷パターンの上下方向と表示体10の上下方向との双方をY方向に一致させて、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するようにしている。
【0149】
印刷物40は、表示体10を含んでいるため、その偽造は困難である。また、この印刷物40は、表示体10を含んでいるため、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。
【0150】
なお、図20には、表示体10を含んだ印刷物40として商品券を例示しているが、表示体10を含んだ印刷物は、これに限られない。例えば、表示体10を含んだ印刷物は、株券等の他の有価証券であってもよい。
【0151】
或いは、表示体10を含んだ印刷物は、ID(identification)カード、磁気カード、無線カード及びIC(integrated circuit)カード等のカードであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品に取り付けられるべきタグであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品を収容する包装体又はその一部であってもよい。これらの場合、基材210の材料としては、例えば、光透過性を有したプラスチックを使用する。
【0152】
図20に示す印刷物40では、表示体10を基材210に貼り付けているが、表示体10は、他の方法で基材210に支持させてもよい。
【0153】
例えば、基材210として紙を使用する場合、表示体10をこの紙の内部に埋め込んでもよい。例えば、基材210として紙を使用する場合、表示体10をこの紙の内部に漉き込んでもよい。このような構成を採用すると、紙の光散乱性に起因して、表示体10を前面側から観察した場合における表示部DP1とDP2との識別がより困難となる。即ち、この場合、基材210としての紙は、図17を参照しながら説明した表示体10における光散乱層130として機能し得る。従って、このような構成を採用すると、特に優れた偽造防止効果を達成できる。また、このような構成を採用すると、表示体10が基材210から脱落し難くなる。
【0154】
なお、このような構成を採用する場合、表示体10としては、典型的には、スレッド状に加工したものを使用する。そして、このスレッド状に加工した表示体10の金属又は合金層120の主面のうちレリーフ構造形成層110とは反対側の主面上には、典型的には、上述したホットメルト型接着剤を塗布する。
【0155】
表示体10の紙の内部への埋め込みは、例えば、以下のようにして行う。
【0156】
まず、セルロース繊維と分散媒とからなる紙料を準備する。次に、二槽式円網抄紙機を用いて、この紙料を漉いてなる2つの未乾燥の繊維層を作製する。そして、これら2つの繊維層を重ね合わせる際に、これら繊維層の間に上記の表示体10を送り出す。その後、2つの繊維層と、それらの間に介在した表示体10との積層構造を乾燥処理に供する。次いで、必要に応じて裁断を行う。このようにして、内部に表示体10が埋め込まれた紙を得る。
【0157】
或いは、表示体10の紙の内部への埋め込みは、以下のようにして行ってもよい。
【0158】
例えば、この埋め込みは、長網抄紙機を用いて行ってもよい。具体的には、まず、セルロース繊維と分散媒とからなる紙料の流れの中に、分散媒中に分散させた上記の表示体10をノズルを介して導入する。このようにして、抄紙網上に形成される紙匹中に表示体10を埋め込む。その後、これを乾燥処理に供する。次いで、必要に応じて裁断を行う。このようにして、内部に表示体10が埋め込まれた紙を得る。
【0159】
基材210として紙を使用する場合、この紙は、表示体10に対応した位置の全体又は一部において開口させてもよい。
【0160】
図21は、表示体付き物品の他の例を概略的に示す平面図である。
【0161】
図21に示す表示体付き物品は印刷物40であり、その基材210は紙からなる。そして、この紙の内部には、表示体10が埋め込まれている。加えて、この紙の表示体10に対応した位置の一部には、開口APが設けられている。即ち、これら開口APの各々において、表示体10の一部が外界に露出している。なお、図21には、表示体10の一例として、図10乃至図12を参照しながら説明した表示体を描いている。
【0162】
このような構成を採用すると、印刷物40を表示体10の前面側から照明し且つ前面側から観察した際に、以下のような視覚効果が得られる。即ち、表示部DP1のうち紙の内部に埋め込まれている部分は、紙の光散乱性に起因して、表示部DP1のうち開口APにおいて外界に露出している部分と比較してより視認し難くなる。他方、表示部DP1のうち開口APにおいて外界に露出している部分は、表示体10が外界に露出している場合と同様の視認性を有している。加えて、このような構成を採用すると、表示体10が基材210から脱落し難くなる。
【0163】
基材210の材料としては、紙以外の材料を使用してもよい。例えば、この材料として、少なくとも表示体10に対応した部分が光透過性を有している樹脂を使用してもよい。この場合、表示体10は、基材210の内部に埋め込んでもよい。或いは、基材210の少なくとも表示体10に対応した部分の光散乱性が小さい場合、例えばこの部分が透明である場合、基材210の裏面、即ち印刷層220が設けられている面とは反対側の面に表示体10を固定してもよい。
【0164】
表示体付き物品は、印刷物でなくてもよい。即ち、印刷層を含んでいない物品に表示体10を支持させてもよい。
【0165】
表示体10は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体10は、玩具、学習教材又は装飾品としても使用することができる。
【実施例】
【0166】
<例1:表示体D1の製造>
図1乃至図5を参照しながら説明した表示体10を、以下のようにして製造した。
【0167】
まず、PETフィルム上に、紫外線硬化樹脂を塗布した。次いで、版面に複数の凸部が設けられた原版を先の塗膜に押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化樹脂を硬化させた。その後、原版を取り除いた。このようにして、レリーフ構造形成層110を得た。
【0168】
このレリーフ構造形成層110では、第1領域RG1に、正方格子状に配列した複数の第1凹部を設けた。これら第1凹部の形状は、回転放物面形状とした。これら第1凹部の最大空間周波数は1000/mmとした。そして、これら第1凹部の深さDR1は300nmとした。なお、第2領域RG2は、平坦面とした。
【0169】
次に、レリーフ構造形成層110の領域RG1及びRG2が設けられた主面上に、アルミニウムを蒸着法により堆積させた。この際、設定膜厚は、50nmとした。その後、得られた堆積層のうち領域RG1及びRG2に対応した部分の上に、マスク層を形成した。次いで、水酸化ナトリウムの水溶液を用いてエッチング処理を行った。このようにして、レリーフ構造形成層110の領域RG1及びRG2上に、アルミニウムからなる金属層120を形成した。
【0170】
以上のようにして、表示体10を得た。以下、この表示体を「表示体D1」と呼ぶ。
【0171】
<例2:表示体D2の製造>
第1凹部の最大空間周波数を1500/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D2」と呼ぶ。
【0172】
<例3:表示体D3の製造>
第1凹部の最大空間周波数を2000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D3」と呼ぶ。
【0173】
<例4:表示体D4の製造>
第1凹部の最大空間周波数を3000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D4」と呼ぶ。
【0174】
<例5:表示体D5の製造>
第1凹部の最大空間周波数を4000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D5」と呼ぶ。
【0175】
<例6:表示体D6の製造>
第1凹部の最大空間周波数を5000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D6」と呼ぶ。
【0176】
<例7:表示体D7の製造>
第1凹部の配列を矩形格子状とし、その最大空間周波数(以下、空間周波数SF1という)を1500/mmとし、その2番目に大きな空間周波数、即ち最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った空間周波数(以下、空間周波数SF2という)を1000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D7」と呼ぶ。
【0177】
<例8:表示体D8の製造>
空間周波数SF1を2000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D8」と呼ぶ。
【0178】
<例9:表示体D9の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D9」と呼ぶ。
【0179】
<例10:表示体D10の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D10」と呼ぶ。
【0180】
<例11:表示体D11の製造>
空間周波数SF1を2000/mmとすると共に、空間周波数SF2を1500/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D11」と呼ぶ。
【0181】
<例12:表示体D12の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとしたこと以外は、表示体D11と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D12」と呼ぶ。
【0182】
<例13:表示体D13の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D11と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D13」と呼ぶ。
【0183】
<例14:表示体D14の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとすると共に、空間周波数SF2を2000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D14」と呼ぶ。
【0184】
<例15:表示体D15の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D14と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D15」と呼ぶ。
【0185】
<例16:表示体D16の製造>
空間周波数SF2を3000/mmとしたこと以外は、表示体D15と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D16」と呼ぶ。
【0186】
<例17:表示体D17の製造>
第1領域RG1が規則的に配列した複数の第1溝を備えた構成を採用し、その最大空間周波数を5000/mmとし、その深さDG1を300nmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D17」と呼ぶ。
【0187】
<例18:表示体D18の製造>
第1溝の空間周波数を5500/mmとしたこと以外は、表示体D17と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D18」と呼ぶ。
【0188】
<例19:表示体D19の製造>
第1溝の空間周波数を6000/mmとしたこと以外は、表示体D17と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D19」と呼ぶ。
【0189】
<空間周波数とコントラストとの関係>
複数の第1凹部又は凸部の空間周波数と、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、表示体D1乃至D19の各々の背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0190】
表1には、上記のコントラストを「◎」、「○」、「△」及び「×」の4段階で評価した結果を示している。ここで「◎」は上記のコントラストが極めて明瞭であることを意味し、「○」は上記のコントラストが明瞭であることを意味し、「△」は上記のコントラストが明瞭ではないが認識可能であることを意味し、「×」は上記のコントラストが認識不可能であることを意味している。
【0191】
表1に示す結果から分かるように、表示体D1乃至D19の全てにおいて、上記のコントラストが認識可能であった。特に、表示体D2乃至D5は、表示体D1及びD6と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。また、表示体D2乃至D4は、表示体D5と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。そして、表示体D11、D12及びD14は、表示体D7乃至D10、D13、D15及びD16と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。また、表示体D18及びD19は、表示体D17と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。
【0192】
<例20:表示体D20の製造>
第1凹部の最大空間周波数を2500/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D20」と呼ぶ。
【0193】
<例21:表示体D21の製造>
アルミニウムの設定膜厚を20nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D21」と呼ぶ。
【0194】
<例22:表示体D22の製造>
アルミニウムの設定膜厚を30nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D22」と呼ぶ。
【0195】
<例23:表示体D23の製造>
アルミニウムの設定膜厚を40nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D23」と呼ぶ。
【0196】
<例24:表示体D24の製造>
アルミニウムの設定膜厚を60nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D24」と呼ぶ。
【0197】
<例25:表示体D25の製造>
アルミニウムの設定膜厚を70nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D25」と呼ぶ。
【0198】
<例26:表示体D26の製造>
アルミニウムの設定膜厚を80nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D26」と呼ぶ。
【0199】
<例27:表示体D27の製造>
アルミニウムの設定膜厚を90nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D27」と呼ぶ。
【0200】
<例28:表示体D28の製造>
アルミニウムの設定膜厚を100nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D28」と呼ぶ。
【0201】
<設定膜厚とコントラストとの関係>
金属又は合金層120の設定膜厚と、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、D20乃至D28の各々の背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0202】
表2には、上記のコントラストを「◎」、「○」、「△」及び「×」の4段階で評価した結果を示している。これら記号の意味は、先に表1について述べたのと同様である。
【0203】
表2から分かるように、表示体D20乃至D28の全てにおいて、上記のコントラストが認識可能であった。特に、表示体D20及びD22乃至D26は、表示体D21、D27及びD28と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。
【0204】
<例29:表示体D29の製造>
第2領域RG2に規則的に配列した複数の第2溝を設けたことを除いては、表示体D4と同様の表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D29」と呼ぶ。
【0205】
この表示体D29では、第2溝の空間周波数は3000/mmとした。即ち、第2溝の空間周波数と第1凹部の最大空間周波数とを一致させた。また、第2溝の空間周波数に対応した配列方向をY方向とし、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向もY方向とした。即ち、第2溝の空間周波数に対応した配列方向と第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向とを一致させた。そして、第2溝の深さDG2は、第1凹部の深さDR1と一致させた。
【0206】
<第1及び第2領域の構造とコントラストとの関係>
第1及び第2領域の構造と、表示体10を前面側及び背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、表示体D4及びD29の各々の前面及び背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。
【0207】
まず、表示体D4及びD29を前面側から照明し、これらを前面側から観察した。より具体的には、表示体D4及びD29の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これら表示体をX方向に対して垂直な方向から観察した。その結果、表示体D29では、表示体D4と比較して、表示部DP1及びDP2のコントラストがより不明瞭であり、表示部DP1とDP2との間の識別がより困難であった。
【0208】
次に、表示体D4及びD29を背面側から照明し、これらを前面側から観察した。その結果、表示体D29は、表示体D4と比較して、表示部DP1及びDP2のコントラストがやや不明瞭であった。しかしながら、この観察条件の下では、表示体D29においても、表示部DP1とDP2とのコントラストを十分に認識することができた。即ち、この観察条件の下では、表示体D29においても、表示部DP1とDP2とを互いから識別することができた。
【符号の説明】
【0209】
10…表示体、20…粘着ラベル、30…転写箔、40…印刷物、100…積層体、110…レリーフ構造形成層、120…金属又は合金層、130…光散乱層、140…粘着層、150…支持体層、160…剥離層、170…接着層、200…印刷物本体、210…基材、220…印刷層、AP…開口、DP1…表示部、DP2…表示部、DP2A…表示部、DP2B…表示部、DP3…表示部、RG1…第1領域、RG2…第2領域、RG2A…サブ領域、RG2B…サブ領域、RG3…第3領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オバート技術は、一般のユーザが物品への適用を容易に認めることができ且つ顕微鏡等の判別機器を使用することなしに容易に真偽判定をすることができる偽造防止技術である。オバート技術では、ホログラム及び回折格子等の回折構造を利用することがある。
【0003】
回折構造には、以下の特徴がある。即ち、回折構造は、印刷では再現できない特殊な視覚効果を提供することを可能とする。また、回折構造の製造には電子線描画及びナノインプリント等の特殊な技術が必要であるため、このような回折構造の偽造は困難である。
【0004】
このように、回折構造はオバート技術にとって有利な特徴を有している。それゆえ、紙幣、証券及びクレジットカード等の物品の多くは、その偽造の防止を目的として、回折構造を含んだ表示体を支持している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、近年、回折構造を含んだ表示体を支持させた物品について、偽造品の流通が問題となりつつある。このような偽造品の大半は、これが支持している表示体を、顕微鏡等の判別機器を用いて解析すれば、真正品と判別することが可能である。しかしながら、この場合、回折構造を含んだ表示体の利点であるオバート機能が損なわれてしまう。
【0006】
また、表示体に、偏光板、ブラックライト及び赤外線カメラ等の他の判別機器を利用した偽造防止技術を更に適用することによっても、偽造品と真正品との判別が可能となり得る。しかしながら、この場合も、偽造品と真正品との判別のために、判別機器が必要となる。
【0007】
紙幣等の偽造を防止するために利用可能なオバート技術として、紙の密度差による透過率の相違を利用した紙透かし技術がある。この紙透かし技術が適用された紙媒体では、肉眼での観察により、偽造品と真正品との判別を比較的容易に行うことが可能である。即ち、このような紙透かし技術を用いれば、優れたオバート機能を達成し得る。
【0008】
しかしながら、紙の密度差に基づいた紙透かし技術を適用した紙媒体を日本国内で許可なく製造することは、すき入紙製造取締法によって禁じられている。それゆえ、日本国内においては、このような原理に基づいた紙透かし技術を紙媒体の偽造防止手段として自由に採用することはできない。しかも、日本以外の国の一部では、紙媒体の偽造防止手段として紙の密度差に基づいた紙透かし技術を適用することが一般的となりつつある。それゆえ、上記の紙透かし技術に取って代わり得る新たな偽造防止技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−191604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有した表示体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面によると、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、前記第1領域と前記第2領域との双方を被覆した金属又は合金層との積層体を具備し、前記積層体のうち前記第1領域に対応した部分は、前記積層体のうち前記第2領域に対応した部分と比較して光透過率がより大きい表示体が提供される。
【0012】
本発明の第2側面によると、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、前記第1及び第2領域上に、前記第1及び第2領域の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の膜厚が20nm乃至100nmの範囲内となるような量の金属又は合金を堆積させることにより形成される金属又は合金層とを具備した表示体が提供される。
【0013】
本発明の第3側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体上に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0014】
本発明の第4側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔が提供される。
【0015】
本発明の第5側面によると、第1又は第2側面に係る表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備した表示体付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有した表示体を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す表示体の界面部に採用可能な構造の一例を示す斜視図。
【図4】図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図5】図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図6】一変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図7】図6に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図。
【図8】他の変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図
【図9】図8に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図。
【図10】更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図11】図10に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図12】図10に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図13】更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図14】図13に示す表示体のXIV−XIV線に沿った断面図。
【図15】図13及び図14に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図16】図13及び図14に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図。
【図17】本発明の他の態様に係る表示体の一例を示す断面図。
【図18】本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図。
【図19】本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図。
【図20】表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図。
【図21】表示体付き物品の他の例を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1及び図2に示す表示体の第1領域に採用可能な構造の一例を示す斜視図である。図1乃至図3では、表示体10の主面に平行であり且つ互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、表示体10の主面に垂直な方向をZ方向としている。
なお、図1では、表示体10をその前面側から観察した様子を描いている。他方、図3では、表示体10のうち参照符号DP1で示す表示部をその背面側から観察した様子を描いている。
【0020】
この表示体10は、図2及び図3に示すように、レリーフ構造形成層110と金属又は合金層120との積層体100を含んでいる。ここでは、一例として、レリーフ構造形成層110側を前面側とし、金属又は合金層120側を背面側とするが、レリーフ構造形成層110側を背面側とし、金属又は合金層120側を前面側としてもよい。
【0021】
レリーフ構造形成層110の金属又は合金層120側の主面は、第1領域RG1と第2領域RG2と第3領域RG3とからなる。表示体10のうち、領域RG1、RG2及びRG3に対応した部分は、それぞれ、図1に示す表示部DP1、DP2及びDP3である。後述するように、表示部DP1は、通常、表示部DP2と比較して、光透過率がより大きい。また、表示部DP3は、通常、表示部DP1と比較して、光透過率がより大きい。
【0022】
第1領域RG1は、凹構造及び/又は凸構造を備えている。具体的には、第1領域RG1は、一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えている。ここでは、一例として、第1領域RG1は、二次元的に配列した複数の第1凹部を備えているとする。
【0023】
二次元的に配列した第1凹部は、典型的には、先細りしている。例えば、これら第1凹部は、円錐、角錐、円錐台、角錐台、楕円放物面又は回転放物面形状を有している。第1凹部の側壁は、滑らかであってもよく、階段状であってもよい。或いは、第1凹部は、円柱及び角柱状等の柱状であってもよい。ここでは、一例として、第1凹部は回転放物面形状を有しているとする。
【0024】
第1凹部は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第1凹部は、典型的には、回折格子及びホログラム等の回折構造を形成している。ここでは、一例として、第1凹部は、X方向とY方向とに沿って正方格子状に配列しており、回折格子を形成しているとする。
【0025】
第1凹部の最大空間周波数、即ち第1凹部の最小ピッチPR1の逆数は、例えば1500/mm乃至4000/mmの範囲内とする。この最大空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。この最大空間周波数が過度に大きいと、第1凹部の形成が困難となる。
【0026】
なお、第1凹部の先端の位置は、第1凹部の開口の位置と比較してばらつきを生じ易い。従って、第1凹部の空間周波数は、第1凹部の開口が形成している配列に基づいて決定する。
【0027】
第1凹部のZ方向の寸法、即ち深さDR1は、例えば50nm乃至500nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至300nmの範囲内にある。第1凹部の最小ピッチPR1に対する深さDR1の比DR1/PR1は、例えば0.2乃至2.0の範囲内にあり、典型的には0.4乃至1.2の範囲内にある。比DR1/PR1を小さくすると、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が小さくなる。比DR1/RR1を大きくすると、第1凹部を高い形状精度で形成することが比較的困難となる。
【0028】
第1領域RG1の見かけ上の面積A1に対する第1領域RG1の表面積S1の比S1/A1は1より大きく、例えば1.2以上であり、典型的には1.4以上である。この比S1/A1が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。また、この比S1/A1は、例えば5.0以下とし、典型的には4.0以下とする。この比S1/A1が過度に大きいと、第1凹部を高い形状精度で形成することが比較的困難となる。
【0029】
なお、ここでは、領域の「見かけ上の面積」とは、当該領域に平行な平面への当該領域の正射影の面積、即ち、凹構造及び凸構造を無視した当該領域の面積を意味することとする。また、領域の「表面積」とは、凹構造及び凸構造を考慮した当該領域の面積を意味することとする。
【0030】
第2領域RG2は、第1領域RG1と隣り合っている。図1及び図2には、一例として、第2領域RG2が第1領域RG1と隣接している場合を描いている。
【0031】
第2領域RG2は、平坦であるか又は凹構造及び/又は凸構造を備えている。具体的には、第2領域RG2は、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備えている。図2には、一例として、第2領域RG2が平坦面のみからなる場合を描いている。
【0032】
第2領域RG2の見かけ上の面積A2に対する表面積S2の比S2/A2は、第1領域RG1の見かけ上の単位面積A1に対する表面積S1の比S1/A1と比較してより小さい。例えば、第2領域RG2が平坦である場合、この比S2/A2は1に等しい。また、第2領域RG2が複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、この比S2/A2は、1より大きく且つ比S1/A1より小さい。
【0033】
第3領域RG3は、領域RG1及びRG2と隣り合っている。図1及び図2には、一例として、第3領域RG3が第2領域RG2と隣接していると共に、第2領域RG2を間に挟んで第1領域RG1と隣り合っている場合を描いている。
【0034】
第3領域RG3は、典型的には、平坦面からなる。第3領域RG3は、省略してもよい。即ち、レリーフ構造形成層110は、一方の主面に領域RG1及びRG2のみを備えていてもよい。
【0035】
レリーフ構造形成層110と金属又は合金層120との積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分は、光透過性を有している。他方、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより小さい。典型的には、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、遮光性である。また、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には光透過性を有している。従って、積層体100を背面側から照明して、これを前面側から観察した場合、これら各部分は、互いから識別することができる。この光学効果については、後で詳しく説明する。
【0036】
レリーフ構造形成層110は、例えば、微細な凸部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。この際、これら凸部の形状は、例えば第1凹部の形状に対応した形状とする。レリーフ構造形成層110は、例えば、基材上に設けられた熱可塑性樹脂層に、これら凸部が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当てる方法により形成される。或いは、レリーフ構造形成層110は、基材上に設けられた硬化前の熱硬化性樹脂層に、これら凸部が設けられた原版を押し当てながら熱を印加し、その後、原版を取り除く方法により形成されてもよい。或いは、レリーフ構造形成層110は、基材上に紫外線又は電子線硬化樹脂を塗布し、これに原版を押し当てながら基材側から紫外線又は電子線を照射して紫外線又は電子線硬化樹脂を硬化させ、その後、原版を取り除く方法により形成してもよい。
【0037】
これら原版は、例えば、電子線描画装置を用いて製造する。なお、通常は、原版の凹凸構造を転写して反転版を製造し、この反転版の凹凸構造を転写して複製版を製造する。そして、必要に応じ、複製版を原版として用いて反転版を製造し、この反転版の凹凸構造を転写して複製版を更に製造する。実際の製造では、通常、このようにして得られる複製版を使用する。
【0038】
レリーフ構造形成層110は、典型的には、基材と、この基材上に形成された樹脂層とを含んでいる。基材及び樹脂層の材料としては、光透過性の材料を使用する。これら材料は、例えば透明であり、典型的には無色透明である。
【0039】
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリルスチレン共重合体又は塩化ビニルのシート又はフィルムを使用する。
【0040】
樹脂層の材料としては、光透過性樹脂を使用する。例えば、この材料として、ポリカーボネート、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルスチレン共重合体、塩化ビニル、及びポリメタクリル酸メチル等の熱可塑性樹脂を使用する。或いは、この材料として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、エポキシウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂、及びメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用してもよい。或いは、この材料として、アクリルモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート及びポリエステルアクリレート等のオリゴマー、並びに、アクリル、エポキシ及びセルロース系樹脂等の反応性ポリマー等の紫外線又は電子線硬化樹脂を使用してもよい。
【0041】
なお、レリーフ構造形成層110の厚みは、例えば5μm乃至10μmの範囲内とする。
【0042】
金属又は合金層120は、レリーフ構造形成層110の領域RG1乃至RG3のうち領域RG1及びRG2のみを被覆している。即ち、金属又は合金層120は、領域RG1及びRG2の双方を被覆しており、第3領域RG3を被覆していない。
【0043】
金属又は合金層120の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、鉄、クロム、錫、銅、又はこれらの合金を使用する。典型的には、金属又は合金層120の材料として、アルミニウムを使用する。
【0044】
金属又は合金層120のうち第1領域RG1に対応した部分と、金属又は合金層120のうち第2領域RG2に対応した部分とは、典型的には、見かけ上の単位面積当りに含まれている金属又は合金の量が互いに等しい。また、先に説明した通り、比S1/A1は、比S2/A2と比較してより大きい。従って、典型的には、金属又は合金層120のうち第1領域RG1に対応した部分の厚みの平均値は、金属又は合金層120のうち第2領域RG2に対応した部分の厚みの平均値と比較してより小さい。
【0045】
金属又は合金層120は、例えば、領域RG1及びRG2上に、金属又は合金を堆積させることにより形成される。金属又は合金層120の形成は、例えば、以下のようにして行う。即ち、まず、レリーフ構造形成層110の領域RG1乃至RG3上に、金属又は合金を堆積させる。この堆積は、例えば、蒸着及びスパッタリング等の気相堆積法、又は、無電解めっき等の液相堆積法により行う。次に、この堆積により形成された堆積層のレリーフ構造形成層110とは反対側の主面のうち領域RG1及びRG2に対応した部分の上に、マスク層を形成する。その後、エッチング処理を行って、堆積層のうち領域RG3に対応した部分を除去する。このようにして、領域RG1乃至RG3のうち領域RG1及びRG2のみを被覆した金属又は合金層120を得る。
【0046】
マスク層の材料としては、例えば、先にレリーフ構造形成層110の材料として挙げた樹脂を使用することができる。マスク層は、カップリング剤を更に含んでいてもよい。この場合、マスク層と堆積された金属又は合金との密着性を向上させることができる。このカップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系又はアルミ系のカップリング剤を使用する。なお、マスク層の膜厚は、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0047】
エッチング処理は、典型的には、水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液及び水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液を用いて行う。或いは、エッチング処理は、塩酸、硝酸、硫酸及び酢酸等の酸性溶液を用いて行ってもよい。
【0048】
なお、領域RG1及びRG2上に堆積させる金属又は合金の量は、例えば、以下のようにして定める。即ち、領域RG1及びRG2の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の領域RG1及びRG2上における膜厚(以下、設定膜厚という)が、例えば20nm乃至100nmの範囲内となり、典型的には30nm乃至80nmの範囲内となるようにする。この設定膜厚が過度に小さいと、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分の光透過率が過度に大きくなる場合がある。この設定膜厚が過度に大きいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。
【0049】
この表示体10は、前面側又は背面側から白色光で照明し、前面側から観察した場合、例えば、以下に説明する画像を表示する。
【0050】
図4は、図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図5は、図1乃至図3を参照しながら説明した表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0051】
この表示体10では、第1領域RG1は正方格子状に配列した複数の第1凹部を備えており、これら複数の第1凹部は回折構造を形成している。そして、この第1領域RG1上には、金属又は合金層120が形成されている。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、回折光を知覚可能な条件下では、この回折光に対応した色を表示し、回折光を知覚不可能な条件下では、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。
【0052】
なお、第1凹部の最大空間周波数が大きい場合、例えばこの最大空間周波数が3000/mm以上の場合には、第1領域RG1は前面側に回折光を射出しないか又は第1領域RG1が前面側に射出する回折光は視感度が低い波長の光のみである。この場合、表示部DP1は、黒色又は暗灰色を表示する。
【0053】
この表示体10では、第2領域RG2は平坦である。そして、この第2領域RG2上には、金属又は合金層120が形成されている。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP2は、金属光沢を有している部分として、例えば銀白色に見える。
【0054】
この表示体10では、第3領域RG3は平坦である。そして、この第3領域RG3上には、金属又は合金層120が形成されていない。従って、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP3は、レリーフ構造形成層110の材料の色又はレリーフ構造形成層110の背面側に存在するものの色を表示する。例えば、この場合、表示部DP3は、白色を表示する。
【0055】
また、先に述べた通り、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分は、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより小さい。従って、通常、表示部DP2は、表示部DP1と比較して光透過率がより小さい。この場合、表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察すると、表示部DP1は、表示部DP2と比較してより明るい色を表示する。例えば、表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察すると、表示部DP1は光源色である白色を表示し、表示部DP2は黒色又は暗灰色を表示する。
【0056】
また、先に述べた通り、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には光透過性である。また、積層体100のうち第3領域RG3に対応した部分は、典型的には、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分と比較して、光透過率がより大きい。従って、表示部DP3は、例えば、光源色である白色を、表示部DP1が表示する白色よりも高い輝度で表示する。
【0057】
このように、表示体10は、回折光及び/又は反射光を観察する場合と、透過光を観察する場合とで、互いに異なったコントラストの画像を表示する。このような特殊な視覚効果は、複写機等による複写によっては再現できない。そして、このような視覚効果は、判別機器を用いることなしに容易に知覚することができる。加えて、このような視覚効果を達成可能とする構造を解析すること及びそのような構造を偽造することは、極めて困難である。即ち、この表示体10は、偽造が困難であり且つ優れたオバート機能を有している。
【0058】
なお、上では、第1凹部又は凸部が正方格子状に配列し、第2領域RG2が平坦面からなる場合について説明したが、領域RG1及びRG2の構成はこれには限られない。
【0059】
例えば、第1凹部の配列は、正方格子以外の格子を形成していてもよい。例えば、第1凹部の配列は、矩形格子又は三角格子を形成していてもよい。
【0060】
第1凹部の配列が矩形格子を形成している場合、第1凹部の最大空間周波数は、例えば1500/mm乃至4000/mmの範囲内とする。そして、この最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った第1凹部の空間周波数は、例えば1000/mm以上とする。これら空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。これら空間周波数が過度に大きいと、第1凹部の形成が困難となる。
【0061】
第1領域RG1は、二次元的に配列した第1凹部の代わりに、複数の第1凹部又は凸部として、一次元的に配列した複数の第1溝を備えていてもよい。これら第1溝は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第1溝は、典型的には、回折構造を形成している。
【0062】
第1溝の長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、V字形状及びU字形状等の先細り形状とするか又は矩形状とする。
第1溝が規則的に配列している場合、第1溝の空間周波数、即ち第1溝のピッチの逆数は、例えば5500/mm乃至8000/mmの範囲内にある。この空間周波数が過度に小さいと、積層体100のうち第1領域RG1に対応した部分の光透過率が過度に小さくなる場合がある。この空間周波数が過度に大きいと、第1溝の形成が困難となる。
【0063】
第1溝のZ方向の寸法、即ち深さDG1は、例えば150nm乃至400nmの範囲内にあり、典型的には200nm乃至300nmの範囲内にある。また、これら第1溝のピッチPG1に対する深さDG1の比DG1/PG1は、例えば0.8乃至3.5の範囲内にあり、典型的には1.0乃至2.0の範囲内にある。
【0064】
なお、第1領域RG1では、一次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部によって、パールグラム(登録商標)を構成してもよい。即ち、第1領域RG1は、赤色、緑色及び青色に対応した空間周波数をそれぞれ有する複数の回折格子セルを含み、これら回折格子セルによって加法混色に基づいた種々の色を表示可能であってもよい。
【0065】
また、第2領域RG2が一次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら凹部又は凸部は、複数の第2溝であってもよい。これら第2溝は、規則的に配列していてもよく、不規則的に配列していてもよい。前者の場合、第2溝は、典型的には、回折構造を形成している。
【0066】
第2溝の長さ方向に垂直な断面の形状は、例えば、V字形状及びU字形状等の先細り形状とするか又は矩形状とする。
【0067】
第2溝のZ方向の寸法、即ち深さDG2は、例えば50nm乃至300nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至200nmの範囲内にある。また、これら第2溝のピッチPG2に対する深さDG2の比DG2/PG2は、例えば0.01乃至1.2の範囲内にあり、典型的には0.05乃至1.0の範囲内にある。
【0068】
なお、複数の第1凹部又は凸部が一次元的に配列した複数の第1溝のみからなり且つ第2領域RG2が複数の第2凹部又は凸部として一次元的に配列した複数の第2溝のみを備えている場合、比DG2/PG2は、典型的には、比DG1/PG1と比較してより小さくする。
【0069】
第2領域RG2が規則的に配列した第2溝を備えており且つ第1凹部又は凸部が規則的に配列している場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行な特定の方向に沿った第2溝の間隔と、この特定の方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに等しくする。また、この場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行であり且つ上記の特定の方向に交差する方向に沿った第2溝の間隔と、この方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに異ならしめる。
【0070】
例えば、この場合、第2溝の空間周波数、即ち第2溝のピッチの逆数は、複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の何れかと等しくし、典型的にはそれらの最大空間周波数と等しくする。そして、第2溝の配列方向、即ち第2溝の長さ方向に垂直な方向は、典型的には、複数の第1凹部又は凸部が第2溝と同じ空間周波数で配列している方向と一致させる。例えば、複数の第1凹部又は凸部が矩形格子を形成している場合には、第2溝の空間周波数は、複数の第1凹部又は凸部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向に沿った空間周波数と等しくしてもよい。この場合、第2溝の配列方向は、典型的には、複数の第1凹部又は凸部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向と一致させる。
【0071】
第2領域RG2が一次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら第2凹部又は凸部は、上述したパールグラム(登録商標)を構成していてもよい。
【0072】
第2領域RG2が二次元的に配列した複数の第2凹部又は凸部を備えている場合、これら凹部又は凸部は、二次元的に且つ規則的に配列した複数の第2凹部であってもよい。
【0073】
この場合、第2凹部の最大空間周波数は、例えば1500/mm未満とし、典型的には300/mm乃至1000/mmの範囲内とする。この最大空間周波数が過度に大きいと、積層体100のうち第2領域RG2に対応した部分の光透過率が過度に大きくなる場合がある。この最大空間周波数が過度に小さいと、表示部DP2は一次回折光を射出しなくなる。
【0074】
第2凹部が二次元的に且つ規則的に配列している場合、第2凹部のZ方向の寸法、即ち深さDR2は、例えば50nm乃至500nmの範囲内にあり、典型的には100nm乃至300nmの範囲内にある。また、この場合、第2凹部の最小ピッチPR2に対する深さDR2の比DR2/PR2は、例えば0.02乃至0.5の範囲内にあり、典型的には0.03乃至0.3の範囲内にある。
【0075】
なお、複数の第1凹部又は凸部が二次元的に配列した複数の第1凹部のみからなり且つ第2領域RG2が二次元的に配列した複数の第2凹部のみを備えている場合、比DR2/PR2は、典型的には、比DR1/PR1と比較してより小さくする。
【0076】
第2領域RG2が二次元的に且つ規則的に配列した複数の第2凹部を備えており且つ第1凹部又は凸部が規則的に配列している場合、例えば、レリーフ構造形成層110の主面に平行な特定の方向に沿った第2凹部の間隔と、この特定の方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに等しくする。また、この場合、典型的には、レリーフ構造形成層110の主面に平行であり且つ上記の特定の方向に交差する方向に沿った第2凹部の間隔と、この方向に沿った第1凹部又は凸部の間隔とを互いに異ならしめる。
【0077】
即ち、この場合、例えば、これら第2凹部の空間周波数の何れかを複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の何れかと互いに等しくする。そして、典型的には、第2凹部の上記空間周波数に対応した配列方向を第1凹部の上記空間周波数に対応した配列方向と一致させる。
【0078】
図6は、一変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図7は、図6に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0079】
図6及び図7に示す表示体10は、第2領域RG2を平坦面とする代わりに、第2領域RG2に規則的に配列した第2溝を設けたことを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0080】
この表示体10では、第1凹部の最大空間周波数と第2溝の空間周波数とを互いに等しくしている。また、この表示体10では、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向をX及びY方向とし、第2溝の配列方向をY方向としている。即ち、この表示体10では、第2溝の配列方向を第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向の1つと一致させている。
【0081】
このように、この表示体10では、Y方向に沿った第2溝の間隔とY方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに等しくしている。そして、この表示体10では、X方向に沿った第2溝の間隔とX方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに異ならしめている。
【0082】
この表示体10の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、先に図4及び図5を参照しながら説明した色を表示する。そして、Y方向に沿った第1凹部の空間周波数と第2溝の空間周波数とは互いに等しいため、表示部DP2は、表示部DP1と同一又は極めて類似した色を表示する。従って、この観察条件の下では、図6に示すように、表示部DP1とDP2とを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0083】
このように、この表示体10では、特定の観察条件下において、表示部DP1とDP2との対比による画像の視認を不可能又は極めて困難とすることができる。それゆえ、この表示体10では、例えば、文字及び図形等の印刷パターンを設け、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するように、この印刷パターンの上下方向をY方向に一致させれば、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察する際に表示される像の存在を比較的悟られ難くすることができる。
【0084】
また、この表示体10の前面をY方向に対して垂直な方向から照明し、これをY方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、先に図4及び図5を参照しながら説明した色を表示する。他方、表示部DP2は、例えば、表示部DP2が平坦面からなる場合と同様の色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2とを互いから判別することができる。即ち、この観察条件の下では、図7に示すように、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することが可能である。
【0085】
これから明らかなように、この表示体10では、表示体10を前面側から照明し、これを前面側から観察する際に、照明方向及び観察方向を一定としたまま表示体10をその法線の周りで90゜回転させることにより、表示部DP1とDP2との組み合わせが表示する画像を変化させることができる。
【0086】
図6及び図7を参照しながら説明した表示体10は、上記のような追加の視覚効果を有している。それゆえ、この表示体10は、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と比較して更に優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0087】
図8は、他の変形例に係る表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図9は、図8に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の他の例を示す平面図である。
【0088】
図8及び図9に示す表示体10は、第1領域RG1に正方格子状に配列した第1凹部を設ける代わりに、第1領域RG1に矩形格子状に配列した第1凹部を設けたことを除いては、図6及び図7を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0089】
この表示体10では、一例として、第1凹部の2番目に大きな空間周波数と第2溝の空間周波数とを互いに等しくしている。また、この表示体10では、一例として、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向をX方向とし、2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向をY方向とし、第2溝の配列方向をY方向としている。即ち、この表示体10では、第2溝の配列方向を第1凹部の2番目に大きな空間周波数に対応した配列方向と一致させている。
【0090】
このように、この表示体10では、Y方向に沿った第2溝の間隔とY方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに等しくしている。そして、この表示体10では、X方向に沿った第2溝の間隔とX方向に沿った第1凹部の間隔とを互いに異ならしめている。
【0091】
この表示体10の前面側をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、第1凹部の2番目に大きな空間周波数に対応した色を表示する。また、表示部DP2も、この空間周波数に対応した色を表示する。即ち、この観察条件の下では、図8に示すように、表示部DP2は、表示部DP1と同一又は極めて類似した色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0092】
このように、この表示体10では、特定の観察条件下において、表示部DP1とDP2との対比による画像の視認を不可能又は極めて困難とすることができる。それゆえ、この表示体10では、例えば、文字及び図形等の印刷パターンを設け、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するように、この印刷パターンの上下方向をY方向に一致させれば、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察する際に表示される像の存在を比較的悟られ難くすることができる。
【0093】
また、この表示体10の前面をY方向に対して垂直な方向から照明し、これをY方向に対して垂直な方向から観察すると、表示部DP1は、第1凹部の最大空間周波数に対応した色を表示する。そして、表示部DP2は、例えば、表示部DP2が平坦面からなる場合と同様の色を表示する。従って、この観察条件の下では、図9に示すように、表示部DP1とDP2とを互いから判別することができる。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2との対比による画像を視認することが可能である。加えて、この観察条件の下で表示部DP1が表示する色は、図8を参照しながら説明した観察条件の下で表示部DP1が表示する色とは異なっている。
【0094】
即ち、この表示体10では、表示体10を前面側から照明し、これを前面側から観察する際に、照明方向及び観察方向を一定としたまま表示体10をその法線の周りで90゜回転させることにより、表示部DP1とDP2との組み合わせが表示する画像を変化させることができる。加えて、この表示体10では、上記の回転により、表示部DP1が表示する色を変化させることができる。
【0095】
更には、この表示体10の第1凹部に採用した矩形格子状の配列は、陽極酸化により得られたポーラスアルミナを型として利用する等の簡易な方法により再現することが困難である。即ち、複数の第1凹部又は凸部が矩形格子状に配列した構成を採用すると、表示体10の偽造がより困難となる。
【0096】
以上の通り、図8及び図9を参照しながら説明した表示体10は、上記のような追加の視覚効果を有していると共に、例えば図6及び図7を参照しながら説明した表示体と比較して、その偽造がより困難である。それゆえ、この表示体10は、特に優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0097】
図10は、更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図である。
【0098】
図10に示す表示体10では、第1領域RG1は、3000/mm以上の最大空間周波数で正方格子状に配列した第1凹部を備えている。また、この表示体10では、第2領域RG2にパールグラム(登録商標)を設けている。
【0099】
図11は、図10に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図12は、図10に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0100】
この表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、黒色又は暗灰色を表示する。また、この観察条件の下では、表示部DP2は、典型的には白色を表示する。
【0101】
この表示体10を背面側から照明して、これを前面側から観察した場合、表示部DP1は、典型的には、光源色である白色を表示する。また、この観察条件の下では、表示部DP2は、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。
【0102】
このように、図10及び図11を参照しながら説明した構成を採用した場合、回折光及び/又は反射光を観察する場合と透過光を観察する場合とで、コントラストが互いに反転した画像を表示させることが可能となる。
【0103】
領域RG1は、複数のサブ領域を備えていてもよい。この場合、これらサブ領域間では、第1凹部又は凸部の配列、空間周波数及び形状等を互いに異ならしめる。また、領域RG2は、複数のサブ領域を備えていてもよい。この場合、これらサブ領域間では、第2凹部又は凸部の有無、これらの配列、空間周波数及び形状等を互いに異ならしめる。
【0104】
図13は、更なる変形例に係る表示体を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す表示体のXIV−XIV線に沿った断面図である。
【0105】
図13及び図14に示す表示体10では、第2領域RG2は、複数の第2凹部又は凸部を備えたサブ領域RG2Aと、平坦面からなるサブ領域RG2Bとを備えている。
【0106】
サブ領域RG2Aは、第1領域RG1と隣接している。サブ領域RG2Bは、サブ領域RG2Aを間に挟んで第1領域RG1と隣り合っている。また、第3領域RG3は、サブ領域RG2Bと隣接していると共に、サブ領域RG2Bを間に挟んで第1領域RG1及びサブ領域RG2Aと隣り合っている。この表示体10のうち、サブ領域RG2A及びRG2Bに対応した部分は、それぞれ、図13に示す表示部DP2A及びDP2Bである。
【0107】
この表示体10では、領域RG1及びRG3は、図1乃至図5を参照しながら説明したのと同様の構成を有している。サブ領域RG2Aは、図6及び図7を参照しながら説明した第2領域RG2と同様の構成を有している。そして、サブ領域RG2Bは、図1乃至図5を参照しながら説明した第2領域RG2と同様の構成を有している。
【0108】
図15は、図13及び図14に示す表示体を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。図16は、図13及び図14に示す表示体を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される画像の一例を示す平面図である。
【0109】
この表示体10の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これをX方向に対して垂直な方向から観察すると、図6を参照しながら説明したのと同様の理由により、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。即ち、この観察条件の下では、図15に示すように、表示部DP1とDP2Aとの対比による画像を視認することが不可能であるか又は非常に困難である。また、この観察条件の下では、表示部DP2B及びDP3は、それぞれ、図1乃至図5を参照しながら説明した表示部DP2及びDP3と同様の色を表示する。
【0110】
従って、この観察条件の下では、典型的には、表示部DP1とDP2Aとは同一又は極めて類似した色を表示し、これら表示部DP1及びDP2Aと表示部DP2Bと表示部DP3とは、互いに異なった色を表示する。それゆえ、図15に示すように、表示体10は、表示部DP2Bを背景として、表示部DP1及びDP2Aの組み合わせによる画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0111】
この表示体10を背面側から照明し、これを前面側から観察した場合、先に図1乃至図5を参照しながら説明した表示体の場合と同様に、表示部DP1及びDP3は、典型的には光源色である白色を表示し、表示部DP2A及びDP2Bは、典型的には黒色又は暗灰色を表示する。従って、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとの対比による画像を視認することが可能である。具体的には、図16に示すように、表示体10は、表示部DP2A及びDP2Bを背景として、表示部DP1による画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0112】
このように、この表示体10は、特定の観察条件下で回折光及び/又は反射光を観察する場合には、表示部DP1及びDP2Aの組み合わせによる画像と表示部DP3による画像とを表示する。他方、この表示体10は、透過光を観察する場合には、表示部DP1による画像と表示部DP3による画像とを表示する。
【0113】
以上の通り、表示部DP2が複数の表示部からなる構成を採用すると、表示部DP2が単一の表示部からなる場合と比較してより複雑な視覚効果を達成し得る。即ち、この表示体10は、より優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0114】
なお、図示は省略するが、表示体10は、第1凹部又は凸部が不規則的に配列しており且つ第2領域RG2が不規則的に配列した第2凹部又は凸部を備えた構成を有していてもよい。
【0115】
この場合、表示体10を前面側から照明し且つ前面側から観察すると、表示部DP1及びDP2の各々は、典型的には、散乱光に基づいた色を表示する。即ち、この観察条件の下では、例えば、表示部DP1及びDP2の双方が白色を表示する。よって、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することは不可能であるか又は極めて困難である。
【0116】
他方、この場合、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察すると、表示部DP1は、表示部DP2と比較してより明るい色を表示する。即ち、この観察条件の下では、表示部DP1とDP2Aとを互いから判別することが可能である。
従って、このような構成を採用することによっても、優れた偽造防止効果を達成し得る。
【0117】
図17は、本発明の他の態様に係る表示体の一例を示す断面図である。
【0118】
図17に示す表示体10は、レリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った光散乱層130を更に備えていることを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明した表示体と同様の構成を有している。
【0119】
このような構成を採用すると、光散乱層130の光散乱性に起因して、表示体10を前面側から照明して、これを前面側から観察した場合に、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し、これを前面側から観察した場合に表示される像の存在をより悟られ難くすることができる。従って、このような構成を採用すると、更に優れた偽造防止効果を達成できる。
【0120】
光散乱層130の材料としては、例えば、酸化チタン粒子等の無機酸化物粒子を樹脂に分散させた白色インキを使用することができる。或いは、光散乱層130の材料として、セルロース繊維を使用してもよい。即ち、光散乱層130は、紙であってもよい。この場合、光散乱層130は、例えば、セルロース繊維と分散媒とを含んだ分散液から分散媒を除去することにより得られる。
【0121】
なお、図17では、光散乱層130がレリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った場合を描いているが、表示体10における光散乱層130の配置はこれに限られない。
【0122】
例えば、光散乱層130は、金属又は合金層120を間に挟んでレリーフ構造形成層110と向き合っていてもよい。
【0123】
このような構成を採用すると、表示体10を背面側から照明し且つ背面側から観察した場合に、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される像の存在をより悟られ難くすることができる。
【0124】
また、このような構成を採用すると、レリーフ構造形成層110及び/又は金属又は合金層120の表面が露出しないようにできる。レリーフ構造形成層110の表面の形状は、通常、金属又は合金層120と外界との界面の形状とほぼ等しい。そのため、このような構成を採用することにより、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0125】
或いは、光散乱層130は、積層体100の両主面を被覆していてもよい。即ち、表示体10は、レリーフ構造形成層110を間に挟んで金属又は合金層120と向き合った第1光散乱層と、金属又は合金層120を間に挟んでレリーフ構造形成層110と向き合った第2光散乱層とを備えていてもよい。
【0126】
このような構成を採用すると、表示体10を前面側から照明し且つ前面側から観察した場合と、表示体10を背面側から照明し且つ背面側から観察した場合との双方において、表示部DP1とDP2とを互いから判別することがより困難となる。即ち、こうすると、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合に表示される像の存在を更に悟られ難くすることができる。加えて、こうすると、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0127】
以上において説明した表示体10は、粘着ラベル及び転写箔等の一部として使用してもよい。
【0128】
図18は、本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。
【0129】
粘着ラベル20は、表示体10と、表示体10上に設けられた粘着層140とを備えている。図18には、一例として、図2に示す表示体10の背面上に粘着層140が設けられている場合を示している。
【0130】
粘着層140を設けると、レリーフ構造形成層110及び/又は金属又は合金層120の表面が露出しないようにできる。レリーフ構造形成層110の表面の形状は、通常、金属又は合金層120と外界との界面の形状とほぼ等しい。そのため、表示体10を粘着ラベル20の一部として使用することにより、レリーフ構造形成層110の一方の主面上に形成された凹構造及び/又は凸構造の複製をより困難とすることができる。
【0131】
粘着層140の材料としては、例えば、感圧接着剤を使用する。粘着層140は、例えば、この接着剤と溶媒との混合物を、グラビアコート、ロールコート、スクリーンコート及びブレードコート等の方法により塗布することによって形成する。なお、粘着層140の厚みは、例えば1μm乃至10μmの範囲内とする。
【0132】
この粘着ラベル20は、例えば、真正さが確認されるべき物品に貼り付けるか、或いは、そのような物品に取り付けられるべきタグの基材等の他の物品に貼り付ける。これにより、当該物品に偽造防止効果を付与することができる。
【0133】
なお、表示体10と粘着層140との間に脆性層を更に設けることにより、粘着ラベル20に貼替え防止機能を付与することもできる。これにより、更に高い偽造防止効果を達成できる。
【0134】
図19は、本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図である。
【0135】
転写箔30は、表示体10と、表示体10を剥離可能に支持した支持体層150とを備えている。図9には、一例として、金属又は合金層120及び支持体層150間に剥離層160が設けられ且つレリーフ構造形成層110の背面上に接着層170が設けられている場合を描いている。
【0136】
支持体層150は、例えば、樹脂からなるフィルム又はシートである。支持体層150の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は塩化ビニル樹脂を使用する。
【0137】
剥離層160は、転写箔30を被転写体に転写する際の支持体層150の剥離を容易にする役割を担っている。剥離層160の材料としては、例えば、先にレリーフ構造形成層110の材料として挙げた樹脂を使用する。剥離層160は、パラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス及びシリコーン等の添加剤を更に含んでいてもよい。なお、剥離層160の厚みは、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0138】
接着層170の材料としては、例えば、反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト型接着剤、電子線硬化型接着剤及び感熱接着剤等の接着剤を使用する。
【0139】
反応硬化性接着剤としては、例えば、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン及びアクリルウレタン等のポリウレタン系樹脂、又は、エポキシ樹脂を使用する。
【0140】
溶剤揮散型接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂及びウレタン樹脂等を含んだ水性エマルジョン型接着剤、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂等を含んだラテックス型接着剤を使用する。
【0141】
ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂及びポリウレタン樹脂等をベース樹脂として含んだものを使用する。
【0142】
電子線硬化型接着剤としては、例えば、アクリロイル基、アリル基及びビニル基等のビニル系官能基を1個又は複数個有したオリゴマーを主成分として含んだものを使用する。例えば、電子線硬化型接着剤として、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレートと、接着付与剤との混合物を使用することができる。この接着付与剤としては、例えば、リンを含んだアクリレート若しくはその誘導体、又は、カルボキシ基を含んだアクリレート若しくはその誘導体を使用する。
【0143】
感熱接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を使用する。
【0144】
この転写箔30は、例えば、ロール転写機又はホットスタンプによって、被転写体に転写される。この際、支持体層150と剥離層160との界面において剥離を生じると共に、表示体10が、被転写体に、接着層170を介して貼付される。
【0145】
上述したように、表示体10は、優れた偽造防止効果を有している。従って、表示体10を物品に支持させた場合、真正品であるこの表示体付き物品の偽造も困難である。また、この表示体10は上述した視覚効果を有しているため、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。
【0146】
図20は、表示体付き物品の一例を概略的に示す平面図である。図20には、表示体付き物品の一例として、印刷物40を描いている。この印刷物40は、商品券であって、印刷物本体200を含んでいる。
【0147】
印刷物本体200は、基材210を含んでいる。基材210は、例えば、少なくとも表示体10に対応した部分が光透過性を有している紙である。基材210上には、印刷層220が形成されている。基材210の印刷層220が形成された面には、上述した表示体10が固定されている。表示体10は、例えば、粘着層又は接着層を介して貼り付けることにより、基材210に固定する。図20には、表示体10の一例として、図1乃至図9を参照しながら説明した表示体を描いている。
【0148】
なお、印刷物40では、印刷層220が形成している印刷パターンの上下方向と表示体10の上下方向との双方をY方向に一致させて、観察者がX方向に対して垂直な方向から表示体10を観察するようにしている。
【0149】
印刷物40は、表示体10を含んでいるため、その偽造は困難である。また、この印刷物40は、表示体10を含んでいるため、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。
【0150】
なお、図20には、表示体10を含んだ印刷物40として商品券を例示しているが、表示体10を含んだ印刷物は、これに限られない。例えば、表示体10を含んだ印刷物は、株券等の他の有価証券であってもよい。
【0151】
或いは、表示体10を含んだ印刷物は、ID(identification)カード、磁気カード、無線カード及びIC(integrated circuit)カード等のカードであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品に取り付けられるべきタグであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品を収容する包装体又はその一部であってもよい。これらの場合、基材210の材料としては、例えば、光透過性を有したプラスチックを使用する。
【0152】
図20に示す印刷物40では、表示体10を基材210に貼り付けているが、表示体10は、他の方法で基材210に支持させてもよい。
【0153】
例えば、基材210として紙を使用する場合、表示体10をこの紙の内部に埋め込んでもよい。例えば、基材210として紙を使用する場合、表示体10をこの紙の内部に漉き込んでもよい。このような構成を採用すると、紙の光散乱性に起因して、表示体10を前面側から観察した場合における表示部DP1とDP2との識別がより困難となる。即ち、この場合、基材210としての紙は、図17を参照しながら説明した表示体10における光散乱層130として機能し得る。従って、このような構成を採用すると、特に優れた偽造防止効果を達成できる。また、このような構成を採用すると、表示体10が基材210から脱落し難くなる。
【0154】
なお、このような構成を採用する場合、表示体10としては、典型的には、スレッド状に加工したものを使用する。そして、このスレッド状に加工した表示体10の金属又は合金層120の主面のうちレリーフ構造形成層110とは反対側の主面上には、典型的には、上述したホットメルト型接着剤を塗布する。
【0155】
表示体10の紙の内部への埋め込みは、例えば、以下のようにして行う。
【0156】
まず、セルロース繊維と分散媒とからなる紙料を準備する。次に、二槽式円網抄紙機を用いて、この紙料を漉いてなる2つの未乾燥の繊維層を作製する。そして、これら2つの繊維層を重ね合わせる際に、これら繊維層の間に上記の表示体10を送り出す。その後、2つの繊維層と、それらの間に介在した表示体10との積層構造を乾燥処理に供する。次いで、必要に応じて裁断を行う。このようにして、内部に表示体10が埋め込まれた紙を得る。
【0157】
或いは、表示体10の紙の内部への埋め込みは、以下のようにして行ってもよい。
【0158】
例えば、この埋め込みは、長網抄紙機を用いて行ってもよい。具体的には、まず、セルロース繊維と分散媒とからなる紙料の流れの中に、分散媒中に分散させた上記の表示体10をノズルを介して導入する。このようにして、抄紙網上に形成される紙匹中に表示体10を埋め込む。その後、これを乾燥処理に供する。次いで、必要に応じて裁断を行う。このようにして、内部に表示体10が埋め込まれた紙を得る。
【0159】
基材210として紙を使用する場合、この紙は、表示体10に対応した位置の全体又は一部において開口させてもよい。
【0160】
図21は、表示体付き物品の他の例を概略的に示す平面図である。
【0161】
図21に示す表示体付き物品は印刷物40であり、その基材210は紙からなる。そして、この紙の内部には、表示体10が埋め込まれている。加えて、この紙の表示体10に対応した位置の一部には、開口APが設けられている。即ち、これら開口APの各々において、表示体10の一部が外界に露出している。なお、図21には、表示体10の一例として、図10乃至図12を参照しながら説明した表示体を描いている。
【0162】
このような構成を採用すると、印刷物40を表示体10の前面側から照明し且つ前面側から観察した際に、以下のような視覚効果が得られる。即ち、表示部DP1のうち紙の内部に埋め込まれている部分は、紙の光散乱性に起因して、表示部DP1のうち開口APにおいて外界に露出している部分と比較してより視認し難くなる。他方、表示部DP1のうち開口APにおいて外界に露出している部分は、表示体10が外界に露出している場合と同様の視認性を有している。加えて、このような構成を採用すると、表示体10が基材210から脱落し難くなる。
【0163】
基材210の材料としては、紙以外の材料を使用してもよい。例えば、この材料として、少なくとも表示体10に対応した部分が光透過性を有している樹脂を使用してもよい。この場合、表示体10は、基材210の内部に埋め込んでもよい。或いは、基材210の少なくとも表示体10に対応した部分の光散乱性が小さい場合、例えばこの部分が透明である場合、基材210の裏面、即ち印刷層220が設けられている面とは反対側の面に表示体10を固定してもよい。
【0164】
表示体付き物品は、印刷物でなくてもよい。即ち、印刷層を含んでいない物品に表示体10を支持させてもよい。
【0165】
表示体10は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体10は、玩具、学習教材又は装飾品としても使用することができる。
【実施例】
【0166】
<例1:表示体D1の製造>
図1乃至図5を参照しながら説明した表示体10を、以下のようにして製造した。
【0167】
まず、PETフィルム上に、紫外線硬化樹脂を塗布した。次いで、版面に複数の凸部が設けられた原版を先の塗膜に押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化樹脂を硬化させた。その後、原版を取り除いた。このようにして、レリーフ構造形成層110を得た。
【0168】
このレリーフ構造形成層110では、第1領域RG1に、正方格子状に配列した複数の第1凹部を設けた。これら第1凹部の形状は、回転放物面形状とした。これら第1凹部の最大空間周波数は1000/mmとした。そして、これら第1凹部の深さDR1は300nmとした。なお、第2領域RG2は、平坦面とした。
【0169】
次に、レリーフ構造形成層110の領域RG1及びRG2が設けられた主面上に、アルミニウムを蒸着法により堆積させた。この際、設定膜厚は、50nmとした。その後、得られた堆積層のうち領域RG1及びRG2に対応した部分の上に、マスク層を形成した。次いで、水酸化ナトリウムの水溶液を用いてエッチング処理を行った。このようにして、レリーフ構造形成層110の領域RG1及びRG2上に、アルミニウムからなる金属層120を形成した。
【0170】
以上のようにして、表示体10を得た。以下、この表示体を「表示体D1」と呼ぶ。
【0171】
<例2:表示体D2の製造>
第1凹部の最大空間周波数を1500/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D2」と呼ぶ。
【0172】
<例3:表示体D3の製造>
第1凹部の最大空間周波数を2000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D3」と呼ぶ。
【0173】
<例4:表示体D4の製造>
第1凹部の最大空間周波数を3000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D4」と呼ぶ。
【0174】
<例5:表示体D5の製造>
第1凹部の最大空間周波数を4000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D5」と呼ぶ。
【0175】
<例6:表示体D6の製造>
第1凹部の最大空間周波数を5000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D6」と呼ぶ。
【0176】
<例7:表示体D7の製造>
第1凹部の配列を矩形格子状とし、その最大空間周波数(以下、空間周波数SF1という)を1500/mmとし、その2番目に大きな空間周波数、即ち最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った空間周波数(以下、空間周波数SF2という)を1000/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D7」と呼ぶ。
【0177】
<例8:表示体D8の製造>
空間周波数SF1を2000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D8」と呼ぶ。
【0178】
<例9:表示体D9の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D9」と呼ぶ。
【0179】
<例10:表示体D10の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D10」と呼ぶ。
【0180】
<例11:表示体D11の製造>
空間周波数SF1を2000/mmとすると共に、空間周波数SF2を1500/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D11」と呼ぶ。
【0181】
<例12:表示体D12の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとしたこと以外は、表示体D11と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D12」と呼ぶ。
【0182】
<例13:表示体D13の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D11と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D13」と呼ぶ。
【0183】
<例14:表示体D14の製造>
空間周波数SF1を3000/mmとすると共に、空間周波数SF2を2000/mmとしたこと以外は、表示体D7と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D14」と呼ぶ。
【0184】
<例15:表示体D15の製造>
空間周波数SF1を4000/mmとしたこと以外は、表示体D14と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D15」と呼ぶ。
【0185】
<例16:表示体D16の製造>
空間周波数SF2を3000/mmとしたこと以外は、表示体D15と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D16」と呼ぶ。
【0186】
<例17:表示体D17の製造>
第1領域RG1が規則的に配列した複数の第1溝を備えた構成を採用し、その最大空間周波数を5000/mmとし、その深さDG1を300nmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D17」と呼ぶ。
【0187】
<例18:表示体D18の製造>
第1溝の空間周波数を5500/mmとしたこと以外は、表示体D17と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D18」と呼ぶ。
【0188】
<例19:表示体D19の製造>
第1溝の空間周波数を6000/mmとしたこと以外は、表示体D17と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D19」と呼ぶ。
【0189】
<空間周波数とコントラストとの関係>
複数の第1凹部又は凸部の空間周波数と、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、表示体D1乃至D19の各々の背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0190】
表1には、上記のコントラストを「◎」、「○」、「△」及び「×」の4段階で評価した結果を示している。ここで「◎」は上記のコントラストが極めて明瞭であることを意味し、「○」は上記のコントラストが明瞭であることを意味し、「△」は上記のコントラストが明瞭ではないが認識可能であることを意味し、「×」は上記のコントラストが認識不可能であることを意味している。
【0191】
表1に示す結果から分かるように、表示体D1乃至D19の全てにおいて、上記のコントラストが認識可能であった。特に、表示体D2乃至D5は、表示体D1及びD6と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。また、表示体D2乃至D4は、表示体D5と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。そして、表示体D11、D12及びD14は、表示体D7乃至D10、D13、D15及びD16と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。また、表示体D18及びD19は、表示体D17と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。
【0192】
<例20:表示体D20の製造>
第1凹部の最大空間周波数を2500/mmとしたこと以外は、表示体D1と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D20」と呼ぶ。
【0193】
<例21:表示体D21の製造>
アルミニウムの設定膜厚を20nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D21」と呼ぶ。
【0194】
<例22:表示体D22の製造>
アルミニウムの設定膜厚を30nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D22」と呼ぶ。
【0195】
<例23:表示体D23の製造>
アルミニウムの設定膜厚を40nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D23」と呼ぶ。
【0196】
<例24:表示体D24の製造>
アルミニウムの設定膜厚を60nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D24」と呼ぶ。
【0197】
<例25:表示体D25の製造>
アルミニウムの設定膜厚を70nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D25」と呼ぶ。
【0198】
<例26:表示体D26の製造>
アルミニウムの設定膜厚を80nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D26」と呼ぶ。
【0199】
<例27:表示体D27の製造>
アルミニウムの設定膜厚を90nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D27」と呼ぶ。
【0200】
<例28:表示体D28の製造>
アルミニウムの設定膜厚を100nmとしたこと以外は、表示体D20と同様にして、表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D28」と呼ぶ。
【0201】
<設定膜厚とコントラストとの関係>
金属又は合金層120の設定膜厚と、表示体10を背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、D20乃至D28の各々の背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0202】
表2には、上記のコントラストを「◎」、「○」、「△」及び「×」の4段階で評価した結果を示している。これら記号の意味は、先に表1について述べたのと同様である。
【0203】
表2から分かるように、表示体D20乃至D28の全てにおいて、上記のコントラストが認識可能であった。特に、表示体D20及びD22乃至D26は、表示体D21、D27及びD28と比較して、上記のコントラストがより明瞭であった。
【0204】
<例29:表示体D29の製造>
第2領域RG2に規則的に配列した複数の第2溝を設けたことを除いては、表示体D4と同様の表示体を製造した。以下、この表示体を「表示体D29」と呼ぶ。
【0205】
この表示体D29では、第2溝の空間周波数は3000/mmとした。即ち、第2溝の空間周波数と第1凹部の最大空間周波数とを一致させた。また、第2溝の空間周波数に対応した配列方向をY方向とし、第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向もY方向とした。即ち、第2溝の空間周波数に対応した配列方向と第1凹部の最大空間周波数に対応した配列方向とを一致させた。そして、第2溝の深さDG2は、第1凹部の深さDR1と一致させた。
【0206】
<第1及び第2領域の構造とコントラストとの関係>
第1及び第2領域の構造と、表示体10を前面側及び背面側から照明し且つ前面側から観察した場合の表示部DP1及びDP2のコントラストとの間の関係を調べた。具体的には、表示体D4及びD29の各々の前面及び背面を白色光で照明し、これら表示体を前面側から観察した場合のコントラストを評価した。
【0207】
まず、表示体D4及びD29を前面側から照明し、これらを前面側から観察した。より具体的には、表示体D4及びD29の前面をX方向に対して垂直な方向から照明し、これら表示体をX方向に対して垂直な方向から観察した。その結果、表示体D29では、表示体D4と比較して、表示部DP1及びDP2のコントラストがより不明瞭であり、表示部DP1とDP2との間の識別がより困難であった。
【0208】
次に、表示体D4及びD29を背面側から照明し、これらを前面側から観察した。その結果、表示体D29は、表示体D4と比較して、表示部DP1及びDP2のコントラストがやや不明瞭であった。しかしながら、この観察条件の下では、表示体D29においても、表示部DP1とDP2とのコントラストを十分に認識することができた。即ち、この観察条件の下では、表示体D29においても、表示部DP1とDP2とを互いから識別することができた。
【符号の説明】
【0209】
10…表示体、20…粘着ラベル、30…転写箔、40…印刷物、100…積層体、110…レリーフ構造形成層、120…金属又は合金層、130…光散乱層、140…粘着層、150…支持体層、160…剥離層、170…接着層、200…印刷物本体、210…基材、220…印刷層、AP…開口、DP1…表示部、DP2…表示部、DP2A…表示部、DP2B…表示部、DP3…表示部、RG1…第1領域、RG2…第2領域、RG2A…サブ領域、RG2B…サブ領域、RG3…第3領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、
前記第1領域と前記第2領域との双方を被覆した金属又は合金層と
の積層体を具備し、
前記積層体のうち前記第1領域に対応した部分は、前記積層体のうち前記第2領域に対応した部分と比較して光透過率がより大きい表示体。
【請求項2】
前記金属又は合金層のうち前記第1領域に対応した部分と、前記金属又は合金層のうち前記第2領域に対応した部分とは、見かけ上の単位面積当りに含まれている前記金属又は合金の量が互いに等しい請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、
前記第1及び第2領域上に、前記第1及び第2領域の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の膜厚が20nm乃至100nmの範囲内となるような量の金属又は合金を堆積させることにより形成される金属又は合金層とを具備した表示体。
【請求項4】
前記複数の第1凹部又は凸部は二次元的に配列し、前記第2領域は平坦であるか又は一次元的に配列した前記複数の第2凹部若しくは凸部を備えた請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示体。
【請求項5】
前記複数の第1凹部又は凸部は正方格子状に配列している請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項6】
前記複数の第1凹部又は凸部の最大空間周波数は1500/mm乃至4000/mmの範囲内である請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
前記複数の第1凹部又は凸部は矩形格子状に配列している請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項8】
前記複数の第1凹部又は凸部の最大空間周波数は1500/mm乃至4000/mmの範囲内であり、前記最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った空間周波数は1000/mm以上である請求項7に記載の表示体。
【請求項9】
前記複数の第1凹部又は凸部は規則的に配列し、前記第2領域は規則的に配列した前記複数の第2凹部又は凸部を備え、前記レリーフ構造形成層の前記主面に平行な第1方向に沿った前記複数の第1凹部又は凸部の間隔と前記第1方向に沿った前記複数の第2凹部又は凸部の間隔とは互いに等しく、前記レリーフ構造形成層の前記主面に平行であり且つ前記第1方向に交差した第2方向に沿った前記複数の第1凹部又は凸部の間隔と前記第2方向に沿った前記複数の第2凹部又は凸部の間隔とは互いに異なっている請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示体。
【請求項10】
前記複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の少なくとも1つは前記複数の第2凹部又は凸部の空間周波数の少なくとも1つと等しく、前記複数の第1凹部又は凸部の前記空間周波数に対応した配列方向は、前記複数の第2凹部又は凸部の前記空間周波数に対応した配列方向と一致している請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項11】
前記積層体の主面の少なくとも一方を被覆した1つ又は2つの光散乱層を更に具備した請求項1乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体上に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備した表示体付き物品。
【請求項15】
前記物品は紙であり、前記表示体は前記紙の内部に埋め込まれている請求項14に記載の表示体付き物品。
【請求項1】
一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、
前記第1領域と前記第2領域との双方を被覆した金属又は合金層と
の積層体を具備し、
前記積層体のうち前記第1領域に対応した部分は、前記積層体のうち前記第2領域に対応した部分と比較して光透過率がより大きい表示体。
【請求項2】
前記金属又は合金層のうち前記第1領域に対応した部分と、前記金属又は合金層のうち前記第2領域に対応した部分とは、見かけ上の単位面積当りに含まれている前記金属又は合金の量が互いに等しい請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
一次元的又は二次元的に配列した複数の第1凹部又は凸部を備えた第1領域と、前記第1領域と隣り合い、平坦であるか又は一次元的若しくは二次元的に配列した複数の第2凹部若しくは凸部を備え、前記第1領域と比較して見かけ上の単位面積当りの表面積がより小さい第2領域とが一方の主面に設けられたレリーフ構造形成層と、
前記第1及び第2領域上に、前記第1及び第2領域の双方が平坦面のみからなると仮定した場合の膜厚が20nm乃至100nmの範囲内となるような量の金属又は合金を堆積させることにより形成される金属又は合金層とを具備した表示体。
【請求項4】
前記複数の第1凹部又は凸部は二次元的に配列し、前記第2領域は平坦であるか又は一次元的に配列した前記複数の第2凹部若しくは凸部を備えた請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示体。
【請求項5】
前記複数の第1凹部又は凸部は正方格子状に配列している請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項6】
前記複数の第1凹部又は凸部の最大空間周波数は1500/mm乃至4000/mmの範囲内である請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
前記複数の第1凹部又は凸部は矩形格子状に配列している請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項8】
前記複数の第1凹部又は凸部の最大空間周波数は1500/mm乃至4000/mmの範囲内であり、前記最大空間周波数に対応した配列方向に垂直な方向に沿った空間周波数は1000/mm以上である請求項7に記載の表示体。
【請求項9】
前記複数の第1凹部又は凸部は規則的に配列し、前記第2領域は規則的に配列した前記複数の第2凹部又は凸部を備え、前記レリーフ構造形成層の前記主面に平行な第1方向に沿った前記複数の第1凹部又は凸部の間隔と前記第1方向に沿った前記複数の第2凹部又は凸部の間隔とは互いに等しく、前記レリーフ構造形成層の前記主面に平行であり且つ前記第1方向に交差した第2方向に沿った前記複数の第1凹部又は凸部の間隔と前記第2方向に沿った前記複数の第2凹部又は凸部の間隔とは互いに異なっている請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示体。
【請求項10】
前記複数の第1凹部又は凸部の空間周波数の少なくとも1つは前記複数の第2凹部又は凸部の空間周波数の少なくとも1つと等しく、前記複数の第1凹部又は凸部の前記空間周波数に対応した配列方向は、前記複数の第2凹部又は凸部の前記空間周波数に対応した配列方向と一致している請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項11】
前記積層体の主面の少なくとも一方を被覆した1つ又は2つの光散乱層を更に具備した請求項1乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体上に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備した表示体付き物品。
【請求項15】
前記物品は紙であり、前記表示体は前記紙の内部に埋め込まれている請求項14に記載の表示体付き物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−271653(P2010−271653A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125546(P2009−125546)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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