説明

表示制御方法、表示装置および電子機器

【課題】検索結果と文書全体との関係を視覚的によりわかりやすい形で提示すること。
【解決手段】表示制御方法は、複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、前記複数ページを有する文書について取得するステップと、第1検索対象を取得するステップと、前記取得された第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するステップと、前記複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の前記複数のサムネイル画像、および前記第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、表示装置に表示させるステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍におけるサムネイル画像の表示方法、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子書籍等の文書において検索を行い、その結果を表示する技術が知られている。例えば、特許文献1は、しおりを付与したページだけをサムネイルにして並べることを開示している。また、特許文献2は、ページを縮小したサムネイルを並べる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313485号公報
【特許文献2】特開2008−301502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2の技術によっても、検索結果の一覧と文書全体との関係が把握しづらいという問題があった。
これに対し本発明は、検索結果と文書全体との関係を視覚的によりわかりやすい形で提示する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、前記複数ページを有する文書について取得するステップと、第1検索対象を取得するステップと、前記取得された第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するステップと、前記複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の前記複数のサムネイル画像、および前記第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、表示装置に表示させるステップとを有する表示制御方法を提供する。
この表示制御方法によれば、検索結果と文書全体との関係を視覚的によりわかりやすい形で提示することができる。
【0006】
好ましい態様において、前記タグ画像は、基準状態から、対応するサムネイル画像の前記回転軸を中心に当該サムネイル画像と同じ回転角回転され、かつ、当該サムネイル画像の前記視点から俯瞰したように加工されてもよい。
この表示制御方法によれば、サムネイル画像と整合したタグ画像を提供することができる。
【0007】
別の好ましい態様において、この表示制御方法は、第2検索対象を取得するステップと、前記取得された第2検索対象に対応し、前記第1タグ画像と異なる第2タグ画像を取得するステップとを有し、前記サムネイル画像群は、前記第2検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第2タグ画像を含んでもよい。
この表示制御方法によれば、第1検索対象と第2検索対象を区別可能な形態で提示することができる。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、この表示制御方法は、前記複数のページの中から第1選択ページの選択を受け付けるステップと、前記選択が受け付けられた場合、前記表示装置に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップとを有し、前記更新後のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、前記更新前のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広くてもよい。
この表示制御方法によれば、文書全体における第1選択ページの位置を示しつつ、検索結果と文書全体との関係を提示することができる。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、前記サムネイル画像群において、前記第1選択ページのサムネイル画像が最前面に位置してもよい。
この表示制御方法によれば、第1選択ページについてはサムネイル画像を大きく表示することができる。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、前記第1選択ページのサムネイル画像における前記仮想回転軸を中心とした回転の向きと、前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像における前記仮想回転軸を中心とした回転の向きとが逆であってもよい。
この表示制御方法によれば、第1選択ページを含む連続する2ページを、見開きの状態で提示することができる。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この表示制御方法は、前記複数のページの中から第2選択ページの選択を受け付けるステップと、前記選択が受け付けられた場合、前記表示装置に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップとを有し、前記更新後のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と前記第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、前記更新前のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と前記第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広くてもよい。
この表示制御方法によれば、第1選択ページとは異なる第2選択ページの、文書中における位置を示しつつ、検索結果と文書全体との関係を提示することができる。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記表示装置は、複数の画素を有し、前記画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の階調を変更し、前記表示装置に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の前記書き込み動作によって当該表示装置に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、前記複数の画素において階調を変更する画素を判断するステップと、前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記判断工程において階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始するステップとを有してもよい。
この表示制御方法によれば、ユーザーの体感的な表示速度を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、画像を表示する表示手段と、複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、前記複数ページを有する文書について取得するサムネイル画像取得手段と、第1検索対象を取得する検索対象取得手段と、前記第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するタグ画像取得手段と、前記複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の前記複数のサムネイル画像、および前記第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、前記表示手段に表示させる表示制御手段とを有する表示装置を提供する。
この表示装置によれば、検索結果と文書全体との関係を視覚的によりわかりやすい形で提示することができる。
【0014】
さらに、本発明は、上記の表示装置を有する電子機器を提供する。
この電子機器によれば、検索結果と文書全体との関係を視覚的によりわかりやすい形で提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子機器1000の外観を示した図。
【図2】電子機器1000のハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】表示部1の断面構造を示す模式図。
【図4】表示部1の回路の構成を示す図。
【図5】画素62の等価回路を示す図。
【図6】電子機器1000の機能構成を示す図。
【図7】サムネイル表示処理を示すフローチャート。
【図8】サムネイル画像の変形処理を説明する図。
【図9】間隔dを例示する図。
【図10】表示画像を例示する図。
【図11】ページの表示更新処理を示すフローチャート。
【図12】図10から5ページ分ページ送りされた表示画像を例示する図。
【図13】電子書籍における検索処理を示すフローチャート。
【図14】タグ画像を例示する図。
【図15】タグ画像の変形処理を説明する図。
【図16】タグ画像を含む表示画像を例示する図。
【図17】第2選択ページを含むサムネイル画像群の表示処理を示すフローチャート。
【図18】第2選択ページを含むサムネイル画像群を例示する図。
【図19】コントローラー2の機能構成を示すブロック図。
【図20】コントローラー2による表示部1の駆動処理を示すフローチャート。
【図21】メモリーに記憶されているデータを例示する図。
【図22】VRAM4の書き換えが行われた状態を例示する図。
【図23】記憶領域B11のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図24】記憶領域B12のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図25】すべての画素についてデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図26】図25の状態から1フレームの電圧印加後の状態を例示する図。
【図27】書込データ記憶領域のデータの書き換えが終了した状態を例示する図。
【図28】2回目のステップS23の処理が行われた直後の状態を示した図。
【図29】VRAM4のデータが書き換えられた状態を例示する図。
【図30】すべての画素についてデータの書き換えが終了した状態を例示する図。
【図31】ステップS23の処理が行われた状態を例示する図。
【図32】所定回数の電圧の印加が終了した状態を例示する図。
【図33】すべての画素についてデータの書き換えが完了した状態を例示する図。
【図34】画素の書き換えが行われた状態を例示する図。
【図35】図34の状態から処理が1フレーム進んだ状態を例示する図。
【図36】図35の状態から処理が進められた状態を例示する図。
【図37】変形例3に係る表示画像を例示する図。
【図38】変形例4に係るサムネイル画像の配置を例示する図。
【図39】変形例6に係るサムネイル画像群を例示する図。
【図40】変形例7に係るサムネイル画像群を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電子機器1000の外観を示した図である。電子機器1000は、画像を表示する表示装置である。この例で、電子機器1000は、電子書籍(文書の一例)を閲覧するための装置、いわゆる電子ブックリーダーである。電子書籍は複数ページの画像を含むデータである。電子機器1000は、電子書籍をある単位(例えば1ページずつ)で表示部1に表示する。電子書籍に含まれる複数ページのうち、表示の対象となる一のページを、「第1選択ページ」という。第1選択ページは、ユーザーによるボタン9A〜9Fの操作に応じて変更される。すなわち、ユーザーは、ボタン9A〜9Fの操作により、電子書籍のページをめくること(ページ送りまたはページ戻し)ができる。本実施形態において、電子機器1000は、第1選択ページの画像に加え、ページを縮小した画像(以下「サムネイル画像」という)を表示することができる。
【0017】
図2は、電子機器1000のハードウェア構成を示すブロック図である。電子機器1000は、表示部1と、コントローラー2と、制御部3と、VRAM(Video Random Access Memory)4と、RAM(Random Access Memory)5と、記憶部8と、操作部9と、バスBUSとを有する。表示部1は、画像を表示する表示素子を含むディスプレイパネルを有する。この例で、表示素子は、電圧の印加等によりエネルギーを与えなくても表示を保持するメモリー性の表示素子として、電気泳動粒子を用いた表示素子を有する。この表示素子により、表示部1は、モノクロ複数階調(この例では白黒2階調)の像を表示する。コントローラー2は、表示部1を制御する。制御部3は、電子機器1000の各部を制御する装置、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAMを有するマイクロコンピュータである。CPUは、RAMをワークエリアとして、ROMまたは記憶部8に記憶されたプログラムを実行する。VRAM4は、表示部1に表示させる画像を示す画像データを記憶するメモリーである。RAM5は、データを記憶するメモリーであり、この例では特に、書込データを記憶する書込データ記憶領域6および予定画像データを記憶する予定画像データ記憶領域7を有する。書込データおよび予定画像データの詳細は後述する。記憶部8は、電子書籍のデータを記憶する不揮発性のメモリーである。記憶部8は、複数の電子書籍のデータを記憶することができる。操作部9は、ユーザーの指示を入力するための入力装置であり、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、またはボタンを含む。図1に示したボタン9A〜9Fは、操作部9の具体例の一つである。バスBUSは、構成要素間でデータまたは信号を伝送する伝送路である。
【0018】
図3は、表示部1の断面構造を示す模式図である。表示部1は、第1基板10と、電気泳動層20と、第2基板30とを有する。第1基板10および第2基板30は、電気泳動層20を挟持するための基板である。
【0019】
第1基板10は、基板11と、接着層11aと、回路層12とを有する。基板11は、絶縁性及び可撓性を有する材料、例えばポリカーボネートで形成されている。基板11は、軽量性、可撓性、弾性及び絶縁性を有するものであれば、ポリカーボネート以外の樹脂材料により形成されてもよい。別の例で、基板11は、可撓性を有しないガラスにより形成されていてもよい。接着層11aは、基板11と回路層12とを接着する層である。回路層12は、電気泳動層20を駆動するための回路を有する層である。回路層12は、画素電極13aを有する。
【0020】
電気泳動層20は、バインダー22と、マイクロカプセル21とを有する。マイクロカプセル21は、バインダー22によって固定されている。バインダー22としては、マイクロカプセル21との親和性が良好で電極との密着性が優れ、かつ絶縁性を有する材料が用いられる。マイクロカプセル21は、内部に分散媒および電気泳動粒子が格納されたカプセルである。マイクロカプセル21は、柔軟性を有する材料、例えばアラビアゴム・ゼラチン系の化合物またはウレタン系の化合物等が用いられる。なお、マイクロカプセル21と画素電極13aとの間には、接着剤により形成された接着層が設けられてもよい。
【0021】
分散媒は、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、またはカルボン酸塩である。別の例で、分散媒は、その他の油類であってもよい。また、分散媒は、これらの物質が混合されたものでもよい。さらに別の例で、分散媒には、界面活性剤などが配合されてもよい。
【0022】
電気泳動粒子は、分散媒中で電界によって移動する性質を有する粒子(高分子またはコロイド)である。本実施形態においては白の電気泳動粒子と黒の電気泳動粒子がマイクロカプセル21内に格納されている。黒の電気泳動粒子は、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料を含む粒子であり、本実施形態では正に帯電されている。白の電気泳動粒子は、例えば、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料を含む粒子であり、本実施形態では負に帯電されている。
【0023】
第2基板30は、フィルム31と、透明電極32とを有する。フィルム31は、電気泳動層20の封止および保護をするものである。フィルム31は、透明で絶縁性を有する材料、例えばポリエチレンテレフタレートにより形成される。透明電極32は、透明で導電性を有する材料、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)により形成される。
【0024】
図4は、表示部1の回路の構成を示す図である。表示部1は、m本の走査線64と、n本のデータ線65と、m×n個の画素62と、走査線駆動回路53と、データ線駆動回路54とを有する。走査線駆動回路53およびデータ線駆動回路54は、コントローラー2により制御される。走査線64は、行方向(x方向)に沿って配置されており、走査信号を伝達する。走査信号は、m本の走査線64の中から一の走査線64を順次排他的に選択する信号である。データ線65は、列方向(y方向)に沿って配置されており、データ信号を伝達する。データ信号は、各画素の階調を示す信号である。走査線64とデータ線65とは絶縁されている。画素62は、走査線64およびデータ線65の交差に対応して設けられており、データ信号に応じた階調を示す。なお、複数の走査線64のうち一の走査線64を他と区別する必要があるときは、第1行、第2行、・・・、第m行の走査線64という。データ線65についても同様である。
【0025】
図5は画素62の等価回路を示す図である。画素62は、トランジスター61と、保持容量63と、画素電極13aと、電気泳動層20と、透明電極32とを有する。トランジスター61は、画素電極13aへのデータの書き込みを制御するスイッチング素子、例えばnチャネルのTFT(Thin Film Transistor)である。トランジスター61のゲート、ソース、およびドレインはそれぞれ、走査線64、データ線65、および画素電極13aに接続されている。L(Low)レベルの走査信号(非選択信号)がゲートに入力されているとき、トランジスター61のソースとドレインは絶縁する。H(High)レベルの走査信号(選択信号)がゲートに入力されると、トランジスター61のソースとドレインは導通し、画素電極13aにデータ電圧(データ信号が示す電圧)が書き込まれる。また、トランジスター61のドレインには保持容量63も接続されている。保持容量63は、データ電圧に応じた電荷を保持する。画素電極13aは、画素62に一つずつ設けられており、透明電極32と対向している。透明電極32は、すべての画素62に共通であり、電位Vcomが与えられる。画素電極13aと透明電極32との間には電気泳動層20が挟まれている。電気泳動層20には、画素電極13aと透明電極32との電位差に相当する電圧が印加される。マイクロカプセル21において、電気泳動層20に印加されている電圧に応じて電気泳動粒子が移動し、階調表現をする。透明電極32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が正(例えば+15V)である場合、負に帯電している白の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、正に帯電している黒の電気泳動粒子が透明電極32側に移動する。このとき第2基板30側から表示部1を見ると、画素が黒に見える。透明電極32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が負(例えば−15V)である場合、正に帯電している黒の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、負に帯電している白の電気泳動粒子が透明電極32側に移動する。このとき、画素が白に見える。
【0026】
なお、以下の説明においては、走査線駆動回路53が第1行の走査線を選択してから第m行の走査線の選択が終了するまでの期間を「フレーム期間」または単に「フレーム」という。各走査線64は、1フレームに一回づつ選択され、各画素62には1フレームに一回づつデータ信号が供給される。
【0027】
図6は、電子機器1000の機能構成を示す図である。電子機器1000は、表示手段1101と、サムネイル生成手段1102と、サムネイル取得手段1103と、検索対象取得手段1104と、タグ画像生成手段1105と、タグ画像取得手段1106と、表示画像生成手段1107と、表示制御手段1108とを有する。表示手段1101は、画像を表示する。パラメーター取得手段1109は、対象となる電子書籍について、サムネイル画像の生成または表示画像の生成に用いられるパラメーターを取得する。サムネイル生成手段1102は、複数ページを有する電子書籍についてサムネイル画像を生成する。サムネイル生成手段1102は、各ページを縮小して基準状態とし、これを仮想回転軸を中心に回転し、さらに、これをある視点から俯瞰したように加工する。サムネイル取得手段1103は、検索対象取得手段1104からサムネイル画像を取得する。検索対象取得手段1104は、第1検索対象を取得する。タグ画像生成手段1105は、検索対象取得手段1104により取得された第1検索対象に対応する第1タグ画像を生成する。タグ画像取得手段1106は、タグ画像生成手段1105から第1タグ画像を取得する。表示画像生成手段1107は、表示される画像(サムネイル画像群)を生成する。サムネイル画像群は、複数のサムネイル画像および第1タグ画像を含んでいる。サムネイル画像群において、複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像は、部分的に重なった状態である。第1タグ画像は、第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加される。
【0028】
図6の機能は、サムネイル画像を表示させるためのプログラムを制御部3が実行することにより実装される。このプログラムを実行している制御部3により制御されている表示部1は、表示手段1101の一例である。このプログラムを実行している制御部3は、サムネイル生成手段1102、サムネイル取得手段1103、検索対象取得手段1104、タグ画像生成手段1105、タグ画像取得手段1106、および表示画像生成手段1107の一例である。このプログラムを実行している制御部3により制御されているコントローラー2は、表示制御手段1108の一例である。
【0029】
2.動作
2−1.サムネイル画像の表示
図7は、電子機器1000におけるサムネイル表示処理を示すフローチャートである。図7のフローは、所定のイベント、例えば、第1選択ページの画像を表示している状態で、サムネイル表示を行う指示をユーザーが入力したことを契機として開始される。ステップS100において、制御部3は、対象となる電子書籍の書籍データについて、サムネイル画像の変形(生成)および表示画像の生成に用いられるパラメーターを取得する。このパラメーターは、RAM5に記憶されている。制御部3は、RAM5からこのパラメーターを読み出す。このパラメーターは、第1選択ページを特定するパラメータSP1を含む。例えば、SP1=10の場合、電子書籍の第10ページが選択されていることが示される。
【0030】
ステップS110において、制御部3は、サムネイル画像を生成する。より詳細には、制御部3は、書籍データに含まれる各ページのデータをある縮小率で縮小し、サムネイル画像を生成する。制御部3は、生成したサムネイル画像をRAM5に記憶する。ステップS120において、制御部3は、サムネイル画像を変形する。
【0031】
図8は、サムネイル画像の変形処理を説明する図である。ステップS110において生成されたサムネイル画像は、ページを平面視した画像である。以下この状態を、「基準状態」という。図8(a)は、変形後のサムネイル画像を例示する図である。変形後のサムネイル画像は、ページ(サムネイル画像)を仮想空間内の水平面Nに立て、仮想回転軸M(この例では、ページの左辺)を中心にして、基準状態から回転角θで回転させた画像である。水平面Nの角度(図中において破線で示した楕円の、正円からのずれ)は、仮想空間内においてページの上辺より上の視点からページを見た時の俯角φに依存している。例えば、ページの上辺の真上から見ると、破線で示した楕円は正円になり、そこから視点が下がるにつれて楕円は段々と扁平になる。この例で、俯角φはあらかじめ決められている。回転角θは、パラメーターSP1に応じて決められる。この例では、回転角θは以下の条件を満たす。括弧内に、「SP1=10」の場合の具体例を示す。
(1)第1選択ページ以前のページ群と、第1選択ページの次のページ以降のページ群とでは、回転角θの符号が異なる。具体的には、第1選択ページ以前のページ群においてはθ>0であり、第1選択ページの次のページ以降のページ群においてはθ<0である(例:第10ページにおいてはθ>0であり、第11ページ以降においてはθ<0である。なお、ここでは、図8(a)において反時計回りが正方向である)。換言すると、第1選択ページのサムネイル画像における仮想回転軸を中心とした回転の向きと、第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像における仮想回転軸を中心とした回転の向きとが逆である。
(2)第1選択ページと、第1選択ページの次のページとでは、回転角θの符号が異なるが大きさは同じである(例:第10ページにおいてはθ=30°であり、第11ページにおいてはθ=−30°である)。
(3)原則として、隣接する2つのページについて、第1選択ページに近いページの回転角の大きさは、遠いページの回転角の大きさ以下である(例:第11ページにおいてはθ=−30°であり、第12ページにおいてはθ=−35°である)。
(4)回転角の大きさは90°未満である。すなわち、0≦|θ|<90°である。
【0032】
サムネイル画像の変形は、具体的には例えば以下のように行われる。図8(b)は、基準状態のサムネイル画像を示す図である。基準状態のサムネイル画像は、縦方向の長さL、横方向の長さSの四角形である。基準状態のサムネイル画像において、縦方向の辺は表示領域の縦方向と平行であり、横方向の辺は表示領域の横方向と平行である。制御部3は、基準状態のサムネイル画像に対して、横幅を維持したまま縦方向の変形を加え、右辺を左辺に対してS・sinθ・tanφだけずらす(図8(c))。次に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で横方向に縮小する(図8(d))。最後に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で縦方向に縮小する(図8(e))。変形後のサムネイル画像は、高さL・cosθ、幅S・cosθの平行四辺形であり、その右辺と左辺とはS・sinθ・sinφずれている。制御部3は、変形したサムネイル画像をRAM5に記憶する。
【0033】
再び図7を参照する。ステップS130において、制御部3は、サムネイル画像群を生成する。サムネイル画像群は、複数のサムネイル画像を合成した画像である。サムネイル画像群において、複数のサムネイル画像は、これら複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なっている。この例で、複数のサムネイル画像は、1本の水平な直線上に下端が乗るように配置される。複数のサムネイル画像は、ページ番号の順番に従って、例えば、右端が第1ページで左端が最終ページであるように配置される。ここで、第pページのサムネイル画像と第(p+1)ページのサムネイル画像との間の間隔を、d(p)と表す。例えば、d(SP1)は、第1選択ページのサムネイル画像とその次のページのサムネイル画像との間隔を表している。間隔d(p)は、パラメーターSP1に応じて決められる。
【0034】
図9は、間隔d(p)を例示する図である。この例で、間隔d(p)は以下の条件を満たす。図9には、例としてd(10)およびd(11)が示されている。
(1)第1選択ページを基準としたある範囲においては、第1選択ページとその次のページの間隔が最大である。例えば、第1選択ページ以前のkページおよび第1選択ページの次のページ以後のkページをこの範囲とすると、(SP1−k+1)≦p≦(SP1+k)の範囲において、d(SP1)が最大である。
(2)(1)の範囲において、第1選択ページから離れるにつれて間隔d(p)は狭くなる(または等しい)。すなわち、(SP1−k+1)≦p≦SP1の範囲において、d(SP1)≦d(p)であり、(SP1+1)≦p≦(SP1+k)の範囲において、d(p+1)≦d(p)である。
(3)(1)の範囲を超えると、間隔d(p)は一定となる。すなわち、p<(SP1−k+1)および(SP1+k)<pの範囲において、d(p)は一定である。
(4)(1)の範囲の境界の外の間隔は、境界の中の間隔以下である。すなわち、d(SP1−k)≦d(SP1−k+1)であり、d(SP1+k)≦d(SP1+k+1)である。
【0035】
間隔dが決められると、複数のサムネイル画像は合成される。サムネイル画像の合成は、以下の条件に従う。
(1)第1選択ページ以前のページにおいては、ページ番号が後のページが上に重ねられる(例:第8ページの上には第9ページが、第9ページの上には第10ページが重ねられる)。
(2)第1選択ページの次のページ以後のページにおいては、ページ番号が後のページが下に重ねられる(例:第11ページの下には第12ページが、第12ページの下には第13ページが重ねられる)。
すなわち、サムネイル画像群において、第1選択ページのサムネイル画像が最前面に位置するように、複数のサムネイル画像が合成される。
【0036】
図9は、SP1=10かつk=10の場合を例示している。第10ページと第11ページの間隔が最大であり、その前後10ページの範囲では、間隔が徐々に狭くなっている。この範囲を超えると、間隔は一定である。
【0037】
ステップS140において、制御部3は、表示画像を生成する。表示画像は、第1選択ページの画像と、サムネイル画像群とを含む。第1選択ページの画像は、縮小されていない大きい画像である。より詳細には、表示画像は、第1選択ページの画像の上にサムネイル画像群を重ねた画像である。ステップS150において、制御部3は、表示画像を表示部1に表示させる。より詳細には、制御部3は、表示画像のデータをVRAM4に書き込む。さらに、制御部3は、コントローラー2に対し、表示部1における画像の書き換えを指示する。コントローラー2は、表示部1を制御して画像を書き換える(詳細は後述する)。
【0038】
まとめると、サムネイル画像の表示処理は、複数のページの中から第1選択ページの選択を受け付けるステップ(ステップS100)と、選択が受け付けられた場合、表示部1に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップ(ステップS150)とを有する。ここで、更新後のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、更新前のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広い。
【0039】
図10は、表示画像を例示する図である。ここでは、第10ページが選択されている場合すなわちSP1=10である場合の例を示している。図10においては、図面が繁雑になるのを防ぐため、画像中の各ページに記述されている文字を「・」で表している。この例では、(縮小されていない)第1選択ページの画像Pの下部に重なるように、サムネイル画像群SIが表示されている。表示画面において、サムネイル画像群の面積は、第1選択ページの面積よりも小さい。この例によれば、ユーザーは、第1選択ページについては大きな画像で内容を確認でき、さらに、第1選択ページが電子書籍全体の中でどこに位置しているのか、サムネイル画像群により確認することができる。
【0040】
2−2.ページの更新
図11は、ページの表示更新処理を示すフローチャートである。「ページの表示更新」とは、電子書籍のページを送る操作またはページを戻す操作が行われた時に、第1選択ページを更新する処理をいう。図11のフローは、図10の表示画像が表示された状態で実行される。
【0041】
ステップS200において、制御部3は、第1選択ページを特定するパラメーターSP1の値を変更する。パラメーターSP1は、RAM5に記憶されており、これが制御部3により書き換えられる。パラメーターSP1の値は、ユーザーにより入力された指示に応じて変更される。例えば、電子書籍のページを送る操作(例えば、ボタン9Fの押下)が行われた場合、制御部3は、パラメーターSP1の値に1を加算し、電子書籍のページを戻す操作(例えば、ボタン9Eの押下)が行われた場合、制御部3は、パラメーターSP1の値から1を減算する。
【0042】
ステップS210において、制御部3は、変更されたパラメーターSP1により特定される第1選択ページのデータを書籍データから抽出する。ステップS220において、制御部3は、第1選択ページのデータを用いて表示画像を生成および表示する。表示画像の生成および表示処理は、図7で説明したとおりである。
【0043】
図12は、図10から5ページ分ページ送りされた表示画像を例示する図である。すなわち、図12は、SP1=15の場合を示している。第1選択ページの変更に伴ってサムネイル画像群も変化する。したがって、ユーザーは、書籍においてどのページが選択されているのか容易に知ることができる。
【0044】
2−3.検索
図13は、電子書籍における検索処理を示すフローチャートである。図13のフローは、所定のイベント、例えば、検索を開始する指示をユーザーが入力したことを契機として開始される。ここでは、電子書籍の中から特定の単語を検索する場合を例として説明する。ステップS300において、制御部3は、検索語を取得する。検索語は、ユーザーが操作部9を操作することにより入力される。制御部3は、取得した検索語をRAM5に記憶する。
【0045】
ステップS310において、制御部3は、検索結果を取得する。この例で、検索は、検索エンジン(検索プログラム)により行われる。検索エンジンとしては公知のものが用いられる。制御部3は、検索エンジンを呼び出し、検索語を検索するように指示する。検索エンジンは、検索結果をRAM5に記憶する。検索結果は、電子書籍における検索語の位置を特定する情報、例えば、識別番号Ri、ページ番号Rp、行番号Rl、および文字番号Rcの組を含む。これは、第Rpページ第Rl行第Rc文字から、検索語が存在することを示している。
【0046】
ステップS320において、制御部3は、タグ画像を生成する。「タグ画像」とは、サムネイル画像およびページ画像と区別可能な形状を有する画像をいう。この例で、タグ画像の面積は、サムネイル画像よりも小さい。
【0047】
図14は、タグ画像を例示する図である。この例で、タグ画像は、長方形の形状を有している。長方形の形状、すなわち縦辺の長さおよび横辺の長さは決められている。また、長方形の内部には、検索語(この例では「word」)が表されている。このように、長方形を平面視した状態をタグ画像の「標準状態」という。本実施形態において、タグ画像は、サムネイル画像と同様に変形される。ステップS320におけるタグ画像の「生成」処理は、以下で説明するタグ画像の変形処理も含む。
【0048】
図15は、タグ画像の変形処理を説明する図である。タグ画像は、検索語が存在するページのサムネイル画像に対応して生成される。例えば、検索語が第2ページと第5ページに存在する場合、タグ画像は、第2ページおよび第5ページのそれぞれについて生成される。この例では、単一のページに複数の検索語が存在する場合でも、単一のサムネイル画像に対して単一のタグ画像が生成される。例えば、第2ページに検索語が計5回登場する場合でも、第2ページに対しては単一のタグ画像が生成される。
【0049】
タグ画像の変形は、対応するサムネイル画像の変形と同様に行われる。図15(a)は、変形後のタグ画像を例示する図である。タグ画像は、対応するサムネイル画像に対して決められた位置に付加される。図15(b)は、基準状態のタグ画像およびサムネイル画像を示す図である。この例で、タグ画像は、サムネイル画像の右辺上端に付加される。より詳細には、タグ画像の左上頂点とサムネイル画像の右上頂点とが一致し、かつ、タグ画像とサムネイル画像とが重ならないように、タグ画像が付加される。基準状態のタグ画像は、縦方向の長さLt、横方向の長さStを有する。基準状態のサムネイル画像は、縦方向の長さL、横方向の長さSを有する。タグ画像とサムネイル画像とを合わせた画像は、全体として、縦方向の長さL、横方向の長さ(S+St)を有する。制御部3は、基準状態のタグ画像およびサムネイル画像に対して、横幅を維持したまま縦方向の変形を加え、右辺を左辺に対して(S+St)・sinθ・tanφだけずらす(図15(c))。次に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で横方向に縮小する(図15(d))。最後に、制御部3は、サムネイル画像をcosθの倍率で縦方向に縮小する(図15(e))。変形後のタグ画像およびサムネイル画像は、高さL・cosθ、幅(S+St)・cosθの平行四辺形に内接する図形であり、その平行四辺形の右辺と左辺とはS・sinθ・sinφずれている。すなわち、タグ画像は、対応するサムネイル画像の変形に用いられたパラメーター(回転角θおよび俯角φ)と同じパラメーターを用いて変形される。制御部3は、変形したタグ画像をRAM5に記憶する。
【0050】
再び図13を参照する。ステップS330において、制御部3は、サムネイル画像群を生成する。ここでいう「サムネイル画像群」は、タグ画像も含む。タグ画像を含むサムネイル画像群は、既にステップS130において説明した(タグ画像を含まない)サムネイル画像群と同様に生成される。ステップS340において、制御部3は、表示画像を生成する。表示画像は、第1選択ページの画像と、サムネイル画像群とを含む。ステップS350において、制御部3は、表示画像を表示部1に表示させる。
【0051】
以上、まとめると、本実施形態の表示制御方法は、複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、複数ページを有する文書について取得するステップ(ステップS110)と、第1検索対象を取得するステップ(ステップS120)と、取得された第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するステップ(ステップS320)と、複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の複数のサムネイル画像、および第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、表示装置に表示させるステップ(ステップS150)とを有する。ここで、前記タグ画像は、基準状態から、対応するサムネイル画像の前記回転軸を中心に当該サムネイル画像と同じ回転角回転され、かつ、当該サムネイル画像の前記視点から俯瞰したように加工されている。
【0052】
図16は、タグ画像TIを含む表示画像を例示する図である。この例によれば、ユーザーは、電子書籍全体の中で検索語が存在するページの位置を、サムネイル画像群SIにより確認することができる。
【0053】
2−4.第2選択ページの表示
電子機器1000においては、第1選択ページに加えて、別のページを選択することができる。以下、このページを「第2選択ページ」という。表示画面において主として表示されるのは第1選択ページであるが、第2選択ページは、サムネイル画像群において、他のページと識別可能となるように表示される。
【0054】
図17は、第2選択ページを含むサムネイル画像群の表示処理を示すフローチャートである。図17のフローは、所定のイベント、例えば、第1選択ページおよびサムネイル画像群が表示された状態において第2選択ページを指定する指示をユーザーが入力したことを契機として開始される。ステップS400において、制御部3は、第2選択ページを特定するパラメーターP2の値を変更する。パラメーターP2の値は、ユーザーによる操作部9の操作に応じて変更される。例えば、操作部9が表示部1上に設けられたタッチスクリーンを有する場合、ユーザーは、サムネイル画像群のうち選択したいページが表示されている部分に触れることにより、第2選択ページを指定する。あるいは、ユーザーは、ボタン9A〜9Fを操作することにより、第2選択ページを指定してもよい。
【0055】
ステップS410において、制御部3は、表示画像を生成および表示する。表示画像の生成および表示処理は、基本的には第2−1章で説明したとおりである。しかし、第2−1章の説明は、パラメーターP2が「値無し」の場合、すなわち、第2選択ページが無い場合の例である。パラメーターP2が値を有する場合、ステップS130におけるサムネイル画像群の生成は、パラメーターP2を考慮して行われる。より具体的には、隣接する2つのサムネイル画像の間隔d(p)は、パラメーターP2に応じて決められる。すなわち、間隔d(p)について既に説明した条件(1)〜(4)に加え、以下の条件(5)〜(6)が用いられる。
(5)第2選択ページの前後の間隔は、そのページが第2選択ページとして選択されていなかったときの間隔よりも広い。
(6)第2選択ページの前後の間隔は、その周辺部分よりも広い。すなわち、d(P2)>d(P2+1)かつd(P2−2)<d(P2−1)である。
(7)第2選択ページの前後の間隔は等しい。すなわち、d(P2−1)=d(P2)である。
【0056】
まとめると、第2選択ページの表示処理は、複数のページの中から第2選択ページの選択を受け付けるステップ(ステップS400)と、選択が受け付けられた場合、表示部1に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップ(ステップS410)とを有する。ここで、更新後のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、更新前のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広い。
【0057】
図18は、第2選択ページを含むサムネイル画像群を例示する図である。ここでは、SP1=15、P2=21、かつk=10である例が示されている。この例によれば、第2選択ページが指定(変更)されると、第2選択ページと第2選択ページの前後のページとの間隔が、第2選択ページが指定される前と比較して広くなる。さらに、第2選択ページと第2選択ページの前後のページとの間隔は、その周辺の間隔よりも広くなる。したがって、ユーザーは、第1選択ページを閲覧しつつ、第1選択ページ以外のページの内容を知ることができる。また、第2選択ページの選択後に検索が行われ、タグ画像付きのサムネイル画像群が表示されてもよい。
【0058】
2−5.表示書き換え
次に、ステップS150およびS350等における画像の書き換え処理の詳細を説明する。電子機器1000において、白(低濃度または低階調)から黒(高濃度または高階調)または黒から白への、画素の表示状態は、複数フレームに渡る電圧の印加(電荷の蓄積)により変化する。すなわち、1フレームだけの電圧の印加では、画素は所望の表示状態にはならない。
【0059】
図19は、コントローラー2の機能構成を示すブロック図である。コントローラー2は、書き換え判断部201と、書込状態判断部202と、書込制御部203と、データ更新部204と、予定画像更新部205とを有する。これらの機能は、ハードウェアにより実現される。別の例で、コントローラー2にプロセッサーを設け、このプロセッサーがプログラムを実行することにより各ブロックが実現されてもよい。
【0060】
書き換え判断部201は、VRAM4に記憶されている画像データと、予定画像データ記憶領域7に記憶されている画像データとを比較し、両者が異なるか否か判断する。書込状態判断部202は、書込データ記憶領域6に記憶されているデータを参照し、画素を黒から白または白から黒へ変化させるための書き換え動作が進行中か否か判断する。書込データ記憶領域6は、各画素について黒から白へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第1書込データ)を記憶する白書込データ記憶領域6Aと、各画素について白から黒へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第2書込データ)を記憶する黒書込データ記憶領域6Bとを有する。
【0061】
書込制御部203は、所望の画素の画素電極13aに対してデータ信号が供給されるように走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54を制御する。データ更新部204は、白書込データ記憶領域6Aと黒書込データ記憶領域6Bにデータを書き込む。予定画像更新部205は、予定画像データ記憶領域7に記憶されている画像データをVRAM4に記憶されている画像データで上書きする。
【0062】
図20は、コントローラー2による表示部1の駆動処理を示すフローチャートである。以下において、表示部1における第i行第j列の画素を、画素Pijという。VRAM4において、画素Pijの階調を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Aijという。この例で、記憶領域Aijに記憶されるデータは、0(黒)または7(白)の2値である。予定画像データ記憶領域7において、画素Pijの予定画像データを記憶する領域を、記憶領域Bijという。予定画像データとは、進行中の書き込み処理が終了したときの表示部1の状態を示すデータをいう。この例で、記憶領域Bijに記憶されるデータは、0(黒)または7(白)の2値である。書込データ記憶領域6は、白書込データ記憶領域6Aおよび黒書込データ記憶領域6Bとを有する。白書込データ記憶領域6Aは、第1書込データとして階調を黒から白に書き換える画素における残り電圧印加回数を記憶する。黒書込データ記憶領域6Bは、第2書込データとして階調を白から黒に書き換える画素における残り電圧印加回数を記憶する。白書込データ記憶領域6Aにおいて、画素Pijの残り電圧印加回数を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Cijという。黒書込データ記憶領域6Bにおいて、画素Pijの残り電圧印加回数を示すデータを記憶する領域を、記憶領域Dijという。
【0063】
ステップS11およびS12において、書込状態判断部202は、変数iおよびjの値を初期化する。この例では、変数iおよびjは、i=1およびj=1に初期化される。ステップS13において、書込状態判断部202は、変数iおよびjで特定される画素Pijを選択する。例えば、変数iの値が1であり、変数jの値が1である場合、画素P11が選択される。
【0064】
ステップS14において、書込状態判断部202は、記憶領域Cijに記憶されている第1書込データと、記憶領域Dijに記憶されている第2書込データの両方が0であるか判断する。すなわち、書込状態判断部202は、画素Pijについて書き込み処理が継続中ではないか判断する。画素Pijについて第1書込データと第2書込データの両方が0である場合(ステップS14:YES)、書込状態判断部202は、処理をステップS16に移行する。画素Pijについて第1書込データおよび第2書込データの一方が0でない場合(ステップS14:NO)、書込状態判断部202は、処理をステップS15に移行する。
【0065】
ステップS15において、データ更新部204は、第1書込データおよび第2書込データのうち、値が0以外のデータから1を減算する。なお、第1書込データおよび第2書込データのうち、値が0のデータについては、データ更新部204は、1を減算しない。ステップS19において、データ更新部204は、変数jの値がデータ線の本数nと同じであるか否か判断する。変数jの値がnでない場合(ステップS19:NO)、データ更新部204は、変数jの値に1を加える(ステップS20)。変数jの値に1を加えると、データ更新部204は、処理をステップS13に移行する。変数jの値がnである場合(ステップS19:YES)、データ更新部204は、処理をステップS21に移行する。ステップS21において、データ更新部204は、変数iの値が走査線の本数mと同じであるか判断する。変数iの値がmでない場合(ステップS21:NO)、データ更新部204は、変数iの値に1を加える(ステップS22)。変数iの値に1を加えると、データ更新部204は、処理をステップS12へ移行する。変数iの値がmである場合(ステップS21:YES)、データ更新部204は、処理をステップS23に移行する。ステップS23において、書込制御部203は、走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54とを制御して画素駆動回路を駆動する。
【0066】
ステップS16(判断工程)において、書き換え判断部201は、記憶領域Aijに記憶されているデータと、記憶領域Bijに記憶されているデータとが同じであるか判断する。これらのデータが異なっている場合(ステップS16:NO)、書き換え判断部201は、処理をステップS17に移行する。
【0067】
ステップS17(データ更新工程)において、データ更新部204は、画素Pijの階調を記憶領域Aijの階調に変更するまでに必要な画素への電圧の印加回数を書込データ記憶領域6に書き込む。ステップS18において、予定画像更新部205は、記憶領域Bijの内容を記憶領域Aijに記憶されている内容で上書きする。
【0068】
図21は、メモリーに記憶されているデータを例示する図である。ここでは、表示部1の一部である4行4列の画素P11〜P44を例として説明する。この例では、画素の階調は0〜7の8段階で表される。階調7は白に、階調0は黒にそれぞれ対応している。図面を見やすくするため画素に数値が記載されているが、この数字が表示されているわけではない。図21の例では、画素P11、P12、P21、およびP22は黒であり、それ以外の画素は白である。書き込みが進行中の画素はなく、すべての画素について書き込みは完了した状態である。
【0069】
図22は、VRAM4の書き換えが行われた状態を例示する図である。この例では、画素P33、P34、P43、およびP44が黒であり、それ以外の画素は白である。VRAM4の書き換え、すなわち、VRAM4へのデータの書き込み(データ書き込み工程)は、制御部3により行われる。いま、図22の状態でステップS13において画素P11が選択された場合を例として説明する。この場合、記憶領域C11およびD11に記憶されているデータは共に0なので、ステップS14における判断結果はYESである。次に、記憶領域A11のデータと記憶領域B11のデータとは同じでないので、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域C11に、記憶領域B11のデータが書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B11に記憶領域A11のデータが書き込まれる。
【0070】
図23は、記憶領域B11のデータが書き換えられた状態を例示する図である。次に、対象となる画素が画素P12に更新される。記憶領域C12およびD12に記憶されているデータは共に0なので、ステップS14における判断結果はYESである。次に、記憶領域A12のデータと記憶領域B12のデータとは同じでないので、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域C12に、電圧印加回数(この例では7回)を示すデータが書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B12に記憶領域A12のデータが書き込まれる。
【0071】
図24は、記憶領域B12のデータが書き換えられた状態を例示する図である。同様にして処理が画素P44まで進むと、予定画像データ記憶領域7に記憶されているデータはVRAM4に記憶されているデータと同じになる。
【0072】
図25は、すべての画素についてデータが書き換えられた状態を例示する図である。黒から白に階調を書き換える画素については、記憶領域Cij(C11、C12、C21、およびC22)に記憶されているデータが「7」になっている。白から黒に階調を書き換える画素については、記憶領域Dij(D33、D34、D43、およびD44)に記憶されているデータが「7」になっている。記憶領域CijおよびDijにおいて、それ以外の画素についてのデータは「0」になっている。
【0073】
データの書き換えが終わると、書込制御部203は表示部1を駆動する。第i行の走査線が選択されたときに、記憶領域Cijのデータが0以外である画素については、透明電極32の電位Vcomを基準として画素電極13aの電位が低くなる電圧を印加させる制御を、書込制御部203が行う。記憶領域Dijのデータが0以外である画素については、透明電極32の電位Vcomを基準として画素電極13aの電位(以下、透明電極32の電位Vcomを基準とした、画素電極13aと透明電極32と電位差を単に「画素の電圧」という)が高くなる電圧を印加させる制御を、書込制御部203が行う。例えば、画素P11については、記憶領域C11に記憶されているデータが0ではない。したがって、第1行の走査線が選択されたとき、第1列のデータ線には画素の電圧を−15Vとする電圧が印加される。別の例で、画素P33については、記憶領域D33に記憶されているデータが0ではない。したがって、第3行の走査線が選択されたとき、第3列のデータ線には画素の電圧を+15Vとする電圧が印加される。さらに、記憶領域Cijのデータも記憶領域Dijのデータも0である画素Pijに対しては、画素の電圧を0Vとする電圧が第j行のデータ線に印加される。
【0074】
図26は、図25の状態から1フレームの電圧印加後の状態を例示する図である。表示部1の画素において、荷電粒子が移動したことにより階調が変化している。この例では、画素P11、P12、P21、およびP22が黒から1フレームの電圧印加分明るい階調になり、画素P33、P34、P43、およびP44が白から1フレームの電圧印加分暗い階調になっている。
【0075】
1フレームの電圧印加が修了すると、コントローラー2における処理は、再びステップS11から繰り返される。図26の状態でステップS13において画素P11が選択された場合、記憶領域C11に記憶されているデータは0ではないので、ステップS14における判断結果はNOである。ステップS15において、記憶領域C11に記憶されているデータ(0ではないデータ)から1が減算され、記憶領域C11のデータは6になる。同様にして、すべての画素について記憶領域のデータが書き換えられる。
【0076】
図27は、すべての画素について書込データ記憶領域のデータの書き換えが終了した状態を例示する図である。図26の状態と比較すると、記憶領域C11、C12、C21、およびC22のデータ、並びに記憶領域D33、D34、D43、およびD44のデータが6になっている点が異なっている。
【0077】
図28は、図27に示した状態から2回目のステップS23の処理が行われた直後の状態を示した図である。図27の状態と比較すると、記憶領域C11、C12、C21、およびC22のデータ、並びに記憶領域D33、D34、D43、およびD44のデータが5になっている点が異なっている。さらに、表示部1における画素P11、P12、P21、およびP22の階調が3になっており、画素P33、P34、P43、およびP44の階調が4になっている点が図27の状態と異なっている。ここで、図28の状態のとき(2回目のステップS23の処理が行われた直後)にVRAM4のデータが書き換えられた場合の動作を考える。
【0078】
図29は、VRAM4のデータが書き換えられた状態を例示する図である。この例では、第1行および第4行の画素がすべて白に、第2行および第3行の画素がすべて黒である。この状態で、コントローラー2は、ステップS11からの処理を実行する。例えば、ステップS13において画素P21が選択された場合、ステップS14における判断結果はNOである。ステップS15において、記憶領域C21のデータは1が減算されて4になる。別の例で、ステップS13において画素P23が選択された場合、ステップS14における判断結果はYESである。さらに、ステップS16における判断結果葉NOである。したがって、処理はステップS17に進む。ステップS17において、記憶領域D23のデータとして7が書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B23のデータとして、記憶領域A23のデータが書き込まれる。このように、VRAM4のデータが書き換えられても、書き換え処理が進行中の画素(図29の例では、画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)については、進行中の書き換え処理(書き換えられる前のVRAM4のデータに基づく画素の書き換え処理)がそのまま進められる。一方、書き換え処理が進行中でない画素(画素P13、P14、P23、P24、P31、P32、P41、およびP42)については、書き換えられたVRAM4のデータに基づく画素の書き換え処理が行われる。
【0079】
図30は、図29の状態からすべての画素についてデータの書き換えが終了した状態を例示する図である。図29の状態と比較すると、記憶領域B23、B24、B31、およびB32のデータが0に書き換えられている点が異なっている。また、記憶領域C11、C12、C21、C22、D33、D34、D43、およびD44のデータが4に書き換えられている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが7に書き換えられている点が異なっている。
【0080】
図31は、図30の状態からステップS23の処理が行われた状態を例示する図である。VRAM4のデータの書き換え前から既に書き換え処理が進行中であった画素(画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)については、書き換え後のVRAM4のデータによらず、従前の書き換え処理が継続される。VRAM4のデータの書き換え後に書き換えが必要になった画素のうち、VRAM4のデータの書き換え前には書き換え処理が行われていなかった画素(画素P13、P14、P31、およびP32)については、書き換え後のVRAM4のデータに基づく画素の書き換えが開始される。
【0081】
図32は、図31からさらに書き換え処理が進められ、VRAM4のデータの書き換え前から既に書き換え処理が進行中であった画素(画素P11、P12、P21、P22、P33、P34、P43、およびP44)について、所定回数の電圧の印加が終了した状態を例示する図である。この状態では、書込データ記憶領域6においては、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータは3であり、これ以外の記憶領域のデータは0である。表示部1において、画素P23、P24、P31、およびP32の階調は2である。画素P33、P34、P43、およびP44の階調は0である。それ以外の画素の階調は7である。この状態で、ステップS13において画素P21が選択された場合を例として考える。この場合、ステップS14における判断結果はYESである。さらに、ステップS16における判断結果はNOである。ステップS17において、記憶領域D21のデータとして7が書き込まれる。ステップS18において、記憶領域B21に記憶領域A21のデータと同じ0がデータとして書き込まれる。
【0082】
図33は、すべての画素についてデータの書き換えが完了した状態を例示する図である。図32と比較すると、記憶領域B21およびB22の値が7になっており、記憶領域B43およびB44のデータが0になっている点が異なっている。また、記憶領域C43、C44、D21、およびD22のデータが7になっている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが2になっている点が異なっている。
【0083】
図34は、図33の状態から画素の書き換えが行われた状態を例示する図である。図33の状態と比較すると、画素P23、P24、P31、およびP32の階調が1になっている点が異なっている。また、画素P21およびP22の階調が6になっており、画素P43およびP44の階調が1になっている点が異なっている。
【0084】
図35は、図34の状態から処理が1フレーム進んだ状態を例示する図である。図34の状態と比較すると、画素P23、P24、P31、およびP32の階調が0になっている点が異なっている。また、画素P21およびP22の階調が5になっており、画素P43およびP44の階調が2になっている点が異なっている。さらに、記憶領域C43、C44、D21、およびD22のデータが6になっている点が異なっている。さらに、記憶領域D23、D24、D31、およびD32のデータが1になっている点が異なっている。
【0085】
図36は、図35の状態から処理が進められた状態を例示する図である。この状態では、VRAM4のデータと表示部1の階調とが一致している。また、書込データ記憶領域に記憶されているデータはすべて0であり、すべての画素について書き込み処理が終了していることが示されている。
【0086】
まとめると、表示書き換え処理において、表示部1は、複数の画素を有し、画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の階調が変更される。この表示書き換え処理は、表示部1に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の書き込み動作によって表示部1に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、複数の画素において階調を変更する画素を判断するステップ(ステップS16)と、階調を変更する画素と判断された画素が書き込み動作中ではない場合には、画像データの定める階調となるようにその画素に対して前記書き込み動作を開始し、判断工程において階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、画像データの定める階調となるようにその画素に対して書き込み動作を開始するステップ(ステップS23)とを有する。
【0087】
本実施形態によれば、先に書き換えが開始された領域と新たに書き換えを行う領域とが部分的に重なった場合でも、新たに書き換えを開始する時に書き換えが進行中でなかった部分については、書き換えが直ぐに開始される。したがって、ユーザーには表示速度が早く感じられる。また、本実施形態によれば、単一のフレーム内において、正電圧が印加される画素と負電圧が印加される画素を共存させることができる(このように、単一のフレームで正電圧と負電圧の両方を選択できる駆動を、「両極駆動」という)。
【0088】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0089】
3−1.変形例1
第1検索語および第2検索語を用いた検索の結果を単一の画面に表示する場合、第1検索語に対応する第1タグ画像および第2検索語に対応する第2タグ画像の2つのタグ画像が用いられてもよい。この場合の処理は、図13のフローと同様に進められる。ステップS300において、制御部3は、第2検索対象を取得する。ステップS320のタグ画像生成処理において、制御部3は、第1タグ画像と異なる第2タグ画像を、第2検索対象に対応するタグ画像として生成する。すなわち、制御部3は、ステップS300において検索対象を取得した場合において、既に別の検索対象についての検索結果が表示された状態であるときは、新たな検索対象については第1タグ画像と異なる第2タグ画像を用いる。第1タグ画像と第2タグ画像とは、輪郭、サイズ、色彩、または画像全体の平均階調値が異なる。この構成によれば、ユーザーは、複数の検索対象を用いた検索結果を一度に俯瞰することができる。
【0090】
3−2.変形例2
タグ画像は実施形態で説明したものに限定されない。例えば、タグ画像は、検索語の画像を含んでいなくてもよい。別の例で、タグ画像は、サムネイル画像に対して決まった位置ではなく、検索語が発見された行に応じた位置に付加されてもよい。この場合、単一のページにおいて検索語が複数箇所で発見された場合、複数箇所にタグ画像が付加されてもよい。例えば、第10ページ第5行および第10行において検索語が発見された場合、第10ページの第5行に対応する位置および第10行に対応する位置に、それぞれタグ画像が付加される。
【0091】
また、実施形態においては、タグ画像およびそのタグ画像に対応するサムネイル画像は、同じパラメータ(回転角θ等)を用いて変形された。しかし、タグ画像の変形に用いられるパラメータと、サムネイル画像の変形に用いられるパラメータとは、異なっていてもよい。別の例で、タグ画像は変形されずにサムネイル画像に付加されてもよい。
【0092】
3−3.変形例3
図37は、変形例3に係る表示画像を例示する図である。サムネイル画像群は、その全体が表示されず一部だけが表示されてもよい。図37の例では、サムネイル画像群については、ページの上端から予め定められた範囲である上部のみが表示され、この上部より下の下部は表示されない。
【0093】
3−4.変形例4
図38は、変形例4に係るサムネイル画像の配置を例示する図である。サムネイル画像群におけるサムネイル画像の配置は、実施形態で説明したものに限定されない。サムネイル画像は、表示領域の右から左方向へページ番号の降順に配置されてもよい。また、隣接する2つのサムネイル画像は、上辺または下辺の位置が一致していなくてもよい。図38の例では、第1選択ページのサムネイル画像より左側に表示されるサムネイル画像は、第1選択ページから離れるにつれて上方向にずれている。第1選択ページの1ページ前のサムネイル画像より右側に表示されるサムネイル画像は、第1選択ページの1ページ前のサムネイル画像から離れるにつれて上方向にずれている。
【0094】
3−5.変形例5
サムネイル画像の大きさは、実施形態で説明したものに限定されない。サムネイル画像の大きさは、予め定められていてもよい。別の例で、サムネイル画像の大きさは、ユーザーの指示入力に応じて変更されてもよい。さらに別の例で、サムネイル画像の大きさは、表示部1の解像度に応じて変更されてもよい。この構成は、例えば、電子機器1000がパーソナルコンピューターである場合など、ディスプレイ装置を交換可能な装置に対して有効である。また、サムネイル画像の大きさは、すべてのページについて同一でなくてもよい。具体的には、第1選択ページのサムネイル画像を、第1選択ページ以外のページのサムネイル画像より大きくしてもよい。また、第2選択ページのサムネイル画像を、第2選択ページの前後のページのサムネイル画像より大きくしてもよい。さらに別の例で、第1選択ページのサムネイル画像が最も大きく、第1選択ページから離れたページになるにつれてサムネイル画像が小さくなってもよい。さらに別の例で、第1選択ページから予め定められた範囲内のページのサムネイル画像は、第1選択ページと同じ大きさであり、この範囲外のページのサムネイル画像は、第1選択ページのサムネイル画像より小さくてもよい。
【0095】
3−6.変形例6
サムネイル画像群を生成する際のパラメータの設定は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、第2選択ページが第1選択ページより後の場合、第2選択ページの前のページとの間隔を広げ、第2選択ページの後のページとの間隔を広げなくてもよい。あるいは、第2選択ページが第1選択ページより前の場合、第2選択ページの後のページとの間隔を広げ、第2選択ページの前のページとの間隔を広げなくてもよい。また、サムネイル画像間の間隔dは、第1選択ページのサムネイル画像P2から離れるにつれて、ページ間の間隔が狭くなるように設定されてもよい。別の例で、第1選択ページから予め定められた範囲のページのサムネイル画像については、サムネイル画像が互いに重ならない程度に広い間隔dが採用されてもよい。
【0096】
図39は、変形例6に係るサムネイル画像群を例示する図である。第2選択ページのサムネイル画像は、第2選択ページの前後のページサムネイル画像と比較して回転角度を小さくてもよい。また、上述した実施形態においては、第1選択ページより前のページのサムネイル画像は、回転軸Mを中心に回転させる時の回転方向が第1選択ページのサムネイル画像を回転させる時の回転方向と反対方向となっているが、本発明においては、第1選択ページより前のページのサムネイル画像についても第1選択ページのサムネイル画像を回転させる時の回転方向と同じとしてもよい。また、本発明においては、第1選択ページの回転角度θ1を0°としてもよい。また、本発明においては、各サムネイル画像の回転角度を全て同じ角度にしてもよい。また、本発明においては、第1選択ページから予め定められた範囲内にあるページのサムネイル画像については、第1選択ページのサムネイル画像と回転角度を同じとし、第1選択ページから予め定められた範囲外のサムネイル画像については、第1選択ページのサムネイル画像より回転角度を大きくしてもよい。
【0097】
3−7.変形例7
図40は、変形例7に係るサムネイル画像群を例示する図である。サムネイル画像群と第1選択ページとの位置関係は実施形態で説明したものに限定されない。図40では、サムネイル画像群と第1選択ページとが重ならないように表示される。別の例で、第1選択画像Pを表示せずにサムネイル画像群P11だけを表示するようにしてもよい。なお、サムネイル画像群P11だけを表示する場合、第1選択画像Pと共に表示する場合と比較して各サムネイル画像のサイズを大きくしてもよい。
【0098】
3−8.変形例8
電子機器1000は、サムネイル画像の表示および非表示を切り換えられる構成を有していてもよい。表示および非表示の切り換えは、例えば、操作部9を介した指示入力に応じて切り換えられる。具体的には、ボタン9Bが押下されると表示されているサムネイル画像が消去され、サムネイル画像が表示されていない状態においてボタン9Aが押下されるとサムネイル画像が表示されてもよい。サムネイル画像を消去する場合には、サムネイル画像を下方向へスクロールさせて消去してもよい。サムネイル画像を表示する場合には、サムネイル画像を表示領域の下端から上方向へスクロールさせて表示してもよい。
【0099】
3−9.変形例9
操作部9の構成は実施形態で説明したものに限定されない。操作部9は、表示部1においてスタイラスペンで触れられた位置の情報を取得する位置入力装置を有していてもよい。電子機器1000は、この位置入力装置で得た位置情報によりスタイラスペンの位置や移動軌跡を取得し、取得した位置や移動軌跡に応じて電子機器1000の各部を制御してもよい。
【0100】
3−10.他の変形例
電子機器1000は、電子ブックリーダーに限定されない。電子機器1000は、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、または携帯ゲーム機であってもよい。これらの電子機器において、図6に示される機能は、制御部3がプログラムを実行することにより実現されてもよい。このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピューター読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。別の例で、このプログラムは、通信回線を介して電子機器1000にダウンロードされてもよい。こうして取得されたプログラムは、電子機器1000にインストールされて使用される。
【0101】
画素の等価回路は、実施形態で説明されたものに限定されない。画素電極13aと透明電極32との間に制御された電圧を印加できる構成であれば、スイッチング素子および容量素子はどのように組み合わせられてもよい。また、この画素を駆動する方法は、実施形態で説明した両極駆動に限定されない。単一のフレームにおいては単一の極性の電圧が画素に印加される、片極駆動が行われてもよい。
【0102】
画素の構造は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、荷電粒子の極性は実施形態で説明したものに限定されない。黒の電気泳動粒子が負に帯電し、白の電気泳動粒子が正に帯電していてもよい。この場合は、画素に印加する電圧の極性は実施形態で説明したものと逆になる。また、表示素子は、マイクロカプセルを用いた電気泳動方式の表示素子に限定されない。液晶素子または有機EL(Electro Luminescence)素子など、他の表示素子が用いられてもよい。実施形態において、表示部1はモノクロ2階調表示の機能を有していたが、モノクロ3階調以上またはカラー表示の機能を有していてもよい。
【0103】
図6に示した電子機器1000機能の一部、または、図7等のフローチャートで説明した処理の一部は、省略されてもよい。例えば、実施形態では、制御部3が書籍データからサムネイル画像を生成する例を説明したが、制御部3はサムネイル画像を生成しなくてもよい。この場合、例えば書籍データにサムネイル画像が含まれている。制御部3は、書籍データからサムネイル画像を取得する。タグ画像についても同様である。
【0104】
表示部1に表示される画像は、電子書籍の画像に限定されない。表示部1に表示される画像は、論文、報告書、資料、図表、写真、ウェブサイトなどであってもよい。また、検索対象となる要素は単語に限定されない。画像等、単語以外の要素が検索されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…表示部、2…コントローラー、3…制御部、4…VRAM、5…RAM、6…書込データ記憶領域、7…予定画像データ記憶領域、8…記憶部、9…操作部、10…第1基板、11…基板、12…回路層、20…電気泳動層、21…マイクロカプセル、22…バインダー、30…第2基板、31…フィルム、32…透明電極、53…走査線駆動回路、54…データ線駆動回路、61…トランジスター、62…画素、63…保持容量、64…走査線、65…データ線、201…書き換え判断部、202…書込状態判断部、203…書込制御部、204…データ更新部、205…予定画像更新部、1000…電子機器、1101…表示手段、1102…サムネイル生成手段、1103…サムネイル取得手段、1104…検索対象取得手段、1105…タグ画像生成手段、1106…タグ画像取得手段、1107…表示画像生成手段、1108…表示制御手段、1109…パラメーター取得手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、前記複数ページを有する文書について取得するステップと、
第1検索対象を取得するステップと、
前記取得された第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するステップと、
前記複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の前記複数のサムネイル画像、および前記第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、表示装置に表示させるステップと
を有する表示制御方法。
【請求項2】
前記タグ画像は、基準状態から、対応するサムネイル画像の前記回転軸を中心に当該サムネイル画像と同じ回転角回転され、かつ、当該サムネイル画像の前記視点から俯瞰したように加工されている
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御方法。
【請求項3】
第2検索対象を取得するステップと、
前記取得された第2検索対象に対応し、前記第1タグ画像と異なる第2タグ画像を取得するステップと
を有し、
前記サムネイル画像群は、前記第2検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第2タグ画像を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御方法。
【請求項4】
前記複数のページの中から第1選択ページの選択を受け付けるステップと、
前記選択が受け付けられた場合、前記表示装置に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップと
を有し、
前記更新後のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、前記更新前のサムネイル画像群における第1選択ページのサムネイル画像と前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広い
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の表示制御方法。
【請求項5】
前記サムネイル画像群において、前記第1選択ページのサムネイル画像が最前面に位置する
ことを特徴とする請求項4に記載の表示制御方法。
【請求項6】
前記第1選択ページのサムネイル画像における前記仮想回転軸を中心とした回転の向きと、前記第1選択ページの前または後のページのサムネイル画像における前記仮想回転軸を中心とした回転の向きとが逆である
ことを特徴とする請求項5に記載の表示制御方法。
【請求項7】
前記複数のページの中から第2選択ページの選択を受け付けるステップと、
前記選択が受け付けられた場合、前記表示装置に表示されているサムネイル画像群の更新をするステップと
を有し、
前記更新後のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と前記第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔は、前記更新前のサムネイル画像群における第2選択ページのサムネイル画像と前記第2選択ページの前または後のページのサムネイル画像との間隔よりも広い
ことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項に記載の表示制御方法。
【請求項8】
前記表示装置は、複数の画素を有し、前記画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の階調を変更し、
前記表示装置に新たに表示する画像を表す画像データと、進行中の前記書き込み動作によって当該表示装置に表示される予定の画像を示す予定画像データとを比較し、前記複数の画素において階調を変更する画素を判断するステップと、
前記階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記判断工程において階調を変更する画素と判断された画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める階調となるように当該画素に対して前記書き込み動作を開始するステップと
を有する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の表示制御方法。
【請求項9】
画像を表示する表示手段と、
複数ページの各々が縮小された基準状態から仮想回転軸を中心に回転され、かつ、ある視点から俯瞰したように加工された複数のサムネイル画像を、前記複数ページを有する文書について取得するサムネイル画像取得手段と、
第1検索対象を取得する検索対象取得手段と、
前記第1検索対象に対応する第1タグ画像を取得するタグ画像取得手段と、
前記複数のサムネイル画像のうち少なくとも2つのサムネイル画像が部分的に重なった状態の前記複数のサムネイル画像、および前記第1検索対象を含むページのサムネイル画像に付加された前記第1タグ画像を含むサムネイル画像群を、前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を有する表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−178002(P2012−178002A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39880(P2011−39880)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】