説明

表示制御装置及び表示制御システム並びにプログラム

【課題】外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を適切に制御できるようにする。
【解決手段】携帯電話機1は、外部表示媒体(スクリーン)4に表示(投影)されているデータ(画像)を指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御装置で、レーザポインタ5からスクリーン4に照射されているスポット光の照射状態(例えば、色、点滅周期など)に基づいてスポット指標の表示態様(色、形状、サイズ、点滅パターンなど)を制御する。すなわち、携帯電話機1は、スクリーン4上を撮影した画像を解析し、スポット光の照射位置とその照射状態を検出すると共に、この照射状態に応じた表示態様のスポット指標を生成し、この生成したスポット指標が投影用データ内の照射位置に相当する位置に配置されるように、投影用データとスポット指標とを合成し、この合成データを新たな投影用データとしてプロジェクタ3に送信して、プロジェクタ3からスクリーン4上に投影(表示)させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御装置及び表示制御システム並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源や透過型液晶パネルなどを使用して投影用の画像データを光変換し、外部表示媒体(スクリーンやホワイトボードなど)上に投影(表示)するプロジェクタを、パーソナルコンピュータ(PC)や携帯電話機などの端末装置に接続した状態において、各種の資料をスクリーン上に表示させることによってプレゼンテーションを行う場合に、その発表者は、スクリーン上の資料にしたがってその補足説明や注意事項などを口頭で説明するようにしている。その際、発表者は、レーザポインタを使用し、そのレーザポインタから出射されたレーザ光を、スクリーン上に表示されている画像(データ)の所定箇所に照射して、その箇所を明示するようにしている。すなわち、発表者は、外部表示媒体上の任意箇所をスポット光で照らすようにしている。
【0003】
ところで、従来、レーザポインタから出射された赤外線光(不可視光)によってスクリーン上に結像したスポット光を、イメージセンサで画像信号として読み取り、そのスポット光の座標位置を検出してパソコンに入力し、パソコンでその座標位置にマウスカーソルを生成してスクリーン上に表示させるようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。すなわち、従来では、スクリーンに表示されている任意の位置の画像(データ)を指し示すためのスポット指標として、スクリーン上の任意の箇所(スポット光の座標位置)にマウスカーソルをスポット光の代替えとして表示させることによって、レーザポインタをマウス操作手段として使用可能とした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−080372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、レーザポインタによるスポット光の座標位置にマウスカーソルを表示されることができるため、発表者にあってはレーザポインタを使用するだけでスクリーン上の所定箇所を明示することができるために利便性は高いが、スポット光の代替えとしてのマウスカーソルを表示するだけであるため、重要な説明箇所を強調して受講者や視聴者に示したりすることが困難であった。また、受講者や視聴者にとっては、マウスカーソルを表示するだけでは、変化に乏しい印象を受け、単調で説明箇所を見逃したり、混同したりする危険性があった。
【0006】
本発明の課題は、外部表示媒体に表示されている任意の位置のデータを指し示すためのスポット指標を適切に表示制御できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御装置であって、前記外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する状態検出手段と、この状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様を決定する決定手段と、この決定手段により決定された表示態様のスポット指標を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段により検出された照射位置が、前記外部表示媒体に表示されているデータのどの位置に相当するかを判別する判別手段と、この判別手段により判別された位置に基づいて、前記データと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する合成手段と、を更に備えるようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、前記外部表示媒体に表示させるデータとして、外部装置から送信されたデータを受信する受信手段を更に備え、前記合成手段は、前記判別手段により判別された位置に基づいて、前記受信手段により受信したデータと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項2、請求項3のいずれかに従属する発明として、前記合成手段により合成された合成データを、外部装置に送信する第1送信手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段により検出された照射位置と前記生成手段により生成されたスポット指標とを、外部装置に送信する第2送信手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、色、形状、大きさ、点滅パターン、明るさ、模様のうち、少なくともいずれか1つを決定する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1に従属する発明として、前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、そのスポット指標の動く軌跡を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項7に従属する発明として、前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、そのスポット指標の軌跡を描く時間、距離の少なくともいずれか一方を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0015】
また、上述した課題を解決するために請求項9記載の発明は、外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御システムであって、前記外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する状態検出手段と、この検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様を決定する決定手段と、この決定手段により決定された表示態様のスポット指標を生成する生成手段と、前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段により検出された照射位置に基づいて、前記外部表示媒体に前記生成手段により生成されたスポット指標を表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に従属する発明として、前記位置検出手段により検出された照射位置が、前記外部表示媒体に表示されているデータのどの位置に相当するかを判別する判別手段と、この判別手段により判別された位置に基づいて、前記データと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する合成手段と、を更に備え、前記表示制御手段は、前記合成手段により合成された合成データを前記外部表示媒体に表示させるようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0017】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する機能と、前記検出された照射状態に基づいて、前記外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示態様を決定する機能と、前記決定された表示態様のスポット指標を生成する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【0018】
また、上述した課題を解決するために請求項12記載の発明は、コンピュータに対して、外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する機能と、前記検出された照射状態に基づいて、前記外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示態様を決定する機能と、前記決定された表示態様のスポット指標を生成する機能と、前記スポット光の照射位置を検出する機能と、前記検出された照射位置に基づいて、前記外部表示媒体に、前記生成されたスポット指標を表示させる機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標を適切に表示制御することができ、多様な表現が可能となって注意喚起力の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プロジェクタを使用してスクリーン上に投影(表示)されている任意の位置の画像(データ)を指し示すためのスポット指標を表示制御する表示制御システムを示したブロック図。
【図2】表示制御装置としての携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】(1)、(2)は、指標情報記憶部M3を説明するための図。
【図4】携帯電話機1の全体動作の概要を示したメインフローチャート。
【図5】プロジェクタ支援機能処理(図4のステップA8)を詳述するためのフローチャート。
【図6】スポット指標生成処理(図5のステップB3)を詳述するためのフローチャート。
【図7】スポット指標合成処理(図5のステップB4)を詳述するためのフローチャート。
【図8】第1実施形態の変形例における指標情報記憶部M3を説明するための図。
【図9】(1)、(2)は、第2実施形態における指標情報記憶部M3を説明するための図。
【図10】第2実施形態におけるスポット指標合成処理を示したフローチャート。
【図11】第3実施形態におけるプロジェクタ支援機能処理(図4のステップA8)を詳述するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、図1〜図7を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、プロジェクタを使用してスクリーン上に表示(投影)されている任意の位置のデータ(画像)を指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御システムを示したブロック図である。
この表示制御システムは、スクリーン(外部表示媒体)に表示(投影:以下同様)されているデータ(画像:以下同様)を指し示すためのスポット指標の表示を制御するプロジェクタ支援システムであり、携帯電話機1を中核とし、この携帯電話機1に対して外部装置となるPC(パーソナルコンピュータ)2やプロジェクタ3のほか、スクリーン4やレーザポインタ5を有するシステム構成となっている。なお、スクリーン4の正面には、プロジェクタ3及び携帯電話機1が配置されている。
【0022】
携帯電話機1は、スクリーン4に表示されている任意の位置のデータを指し示すためのスポット指標の表示を制御する表示制御装置であり、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などのほか、近距離無線機能、プロジェクタ支援機能、撮像機能(カメラ機能)を有している。この近距離無線機能は、PC2又はプロジェクタ3との間でデータの送受信を行う機能であり、投影用データ(各種のプレゼンテーション用資料などのデータ)の送受信を行う。なお、携帯電話機1とPC2又はプロジェクタ3との間、PC2とプロジェクタ3との間でのデータの送受信は、近距離無線通信に限らず、無線LAN(構内網)などのネットワークや通信ケーブルを介して行うようにしてもよい。
【0023】
プロジェクタ支援機能は、プロジェクタ3に対する支援を行うもので、このプロジェクタ支援機能を備えた携帯電話機1は、PC2側に記憶管理されている投影用の画像データ(プレゼンテーション資料などの投影用データ)を、PC2側から近距離無線通信を介して受信して記憶管理したり、この記憶管理している投影用データを、1ページ又は1シート毎に近距離無線通信を介してプロジェクタ3側に送信したりするほか、後で詳述するが、スクリーン4上に表示されているデータを指し示すためのスポット指標の表示を制御したりする機能である。このスポット指標は、レーザポインタ5によりスクリーン4上にレーザ光(スポット光)が照射されている場合に、その位置にスポット光に重ね合わせて表示されるマークであり、その表示態様は、スポット光の照射状態に応じて変更可能となっている。
【0024】
投影用データは、グラフ、表、写真、文章からなるプレゼンテーション資料などであり、複数ページから構成され、この複数ページ分の投影用データは、携帯電話機1側でのデータ送り操作に応じてその先頭ページから順次指定されて、1ページ又は1シート毎にプロジェクタ3側に送信される。また、撮像機能は、スクリーン4の全体を撮影するもので、スクリーン4の全体が撮影範囲一杯に収まるようにその画角が合わせられている。ここで、この第1実施形態においては、レーザポインタ5から出射されるレーザ光として可視光線を使用し、かつ明るさを抑えた低輝度レーザを使用した場合を例示したもので、撮像機能は、スクリーン4上に表示されているデータと共に、スクリーン4上に結像されたレーザ光(スポット光)を画像信号として撮影するようにしている。
【0025】
プロジェクタ3は、PC2から携帯電話機1を介して受信した投影用データをスクリーン4上に投影するもので、図示省略したが、例えば、AC電源(商用電源)からの供給電力によって点灯する投影用ライトと、この投影用ライトを制御してそのオン/オフや輝度を調整する光源調整部と、投影用データを映し出すための透過型液晶パネルと、この透過型液晶パネルを駆動する駆動部と、投影レンズと、この投影レンズを駆動するレンズ調整部などを有する構成となっているが、その構成は任意である。スクリーン4は、外部表示媒体を構成するもので、ペンによる手書きが可能となるように白く表面加工されたホワイトボードなどである。
【0026】
レーザポインタ5は、レーザ光を照射するレーザ照射装置を構成するもので、例えば、スクリーン4上にパルス波形のレーザ光(パルスレーザ)を照射する構成となっている。そして、図示省略したが、レーザポインタ5には、電源オン/オフスイッチのほか、色切り替えスイッチ、点滅周期切り替えスイッチなどが備えられており、この色切り替えスイッチの操作によりレーザポインタ5から出射されるレーザ光の色を複数(例えば、赤色レーザ、緑色レーザ、青色レーザの3種類)に切り替え可能となっていると共に、点滅周期切り替えスイッチの操作によりレーザポインタ5から出射されるパルス波の周期(点滅周期)を複数(例えば、高速点滅、中速点滅、低速点滅の3種類)に切り替え可能となっている。
【0027】
携帯電話機1は、上述の撮像機能によりスクリーン4の全体をモニタ撮影しながらその画像解析を行い、レーザポインタ5によって照射されているスクリーン4上のスポット光の照射位置及び照射状態(色、点滅周期)を検出するようにしている。すなわち、スクリーン4上に表示されているデータのどの位置がレーザポインタ5で照射されているかを検出すると共に、スポット光の照射状態としてその色の切り替え状態や点滅周期の切り替え状態を検出するようにしている。
【0028】
そして、携帯電話機1は、上述のようにして検出したスポット光の照射状態に基づいて、上述のスポット指標の表示態様を決定して、その表示態様のスポット指標を生成すると共に、スクリーン4上の照射位置に、生成したスポット指標を追加表示させるようにしている。すなわち、携帯電話機1は、スクリーン4上の照射位置を投影用データ内の相当する位置に変換すると共に、この投影用データ内の位置に生成のスポット指標が含まれるように、この投影用データと生成したスポット指標とを合成し、この合成データをプロジェクタ3に新たな投影用データとして送信することによって、スクリーン4上にスポット指標を追加表示させるようにしている。
【0029】
また、携帯電話機1は、最寄りの基地局6A、交換機6Bから無線通信網(移動体通信網)6に接続されると、この無線通信網6を介して他の携帯電話機(図示省略)との間で通話可能な状態となる。また、携帯電話機1は、無線通信網6を介してインターネット7に接続されると、電子メールの送受信が可能となったり、Webページなどの情報を受信して閲覧可能となったりする。なお、携帯電話機1とPC2とは、インターネット7を介して接続可能であり、上述した近距離無線を介してデータの送受信を行う代わりに、インターネット7を介してデータの送受信を行うこともできる。
【0030】
図2は、表示制御装置としての携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
中央制御部11は、二次電池(図示省略)を備えた電池部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機1の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリ(図示省略)などを有している。記憶部13には、プログラム記憶部M1、各種情報一時記憶部M2、指標情報記憶部M3などが設けられている。なお、記憶部13は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。
【0031】
プログラム記憶部M1は、後述する図4〜図7に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するための基本プログラムやアプリケーションプログラム、それに必要な情報などを記憶する。各種情報一時記憶部M2は、フラグ情報、画面情報など、携帯電話機1が動作するために必要な各種の情報を一時的に記憶するワーク領域で、PC2から受信したプレゼンテーション資料などの投影用データは、各種情報一時記憶部M2に一時記憶された後、ページ毎又は1シート毎にプロジェクタ3に送信される。なお、指標情報記憶部M3については、後で詳述するものとする。
【0032】
無線通信部14は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局2Aとの間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調して中央制御部1に対して出力すると、中央制御部11は、音声信号処理部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させる。また、無線通信部14は、通話用マイクMCからの入力音声データが音声信号処理15から中央制御部11を介して供給されると、送信ベースバンド信号に符号化した後、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナAT1から送信させる。
【0033】
近距離通信部16は、上述した近距離通信機能を構成する構成要素で、外部装置(PC2、プロジェクタ3)との間において、アンテナAT2を介して非接触タイプのBluetooth(登録商標)による近距離通信を行うもので、その通信可能エリア内(例えば、半径5m以内)で交信が行われる。また、携帯電話機1と外部装置との間での交信時には互いの装置識別情報を送受信して通信相手を特定するようにしている。なお、近距離通信部16は、Bluetooth(登録商標)通信に限らず、赤外線通信などを行う構成であってもよい。撮像部17は、上述した撮像機能を構成するもので、撮像素子(例えば、CCDあるいはCMOS)を有し、撮影レンズ、ミラーなどのレンズ・ミラーブロック、照明用のフラッシュ、それらの駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備えている。
【0034】
表示部18は、例えば、高精細液晶や有機EL(Electro Luminescence)などを使用したもので、例えば、待受画像、アイコン、日時情報、メール、Webページなどを表示するもので、中央制御部11は、プレゼンテーション資料などの投影用データを、プロジェクタ3を介してスクリーン4に投影させている状態において、スクリーン4に投影されているデータの全部あるいは一部を表示部18に表示させるようにしている。なお、表示部18は、携帯電話機1に備えられている表示部としたが、外部モニタなど、任意の外部表示装置であってもよい。
【0035】
操作部19は、図示しないが、押しボタン型の十字キー(決定キーやカーソルキー)、数値キー/文字キー、メニューキー、プロジェクタ支援機能を起動させる開始キー、投影用データをプロジェクタ3に送信させるデータ送信キーなど、各種のキーを備え、ダイヤル入力、テキスト入力、コマンド入力などを行うもので、中央制御部11は、この操作部19からの操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、文章作成処理などを行う。なお、この実施形態においては、操作部19の各キーを押しボタン型のキー(ハードキー)としたが、勿論、タッチスクリーン上のタッチキー(ソフトキー)で構成したものであってもよい。RTC(リアルタイムクロックモジュール)20は、時計部を構成するもので、時間計測動作を行うタイマ機能を有し、中央制御部11は、RTC20から現在日時やタイマ計測時間を取得する。報知部21は、サウンドスピーカ21A、LED(発光ダイオード)21B、振動モータ21Cを備え、着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時などでも駆動される。
【0036】
図3は、指標情報記憶部M3を説明するための図である。
指標情報記憶部M3は、スクリーン4上に照射されているスポット光の照射状態に基づいてスポット指標の表示態様を決定する際に使用されるもので、スポット光の照射状態とスポット指標の表示態様とを対応付けて記憶する構成となっている。図3(1)は、スポット光の照射状態が「色」の場合における指標情報記憶部M3の内容を示し、図3(2)は、スポット光の照射状態が「点滅周期」場合における指標情報記憶部M3の内容を示している。そして、図3(1)及び(2)は、スポット光の照射状態を示すパラメータを、スポット指標の表示態様を示すパラメータに対応付けた構成で、その内容はユーザ操作により任意に設定可能となっている。
【0037】
すなわち、図3(1)は、「色及び形状」と「色」とを対応付けた構成で、スポット指標の表示態様(色及び形状)は、スポット光の照射状態(色)に応じて異なり、図示のように、スポット指標の「色及び形状」は、スポット光の色が“赤”では、“赤、円形”
となっており、“緑”では、“緑、正方形” となっており、“青”では、“青、星型”となっている。また、図3(2)は、「サイズ」と「点滅周期」とを対応付けた構成で、スポット指標の表示態様(サイズ)は、スポット光の照射状態(点滅周期)により異なり、図示のように、スポット指標の「サイズ」は、スポット光の「点滅周期」が“1/10秒(高速点滅)”では、“大”
となっており、“1/5秒(中速点滅)”では、“中” となっており、“1/2秒(低速点滅)”では、“小”となっている。
【0038】
次に、第1実施形態における携帯電話機1の動作概念を図4〜図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0039】
図4は、携帯電話機1の全体動作の概要を示したメインフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップA1でYES)、基地局6Aとの間で通信を行って位置を登録する待受処理を行った後(ステップA2)、何らかの設定操作が行われたかを調べる(ステップA3)。いま、設定操作が行われたときには(ステップA3でYES)、その操作に応じた設定処理を行った後(ステップA4)、上述のステップA3に戻る。この場合、指標情報記憶部M3への設定操作が行われたときには、スポット指標の表示態様を任意に設定する処理を行う。
【0040】
なお、指標情報記憶部M3への設定処理では、スポット指標の表示態様に限らず、スポット光の照射状態を任意に設定するようにしてもよい。この場合、レーザポインタ5の色や点滅周期の切り替え可能な範囲内において、スポット光の色を任意に設定したり、点滅周期を任意に設定したりするようにしてもよく、また、スポット指標の表示態様とスポット光の照射状態との対応関係を任意に設定するようにしてもよい。
いま、無線通信部14又は近距離通信部16を介してPC2などから送信されるデータを受信すると(ステップA5でYES)、その受信データを各種情報一時記憶部M2に記憶させた後(ステップA6)、上述のステップA3に戻る。
【0041】
また、プロジェクタ支援機能を起動させる開始操作が行われたときには(ステップA7でYES)、後述するプロジェクタ支援機能処理を実行した後(ステップA8)、上述のステップA3に戻る。また、電話着信を検出したときには(ステップA9でYES)、その応答操作に応じて通話処理を実行した後(ステップA10)、上述のステップA3に戻る。電源オフ操作が行われたときには(ステップA11でYES)、電源オフ処理を実行し(ステップA12)、その他の操作が行われたときには(ステップA13でYES)、操作に応じた処理として、電話発信処理、メール送信処理などを行った後(ステップA14)、上述のステップA3に戻る。
【0042】
図5は、プロジェクタ支援機能処理(図4のステップA8)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、PC2側から送信された投影用データを受信して記憶管理している状態において、中央制御部11は、この投影用データをプロジェクタ3側に送信させるために、そのデータ送信操作(送りキー操作)が行われると(ステップB1でYES)、この投影用データの先頭から1ページ分又は1シート分のデータを読み出し、近距離通信部16に与えて、プロジェクタ3側に送信する(ステップB2)。ここで、プロジェクタ3側では、携帯電話機1から送信された投影用データを受信すると、その投影用データを上述の透過型液晶パネルに展開することによって、投影用の画像データを光変換して、スクリーン4上に投影(表示)させる。そして、携帯電話機1側では、スクリーン4への表示が行われると、スポット指標生成処理を実行した後(ステップB3)、スポット指標合成処理に移る(ステップB4)。
【0043】
図6は、スポット指標生成処理(図5のステップB3)を詳述するためのフローチャートである。図7は、スポット指標合成処理(図5のステップB4)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、スポット指標生成処理が開始されると、中央制御部11は、撮像部17を起動させてスクリーン4の全体を撮影させ、その撮影画像を取得する(図6のステップC1)。そして、この撮影画像を解析し(ステップC2)、レーザポインタ5によりスクリーン4上に照射されたスポット光の画像が当該撮影画像内に含まれているか否か判別し(ステップC3)、撮影画像内にスポット光の画像が含まれるまで上述のステップC1に戻って、待機状態となる。
【0044】
ここで、発表者がレーザポインタ5を使用してスクリーン4上の任意の位置をスポット光で照射すると、つまり、携帯電話機1において、その中央制御部11が撮影画像内にスポット光の画像が含まれていることを検出すると(ステップC3でYES)、そのスポット光の画像の位置をスポット光の照射位置として検出する(ステップC4)。この場合、中央制御部11は、スクリーン4上のスポット光の照射位置を投影用データ内の相対する位置に変換する。次に、画像解析によりスポット光の照射状態としてその色を検出する(ステップC6)。更に、それ以降に逐次取得した各撮影画像を解析しながら一定期間(例えば、60ms)、スポット光の画像変化を認識し、スポット光の照射状態としてその点滅周期を検出する(ステップC7)。
【0045】
このようにしてスポット光の照射位置及び照射状態(色、点滅周期)を検出した後は、この照射状態(色、点滅周期)に基づいて指標情報記憶部M3を検索し、スポット光の照射状態(色)に該当するスポット指標の表示態様として、「色及び形状」を読み出すと共に、スポット光の照射状態(点滅周期)に該当するスポット指標の表示態様として「サイズ」を読み出す(ステップC8)。例えば、「色及び形状」として、スポット光の色が“赤”では、“赤、円形”を読み出し、“緑”では、“緑、正方形”を読み出し、“青”では、“青、星型”を読み出す。また、「サイズ」として、スポット光の点滅周期が“1/10秒”では、“大”を読み出し、“1/5秒”では、“中”を読み出し、“1/2秒”では、“小”を読み出す。そして、読み出した「色及び形状」及び「サイズ」をスポット指標の表示態様として決定した後(ステップC9)、その表示態様のスポット指標を生成する(ステップC10)。
【0046】
その後、図5のフローに戻って、図7のスポット指標合成処理に移り、プロジェクタ3に送信した投影用データ内において、図6のステップC10で生成したスポット指標が図6のステップC5で検出したスポット光の照射位置となるように、この投影用データ内にスポット指標を合成し、この合成データを新たな投影用データとして生成した後(ステップD)、図5のフローに戻る。
【0047】
そして、上述のようにして合成した合成データをプロジェクタ3に送信する(図5のステップB5)。この場合、プロジェクタ3側では、その合成データを受信すると、前回まで投影していたデータに代わって、今回受信した合成データをスクリーン4上に表示させる。これによってスクリーン4上のデータ内にはスポット指標が含まれたものとなる。以下、データの切り替え操作が行われたか(ステップB6)、プロジェクタ支援機能の終了を指示する操作が行われたか(ステップB7)、その他の操作が行われたかを調べる(ステップB9)。
【0048】
その結果、上述のいずれの操作も行われなければ(ステップB6、B7、B9でNO)、上述のステップB3に戻って、スポット指標生成処理を実行した後、スポット指標合成処理(ステップB4)に移り、この合成データをプロジェクタ3に送信する処理(ステップB5)を繰り返す。その結果、発表者がレーザポインタ5を使用してスクリーン4上の任意の位置をスポット光で照射しながらスポット光を移動させたものとすると、その移動に追随して(重なり合った状態で)、スクリーン4上のスポット指標が同様に移動するようになる。
【0049】
また、データの切り替え操作が行われたときには(ステップB6でYES)、上述のステップB2に戻り、投影用データの中から1ページ分又は1シート分のデータを読み出して近距離通信部16に与え、プロジェクタ3側に送信する(ステップB2)。以下、データの切り替え操作が行われる毎に、上述のデータ送信処理(ステップB2)、スポット指標生成処理(ステップB3)、スポット指標合成処理(ステップB4)、合成データ送信処理(ステップB5)が順次繰り返される。
【0050】
また、その他の操作が行われたときには(ステップB9でYES)、操作に応じた処理として、例えば、スクリーン4を撮影する際の撮影パラメータを調整する操作が行われると、撮影パラメータ調整処理を行うが(ステップB10)、プロジェクタ支援機能の終了操作が行われたときには(ステップB7でYES)、プロジェクタ3に対してプロジェクタ支援の終了を指示したり、プロジェクタ支援機能で使用した一時記憶の内容をクリアしたりするなど、プロジェクタ支援機能の終了処理を行った後(ステップB8)、図4のステップA3に戻る。
【0051】
以上のように、第1実施形態において、外部表示媒体(スクリーン)4に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御装置(携帯電話機1)は、レーザポインタ5からスクリーン4に照射されているスポット光の照射状態に基づいてスポット指標の表示態様を制御するようにしたので、スポット指標の表示態様を適切に制御することができて、多様な表現が可能となる。すなわち、レーザポインタ5の回路構成や部品構成を複雑化することなく、レーザ光の照射状態(色、点滅周期)を変える回路構成や部品構成だけで、多様な表現のスポット指標を得ることができると共に、スポット指標という明瞭な表示によってその位置を目立たせることができ、プレゼンテーション参加者などの注意喚起力を高めることが可能となる。
【0052】
携帯電話機1は、投影用データとスポット指標とを合成するようにしたので、投影用データ内にスポット指標を含ませることができる。この場合、スポット光とスポット指標とを重ね合わせて表示させることができるほか、同一色で表示させることができるので、1箇所にスポット光とスポット指標とを同時に表示させたとしても、参加者に誤認混同を与えることなく、1つのものと認識させることができたり、より強調して認識させることができたりして、効果的なものとなる。
【0053】
携帯電話機1は、外部装置のPC2側から受信した投影用データと、生成したスポット指標とを合成するようにしたので、PC2側から受信した投影用データであっても、その投影用データ内にスポット指標を含めることができる。
【0054】
携帯電話機1は、上述の合成データを外部装置であるプロジェクタ3側に送信するようにしたので、プロジェクタ3側では、投影用データとスポット指標とを合成する処理が不要となり、それだけプロジェクタ3側の負担を軽減させることができる。
【0055】
携帯電話機1は、スポット指標の表示態様として、色、形状、大きさを制御するようにしたので、多様な表現が可能となる。
【0056】
一方、スクリーン4上のスポット光の照射状態に応じた表示態様のスポット指標を生成すると共に、スクリーン4上に表示されているデータ内の照射位置に、生成したスポット指標を合成して表示させる表示制御システムを提供するようにしたので、スポット指標の表示態様を適切に制御することができて、多様な表現が可能となる。すなわち、レーザポインタ5の回路構成や部品構成を複雑化することなく、レーザ光の照射状態(色、点滅周期)を変更する回路構成や部品構成だけで、多様な表現のスポット指標を得ることができると共に、スポット指標という明瞭な表示によってその位置を目立たせることができ、プレゼンテーション参加者などの注意喚起力を高めることが可能となる。
【0057】
この表示制御システムは、スクリーン4上に表示されている投影用データと、生成したスポット指標とを合成するようにしたので、投影用データ内にスポット指標を含ませることができる。この場合、スポット光とスポット指標とを重ね合わせて表示させることができると共に、同一色で表示させることができるので、1箇所にスポット光とスポット指標とを同時に表示させたとしても、参加者に誤認混同を与えることなく、その位置をより強調することが可能となる。
【0058】
なお、上述した第1実施形態の指標情報記憶部M3は、図3(1)に示すようにスポット指標の表示態様としての「色及び形状」と、スポット光の照射状態としての「色」とを対応付け、また、図3(2)に示すようにスポット指標の表示態様としての「サイズ」と、スポット光の照射状態としての「点滅周期」とを対応付けた構成としたが、図8に示すように、スポット光の照射状態として、表の行(縦)方向に「点滅周期」を配置し、列(横)方向に「色」を配置し、この縦横が交差するマトリックス状の各枠内(セル内)に、スポット指標の表示態様として「形状、色、サイズ、点滅パターン」を配置した構成としてもよい。
【0059】
この場合、スポット指標の表示態様の「形状、色、サイズ、点滅パターン」の各要素は、論理積(アンド)の関係で、例えば、スポット光の色が“赤”で、点滅周期が“1/10秒”の場合に、スポット指標の表示態様は、“円形、赤、小、点灯”となる。また、スポット光の色が“緑”で、点滅周期が“1/10秒”の場合に、スポット指標の表示態様は、“円形、緑、中、低速点滅”となり、スポット光の色が“赤”で、点滅周期が“1/5秒”の場合に、スポット指標の表示態様は、“正方形、赤、小、点灯”となり、スポット光の色が“緑”で、点滅周期が“1/5秒”の場合に、スポット指標の表示態様は、“正方形、緑、大、高速点滅”となる。
【0060】
なお、上述のようにスポット指標の表示態様の「形状、色、サイズ、点滅パターン」の各要素を論理積(アンド)の関係とするのではなく、少なくとも2以上の要素を組み合わせたものを表示態様としてもよい。例えば、「形状、色」、「色、サイズ、点滅パターン」、「色、点滅パターン」としてもよい。また、スポット指標の表示態様は、「形状、色、サイズ、点滅パターン」に限らず、例えば、「模様」、「明るさ」を要素としてもよい。この場合、「形状、色、サイズ、点滅パターン、模様、明るさ」の各要素の論理積又は2以上の要素を組み合わせるようにしてもよい。ここで、スポット指標の表示態様が点滅の場合に、上述した図6のステップC10においてスポット指標を生成する際、点滅の滅の期間では表示態様が無しのスポット指標を生成するようにすればよい。
【0061】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、レーザポインタ5からのスポット光によってスクリーン4上の任意の位置が照射された際に、そのスポット光の照射位置にスポット指標を表示させるようにしたが、この第2実施形態においては、更に、スポット光の移動に追従して、スポット指標が軌跡を描くようにしたものである。すなわち、スポット光の軌跡をスポット指標の表示によって表現するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0062】
この第2実施形態において、スクリーン4上にスポット指標の軌跡を描くには、スクリーン4上の前回の合成データに、今回生成したスポット指標を合成して新たな合成データを生成し、この新たな合成データをプロジェクタ3に送信してスクリーン4上に表示させるようにしている。また、後で詳述するが、スポット指標の軌跡表示を止めるトリガーは、時間か、距離か、特定の照射状態かであり、スクリーン4上に表示されている合成データを消去し、新たな合成データを生成してスクリーン4上に新たに表示させることによって行うようにしている。
【0063】
図9は、第2実施形態における指標情報記憶部M3を説明するための図である。
図9(1)の指標情報記憶部M3は、図3(1)で示した指標情報記憶部M3と同様に、「色及び形状」と「色」とを対応付けた構成となっている。また、図9(2)の指標情報記憶部M3は、「軌跡の制御」と「点滅周期」とを対応付けた構成で、その内容はユーザ操作により任意に設定可能となっている。このスポット指標の表示態様としての「軌跡の制御」は、スポット指標の軌跡をどのようなパラメータで制御するかを示すもので、「時間」、「距離」、「常時継続」、「軌跡中止」の項目を有している。
【0064】
「軌跡の制御」の「時間」は、時間をパラメータとして軌跡の描く時間を制御することを示している。図示の例において、スポット光の照射状態としての「点滅周期」が“1/10秒”の場合には、“5秒間継続して軌跡を表示する”となっていて、5秒間軌跡を表示した後はその軌跡を消す制御を行うことを示している。また、「点滅周期」が“1/8秒”の場合には、“20秒間継続して軌跡を表示する”となっていて、20秒間軌跡を表示した後はその軌跡を消す制御を行うことを示している。また、「軌跡の制御」の「距離」は、距離をパラメータとして軌跡の描く距離を制御することを示している。図示の例では、スポット光の照射状態「点滅周期」が“1/6秒”の場合には、“30cm継続して軌跡を表示する”となっていて、30cm軌跡を表示した後はその軌跡を消す制御を行うことを示している。また、「点滅周期」が“1/4秒”の場合には、“60cm継続して軌跡を表示する”となっていて、60cm軌跡を表示した後はその軌跡を消す制御を行うことを示している。
【0065】
また、「常時継続」は、軌跡を常時表示する制御を行うことを示し、スポット光の照射状態「点滅周期」が“1/2秒”では、“常時継続”となっている。「軌跡中止」は、上述の時間、距離、常時継続のいずれの制御によって表示されていた軌跡を消すことを示し、スポット光の照射状態「点滅周期」が“1秒”では、“軌跡中止”となっている。このように「軌跡の制御」の「時間」、「距離」、「常時継続」、「軌跡中止」のうち、現在どのパラメータが有効であるかは、スポット光の照射状態に応じて異なるようにしている。
【0066】
図10は、第2実施形態におけるスポット指標合成処理を示したフローチャートである。すなわち、図10は、第1実施形態の図7に代わるフローチャートで、その他のフローチャートは、第1実施形態で示した図4〜図6のフローチャートと同様のため、以下、このスポット指標合成処理について説明し、その他の動作については、その説明を省略するものとする。
先ず、中央制御部11は、図6のスポット指標生成処理で検出されたスポット光の照射状態(点滅周期)に基づいて指標情報記憶部M3を検索し、その点滅周期は、「軌跡の制御」の「時間」、「距離」、「常時継続」、「軌跡中止」の制御うち、どの制御に該当しているかを調べる。すなわち、スポット光の点滅周期に応じた「軌跡の制御」は、時間制御に該当しているのか(ステップE1)、距離制御に該当しているのか(ステップE9)、常時継続又は軌跡中止に該当しているのかを調べる(ステップE15)。
【0067】
いま、スポット光の点滅周期に応じた「軌跡の制御」が時間制御に該当しているときには(ステップE1でYES)、RTC20内のタイマの時間計測動作を開始させたかを調べ(ステップE2)、計測動作を開始していなければ(ステップE2でNO)、タイマを起動させて時間計測動作を開始させる(ステップE3)。そして、RTC20からタイマ計測時間を取得すると共に、指標情報記憶部M3から「点滅周期」に対応する「軌跡の制御」として継続時間(図9の例では5秒又は20秒)を読み出し、この継続時間と計測時間とを比較して(ステップE4)、計測時間は継続時間以上であるかを調べる(ステップE5)。最初は、計測時間が継続時間未満となっているので(ステップE5でNO)、前回生成した合成データに、今回生成したスポット指標を合成して、新たな合成データを生成する(ステップE8)。
【0068】
これによって、スポット光の照射位置が前回の検出時と今回の検出時とで異なっているとき、つまり、スポット光が移動しているときには、前回の照射位置でのスポット指標と今回の照射位置でのスポット指標との両方が含まれたものとなるために、スポット光の移動に追従してスポット指標の軌跡を描くことが可能となる。その際、前回生成したスポット指標と今回生成したスポット指標とが距離的に離れている場合にも、軌跡が表示されるようにするためにその間をスポット指標で補完するようにしている。このような合成データの生成処理は(ステップE8)、計測時間が継続時間未満の間(ステップE5でNO)、繰り返される。その結果、計測時間が継続時間以上となると(ステップE5でYES)、タイマの時間計測動作を停止させた後(ステップE6)、第1実施形態と同様に合成データを生成する処理に移る(ステップE7)。この場合、今回の投影用データ内に今回生成したスポット指標を合成する。これによって、スクリーン4上に表示されていたスポット指標の軌跡は、新たな合成データによって消去される。
【0069】
他方、スポット光の点滅周期に応じた「軌跡の制御」が距離制御に該当しているときには(ステップE9でYES)、スポット指標の軌跡距離を計測する距離計測動作を開始したかを調べ(ステップE10)、計測動作を開始していなければ(ステップE10でNO)、距離計測動作を開始させる(ステップE11)。この距離計測動作は、上述のスポット指標生成処理で検出した前回の照射位置と今回の照射位置とが一致していなければ、スポット光が移動したものとして、前回の照射位置と今回の照射位置との距離を算出し、スポット光が移動してからの合計距離に今回の算出距離に累計することで、この合計距離をスポット指標の軌跡距離として求める処理である。
【0070】
そして、この距離計測動作で得られた計測距離と、指標情報記憶部M3から「点滅周期」に対応する「軌跡の制御」としての継続距離(図9の例では30cm又は60cm)を読み出し、この継続距離と計測距離とを比較することにより(ステップE12)、計測距離は継続距離以上であるかを調べる(ステップE13)。最初は、計測距離が継続距離未満となっているので(ステップE13でNO)、上述のステップE8に移り、前回の合成データに、今回生成したスポット指標を合成して新たな合成データを生成する。以下、計測距離が継続距離未満の間(ステップE13でNO)、上述の動作が繰り返される。その結果、計測距離が継続距離以上となると(ステップE13でYES)、距離計測動作を停止させた後(ステップE14)、第1実施形態と同様に合成データを生成する処理に移る(ステップE7)。
【0071】
また、スポット光の点滅周期に応じた「軌跡の制御」が常時継続に該当しているときには(ステップE15でYES)、上述のステップE8に移り、前回の合成データに、今回生成したスポット指標を合成するが、スポット光の点滅周期に応じた「軌跡の制御」が軌跡中止に該当しているときには(ステップE15でNO)、上述のステップE7に移り、新たな合成データを生成する。この場合、スクリーン4上に表示されていた軌跡を消去して新たな合成データが表示される。
【0072】
以上のように、第2実施形態においては、スポット光の照射状態に基づいて、スポット指標の表示態様として、スポット光の動く軌跡をスポット指標の表示によって表現するようにしたので、効果的な表現が可能となり、更に、プレゼンテーション参加者などの注意喚起力を高めることができる。
【0073】
スポット指標が描く軌跡の時間や距離を制御するようにしたので、スポット光の移動時間や移動距離に関わらず、スポット指標の軌跡時間や距離を制御することができ、注意喚起力を高めた後、その軌跡を消すことができる。
【0074】
(第3実施形態)
以下、この発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、スクリーン4上に表示されているデータと生成したスポット指標とを携帯電話機1側で合成して、その合成データをプロジェクタ3に送信するようにしたが、この第3実施形態においては、それらの合成をPC2側で行い、その合成データをプロジェクタ3に送信するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第3実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0075】
図11は、第3実施形態におけるプロジェクタ支援機能処理(図4のステップA8)を詳述するためのフローチャートである。すなわち、第1実施形態の図5に代わるフローチャートで、その他のフローチャートは、第1実施形態で示した図4、図6、図7のフローチャートと同様のため、以下、このプロジェクタ支援機能処理について説明し、その他の動作については、その説明を省略するものとする。
先ず、中央制御部11は、図6のスポット指標生成処理を実行し(ステップF1)、これによって生成したスポット指標と、検出したスポットの照射位置とをPC2側に送信する(ステップF2)。ここで、PC2側においては、携帯電話機1からスポット指標と照射位置を受信すると、スクリーン4上に表示されているデータと、データ内の照射位置にスポット指標を合成し、この合成データをプロジェクタ3側に送信する。プロジェクタ3は、この合成データをスクリーン4上に投影させる。
【0076】
その後、携帯電話機1側においては、プロジェクタ支援機能の終了操作が行われたか(ステップF3)、その他の操作が行われたかを調べ(ステップF5)、その他の操作が行われたときには(ステップF5でYES)、操作に応じた処理として、例えば、プロジェクタ3から照射される投影光の輝度を調整する操作が行われると、輝度調整処理を行う(ステップF6)。また、プロジェクタ支援機能の終了操作が行われたときには(ステップF3でYES)、プロジェクタ3に対してプロジェクタ支援の終了を指示したり、プロジェクタ支援機能で使用した一時記憶の内容をクリアしたりするなど、プロジェクタ支援機能の終了処理を行った後(ステップF4)、図4のステップA3に戻る。
【0077】
以上のように、第3実施形態において携帯電話機1は、検出したスポット光の照射位置と、生成したスポット指標とをPC2に送信するようにしたので、スクリーン4上に表示されているデータとスポット指標との合成処理をPC2側に負わせることができ、携帯電話機1側の負担を軽減することが可能となる。
【0078】
なお、上述した第3実施形態において携帯電話機1は、検出したスポット光の照射位置と生成したスポット指標とをPC2に送信し、それらの合成をPC2側で行うようにしたが、携帯電話機1は、照射位置とスポット指標とをプロジェクタ3側に送信して、それらの合成をプロジェクタ3側で行うようにしてもよい。このように表示制御システムは、合成処理に限らず、スポット光を照射する処理、データを投影する処理、スポット光の照射状態を検出する処理、スポット指標の表示態様を決定する処理、スポット指標を生成する処理などの各々の処理は、このシステム内のいずれの装置で実行するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した各実施形態においては、携帯電話機1側に撮像部17を設けてスクリーン4の全体を撮影するようにしたが、撮像部は、PC2又はプロジェクタ3側に設けたり、この表示制御システム内にカメラ専用機を設けたりしてもよく、カメラ専用機を設けた場合には、このカメラ専用機と携帯電話機1又はPC2との間で通信可能とすればよい。
【0080】
上述した各実施形態においては、スポット光として可視光線(赤色レーザ、緑色レーザ、青色レーザ)を使用したので、スポット指標の表示態様としての色も、スポット光の色に合わせるようにしたが、スポット光の色とスポット指標の色とを同一とせず、同系色、反対色などであってもよい。また、上述した各実施形態においてはスポット光として、明るさを抑えた低輝度レーザを使用したが、高輝度レーザを使用してもよいし、レーザ光に限らず任意の光線でもよい。
【0081】
上述した各実施形態においてレーザポインタ5は、スポット光として可視光線を使用し、かつ明るさを抑えた低輝度レーザを使用した場合を例示したが、赤外線などの不可視光線を利用するようにしてもよい。この場合、赤外線カメラを使用してスクリーン4を撮影するようにすればよい。このように不可視光線を利用すれば、不可視なスポット光を可視化したスポット指標がスクリーン4上に表示されることになる。
【0082】
上述した各実施形態においてレーザポインタ5は、スクリーン4上にパルス波のスポット光(パルスレーザ)を照射するようにしたが、連続するスポット光を照射するようにしてもよい。この場合、スポット光の照射状態として、連続波とパルス波とを画像認識によって区別するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態においては、色の切り替え及び点滅周期の切り替えを可能として、スポット光の照射状態を変更するようにしたが、スポット光の照射状態は、色、点滅周期に限らず、上述した連続波とパルス波との切り替え、スポット光の周波数の切り替えであってもよい。
【0083】
上述した実施形態においては、端末装置として携帯電話機を例示したが、これに限らず、例えば、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、それらの複合機など、任意の端末装置であってもよい。更に、上述した実施形態において示した“装置”や“機”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1携帯電話機
2 PC(パーソナルコンピュータ)
3 プロジェクタ
4 スクリーン
5 レーザポインタ
11 中央制御部
13 記憶部
16 近距離通信部
17 撮像部
19 操作部
20 RTC
M1 プログラム記憶部
M3 指標情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御装置であって、
前記外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する状態検出手段と、
この状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様を決定する決定手段と、
この決定手段により決定された表示態様のスポット指標を生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段により検出された照射位置が、前記外部表示媒体に表示されているデータのどの位置に相当するかを判別する判別手段と、
この判別手段により判別された位置に基づいて、前記データと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する合成手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記外部表示媒体に表示させるデータとして、外部装置から送信されたデータを受信する受信手段を更に備え、
前記合成手段は、前記判別手段により判別された位置に基づいて、前記受信手段により受信したデータと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記合成手段により合成された合成データを、外部装置に送信する第1送信手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項2、請求項3のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段により検出された照射位置と前記生成手段により生成されたスポット指標とを、外部装置に送信する第2送信手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、色、形状、大きさ、点滅パターン、明るさ、模様のうち、少なくともいずれか1つを決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、そのスポット指標の動く軌跡を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記状態検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様として、そのスポット指標の軌跡を描く時間、距離の少なくともいずれか一方を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の表示制御装置。
【請求項9】
外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示を制御する表示制御システムであって、
前記外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する状態検出手段と、
この検出手段により検出された照射状態に基づいて、前記スポット指標の表示態様を決定する決定手段と、
この決定手段により決定された表示態様のスポット指標を生成する生成手段と、
前記スポット光の照射位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段により検出された照射位置に基づいて、前記外部表示媒体に前記生成手段により生成されたスポット指標を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示制御システム。
【請求項10】
前記位置検出手段により検出された照射位置が、前記外部表示媒体に表示されているデータのどの位置に相当するかを判別する判別手段と、
この判別手段により判別された位置に基づいて、前記データと前記生成手段により生成されたスポット指標とを合成データとして合成する合成手段と、
を更に備え、
前記表示制御手段は、前記合成手段により合成された合成データを前記外部表示媒体に表示させる、
ようにしたことを特徴とする請求項9記載の表示制御システム。
【請求項11】
コンピュータに対して、
外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する機能と、
前記検出された照射状態に基づいて、前記外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示態様を決定する機能と、
前記決定された表示態様のスポット指標を生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに対して、
外部表示媒体に対して照射されているスポット光の照射状態を検出する機能と、
前記検出された照射状態に基づいて、前記外部表示媒体に表示されているデータを指し示すスポット指標の表示態様を決定する機能と、
前記決定された表示態様のスポット指標を生成する機能と、
前記スポット光の照射位置を検出する機能と、
前記検出された照射位置に基づいて、前記外部表示媒体に、前記生成されたスポット指標を表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−133541(P2011−133541A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290499(P2009−290499)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】