説明

表示制御装置及び表示制御方法

【課題】ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしを完全には同期することができない場合でも、ユーザに認識されにくいように画素ずらしを行う技術を提供する。
【解決手段】ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する、ビデオ表示位置制御部と、グラフィックス表示位置制御部と、合成画像におけるビデオ画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、ビデオ画像が合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定部と、グラフィックス画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定部とを有し、表示位置変更判定部は、表示位置変更によってビデオ画像が安全領域から出るか否かを判定し、安全領域から出る場合はグラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定する表示制御装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極線管ディスプレイやプラズマディスプレイ等の蛍光体を使用する表示装置において、長時間にわたって同一画像を表示すると、一部の明るく表示されていた部分のみ蛍光体の劣化が進む。そして、この一部分のみ発光量が減少することで焼き付きが発生し、ユーザに輝度ムラとして認識されてしまうことが問題となる。
この焼き付きは、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)や各種設定GUI(Graphic User Interface)画像等のグラフィックス表示が長時間表示続く場合に発生しやすい。他に、放送番組内のチャンネルロゴや野球放送のスコア等の同じキャラクタ等の表示が続く場合にも発生する。また、アスペクト比が16:9の表示装置に、アスペクト比が4:3の放送番組のアスペクト比を保ったまま表示する際に、映像部分と黒帯部分(映像がない部分)の境界で発生する。
【0003】
なおこれ以降、放送番組等の動画像が表示された画像をビデオ画像、グラフィックス表示による画像をグラフィックス画像とも表記する。
上記した焼き付きを回避する方法の一つとして、ビデオ画像やグラフィックス画像の表示位置を画面内で少しずつ移動させることで、表示位置による輝度劣化を平均化し、焼き付きがユーザに認識されにくくする処理が行われている。以降、画像の表示位置を画面内で移動させる焼き付き回避方法を、画素ずらしと記載する。
【0004】
この画素ずらしの対象であるビデオ画像とグラフィックス画像は、通常はそれぞれが好ましいタイミング、好ましい表示位置の移動で別々に画素ずらしが行われている。
しかし、ビデオ画像とグラフィックス画像を重ねることで一枚の画像を形成するような連動画像の場合には、ビデオ画像とグラフィックス画像を同期して、同じタイミングに同じ移動量で画素ずらしを行うことが求められる。この要求に対して、特許文献1では、映像信号とグラフィックス信号に対して、映像信号の同期信号に基づくタイミングでコマンドを発行し、同期して表示位置を変更することが行われている。
【0005】
一方、近年、デジタルテレビの高画質化に伴って、表示品質を向上させる手段として、映像コンテンツの画質を向上させる高画質化LSIを有する表示制御装置が市販されている。高画質化処理には例えば、ノイズリダクションや色補正、解像度変換等があり、映像コンテンツの輝度情報やコントラスト情報等を用いることで、入力映像コンテンツの画質を補正している。
【0006】
一般的な、高画質化LSIを有する表示制御装置のシステム構成を図7に示す。図7に示す表示制御装置701において、表示する映像コンテンツを高画質化する場合、高画質化処理は放送受信LSI702が出力する映像コンテンツに対して適用することになる。そのため、表示制御装置701は、放送受信LSI702の後段に高画質化LSI703を備える構成となる。このとき、グラフィックス画像については、グラフィックス処理部705において生成されたグラフィックス画像に対して、グラフィックス画素ずらし制御部706が画素ずらしタイミング、画素ずらし量を決定する。そして、グラフィックス表示位置制御部707が画素ずらしを実行する。
【0007】
一方、ビデオ画像については、ビデオ信号処理部704において復号されたビデオ画像に対して、画像処理部708が高画質化処理を施す。そして、ビデオ画素ずらし制御部7
10が画素ずらしタイミング、画素ずらし量を決定する。そして、ビデオ表示位置制御部709が画素ずらしを実行する。そのため、高画質化LSI703を有する表示制御装置701において、グラフィックス画像の画素ずらしは放送受信LSI702で行われるが、ビデオ画像の画素ずらしは高画質化LSI703で行われることになる。そして合成部711で合成画像が作成され、出力部712から出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−186410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1の技術は、ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしを同期して制御可能なシステム構成、つまり、同じLSIにおいてビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしが行われている場合には適用できる。しかし、図7のような高画質化LSI703を有する表示制御装置701においては、ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらし制御は別LSIで行われることになる。
【0010】
一般的に、ビデオ画像の画素ずらしのタイミングは、ユーザに認識されないように行うために、シーンチェンジに同期したタイミングであることが好ましいとされる。上記の技術では、高画質化LSI703のビデオ画素ずらし制御部710においてシーンチェンジが検出される。そのため、検出したシーンチェンジをビデオ画素ずらし制御部から放送受信LSIのグラフィックス画素ずらし制御部706へ通知する時間がかかり、シーンチェンジに完全には同期することができない。
【0011】
また、通知後のグラフィックス表示位置制御部707におけるグラフィックス描画速度や、画素ずらし反映のタイミング等を考慮してグラフィックス画像の画素ずらしを完全に同期させるのは困難である。
ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしのタイミングが少しでもずれてしまうと、画素ずらしを行ったことがユーザに認識されてしまう。そのため、上述のようなビデオ画像とグラフィックス画像が別々のLSIで非同期に実行されるシステムにおいては、特許文献1に記載の先行技術を適用することが難しいと言える。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしを完全には同期することができない場合でも、ユーザに認識されにくいように画素ずらしを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御装置であって、前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御部と、前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御部と、前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定部と、前記ビデオ表示位置制御部が前記合成画像における前記ビデオ画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記ビデオ画像が前記グラフィックス画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定部と、前記ビデオ画像の表示位置変更を受け、前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定部とを有し、前記表示位置変更判定部は、前記合成状態判定部において前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記ビデオ表示位置制御部によって決定された前記ビデオ画像の移動量と、前記安全領域判定部によって求めら
れた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記ビデオ画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定することを特徴とする表示制御装置である。
【0014】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御装置であって、前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御部と、前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御部と、前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定部と、前記グラフィックス表示位置制御部が前記合成画像における前記グラフィックス画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記グラフィックス画像が前記ビデオ画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定部と、前記グラフィックス画像の表示位置変更を受け、前記ビデオ画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定部とを有し、前記表示位置変更判定部は、前記合成状態判定部において前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記グラフィックス表示位置制御部によって決定された前記グラフィックス画像の移動量と、前記安全領域判定部によって求められた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記グラフィックス画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記ビデオ画像の表示位置変更が必要と判定することを特徴とする表示制御装置である。
【0015】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御方法であって、前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御ステップと、前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御ステップと、前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定ステップと、前記ビデオ表示位置制御ステップで前記合成画像における前記ビデオ画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記ビデオ画像が前記グラフィックス画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定ステップと、前記ビデオ画像の表示位置変更を受け、前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定ステップとを有し、前記表示位置変更判定ステップでは、前記合成状態判定ステップにおいて前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記ビデオ表示位置制御ステップにおいて決定された前記ビデオ画像の移動量と、前記安全領域判定ステップにおいて求められた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記ビデオ画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定することを特徴とする表示制御方法である。
【0016】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御方法であって、前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御ステップと、前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御ステップと、前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定ステップと、前記グラフィックス表示位置制御ステップで前記合成画像における前記グラフィックス画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記グラフィックス画像が前記ビデオ画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定ステップと、前記グラフィックス画像の表示位置変更を受け、前記ビデオ画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定ステップとを有し、前記表示位置変更判定ステップでは、前記合成状態判定ステップにおいて前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記グラフィックス表示位置制御ステップにおいて決定された前記グラフィックス画像の移動量と、前記安全領域判定ステップにおいて求められた移
動量に基づいて、表示位置変更によって前記グラフィックス画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記ビデオ画像の表示位置変更が必要と判定することを特徴とする表示制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしを完全には同期することができない場合でも、ユーザに認識されにくいように画素ずらしを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1における表示制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】ビデオ画像とグラフィックス画像の連動画像の一例を示す図。
【図3】画素ずらし安全領域を説明するための図。
【図4】実施形態1における画素ずらし処理を説明するフローチャート。
【図5】実施形態2における表示制御装置の構成を示すブロック図。
【図6】実施形態2における画素ずらし処理を説明するフローチャート。
【図7】高画質化LSIを有する表示制御装置の一般的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。本発明はビデオ画像とグラフィックス画像を表示する画面の焼き付きを防止する場合に有効である。本発明の表示制御装置はテレビジョン装置などに接続して用いても良く、画像表示装置など他の装置に組み込んで用いても良い。また、本発明の表示制御装置の各構成要素が行う動作をコンピュータ上で稼働するプログラム等に実行させることにより、本発明を表示制御方法として実現することができる。
【0020】
まず、本発明で用いる画素ずらし安全領域について説明する。画素ずらし安全領域とは、ビデオとグラフィックスの連動画像の画素ずらしを行う際に、一方のみの画素ずらしを許容する領域である。つまり、ビデオのみ又はグラフィックスのみ画素ずらしを行っても、グラフィックスとの合成画像として許容できる範囲を意味する。なお、この安全領域の範囲は、グラフィックスの種類に応じてあらかじめ設定されたものでも良いし、ユーザ設定やビデオの状態に応じてその都度算出されるものでも良い。
【0021】
ビデオとグラフィックスの連動画像の例を図2に示す。図2は背景画像201の上に、ビデオ画像202とグラフィックス枠203が合成されたビデオとグラフィックスの連動画像である。ここで、図2に示す連動画像において、グラフィックス枠203からビデオ画像202がはみ出さない範囲を画素ずらし安全領域と定める。すると、例えば移動後のビデオ画像が安全領域に収まる移動量を上下10画素、左右10画素までとすると、図2に示す連動画像の画素ずらし前の初期状態から、上下10画素、左右10画素というように安全領域が決定する。
【0022】
図3(a)に、図2に示す連動画像に対して、ビデオの画素ずらしが上方向に5画素、右方向に8画素行われた場合の画面の様子を示す。この場合は、ビデオ画像202がグラフィックス枠203内にあるため、安全領域内にあると判定される。一方、図3(b)に、図2に示す連動画像に対して、ビデオの画素ずらしが上方向に20画素、右方向に20画素行われた場合の画面の様子を示す。この場合は、ビデオ画像202がグラフィックス枠203からはみ出た位置にあるため、安全領域外にあると判定される。
【0023】
<実施形態1>
本発明を実施するための第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、この実施形態における表示制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、表示制御装置101は、放送受信部102と、高画質化処理部103より構成される。
【0024】
ビデオ信号処理部104は、放送コンテンツを受信し、複数の映像コンテンツが多重化された放送コンテンツから、視聴チャンネル設定に応じた映像コンテンツを分離、復号し、合成状態判定部106と画像処理部108に出力する。グラフィックス処理部105は、設定に応じたEPGやGUI等のグラフィックスを生成し、合成状態判定部106とグラフィックス表示位置制御部115に出力する。
【0025】
合成状態判定部106は、ビデオ信号処理部104とグラフィックス処理部105の出力より、現在の表示がビデオとグラフィックスの合成画像表示である場合、現在の合成状態が連動画像であるか、非連動画像であるかを判定する。そして、連動画像であると判定すると、画素ずらし安全領域判定部107へグラフィックスの種類等のグラフィックス画像とビデオ画像の情報を通知し、グラフィックス画素ずらし制御部114へビデオとグラフィックスの同期画素ずらしを行うよう指示する。
【0026】
画素ずらし安全領域判定部107は、合成状態判定部106より通知されたビデオ画像とグラフィックス画像の情報より画素ずらし安全領域を判定する。そして、画素ずらし安全領域判定部107は、安全領域内外の境界を示す座標値や、画素ずらし可能な画素ずらし量等の安全領域情報をグラフィックス画素ずらし判定部113へ通知する。画素ずらし安全領域判定部107はまた、グラフィックス表示位置制御部115からの指示に応じて、画素ずらし安全領域を再判定する。
【0027】
画像処理部108は、ビデオ信号処理部104から出力された映像コンテンツに高画質化処理を適用し、ビデオ表示位置制御部110へ出力する。
ビデオ画素ずらし制御部109は、次回タイミングで行うビデオ画素ずらし量を算出して表示位置を決定する。この表示位置は、予め設定された画素ずらし量テーブルを参照する等の予め設定されたロジックに従って、焼き付き防止の効果が出るように決定される。ビデオ画素ずらし制御部109はまた、シーンチェンジを検出する等より画素ずらしのタイミングを決定し、ビデオ表示位置制御部110へ画素ずらしの指示を行い、ビデオ画素ずらし通知送信部111へ決定した画素ずらし量を通知する。
【0028】
ビデオ表示位置制御部110は、ビデオ画素ずらし制御部109より、シーンチェンジ等の適当なタイミングで画素ずらし量の指示を受け取る。そして、画像処理部108より出力されたビデオ画像に対して、ビデオ画素ずらし制御部109からの指示に従って表示位置を変更し、合成部116へ出力する。
ビデオ画素ずらし通知送信部111は、ビデオ画素ずらし制御部109が決定した次回タイミングで行う画素ずらし量を、ビデオ画素ずらし通知受信部112へ送信する。ビデオ画素ずらし通知受信部112は、ビデオ画素ずらし通知送信部111から受信された画素ずらし量をグラフィックス画素ずらし判定部113へ通知する。
【0029】
グラフィックス画素ずらし判定部113は、ビデオ画素ずらし通知受信部112より通知された画素ずらし量と、画素ずらし安全領域判定部107により判定された画素ずらし安全領域より、次回ビデオ画素ずらしが安全領域を出るか否かを判断する。そして、安全領域を出ると判断するとグラフィックス画素ずらし制御部114へグラフィックス画素ずらしを行う必要がある旨を通知する。グラフィックス画素ずらし判定部は、本発明の表示位置変更判定部に当たる。すなわち、グラフィックス画素ずらしが表示位置変更であり、変更を行うか否かの判定が表示位置変更判定である。
グラフィックス画素ずらし制御部114は、グラフィックス画素ずらし判定部113よ
り、画素ずらしを行う必要がある旨の通知を受けると、グラフィックスの画素ずらし量を算出して表示位置を決定し、グラフィックス表示位置制御部115へ指示する。
【0030】
グラフィックス表示位置制御部115は、グラフィックス処理部105から出力されたグラフィックスデータに対して、グラフィックス画素ずらし制御部114からの指示に従って表示位置を変更し、合成部116へ出力する。グラフィックス表示位置制御部115はまた、表示位置を変更した際には、画素ずらし安全領域を再度判定すべく、画素ずらし安全領域判定部107へ通知を行う。
合成部116は、ビデオ表示位置制御部110から出力されたビデオ画像と、グラフィックス表示位置制御部115から出力されたグラフィックス画像を合成する。出力部117は、合成された画像を出力する。
【0031】
このような構成を持つ本実施形態の表示制御装置101における画素ずらし処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0032】
まず、ユーザ操作等により、グラフィックス表示が開始される又はグラフィックス表示が変更されると、グラフィックス処理部105においてグラフィックスが生成される。そして、合成状態判定部106においてビデオとグラフィックスの連動画像か非連動画像かを判断する(ステップS401)。なお、連動画像か非連動画像かの判断は、グラフィックスの種類に応じて予め設定されているものとし、例えば図2のようなビデオ画面の枠や、ビデオ子画面表示ありのEPG等は連動画像とする。
【0033】
ここで、非連動画像と判断された(S401の判定がNOである)場合、ビデオの画素ずらしとグラフィックスの画素ずらしは単独で(別々に)行うことができる。そこで、ビデオ画素ずらし制御部109とグラフィックス画素ずらし制御部114において、それぞれ好ましいタイミングと画素ずらし量で行われる(ステップS402)。
一方、連動画像と判断された(S401の判定がYESである)場合、ビデオの画素ずらしとグラフィックスの画素ずらしは同期して行うものとして、グラフィックス画素ずらし制御部114の動作が制御される(ステップS403)。
【0034】
まず、画素ずらし安全領域判定部107において、合成状態判定部106より通知されたグラフィックスの種類や現在のビデオとグラフィックスの合成状態より、画素ずらし安全領域を判定する(ステップS404)。例として、図2に示す連動画像において、ビデオがグラフィックス枠からはみ出さない領域を画素ずらし安全領域と設定した場合について説明する。この場合、グラフィックス外側境界の頂点4点、内側境界の頂点4点を安全領域として保持し、ビデオ描画領域の矩形の頂点4点がその内側に入ることを安全領域と判定する。
【0035】
次いで、ビデオ画素ずらし制御部109は、次タイミングにおいて行うビデオの画素ずらし量を決定する(ステップS405)。決定されたビデオ画素ずらし量は、ビデオ画素ずらし通知送信部111、ビデオ画素ずらし通知受信部112を介して、グラフィックス画素ずらし判定部113に通知される(ステップS406)。
グラフィックス画素ずらし判定部113は、S404において判定された画素ずらし安全領域と、通知された画素ずらし量より、次回ビデオ画素ずらしによって画素ずらし安全領域を出るかを判断する(ステップS407)。ここで、安全領域を出ないと判断された(S407の判定がNOである)場合、グラフィックスの画素ずらしは不要と判断され、画素ずらしは行われず、処理はS410に進む。
【0036】
一方、安全領域を出ると判断された(S407の判定がYESである)場合、グラフィックス画素ずらし判定部113は、グラフィックス画素ずらし制御部114に画素ずらし
を行うよう指示をする。指示を受けたグラフィックス画素ずらし制御部114は、現在の合成画像状態よりグラフィックスの画素ずらし量を決定し、画素ずらしを行う(ステップS408)。このときのグラフィックス画像の移動量は、グラフィックス画像移動の後にビデオ画像を移動することを考慮して、グラフィックス画像を移動した時点及び、その後ビデオ画像も移動した時点でともに安全領域に入るようにすることも好ましい。グラフィックス表示位置制御部115においてグラフィックスの画素ずらしが実行されると、画素ずらし安全領域判定部107は、実行されたグラフィックスの画素ずらし量を考慮し、再度画素ずらし安全領域を判定する(ステップS409)。
【0037】
そして、ビデオ画素ずらし制御部109において、ビデオ画素ずらしタイミングを判定する(ステップS410)。所定のビデオ画素ずらしタイミングが来ると、ビデオの画素ずらしが実行される(ステップS411)。そして、再び、ビデオ画素ずらし制御部109において次タイミングのビデオ画素ずらし量を決定するS405に戻って処理を繰り返し、グラフィックス表示終了、又はグラフィックス表示変更まで処理を行う(ステップS412)。
【0038】
以上の処理フローで説明したように、本実施形態の表示制御装置によれば、ビデオ画像とグラフィックス画像の画素ずらしを完全には同期することができない場合でも、許容範囲内での表示位置関係を保ったまま画素ずらし処理を行うことができる。
上記の処理フローでは、グラフィック画像に安全領域を設定し、ビデオ画像の移動量に基づいてビデオ画像が安全領域を出るか否かを判断した。しかし、逆にグラフィック画像の移動量に基づいてビデオ画像に設定した安全領域を出るか判断し、グラフィック画像の移動タイミングに合わせてビデオ画像を移動するようにしても良い。また、グラフィック画像及びビデオ画像の両者のいずれか一方が移動する場合に、他方に安全領域を設定するようにすることもできる。
【0039】
<実施形態2>
本実施形態では、安全領域を出るかの判定を高画質化処理部103において行う場合について説明する。
図5は、第2の実施形態における表示制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1の表示制御装置と同一の処理を行うものについては、同一の符号を付与して表すものとし、実施例1との相違点のみを説明する。
【0040】
図5において、画素ずらし安全領域送信部501は、画素ずらし安全領域判定部107において判定された画素ずらし安全領域を、画素ずらし安全領域受信部502へ送信する。画素ずらし危険判定部502は、画素ずらし安全領域送信部501より受信した画素ずらし安全領域を画素ずらし危険判定部503へ通知する。
【0041】
画素ずらし危険判定部503は、画素ずらし危険判定部502より通知された画素ずらし安全領域と、ビデオ画素ずらし制御部109において決定された次回画素ずらし量より、次回ビデオ画素ずらしを行うと安全領域を出るか否かを判定する。そして、安全領域を出ると判定すると、画素ずらし危険信号送信部504へ、グラフィックスの画素ずらしを行わないと次回ビデオ画素ずらしによって安全領域を出てしまう旨の危険信号を通知する。
【0042】
画素ずらし危険信号送信部504は、画素ずらし危険判定部503から通知された画素ずらし危険信号を、画素ずらし危険信号受信部505へ送信する。画素ずらし危険信号受信部505は、画素ずらし危険信号送信部504より受信した画素ずらし危険信号をグラフィックス画素ずらし制御部114へ通知する。そして、危険信号通知を受けたグラフィックス画素ずらし制御部114は、グラフィックスの画素ずらしを実行する。グラフィッ
クス画素ずらし制御部114はまた、画素ずらし安全領域判定部107に再度画素ずらし安全領域の決定を指示し、処理が繰り返される。
【0043】
このような構成を持つ本実施形態の表示制御装置101における画素ずらし処理について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図6において、図4のフローチャートと同一の処理を行うものについては、同一の符号を付与して表すものとし、実施例1との相違点のみを説明する。
【0044】
S401、S403−S404において、ビデオとグラフィックの連動画像であるかの判定と、画素ずらし安全領域の判定が行われる(S401の判定がYESである場合)。そして、判定された画素ずらし安全領域は画素ずらし安全領域送信部501、画素ずらし安全領域受信部502を介して、画素ずらし危険判定部503へ通知される(ステップS601)。
【0045】
S405、S407において、次回ビデオ画素ずらしによってビデオが安全領域を出るかが判断される。安全領域を出る(S407の判定がYESである)場合、画素ずらし危険判定部503は、画素ずらし危険信号を画素ずらし危険信号送信部504、画素ずらし危険信号受信部505を介し、グラフィクス画素ずらし制御部114へ通知する(ステップS602)。
【0046】
S408、S409において、グラフィックスの画素ずらしが実行され、再度判定された画素ずらし安全領域は、画素ずらし安全領域送信部501、画素ずらし安全領域受信部502を介して、画素ずらし危険判定部503へ通知される(ステップS603)。そして、S410、S411においてビデオ画素ずらしが実行され、S412においてグラフィックス表示終了、又はグラフィックス表示変更まで処理を繰り返す。
【0047】
以上の処理フローで説明したように、本実施形態の表示制御装置によれば、高画質処理部103においてビデオ画素ずらしによって安全領域を出るかの危険判定が行われる。その危険信号を放送受信部102に通知することで、ビデオとグラフィックスの連動画像許容範囲内での表示位置関係を保ったまま画素ずらしを実行することができる。
【0048】
<変形例>
上記実施形態では、グラフィックスの画素ずらしは、ビデオの画素ずらし処理の結果、安全領域内にビデオが入らないことが判明したタイミングで行うこととしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、グラフィックス画素ずらし制御部114は、画素ずらし危険判定部504からの危険信号を受信し、グラフィックスの画素ずらしを実行すると判断すると、ユーザ操作のタイミングを待ってグラフィックスの画素ずらしを行うものとしてもよい。
【0049】
このとき、ユーザ操作がなかなか行われず、ユーザ操作が行われるより先にビデオの画素ずらしが実行されると、危険信号が通知されたにも関わらずビデオ画像が画素ずらし安全領域を出てしまうことになる。そこで、画素ずらし危険判定部504において、次回ビデオ画素ずらしによって安全領域を出ると判断された場合には、通知される危険信号に併せて、グラフィックス画素ずらしタイムアウト時間を通知するようにしても良い。なお、グラフィックス画素ずらしタイムアウト時間とは、次回ビデオ画素ずらしが実行されるまでの最小時間を指し、タイムアウト時間までにグラフィックスの画素ずらしが実行される必要があることを意味している。
【0050】
ここで、ビデオ画素ずらしはシーンチェンジに同期して行われることが好ましいが、全てのシーンチェンジに同期して画素ずらしを行うと、画素ずらしがあまりに頻繁に起こり
、ユーザに認識されてしまう可能性が高い。そのため、前回の画素ずらし後、ある一定時間はシーンチェンジ検出結果に関係なく画素ずらしを行わず、一定時間経過後からシーンチェンジ検出に同期して画素ずらしが行われることが想定される。ここではそのビデオ画素ずらしを行わない一定時間をタイムアウト時間とする。
【0051】
このように、グラフィックスの画素ずらしを行うまでのタイムアウトを設定した場合、グラフィックス画素ずらし制御部108は、危険信号を受けると、ユーザ操作を検出しようとする。そして、ユーザ操作がタイムアウト時間までに検出された場合は、そのタイミングで画素ずらしを行い、タイムアウト時間までに検出されなかった場合は、タイムアウト時間が経過したタイミングでグラフィックスの画素ずらしを行う。
【符号の説明】
【0052】
101:表示制御装置,107:画素ずらし安全領域判定部,110:ビデオ表示位置制御部,115:グラフィックス表示位置制御部,116:合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御装置であって、
前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御部と、
前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御部と、
前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定部と、
前記ビデオ表示位置制御部が前記合成画像における前記ビデオ画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記ビデオ画像が前記グラフィックス画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定部と、
前記ビデオ画像の表示位置変更を受け、前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定部と
を有し、
前記表示位置変更判定部は、前記合成状態判定部において前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記ビデオ表示位置制御部によって決定された前記ビデオ画像の移動量と、前記安全領域判定部によって求められた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記ビデオ画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定する
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記ビデオ表示位置制御部は、前記ビデオ画像のシーンチェンジを検出し、検出したシーンチェンジに合わせて前記ビデオ画像の移動タイミングを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記グラフィックス表示位置制御部は、前記表示位置変更判定部がグラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定した場合、グラフィックス画像の表示位置変更をともなうユーザ操作が行われるタイミングに同期してグラフィックス表示位置を変更する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記ビデオ表示位置制御部は、前記ビデオ画像が移動するタイミングを決定して前記グラフィックス表示位置制御部に通知し、
前記グラフィックス表示位置制御部は、ユーザ操作が行われていない場合であっても、通知されたタイミングでグラフィックス表示位置を変更する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御装置であって、
前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御部と、
前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御部と、
前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定部と、
前記グラフィックス表示位置制御部が前記合成画像における前記グラフィックス画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記グラフィックス画像が前記ビデオ画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定部と、
前記グラフィックス画像の表示位置変更を受け、前記ビデオ画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定部と
を有し、
前記表示位置変更判定部は、前記合成状態判定部において前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記グラフィックス表示位置制御部によって決定された前記グラフィックス画像の移動量と、前記安全領域判定部によって求められた移動量に基づいて、表
示位置変更によって前記グラフィックス画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記ビデオ画像の表示位置変更が必要と判定する
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御方法であって、
前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御ステップと、
前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御ステップと、
前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定ステップと、
前記ビデオ表示位置制御ステップで前記合成画像における前記ビデオ画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記ビデオ画像が前記グラフィックス画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定ステップと、
前記ビデオ画像の表示位置変更を受け、前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定ステップと
を有し、
前記表示位置変更判定ステップでは、前記合成状態判定ステップにおいて前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記ビデオ表示位置制御ステップにおいて決定された前記ビデオ画像の移動量と、前記安全領域判定ステップにおいて求められた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記ビデオ画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記グラフィックス画像の表示位置変更が必要と判定する
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
ビデオ画像とグラフィックス画像から合成画像を生成する表示制御方法であって、
前記ビデオ画像の表示位置を制御するビデオ表示位置制御ステップと、
前記グラフィックス画像の表示位置を制御するグラフィックス表示位置制御ステップと、
前記合成画像が、前記ビデオ画像と前記グラフィックス画像の表示位置を連動して制御する必要がある連動画像か否かを判定する合成状態判定ステップと、
前記グラフィックス表示位置制御ステップで前記合成画像における前記グラフィックス画像の移動量を決定して表示位置を変更する場合に、前記グラフィックス画像が前記ビデオ画像との合成画像として許容できる安全領域の範囲内に収まるような移動量を求める安全領域判定ステップと、
前記グラフィックス画像の表示位置変更を受け、前記ビデオ画像の表示位置変更が必要か否かを判定する表示位置変更判定ステップと
を有し、
前記表示位置変更判定ステップでは、前記合成状態判定ステップにおいて前記合成画像が連動画像であると判定された場合、前記グラフィックス表示位置制御ステップにおいて決定された前記グラフィックス画像の移動量と、前記安全領域判定ステップにおいて求められた移動量に基づいて、表示位置変更によって前記グラフィックス画像が前記安全領域から出るか否かを判定し、前記安全領域から出る場合は前記ビデオ画像の表示位置変更が必要と判定する
ことを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−223383(P2011−223383A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91364(P2010−91364)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】