説明

表示素子および表示装置

【課題】外光コントラストを悪化させることなく視野角特性を向上させることができる表示素子およびそれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】有機発光素子10R,10G,10Bは、第1電極15の発光層18C側の端面を第1端部P1、第2電極19の発光層18C側の端面を第2端部P2とする共振器構造を有する。第1電極15は凹凸構造61の上に形成されており、第1端部P1は凹凸構造61に対応した連続的な凹凸形状を有している。この凹凸形状は距離調整層17によって埋め込まれ平坦化され、これにより、第2端部P2が平坦となると共に、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離が連続的に変化している。取り出される光のスペクトルのピーク波長が光学的距離に応じて異なっており、それらを合成したスペクトルの半値幅が広くなり、視野角特性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子のような自発光型の表示素子および表示装置に係り、特に共振器構造を有する表示素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイに代わる表示装置として、有機発光素子を用いた有機ELディスプレイが実用化されている。有機ELディスプレイは、自発光型であるので、液晶などに比較して視野角が広く、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものと考えられている。
【0003】
これまで、有機発光素子については、共振器構造を導入することによって、発光色の色純度を向上させたり、発光効率を高めるなど、発光層で発生する光を制御する試みが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/39554号パンフレット
【特許文献2】特開平9−190883号公報
【特許文献3】特開2006−32327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように有機発光素子に共振器構造を設けると、共振された光のスペクトルはピークが高く幅が狭いので、表示画面に対して正面方向の光取り出し効率が向上する一方、画面を斜めから見た場合には発光波長が大きくシフトしたり発光強度が低下するという問題があった。すなわち、従来では、画面を視る角度により輝度の差異や色ずれが生じ、視野角特性の悪化や画像品位の低下などを招いてしまうという問題があった。
【0006】
ちなみに、従来では、有機発光素子の視野角特性を改善するため、透明基板に凹面構造や光拡散層、光屈折層を形成することにより、光の出射方向を拡散させ、光の指向性を平均化することで視野角の拡大を図ろうとした試みがある(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この従来方法では、透明基板に形成した凹面構造や光拡散層、光屈折層により外光も散乱され、外光コントラストが著しく悪化してしまうという問題が生じていた。
【0007】
なお、特許文献3では、金属反射膜と透明導電膜との積層電極を用い、透明導電膜の厚みを変えることにより一つの素子内で光学的距離の異なる複数の共振器構造を設けることが提案されている。しかしながら、特許文献3の構造では、透明導電膜が必須となることに加えて一つの素子内で透明導電膜の厚みを変更する必要があり、そのための成膜およびパターニング工程が増加し、製造コストが上昇してしまうという問題があった。また、透明導電膜の厚みが変化する段差部は、非発光欠陥などの原因となりやすかった。その対策として段差部を絶縁膜で覆うことも考えられるが、開口率の低下を生じてしまっていた。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外光コントラストを悪化させることなく視野角特性を向上させることができる表示素子および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の表示素子は、基板上に、第1電極,発光層を含む有機層および第2電極を順に備えると共に、発光層で発生した光を第1端部と第2端部との間で共振させる共振器構造を有するものであって、第1電極の発光層側の端面は、段差形状を有する第1端部となっており、第1電極と第2電極との間に、段差形状を埋め込むと共に第2電極側に平坦な表面を有する距離調整層が設けられることにより、第2端部が平坦になると共に、段差形状に応じて第1端部と第2端部との間の光学的距離が異なっているものである。
【0010】
本発明による第1の表示装置は、上記本発明の第1の表示素子を備えたものである。
【0011】
本発明による第1の表示素子、または本発明による第1の表示装置では、共振器構造の第1端部が段差形状を有しており、この段差形状が距離調整層によって埋め込まれ平坦化されることにより、第1端部と第2端部との間の光学的距離に段差形状に応じた差が生じているので、取り出される光のスペクトルのピーク波長が光学的距離に応じて異なっており、それらを合成したスペクトルの半値幅が広くなり、視野角特性が向上する。
【0012】
本発明による第2の表示素子は、基板上に、第1電極,発光層を含む有機層および第2電極を順に備えると共に、発光層で発生した光を第1端部と第2端部との間で共振させる共振器構造を有するものであって、第1電極の発光層側の端面は、連続的な凹凸形状を有する第1端部となっており、第1電極と第2電極との間に、凹凸形状を埋め込むと共に第2電極側に平坦な表面を有する距離調整層が設けられることにより、第2端部が平坦になると共に、凹凸形状に応じて第1端部と第2端部との間の光学的距離が連続的に変化しているものである。
【0013】
本発明による第2の表示装置は、上記本発明の第2の表示素子を備えたものである。
【0014】
本発明による第2の表示素子、または本発明による第2の表示装置では、共振器構造の第1端部が連続的な凹凸形状を有しており、この凹凸形状が距離調整層によって埋め込まれ平坦化されることにより、第1端部と第2端部との間の光学的距離が連続的に変化しているので、取り出される光のスペクトルのピーク波長が光学的距離に応じて連続的に変化し、それらを合成したスペクトルの半値幅が広くなり、視野角特性が向上する。
【0015】
本発明の第3の表示装置は、基板上に、第1電極,発光層を含む有機層および第2電極を順に備えると共に、発光層で発生した光を第1端部と第2端部との間で共振させる共振器構造を有する表示素子を含む複数の画素を備えたものであって、表示素子のうち隣り合う画素に含まれると共に発光層の発光波長が同一である少なくとも二つの表示素子では第1端部と第2端部との間の光学的距離が互いに異なっているものである。
【0016】
本発明による第3の表示装置では、表示素子のうち隣り合う画素に含まれると共に発光層の発光波長が同一である少なくとも二つの表示素子において、共振器構造の第1端部と第2端部との間の光学的距離が互いに異なっているので、各表示素子から取り出される光は、発光色が同一でありつつそのスペクトルのピーク波長が異なる。よって、これらの表示素子が同時に発光した場合には、合成スペクトルの半値幅が拡がり、視野角特性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の表示素子、または本発明の第1の表示装置によれば、共振器構造の第1端部が段差形状を有するようにし、この段差形状を距離調整層によって埋め込み平坦化することにより、第1端部と第2端部との間の光学的距離に段差形状に応じた差を生じさせるようにしたので、取り出される光のスペクトルのピーク波長を光学的距離に応じて異ならせ、それらを合成したスペクトルの半値幅を広くすることができ、視野角特性を向上させることができる。
【0018】
本発明の第2の表示素子、または本発明の第2の表示装置によれば、共振器構造の第1端部が連続的な凹凸形状を有するようにし、この凹凸形状を距離調整層によって埋め込み平坦化することにより、第1端部と第2端部との間の光学的距離を連続的に変化させるようにしたので、取り出される光のスペクトルのピーク波長を光学的距離に応じて連続的に変化させ、それらを合成したスペクトルの半値幅を広くすることができ、視野角特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第3の表示装置によれば、表示素子のうち隣り合う画素に含まれると共に発光層の発光波長が同一である少なくとも二つの表示素子において、共振器構造の第1端部と第2端部との間の光学的距離を互いに異ならせるようにしたので、発光波長の同じ表示素子から取り出される光のスペクトルのピーク波長を異ならせることができ、視野角特性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の第1ないし第3のいずれの表示素子または表示装置によっても、従来のように透明基板に凹面構造や光拡散層、光屈折層など外光を散乱させるおそれのある構造を形成する必要がなくなるので、外光コントラストの悪化を引き起こすことがなく、更に製造コストの点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の構成を表す図である。
【図2】図1に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図3】図1に示した表示領域の構成を表す平面図である。
【図4】図3に示した有機発光素子の構成を表す平面図である。
【図5】図3に示した有機発光素子の構成を表す断面図である。
【図6】ΔLを変えた場合の共振器フィルタのスペクトルを表す図である。
【図7】ΔLを変えた場合の視野角による輝度の変化を表す図である。
【図8】ΔLを変えた場合の視野角による色差Δu’v’を表す図である。
【図9】図5に示した有機発光素子の他の構成例を表す断面図である。
【図10】図1に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図11】図10に続く工程を表す断面図である。
【図12】図11に続く工程を表す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る表示装置に用いられる有機発光素子の構成を表す断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る表示装置に用いられる有機発光素子の構成を表す断面図である。
【図15】図14に示した有機発光素子の他の構成例を表す断面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る表示装置に用いられる有機発光素子の構成を表す断面図である。
【図17】図16に示した有機発光素子の他の構成を表す断面図である。
【図18】図16に示した有機発光素子の更に他の構成を表す断面図である。
【図19】図16に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図20】図19に続く工程を表す断面図である。
【図21】図17に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図22】図21に続く工程を表す断面図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係る表示装置の構成を表す平面図である。
【図24】図23に示した隣り合う二つの画素の構成を表す断面図である。
【図25】変形例1の隣り合う二つの画素の構成を表す断面図である。
【図26】図25に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図27】図26に続く工程を表す断面図である。
【図28】変形例2の隣り合う二つの画素の構成を表す断面図である。
【図29】図28に示した表示装置の製造方法を工程順に表す断面図である。
【図30】図29に続く工程を表す断面図である。
【図31】変形例3の隣り合う二つの画素の構成を表す断面図である。
【図32】上記各実施の形態の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図33】上記各実施の形態の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図34】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図35】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図36】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図37】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図38】図2に示した有機発光素子の第1領域および第2領域の平面形状の他の例を表す平面図である。
【図39】図2に示した有機発光素子の第1領域および第2領域の平面形状の更に他の例を表す平面図である。
【図40】図2に示した有機発光素子の第1領域および第2領域の平面形状の更に他の例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の構成を表すものである。この表示装置は、極薄型の有機発光カラーディスプレイ装置などとして用いられるものであり、例えば、ガラス,シリコン(Si)ウェハあるいは樹脂などよりなる基板11の上に、後述する複数の有機発光素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置されてなる表示領域110が形成されると共に、この表示領域110の周辺に、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が形成されたものである。
【0024】
表示領域110内には画素駆動回路140が形成されている。図2は、画素駆動回路140の一例を表したものである。この画素駆動回路140は、後述する第1電極15の下層に形成され、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、その間のキャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機発光素子10R(または10G,10B)とを有するアクティブ型の駆動回路である。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により構成され、その構成は例えば逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガー構造(トップゲート型)でもよく特に限定されない。
【0025】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、有機発光素子10R,10G,10Bのいずれか一つ(サブピクセル)に対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0026】
図3は、表示領域110の平面構成の一例を表したものである。表示領域110には、赤色の光を発生する有機発光素子10Rと、緑色の光を発生する有機発光素子10Gと、青色の光を発生する有機発光素子10Bとが、順に全体としてマトリクス状に形成されている。なお、隣り合う有機発光素子10R,10G,10Bの組み合わせが一つの画素(ピクセル)10を構成している。
【0027】
図4は図3に示した有機発光素子10R,10G,10Bの平面構成を表し、図5はそれらに共通の断面構成を表すものである。有機発光素子10R,10G,10Bは、それぞれ、基板11の側から、上述した画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1、平坦化絶縁膜13、段差形成層14、陽極としての第1電極15、電極間絶縁膜16、距離調整層17、後述する発光層18Cを含む有機層18、および陰極としての第2電極19がこの順に積層された構成を有している。また、発光層18Cは、平面形状において例えば中央部の第1領域21と左右部の第2領域22とに分けられている。
【0028】
このような有機発光素子10R,10G,10Bは、窒化ケイ素(SiNx )などの保護膜30により被覆され、更にこの保護膜30上に接着層40を間にしてガラスなどよりなる封止用基板50が全面にわたって貼り合わされることにより封止されている。
【0029】
また、この有機発光素子10R,10G,10Bでは、第1電極15は反射層としての機能を有する一方、第2電極19が半透過性反射層としての機能を有しており、これら第1電極15と第2電極19とにより、発光層18Cにおいて発生した光を共振させる共振器構造が構成されている。
【0030】
すなわち、この有機発光素子10R,10G,10Bは、第1電極15の発光層18C側の端面を第1端部P1、第2電極19の発光層18C側の端面を第2端部P2とし、有機層18を共振部として、発光層18Cで発生した光を共振させて第2端部P2の側から取り出す共振器構造を有している。このように共振器構造を有するようにすれば、発光層18Cで発生した光が多重干渉を起こし、一種の狭帯域フィルタとして作用することにより、取り出される光のスペクトルの半値幅が減少し、色純度を向上させることができる。また、封止用基板50側から入射した外光についても多重干渉により減衰させることができ、後述するカラーフィルタ52、または位相差板および偏光板(図示せず)との組合せにより有機発光素子10R,10G,10Bにおける外光の反射率を極めて小さくすることができる。
【0031】
駆動トランジスタTr1は、平坦化絶縁膜13に設けられた接続孔13Aを介して第1電極15に電気的に接続されている。
【0032】
平坦化絶縁膜13は、画素駆動回路140が形成された基板11の表面を平坦化するためのものであり、微細な接続孔13Aが形成されるためパターン精度が良い材料により構成されていることが好ましい。平坦化絶縁膜13の構成材料としては、例えば、ポリイミド等の有機材料、あるいは酸化シリコン(SiO2 )などの無機材料が挙げられる。
【0033】
段差形成層14は、基板11上の第2領域22のみに設けられており、第1電極15の発光層18C側の端面に段差形状を形成するためのものである。段差形成層14は、例えば、アルミニウム(Al),モリブデン(Mo),チタン(Ti),クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは金(Ag)などの金属元素の単体または合金により構成されている。また、段差形成層14は、酸化シリコン(SiO2 )あるいは窒化シリコン(SiNx )等の絶縁膜でもよい。
【0034】
第1電極15は、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。第1電極15は、例えば積層方向の厚み(以下、単に厚みと言う)が100nm以上1000nm以下であり、クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金が挙げられる。第1電極15の第2領域22における一部は、段差形成層14の上に形成されている。これにより、第1電極15の発光層18C側の端面、すなわち上述した共振器構造の第1端部P1は、段差形成層14に対応する段差形状を有している。
【0035】
電極間絶縁膜16は、第1電極15と第2電極19との絶縁性を確保するとともに第1領域21および第2領域22からなる発光領域を正確に所望の形状にするためのものであり、例えば感光性樹脂により構成されている。電極間絶縁膜16には、発光領域に対応して開口部が設けられている。なお、有機層18および第2電極19は、第1領域21および第2領域22だけでなく電極間絶縁膜16の上にも連続して設けられているが、発光が生じるのは電極間絶縁膜16の開口部だけである。
【0036】
距離調整層17は、段差形状に応じて第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離を異ならせるためのものであり、第1電極15の段差形状を埋め込むと共に第2電極19側に平坦な表面17Aを有している。すなわち、距離調整層17を設けることにより、第2端部P2が平坦になると共に、第1領域21における共振器の第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離L1(以下、単に「第1領域21における光学的距離L1」という。)と、第2領域22における共振器の第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離L2(以下、単に「第2領域22における光学的距離L2」という。)とが互いに異なっている。これにより、この有機発光素子10R,10G,10Bでは、第1領域21および第2領域22の各々における共振器の共振波長(取り出される光のスペクトルのピーク波長)を異ならせ、第1領域21および第2領域22の各々から取り出される光のスペクトルを合成したスペクトルの半値幅を広くして、視野角特性を向上させることができるようになっている。
【0037】
そのためには、第1領域21における光学的距離L1と、第2領域22における光学的距離L2とは数1を満たすようにすることが好ましい。
【0038】
(数1)
L1=Lave +ΔL
L2=Lave −ΔL
(2Lave )/λ+Φ/(2π)=m
(式中、Lave は第1領域21における光学的距離L1と第2領域22における光学的距離L2との平均光学的距離、Φは第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1 と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2 との和(Φ=Φ1 +Φ2 )(rad)、λは第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長、mはLave が正となる整数をそれぞれ表す。なお、数1においてL1,L2,Lave およびλは単位が共通すればよいが、例えば(nm)を単位とする。)
【0039】
数1において、平均光学的距離Lave に関する第3式は、共振器の共振波長(取り出される光のスペクトルのピーク波長)と、取り出したい光のスペクトルのピーク波長とを一致させ、光取り出し効率を最大とするためのものである。この平均光学的距離Lave は、実際には、数1の第3式のmが0または1の場合が好ましい。
【0040】
数1から分かるように、本実施の形態では、次数mを同一としても第1領域21の光学的距離L1と第2領域22の光学的距離L2とを互いに異ならせることができる。よって、例えばm=1とすれば、有機層18の厚みを厚くして非発光欠陥を低減することができ、生産性の向上と良好な視野角特性とを両立させることができる。これに対して、従来の特許文献3では、光学的距離に差を設けるために次数mを例えば0,1と異ならせるようにしていたので、m=0の領域ではm=1の領域に比べて有機層の厚みが薄くなり、非発光欠陥などが増加しやすくなってしまっていた。また、m=0とm=1との光学的距離の差(|L2−L1|)は、ITO(Indium Tin Oxide)や有機層の厚みに換算すると青色で120nm程度と大きくなるので、次数mを同一にする場合に比べて段差を形成するプロセスは困難となってしまっていた。
【0041】
数1の第1式および第2式におけるΔLは、平均光学的距離Lave の5%以内であることが好ましく、2%以上5%以内であればより好ましい。5%より大きいと光取り出し効率が大幅に低減するおそれがあり、2%より小さいと十分な効果が得られないからである。
【0042】
図6は、数1がm=1のときに成り立つ条件で、ΔLを変えた場合に、第1領域21および第2領域22の各々の共振器フィルタのスペクトルを合成したスペクトルを表すものである。なお、有機発光素子は、第1電極15上に、厚み95nmの正孔注入層、厚み95nmの正孔輸送層、緑色の光を発生する厚み25nmの発光層、厚み20nmの電子輸送層、および厚み8nmの第2電極を順に積層した構成とし、第1領域21と第2領域22との面積比は1:1、取り出したい光のスペクトルのピーク波長λは530nmとした。
【0043】
図6に示したように、ΔLを平均光学的距離Lave の±5%とした場合には、±0%すなわち第1領域21における光学的距離L1と第2領域22における光学的距離L2とを等しくした場合、または±2%とした場合に比べて、合成したスペクトルの半値幅が広くなっている。つまり、共振器効果が緩和されていることが分かる。
【0044】
図7および図8は、数1がm=1のときに成り立つ条件で、ΔLを変えた場合に、画面を正面から見たとき(視野角0°)に対する、斜め45°方向から見たとき(視野角45°)の相対輝度および色差Δu’v’と、有機層18の厚みばらつきとの関係をそれぞれ表したものである。なお、有機発光素子の構成、第1領域21と第2領域22との面積比および取り出したい光のスペクトルのピーク波長λは、図6に示した場合と同一とした。
【0045】
図7に示したように、ΔLを平均光学的距離Lave の±5%とした場合には、±0%または±2%とした場合に比べて、視野角による輝度変化が小さくなっている。また、図8に示したように、有機層18の厚みのばらつきが2%以上の範囲内では色差Δu’v’の最大値も低減されている。つまり、視野角特性の改善が可能であることが分かる。
【0046】
なお、図6いし図8ではm=1の場合について説明したが、m=0を含むその他のm値の場合についても同様の効果が得られる。
【0047】
このような距離調整層17は、第1電極15と第2電極19の間に設けられていればよく、その位置や構成材料は特に限定されないが、例えば、第1電極15と有機層18の間に設けられると共に、後述する有機層18の正孔注入層18Aと同一の材料により構成されていることが好ましい。正孔注入層18Aを兼ねることができるからである。あるいは、距離調整層17は、有機層18の正孔注入層18Aと発光層18Cとの間に設けられると共に、正孔輸送層18Bと同一の有機材料により構成され、正孔輸送層18Bを兼ねていてもよい。また、距離調整層17は、図9に示したように、正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bとは別に設けられていてもよい。
【0048】
図5に示した有機層18は、例えば、第1電極15の側から順に、正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18Cおよび電子輸送層18Dを積層した構成を有するが、これらのうち発光層18C以外の層は必要に応じて設ければよい。また、有機層18は、有機発光素子10R,10G,10Bの発光色によってそれぞれ構成が異なっていてもよい。正孔注入層18Aは、正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔輸送層18Bは、発光層18Cへの正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層18Cは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層18Dは、発光層18Cへの電子輸送効率を高めるためのものである。なお、電子輸送層18Dと第2電極19との間には、LiF,Li2 Oなどよりなる電子注入層(図示せず)を設けてもよい。
【0049】
有機発光素子10Rの正孔注入層18Aは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)あるいは4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)により構成されている。有機発光素子10Rの正孔輸送層18Bは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、ビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)により構成されている。有機発光素子10Rの発光層18Cは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq3 )に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したものにより構成されている。有機発光素子10Rの電子輸送層18Dは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0050】
有機発光素子10Gの正孔注入層18Aは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機発光素子10Gの正孔輸送層18Bは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機発光素子10Gの発光層18Cは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、Alq3 にクマリン6(Coumarin6)を3体積%混合したものにより構成されている。有機発光素子10Gの電子輸送層18Dは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0051】
有機発光素子10Bの正孔注入層18Aは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、m−MTDATAあるいは2−TNATAにより構成されている。有機発光素子10Bの正孔輸送層18Bは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、α−NPDにより構成されている。有機発光素子10Bの発光層18Cは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、スピロ6Φ(spiro6Φ)により構成されている。有機発光素子10Bの電子輸送層18Dは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3 により構成されている。
【0052】
図5に示した第2電極19は、例えば、厚みが5nm以上50nm以下であり、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属元素の単体または合金により構成されている。中でも、マグネシウムと銀との合金(MgAg合金)、またはアルミニウム(Al)とリチウム(Li)との合金(AlLi合金)が好ましい。
【0053】
図5に示した接着層40は、例えば熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂により構成されている。
【0054】
図5に示した封止用基板50は、有機発光素子10R,10G,10Bの第2電極19の側に位置しており、接着層40と共に有機発光素子10R,10G,10Bを封止するものであり、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板50には、例えば、カラーフィルタ51が設けられており、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光を取り出すと共に、有機発光素子10R,10G,10B並びにその間の配線において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっている。
【0055】
カラーフィルタ51は、封止用基板50のどちら側の面に設けられてもよいが、有機発光素子10R,10G,10Bの側に設けられることが好ましい。カラーフィルタ51が表面に露出せず、接着層40により保護することができるからである。また、発光層14Cとカラーフィルタ51との間の距離が狭くなることにより、発光層18Cから出射した光が隣接する他の色のカラーフィルタ51に入射して混色を生じることを避けることができるからである。カラーフィルタ51は、赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタ(いずれも図示せず)を有しており、有機発光素子10R,10G,10Bに対応して順に配置されている。
【0056】
赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタは、それぞれ例えば矩形形状で隙間なく形成されている。これら赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤,緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。
【0057】
更に、カラーフィルタ51における透過率の高い波長範囲と、共振器構造から取り出したい光のスペクトルのピーク波長λとは一致している。これにより、封止用基板50から入射する外光のうち、取り出したい光のスペクトルのピーク波長λに等しい波長を有するもののみがカラーフィルタ51を透過し、その他の波長の外光が有機発光素子10R,10G,10Bに侵入することが防止される。
【0058】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0059】
図10ないし図12は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図10(A)に示したように、上述した材料よりなる基板11の上に駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140を形成したのち、全面に感光性樹脂を塗布することにより平坦化絶縁膜13を形成し、露光および現像により平坦化絶縁膜13を所定の形状にパターニングすると共に接続孔13Aを形成し、焼成する。
【0060】
次いで、図10(B)に示したように、例えばスパッタ法により上述した材料よりなる段差形成層14を形成する。続いて、段差形成層14の上にリソグラフィ技術を用いてレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとしたウェットエッチングにより段差形成層14を選択的に除去し、第2領域22のみに段差形成層14を形成する。
【0061】
そののち、図11(A)に示したように、例えばスパッタ法により、上述した材料よりなる第1電極15を形成し、ウェットエッチングにより第1電極15を選択的に除去して各有機発光素子10R,10G,10Bごとに分離する。これにより、第1電極15の上面には、図5に示したような段差形状が形成される。
【0062】
第1電極15を形成したのち、同じく図11(A)に示したように、基板11の全面にわたり感光性樹脂を塗布し、例えばフォトリソグラフィ法により第1領域21および第2領域22からなる発光領域に対応して開口部を設け、焼成することにより、電極間絶縁膜16を形成する。
【0063】
電極間絶縁膜16を形成したのち、図11(B)に示したように、第1電極15の上に、例えば真空蒸着法により、上述した材料よりなる距離調整層17を形成する。この距離調整層17をその構成材料のガラス転移点以上の温度に加熱することにより、図12に示したように、第1電極15の段差形状を埋め込むと共に上面17Aを平坦化する。
【0064】
距離調整層17を形成したのち、例えば蒸着法により、上述した厚みおよび材料よりなる正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18C,電子輸送層18Dおよび第2電極19を順次成膜し、図5に示したような有機発光素子10R,10G,10Bを形成する。このとき、距離調整層17により第1電極15の段差形状が埋め込まれると共に上面17Aが平坦な表面となっているので、第2電極19の発光層18C側の端面すなわち第2端部P2が平坦になる。続いて、有機発光素子10R,10G,10Bの上に上述した材料よりなる保護膜30を形成する。
【0065】
また、例えば、上述した材料よりなる封止用基板50の上に、赤色フィルタの材料をスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングして焼成することにより赤色フィルタを形成する。続いて、赤色フィルタと同様にして、青色フィルタおよび緑色フィルタを順次形成する。
【0066】
そののち、保護膜30の上に、接着層40を形成し、この接着層40を間にして封止用基板50を貼り合わせる。その際、封止用基板50のカラーフィルタ51を形成した面を、有機発光素子10R,10G,10B側にして配置することが好ましい。以上により、図3に示した表示装置が完成する。
【0067】
このようにして得られた表示装置では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、各有機発光素子10R,10G,10Bに駆動電流Idが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、第1電極15と第2電極19との間で多重反射し、第2電極19,カラーフィルタ51および封止用基板50を透過して取り出される。このとき、本実施の形態では、図5に示したように、共振器構造の第1端部P1が段差形状を有しており、この段差形状が距離調整層17によって埋め込まれ平坦化されることにより、第2端部P2が平坦になると共に、第1領域21における光学的距離L1と第2領域22における光学的距離L2が互いに異なっているので、取り出される光のスペクトルは第1領域21と第2領域22とではそのピーク波長が異なる。従って、各素子において取り出される光はそれらを合成したものとなり、そのスペクトルの半値幅が、従来の素子全体で光学的距離を同じとしたものに比べて広くなる、すなわち視野角特性が向上する。
【0068】
このように本実施の形態では、共振器構造の第1端部P1が段差形状を有するようにし、この段差形状を距離調整層17によって埋め込み平坦化することにより、第2端部P2を平坦にすると共に、第1領域21における光学的距離L1と第2領域22における光学的距離L2とを互いに異ならせるようにしたので、第1領域21および第2領域22の各々から取り出される光のスペクトルのピーク波長を異ならせ、それらを合成したスペクトルの半値幅を広くすることができ、視野角特性を向上させることができる。また、従来のように透明基板に凹面構造や光拡散層、光屈折層など外光を散乱させるおそれのある構造を形成する必要がなくなるので、外光コントラストの悪化を引き起こすことがなく、更に製造コストの点でも有利である。
【0069】
更に、光学的距離を調整するための透明導電膜は不要となり、非発光欠陥の発生や開口率の低下などのおそれはない。更に、透明導電膜の厚みを変えるための複雑なパターニング工程も不要であり、製造コストの点でも有利である。よって、簡素な構成および工程により高品質な有機発光素子10R,10G,10Bを備えた表示装置を実現することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の有機発光素子10R,10G,10Bの断面構成を表すものである。この有機発光素子10R,10G,10Bは、第1電極15の発光層18C側の界面に段差を形成するため、画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1と第1電極15との配置関係を調節し、段差形成層14を設けないようにしたことを除いては、第1の実施の形態で説明した表示装置と同一であるので、以下、同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0071】
駆動トランジスタTr1は、基板11上の第2領域22に設けられている。この駆動トランジスタTr1によって生じる段差を十分に大きくすることにより、平坦化絶縁膜13の表面に駆動トランジスタTr1を反映した段差が残る。これにより、第1電極15の発光層18C側の端面、すなわち共振器構造の第1端部P1に、駆動トランジスタTr1の形状に対応した段差形状をもたせることができる。このことを除いては、第1電極15は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0072】
なお、図13では、駆動トランジスタTr1として逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)のものを表している。この駆動トランジスタTr1は、例えば、基板11上にモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)またはクロム(Cr)などの金属材料よりなるゲート電極151が設けられ、このゲート電極151を覆うように、窒化シリコンまたは酸化シリコンよりなるゲート絶縁膜152およびアモルファスシリコンなどの半導体薄膜よりなるチャネル層153が順に形成されている。ゲート電極151上方のチャネル層153の中央領域には、絶縁性のチャネル保護膜154が設けられている。チャネル層153のチャネル保護膜154から露出した両側の領域には、n型アモルファスシリコンなどのn型半導体薄膜よりなるソース電極155Sおよびドレイン電極155Dが形成されている。これらソース電極155Sおよびドレイン電極155Dは、チャネル保護膜154により互いに分離されると共に、チタン(Ti)層,アルミニウム(Al)層およびチタン(Ti)層を順に積層したソース配線156Sおよびドレイン配線156Dがそれぞれ形成されており、さらに全体が窒化シリコンなどよりなる保護膜157で覆われている。ちなみに、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)の駆動トランジスタTr1の構成は、上述した構成要素の積層順が逆になることを除いては同様である。
【0073】
第1領域21における光学的距離L1と、第2領域22における光学的距離L2とは第1の実施の形態と同様に数1を満たすことが好ましい。
【0074】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0075】
まず、基板11上に画素駆動回路140を形成する。その際、第2領域22に駆動トランジスタTr1を形成する。すなわち、例えばスパッタ法により、上述した材料よりなるゲート電極151を形成し、例えばフォトリソグラフィ法およびドライエッチングまたはウェットエッチングにより所定のパターンに成形する。次いで、基板11の全面に上述した材料よりなるゲート絶縁膜152を形成する。続いて、ゲート絶縁膜152の上に、上述した材料よりなるチャネル層153,チャネル保護膜154,ソース電極155Sおよびドレイン電極155D,並びにソース配線156Sおよびドレイン配線156Dを順に所定の形状に形成する。そののち、全体を上述した材料よりなる保護膜157で覆うことにより、駆動トランジスタTr1が形成される。
【0076】
駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140を形成したのち、第1の実施の形態と同様にして、平坦化絶縁膜13,第1電極15,電極間絶縁膜16,距離調整層17,有機層18および第2電極19を順に形成し、有機発光素子10R,10G,10Bを形成する。
【0077】
そののち、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図13に示した表示装置が完成する。
【0078】
この表示装置の作用は、第1の実施の形態と同様である。
【0079】
このように本実施の形態では、駆動トランジスタTr1によって生じる段差を利用して、共振器構造の第1端部P1に、駆動トランジスタTr1の形状に対応した段差形状をもたせるようにしたので、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、段差形成層14を形成する必要がなくなり、構成および製造工程をより簡素化することができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、第1電極15を駆動トランジスタTr1の上に形成することにより第1端部P1に段差形状をもたせるようにした場合について説明したが、駆動トランジスタTr1に限らず、保持容量Csまたは書き込みトランジスタTr2と第1電極15との配置関係により第1端部P1に段差形状をもたせるようにしてもよい。
【0081】
また、基板11上の第2領域22に信号線120A,走査線130Aあるいは電源ライン等の配線を配置し、その上に第1電極15を形成するようにしてもよい。この場合、段差をより大きくするために、配線の厚みを厚くするようにすれば、配線抵抗を下げ、表示装置の大型化にも有利になる。あるいは、段差をより大きくするために、配線を多層化するようにすれば、開口率を高めることができ、有機発光素子10R,10G,10Bに流れる電流密度を低減して寿命を向上させることができる。
【0082】
更に、第2電極19の抵抗を下げるために補助配線を形成する場合には、第1電極15をこの補助配線の上に形成することにより第1端部P1に段差形状をもたせることも可能である。
【0083】
更に、本実施の形態の駆動トランジスタTr1,配線または補助配線に加えて、平坦化絶縁膜13上にも第1の実施の形態と同様の段差形成層14を形成するようにしてもよい。
【0084】
(第3の実施の形態)
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る表示装置の有機発光素子10R,10G,10Bの断面構成を表すものである。この有機発光素子10R,10G,10Bは、段差形成層14を、駆動トランジスタTr1と同じ材料により構成するようにしたことを除いては、第1の実施の形態で説明した表示装置と同一であるので、以下、同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0085】
段差形成層14は、基板11上の第2領域22に設けられ、駆動トランジスタTr1のソース配線156Sおよびドレイン配線156Dと同じ材料により構成されている。すなわち、段差形成層14は、例えば、チタン(Ti)層166A,アルミニウム(Al)層166Bおよびチタン(Ti)層166Cと、保護膜157とをこの順に積層した構成を有している。
【0086】
この段差形成層14の上には、平坦化絶縁膜13を間にして第1電極15が形成されている。段差形成層14によって生じる段差を十分に大きくすることにより、平坦化絶縁膜13の表面に段差形成層14を反映した段差が残る。これにより、第1電極15の発光層18C側の端面、すなわち共振器構造の第1端部P1に、駆動トランジスタTr1の形状に対応した段差形状をもたせることができる。このことを除いては、第1電極15は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0087】
第1領域21における光学的距離L1と、第2領域22における光学的距離L2とは第1の実施の形態と同様に数1を満たすことが好ましい。
【0088】
この表示装置は、例えば、画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1を形成する際に、基板11上の第2領域22に上述した材料および積層構成の段差形成層14を形成することを除いては、第2の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0089】
この表示装置の作用・効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0090】
なお、本実施の形態では、段差形成層14を、駆動トランジスタTr1のソース配線156Sおよびドレイン配線156Dと同じ材料および積層構成で形成するようにした場合について説明したが、段差形成層14は、駆動トランジスタTr1の他の層と同じ材料および積層構成を有していてもよい。例えば、図15に示したように、段差形成層14は、駆動トランジスタTr1のゲート電極151と同じ材料よりなる層161,ゲート絶縁膜122,チャネル層153と同じ材料よりなる層163,チャネル保護層154と同じ材料よりなる層164,ソース電極155Sおよびドレイン電極155Dと同じ材料よりなる層165,並びにソース配線156Sおよびドレイン配線156Dと同じ材料よりなる層166により構成されていてもよい。このように駆動トランジスタTr1のより多くの層を利用して段差形成層14を構成することにより、より高い段差を形成することができる。
【0091】
また、段差形成層14は、保持容量Csあるいは書き込みトランジスタTr2、または、信号線120A,走査線130Aあるいは電源ライン等の配線と同じ材料および積層構成としてもよいし、第2電極19の抵抗を下げるための補助配線と同じ材料および積層構成としてもよい。
【0092】
更に、本実施の形態の段差形成層14に加えて、平坦化絶縁膜13上にも第1の実施の形態と同様の段差形成層14を形成し、より高い段差を形成するようにしてもよい。
【0093】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る表示装置について説明する。この表示装置は、図16に示したように、第1電極15が、基板11上に設けられた凹凸構造61の上に形成されていることを除いては、第1の実施の形態で説明した表示装置と同一である。
【0094】
凹凸構造61は、例えば感光性樹脂により構成され、第1電極15側の表面に凹凸形状を有している。この凹凸構造61は、図16に示したような一つの層により構成されたものでもよいし、図17に示したような複数の突起部61Aと、この突起部61Aを覆う連続した被覆層61Bとを有し、被覆層61Bの第1電極15側の表面が突起部61Aに対応した凹凸形状となっているものでもよい。なお、凹凸構造61は、第1の実施の形態で説明した平坦化絶縁膜13を兼ねると共に接続孔61Cを有していてもよい。
【0095】
第1電極15の発光層18C側の端面は、凹凸構造61に対応した連続的な凹凸形状を有する第1端部P1となっている。第1電極15の上には、凹凸形状を埋め込むと共に発光層18C側に平坦な表面17Aを有する距離調整層17が設けられており、第2端部P2が平坦になると共に、第1端部P1の凹凸形状に応じて第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離Lが連続的に変化している。これにより、この有機発光素子10R,10G,10Bでは、取り出される光のスペクトルのピーク波長を光学的距離Lに応じて連続的に変化させ、それらを合成したスペクトルの半値幅を広くして、視野角特性を向上させることができるようになっている。
【0096】
第1端部P1の凹凸形状は例えば平均傾斜角が2°以下の超低角度の凹凸であることが好ましい。傾斜角の大きな凹凸形状では、外光散乱が大きくなり、コントラストの低下を生じるおそれがあるからである。
【0097】
距離調整層17は、例えば、有機層14の正孔注入層14Aまたは正孔輸送層14Bと同一の有機材料により構成されており、正孔注入層14Aまたは正孔輸送層14Bを兼ねていてもよい。また、距離調整層17は、図18に示したように、正孔注入層14Aまたは正孔輸送層14Bとは別に設けられていてもよい。
【0098】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0099】
図19および図20は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。この製造方法は、図16に示したような単層の凹凸構造61の上に第1電極15を形成する場合を表している。
【0100】
まず、図19(A)に示したように、駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140を形成した基板11の上に、感光性樹脂を塗布することにより感光性樹脂膜71を形成する。
【0101】
次いで、図19(B)に示したように、例えばハーフトーンレチクル72または二枚のレチクルを用いたフォトリソグラフィ法により感光性樹脂膜71を露光・現像し、凹凸構造61を形成する。その際、超低角度の凹凸を形成する方法としては、例えば、露光に用いるレチクルのパターンを露光機の解像度よりも微細なパターンとするようにしてもよく、あるいはこれに限らず他の方法を用いてもよい。また、凹凸構造61が平坦化絶縁膜13を兼ねる場合には、同時に接続孔61Cを形成してもよい。
【0102】
続いて、図20(A)に示したように、凹凸構造61を焼成したのち、この凹凸構造61の上に、例えばスパッタ法により第1電極15を形成する。これにより、第1電極15の発光層18C側の端面に、凹凸構造61に対応した連続的な凹凸形状が形成される。そののち、同じく図20(A)に示したように、第1の実施の形態と同様にして感光性樹脂を塗布し、例えばフォトリソグラフィ法により成形し、焼成することにより、電極間絶縁膜16を形成する。
【0103】
電極間絶縁膜16を形成したのち、第1電極15の上に、例えば真空蒸着法により上述した材料よりなる距離調整層17を形成し、距離調整層17の構成材料のガラス転移点以上の温度に加熱することにより、図20(B)に示したように、距離調整層17の発光層18C側の表面17Aを平坦化する。
【0104】
距離調整層17を形成したのち、この距離調整層17の上に、有機層18および第2電極19を順次成膜する。その際、距離調整層17と正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bとを同一材料により構成した場合、正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bを距離調整層17とは別に再度形成してもよいし、それらを省略して発光層18Cおよび電子輸送層18Dのみを形成してもよい。
【0105】
そののち、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図16に示した表示装置が完成する。
【0106】
また、この表示装置は、次のようにして製造することもできる。
【0107】
図21および図22は、この表示装置の他の製造方法を工程順に表すものである。この製造方法は、図17に示したような複数の突起部61Aを被覆層61Bで覆った凹凸構造61の上に第1電極15を形成する場合を表している。
【0108】
まず、図21(A)に示したように、駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140を形成した基板11の上に、感光性樹脂を塗布することにより感光性樹脂膜を形成し、この感光性樹脂膜を、例えばマスク81を用いたフォトリソグラフィ法により露光・現像して突起部61Aを形成し、焼成する。
【0109】
次いで、図21(B)に示したように、突起部61Aを形成した基板11の上に再び感光性樹脂を塗布することにより突起部61Aを被覆層61Bで覆う。
【0110】
続いて、図22(A)に示したように、例えばマスク82を用いたフォトリソグラフィ法により被覆層61Bに接続孔61Cを形成し、焼成する。
【0111】
続いて、図22(B)に示したように、凹凸構造61の上に、例えばスパッタ法により第1電極15を形成する。これにより、第1電極15の発光層18C側の端面に、凹凸構造61に対応した連続的な凹凸形状が形成される。
【0112】
そののち、上述した製造方法と同様にして感光性樹脂を塗布し、例えばフォトリソグラフィ法により成形し、焼成することにより、電極間絶縁膜16を形成する。続いて、上述した製造方法と同様にして、第1電極15の上に距離調整層17を形成し、距離調整層17の構成材料のガラス転移点以上の温度に加熱することにより、距離調整層17の発光層18C側の表面17Aを平坦化する。
【0113】
距離調整層17を形成したのち、上述した製造方法と同様にして、有機層18および第2電極19を順次成膜する。そののち、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図17に示した表示装置が完成する。
【0114】
この表示装置では、第1電極15と第2電極19との間に所定の電圧が印加されると、第1の実施の形態と同様にして発光が起こり、この光は、第1電極15と第2電極19との間で多重反射し、第2電極19の側から取り出される。このとき、第1端部P1が連続的な凹凸形状を有しており、この凹凸形状が距離調整層17によって埋め込まれ平坦化されることにより光学的距離Lが連続的に変化しているので、取り出される光のスペクトルのピーク波長も光学的距離Lに応じて連続的に変化しており、それらを合成したスペクトルの半値幅が広くなる。よって、視野角特性が向上する。
【0115】
このように本実施の形態では、第1端部P1が連続的な凹凸形状を有するようにし、この凹凸形状を距離調整層17で埋め込み平坦化することにより光学的距離Lを連続的に変化させるようにしたので、取り出される光のスペクトルのピーク波長を光学的距離Lに応じて連続的に変化させることができ、視野角特性を向上させることができる。
【0116】
以上、第1〜第4の実施の形態では、光学的距離の異なる領域を各有機発光素子内に設けるようにしたが、隣り合う同一色の有機発光素子間において光学的距離を異ならせるようにしてもよい。以下、その例について説明する。
【0117】
(第5の実施の形態)
図23は、本発明の第5の実施の形態に係る表示装置の表示領域110の平面構成の一例を表したものである。この表示装置では、隣り合う画素101,102に含まれ、発光波長が同じ有機発光素子10R1,10R2において、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離LR1,LR2が互いに異なっている。同様に、有機発光素子10G1,10G2においても光学的距離LG1,LG2が互いに異なり、また、有機発光素子10B1,10B2においても光学的距離LB1,LB2が互いに異なっている。有機発光素子10R1,10R2,10G1,10G2,10B1,10B2それぞれの内部では第1領域21および第2領域22に分けられておらず、各素子内における光学的距離は同一である。これにより、この表示装置では、発光波長の同じ有機発光素子10R1,10R2、10G1,10G2、10B1,10B2から取り出される光のスペクトルのピーク波長を異ならせることができ、視野角特性を向上させることができるようになっている。
【0118】
画素101,102は、例えば交互に配置されているが、直線状に並んでいてもよく、視認上問題ない範囲であればこの限りではない。なお、図23では、画素101に網掛けを施して表している。
【0119】
図24は、隣り合う画素101,102の断面構成を表したものである。基板11の画素102の領域には段差形成層14が形成されている。画素102の第1電極15は、この段差形成層14の上に形成されており、これにより、画素101の第1電極15と画素102の第1電極15との間には、高低差が設けられている。すなわち、画素101,102の第1電極15の発光層18C側の端面は、段差形成層14に対応する高低差を有する第1端部P1となっている。また、第1電極15上には、画素101,102の第1電極15の高低差を埋め込むと共に第2電極19側に平坦な表面17Aを有する距離調整層17が設けられており、第2端部P2が平坦になると共に、画素101,102の第1電極15の高低差に応じて第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離が異なっている。このことを除いては、有機発光素子10R1,10R2、10G1,10G2、10B1,10B2は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0120】
距離調整層17は、第1の実施の形態と同様に、有機層18の正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bと同一の有機材料により構成されており、正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bを兼ねていてもよい。また、図示しないが、距離調整層17は、正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bとは別に設けられていてもよい。
【0121】
有機発光素子10R1における光学的距離LR1と、有機発光素子10R2における光学的距離LR2とは数2を満たすことが好ましい。有機発光素子10G1における光学的距離LG1と、有機発光素子10G2における光学的距離LG2とは数3を満たすことが好ましい。有機発光素子10B1における光学的距離LB1と、有機発光素子10B2における光学的距離LB2とは数4を満たすことが好ましい。
【0122】
(数2)
LR1=LRave +ΔLR
LR2=LRave −ΔLR
(2LRave )/λ+Φ/(2π)=m
(式中、LRave は有機発光素子10R1における光学的距離LR1と有機発光素子10R2における光学的距離LR2との平均光学的距離、Φは第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1 と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2 との和(Φ=Φ1 +Φ2 )(rad)、λは第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長、mはLRave が正となる整数をそれぞれ表す。なお、数2においてLR1,LR2,LRave およびλは単位が共通すればよいが、例えば(nm)を単位とする。)
(数3)
LG1=LGave +ΔLG
LG2=LGave −ΔLG
(2LGave )/λ+Φ/(2π)=m
(式中、LGave は有機発光素子10G1における光学的距離LG1と有機発光素子10G2における光学的距離LG2との平均光学的距離、Φは第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1 と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2 との和(Φ=Φ1 +Φ2 )(rad)、λは第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長、mはLGave が正となる整数をそれぞれ表す。なお、数3においてLG1,LG2,LGave およびλは単位が共通すればよいが、例えば(nm)を単位とする。)
(数4)
LB1=LBave +ΔLB
LB2=LBave −ΔLB
(2LBave )/λ+Φ/(2π)=m
(式中、LBave は有機発光素子10B1における光学的距離LB1と有機発光素子10B2における光学的距離LB2との平均光学的距離、Φは第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1 と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2 との和(Φ=Φ1 +Φ2 )(rad)、λは第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長、mはLBave が正となる整数をそれぞれ表す。なお、数4においてLB1,LB2,LBave およびλは単位が共通すればよいが、例えば(nm)を単位とする。)
【0123】
なお、数2ないし数4は数1を発光色(R,G,B)ごとに表現したものであり、各々の第1式ないし第3式の意味は数1と同様である。
【0124】
この表示装置は、例えば、画素102の形成予定領域に段差形成層14を形成することを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0125】
本実施の形態の表示装置では、第1電極15と第2電極19との間に所定の電圧が印加されると、第1の実施の形態と同様にして発光が起こり、この光は、第1電極15と第2電極19との間で多重反射し、第2電極19の側から取り出される。このとき、隣り合う画素101,102に含まれ、発光波長が同じ有機発光素子10R1,10R2において、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離LR1,LR2が互いに異なっているので、各有機発光素子10R1,10R2から取り出される光は、そのスペクトルのピーク波長が異なる。従って、有機発光素子10R1,10R2が同時に発光した場合には、第1の実施の形態と同様に、合成スペクトルの半値幅が拡がり、視野角特性が向上する。他の有機発光素子10G1,10G2間、有機発光素子10B1,10B2間においても同様である。
【0126】
このように本実施の形態では、隣り合う画素101,102に含まれ、発光波長が同一である有機発光素子10R1,10R2、10G1,10G2、または10B1,10B2において、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離LR1,LR2、LG1,LG2、またはLB1,LB2を互いに異ならせるようにしたので、発光波長の同じ素子から取り出される光のスペクトルのピーク波長を異ならせることができ、視野角特性を向上させることができる。
【0127】
なお、上記実施の形態では、第1の実施の形態と同様に段差形成層14および距離調整層17を用いて光学的距離LR1,LG1,LB1と光学的距離LR2,LG2,LB2とを互いに異ならせるようにした場合について説明したが、第2または第3の実施の形態と同様に、駆動トランジスタTr1や配線などに起因する段差を利用して光学的距離LR1,LG1,LB1と光学的距離LR2,LG2,LB2とを互いに異ならせるようにしてもよい。
【0128】
以下、第5の実施の形態に関して、他の構成により光学的距離LR1,LG1,LB1と光学的距離LR2,LG2,LB2とを互いに異ならせた変形例1〜3について説明する。これらの変形例1〜3は、第1電極15の構成または有機層18の厚みの差を用いて光学的距離LR1,LG1,LB1と光学的距離LR2,LG2,LB2とを異ならせるようにしたものである。
【0129】
(変形例1)
図25は、変形例1に係る画素101,102の断面構成を表したものである。この表示装置は、第1電極15を、銀(Ag)を含む合金よりなる反射電極15Aと、透明電極15Bとを基板11の側からこの順に積層したものである。この場合、画素101の透明電極15Bは、多結晶ITOよりなる下層15BBと、アモルファスITOまたはIZOよりなる上層15BTとを順に積層した構成を有し、画素102の透明電極12Bは下層12BBのみを有する。
【0130】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0131】
図26および図27は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図26(A)に示したように、上述した材料よりなる基板11の上に、第1の実施の形態と同様にして駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140および平坦化絶縁膜13を形成したのち、例えばスパッタ法により、上述した材料よりなる反射電極15Aと、下層15BBおよび上層15BTよりなる透明電極15Bとを順に成膜する。
【0132】
次いで、上層15BTの上に、例えばリソグラフィ技術を用いてレジストパターン(図示せず)を形成し、図26(B)に示したように、このレジストパターンをマスクとしたウェットエッチングにより、画素102の上層15BTを選択的に除去する。このとき、例えば、下層15BBを多結晶ITO、上層15BTをアモルファスITOまたはIZOによりそれぞれ構成し、ウェットエッチング液としてリン酸,硝酸および酢酸の混合液を用いることにより、アモルファスITOまたはIZOと、多結晶ITOとのウェットエッチング選択比を利用して、上層15BTのみを選択的に除去することができる。
【0133】
更に、図27に示したように、例えばドライエッチングにより透明電極15Bおよび反射電極15Aを選択的に除去して各有機発光素子10R,10G,10Bごとに分離し、図25に示したような第1電極15を形成する。
【0134】
そののち、第1電極15の間の領域に電極間絶縁膜16(図5参照。)を設け、例えば蒸着法により、上述した厚みおよび材料よりなる正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18C,電子輸送層18Dおよび第2電極19を順次成膜し、図25に示したような有機発光素子10R,10G,10Bを形成する。続いて、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図25に示した表示装置が完成する。
【0135】
(変形例2)
図28は、第1電極15の他の構成例を表したものである。本変形例の第1電極15は、反射電極15Aと透明電極15Bとを交互に含む積層構造を有するものである。画素101の第1電極15は、銀(Ag)を含む合金よりなる第1反射電極15A1,多結晶ITOよりなる第1透明電極15B1,銀(Ag)を含む合金よりなる第2反射電極15A2および多結晶ITOよりなる第2透明電極15B2を基板11側からこの順に積層した構成を有している。画素102の第1電極15は、第1反射電極15A1および第1透明電極15B1を基板11側からこの順に積層した構成を有している。第1透明電極15B1および第2透明電極15B2の厚みは、光学的距離LR1,LG1,LB1と光学的距離LR2,LG2,LB2に応じて異なっており、第2透明電極15B2は第1透明電極15B1よりも厚みが厚くなっている。画素101における第1端部P11の位置は、第2反射電極15A2の発光層18C側の端面であり、画素102における第1端部P12の位置は、第1反射電極15A1の発光層18C側の端面である。
【0136】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0137】
図29および図30は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図29(A)に示したように、上述した材料よりなる基板11の上に、第1の実施の形態と同様にして駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140および平坦化絶縁膜13を形成したのち、例えばスパッタ法により、上述した材料よりなる第1反射電極15A1,第1透明電極15B1,第2反射電極15A2および第2透明電極15B2を順に成膜する。このとき、例えば、第1透明電極15B1は多結晶ITO、第2反射電極15A2は銀(Ag)を含む合金によりそれぞれ構成する。
【0138】
次いで、第2透明電極15B2の上に、例えばリソグラフィ技術を用いてレジストパターン(図示せず)を形成し、図29(B)に示したように、例えばドライエッチングにより、画素101以外の領域の第2透明電極15B2と第2反射電極15A2の厚み方向の一部とを選択的に除去する。
【0139】
更に、図30(A)に示したように、エッチング液として例えばリン酸,硝酸および酢酸の混合液を用いたウェットエッチングにより、第2反射電極15A2の厚み方向の残部を選択的に除去し、第1透明電極15B1を露出させる。このとき、ITOと銀(Ag)を含む合金とのウェットエッチング選択比により、第2反射電極15A2のみを除去することができる。
【0140】
続いて、図30(B)に示したように、例えばドライエッチングにより第1透明電極15B1および第1反射電極15A1を除去して各有機発光素子10R,10G,10Bごとに分離し、図28に示したような第1電極15を形成する。
【0141】
そののち、第1電極15の間の領域に電極間絶縁膜16(図5参照。)を設け、上述した方法と同様にして正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18C,電子輸送層18Dおよび第2電極19を順次成膜し、図28に示したような有機発光素子10R,10G,10Bを形成する。そののち、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図28に示した表示装置が完成する。
【0142】
(変形例3)
図31は、変形例3に係る画素101,102の断面構成を表したものである。この表示装置は、画素101の有機層18の厚みを、画素102よりも厚くしたものである。この場合、例えば、正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18Cおよび電子輸送層18Dのうちいずれか一層または二層以上の厚みを異ならせるようにすればよい。特に、正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bの厚みを異ならせることが好ましい。正孔注入層18Aまたは正孔輸送層18Bは、キャリア移動度が高く、厚みに対する電圧依存性が小さいからである。一般的には発光層18Cまたは電子輸送層18Dの厚みを変えると素子の駆動電圧に与える影響が大きく、厚い部位では電圧が高く、薄い部位では電圧が低くなってしまうので、発光輝度に不均一が生じるおそれがある。
【0143】
なお、正孔注入層18Aの構成材料としては、一般に、フタロシアニン化合物,アミン化合物またはアザアリール化合物などが挙げられるが、本実施の形態のように画素101と画素102とで厚みを異ならせる場合には、アザアリール化合物であるアザアントラセン誘導体またはアザトリフェニレン誘導体などが好ましい。
【0144】
この表示装置は、例えば次のようにして製造することができる。
【0145】
まず、基板11の上に、第1の実施の形態と同様にして、上述した材料よりなる駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140,平坦化絶縁膜13、第1電極15および電極間絶縁膜16を形成する。
【0146】
次いで、第1電極15の上に、正孔注入層18A,正孔輸送層18B,発光層18C,電子輸送層18Dおよび第2電極19を順次成膜する。その際、画素101と画素102とで有機層18の厚みを異ならせる。有機層18を異なる厚みに形成する方法としては、マスクを用いた蒸着法,インクジェット法,レーザ転写または印刷法など、有機層14の形成に用いられる一般的な方法をいずれも用いることができる。
【0147】
続いて、有機発光素子10R,10G,10Bの上に保護膜30および接着層40を形成し、カラーフィルタ51を設けた封止用基板50を貼り合わせる。以上により、図31に示した表示装置が完成する。
【0148】
(モジュールおよび適用例)
以下、上述した第1ないし第5の実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記各実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0149】
(モジュール)
上記各実施の形態の表示装置は、例えば、図32に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板11の一辺に、封止用基板50および接着層40から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0150】
(適用例1)
図33は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0151】
(適用例2)
図34は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0152】
(適用例3)
図35は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0153】
(適用例4)
図36は、上記各実施の形態の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0154】
(適用例5)
図37は、上記各実施の形態の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記各実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0155】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記第1ないし第3の実施の形態では、発光層18Cが、平面形状において中央部の第1領域21と左右部の第2領域22とに分けられている場合について説明したが、第1領域21および第2領域22は、図38に示したように平面形状において右側半分と左側半分に分けられていてもよいし、図39に示したように上側半分と下側半分とに分けられていてもよい。また、図40に示したように斜めの境界線で分割されていてもよく、視認上問題ない範囲で選択可能である。
【0156】
また、段差形成層14は、基板11の一部の領域に限らず、基板11の全面に形成されていてもよい。その場合、段差形成層14の厚みを変えることにより、第1電極15の発光層18C側の端面に段差を形成することができる。
【0157】
更に、上記第4の実施の形態では、第1端部P1が連続的な凹凸形状を有している場合について説明したが、第1端部P1と第2端部P2の少なくとも一方が連続的な凹凸形状を有していればよい。
【0158】
加えて、有機発光素子10R,10G,10Bは、第1領域21および第2領域22の二つに限らず、三つ以上の領域に分けられていてもよい。この場合、そのうちの少なくとも二つの領域において光学的距離が異なればよい。
【0159】
更にまた、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、上記実施の形態においては、基板11の上に、第1電極15,有機層18および第2電極19を基板11の側から順で積層し、封止用基板50の側から光を取り出すようにした場合について説明したが、積層順序を逆にして、基板11の上に、第2電極19,有機層18および第1電極15を基
板11の側から順に積層し、基板11の側から光を取り出すようにすることもできる。
【0160】
加えてまた、例えば、上記実施の形態では、第1電極15を陽極、第2電極19を陰極とする場合について説明したが、陽極および陰極を逆にして、第1電極15を陰極、第2電極19を陽極としてもよい。さらに、第1電極15を陰極、第2電極19を陽極とすると共に、基板11の上に、第2電極19,有機層18および第1電極15を基板11の側から順に積層し、基板11の側から光を取り出すようにすることもできる。
【0161】
更にまた、上記実施の形態では、有機発光素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、第1電極15と有機層18との間に、酸化クロム(III)(Cr2 O3 ),ITO(Indium-Tin Oxide:インジウム(In)およびスズ(Sn)の酸化物混合膜)などからなる正孔注入用薄膜層を備えていてもよい。また、例えば第1電極15または反射電極15Aは、誘電体多層膜とすることもできる。
【0162】
加えてまた、上記実施の形態では、第2電極19が半透過性反射層により構成されている場合について説明したが、第2電極19は、半透過性反射層と透明電極とが第1電極15の側から順に積層された構造としてもよい。この透明電極は、半透過性反射層の電気抵抗を下げるためのものであり、発光層で発生した光に対して十分な透光性を有する導電性材料により構成されている。透明電極を構成する材料としては、例えば、ITOまたはインジウムと亜鉛(Zn)と酸素とを含む化合物が好ましい。室温で成膜しても良好な導電性を得ることができるからである。透明電極の厚みは、例えば30nm以上1000nm以下とすることができる。また、この場合、半透過性反射層を一方の端部とし、透明電極を挟んで半透過性電極に対向する位置に他方の端部を設け、透明電極を共振部とする共振器構造を形成するようにしてもよい。さらに、そのような共振器構造を設けた上で、有機発光素子10R,10G,10Bを保護膜30で覆うようにし、この保護膜30を、透明電極を構成する材料と同程度の屈折率を有する材料により構成すれば、保護膜30を共振部の一部とすることができ、好ましい。
【0163】
更にまた、本発明は、第2電極19を透明電極により構成すると共に、この透明電極の有機層18と反対側の端面の反射率が大きくなるように構成し、第1電極15の発光層18C側の端面を第1端部、透明電極の有機層と反対側の端面を第2端部とした共振器構造を構成した場合についても適用することができる。例えば、透明電極を大気層に接触させ、透明電極と大気層との境界面の反射率を大きくして、この境界面を第2端部としてもよい。また、接着層との境界面での反射率を大きくして、この境界面を第2端部としてもよい。さらに、有機発光素子10R,10G,10Bを保護膜30で覆い、この保護膜30との境界面での反射率を大きくして、この境界面を第2端部としてもよい。
【0164】
加えてまた、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本発明はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【符号の説明】
【0165】
10,101,102…画素、10R,10G,10B…有機発光素子、11…基板、13…平坦化絶縁膜、14…段差形成層、15…第1電極、15A…反射電極、15A1…第1反射電極、15A2…第2反射電極、15B…透明電極、15B1…第1透明電極、15B2…第2透明電極、15BB…下層、15BT…上層、16…電極間絶縁膜、17…距離調整層、17A…上面、18…有機層、18A…正孔注入層、18B…正孔輸送層、18C…発光層、18D…電子輸送層、19…第2電極、21…第1領域、22…第2領域、30…保護膜、40…接着層、50…封止用基板、51…カラーフィルタ、61…凹凸構造、61A…突起部、61B…被覆層、61C…接続孔、P1…第1端部、P2…第2端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極,発光層を含む有機層および第2電極を順に備えると共に、前記発光層で発生した光を第1端部と第2端部との間で共振させる共振器構造を有する表示素子であって、
前記第1電極の前記発光層側の端面は、連続的な凹凸形状を有する前記第1端部となっており、
前記第1電極と前記第2電極との間に、前記凹凸形状を埋め込むと共に前記第2電極側に平坦な表面を有する距離調整層が設けられることにより、前記第2端部が平坦になると共に、前記凹凸形状に応じて前記第1端部と前記第2端部との間の光学的距離が連続的に変化している
表示素子。
【請求項2】
前記距離調整層は前記有機層のうちの一層と同じ材料により構成されている
請求項1記載の表示素子。
【請求項3】
前記第1電極は、基板上に設けられた凹凸構造の上に形成され、
前記第1端部は、前記凹凸構造に対応した連続的な凹凸形状を有する
請求項1または2記載の表示素子。
【請求項4】
基板上に、第1電極,発光層を含む有機層および第2電極を順に備えると共に、前記発光層で発生した光を第1端部と第2端部との間で共振させる共振器構造を有する表示素子を備えた表示装置であって、
前記第1電極の前記発光層側の端面は、連続的な凹凸形状を有する前記第1端部となっており、
前記第1電極と前記第2電極との間に、前記凹凸形状を埋め込むと共に前記第2電極側に平坦な表面を有する距離調整層が設けられることにより、前記第2端部が平坦になると共に、前記凹凸形状に応じて前記第1端部と前記第2端部との間の光学的距離が連続的に変化している
表示装置。
【請求項5】
前記距離調整層は前記有機層のうちの一層と同じ材料により構成されている
請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1電極は、基板上に設けられた凹凸構造の上に形成され、
前記第1端部は、前記凹凸構造に対応した連続的な凹凸形状を有する
請求項4または5記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2010−238677(P2010−238677A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166724(P2010−166724)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【分割の表示】特願2006−351863(P2006−351863)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】