説明

表示装置、および表示制御方法、並びにプログラム

【課題】有機EL表示装置など自発光素子を用いた表示装置において最適な表示制御構成を実現する。
【解決手段】例えばRGBなど複数の異なる色に対応する波長光を出力する発光素子の最大出力レベルの出力光を画像表示領域外周に設定された導光板を介して光センサに入力する。光センサの検出光は出力制御部に入力され、RGB各発光素子の最大出力レベルにおける輝度が算出される。出力制御部は最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標輝度として、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを制御目標輝度まで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。この処理によりホワイトバランスが初期状態と同様、最適な調整状態に設定された画像を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、および表示制御方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置など自発光型の表示装置において、個々の発光素子の輝度レベルの変化等に起因して発生する表示品質の低下を防止した表示制御処理を行う表示装置、および表示制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」と略称)として自発光型表示装置に関心が高まっている。特に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置は、現在主流である液晶表示装置(以下、「LCD」と略称)に比べてバックライトや偏光板などの部材が必要ない為、薄型化が可能であり、自発光である為、視野角依存性が低く、電子のエネルギーを光に還元している性質上、応答速度が速いといった利点が多い。
【0003】
また、LCDでは、その性質上、色純度を広げようとするとカラーフィルターの光の透過率を下げる必要があり、輝度を出す為には消費電力が大きくなるという問題があるが、自発光型表示装置である有機EL表示装置はR(赤)、G(緑)、B(青)各画素(サブピクセル)の発光材料を適切なものとする事で、色純度を広げる事が可能である。
【0004】
なお、有機EL表示装置は、1つの画素(ピクセル)をRGB個別の発光素子からなるサブピクセルによって構成し、サブピクセルを構成するRGB発光素子の輝度レベルの変更によって様々な色を表現可能とした表示装置である。
【0005】
しかしながら、有機EL表示装置は、R(赤)、G(緑)、B(青)各発光素子が個別の発光素子によって構成されているため、それぞれの素子に応じて劣化度合いが異なるという問題がある。具体的には、例えばRGB各々の発光材料の通電時の輝度の半減時間(以下、「寿命」と略称)が異なっており、ある程度の期間利用すると、RGBの発光バランスがくずれ、表示される色合いが変化してしまう。
【0006】
このように、自発光型の表示装置は各発光素子(RGB)の輝度半減時間が異なるため、当初設定したホワイトバランスが経時的に変化してしまい、表示データの品質が低下してしまうという問題がある。なお、一般的には青色の発光材料の寿命が最も短く、使用していくうちにホワイトが黄色みを帯びてくる。
【0007】
これらの課題を解決する従来技術としては以下のものがある。
特許文献1(特開2008−300367号公報)や、特許文献2(特開2005−166691号公報)は、寿命の最も短いサブピクセルの面積を大きくし、サブピクセル間で面積を変更する事で、RGBのサブピクセル間で輝度を合わせた時も寿命の短いサブピクセルに流れる電流密度を相対的に小さくしてRGBサブピクセル間での寿命の差を低減する技術を提案している。
【0008】
しかし、この方法では少なくとも1つのサブピクセルは他の画素よりも大きくする必要がある。言いかえると、少なくとも1つのサブピクセル以外はそのサブピクセルよりも小さくする必要がある。このように大きさの異なる素子の組み合わせが必要となると、高精細化を目指した場合、歩留まりを低下させる要因となる。
【0009】
また、特許文献3(特開2008−235419号公報)は、寿命の短いサブピクセルの膜厚を相対的に厚くして、RGBサブピクセル間の寿命を調整する技術を提案している。
【0010】
しかし、この技術を用いると、駆動電圧を膜厚の最も厚いサブピクセルの駆動電圧に合わせる必要があり、消費電力が高くなってしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−300367号公報
【特許文献2】特開2005−166691号公報
【特許文献3】特開2008−235419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、RGBなどの発光材料各々の輝度半減時間(寿命)が異なる自発光素子を用いた表示装置において、表示データの劣化を低減することを可能とした表示装置、および表示制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面は、
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型の発光素子と、
前記発光素子の出力光による画像表示を行う表示部と、
前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定され前記発光素子の出力光を入射して散乱し均一化する導光板と、
前記導光板において均一化された光を検出する光センサと、
前記光センサの検出光を入力し、前記発光素子の出力レベル制御を行う出力制御部を有し、
前記出力制御部は、
各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する表示装置にある。
【0014】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記発光素子はRGB各色に対応する発光素子によって構成された発光素子であり、前記出力制御部は、RGB各色対応の発光素子の輝度を算出し、最低輝度を持つRGBいずれか1色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の2色の発光素子の輝度を前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。
【0015】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記導光板は、前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定され、表示データの表示領域上に重ねて設けられた構成である。
【0016】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記出力制御部は、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度と、最高輝度を持つ色の発光素子の輝度の差分が既定閾値以上であるか否かを判定し、輝度差分が既定閾値以上である場合に発光素子の最大許容輝度レベルを変更する処理を行う。
【0017】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記光センサは、前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定された導光板内に配置された構成である。
【0018】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記導光板は、前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定された導光板と該導光板から延伸する導光板延伸部によって構成され、前記光センサは、前記導光板延伸部内に配置された構成である。
【0019】
さらに、本発明の表示装置の一実施態様において、前記表示装置は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置である。
【0020】
さらに、本発明の第2の側面は、
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型発光素子の出力による画像表示を行う表示部を有する表示装置において発光素子の出力レベル制御を行う表示制御方法であり、
光センサが、前記表示部の画像表示領域外周の全周に設定された導光板を介して前記発光素子の出力光を検出する光検出ステップと、
出力制御部が、各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行するステップと、
を有する表示制御方法にある。
【0021】
さらに、本発明の第3の側面は、
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型発光素子の出力による画像表示を行う表示部を有する表示装置において発光素子の出力レベル制御を実行させるプログラムであり、
光センサに、前記表示部の画像表示領域外周の全周に設定された導光板を介して前記発光素子の出力光を検出させる光検出ステップと、
出力制御部に、各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行させるステップと、
を有するプログラムにある。
【0022】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な画像処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、画像処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0023】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例によれば、有機EL表示装置など自発光素子を用いた表示装置において、例えばRGBなど複数の異なる色に対応する波長光を出力する発光素子の最大出力レベルの出力光を画像表示領域外周に設定された導光板を介して光センサに入力する。光センサの検出光は出力制御部に入力され、RGB各発光素子の最大出力レベルにおける輝度が算出される。出力制御部は最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標輝度として、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを制御目標輝度まで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。この処理によりホワイトバランスが初期状態と同様、最適な調整状態に設定された画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る表示装置の構成について説明する図である。
【図2】自発光素子の輝度レベルの経時変化について説明する図である。
【図3】本発明の一実施例に係る表示装置の構成について説明する図である。
【図4】本発明の一実施例に係る表示装置の発光素子出力制御例について説明する図である。
【図5】本発明の一実施例に係る表示装置の発光素子出力制御例について説明する図である。
【図6】本発明の一実施例に係る表示装置の発光素子出力制御シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係る表示装置の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の表示装置、および表示制御方法、並びにプログラムの詳細について説明する。説明は、以下の項目に従って行う。
1.本発明の表示装置の第1実施例の構成について
2.本発明の表示装置の発光素子出力制御シーケンスについて
3.光センサを導光板の延伸領域に設定した構成例(実施例2)
【0027】
[1.本発明の表示装置の第1実施例の構成について]
まず、本発明の第1実施例の表示装置の構成について説明する。図1は本発明の第1実施例の表示装置の表示部の構成を示す図である。図1に示す表示部100は、複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型の発光素子、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)各発光素子によって構成された有機EL(エレクトロルミネッセンス)型の表示部である。
【0028】
図1の上部には表示部を正面から見た平面図を示し、下部には平面図のAB断面に対応する断面図を示している。表示部100の中央領域は、表示領域111であり画像データの表示領域として利用される。表示領域111の周囲には、全周に渡って導光板112が配置されている。導光板112は、導光板内に入射した光を散乱し導光板内でほぼ均一な強度を持つ光を生成する。導光板112の一部に光センサ113が配置されており、導光板112内での散乱光を検出する。
【0029】
下部の断面図に示すように、発光素子115は表示領域111と導光板112の下部に設定されている。発光素子115からの光は、表示領域111に対する表示データを生成するとともに、表示領域111の周囲の導光板112にも出力される。
【0030】
なお、通常使用時における出力画像の出力領域は、表示領域111と導光板112の領域を含む領域である。すなわち、表示領域111の下部の表示素子も導光板112の下部の表示素子も、表示データの構成画像を出力する。表示領域の周囲部分は導光板112によって遮蔽されており、ユーザによる観察はできないが、導光板の幅は、表示領域に比較して極めて狭く設定可能であり、導光板による画像の遮蔽部分は出力画像サイズを大きく減少させるものとはならない。
【0031】
図1下部の断面図に示すように、導光板112の設けられた表示領域111周囲の発光素子115の出力光は導光板112の設定領域内で散乱され、導光板112内でほぼ均一に広がる。光センサ113は、導光板112内でほぼ均一に広がった光を検出する。
【0032】
なお、発光素子115は、例えばRGBなど異なる波長光を発光する個別の自発光型素子によって構成されている。具体的には、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)発光素子である。
【0033】
前述したように、有機EL表示装置は、1つの画素(ピクセル)をRGB個別の発光素子からなるサブピクセルによって構成されている。サブピクセルを構成するRGB発光素子の輝度レベルを変更することで様々な色を表現する。
【0034】
有機EL表示装置は、RGBの各発光素子が個別の発光素子によって構成されているため、それぞれの素子に応じて劣化度合いが異なる。具体的には、例えばRGB各々の発光材料の通電時の輝度の半減時間(以下、「寿命」と略称)が異なっており、ある程度の期間、表示処理を行うと、RGBの発光バランスがくずれホワイトバランスにずれが発生し表示される色合いが変化してしまう。
【0035】
図2を参照して、RGB各々の発光材料の輝度の経時変化について説明する。図2は、有機ELに利用されるRGB発光素子の輝度レベルの経時変化の一例を示すグラフである。縦軸が輝度、横軸が累積使用時間を示している。
【0036】
表示装置の利用開始前の初期のRGB各素子の輝度レベルは一致している。使用時間の経過に従い、RGB発光素子の輝度レベルは低下する。図に示すように、輝度レベルの低下量はRGB発光素子各々によって異なる。図に示す例では、B(青)の輝度レベル低下が最も大きく、次がR(赤)であり、最も輝度レベル低下の少ないのがG(緑)の発光素子である。
【0037】
このようなRGB各々が異なる輝度レベル低下を起こすと、初期の輝度レベルでホワイトバランス調整を行っていても、ディスプレイの利用時間の経過に従ったホワイトバランスのずれが発生する。結果として自然な色合いが出力できなくなってしまう。
【0038】
本発明の表示装置は、このような問題を解決する構成を持つ。本発明の発光制御処理の概要は以下の通りである。図1に示す表示領域111の周囲に設定した導光板112を介して光センサ113が検出した光を解析し、解析結果に基づいてRGB発光素子各々を最適な輝度レベルに調整してホワイトバランスのずれを防止する。このような発光制御処理によって高品質な表示処理を行う。
【0039】
具体的には、光センサ113によって検出した検出光の解析によって、RGB各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。この処理によって、RGB素子の輝度レベルは同一の輝度レベルに統一され、結果としてホワイトバランスが調整された状態に維持することが可能となる。
【0040】
図3以下を参照して、本発明の表示装置の構成と処理について説明する。
図3は、本発明の表示装置200の主要構成を示すブロック図である。本発明の表示装置200は、図3に示すように、発光素子201、導光板202、光センサ203、出力制御部204、出力部205、入力部(UI)206を有する。なお、図3に示す構成は、本発明に関連する主要構成を示しているものでり、表示装置には、その他、装置に応じた様々な機能部が存在する。例えばカメラであればカメラ機能、テレビであればチューナーなどの機能がある。
【0041】
なお、発光素子の出力調整は、例えば入力部(UI)206を介してユーザからの出力調整指示があった場合に実行される。ただし、その他のタイミングで調整処理を実行する構成としてもよい。例えば、電源ON時、あるいは電顕OFF時、あるいは予め定めた使用時間経過毎に行うなどの様々な設定が可能である。
【0042】
以下では、入力部(UI)206を介してユーザからの出力調整指示があった場合の処理例について説明する。入力部(UI)206を介してユーザからの出力調整指示が入力されると、出力制御部204は、出力部205を介して、表示部に設定された導光板の下部の発光素子の出力レベルを最大に設定して発光処理を実行させる。
【0043】
その結果、導光板202には、各色(RGB)の最大輝度レベルの出力光が入射される。導光板202において散乱された光は光センサ203によって検出される。光センサ203の検出光は、出力制御部204に入力される。
【0044】
出力制御部204は、光センサ203からの入力光信号の解析を実行し、各発光素子、すなわちRGB各発光素子の出力レベル(輝度)を算出する。先に図2を参照して説明したように、RGB各発光素子は、経時変化により輝度レベルが次第に低下し、その低下度合いは、RGB各発光素子各々において異なっている。
【0045】
図4は図2と同様、有機ELに利用されるRGB発光素子の輝度レベルの経時変化の一例を示すグラフである。縦軸が輝度、横軸が累積使用時間を示している。なお、各出力素子は最大出力レベルに設定した場合の輝度値を示している。
【0046】
図4に示す累積使用時間(T1)の時点で調整処理を行う場合の処理例について説明する。
出力制御部204が、累積使用時間(T1)の時点で、光センサ203からの入力信号を解析して算出されるRGB各発光素子の輝度は、図4に示すように、
G(緑)=Lg
R(赤)=Lr
B(青)=Lb
このような輝度が算出される。
【0047】
最も高い輝度を維持しているのがG(緑)の発光素子であり、次に高い輝度レベルを持つのがR(赤)の発光素子、最低の輝度レベルとなっているのがB(青)の発光素子である。
【0048】
出力制御部204は、このような各素子の輝度レベルの計測結果に基づいて、最低輝度レベルの発光素子の輝度レベルに他の発光素子の利用最大輝度を低下させる処理を行う。このように、出力制御部204は、光センサ203が検出した検出光の解析によって、RGB各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度を制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。
【0049】
図4に示す例では、最低輝度レベルの発光素子はB(青)の発光素子であり、その輝度レベルはLbである。他の2つの発光素子であるG(緑)の発光素子とR(赤)の発光素子の各々の輝度レベルLg,Lrを低下させ、Lbと同じ輝度レベルをG(緑)の発光素子とR(赤)の発光素子の利用可能な最大輝度とする。
【0050】
すなわち、図に示すポイントPの輝度レベルをG(緑)の発光素子とR(赤)の発光素子の各々の最大許容輝度として、利用する最大輝度レベルを低下させる。
【0051】
この処理によって、RGB各発光素子の最大輝度レベルが一致することになる。この輝度制御処理により、全体としての輝度レベルは低下するが、ホワイトバランスは初期状態と同様、各色の出力レベルが調整された状態に維持されることになる。
【0052】
この輝度調整処理を逐次実行すれば、図5に示すように、RGB各素子の輝度レベルは、使用時間が経過しても、同一の輝度レベルに維持され、ホワイトバランスにずれが発生することなく色合いが維持された品質の高い表示データを出力することが可能となる。
【0053】
なお、前述したように、図1に示す導光板112の下部に設定された表示素子は、通常利用時には、表示領域111の下部の表示素子と同様、出力画像の構成画素として利用される領域である。従って、導光板112の下部に設定された表示素子は、表示領域111の下部の表示素子の利用態様と同一の利用処理がなされることになり、経時的な素子の劣化状態は、表示領域111、導光板112の下部の各表示素子においてほぼ同一となり、利用状況を正確に反映した出力調整が可能となる。
【0054】
また、導光板112は、表示領域111の外周部全周にわたって構成されており、光センサ113は、この外周部全周にわたって構成された導光板112内で散乱された平均的な光を検出して調整を実行するので、特定の一部領域において劣化の激しい素子や劣化の極端に少ない素子が存在しても、それらの特異な素子の出力の影響を低減した精度の高い調整処理を行うことが可能となる。
【0055】
[2.本発明の表示装置の発光素子出力制御シーケンスについて]
次に、図6に示すフローチャートを参照して、本発明に係る表示装置において実行する発光素子の出力制御シーケンスについて説明する。
【0056】
まず、ステップS101において、導光板を介して発光素子からの光を光センサに入力する。なお、この処理を開始する際に、導光板の下部の発光素子の出力レベルは最大に設定する。
【0057】
次に、ステップS102において、光センサの検出光を出力制御部に入力する。
次に、ステップS103において、光センサの検出光に基づいて、RGB各発光素子の輝度(発光強度)を算出する。
【0058】
この輝度算出処理は、図3に示す表示装置200内の出力制御部204において行われる。出力制御部204は、光センサ203から入力する検出光の解析によって、RGB各素子の輝度レベルを解析する場合、光センサ203から入力する検出光の色度を計測し、その色度に基づいてRGB各素子の輝度を算出することが可能である。
【0059】
次に、ステップS104において、RGB各発光素子の輝度(発光強度)のばらつき(差分)が許容閾値以上であるか否かを判定する。この処理は、図3を参照して説明した出力制御部204の処理である。出力制御部204は、予め閾値データを保持しており、RGB各発光素子の輝度の差分と閾値を比較し、差分が閾値以上である場合にのみ出力調整を実行する。
【0060】
すなわち、図4に示すグラフにおいて、調整処理の実行タイミングがT1である場合、
G(緑)=Lg
R(赤)=Lr
B(青)=Lb
このような輝度レベルが計測される。閾値をTHaとしたとき、
Lg−Lr
Lg−Lb
Lr−Lb
この各差分がいずれも閾値THa未満である場合は、発光素子の出力調整処理を実行することなく処理を終了する。この処理は、図6のステップS104の判定でNoの判定がなされた場合に相当する。
【0061】
一方、RGB各発光素子の輝度の差分のいずれかが閾値以上である場合は、ステップS104の判定がYesとなり、ステップS105に進む。
ステップS105では、先に図4を参照して説明したように、最低輝度レベルの発光素子の輝度レベルまで、他の発光素子の輝度レベルを低下させる処理を行う。
【0062】
ステップS103〜S105の処理は、図3に示す出力制御部204の処理である。
図3を参照してステップS103〜S105の処理について説明する。
ステップS103:図3に示す出力制御部204は、光センサ203が検出した検出光の解析を実行し、RGB各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出する。
ステップS104:図3に示す出力制御部204は、輝度の差分と閾値を比較する。閾値以上の差分が発生していない場合は、発光素子の調整は実行せず処理を終了する。
ステップS105:閾値以上の差分が発生している場合、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。
【0063】
なお、ステップS105における輝度調整は、図1に示す導光板112下部の発光素子のみならず、図1に示す表示領域111内の発光素子を含むすべての発光素子に対して実行する。この処理によって、出力される表示画像はホワイトバランスのずれがない、初期設定と同様の最適なホワイトバランス調整状態が維持された画像となる。
【0064】
なお、図6のフローを用いて説明した処理は、図3の構成を用いた処理であるが、この一連の処理は、例えばプログラム実行部であるCPUを備えた制御部の制御下でメモリに格納されたプログラムの実行に従って行うことが可能である。
【0065】
[3.光センサを導光板の延伸領域に設定した構成例(実施例2)]
図1を参照して説明した構成では、光センサ113は表示領域111の外周の導光板上に設定した例であった。光センサの位置はこのような位置に限らず、例えば図7に示すように、表示部の外周部に設ける構成としてもよい。
【0066】
図7に示す表示部300は、本発明の第2実施例の表示装置の表示部の構成を示す図である。図7に示す表示部300は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)各発光素子が個別の発光素子によって構成された有機EL(エレクトロルミネッセンス)型の表示部である。
【0067】
図7の上部には表示部を正面から見た平面図を示し、下部には平面図のAB断面に対応する断面図を示している。表示部300の中央領域は、表示領域311であり画像データの表示領域として利用される。表示領域311の周囲には、全周に渡って導光板312が配置されている。導光板312は、右下部に導光板延伸部313が設定され、この導光板延伸部313の一部に光センサ314が配置されている。
【0068】
導光板312および導光板延伸部313内は、ほぼ均一に皮下のが散乱するので、導光板延伸部313に設けられた光センサ314は、先に説明した図1の配置を持つ光センサ113とほぼ同様の出力光を検出できる。
【0069】
本実施例の表示装置も先に説明した実施例と同様、図3を参照して説明した構成を有し、導光板延伸部313に設けられた光センサ314による検出光、すなわち発光素子315から出力された光は、図3に示す出力制御部204に入力され、出力制御部204において、先の実施例と同様の処理が実行される。
【0070】
図7に示す例では、表示部の右下部の領域に導光板延伸部313を設定して、導光板延伸部313の領域に光センサ314を設けているが、導光板延伸部313は、表示領域311の外周部の導光版312に接続された構成であれば任意の位置に設定することが可能である。例えば表示パネルの側面や背面、あるいは機器内部の回路部に延伸させるといった構成も可能である。このような構成をとることで光センサ314も表示パネルの側面、背面、あるいは機器内部など任意の位置に設定可能となる。本実施例は、例えば小型カメラの表示部など、スペースの制約が多い装置において有効な構成である。
【0071】
以上、説明したように、本発明の表示装置は、複数の異なる色を発生する自発光型の発光素子を用いた表示装置において、各発光素子の輝度レベルの低下スピードが異なっても、輝度レベルを一致させる処理を実行する構成としており、経時的な輝度変化に応じた最適な輝度制御が可能となりホワイトバランスの調整された高品質な画像を、継続的に出力することが可能となる。
【0072】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0073】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0074】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上、説明したように、本発明の一実施例構成によれば、有機EL表示装置など自発光素子を用いた表示装置において、例えばRGBなど複数の異なる色に対応する波長光を出力する発光素子の最大出力レベルの出力光を画像表示領域外周に設定された導光板を介して光センサに入力する。光センサの検出光は出力制御部に入力され、RGB各発光素子の最大出力レベルにおける輝度が算出される。出力制御部は最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標輝度として、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを制御目標輝度まで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する。この処理によりホワイトバランスが初期状態と同様、最適な調整状態に設定された画像を出力することができる。
【符号の説明】
【0076】
100 表示部
111 表示領域
112 導光板
113 光センサ
115 発光素子
200 表示装置
201 発光素子
202 導光板
203 光センサ
204 出力制御部
205 出力部
206 入力部(UI)
300 表示部
311 表示領域
312 導光板
313 導光板延伸部
314 光センサ
315 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型の発光素子と、
前記発光素子の出力光による画像表示を行う表示部と、
前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定され前記発光素子の出力光を入射して散乱し均一化する導光板と、
前記導光板において均一化された光を検出する光センサと、
前記光センサの検出光を入力し、前記発光素子の出力レベル制御を行う出力制御部を有し、
前記出力制御部は、
各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する表示装置。
【請求項2】
前記発光素子はRGB各色に対応する発光素子によって構成された発光素子であり、
前記出力制御部は、
RGB各色対応の発光素子の輝度を算出し、最低輝度を持つRGBいずれか1色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の2色の発光素子の輝度を前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導光板は、前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定され、表示データの表示領域上に重ねて設けられた構成である請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記出力制御部は、
最低輝度を持つ色の発光素子の輝度と、最高輝度を持つ色の発光素子の輝度の差分が既定閾値以上であるか否かを判定し、輝度差分が既定閾値以上である場合に発光素子の最大許容輝度レベルを変更する処理を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光センサは、
前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定された導光板内に配置された構成である請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導光板は、
前記表示部の画像表示領域外周の全周に渡って設定された導光板と該導光板から延伸する導光板延伸部によって構成され、
前記光センサは、前記導光板延伸部内に配置された構成である請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置である請求項1〜6いずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型発光素子の出力による画像表示を行う表示部を有する表示装置において発光素子の出力レベル制御を行う表示制御方法であり、
光センサが、前記表示部の画像表示領域外周の全周に設定された導光板を介して前記発光素子の出力光を検出する光検出ステップと、
出力制御部が、各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行するステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項9】
複数の異なる色に対応する波長光を出力する複数の自発光型発光素子の出力による画像表示を行う表示部を有する表示装置において発光素子の出力レベル制御を実行させるプログラムであり、
光センサに、前記表示部の画像表示領域外周の全周に設定された導光板を介して前記発光素子の出力光を検出させる光検出ステップと、
出力制御部に、各色対応の発光素子の最大出力レベルにおける輝度を算出し、最低輝度を持つ色の発光素子の輝度を制御目標レベルとして、他の色の発光素子の最大許容輝度レベルを前記制御目標レベルまで低下させる発光素子出力レベル制御を実行させるステップと、
を有するプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−266828(P2010−266828A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120412(P2009−120412)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】