説明

表示装置、プログラム、情報記憶媒体およびデータ補正方法

【課題】色むら補正等のための座標データ等をより正確に補正することが可能な表示装置、プログラム、情報記憶媒体およびデータ補正方法を提供すること。
【解決手段】表示装置の一種であるプロジェクターが、複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データ151に基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成する基準画像生成部160と、前記基準画像を表示する投写部と、前記基準画像の撮像画像を示す撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて座標データ151を補正する補正部150を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、プログラム、情報記憶媒体およびデータ補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3661584号公報に記載されているように、色むら補正用の補正データは、全画素分記憶されているのではなく、基準座標ごとに記憶されている。これは、全画素分記憶すると必要な記憶容量が過大になってしまうためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3661584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクター等の表示装置が色むらの補正を行うためには、実際に表示される基準座標の位置を正確に把握しておく必要がある。このような基準座標の位置を正確に把握するためには色むら補正回路や液晶パネルの特性を熟知しておく必要があり、色むら補正用の補正データを手動で補正することは困難である。
【0005】
このため、開発者等は、例えば、色むら補正値として極端な値を設定して表示装置に画像を表示させ、画像の位置に応じて目視で基準座標の位置を推測して補正データを手動で補正していた。しかし、色むら補正値として極端な値を設定したとしても、グラデーション表示機能によって表示される画像がぼやけた画像になってしまうため、開発者等が目視で基準座標の位置を推測して補正データを補正することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、色むら補正等のための座標データ等をより正確に補正することが可能な表示装置、プログラム、情報記憶媒体およびデータ補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成する基準画像生成部と、前記基準画像を表示する表示部と、前記基準画像の撮像画像を示す撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを補正する補正部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、コンピューターを、複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成する基準画像生成部と、前記基準画像の撮像画像を示す撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを更新する更新部として機能させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、コンピューターにより読み取り可能なプログラムを記憶した情報記憶媒体であって、上記プログラムを記憶したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るデータ補正方法は、複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成し、前記基準画像を表示し、表示された前記基準画像を撮像して撮像画像を示す撮像情報を生成し、前記撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを補正することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、表示装置等は、基準座標を示す基準画像を表示し、基準画像の撮像画像を用いて座標データを補正することができるため、色むら補正等のための座標データをより正確に補正することができる。
【0012】
また、前記補正部は、前記撮像情報に基づき、前記基準座標ごとの色むらの補正値を示す補正値データを補正してもよい。
【0013】
これによれば、表示装置等は、基準座標を示す基準画像を表示し、基準画像の撮像画像を用いて補正値データを補正することができるため、色むら補正等のための補正値データをより正確に補正することができる。
【0014】
また、前記補正値データは、RGBそれぞれの前記基準座標ごとの色むらの補正値を示すデータを含み、前記補正部は、前記撮像情報に基づき、RGBごとに前記基準座標ごとの色むらの補正値を補正してもよい。
【0015】
これによれば、表示装置等は、RGBごとに色むらの補正値を補正することができるため、色むら補正等のための補正値データをより正確に補正することができる。
【0016】
また、前記基準画像生成部は、前記基準画像として、前記複数の基準座標のうち最も外側にある基準座標を示す画像を生成してもよい。
【0017】
これによれば、表示装置等は、最も外側にある基準座標を示す基準画像を生成、表示することにより、例えば、基準画像の一部が撮像範囲外にある状態であっても当該状態を容易に把握することができる上、色むらの影響を受けやすい外側の領域に位置する基準座標の補正値データをより正確に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施例におけるプロジェクターの使用状況を示す図である。
【図2】第1の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図3】第1の実施例における色むら補正部の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施例における色むら補正手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施例における基準座標を示す模式図である。
【図6】第1の実施例における基準画像の一例を示す図である。
【図7】第2の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図8】その他の実施例における基準画像の一例を示す図である。
【図9】その他の実施例における基準画像の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をプロジェクターに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0020】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例におけるプロジェクター100の使用状況を示す図である。開発者は、デジタルカメラ300と接続されたPC(Personal Computer)200に、USBケーブル等を用いて開発中のプロジェクター100を接続する。表示装置の一種であるプロジェクター100は、色むら補正用の基準座標を示す基準画像を投写し、デジタルカメラ300の撮像情報に応じて基準座標を示す座標データを補正する機能を有する。
【0021】
次に、このような機能を有するプロジェクター100の機能ブロックについて説明する。図2は、第1の実施例におけるプロジェクター100の機能ブロック図である。プロジェクター100は、PC200から画像信号(例えば、RGB信号等)を入力する画像信号入力部110と、PC200から撮像情報を入力する撮像情報入力部120と、色むら補正部140を有し、画像信号等に基づいて画像処理を実行する画像処理部130と、画像処理後の画像を投写する表示部の一種である投写部190を含んで構成されている。
【0022】
図3は、第1の実施例における色むら補正部140の機能ブロック図である。色むら補正部140は、補正部150と、基準画像を生成する基準画像生成部160と、色むら補正処理部170を含んで構成されている。補正部150は、色むら補正用の複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データ151、R用の色むら補正値を示すR用補正値データ152、G用の色むら補正値を示すG用補正値データ153、B用の色むら補正値を示すB用補正値データ154等を記憶しており、これらのデータを補正する機能を有する。
【0023】
基準画像生成部160は、R用基準画像生成部161と、G用基準画像生成部162と、B用基準画像生成部163を含んで構成されている。また、色むら補正処理部170は、R用色むら補正処理部171、G用色むら補正処理部172、B用色むら補正処理部173を含んで構成されている。
【0024】
なお、プロジェクター100は、これらの各部の機能を、以下のハードウェアを用いて実装してもよい。例えば、プロジェクター100は、画像信号入力部110、撮像情報入力部120は、画像入力端子、コンバーター等、画像処理部130はCPU、画像処理回路、RAM等、投写部190はランプ、液晶パネル、液晶駆動回路、レンズ等を用いて実装してもよい。
【0025】
また、プロジェクター100は、補正部150等の処理を情報記憶媒体400に記憶されたプログラムを読み取って実行してもよい。このような情報記憶媒体400としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用できる。
【0026】
次に、これらの各部を用いた色むら補正手順について説明する。図4は、第1の実施例における色むら補正手順を示すフローチャートである。なお、PC200にR用キャリブレーション画像データ、G用キャリブレーション画像データ、B用キャリブレーション画像データが記憶されており、プロジェクター100は、これらの画像データに基づく画像信号を入力するものとする。
【0027】
R用基準画像生成部161は、R用キャリブレーション画像信号と、座標データ151に基づき、基準座標を示す基準画像用のR信号を生成する。R用色むら補正処理部171は、当該R信号とR用補正値データ152に基づき、色むら補正後のR信号を生成する。G信号、B信号も同様である。投写部190は、これらの画像信号に基づく画像を液晶パネルに生成し、当該画像を投写する(ステップS1)。
【0028】
図5は、第1の実施例における基準座標を示す模式図である。本実施例では、基準座標は、横4個、縦3個の合計12個存在するものとする。なお、基準座標の個数は任意であり、配置や個数は図5に示す例には限定されない。
【0029】
図6は、第1の実施例における基準画像500の一例を示す図である。図5と図6を比較すればわかるように、本実施例の基準画像500は、最も外側にある基準座標を線で結んだ枠を示す画像である。
【0030】
開発者等は、スクリーン等に投写された基準画像500を、デジタルカメラ300を用いて撮像する。PC200は、基準画像500の撮像画像を示す撮像情報をプロジェクター100に出力する。
【0031】
撮像情報入力部120は、PC200からの撮像情報を入力し(ステップS2)、補正部150は、当該撮像情報に基づき、現在の基準座標が適切かどうかを判定する(ステップS3)。現在の基準座標が適切である場合、補正部150は、撮像情報に基づき、色むらが補正されるようにR用補正値データ152を更新する(ステップS4)。
【0032】
補正部150は、RGBすべての補正値データの更新が終了したかどうかを判定し(ステップS5)、終了していない場合は次の色に対してステップS1〜S5の処理を実行する。
【0033】
一方、現在の基準座標が適切ではない場合、補正部150は、撮像情報に基づき、座標データ151を更新する(ステップS6)。例えば、補正部150は、基準画像500に含まれる枠の左上位置が左に4画素分ずれている場合、右に4画素分移動するように各基準座標を更新し、あるいは、右に4画素分移動するように各基準座標の生成タイミングを遅らせるように、座標データ151を更新する。
【0034】
RGBすべての補正値データの更新が終了した場合、画像信号入力部110は、PC200から白のキャリブレーション画像を示す画像信号を入力し、R用色むら補正処理部171、G用色むら補正処理部172、B用色むら補正処理部173はそれぞれR信号、G信号、B信号を各補正値データに基づいて色むらを補正し(ステップS7)、投写部190は、色むら補正後のRGB信号に基づいて画像を生成、投写する(ステップS8)。
【0035】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、基準座標を示す基準画像500を表示し、基準画像500の撮像画像を用いて座標データ151を補正することができるため、色むら補正等のための座標データをより正確に補正することができる。
【0036】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、基準画像500の撮像画像を用いてR用補正値データ152、G用補正値データ153、B用補正値データ154を補正することができるため、色むら補正等のための補正値データをより正確に補正することができる。
【0037】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、最も外側にある基準座標を示す基準画像500を生成、表示することにより、例えば、基準画像500の一部がデジタルカメラ300の撮像範囲外にある状態であっても当該状態を容易に把握することができる上、色むらの影響を受けやすい外側の領域に位置する基準座標の補正値データをより正確に補正することができる。
【0038】
(第2の実施例)
第1の実施例では、開発者は、PC200、デジタルカメラ300を用いているが、プロジェクターのみを用いて同様の処理を実行することが可能である。図7は、第2の実施例におけるプロジェクター101の機能ブロック図である。プロジェクター101は、デジタルカメラ300と同様の機能を有する撮像部180を含み、撮像情報入力部121は、撮像部180からの撮像情報を入力する機能を有する。また、プロジェクター101は、情報記憶媒体401からプログラムを読み取って補正部150等の機能を実装してもよい。
【0039】
このように、プロジェクター100が撮像部180を内蔵している場合、PC200およびデジタルカメラ300は不要である。また、この場合、基準画像生成部160は、基準画像500等を生成するための画像データを記憶しておき、当該画像データを用いて基準画像500等を生成してもよい。
【0040】
以上のように、第2の実施例によっても、プロジェクター101は、第1の実施例のプロジェクター100と同様の作用効果を奏することができる。
【0041】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、基準画像は、基準画像500には限定されない。図8は、その他の実施例における基準画像501の一例を示す図である。また、図9は、その他の実施例における基準画像502の他の一例を示す図である。
【0042】
例えば、プロジェクター100、101は、図8に示すように、すべての基準座標を線で結んだ基準画像501を用いてもよいし、図9に示すように、基準座標を点で示す基準画像502を用いてもよい。
【0043】
また、R用補正値データ152、G用補正値データ153、B用補正値データ154は、所定階調ごと(例えば、10階調ごと、25階調ごと等)に設けられてもよい。
【0044】
また、座標データ151で示される基準座標の用途は色むら補正には限定されず、例えば、液晶パネルにおける電圧レベルの補正、カメラ座標と液晶ライトバルブの座標との対応付け等に用いられてもよい。また、座標データ151等の補正を行う時点は、プロジェクター100の量産準備時点には限定されず、例えば、経時劣化の発生時点等であってもよい。
【0045】
また、本発明を適用可能な表示装置は、プロジェクター100、101には限定されず、例えば、液晶モニター、テレビ等の色むら等が発生する種々の表示装置に本発明を適用可能である。
【0046】
また、プロジェクター100、101は、液晶プロジェクター(透過型、LCOS等の反射型)には限定されず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクター等であってもよい。なお、DMDは米国テキサス・インスツルメンツ社の商標である。また、プロジェクター100、101の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクター等)に分散して実装してもよい。
【符号の説明】
【0047】
100、101 プロジェクター(表示装置)、110 画像信号入力部、120、121 撮像情報入力部、130 画像処理部、140 色むら補正部、150 補正部、151 座標データ、152 R用補正値データ、153 G用補正値データ、154 B用補正値データ、160 基準画像生成部、161 R用基準画像生成部、162 G用基準画像生成部、163 B用基準画像生成部、170 色むら補正処理部、171 R用色むら補正処理部、172 G用色むら補正処理部、173 B用色むら補正処理部、180 撮像部、190 投写部(表示部)、200 PC、300 デジタルカメラ、400、401 情報記憶媒体、500〜502 基準画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記基準画像を表示する表示部と、
前記基準画像の撮像画像を示す撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを補正する補正部と、
を含む表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記補正部は、前記撮像情報に基づき、前記基準座標ごとの色むらの補正値を示す補正値データを補正する、
表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記補正値データは、RGBそれぞれの前記基準座標ごとの色むらの補正値を示すデータを含み、
前記補正部は、前記撮像情報に基づき、RGBごとに前記基準座標ごとの色むらの補正値を補正する、
表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置において、
前記基準画像生成部は、前記基準画像として、前記複数の基準座標のうち最も外側にある基準座標を示す画像を生成する、
表示装置。
【請求項5】
コンピューターを、
複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記基準画像の撮像画像を示す撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを更新する更新部として機能させるプログラム。
【請求項6】
コンピューターにより読み取り可能なプログラムを記憶した情報記憶媒体であって、
請求項5に記載のプログラムを記憶した情報記憶媒体。
【請求項7】
複数の基準座標または当該複数の基準座標の生成タイミングを示す座標データに基づき、少なくとも一部の基準座標を示す基準画像を生成し、
前記基準画像を表示し、
表示された前記基準画像を撮像して撮像画像を示す撮像情報を生成し、
前記撮像情報に基づき、前記撮像画像に含まれる前記基準画像の位置に応じて前記座標データを補正する、
データ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−220166(P2010−220166A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67562(P2009−67562)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】