説明

表示装置、及び入力システム

【課題】手書き入力による位置情報の誤検出を抑制できる表示装置、及び入力システムを提供する。
【解決手段】発光式表示部30と、発光式表示部30の表示面側に設けられ、表示面上の位置座標を規定する位置情報パターン層43と、位置情報パターン層43で反射された検出光に基づいて発光式表示部30に手書きの筆跡情報を入力する入力装置4と、入力装置4の検査光を取得するタイミングに同期して発光式表示部30の照明装置50を消灯させるように制御する照明制御部36と、を備える表示装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び入力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子書籍やタブレットのような携帯端市場では、手書き入力のニーズが高まっており、ペン入力機能付き表示装置の実用化が進められている。このような表示装置としては、外光を拡散的に反射する反射型表示方式のものや、バックライトを有する透過型液晶表示装置やELディスプレイなどの自発光型表示方式のものがある。
【0003】
手書き入力方法としては、表示装置の表示面上に、光学的に読み取り可能な位置情報パターン層を設け、ポインタに設置した撮像部によって位置情報パターンを撮像することにより、表示面における指示位置を特定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−21168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術において表示装置が発光方式のものである場合、光学的に位置情報パターンを読み取る際に、表示面の情報がノイズとなって、位置情報の読取不良が発生するといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、手書き入力による位置情報の誤検出を抑制できる表示装置、及び入力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の表示装置は、発光式表示部と、前記発光式表示部の表示面側に設けられ、前記表示面上の位置座標を規定する位置情報パターン層と、前記位置情報パターン層で反射された検出光に基づいて前記発光式表示部に手書きの筆跡情報を入力する入力装置と、前記入力装置の前記検査光を取得するタイミングに同期して前記発光式表示部の照明装置を消灯させるように制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の表示装置によれば、照明制御部が入力装置における前記検査光の取得期間に同期して発光式表示部の照明装置を消灯するので、検査光とともに表示画像の光がノイズとして入力装置に検出されることで誤検出を招くといった不具合の発生を防止することができる。よって、入力装置が位置情報を高精度に検出することで筆跡情報を良好に表示可能なシステムの提供ができる。
【0009】
また、上記表示装置においては、前記発光式表示部は、前記入力装置の前記検出光の取得期間に同期して表示画像の切り替えを行うのが好ましい。
このタイミングで表示画像の切り替えを行うことで、例えば発光式表示部として液晶装置を用いた場合であっても、インパルス表示で行うことができる。
【0010】
本発明の入力システムは、上記表示装置と、手書きによる筆跡に関する情報を入力する入力装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の入力システムによれば、上記表示装置を備えるので、表示品位を低下させること無く入力装置で入力された筆跡情報を表示可能な入力システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子ペーパーシステムの概略構成を示す図。
【図2】電子ペーパーシステムの電気的な構成を具体的に示すブロック図。
【図3】表示部を構成する電気泳動装置の概略構成を示す図。
【図4】撮像部及び光源47のタイミングチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の表示装置、及び入力システムに係る一実施例について説明する。図1は本発明の表示装置を含む入力システムに係る構成を示す図である。図1は、入力システムの一例としての電子ペーパーシステムの概略構成を示すものである。
【0014】
電子ペーパーシステム1は、図1に示すように筐体部2と、該筐体部2に設けられた開口部2aに配置される表示装置3と、表示装置3に所定情報を入力する入力装置4と、を備えている。電子ペーパーシステム1は、後述のように入力装置4を用いてユーザーが表示装置3に対して手書きによる筆跡を入力すると、該筆跡に対応した画像が表示装置3に表示されるものである。
【0015】
図2は電子ペーパーシステム1の電気的な構成を具体的に示すブロック図である。図2に示すように表示装置3は、表示体モジュール30と、表示体駆動制御部31と、表示装置制御部32と、表示装置無線通信部33と、を備えている。表示体モジュール30は、位置情報パターン層43と、電気泳動表示装置から構成される表示部35と、該位置情報パターン層43及び表示部35間に設けられる照明層40と、を含んでいる。
【0016】
表示体モジュール30は図2に示すように、表示部35の上面に照明層40及び位置情報パターン層43がこの順に積層して形成される。位置情報パターン層43は、表示部35の表示光を透過するように可視光を略透過する性質を有するべく、シートもしくは板状の透明樹脂を基材として構成されており、かつ、所定の情報図形を描画するとともに少なくとも赤外光を概ね吸収であって可視光の透過性が高い位置情報パターン43a(図3参照)が略全面に形成されたものである。ここで、赤外光を概ね吸収可能とは、赤外光の透過率が低いことを意味しており、位置情報パターン層43内における位置情報パターン43aの形成領域に対して位置情報パターン43aの非形成領域が赤外光の透過率が相対的に大きいことを意味している。なお、位置情報パターン層43と照明層40との間には不図示の赤外線反射防止層が設けられている。
【0017】
位置情報パターン43aは近赤外線吸収染料を含む可視光透過性の高いインキを印刷して形成される。また、位置情報パターン43aは、ドットコード等による位置情報パターン(位置情報を符号化したパターン)となっており、位置情報パターン43aを検出することで、位置情報パターン43aが設けられた表示部35の表面上における位置を一意に規定できるようになっている。このような手法としては、例えば、特開2006−277492号公報や特開2006−127081号公報を例示することができる。
【0018】
照明層40は、位置情報パターン層43及び表示部35間に挟持された導光板45と、該導光板45の端面に設けられた光源47とを有している。このように光源47を導光板45の端面に設けることで表示部35と光源47とが平面的に重ならないので、表示部35の視認性を低下させるといった不具合の発生を防止することができる。
【0019】
光源47はLEDもしくは電球から構成され、可視光線を照射するものである。光源47から出射された光は、それぞれ導光板45内を伝播し、導光板45の上面に出射され、位置情報パターン層43を下面側から照明するようになっている。
【0020】
導光板45としては、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明性に優れた樹脂を所定の形状に加工したものを用いることができる。なかでもアクリル樹脂を用いるのが軽量性、透明性の点で好ましい。
【0021】
表示装置制御部32は、表示装置3における全体の駆動を制御するためのものであって、上記光源47の点灯動作の駆動を制御する照明制御部36を含んでいる。そして、表示装置制御部32は表示体駆動制御部31を介して表示部35の表示状態を制御可能となっている。照明制御部36は、光源47の駆動タイミングを後述のように制御している。
【0022】
このような構成に基づいて、照明層40は導光板45の端面に設けられた光源47を発光させることで該導光板45の上面側に設けられた位置情報パターン層43側に光を出射できるようになっている。
【0023】
光源47から照明された可視光は、表示部35の全面を均一に照らすことで表示部35の視認性を向上させることができる。すなわち、光源47は表示部35におけるフロントライトとしての機能を有する。このように本実施形態に係る表示体モジュール30は本発明の発光式表示部を構成している。
【0024】
入力装置4は、位置検出部41と、入力装置無線通信部42とを備え、ユーザーによる表示装置3に対して手書き入力等の入力操作を検出するためのものである。入力装置4は、タッチペンやスタイラスと同様、ユーザーが手で把持することで使用される態様とされている。すなわち、入力装置4は表示装置3と物理的に分離した形態とされている。
【0025】
入力装置4の位置検出部41は、照明部50と、撮像部51と、画像処理部52と、位置情報検出部53と、を備えている。照明部50は、入力装置4の略先端に配置されるLEDもしくは電球から構成され、赤外線を含む光を照射するようになっている。照明部50は、ユーザーに把持された入力装置4の先端部が表示体モジュール30の表示部35の表面を指示した場合に、位置情報パターン層43の位置情報パターン43a(図3参照)に光を照射するようになっている。
【0026】
入力装置4が表示体モジュール30の表示部35に触れている位置の検出には、表示部35上に形成された位置情報パターン層43を介した赤外光の反射光を光学的に読み取る位置検出方式を採用している。入力装置4は撮像部51で撮像した画像情報を処理することで後述のように該入力装置4の先端部における表示部35の上面上における位置を検出可能となっている。
【0027】
撮像部51は、入力装置4の略先端に配置される撮像素子(CCD)により構成される。撮像部51は、位置情報パターン層43の所定の領域を撮像して電気信号に変換し、変換した電気信号を画像処理部52へと送信する。なお、撮像部51に光が入射する入射口付近には、撮像素子の撮像面に表示面の像を形成するための撮像光学系(不図示)が設けられ、赤外光の波長帯域の光のみを透過するフィルタ部材が設けられている。これにより、撮像部51は位置情報パターン43aによる画像を高いS/N比で撮像することができるようになっている。
【0028】
このように位置情報パターン層43を光学的に読み取る位置検出方式は、入力装置4と表示装置3とを分離することで、表示装置3の構成要素部品を減らし、軽量、薄型化することができるため、電子ペーパーシステム1に適した表示装置3の形態を実現することができる。
【0029】
画像処理部52は、撮像部51から送られる電気信号が示す画像をデジタル処理することで位置情報パターン層43における位置情報パターン43aの成分を抽出して、位置情報検出部53に送るためのものである。位置情報検出部53は、位置情報パターン43aの配置の特徴から上述の手法を用いることで位置情報を取得できるようになっている。
【0030】
また、位置検出部41は位置情報検出部53が取得した位置情報を入力装置無線通信部42に送信するようになっている。入力装置無線通信部42は受信した位置情報を表示装置3側へと無線方式により送信可能となっている。
【0031】
このような構成に基づき、入力装置4は、表示体モジュール30の表示面(表示部35)に接触した位置に関する情報(例えば座標)を位置情報パターン層43に基づいて検出し、検出した位置座標情報を入力装置無線通信部42から表示装置無線通信部33を介して表示装置制御部32に出力することができる。一方、表示装置3は、表示装置制御部32が位置検出部41で検出された位置座標情報に基づき表示体駆動制御部31を介し表示部35の表示状態を制御することができる。
【0032】
したがって、本実施形態に係る電子ペーパーシステム1においては、入力装置4が表示体モジュール30に接触しながら移動した際の軌跡を表示部35に表示し、手書き入力の様子等を表示部35に随時表示できるようになっている。
【0033】
図3は表示部35を構成する電気泳動装置の概略構成を示す図である。図3に示すように、表示部35は、画素電極23、及び透明電極24からなる1対の電極間に設けられたマイクロカプセル65と、このマイクロカプセル65を前記電極23,24間に固定するバインダ層61と、を備えている。マイクロカプセル65は、液相分散媒26と電気泳動粒子25とを含む電気泳動分散液60を収容している。
【0034】
本実施形態においては、電気泳動装置が電気泳動分散液60をマイクロカプセル65化することにより、その取り扱いが容易になり、製造工程を簡略化することが出来るほか、電気泳動粒子25の偏在による表示の不均一性を防止するようになっている。
【0035】
液相分散媒26としては、比較的高い絶縁性を有する有機溶媒を用いることができる。この有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、シリコン系オイル、フッ素系オイル、オリーブ油等の種々の鉱物油および植物油類、高級脂肪酸エステル等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。
【0036】
前記電気泳動粒子25としては、有機または無機の顔料粒子、または、これらを含む複合体を用いることができる。本実施形態では、電気泳動粒子25として白色及び黒色の表示を可能とする二種類の粒子を用いた。
【0037】
上記画素電極23は第1基板11上に形成され、透明電極24は第2基板12上に形成されている。すなわち、第1基板11と第2基板12とは、互いに対向していて、マイクロカプセル65、バインダ層61、画素電極23、及び透明電極24を挟持している。
【0038】
第1基板11としては、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する第1基板11を用いることにより、可撓性を備えた表示部35となる。これにより、可撓性を有する電子ペーパーシステム1を構築する上で有用な電気泳動装置を得ることができる。また、第1基板11は、絶縁材料で構成されたものあり、このような絶縁材料としては、例えばポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
第1基板11の一方の内面(図2中、上側の面)には、複数の画素電極23が設けられている。各画素電極23は、マイクロカプセル65中の電気泳動分散液60に電圧を印加する一方の電極として機能するものである。画素電極23の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、モリブデン、チタン、タンタル等の金属、または、これらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
一方、第1基板11に対向して設けられる第2基板12の下面(図2中、下側の面)には、上記透明電極24が配置されている。第2基板12は、前記第1基板11と同様にして、可撓性を有するのが好ましく、その構成材料としては、例えば、各種セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
第2基板12、及び透明電極24は、いずれも光透過性を有するもの、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)なものとされる。これにより、後述のように電気泳動分散液60中における電気泳動粒子25の状態を、すなわち、表示部35が表示する情報を、目視により容易に認識することが可能となる。
【0042】
透明電極24の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープした酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化スズ(SnO)のような導電性金属酸化物の他、ポリアセチレンのような導電性樹脂、導電性金属微粒子を含有する導電性樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前述した画素電極23も、このような材料を用いて構成することができる。
【0043】
前記バインダ層61を構成するバインダ材料としては、例えばポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアリレート、グラフト化ポリフィニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の高分子、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等の珪素樹脂、その他として、メタクリル酸−スチレン共重合体、ポリブチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
このような構成に基づき、表示部35はマイクロカプセル65中の電気泳動分散液60に、前記電極23,24により電圧を印加することで、電気泳動粒子25の分布状態を変化させることにより表示手段として機能するようになっている。具体的に本実施形態では、黒色及び白色の電気泳動粒子25を第1基板11及び第2基板12側にそれぞれ移動させることでマイクロカプセル65内における電気泳動粒子25の分布状態を変化させることで画素毎に黒色又は白色表示が行われる。
【0045】
続いて、本実施形態の電子ペーパーシステム1の動作について説明する。なお、本説明では、本発明の特徴である入力装置4を用いて表示部35に手書き入力を行う動作を中心に説明する。
【0046】
本実施形態に係る表示装置3は、照明制御部36が光源47を駆動することで明瞭な画像表示が行われている。一方、ユーザーが把持した入力装置4を表示部35上で移動すると、入力装置4の先端部に設けられた照明部50から赤外光が表示部35に対して照射される。このとき、照明部50から照射された赤外波長域の光は表示部35上に積層された位置情報パターン層43の位置情報パターン43aで吸収されるとともに位置情報パターン層43と照明層40との間に設けられた不図示の赤外線反射防止層で反射されるので、位置情報パターン43aが示す描画パターンを含む反射光(検査光)が入力装置4の撮像部51により撮像される。
【0047】
ところで、撮像部51が位置情報パターン層43を介した反射光を撮像する際、光源47による表示装置3の表示画像がノイズとなり、撮像部51による位置情報パターンの読取精度を低下させるおそれがある。
【0048】
これに対し、本実施形態に係る電子ペーパーシステム1では、入力装置4が撮像部51による撮像動作が開始されると、入力装置無線通信部42から表示装置無線通信部33を介して、表示装置制御部32へと信号を送信する。表示装置制御部32は信号を受信すると照明制御部36を介して照明層40の光源47における駆動を制御可能状態へと移行する。
【0049】
図4は撮像部51と光源47とのタイミングチャートを示す図である。なお、本図に示すタイミングチャートは一例であって、入力装置4のスキャン速度、表示装置3の応答性、輝度等を考慮し、適宜最適化されるようになっている。
【0050】
図4に示されるように、照明制御部36は、表示装置制御部32から光源47の消灯指令波形P1を受信すると、表示装置3側の光源47の表示照明波形P2がLowとなり、光源47が消灯する。同時に、入力装置4の照明部50の点灯パルスP3がHighとなり点灯する。完全に照明部50が点灯した状態で撮像部51の読取パルスP4がHighとなり、この期間に位置情報パターン43aに関する情報を取得する。このとき、表示画像の照明が消灯しているため、位置情報パターン43aに対する背景色をより沈ませることができる。よって、位置情報パターン43aのコントラスト比を増加させることができ、撮像部51の読取精度を向上させることができる。このように入力装置4では、照明部50の点灯消灯の切り替えが高速で行われるため、人間の目には表示画像が不良とされることはない。
【0051】
入力装置4は、表示体モジュール30の表示面(表示部35)に接触した位置に関する情報(例えば座標)を位置情報パターン層43に基づいて検出し、検出した位置座標情報を入力装置無線通信部42から表示装置無線通信部33を介して表示装置制御部32に出力することができる。一方、表示装置3は、表示装置制御部32が位置検出部41で検出された位置座標情報に基づき表示体駆動制御部31を介し表示部35の表示状態を制御することができる。
【0052】
照明制御部36は撮像部51による撮像タイミングに同期させて光源47を消灯させる。これにより、発光型の表示装置3における表示画像がノイズとして撮像部51に撮像されてしまうのを防止できる。
【0053】
また、表示装置3の表示部35の表示データDを切り替える場合、上述のように光源47を消灯したタイミングに同期させるのが好ましい。このようにすれば、電気泳動表示装置からなる表示部35であっても液晶のようなホールド表示をCRT(Cathode Ray Tube)のようなインパルス表示を行うことができ、動画応答性を改善することができる。
【0054】
撮像部51は撮像した画像を画像処理部52へと送信する。このとき、撮像部51は撮像が終了した旨の信号を入力装置無線通信部42を介して表示装置3側へと送信する。表示装置3側では、表示装置無線通信部33を介して、上記信号が表示装置制御部32の照明制御部36へと送信される。
【0055】
画像処理部52は、撮像部51から送られる電気信号が示す画像をデジタル処理することで位置情報パターン43aが示す描画パターンを抽出し、抽出した結果を位置情報検出部53へと送信する。位置情報検出部53は、描画パターンの配置の特徴から符号列を抽出し、この符号列を復号して位置情報を取得する。ここで、撮像部51はノイズの少ない画像を取得できるので、高精度で位置情報を取得できる。すなわち、入力装置4は、表示部35において該入力装置4の先端部が接触した位置に関する情報(例えば座標)を検出することができる。
【0056】
位置検出部41は、位置情報検出部53が取得した位置情報を入力装置無線通信部42に送信する。入力装置無線通信部42は受信した位置情報を表示装置3の表示装置無線通信部33へと無線方式によって送信する。このように本実施形態では、無線方式により表示装置3側に入力装置4による位置座標情報を出力できるので、入力装置4と表示装置3とを配線で接続する必要が無い。よって、表示装置3に手書き入力を行う際に配線が絡まるといった不具合の発生が防止され、高い操作性を得ることができる。
【0057】
表示装置3は表示装置無線通信部33を介して、入力装置4から取得した位置情報を表示装置制御部32に出力する。表示装置制御部32は位置検出部41で検出された位置座標情報に基づき表示体駆動制御部31を介して表示部35の表示状態を制御する。
【0058】
具体的に、表示体駆動制御部31は、表示部35のうち、取得した位置座標情報に対応する画素電極23及び透明電極24間に印加する電圧を制御し、マイクロカプセル65内の電気泳動粒子25を移動させることで、ユーザーが入力装置4を用いて入力した手書きによる筆跡を表示部35上に表示することができる。
【0059】
以上述べたように、本実施形態に係る電子ペーパーシステム1によれば、照明制御部36によって撮像部51による撮像タイミングに同期させて光源47を消灯させるので、撮像部51が位置情報を精度良く検出することができる。したがって、信頼性の高い電子ペーパーシステム1を提供できる。
【0060】
なお、上記実施形態では、本発明の表示装置の発光式表示部の一例として、照明層40を備えた電気泳動表示装置を備える場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。発光式表示部とは、例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ、又は液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイの他、フロント照明方式でスクリーン(表示面)上に画像を表示するプロジェクターも含む概念である。本発明の表示装置として液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイを採用した場合、入力装置4の撮像部51の撮像タイミングに同期させてバックライトを消灯させればよい。また、本発明の表示装置としてプロジェクターを採用した場合、入力装置4の撮像部51の撮像タイミングに同期させて光源を直接消灯する、或いは光源の光出射部にシャッターを設け遮断すればよい。また、フィールドシーケンシャル方式でカラー表示を行うプロジェクターにおいては、色の変わり目と同期化させるようにしても構わない。更には、液晶表示装置のバックライトや、プロジェクターの光源が、カラーフィルターによって、あるいはLEDやレーザーを用いてRGB3原色以上から成る場合は、必ずしも全ての色を消灯させる必要はない。前記撮像部51の周波数感度特性に拠り、例えば、Rのみ消灯し、G、Bは点灯したままという選択をしても良い。
【符号の説明】
【0061】
1…電子ペーパーシステム、3…表示装置、4…入力装置、35…表示部、36…照明制御部、40…照明層、43…位置情報パターン層、43a…位置情報パターン、45…導光板、48…光源、51…撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光式表示部と、
前記発光式表示部の表示面側に設けられ、前記表示面上の位置座標を規定する位置情報パターン層と、
前記位置情報パターン層で反射された検出光に基づいて前記発光式表示部に手書きの筆跡情報を入力する入力装置と、
前記入力装置の前記検査光を取得するタイミングに同期して前記発光式表示部の照明装置を消灯させるように制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記発光式表示部は、前記入力装置の前記検出光の取得期間に同期して表示画像の切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置と、
手書きによる筆跡に関する情報を入力する入力装置と、を備えることを特徴とする入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−37536(P2013−37536A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173153(P2011−173153)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】