説明

表示装置、及び写真注文受付装置

【課題】視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷される写真プリント商品の動的な美観を適切に評価できる画像を、煩雑な手間をかけることなく表示可能な表示装置及び写真注文受付装置を提供する。
【解決手段】目的画像を貼付編集するためのテンプレートのサンプル画像を表示する表示装置であって、前記テンプレートに含まれる視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷された特定領域に対して、その視認効果を確認するための模擬画像を生成する模擬画像生成部6と、前記模擬画像生成部6により生成された模擬画像を画面に表示する模擬画像表示処理部7を備え、前記模擬画像生成部6は、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像を生成し、前記模擬画像表示処理部7は、前記模擬画像生成部6で生成された複数の模擬画像を所定インタバルで切替表示するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び写真注文受付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラの普及に伴い、デジタルカメラで撮影された写真画像をプリント注文するプリント注文形態として、プリント出力店に出向いた顧客が、プリント出力店に設置された注文受付端末を介してプリント注文する形態と、顧客が自宅やオフィスの端末からインターネットを介して写真注文サーバにアクセスして、プリント注文する形態が利用されている。
【0003】
プリント出力店に設置された注文受付端末は、可搬性メモリに記憶された写真画像を読み取るメディアリーダと、メディアリーダで読み取られた写真画像を格納するメモリを備え、店内に設置された写真プリントシステムにネットワーク接続されたコンピュータで構成されている。
【0004】
当該コンピュータには、メモリに格納された複数枚の写真画像に対応するサムネイル画像と、サムネイル画像毎にプリントサイズやプリント枚数等のプリント条件設定欄をモニタに表示し、顧客によってマウスやキーボードを介して入力された注文情報を写真プリンタに出力する注文情報生成部としてコンピュータを動作させる写真プリント注文プログラムがインストールされている。
【0005】
顧客がモニタに表示されたサムネイル画像を目視して、サイズや枚数等の注文情報を設定入力すると、コンピュータに組み込まれた印字プリンタから、仕上がり時刻等が印字された受付伝票が出力される。
【0006】
一方、インターネットを介した写真注文システムは、特許文献1や特許文献2に記載されている通り、端末からインターネットを介して写真プリント注文サーバに接続し、プリントを望む写真画像を写真プリント注文サーバにアップロードして、所定の注文情報を入力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−049797号公報
【特許文献2】特開2002−290703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、写真画像を一枚ずつ定型サイズに焼き付けるプリント商品や、年賀状等、挨拶用のメッセージとともに写真画像を貼り付ける葉書サイズの挨拶カードに加えて、一枚の台紙に複数枚の写真画像を焼き付けて製本するアルバムプリント、一枚の台紙に複数枚の写真画像を美的に配列して焼き付けるコラージュプリント等の新たな写真プリント商品が普及しつつある。
【0009】
これら挨拶カードやアルバムプリント等に印字される挨拶文、タイトル文字、さらには、写真枠などの領域に箔押しした高級感のある写真プリント商品が、新たな高付加価値商品として注目されている。
【0010】
箔押しとは、メタルフィルム、ホログラムフィルム、レンズフィルム等の、照明光や観察者の視点の位置によって色や明るさが変化する、光沢のあるフィルムを台紙等に熱転写する技術である。
【0011】
さらに、近年では、金色や銀色等のメタリック顔料を添加したインク、赤、青等のメタリックインク等の色材を用いたインクジェットプリンタや、ドットインパクトプリンタが開発され、箔押しと同様に、照明光や観察者の視方向によって色や光沢感が変化する画像がプリント可能になっており、このような色材を用いた高級感のある写真プリント商品も新たな高付加価値商品として注目されている。
【0012】
これら挨拶カード、アルバムプリント、コラージュプリント等の写真プリント商品は、注文受付端末や写真注文サーバに接続された端末のディスプレイ画面に表示される商品サンプル、つまり、写真画像を貼り付ける複数種類のテンプレート画像に基づいて、顧客がその構成や美観等を評価して、最も適切と判断した後に選択操作される。
【0013】
しかし、注文受付端末や写真注文サーバに接続された端末のディスプレイ画面に表示されるテンプレート画像は、通常、静止画像であり、照明光や観察者の視点の位置によって色や明るさが変化する等、箔押しや、メタリックインク等の特定色材で印刷された特定の領域の固有の美観が評価できないため、顧客が選択に迷い、最終的にこのような高級感を醸し出す高付加価値商品に対する注文機会が逸失される虞があった。
【0014】
そこで、商品サンプルを動画撮影してディスプレイ画面に表示することにより、美観を評価できるように構成することも考えられるが、数多くの商品サンプルに対してそれぞれ撮影光の角度等を変えて撮影するのは非常に煩雑で手間がかかり、現実性に乏しく、また、所定領域に箔押ししたサンプル動画のみを表示する場合には、実際に挨拶文、タイトル文字、さらには、写真枠などに箔押しされた状態を評価できないため、注文機会が逸失されるという問題を解決できるものではなかった。
【0015】
本発明は、上述の従来欠点に鑑み、視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷される写真プリント商品の動的な美観を適切に評価できる画像を、煩雑な手間をかけることなく表示可能な表示装置及び写真注文受付装置を提供することができるようになった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、本発明による表示装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、目的画像を貼付編集するためのテンプレートのサンプル画像を表示する表示装置であって、前記テンプレートに含まれる、視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷される特定領域に対して、その視認効果を確認するための模擬画像を生成する模擬画像生成部と、前記模擬画像生成部により生成された模擬画像を画面に表示する模擬画像表示処理部を備え、前記模擬画像生成部は、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像を生成し、前記模擬画像表示処理部は、前記模擬画像生成部で生成された複数の模擬画像を所定インタバルで切替表示するように構成されている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、模擬画像生成部により生成された、視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷された特定領域に対して、その視認効果を確認するための模擬画像、つまり、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像が、模擬画像表示処理部によって所定インタバルで切替表示されるため、照明光や見る方向が規則的に変化したときの特定領域の視認効果を確認することができるようになる。
【0018】
例えば、所定インタバルが一定インタバルに設定されていれば、特定領域の全領域にわたる光沢感等を均等に視認することができ、或いは、所定インタバルが連続的に変化するように設定されていれば、特定領域が光り輝く態様が変化する速度が異なる状態で視認することができるため、特定領域の光沢や色の変化等の美観を適切に評価することができるようになる。
【0019】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像ファイルが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から模擬画像ファイルを読み出して模擬画像を生成する点にある。
【0020】
上述の構成によれば、予め複数の模擬画像ファイルを生成して模擬画像記憶部に格納しておけば、模擬画像生成部により模擬画像記憶部に記憶された複数の模擬画像ファイルが読み出されて模擬画像が生成されるため、模擬画像生成部の処理負荷を増大させることなく迅速に模擬画像が生成されるようになる。
【0021】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、色の三属性の何れかを異ならせた複数のテクスチャが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から対応するテクスチャを読み出して特定領域にマッピングする点にある。
【0022】
上述の構成によれば、模擬画像生成部により、模擬画像記憶部に記憶された複数のテクスチャの何れかが読み出されて、特定領域にマッピングされることにより模擬画像が生成されるので、予め複数のテンプレートに対応した特定領域に対応して複数の模擬画像ファイルを個別に生成する必要が無く、特定領域毎に色の三属性の何れかを異ならせた複数のテクスチャを生成して模擬画像記憶部に格納しておけばよい。従って、模擬画像記憶部の記憶容量を低減させることができる。
【0023】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記模擬画像生成部は、特定色材の種類に対応して、特定領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて変化する光の干渉現象または反射現象を模擬演算して、色の三属性の何れかを異ならせて模擬した複数の模擬画像を生成する点にある。
【0024】
特定色材の種類として、例えば、特定領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて、ゴールド、シルバー等の金属色の光沢が反射現象により変化するメタルフィルム、特定領域が干渉現象により虹色の帯状に変化し、或いは反射現象により特定領域内の微小領域毎に色や光沢が変化するホログラムフィルム、特定領域内の一定の形状に対応する明度等がレンズ効果によって規則正しく変化するレンズフィルム等の箔押し用のフィルムや、金色や銀色等のメタリック顔料を添加したインク、赤、青等のメタリックインク等がある。
【0025】
上述の構成によれば、模擬画像生成部により、各特定色材の種類に対応して、当該特定領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて変化する光の干渉現象または反射現象が模擬演算されて模擬画像が生成されるため、予め模擬画像ファイルを生成して記憶しておく必要が無く、特定色材の種類に対応した視認効果を適切に反映した模擬画像を生成することができるようになる。
【0026】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、特定色材の種類に対応したテクスチャであって、基本色相、法線、反射特性の何れかを含むパラメータで定義された基本テクスチャが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から対応する基本テクスチャのパラメータに基づいて、光の干渉現象または反射現象を模擬演算して生成した個別テクスチャを特定領域にマッピングする点にある。
【0027】
上述の構成によれば、模擬画像生成部により、模擬画像記憶部に記憶された基本色相、法線、反射特性の何れかを含むパラメータで定義された基本テクスチャ何れかが読み出されて、当該基本テクスチャのパラメータに基づいて、光の干渉現象または反射現象が模擬演算されて模擬画像が生成されるため、特定領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じた複数のテクスチャを備えることなく、小容量の基本テクスチャのみ模擬画像記憶部に記憶すればよく、模擬画像記憶部の記憶容量を削減することができるようになる。
【0028】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成を備えた表示装置が組み込まれた写真注文受付装置であって、写真画像を入力する画像入力部と、画像入力部を介して入力された写真画像を画面に表示して、指定操作された写真画像を目的画像として選択する画像選択処理部と、複数のテンプレートを前記画面に表示して、指定操作されたテンプレートを選択するテンプレート選択処理部と、選択された目的画像とテンプレートを含む注文情報を生成する注文情報生成部とを備え、前記テンプレート選択処理部により表示された複数のテンプレートの何れかが指示されると、指示されたテンプレートに対応して、前記模擬画像生成部及び前記模擬画像表示処理部が起動するように構成されている点にある。
【0029】
上述の構成によれば、顧客は、テンプレート選択処理部により画面に表示された複数のテンプレートの何れかを指示すると、模擬画像生成部及び模擬画像表示処理部が起動するため、当該指示するテンプレートに特定領域が含まれる場合に当該特定領域の視認効果が確認できるようになる。さらに、顧客は、画像入力部を利用して写真画像を入力し、画像選択処理部により画面に表示された当該写真画像を目的画像として選択し、テンプレート選択処理部によりテンプレートを選択して、当該選択した目的画像とテンプレートを含む注文情報を注文情報生成部により生成することができるようになる。
【0030】
したがって、例えば、顧客は、特定領域のサンプルが掲載されたパンフレット等で特定領域の視認効果を直接確認しなくとも、模擬画像表示処理部により注文情報入力画面に表示された特定領域の視認効果を確認して、希望する写真プリント商品の注文情報を生成することができるようになる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷される写真プリント商品の動的な美観を適切に評価できる画像を、煩雑な手間をかけることなく表示可能な表示装置及び写真注文受付装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】写真注文システムのブロック構成図
【図2】写真注文受付装置(注文受付端末)の外観説明図
【図3】写真注文受付装置(表示装置)の機能ブロック構成図
【図4】写真注文受付装置の受付処理手順を示すフローチャート
【図5】テンプレート画像の説明図
【図6】模擬画像の表示態様の説明図
【図7】(a)は、照明光の入射角の移動に応じて特定領域の視認効果が異なることを示す説明図、(b)は、観察者の視方向の移動に応じて特定領域の視認効果が異なることを示す説明図
【図8】(a)は、特定領域にメタルフィルムを転写形成した場合の反射現象を示す説明図、(b)は、特定領域にホログラムフィルムを転写形成した場合の光の干渉現象を示す説明図
【図9】模擬画像の説明図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明による表示装置が組み込まれた写真注文受付装置の実施形態を説明する。
【0034】
図1に示すように、写真プリント注文システムは、プリント出力店つまり写真ラボ店に設置された、写真注文受付装置である注文受付端末1と、注文受付端末1に入力された注文情報に基づいて写真プリント商品35を生成する写真プリンタ34とを備えて構成されている。
【0035】
注文受付端末1は、図2に示すように、写真画像データが格納されたメディアに対応した複数のメディアドライブ12と、注文受付伝票を出力するドットプリンタ13と、タッチパネル式の液晶表示部14と、メディアドライブ12で読み取った写真画像や写真プリント商品情報、さらには、写真注文受付処理プログラムを格納するハードディスクと、写真注文受付処理プログラムを実行するCPUボード等のハードウェアを備えている。
【0036】
写真注文受付処理プログラムを実行するCPUボードにより上述したハードウェアが統括制御されて写真注文受付処理が実行され、生成された写真プリント注文ファイルが通信ラインを介して写真プリンタ34に出力される。
【0037】
写真プリンタ34として、入力された写真画像データに基づいて印画紙を露光して現像定着処理する湿式の写真プリンタや、熱転写方式やインクジェット方式を採用したドライプロセスの写真プリンタが使用される。
【0038】
そして、湿式の写真プリンタで生成された写真プリントの所定位置に、箔押し用の熱転写フィルムにより箔押しするホットスタンパや熱転写プリンタにより、画像が視方向に応じて光沢が変化する高級感のある写真プリント商品が生成される。
【0039】
さらに、ドライプロセスの写真プリンタでは、金色や銀色等のメタリック顔料を添加したインク、赤、青等のメタリックインク等の色材を用いて、箔押しと同様に、照明光や観察者の視方向によって色や光沢感が変化する画像を含む高級感のある写真プリント商品が生成される。
【0040】
CPUボードでは、GUI機能等を含む所定のオペレーティングシステムの下で写真注文受付処理プログラムが実行される。
【0041】
図3に示すように、注文受付端末1を機能ブロックに分けて説明すると、写真画像を、メディアドライブ12を介して入力し、画像記憶部8として機能するハードディスクに記憶する画像入力部3と、画像入力部3を介して入力された写真画像を液晶表示部14の画面に表示して、指定操作された写真画像を目的画像として選択する画像選択処理部4と、写真プリント商品情報記憶部9としても機能するハードディスクから商品サンプルである複数のテンプレート画像を読み出して前記画面に表示し、指定操作されたテンプレートを受注商品として選択するテンプレート選択処理部5と、選択された目的画像とテンプレートを含む注文情報を生成する注文情報生成部2とを備えている。
【0042】
図4に示すように、来店した顧客31が液晶表示部14に表示された注文開始キーを操作することにより(S0)、写真プリント注文処理が起動される。先ず、画像入力部3により、写真画像データが格納されたメディア32をメディアドライブ12に挿入するように案内表示され(S1)、メディア32がメディアドライブ12に挿入されると、写真画像データが読み出されてハードディスクに格納される(S2)。
【0043】
次に、テンプレート選択処理部5により、写真プリント商品を選択する商品選択画面が表示され、顧客31が液晶表示部14に表示された写真プリント商品を選択すると(S3)、画像選択処理部4により、ハードディスクに格納された写真画像データのサムネイル画像が表示され(S4)、顧客31により写真プリント対象となる目的画像の選択が可能となる(S5)。
【0044】
続いて注文情報生成部2により、プリント枚数、顧客31の氏名や連絡先等のID情報入力画面が表示され(S6)、顧客が必要な情報を入力して注文確認ボタンを操作すると(S7)、ドットプリンタ13から受付伝票33が出力される(S8)。
【0045】
注文情報生成部2は、注文確認ボタンが操作されると、顧客により入力されたプリント注文情報及び目的画像の画像データから構成される写真プリント注文ファイルを生成して(S9)、写真プリンタ34に出力する(S10)。
【0046】
受付伝票33にはプリント仕上がり予定日時と、受付番号、価格等が印字され、当該プリント仕上がり予定日時に写真ラボ店の店員に受付伝票33を提示して料金を支払うと、写真プリント商品35が引き渡される。
【0047】
テンプレート選択処理部5は、写真プリント商品情報記憶部9に記憶されている商品情報に基づいて、先ず、顧客31に提供可能な写真プリント商品を選択する選択画面を表示する。
【0048】
当該選択画面には、ノーマルな定型サイズの「写真プリント」、パスポート等に用いる「証明写真」、年賀状等の挨拶カードである「ポストカード」、一枚の台紙に複数枚の写真画像を焼き付けて製本する「アルバムプリント」、一枚の台紙に複数枚の写真画像を美的に配列して焼き付ける「コラージュプリント」の各商品アイテムを選択する選択キーが表示される。
【0049】
例えば、「写真プリント」が選択されると、テンプレート選択処理部5は、プリント可能なサイズの選択画面を表示し、サイズを選択すると、画像選択処理部4により、ハードディスクに格納された写真画像データのサムネイル画像が表示される。
【0050】
例えば、「ポストカード」が選択されると、テンプレート選択処理部5は、「年賀状」、「暑中見舞い」、「クリスマスカード」、「婚礼挨拶」等のアイテムを選択する選択キーを表示し、任意の選択キーを選択すると、当該アイテムに属する複数の商品テンプレートを表示する。
【0051】
次に、年賀状が選択されると、テンプレート選択処理部5は、写真を貼り付ける枠と挨拶文を組み合わせた複数のテンプレート画像を表示し、テンプレート画像を目視した顧客31が好みのテンプレートを選択できるように構成されている。尚、テンプレート選択処理部5は、テンプレート画像の数が多く一画面に表示できない場合には、スクロール操作キーまたはページ更新キーを表示し、キー操作に従って順次テンプレート画像を更新表示する。
【0052】
各テンプレート画像の近傍に「選択」ボタンが表示され、当該「選択」ボタンをタッチすることにより写真プリント商品を選択することができる。
【0053】
図5には、液晶表示部14に表示される年賀状のテンプレート画像の一例が示されている。テンプレート90には、写真画像が貼り付けられる枠90aと、タイトル欄90bと、挨拶文が貼り付けられる枠90cが表示される。
【0054】
写真画像が貼り付けられる枠90aの位置、タイトル欄90bに印字される文言及び文字色等の表示形態、挨拶文が印字される枠90cの大きさや配置が異なる複数のテンプレート画像が表品番号とともに一画面に複数表示されるのである。
【0055】
タイトル欄90bに表示される文言として、図に示した「賀正」の他、「謹賀新年」、「迎春」「明けましておめでとうございます」等の複数のタイトル文を含むテンプレート画像が準備されている。
【0056】
このようなテンプレート画像は、写真プリント商品情報記憶部9に商品番号とリンクして格納されている。
【0057】
尚、本実施形態では、枠90cに印字される挨拶文は、予め設定された定型文が表示されているが、テンプレートが選択された後に、テンプレート選択処理部5によって、挨拶文選択画面が表示され、複数の挨拶文から好みの挨拶文を選択できるように構成されるものであってもよい。さらに、テンプレートが選択された後に、顧客が入力設定するものであってもよい。この場合、キーボードを介して入力するように構成してもよいし、画面にキーボードを表示して顧客が画面をタッチして操作入力するものであってもよい。
【0058】
表品番号で特定される幾つかの商品には、タイトル欄90b等の特定領域に表示される文言が視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷された商品が含まれている。
【0059】
例えば、メタルフィルム、ホログラムフィルム、レンズフィルム等の、照明光や観察者の視点の位置によって色や明るさが変化する光沢のあるフィルムがポストカード等の台紙に熱転写(箔押し)されて形成された特定領域(以下、「箔押し領域」と記す。)を含む商品がある。
【0060】
顧客は、画面に表示されたテンプレートを目視して、その構成や美観等を評価し、最も適切と判断したテンプレートを選択操作するのであるが、本発明による写真注文受付装置には、照明光や観察者の視点の位置によって色や明るさが変化する等の、箔押し等の特定色材で印刷された特定領域の固有の美観を評価できるように、テンプレート選択処理部5により表示された複数のテンプレートのうち、箔押し領域を含むテンプレート(以下、「箔押テンプレート」と記す。)が顧客により指示されると、指示されたテンプレートに対応して起動される模擬画像生成部6、及び、模擬画像表示処理部7を備えている。
【0061】
つまり、画面に表示された箔押テンプレート画像の表示領域を顧客がタッチすると、箔押し領域の美観を評価するための模擬画像が模擬画像生成部6によって生成され、模擬画像表示処理部7によって液晶表示部14の画面に模擬画像がポップアップ表示されるのである。
【0062】
ポップアップ表示された模擬画像の表示ウィンドウには、「戻る」ボタンが表示され、当該「戻る」ボタンがタッチされると、元の商品表示画面に戻る。
【0063】
以下、詳述する。模擬画像生成部6は、箔押し領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像を生成し、模擬画像表示処理部7は、模擬画像生成部6で生成され、入射角または視方向を規則的に変化させた複数の模擬画像を、液晶表示部14の画面に所定インタバルで切替表示する。
【0064】
つまり、模擬画像生成部6と模擬画像表示処理部7により、目的画像を貼付編集するためのテンプレートのサンプル画像を表示する本発明による表示装置が具現化されている。
【0065】
模擬画像生成部6は、顧客が選択したテンプレートに対応する模擬画像ファイルをハードディスクに区画された模擬画像記憶部9aから読み出して、模擬画像をCPUボード上のバッファメモリ(通常は、RAMが使用される)に展開する。模擬画像ファイルは通常JPEG等の圧縮アルゴリズムにより圧縮処理されているため、模擬画像生成部6によって伸張処理されるのである。模擬画像表示処理部7は、バッファメモリに展開された模擬画像を液晶表示部14の画面に出力する。
【0066】
箔押しは、金属膜の鏡面反射による強い反射光によって光り輝くメタルフィルムや、フィルムに施された回折格子による光の干渉現象によって虹色に輝くホログラムフィルムや、透明性の高いフィルムの表面と裏面の反射光が干渉して、見る角度に応じて色合い等が変わるレンズフィルム等の転写用フィルムが、タイトル欄90bの文字領域に熱転写されることにより実現される。
【0067】
尚、箔押しを、貼り付けられる写真画像の枠90a等に額縁状に形成する写真プリント商品も準備されている。
【0068】
当該箔押しは、図7(a)(b)に示すように、光の干渉現象や反射現象等により、箔押し領域への照明光の入射角、或いは、観察者の視方向(視点方向)の変化に応じて、当該観察者の目で認識される光の強度(図中、実線矢印)が変化し、或いは、色合いが変化して光り輝くような視認効果を生じさせるもので、高級感を演出するための装飾用の画材である。
【0069】
各テンプレートに対応する模擬画像ファイルはCDやDVD等の記録媒体に記憶され、当該記録媒体を購入した写真ラボ店に配布される。写真ラボ店では、配布された記録媒体からメディアドライブ12を介して予めハードディスクに区画された模擬画像記憶部9aに商品番号と関連付けられて記憶されている。
【0070】
各テンプレートに対応して、箔押し領域への照明光の入射角または観察者の視方向を異ならせたときに、観察者によって目視される箔押しの視認状態を、色の三属性つまり明度、彩度、色相の何れかを異ならせて模擬する複数の模擬画像ファイルが記憶されている。
【0071】
模擬画像生成部6が、模擬画像記憶部9aから商品番号に対応する複数の模擬画像ファイルを読み出して、バッファメモリに各模擬画像を展開すると、模擬画像表示処理部7は、バッファメモリに展開された複数の模擬画像から一つの模擬画像を液晶表示部14に表示し、所定時間が経過すると、バッファメモリに展開された複数の模擬画像から次の模擬画像を表示する処理を繰り返す。
【0072】
例えば、模擬画像生成部6により、箔押し領域への照明光の入射角を10°間隔で異ならせた9枚の模擬画像がバッファメモリに展開され、模擬画像表示処理部7により、1秒間隔で入射角が10°異なる画像を順次液晶表示部14に表示し、9枚目の画像が表示されると初期に戻って同じ動作を繰り返す。或いは、表示順序を逆にして順次切替表示する。
【0073】
その結果、図6に示すように、箔押し領域である「賀正」の文字領域が時間経過に伴って異なる表示態様で表示されるのである。
【0074】
図6では、基材に黄色のカラー層が形成され、その上部にアルミニウムが蒸着され、さらに保護層が形成された金箔様のメタルフィルムによる箔押しの模擬画像の例が示されている。
【0075】
初期に最上段の模擬画像が液晶表示部14に表示され、1秒間隔で順次下段に示した画像に切り替えられて表示される様子が示されている。画像の薄い領域は光に反射して白っぽい金属光沢部を示す領域で、濃い領域はクリアな黄色(金色として認識される)が視認される領域である。
【0076】
基材にグレーのカラー層が形成されていると、シルバー様のメタルフィルムによる箔押しの模擬画像が表示され、青色のカラー層が形成されていると、青系のメタルフィルムによる箔押しの模擬画像が表示される。
【0077】
メタルフィルム以外に、箔押し領域が干渉現象により虹色の帯状に変化し、或いは反射現象により箔押し領域内の微小領域毎に色や光沢が変化するホログラムフィルム、箔押し領域内の一定の形状に対応する明度等がレンズ効果によって規則正しく変化するレンズフィルム等に対応した箔押しテンプレートが準備される場合には、それらに対応した模擬画像ファイルを模擬画像記憶部9aに格納しておけばよい。
【0078】
尚、図6では、タイトル欄90bのみ表示しているが、テンプレート全体の模擬画像が表示されるように構成されている。
【0079】
模擬画像表示処理部7で模擬画像の表示を切り替えるインタバルは、1秒に限るものではなく、視認効果を考慮して適宜設定される値である。所定インタバルが一定インタバルに設定されていれば、箔押し領域の全領域にわたる光沢感等を均等に視認することができ、所定インタバルが連続的に変化するように設定されていれば、箔押し領域が光り輝く態様が変化する速度が異なる状態で視認することができるため、箔押し領域の光沢や色の変化等の美観を適切に評価することができるようになる。
【0080】
また、模擬画像ファイルは、箔押し領域への照明光の入射角を異ならせた場合のみならず、箔押し領域に対する観察者の視方向を異ならせたときに、観察者によって目視される箔押しの視認状態を、色の三属性つまり明度、彩度、色相の何れかを異ならせて模擬する複数の模擬画像ファイルで構成されるものであってもよい。
【0081】
入射角や視方向は箔押し領域に対する相対的な角度であり、箔押し領域の姿勢、例えば、入射方向に対する傾斜角度を変化させる場合の模擬画像ファイルであってもよい。
【0082】
以下に、上述の実施形態とは異なる第二の実施形態について説明する。
【0083】
本実施形態では、模擬画像記憶部9aに、箔押し領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて、色の三属性の何れかを異ならせた複数のテクスチャが記憶され、模擬画像生成部6が、模擬画像記憶部9aから対応するテクスチャを読み出して箔押し領域にマッピングすることにより模擬画像を生成するように構成されている。
【0084】
模擬画像生成部6は、商品情報に対応するタイトル欄90bに表示される文字の輪郭、例えば、「賀正」の文字の輪郭を、商品情報に含まれるキャラクタコードとフォントコードに基づいて生成し、次に、模擬画像記憶部9aから対応するテクスチャを読み出して、箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けることにより模擬画像を生成する。
【0085】
例えば、箔押し領域への照明光の入射角を10°間隔で異ならせた9枚のテクスチャが模擬画像記憶部9aに記憶されている場合、模擬画像生成部6は、先ず入射角10°のテクスチャを読み出して、箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けた第一の模擬画像を生成してバッファメモリに展開し、次に、入射角20°のテクスチャを読み出して、箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けた第二の模擬画像を生成して表示バッファに格納するといった処理を繰返すのである。
【0086】
テクスチャのサイズは任意であり、文字の輪郭より大きければ一部を切り取ってマッピングすればよく、文字の輪郭より小さければ同じテクスチャを繰返し隣接させてマッピングすればよい。
【0087】
模擬画像表示処理部7は、バッファメモリに格納された複数の模擬画像を1秒間隔で順次液晶表示部14に表示することにより、上述した実施形態と同様の効果が奏される。
【0088】
この場合、テンプレート固有の模擬画像ファイルを生成する必要が無く、箔押しの種類に応じたテクスチャ、つまり、箔押しの種類毎に照明光の入射角または観察者の視方向に応じて色の三属性の何れかを異ならせた複数のテクスチャを生成して模擬画像記憶部に格納しておけばよい。従って、模擬画像記憶部の記憶容量を低減させることができる。
【0089】
以下に、第三の実施形態について説明する。
本実施形態では、模擬画像生成部6は、フィルム種類に対応して、箔押し領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて変化する光の干渉現象または反射現象を模擬演算して、色の三属性の何れかを異ならせて模擬した複数の模擬画像を生成するように構成されている。
【0090】
箔押し領域が形成されるフィルム種類として、上述したように、箔押し領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて、ゴールド、シルバー等の金属色の光沢が反射現象により変化するメタルフィルム、箔押し領域が干渉現象により虹色の帯状に変化し、或いは反射現象により箔押し領域内の微小領域毎に色や光沢が変化するホログラムフィルム、箔押し領域内の一定の形状に対応する明度等がレンズ効果によって規則正しく変化するレンズフィルム等がある。
【0091】
模擬画像生成部6は、このような箔押し用のフィルム種類に応じて、発生する干渉現象や反射現象を所定の模擬演算式に基づいて演算して個別テクスチャを生成し、その個別テクスチャを箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けることにより模擬画像を生成するのである。
【0092】
具体的には、箔押し領域が転写形成されるフィルム種類に対応したテクスチャであって、基本色相、法線、反射特性の何れかを含むパラメータで定義された基本テクスチャを模擬画像記憶部9aに記憶しておき、模擬画像生成部6が模擬画像記憶部9aから、商品番号に対応する基本テクスチャ及びパラメータを読み出し、当該パラメータに基づいて、光の干渉現象または反射現象を模擬演算して生成した個別テクスチャを、箔押し領域にマッピングするのである。
【0093】
メタルフィルムでは無模様の一定形状が基本テクスチャとして定義され、その一定形状の基本色相、法線、反射特性等のパラメータが定義される。カラー層が黄色で、アルミ蒸着層がフラットなメタルフィルムであれば、基本色相が黄色、法線が90°と定義される。反射特性とは、鏡面反射や拡散反射等の反射特性及び反射率を示す情報である。
【0094】
形状が異なるモザイク様の小片の集合がフィルムの内層に分散配置されたホログラムフィルムでは、各小片の形状と配列が基本テクスチャとして定義され、各小片の基本色相、法線、反射特性等のパラメータが定義される。
【0095】
一定の凹溝が所定ピッチで平行に配置された回折格子がフィルムの内層に配置されたホログラムフィルムでは、無模様の一定形状が基本テクスチャとして定義され、カラー層の色を示す基本色相、一様な回折格子のピッチと配列方向等のパラメータが定義される。
【0096】
模擬画像生成部6は、先ず、商品情報に対応するタイトル欄90bに表示される文字の輪郭、例えば、「賀正」の文字の輪郭を、商品情報に含まれるキャラクタコードとフォントコードに基づいて生成する。予め写真プリント商品情報記憶部に記憶されているテンプレートの画像に含まれるタイトル欄90bの文字の輪郭を切り出すことにより文字の輪郭を生成してもよい。
【0097】
次に、模擬画像記憶部9aから対応する基本テクスチャ及びパラメータを読み出して、箔押し領域への照明光の入射角に応じて変化する光の干渉現象または反射現象を模擬演算することにより、基本テクスチャの色の三属性の何れかを異ならせた個別テクスチャを生成し、生成した個別テクスチャを箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けることにより複数の模擬画像を生成する。
【0098】
例えば、形状が異なるモザイク様の小片の集合がフィルムの内層に分散配置されたホログラムフィルムに対して、照明光の入射角を10°刻みで変化させたときの反射現象をそれぞれ模擬演算して、基本テクスチャで示されるモザイク様の小片の色の三属性の何れかを変化させた個別テクスチャを生成し、生成した個別テクスチャを箔押し領域となる文字の輪郭内に貼り付けることにより、照明光の入射角を10°刻みで変化させたときのそれぞれの箔押し領域の模擬画像をバッファメモリに展開する。
【0099】
箔押し領域への照明光の入射角に替えて、照明光の入射角を一定にして箔押し領域に対する観察者の視方向を変化させたときの反射現象等を模擬演算してもよい。
【0100】
模擬画像表示処理部7による表示処理は上述した第一または第二の実施形態と同様である。
【0101】
事前に全ての模擬画像を生成するのではなく、模擬画像表示処理部7による表示の切替の都度、模擬画像生成部6が次の表示のための模擬画像を生成してバッファメモリに記憶するように構成してもよい。
【0102】
以下に、模擬演算の幾つかを例示する。例えば、図8(a)に示すように、箔押し領域に転写形成されるフィルム種類がメタルフィルムの場合、入射光はメタルフィルムを構成する金属膜を透過することなく、表面で入射角と同じ角度の正反射方向に反射するだけでなく、その周りにも反射する鏡面反射が生じる。
【0103】
Phongの鏡面反射モデルによれば、箔押し領域の平面をxy平面、箔押し領域の法線方向をz軸とした3次元座標系において、入射光の強度をIi、入射光と法線とのなす角で示される入射角をα、入射角αの関数で示される物体の鏡面反射係数(強さ1の入射光に対する鏡面反射光の強さ)をW(α)、入射光の正反射方向と視点方向とのなす角をγ、値が大きくなるほど拡散反射の程度が小さく正反射方向に大きく反射することを示す反射係数をnとした場合に、鏡面反射光の強さIは、以下の式で示すことができる。
〔数1〕
I = Ii × W(α) × cosγ
【0104】
メタルフィルムに対応するパラメータとして、反射係数nと、所定の入射角αに対応する鏡面反射係数W(α)と、所定の入射光の強度Iiと、金色あるいは銀色等の金属膜の基本色相を示すパラメータが規定され、正反射方向と視点方向との角度γを適宜設定し、〔数1〕に基づいて、入射角αを変化させたときの鏡面反射光の強さIを算出する。
【0105】
模擬画像生成部6は、各入射角αに対応して〔数1〕に基づいて視方向に対応したフィルム表面の強度分布を求め、基本色相を強度分布に対応する明度となるようにフィルム表面の画素値を算出することにより、基本テクスチャを変化させた複数の個別テクスチャを生成することができる。
【0106】
形状が異なるモザイク様の小片の集合がフィルムの内層に分散配置されたホログラムフィルムでは、各小片の基本色相、法線、反射特性等のパラメータに基づいて、小片毎に上述の模擬演算を実行することにより、基本テクスチャを変化させた複数の個別テクスチャを生成することができる。
【0107】
例えば太陽光、蛍光灯、タングステン灯等、光源の波長に特性がある場合には、波長毎に反射光強度を求めることにより、光源の特性を反映した個別テクスチャを生成することができる。
【0108】
また、図8(b)に示すように、一定の凹溝が所定ピッチで平行に配置された回折格子がフィルムの内層に配置されたホログラムフィルムの場合は、パラメータとして設定された回折格子の間隔d、回折次数mに基づいて、入射角に対して波長毎に異なる反射角βで回折する光のフィルム表面上の位置の画素値を波長に対応した色相に設定することにより、虹色の縞模様となる個別テクスチャを生成することができる。
【0109】
干渉現象が生じる条件式として、反射光と法線とのなす角で示される反射角をβ、光の波長をλ、回折次数をmとした以下の式を模擬演算式として用いることができる。
〔数2〕
d × sinβ = m×λ
【0110】
光の干渉現象や反射現象を規定する理論式は、上述したもの以外にも存在し、何れの理論式を用いてもよく、光の干渉現象または反射現象を模擬演算して生成した個別テクスチャを箔押し領域にマッピングすることにより、模擬画像を生成することができる。
【0111】
模擬画像表示処理部により表示される模擬画像の切替インタバルが、顧客により変更設定できるように、画面に切替用の操作ボタンを表示してもよい。
【0112】
図9に示すように、例えば、「速く」「遅く」等の選択ボタンを表示し、「速く」が選択されると切替インタバルを1秒から0.1秒に切り替え、「遅く」が選択されると切替インタバルを1秒から2秒に切り替えるように構成することができる。
【0113】
このような表示インタバル切り替え機能を備えることにより、顧客が箔押し領域の視認効果をより適正に評価できるようになる。
【0114】
図9に示すように、液晶表示部14に表示される模擬画像に、箔押し領域の視認効果の特徴を示す擬態語(例えば、「キラキラ」)やセールスメッセージを表示することにより、商品選択の動機付けを行うことが可能となる。
【0115】
このような擬態語やセールスメッセージは、模擬画像記憶部9aに商品番号とリンクして格納しておき、模擬画像表示処理部7により模擬画像記憶部9aから読み出され、表示されるように構成すればよい。そして、このような表示を点滅させることにより、演出効果を上げることもできる。
【0116】
このようにして、箔押しの模擬画像が表示され、その表示態様に基づいて顧客により所望のテンプレートが選択操作され、目的画像が選択されると、注文処理部2によってプリント注文情報及び目的画像の画像データから構成される写真プリント注文ファイルが生成される。
【0117】
上述した実施形態では、「ポストカード」を例に箔押しの模擬画像が表示される場合を説明したが、本発明による表示装置は、「アルバムプリント」や「コラージュプリント」のタイトルに箔押しが設定される場合等、任意の箔押し商品に対して模擬画像を生成し表示する場合に適用できることはいうまでもない。
【0118】
上述した実施形態では、特定領域に印刷される特定色材に、視方向に応じて光沢が変化するホログラムフィルム等を用いる場合を説明したが、これに限らず、特定色材として、金色や銀色等のメタリック顔料を添加したインク、赤、青等のメタリックインク等を用いるものであってもよい。この場合、特定領域では、例えば、図8(a)に示すように、鏡面反射による反射現象が生じる場合を想定して模擬画像を生成し表示することができる。
【0119】
以上、本発明による表示装置及び写真注文受付装置が、写真ラボ店に設置された写真注文受付装置として構成される場合を説明したが、本発明による表示装置及び写真注文受付装置は、インターネットを介して顧客端末と注文受付サーバとを接続するネットワーク形態の写真注文システムに適用することも可能である。
【0120】
この場合、上述の表示装置を構成する模擬画像生成部6と模擬画像表示処理部7を注文受付サーバ上に構築し、模擬画像が顧客端末のディスプレイに表示されるように構成すればよい。
【0121】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1:注文受付端末(表示装置、写真注文受付装置)
2:注文情報生成部
3:画像入力部
4:画像選択処理部
5:テンプレート選択処理部
6:模擬画像生成部
7:模擬画像表示処理部
8: 画像記憶部
9:模擬画像記憶部
31:顧客

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的画像を貼付編集するためのテンプレートのサンプル画像を表示する表示装置であって、
前記テンプレートに含まれる、視方向に応じて光沢が変化する特定色材で印刷される特定領域に対して、その視認効果を確認するための模擬画像を生成する模擬画像生成部と、前記模擬画像生成部により生成された模擬画像を画面に表示する模擬画像表示処理部を備え、
前記模擬画像生成部は、色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像を生成し、
前記模擬画像表示処理部は、前記模擬画像生成部で生成された複数の模擬画像を所定インタバルで切替表示するように構成されている表示装置。
【請求項2】
色の三属性の何れかを異ならせた複数の模擬画像ファイルが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から模擬画像ファイルを読み出して模擬画像を生成する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
色の三属性の何れかを異ならせた複数のテクスチャが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から対応するテクスチャを読み出して特定領域にマッピングする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記模擬画像生成部は、特定色材の種類に対応して、特定領域への照明光の入射角または観察者の視方向に応じて変化する光の干渉現象または反射現象を模擬演算して、色の三属性の何れかを異ならせて模擬した複数の模擬画像を生成する請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
特定色材の種類に対応したテクスチャであって、基本色相、法線、反射特性の何れかを含むパラメータで定義された基本テクスチャが記憶された模擬画像記憶部を備え、前記模擬画像生成部は前記模擬画像記憶部から対応する基本テクスチャのパラメータに基づいて、光の干渉現象または反射現象を模擬演算して生成した個別テクスチャを特定領域にマッピングする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の表示装置が組み込まれ、
写真画像を入力する画像入力部と、
画像入力部を介して入力された写真画像を画面に表示して、指定操作された写真画像を目的画像として選択する画像選択処理部と、
複数のテンプレートを前記画面に表示して、指定操作されたテンプレートを選択するテンプレート選択処理部と、
選択された目的画像とテンプレートを含む注文情報を生成する注文情報生成部とを備え、
前記テンプレート選択処理部により表示された複数のテンプレートの何れかが指示されると、指示されたテンプレートに対応して、前記模擬画像生成部及び前記模擬画像表示処理部が起動するように構成されている写真注文受付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−186344(P2010−186344A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30385(P2009−30385)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】