表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、制御プログラム、及び記録媒体
【課題】距離測定用の光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させる。
【解決手段】表示装置1は、光信号を放射する発光部6と、発光部6が放射した光信号が3Dメガネ50の反射膜55で反射した反射光を受光する受光部5と、発光部6を制御して、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御部11と、受光部5が受光した反射光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出部12と、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出部12による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出部14と、距離と画像の表示設定とが対応付けられた映像調整情報20を参照して、距離算出部14が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する3D画像表示処理部10とを備えている。
【解決手段】表示装置1は、光信号を放射する発光部6と、発光部6が放射した光信号が3Dメガネ50の反射膜55で反射した反射光を受光する受光部5と、発光部6を制御して、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御部11と、受光部5が受光した反射光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出部12と、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出部12による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出部14と、距離と画像の表示設定とが対応付けられた映像調整情報20を参照して、距離算出部14が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する3D画像表示処理部10とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視用のメガネの左右のシャッターの開閉と、右目用画像と左目用画像との切り替えとを同期させることによって立体視を可能にする表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を三次元(3D)で視聴することのできる表示装置が注目を集めている。立体視を可能にする方式としては、様々なものが知られているが、一般家庭向けのテレビなどでは、液晶シャッターを備えた立体視用メガネ(3Dメガネ)を用いる方式(フレーム・シーケンシャル方式)が採用されることが多い。
【0003】
この方式では、表示装置は、左右異なる角度から撮影した映像(左目用映像と右目用映像)を交互に表示すると共に、3Dメガネの液晶シャッターの開閉を、上記映像の交互表示と同期させるための信号を発信する。これにより、右目用の映像は右目に、左目用の映像は左目のみに見せることができ、3Dメガネを着用したユーザは立体感が得られることになる。
【0004】
このような方式の表示装置において、より快適に3D画像を視聴させるための技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、上記の3Dメガネを用いることによって、3D映像を視聴できる映像表示装置において、ユーザが3Dメガネを着用しているか否かを検出し、着用していれば3D映像を表示し、着用していなければ二次元(2D)映像を表示する技術が開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1では、映像表示装置が発する3Dメガネの液晶シャッター同期用の信号が、3Dメガネに設けた反射体で反射した反射光を、映像表示装置に設けたフォトダイオードで検出する構成としている。そして、フォトダイオードが反射光を検出した場合には、ユーザが3Dメガネを着用していると判断して3D表示を行い、反射光が検出されない場合には、ユーザが3Dメガネを着用していないと判断して3D表示から2D表示に切り替えている。これにより、3Dメガネを着用していないときに、3D表示が行われる煩わしさを解消することができる。
【0006】
また、下記の特許文献2には、立体視用メガネを用いず、裸眼で立体視が可能な表示装置において、赤外線距離センサを用いて表示装置からユーザまでの距離を測定し、測定した距離に応じて、立体画像を表示するために用いられる2つの画像伝達パネル間の角度を調整する技術が開示されている。この技術によれば、ユーザが表示装置に近付いたり、表示装置から遠ざかったりした場合であっても、画像伝達パネルからの光をユーザの両目に正しく入射させることができ、十分な立体感を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−004453号公報(2000年1月7日公開)
【特許文献2】特開2006−201517号公報(2006年8月3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、立体視を行う場合には、適正な位置から視聴しなければ、不快感を覚えたり、視覚疲労を生じたりすること(いわゆる3D酔い)があることが知られているが、上述の従来技術では、立体視によるこのような健康への影響が考慮されていない。
【0009】
すなわち、3D画像の視聴には適正な距離があるので、表示装置の間近で視聴した場合には、健康に影響が出る可能性があるが、特許文献1の技術では、ユーザが3Dメガネを着用してさえいれば、表示装置の間近で視聴していたとしても、3D表示が行われてしまうので、このような健康への影響を防止することができない。
【0010】
そこで、例えば特許文献2の技術を応用して、表示装置に赤外線距離センサを設け、このセンサによってユーザまでの距離を測定し、測定した距離から、ユーザが表示装置に近付き過ぎていると判断される場合には、3D表示を行わないようにすることが考えられる。
【0011】
しかしながら、表示装置に赤外線距離センサを設けた場合、表示装置の部品点数が増加して、構成が複雑化し、製造コストも増大してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、立体視を可能にする表示装置において、距離測定用の光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させる表示装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の表示装置は、表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置であって、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の表示装置の制御方法は、上記課題を解決するために、表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置の制御方法であって、上記表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部とを備え、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含むことを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を発光部から放射させ、この光信号の戻り光を受光部で受光して、該戻り光から距離算出用信号を検出する。そして、検出した距離算出用信号に基づき、ユーザまでの距離を算出し、算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する。
【0016】
ここで、発光部から放射される光信号には、シャッター同期信号が含まれているので、これを受光した立体視用のメガネでは、表示する画像の切り替えタイミングと同期させて、シャッターを開閉させることができる。
【0017】
すなわち、上記の構成によれば、距離測定のための光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させることができる。
【0018】
なお、上記戻り光としては、例えば上記メガネまたはユーザで反射した反射光や、上記メガネまたはユーザで散乱した散乱光が挙げられる。また、画像の立体表示に関する表示設定とは、ユーザから表示装置までの距離に応じて変更することが望ましい表示設定である。例えば、ユーザから表示装置までの距離が近すぎる場合には、立体強調度を下げることが望ましいため、上記表示設定として立体強調度を適用することもできる。なお、立体強調度の調整には、立体強調度を0にする(二次元画像として認識される画像に切り替える)ことも含まれる。
【0019】
また、上記距離算出手段は、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出手段による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出することが好ましい。
【0020】
光信号の伝達速度は、光速に等しいため、上記構成のように、距離算出用信号の送信から検出までの時間に基づいて、表示装置からユーザまでの距離を算出することができる。具体的には、表示装置からメガネまたはユーザまでの距離Lは、2L=ct(c:光速、t:距離算出信号の送信から受信までの時間)の式で算出することができる。
【0021】
また、上記発光制御手段は、上記距離算出用信号を含む光信号を放射させ、該距離算出用信号を上記距離算出用信号検出手段が検出した後に、上記距離算出用信号を含む光信号を再び放射させることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0023】
また、上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の一定周期ごとに上記距離算出用信号が含まれる光信号を放射させることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、一定周期ごとに距離算出用信号が検出されるので、一定周期ごとにユーザまでの距離を算出して、それに応じた表示設定とすることができる。これにより、ユーザが移動した場合であっても、移動先から表示装置までの距離に応じた適切な画像を表示させることが可能になる。
【0025】
また、上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を上記距離算出用信号検出手段が上記距離算出用信号として検出可能とした光信号を放射させることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を距離算出用信号として検出可能な光信号を放射させる。
【0027】
つまり、信号波形を変形させた変形部分は、変形されているがゆえに、検出することが可能である。このため、距離算出用信号検出手段は、受光部が受光した戻り光における上記変形部分を距離算出用信号として検出することができる。
【0028】
また、シャッター同期信号の信号波形は、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形されている。つまり、シャッター同期信号の変形された信号波形は、その波形の一部の形状がシャッター同期に用いられているので、変形されていない波形部分と同様にシャッターを同期させることができる。
【0029】
したがって、上記の構成によれば、立体視用のメガネにおけるシャッター開閉動作に影響を与えることなく、シャッター同期信号に距離算出信号を含めることができる。
【0030】
また、上記対応情報は、予め定めた下限値以下の距離、及び予め定めた上限値以上の距離の少なくとも何れかに、二次元画像を表示する表示設定が対応付けられたものであることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、ユーザから表示装置までの距離が、予め定めた下限値以下である場合、及び予め定めた上限値以上である場合の少なくともいずれかの場合に、二次元画像が表示される。なお、ここで、二次元画像とは、ユーザが二次元の画像と認識する画像であり、立体視されない画像である。
【0032】
したがって、立体視が可能な限界距離を上記上限値とし、不快感等を覚えずに視聴可能な限界距離を上記下限値とすることにより、立体視が不可能なほど離れているにもかかわらず三次元表示が行われる無駄を防ぐことができ、ユーザに立体視による不快感等を与えることを防ぐことができる。
【0033】
また、上記表示装置は、上記発光部が発する光信号の一部を遮ることにより、上記発光部が発する光信号が放射される領域内に該光信号の届かない非照射領域を生じさせる遮光部と、上記遮光部を移動させる駆動部と、上記駆動部が上記遮光部を移動させている間に、上記受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置に基づいて、上記ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方向特定手段とを備え、上記表示画像調整手段は、上記方向特定手段が特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替えることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、遮光部を移動させることによって、非照射領域を移動させる。ここで、非照射領域にユーザが入ったときには、ユーザまたは立体視用のメガネからの戻り光が、受光部に受光されなくなる。
【0035】
つまり、受光部が受光した光信号の光量が減少したときには、非照射領域内にユーザが居ると考えられる。そして、非照射領域は、光源である発光部と遮光部とを結ぶ直線上に生じるので、受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置から、ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定することができる。
【0036】
そして、上記の構成によれば、このようにして特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替える。したがって、上記の範囲を、視聴が健康に悪影響を与えない範囲とすることによって、立体視による健康被害を防ぐことができる。
【0037】
また、上記表示装置と、上記立体視用のメガネとを含む表示システムであれば、上記表示装置と同様の効果を奏する。
【0038】
ここで、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を放射する場合、立体視用のメガネにおいては、距離算出用信号がシャッター同期信号の検出の妨げとなることも考えられる。例えば、距離算出用信号をシャッター同期用信号と誤検出してしまった場合には、正常なタイミングでシャッターの開閉が行われなくなる可能性がある。
【0039】
そこで、本発明のメガネは、上記表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、上記光信号から上記距離算出用信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを備え、上記周波数フィルタを通過した上記光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させることを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、周波数フィルタを通過することによって距離算出用信号の周波数成分が除去された光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させるので、距離算出用信号をシャッター同期用信号と誤検出することを防ぎ、正常なタイミングでシャッターの開閉を行うことができる。
【0041】
また、上記メガネは、上記シャッター同期信号と上記距離算出用信号との信号強度の相違に基づき、上記光信号から上記シャッター同期信号を識別して検出するものであってもよい。
【0042】
上記の構成によれば、距離算出用信号をシャッター同期用信号の信号強度が異なっている場合に、距離算出用信号とシャッター同期用信号とを識別して検出することができ、正常なタイミングでシャッターの開閉を行うことができる。
【0043】
なお、信号強度の相違に基づいて検出する方法としては、例えば、距離算出用信号が検出されず、シャッター同期用信号が検出されるような閾値で光信号を二値化する(強度フィルタを用いる)方法が考えられる。また、距離算出用信号の信号強度がシャッター同期用信号よりも弱い場合には、距離算出用信号の信号強度より大きい信号強度を検出の下限値とすることによって、シャッター同期用信号を検出してもよい。
【0044】
なお、上記表示装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記表示装置の各手段として動作させることにより、上記表示装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明の表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えている構成である。
【0046】
また、本発明の表示装置の制御方法は、以上のように、発光部を制御して、シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置からユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含む構成である。
【0047】
したがって、距離測定のための光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示す図であり、表示システムを構成する表示装置及び3Dメガネの要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記表示システムの概要を示す図である。
【図3】ユーザが表示装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を説明する図である。
【図4】従来のシャッター同期信号の一例を示し、同図(a)はピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立下りを左目画像用のシャッター同期信号とした例を示し、同図(b)はピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号とした例を示している。
【図5】発光制御部が発光部に発信させる信号の一例を示す図であり、同図(a)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分を距離算出用信号とした例を示し、同図(b)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分及び立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示し、同図(c)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。
【図6】上記表示装置が格納する映像調整情報の一例を示す図である。
【図7】視距離と視差角の対応関係を示す図である。
【図8】表示装置までの距離から反射膜の好ましい角度を求める方法を示す図である。
【図9】上記3Dメガネにおける反射膜の配置例を示す図である。
【図10】上記表示装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】上記表示装置が実行する角度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11に基づいて詳細に説明する。
【0050】
〔システムの概要〕
まず、本実施形態の表示システムの概要を図2に基づいて説明する。図2は、表示システム100の概要を示す図である。図示のように、表示システム100には、表示装置1と3Dメガネ(立体視用のメガネ)50とが含まれている。
【0051】
表示装置1は、3D画像を表示することのできる表示装置である。3D画像を表示する方式には様々なものが知られているが、ここでは、フレーム・シーケンシャル方式で3D画像を表示することを想定している。
【0052】
このため、表示装置1は、左右異なる角度から撮影した映像を交互に表示すると共に、3Dメガネ50のシャッターの開閉を、上記映像の交互表示と同期させるためのシャッター同期用信号を発光部6から発信する。そして、3Dメガネ50は、シャッター同期用信号を受信する受光部54を備えており、受光部54で受信したシャッター同期信号に従ってシャッターの開閉を制御する。
【0053】
また、発光部6が発する信号には、表示装置1から表示装置1の画面を見ているユーザまでの距離を算出するための距離算出用信号が含まれている。
【0054】
表示システム100では、発光部6が発する信号に含まれる距離算出用信号が、3Dメガネ50の反射膜55で反射した反射光を、表示装置1が受光部5で受光する。そして、表示装置1は、距離算出用信号の送信から受信までの時間から、発光部6から反射膜55までの距離、すなわち表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離を算出する。さらに、表示装置1は、表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離に応じた、ユーザに3D酔い等の健康被害が発生しないような画像を表示する。
【0055】
これにより、ユーザが表示装置1に近付きすぎていた場合であっても、ユーザに健康被害を与えることを防ぐことができる。また、3D画像をユーザに見せるために必要なシャッター同期信号と同じ発光部6から距離算出用信号を発信しているので、距離測定のための光源を設ける必要がない。なお、受光部5で受光する光は、発光部6が発する信号がメガネ50またはそのユーザで反射または散乱した戻り光であればよく、反射膜55からの反射光に限られないが、以下では、受光部5が反射膜55からの反射光を受光する場合について説明する。
【0056】
〔ユーザ位置の特定〕
表示装置1が表示する画像は、基本的に表示装置の正面から見られることを想定したものであり、表示装置1の表示面に対して斜め方向から視聴することは好ましくない。
【0057】
そこで、表示装置1は、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定し、ユーザが表示装置1の正面から大きく外れた方向に位置している場合には、3D表示を2D表示に切り替える。
【0058】
ここでは、表示装置1が、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を図3に基づいて説明する。図3は、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を説明する図である。
【0059】
同図では、発光部6が発する信号の放射される範囲を範囲Aとして示している。範囲Aに入った3Dメガネ50は、受光部54で受光したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させる。また、範囲Aに3Dメガネ50が入ったときには、3Dメガネ50の反射膜55で反射した光が、表示装置1の受光部5で受光される。
【0060】
ここで、範囲Aの中には、範囲Bが含まれている。範囲Bは、発光部6が発する信号が含まれない範囲である。これは、発光部6の表面に遮光部を設けることによって生じる影の範囲である。つまり、発光部6の発する光が遮光部で遮られることによって、発光部6の光源と遮光部とを結ぶ直線上に、発光部6が発する信号が含まれない範囲Bが生じる。
【0061】
この範囲Bは、遮光部を移動させることによって、範囲Aの中で移動させることができる。そして、3Dメガネ50が範囲Bに入ったときには、発光部6が発する信号の、3Dメガネ50の反射膜55からの反射がなくなるので、受光部5が受光する光量が減少する。
【0062】
したがって、受光部5が受光する光量が減少したときの範囲Bの方向に3Dメガネ50、つまり表示装置1を視聴しているユーザが存在すると判断することができる。そして、ユーザが存在する方向と、表示装置1の正面方向とがなす角度θを求めることができる。これにより、角度θが閾値より大きい場合に、3D表示を2D表示に切り替えることも可能になる。
【0063】
〔表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成〕
続いて、表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成を図1に基づいて説明する。図1は、表示システム100を構成する表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成を示すブロック図である。図示のように、表示装置1は、制御部2、記憶部3、表示部4、受光部5、発光部6、遮光部8、及び駆動部7を備えている。
【0064】
制御部2は、表示装置1の動作を統括して制御するものであり、記憶部3は、制御部2が使用するデータ等を格納するものである。また、表示部4は画像を表示するものである。
【0065】
受光部5は、上述の距離算出用信号を受光するためのものである。受光部5は、距離算出用信号を受光できるものであればよく、例えばフォトダイオードなどで構成することもできる。なお、距離算出用信号は、その信号単体で受光されるのではなく、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号として受光される。
【0066】
受光部5は、この信号を受光可能な位置に設けられていればよく、配置及び形状は特に限定されない。例えば、発光部6の近傍に配置してもよいし、発光部6から離れた位置に配置してもよい。また、受光部5は、複数設けてもよく、複数の受光部5を表示画面に沿って配列させてもよいし、表示画面を囲むように設けてもよい。
【0067】
発光部6は、上述のシャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号を発する。発光部6は、3Dメガネ50で反射もしくは散乱する光信号を発信可能なものであればよく、例えば赤外光を発するLEDを発光部6として適用することもできる。なお、この信号を3Dメガネ50で受信しなければ、ユーザは立体視を行うことができないので、発光部6は、表示装置1の周囲のユーザが存在すると考えられる範囲に上記信号を放射することが好ましい。
【0068】
遮光部8は、発光部6が発する信号を部分的に遮断するものであり、駆動部7は遮光部8を発光部6上で移動させる。これらの構成により、発光部6が発する光が照射される領域に、遮光部8による影を作ることができ、この影をこの領域内で移動させることができる。
【0069】
また、制御部2には、3D画像表示処理部(表示画像調整手段)10、発光制御部(発光制御手段)11、距離算出用信号検出部(距離算出用信号検出手段)12、駆動制御部(駆動制御手段)13、距離算出部(距離算出手段)14、及び角度算出部(方向特定手段)15が含まれており、記憶部3には、映像調整情報(対応情報)20が含まれている。
【0070】
3D画像表示処理部10は、3D画像を表示させるための処理を行う。具体的には、3D画像表示処理部10は、左目用画像と、右目用画像とを一定の周期で交互に表示部4に表示させると共に、発光制御部11に指示して、これらの画像の切り替えの周期で3Dメガネ50のシャッターが開閉するようなシャッター同期信号を発生させる。
【0071】
また、3D画像表示処理部10は、3D画像の立体強調度を調整する。立体強調度とは、画像が飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見える程度を示すものであり、立体強調度を大きくすることにより、画像がより飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見えることになる。さらに、3D画像表示処理部10は、立体強調度を0にする(2D表示に切り替える)こともできる。
【0072】
なお、立体強調度は、左目用画像と、右目用画像のずれ量に対応し、ずれ量が大きいと立体強調度が大きく、ずれ量が小さいと立体強調度が小さく、ずれ量がない場合は、立体強調度が0(2D表示)になる。つまり、3D画像表示処理部10は、左目用画像と、右目用画像のずれ量を調整することによって、立体強調度を調整する。
【0073】
発光制御部11は、発光部6の発光を制御することによって、シャッター同期信号を発生させる。また、発光制御部11は、発光部6の発光を制御することによって、距離算出用信号を含むシャッター同期信号を発生させる。なお、発光制御部11が発光部6に発信させる信号の詳細については後述する。
【0074】
距離算出用信号検出部12は、受光部5が受光した信号から、距離算出用信号を検出する。受光部5が受光した信号には、シャッター同期信号と距離算出用信号とが含まれているので、距離算出用信号検出部12は、この信号から距離算出用信号を識別して検出する。詳細は後述するが、シャッター同期信号と距離算出用信号は、波形及び周波数が異なっているので、これらの差異に基づいて距離算出用信号を識別して検出する。例えば、シャッター同期信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを用いることによって、距離算出用信号を識別して検出してもよい。また、強度フィルタ(二値化)を用いることによって、距離算出用信号を識別して検出してもよい。なお、二値化の閾値は、距離算出信号及びシャッター同期信号の何れか一方が検出され、他方が検出されないような値とすればよい。
【0075】
駆動制御部13は、駆動部7を制御して遮光部8を移動させることによって、発光部6が発信する信号が放射されない領域(遮光部8によって生じる影の領域)を移動させる。
【0076】
距離算出部14は、距離算出信号に基づいて、表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離を算出する。具体的には、距離算出部14は、表示装置1から3Dメガネ50までの距離Lを、2L=ct(c:光速、t:距離算出信号の送信から受信までの時間)の式で算出する。
【0077】
ここで、現在リビング用に販売されているテレビは、20型以上がほとんどである。このサイズのテレビの視聴適正距離は1m程度であり、少なくともこの適正距離の半分以上離れての視聴が好ましいことが知られている。そして、表示装置1から50cm離れた位置に3Dメガネ50があった場合、距離算出信号の送信から受信までの時間tは、t=2×0.5/(3×108)=3.3nsとなる。
【0078】
したがって、距離算出信号の送信から受信までの、少なくとも3.3nsの時間差を検出できるように、受光部5、距離算出用信号検出部12、距離算出部14を構成すればよいことになる。なお、ディスプレイのサイズが大きければ、適正な距離の下限も長くなるため、時間分解能は、長くてよいことになる。
【0079】
また、発光制御部11は、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐため、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とするのが好ましい。例えば、上記の場合、3.3ns以上の間隔を空けて、距離算出用信号を送信すればよい。
【0080】
角度算出部15は、3Dメガネ50を着用したユーザが、表示装置1の正面方向に対してどの程度傾いた位置にいるかを検出する。具体的には、角度算出部15は、表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度を特定する。
【0081】
映像調整情報20は、3D画像表示処理部10が、距離算出部14が算出した距離に応じた表示を行うために用いる情報であり、距離毎に表示設定が対応付けられた情報である。これにより、距離算出部14が算出した距離に応じた表示設定を特定し、その表示設定に従った表示を行うことができる。
【0082】
続いて、3Dメガネ50の要部構成について説明する。3Dメガネ50は、シャッター51、偏光板52、映像分離制御部53、受光部54、及び反射膜55を備えている。
【0083】
シャッター51は、ユーザの目に届く光を遮る閉状態と光を遮らない開状態とを、映像分離制御部53の制御に従って切り替えるものである。なお、図1では簡単のため、シャッター51を1つ示しているが、シャッター51は、右目用と左目用の2つ設けられる。偏光板52も同様である。シャッター51としては、例えば液晶によって偏光方向を切り替え、偏光板52で透過(開状態)または遮光(閉状態)とする液晶シャッターを用いることもできる。
【0084】
偏光板52は、シャッター51を通過した光のうち、一定の偏光方向の光のみをユーザの目に到達させる。
【0085】
映像分離制御部53は、受光部54で受信したシャッター同期信号に従って、シャッター51の開閉を制御する。具体的には、映像分離制御部53は、受光部54で受信したシャッター同期信号から、右目画像用のシャッター同期信号を検出したときに、右目のシャッター51を開状態とし、左目のシャッター51を閉状態とする。また、左目画像用のシャッター同期信号を検出したときに、左目のシャッター51を開状態とし、右目のシャッター51を閉状態とする。
【0086】
受光部54は、シャッター同期信号を受光するためのものである。受光部54は、フォトダイオード等で構成することもできる。
【0087】
3Dメガネ50では、受光部54で受信したシャッター同期信号に従って、映像分離制御部53がシャッター51の開閉を制御することにより、表示装置1の表示部4が発する光のうち、所定の光のみがシャッター51及び偏光板52を通過してユーザの目に届き、立体画像として認識される。
【0088】
反射膜55は、距離算出用信号を表示装置1に反射させるためのものである。このため、反射膜55は、距離算出用信号を反射する材料で構成する必要がある。また、反射膜55は、反射光が表示装置1に向かうような形状・配置で設けられることが好ましい。反射膜55の形状・配置については後述する。
【0089】
なお、ここでは、3Dメガネ50に反射膜55を設ける例を説明するが、表示装置1は、ユーザまたは3Dメガネ50から、何らかの戻り光を検出できればよいので、ユーザが反射膜55に相当する反射材を身に着けていても、ユーザまでの距離を算出することができる。また、反射膜55がない場合でも、シャッター51などからの戻り光を検出できれば、ユーザまでの距離を算出することができる。よって、反射膜55を有さない3Dメガネ50を適用することもできる。ただし、反射膜55を設けることにより、戻り光が検出しやすくなり、3Dメガネ50は、3D画像を見るために必然的に身に着けるものであるから、3Dメガネ50に反射膜55を設けることが望ましい。
【0090】
〔発光部6に発信させる信号について〕
ここで、発光制御部11が発光部6に発信させる信号について、図4及び図5に基づいて説明する。ここでは、対比のため、図4に基づいて従来のシャッター同期信号について説明し、続いて図5に基づいて発光制御部11が発光部6に発信させる信号について説明する。
【0091】
図4は、従来のシャッター同期信号の一例を示し、同図(a)はピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立下りを左目画像用のシャッター同期信号とした例を示し、同図(b)はピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号とした例を示している。
【0092】
図示のように、シャッター同期信号は、一定の周期で強度が増減するパルス信号である。同図(a)のシャッター同期信号の場合、最大強度と最小強度の中間付近を基準として、信号強度が増大したときに右目のシャッターを開放して左目のシャッターを閉じ、信号強度が減少したときに左目のシャッターを開放して右目のシャッターを閉じることにより、一定の周期で左右のシャッターを開閉することができる。
【0093】
また、同図(b)のシャッター同期信号の場合、最初に信号強度の増大を検出したときに、右目のシャッターを開放して左目のシャッターを閉じ、次に信号強度の増大を検出したときに左目のシャッターを開放して右目のシャッターを閉じることにより、一定の周期で左右のシャッターを開閉することができる。
【0094】
このような、通常のシャッター同期用信号は、同じ波形が連続する信号であるため、この信号を受光部5で受光したとしても、どのピークを時間差算出の基準とすればよいかが判別できず、距離を算出することができない。
【0095】
続いて、発光制御部11が発光部6に発信させる信号について図5に基づいて説明する。図5は、発光制御部11が発光部6に発信させる信号の一例を示す図である。
【0096】
同図(a)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分(変形部分)を距離算出用信号とした例を示している。図示のように、この例では、ピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立ち下りを左目画像用のシャッター同期信号としている。
【0097】
また、この例では、左から4番目のピークが、他のピークと比べて早いタイミングで、最大強度と最小強度の中間付近まで立ち下がり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっている。これにより、左から4番目のピークの形状は、右肩部分が欠落したような形状となっている。
【0098】
このような、ピークの途中における立ち下がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち下がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0099】
なお、3Dメガネ50が、この立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、直前の立ち上がりからこの立ち下がりまでのパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。言い換えれば、3Dメガネ50でシャッター同期信号を検出する時間分解能よりも短いパルス幅とする。
【0100】
このように、3Dメガネ50が検出できない程度に早いタイミングで立ち下がりを生じさせ、この立ち下がりを距離算出用信号検出部12で検出できるように構成することによって、距離算出用信号の追加がシャッター同期に影響を与えないようにすることができる。
【0101】
また、この立ち下がりは、最大強度と最小強度の間の強度で止まり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっているので、距離算出用信号の次の左目画像用のシャッター同期信号も検出が可能である。
【0102】
なお、3Dメガネ50が、この立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、強度の減少量を、3Dメガネ50によるシャッター同期信号の検出感度より小さくしてもよい。この場合には、例えば、シャッター同期信号は検出されるが、距離算出用信号は検出されないような閾値を設定し、この閾値でシャッター同期信号を二値化して検出することにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにすることができる。
【0103】
つまり、シャッター同期信号と距離算出用信号との信号強度が相違している場合には、その相違に基づいて、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号から、シャッター同期信号を識別して検出することができる。
【0104】
また、シャッター同期信号と距離算出用信号とのパルス幅が相違している場合には、表示装置1が放射する光信号から距離算出用信号に対応する周波数成分を除去する周波数フィルタを3Dメガネ50に設けてもよい。
【0105】
この場合、3Dメガネ50は、周波数フィルタを通過することによって距離算出用信号の周波数成分が除去された光信号からシャッター同期信号を検出してシャッターを開閉させるので、距離算出用信号をシャッター同期信号と誤検出する可能性が低減される。
【0106】
例えば、距離算出用信号のパルス幅がシャッター同期信号より短い場合には、ローパスフィルタを用いることにより、距離算出用信号をほぼ完全に除去することができる。また、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせて、シャッター同期信号の成分のみを検出できるようにしてもよい。これにより、距離算出用信号が、映像分離制御部53で検出されなくなるので、シャッター同期信号を確実に検出することが可能になる。
【0107】
同図(b)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた、立ち下がり部分及び立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。この例では、ピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号としている。
【0108】
また、この例では、左から4番目のピークが、他のピークと比べて早いタイミングで立ち下がって、また立ち上がり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっている。これにより、左から4番目のピークの形状は、中央部分が欠落したような形状となっている。
【0109】
このような、ピークの途中における立ち下がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち下がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0110】
なお、同図(a)の場合と同様に、3Dメガネ50が、この立ち下がり及び立ち上がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、この立ち下がりから立ち上がりまでのパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。また、3Dメガネ50を、シャッター同期信号を二値化して検出する構成とすることにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにしてもよい。
【0111】
また、ピークの途中における立ち上がりを距離算出用信号として利用することもできる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、一度立ち下がり、その後の立ち上がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0112】
さらに、この立ち下がり及び立ち上がりの後は、他のピークと同じ強度となっており、他のピークと同じタイミングで立ち下がっているので、距離算出用信号の次のシャッター同期信号も検出が可能である。つまり、距離算出用信号の追加は、シャッター同期信号に影響を与えることがない。
【0113】
上記図5(a)(b)の例のように、シャッター同期信号に含まれる1つのパルスの一部を変形(欠落)させた部分を距離算出用信号とすることが好ましいが、同図(c)のような態様も可能である。同図(c)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。
【0114】
この例では、ピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立ち下りを左目画像用のシャッター同期信号としている。また、この例では、左から4番目のピークが立ち上がった後、立ち下がるまでの間に、もう一つのピークが出現している。これにより、左から4番目のピークの形状は、中央部が突出したような形状となっている。
【0115】
このような、ピークの途中における立ち上がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち上がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。同様に、ピークの途中における立ち下がりを距離算出用信号として利用することもできる。
【0116】
なお、3Dメガネ50が、この突出部分の立ち上がり及び立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、この突出部分のパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。言い換えれば、3Dメガネ50でシャッター同期信号を検出する時間分解能よりも短いパルス幅とする。また、3Dメガネ50を、シャッター同期信号を二値化して検出する構成とすることにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにしてもよい。
【0117】
また、この突出部分を過ぎると、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっているので、距離算出用信号の次の左目画像用のシャッター同期信号も検出が可能である。つまり、距離算出用信号の追加は、シャッター同期信号に影響を与えることがない。
【0118】
ただし、同図(c)のように、ピークの上にさらにピークが形成されるような信号形状として距離算出用信号を追加するためには、発光部6のパワーを上げるか、あるいは3Dメガネ50におけるシャッター同期信号の検出感度を上げる必要がある。発光部6のパワー増大は、消費電力の増大を招くので、同図(a)(b)のような信号を発生させる方がより好ましい。
【0119】
以上のように、図5(a)〜(c)の例では、シャッター同期信号における、右目用シャッターの開閉及び左目用シャッターの開閉の契機となる連続的な波形部分を保持しつつ、シャッター開閉に影響を与えない部分の信号波形を変形させ、この変形させた部分を距離算出用信号としている。これにより、シャッター同期信号に影響を与えることなく、距離算出信号を含めることができる。
【0120】
このような波形の信号は、例えば発光部6を印加される電圧に応じた強度の光を発するように構成し、発光制御部11が発光部6への印加電圧を制御することによって生成可能である。
【0121】
なお、上記の例では、複数のパルスの1つを変形させる例を示したが、変形させるパルスは、複数であってもよい。例えば、4つおきに変形させる等のように、所定の個数のパルスに対して1つのパルスを変形させてもよい。これにより、距離算出用信号が定期的に送信されることになり、定期的な距離算出が可能になる。なお、変形させるパルスの周期(変形させるパルス間の間隔)は、少なくとも左目画像用のシャッター同期信号及び右目画像用のシャッター同期信号の周期(間隔)よりも長いことが好ましい。
【0122】
また、発光制御部11は、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とすることが好ましい。これにより、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0123】
〔映像調整情報20の例〕
ここで、映像調整情報20について、具体例を挙げて説明する。図6は、映像調整情報20の一例を示す図である。なお、図6において、a、bは予め定めた定数、X1、X2は予め定めた立体強調度、Lは表示装置1からユーザまでの距離である。
【0124】
図6の映像調整情報20は、距離と立体強調度とが対応付けられたものであり、具体的には、b以上の距離Lに対して立体強調度X1が対応付けられており、bより小さくaより大きい距離Lに対して立体強調度X2が対応付けられている。また、a以下の距離Lに対しては、立体強調度0が対応付けられている。すなわち、a以下の距離Lに対しては、2D表示を行うことを示す情報が対応付けられている。
【0125】
したがって、この映像調整情報20を用いる場合には、距離算出部14が算出した距離がb以上であれば立体強調度X1で3D画像を表示し、算出した距離がbより小さくaより大きければ立体強調度X2で3D画像を表示し、算出した距離がa以下であれば2D表示に切り替える。つまり、aは、不快感等を覚えずに視聴可能な限界距離(不快感等を覚えずに視聴可能な距離の下限値)である。
【0126】
なお、X1はX2よりも立体強調度が大きいものとする。すなわち、立体強調度X1で表示する方がX2で表示するよりも、飛び出した(あるいは奥行きのある)映像が視認される。
【0127】
このように、距離に応じて立体強調度を変えることにより、どのような距離からでも安全に視聴させることができる。また、表示装置1から遠ざかる程、ユーザから視認される立体像の立体感は低下するが、距離に応じて立体強調度が高くなる映像調整情報20を用いることにより、表示装置1までの距離にかかわらず、常に一定の立体感を与えることも可能になる。
【0128】
なお、図示の例では、b以上の距離の場合に、立体強調度をX1としているが、予め定めた上限値(立体視が可能な限界距離)以上の距離の場合には、立体強調度を0としてもよい。余りに離れた位置からの視聴では、立体視の効果がなくなるためである。これにより、立体視の効果がないような状況では、3D表示時よりも消費電力の小さい2D表示に自動的に切り替えることができるので、表示装置1の消費電力を低減することができる。
【0129】
また、映像調整情報20は、コンテンツ毎に用意されてもよい。これにより、ユーザは、表示装置1からの距離にかかわらず、コンテンツ製作者の意図に沿った立体強調度でコンテンツを視聴することが可能になる。
【0130】
〔視聴の適正距離について〕
上記のような映像調整情報20を作成する場合、どの程度の距離から視聴することが適当であり、どの程度近付くと問題があるかを把握しておく必要がある。
【0131】
ここで、例えば、ハイビジョンテレビの場合には、画面の高さの3倍の距離だけ離れた位置から視聴することを想定してコンテンツが作成されている。このため、画面の高さの3倍の距離よりも、画面に近付きすぎると視差角が過大となり、視覚疲労や不快感が生じることがある。
【0132】
これについて、図7に基づいて説明する。図7は、視距離と視差角の対応関係を示す図である。なお、視距離は、表示装置からそれを見るユーザまでの距離を示しており、視差角は、表示画面上の一点を見たときの輻輳角(ユーザの右目と表示画面上の一点とユーザの左目とをこの順番で結んで生じる線分のなす角、図7で実線同士のなす角)と、両眼視差により決まる立体を見たときの輻輳角(ユーザの右目と立体像が見える位置とユーザの左目とをこの順番で結んで生じる線分のなす角、図7で点線同士のなす角)との差を示す。つまり、視差角が大きいほど、画像は飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見える。
【0133】
図示のように、視差角は、視距離が短くなるほど大きくなり、視距離が長くなるほど小さくなる。一般に、視差角は、2°以下とすることが好ましく、1°以下とすれば、より安全であると言われている。
【0134】
したがって、映像調整情報20における「距離」は、視差角が2°となる視距離及び視差角が1°となる視距離の何れかまたは両方に基づいて設定すればよい。例えば、視差角が2°となる視距離を図6のaとし、視差角が1°となる視距離を図6のbとしてもよい。なお、上記の説明では、距離の範囲をb以上、bより小さくaより大きい、a以下の3つに区分したが、距離の範囲の区分は2区分としてもよいし、4区分以上としてもよい。
なお、3D映像の視聴による不快感、疲労等の発生には個人差があり、また、コンテンツの内容、視聴時間等の影響もある。このため、映像調整情報20における「距離」を設定する際の基準とする視差角は、上記の例に限られない。
【0135】
〔反射膜55の形状・配置について〕
反射膜55の好ましい形状・配置について、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、表示装置1までの距離から反射膜55の好ましい角度を求める方法を示す図であり、図9は反射膜55の配置例を示す図である。
【0136】
図9では、表示装置から3Dメガネまでの距離Lを、ハイビジョンテレビの視聴に適した3×Hとしている(Hは表示装置の画面の垂直方向の幅)。また、3Dメガネが表示装置の表示面の中心に対して真正面に位置していることを想定している。つまり、表示装置の下端から3Dメガネまでの垂直方向の距離DはH/2ということになる。さらに、ここでは、受光部が表示装置の下端に設けられていることを想定している。
【0137】
このような位置の3Dメガネからの反射光が、表示装置の下端に設けられている受光部に受光されるようにするためには、図示のように、3Dメガネの面(反射膜)が垂直方向に対してなす角度をθとしたときに、θ=arctan(D/L)となるようにすればよい。ここでは、D=H/2であり、L=3Hであるから、θ=9.5°となる。なお、受光部が表示装置の上端に設けられている場合にも、同様にθ=9.5°となる。
【0138】
以上のことから、受光部が表示装置の下端に設けられている場合には、3Dメガネの反射膜は、垂直方向に対して、表示装置側に9.5°傾いて設けられることが好ましい。
【0139】
例えば、3Dメガネ50を図9(a)のような構成としてもよい。図9(a)は、反射膜55を傾斜させた3Dメガネ50の構成例を示している。図示の3Dメガネ50は、点Pを境にユーザ側に傾斜した形状となっており、この傾斜した部分に反射膜55が設けられている。この構成では、傾斜角度θを9.5°とすることによって、反射膜55からの反射光を、表示装置の下端に設けられている受光部に受光させやすくなる。
【0140】
また、3Dメガネ50を図9(b)のような構成としてもよい。図9(b)は、反射膜55を湾曲させた3Dメガネ50の構成例を示している。図示の3Dメガネ50は、点Pを境にユーザ側に湾曲した形状となっており、この湾曲した部分に反射膜55が設けられている。
【0141】
この構成では、湾曲部分と垂直方向とがなす角度θを9.5°とすることによって、反射膜55からの反射光を、表示装置の下端に設けられている受光部に受光させやすくなる。また、反射膜55の表面を湾曲させることによって、反射光を拡散させることができるので、同図(a)の場合と比べて、より反射光を受光部5に受光させやすい。
【0142】
なお、図9(a)(b)の例では、3Dメガネ50自体の形状を傾斜または湾曲させているが、3Dメガネ50に対して反射膜55を傾斜させて固定してもよいし、湾曲した形状の反射膜55を用いてもよい。また、反射膜55として、コーナー・キューブ・ミラーを適用してもよい。この場合、入射光と同じ方向に反射するので、発光部6と受光部5とを近接した位置に配置する。
【0143】
また、図9(a)(b)の例では、3Dメガネ50の偏光板の表側の面に反射膜55を固定した例を示しているが、反射膜55の固定位置は、3Dメガネ50を着用したユーザが表示装置1の方向を向いた状態において、表示装置1の発光部6からの光を受光できる位置であればよく、特に限定されない。例えば、偏光板の内側の面(ユーザに面している側の面)に固定してもよいし、図2等の例のように、偏光板と偏光板の間に固定してもよいし、偏光板の上側や3Dメガネ50の「つる」の部分に固定してもよい。
【0144】
〔3D画像表示時の処理の流れ〕
続いて、表示装置1が3D画像を表示しているときに行う処理の流れを図10に基づいて説明する。図10は、表示装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図10の処理は、表示装置1に3D画像の表示を開始させる操作(表示装置1の電源を入れる操作または2D表示から3D表示に切り替える操作等)を行った直後に行われる処理である。
【0145】
まず、3D画像表示処理部10は、表示部4に3D画像を表示させる(S1)。また、3D画像表示処理部10は、シャッター同期信号を含むパルス信号を送信するように、発光制御部11に指示する。
【0146】
また、距離算出部14は、距離算出用信号を送信するように、発光制御部11に指示する。これらの指示を受信した発光制御部11は、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含むパルス信号を発光部6から発生させる(S2)。発光部6が発生させた信号は、3Dメガネ50の受光部54で受光されると共に、反射膜55で反射されて、表示装置1の受光部5で受光される(S3)。
【0147】
受光部54でこの信号を受光した3Dメガネ50では、映像分離制御部53が、受光した信号から右目画像用のシャッター同期信号と、左目画像用のシャッター同期信号とを検出し、その検出結果に応じてシャッター51の開閉を制御する。これにより、ユーザの右目には右目用画像を、左目には左目用画像を見せる。
【0148】
一方、表示装置1の距離算出用信号検出部12は、受光部5で受光されたパルス信号から、距離算出用信号を検出し、その距離算出信号が検出された時刻を示す受信時刻情報を距離算出部14に送信する。
【0149】
距離算出用信号検出部12から受信時刻情報を受信した距離算出部14は、距離算出用信号の送信を指示した時刻と上記受信時刻情報から、表示装置1から3Dメガネ50までの距離を算出する(S4)。
【0150】
具体的には、距離算出部14は、受信時刻情報が示す時刻から、距離算出用信号の送信を指示した時刻を減算して、距離算出用信号の送信から受信までの時間を求める。そして、表示装置1から3Dメガネ50までの距離Lを、2L=ct(c:光速、t:求めた時間)の式で算出する。
【0151】
なお、距離算出部14は、距離算出用信号の送信を指示したときにタイマーをスタートさせ、距離算出用信号検出部12から距離算出用信号を受信した旨の通知を受信したときにタイマーをストップさせることにより、距離算出用信号の送信から受信までの時間を特定してもよい。この場合には、距離算出用信号検出部12は、受信時刻情報を送信する代わりに、距離算出用信号を受信した旨の通知を距離算出部14に送信する。
【0152】
また、複数人で表示装置1の表示する画像を見ている場合には、各人が使用している3Dメガネ50のそれぞれで反射した距離算出用信号が検出される。このような場合には、最も早いタイミングで受信した距離算出用信号に基づいて距離を算出する。これは、最も表示装置1の近くで見ているユーザが、最も健康被害を受ける可能性が高いと考えられるためである。
【0153】
そして、距離算出部14は、以上のようにして算出した距離を3D画像表示処理部10に通知する。距離算出部14から距離の通知を受信した3D画像表示処理部10は、通知された距離に応じて表示画像を調整する(S5)。
【0154】
具体的には、3D画像表示処理部10は、記憶部3に格納されている映像調整情報20を参照して、距離算出部14から通知された距離に対応する表示設定を特定し、特定した表示設定に従って画像の表示を行う。例えば、図6の映像調整情報20を用いた場合には、距離Lがb以上であれば立体強調度をX1とする。
【0155】
ここで、例えば、図6の映像調整情報20を用いた場合に、距離Lがa以下であったときのように、表示画像の調整によって3D画像から2D画像への切り替えが行われることがある。
【0156】
このため、3D画像表示処理部10は、3D表示を終了したか否かを確認する(S6)。ここで3D表示の終了を確認した場合(S6でYES)には、3D画像表示処理は終了する。一方、3D表示の継続を確認した場合(S6でNO)には、処理はS1に戻る。
【0157】
なお、3D表示を終了すべき距離が通知された場合、3D画像表示処理部10は、視聴位置に問題があることをユーザに通知するために警告を行ってもよい。警告は、文字等を表示部4に表示させることによって行ってもよいし、音や光を発することで行ってもよい。
【0158】
また、S6からS1に遷移した後のS2では、発光制御部11は、前回の距離算出用信号の送信から検出までの時間よりも長い時間が経過したときに、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号を送信することが好ましい。前回の距離算出用信号が検出される前に次の距離算出用信号を送信した場合には、検出された距離算出用信号が何れのタイミングで送信したかの判別が困難になり、正確な距離算出ができないおそれがあるためである。
【0159】
すなわち、発光制御部11は、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とすることが好ましい。これにより、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0160】
また、S6からS1に遷移しないように構成することもできる。つまり、一度距離を測定した後は、3D表示終了まで再度距離を測定しない構成としてもよい。ただし、視聴中にユーザが移動することも考えられるので、上記の例のように、3D表示中は、一定期間ごとに距離を測定し、その結果に応じて立体強調度の調整を行うことが好ましい。
【0161】
さらに、上記では、距離が算出できることを前提として説明を行ったが、視聴者がいない場合や、表示装置1までの距離が近すぎる場合等には、距離の算出ができないことも考えられる。このため、距離算出部14は、距離算出用信号の送信後、所定の時間が経過しても距離算出信号の受信が検出されない場合には、3D画像表示処理部10に指示して2D表示に切り替えさせてもよいし、画像の表示を終了させる(電源を切る)制御を行ってもよい。
【0162】
〔角度算出処理の流れ〕
続いて、表示装置1の正面方向に対して、3Dメガネ50を着用したユーザがどのような角度に位置しているかを算出する角度算出処理の流れを図11に基づいて説明する。図11は、角度算出処理の一例を示すフローチャートである。なお、角度算出処理は、距離の測定と同様に、3D画像の表示中に行われる。
【0163】
まず、角度算出部15は、発光部6からの信号が放射される領域のスキャンを開始する(S10)。具体的には、角度算出部15は、駆動制御部13に指示して、遮光される領域(非照射領域)が、発光部6からの信号が放射される領域の水平方向の一端から他端まで、一定の速度で移動するように、発光部6上で遮光部8を移動させる。
【0164】
つまり、駆動制御部13は、発光部6の水平方向の一端から他端まで一定速度で遮光部8を移動させる。また、角度算出部15は、遮光部8の移動開始から終了までの間、受光部5が検出した信号を取得する。なお、遮光される領域に入った3Dメガネ50は、シャッター同期信号を受信できなくなるため、遮光される領域の移動速度は、シャッターの切り替え速度より速く設定することが好ましい。あるいは、3Dメガネ50が遮光される領域に入った場合でも、同期信号の一部を受信できる程度の小さなサイズの遮光部を用いることによって、シャッター同期信号の受信と、遮光による反射光の強度変化の検出とが両立されるようにしてもよい。
【0165】
発光部6からの信号が放射される領域の水平方向の一端から他端までのスキャンが終了する(S11)と、角度算出部15は、スキャンの間に取得した信号から、反射光が弱くなったときの遮光部8の位置を特定する。そして、特定した位置に基づき、反射光が弱くなったときの角度を特定する(S12)。
【0166】
具体的には、角度算出部15は、表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度を特定する。なお、角度算出部15は、演算によってこの角度を算出してもよいし、予め遮光部8の位置と角度とを対応付けた対応情報を格納しておき、この対応情報から角度を特定してもよい。遮光部8の位置は、遮光部8の移動速度と移動開始からの時間から求めることができる。
【0167】
続いて、角度算出部15は、算出した角度が閾値以上であるか否か確認する(S13)。閾値は予め定められたものであり、例えば35°程度としてもよい。無論、閾値はこの例に限られず、表示するコンテンツ、視聴するユーザ等に応じて35°より大きい値としてもよいし、小さい値としてもよい。
【0168】
ここで、算出した角度が閾値より小さいことが確認された場合(S13でNO)には、角度算出部15は、角度算出処理を終了する。一方、算出した角度が閾値以上であることが確認された場合(S13でYES)には、角度算出部15は、3D画像表示処理部10に指示して3D表示を終了させる(S14)。
【0169】
なお、この指示を受信した3D画像表示処理部10は、3D表示を2D表示に切り替えてもよいし、画像の表示を終了してもよい。また、3D画像表示処理部10は、視聴位置に問題があることをユーザに通知するために警告を行ってもよい。警告は、文字等を表示部4に表示させることによって行ってもよいし、音や光を発することで行ってもよい。
【0170】
そして、上記の例では、角度が閾値以上であるか否かに応じて3D表示の可否を判断しているが、角度の値に応じた立体強調度を予め定めておき、特定された角度に応じた立体強調度で3D表示を行うようにしてもよい。
【0171】
さらに、上記の例では、水平方向の位置を特定しているが、同様にして垂直方向の位置を特定することもできる。垂直方向の角度(表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度)の閾値は、例えば20°としてもよい。
【0172】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0173】
最後に、表示装置1の各ブロック、特に制御部2は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0174】
後者の場合、表示装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記表示装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0175】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0176】
また、表示装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、立体視用のメガネの左右のシャッターの開閉と、右目用画像と左目用画像との切り替えとを同期させることによって立体視を可能にする表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0178】
1 表示装置
5 受光部
6 発光部
7 駆動部
8 遮光部
10 3D画像表示処理部(表示画像調整手段)
11 発光制御部(発光制御手段)
12 距離算出用信号検出部(距離算出用信号検出手段)
13 駆動制御部(駆動制御手段)
14 距離算出部(距離算出手段)
15 角度算出部(方向特定手段)
20 映像調整情報(対応情報)
50 3Dメガネ(立体視用のメガネ)
51 シャッター
100 表示システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視用のメガネの左右のシャッターの開閉と、右目用画像と左目用画像との切り替えとを同期させることによって立体視を可能にする表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を三次元(3D)で視聴することのできる表示装置が注目を集めている。立体視を可能にする方式としては、様々なものが知られているが、一般家庭向けのテレビなどでは、液晶シャッターを備えた立体視用メガネ(3Dメガネ)を用いる方式(フレーム・シーケンシャル方式)が採用されることが多い。
【0003】
この方式では、表示装置は、左右異なる角度から撮影した映像(左目用映像と右目用映像)を交互に表示すると共に、3Dメガネの液晶シャッターの開閉を、上記映像の交互表示と同期させるための信号を発信する。これにより、右目用の映像は右目に、左目用の映像は左目のみに見せることができ、3Dメガネを着用したユーザは立体感が得られることになる。
【0004】
このような方式の表示装置において、より快適に3D画像を視聴させるための技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、上記の3Dメガネを用いることによって、3D映像を視聴できる映像表示装置において、ユーザが3Dメガネを着用しているか否かを検出し、着用していれば3D映像を表示し、着用していなければ二次元(2D)映像を表示する技術が開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1では、映像表示装置が発する3Dメガネの液晶シャッター同期用の信号が、3Dメガネに設けた反射体で反射した反射光を、映像表示装置に設けたフォトダイオードで検出する構成としている。そして、フォトダイオードが反射光を検出した場合には、ユーザが3Dメガネを着用していると判断して3D表示を行い、反射光が検出されない場合には、ユーザが3Dメガネを着用していないと判断して3D表示から2D表示に切り替えている。これにより、3Dメガネを着用していないときに、3D表示が行われる煩わしさを解消することができる。
【0006】
また、下記の特許文献2には、立体視用メガネを用いず、裸眼で立体視が可能な表示装置において、赤外線距離センサを用いて表示装置からユーザまでの距離を測定し、測定した距離に応じて、立体画像を表示するために用いられる2つの画像伝達パネル間の角度を調整する技術が開示されている。この技術によれば、ユーザが表示装置に近付いたり、表示装置から遠ざかったりした場合であっても、画像伝達パネルからの光をユーザの両目に正しく入射させることができ、十分な立体感を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−004453号公報(2000年1月7日公開)
【特許文献2】特開2006−201517号公報(2006年8月3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、立体視を行う場合には、適正な位置から視聴しなければ、不快感を覚えたり、視覚疲労を生じたりすること(いわゆる3D酔い)があることが知られているが、上述の従来技術では、立体視によるこのような健康への影響が考慮されていない。
【0009】
すなわち、3D画像の視聴には適正な距離があるので、表示装置の間近で視聴した場合には、健康に影響が出る可能性があるが、特許文献1の技術では、ユーザが3Dメガネを着用してさえいれば、表示装置の間近で視聴していたとしても、3D表示が行われてしまうので、このような健康への影響を防止することができない。
【0010】
そこで、例えば特許文献2の技術を応用して、表示装置に赤外線距離センサを設け、このセンサによってユーザまでの距離を測定し、測定した距離から、ユーザが表示装置に近付き過ぎていると判断される場合には、3D表示を行わないようにすることが考えられる。
【0011】
しかしながら、表示装置に赤外線距離センサを設けた場合、表示装置の部品点数が増加して、構成が複雑化し、製造コストも増大してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、立体視を可能にする表示装置において、距離測定用の光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させる表示装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の表示装置は、表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置であって、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の表示装置の制御方法は、上記課題を解決するために、表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置の制御方法であって、上記表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部とを備え、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含むことを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を発光部から放射させ、この光信号の戻り光を受光部で受光して、該戻り光から距離算出用信号を検出する。そして、検出した距離算出用信号に基づき、ユーザまでの距離を算出し、算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する。
【0016】
ここで、発光部から放射される光信号には、シャッター同期信号が含まれているので、これを受光した立体視用のメガネでは、表示する画像の切り替えタイミングと同期させて、シャッターを開閉させることができる。
【0017】
すなわち、上記の構成によれば、距離測定のための光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させることができる。
【0018】
なお、上記戻り光としては、例えば上記メガネまたはユーザで反射した反射光や、上記メガネまたはユーザで散乱した散乱光が挙げられる。また、画像の立体表示に関する表示設定とは、ユーザから表示装置までの距離に応じて変更することが望ましい表示設定である。例えば、ユーザから表示装置までの距離が近すぎる場合には、立体強調度を下げることが望ましいため、上記表示設定として立体強調度を適用することもできる。なお、立体強調度の調整には、立体強調度を0にする(二次元画像として認識される画像に切り替える)ことも含まれる。
【0019】
また、上記距離算出手段は、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出手段による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出することが好ましい。
【0020】
光信号の伝達速度は、光速に等しいため、上記構成のように、距離算出用信号の送信から検出までの時間に基づいて、表示装置からユーザまでの距離を算出することができる。具体的には、表示装置からメガネまたはユーザまでの距離Lは、2L=ct(c:光速、t:距離算出信号の送信から受信までの時間)の式で算出することができる。
【0021】
また、上記発光制御手段は、上記距離算出用信号を含む光信号を放射させ、該距離算出用信号を上記距離算出用信号検出手段が検出した後に、上記距離算出用信号を含む光信号を再び放射させることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0023】
また、上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の一定周期ごとに上記距離算出用信号が含まれる光信号を放射させることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、一定周期ごとに距離算出用信号が検出されるので、一定周期ごとにユーザまでの距離を算出して、それに応じた表示設定とすることができる。これにより、ユーザが移動した場合であっても、移動先から表示装置までの距離に応じた適切な画像を表示させることが可能になる。
【0025】
また、上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を上記距離算出用信号検出手段が上記距離算出用信号として検出可能とした光信号を放射させることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を距離算出用信号として検出可能な光信号を放射させる。
【0027】
つまり、信号波形を変形させた変形部分は、変形されているがゆえに、検出することが可能である。このため、距離算出用信号検出手段は、受光部が受光した戻り光における上記変形部分を距離算出用信号として検出することができる。
【0028】
また、シャッター同期信号の信号波形は、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形されている。つまり、シャッター同期信号の変形された信号波形は、その波形の一部の形状がシャッター同期に用いられているので、変形されていない波形部分と同様にシャッターを同期させることができる。
【0029】
したがって、上記の構成によれば、立体視用のメガネにおけるシャッター開閉動作に影響を与えることなく、シャッター同期信号に距離算出信号を含めることができる。
【0030】
また、上記対応情報は、予め定めた下限値以下の距離、及び予め定めた上限値以上の距離の少なくとも何れかに、二次元画像を表示する表示設定が対応付けられたものであることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、ユーザから表示装置までの距離が、予め定めた下限値以下である場合、及び予め定めた上限値以上である場合の少なくともいずれかの場合に、二次元画像が表示される。なお、ここで、二次元画像とは、ユーザが二次元の画像と認識する画像であり、立体視されない画像である。
【0032】
したがって、立体視が可能な限界距離を上記上限値とし、不快感等を覚えずに視聴可能な限界距離を上記下限値とすることにより、立体視が不可能なほど離れているにもかかわらず三次元表示が行われる無駄を防ぐことができ、ユーザに立体視による不快感等を与えることを防ぐことができる。
【0033】
また、上記表示装置は、上記発光部が発する光信号の一部を遮ることにより、上記発光部が発する光信号が放射される領域内に該光信号の届かない非照射領域を生じさせる遮光部と、上記遮光部を移動させる駆動部と、上記駆動部が上記遮光部を移動させている間に、上記受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置に基づいて、上記ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方向特定手段とを備え、上記表示画像調整手段は、上記方向特定手段が特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替えることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、遮光部を移動させることによって、非照射領域を移動させる。ここで、非照射領域にユーザが入ったときには、ユーザまたは立体視用のメガネからの戻り光が、受光部に受光されなくなる。
【0035】
つまり、受光部が受光した光信号の光量が減少したときには、非照射領域内にユーザが居ると考えられる。そして、非照射領域は、光源である発光部と遮光部とを結ぶ直線上に生じるので、受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置から、ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定することができる。
【0036】
そして、上記の構成によれば、このようにして特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替える。したがって、上記の範囲を、視聴が健康に悪影響を与えない範囲とすることによって、立体視による健康被害を防ぐことができる。
【0037】
また、上記表示装置と、上記立体視用のメガネとを含む表示システムであれば、上記表示装置と同様の効果を奏する。
【0038】
ここで、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む光信号を放射する場合、立体視用のメガネにおいては、距離算出用信号がシャッター同期信号の検出の妨げとなることも考えられる。例えば、距離算出用信号をシャッター同期用信号と誤検出してしまった場合には、正常なタイミングでシャッターの開閉が行われなくなる可能性がある。
【0039】
そこで、本発明のメガネは、上記表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、上記光信号から上記距離算出用信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを備え、上記周波数フィルタを通過した上記光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させることを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、周波数フィルタを通過することによって距離算出用信号の周波数成分が除去された光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させるので、距離算出用信号をシャッター同期用信号と誤検出することを防ぎ、正常なタイミングでシャッターの開閉を行うことができる。
【0041】
また、上記メガネは、上記シャッター同期信号と上記距離算出用信号との信号強度の相違に基づき、上記光信号から上記シャッター同期信号を識別して検出するものであってもよい。
【0042】
上記の構成によれば、距離算出用信号をシャッター同期用信号の信号強度が異なっている場合に、距離算出用信号とシャッター同期用信号とを識別して検出することができ、正常なタイミングでシャッターの開閉を行うことができる。
【0043】
なお、信号強度の相違に基づいて検出する方法としては、例えば、距離算出用信号が検出されず、シャッター同期用信号が検出されるような閾値で光信号を二値化する(強度フィルタを用いる)方法が考えられる。また、距離算出用信号の信号強度がシャッター同期用信号よりも弱い場合には、距離算出用信号の信号強度より大きい信号強度を検出の下限値とすることによって、シャッター同期用信号を検出してもよい。
【0044】
なお、上記表示装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記表示装置の各手段として動作させることにより、上記表示装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明の表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えている構成である。
【0046】
また、本発明の表示装置の制御方法は、以上のように、発光部を制御して、シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置からユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含む構成である。
【0047】
したがって、距離測定のための光源を設けることなく、ユーザまでの距離に応じた画像を表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示す図であり、表示システムを構成する表示装置及び3Dメガネの要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記表示システムの概要を示す図である。
【図3】ユーザが表示装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を説明する図である。
【図4】従来のシャッター同期信号の一例を示し、同図(a)はピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立下りを左目画像用のシャッター同期信号とした例を示し、同図(b)はピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号とした例を示している。
【図5】発光制御部が発光部に発信させる信号の一例を示す図であり、同図(a)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分を距離算出用信号とした例を示し、同図(b)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分及び立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示し、同図(c)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。
【図6】上記表示装置が格納する映像調整情報の一例を示す図である。
【図7】視距離と視差角の対応関係を示す図である。
【図8】表示装置までの距離から反射膜の好ましい角度を求める方法を示す図である。
【図9】上記3Dメガネにおける反射膜の配置例を示す図である。
【図10】上記表示装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】上記表示装置が実行する角度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11に基づいて詳細に説明する。
【0050】
〔システムの概要〕
まず、本実施形態の表示システムの概要を図2に基づいて説明する。図2は、表示システム100の概要を示す図である。図示のように、表示システム100には、表示装置1と3Dメガネ(立体視用のメガネ)50とが含まれている。
【0051】
表示装置1は、3D画像を表示することのできる表示装置である。3D画像を表示する方式には様々なものが知られているが、ここでは、フレーム・シーケンシャル方式で3D画像を表示することを想定している。
【0052】
このため、表示装置1は、左右異なる角度から撮影した映像を交互に表示すると共に、3Dメガネ50のシャッターの開閉を、上記映像の交互表示と同期させるためのシャッター同期用信号を発光部6から発信する。そして、3Dメガネ50は、シャッター同期用信号を受信する受光部54を備えており、受光部54で受信したシャッター同期信号に従ってシャッターの開閉を制御する。
【0053】
また、発光部6が発する信号には、表示装置1から表示装置1の画面を見ているユーザまでの距離を算出するための距離算出用信号が含まれている。
【0054】
表示システム100では、発光部6が発する信号に含まれる距離算出用信号が、3Dメガネ50の反射膜55で反射した反射光を、表示装置1が受光部5で受光する。そして、表示装置1は、距離算出用信号の送信から受信までの時間から、発光部6から反射膜55までの距離、すなわち表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離を算出する。さらに、表示装置1は、表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離に応じた、ユーザに3D酔い等の健康被害が発生しないような画像を表示する。
【0055】
これにより、ユーザが表示装置1に近付きすぎていた場合であっても、ユーザに健康被害を与えることを防ぐことができる。また、3D画像をユーザに見せるために必要なシャッター同期信号と同じ発光部6から距離算出用信号を発信しているので、距離測定のための光源を設ける必要がない。なお、受光部5で受光する光は、発光部6が発する信号がメガネ50またはそのユーザで反射または散乱した戻り光であればよく、反射膜55からの反射光に限られないが、以下では、受光部5が反射膜55からの反射光を受光する場合について説明する。
【0056】
〔ユーザ位置の特定〕
表示装置1が表示する画像は、基本的に表示装置の正面から見られることを想定したものであり、表示装置1の表示面に対して斜め方向から視聴することは好ましくない。
【0057】
そこで、表示装置1は、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定し、ユーザが表示装置1の正面から大きく外れた方向に位置している場合には、3D表示を2D表示に切り替える。
【0058】
ここでは、表示装置1が、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を図3に基づいて説明する。図3は、ユーザが表示装置1に対して何れの方向に位置しているかを特定する方法を説明する図である。
【0059】
同図では、発光部6が発する信号の放射される範囲を範囲Aとして示している。範囲Aに入った3Dメガネ50は、受光部54で受光したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させる。また、範囲Aに3Dメガネ50が入ったときには、3Dメガネ50の反射膜55で反射した光が、表示装置1の受光部5で受光される。
【0060】
ここで、範囲Aの中には、範囲Bが含まれている。範囲Bは、発光部6が発する信号が含まれない範囲である。これは、発光部6の表面に遮光部を設けることによって生じる影の範囲である。つまり、発光部6の発する光が遮光部で遮られることによって、発光部6の光源と遮光部とを結ぶ直線上に、発光部6が発する信号が含まれない範囲Bが生じる。
【0061】
この範囲Bは、遮光部を移動させることによって、範囲Aの中で移動させることができる。そして、3Dメガネ50が範囲Bに入ったときには、発光部6が発する信号の、3Dメガネ50の反射膜55からの反射がなくなるので、受光部5が受光する光量が減少する。
【0062】
したがって、受光部5が受光する光量が減少したときの範囲Bの方向に3Dメガネ50、つまり表示装置1を視聴しているユーザが存在すると判断することができる。そして、ユーザが存在する方向と、表示装置1の正面方向とがなす角度θを求めることができる。これにより、角度θが閾値より大きい場合に、3D表示を2D表示に切り替えることも可能になる。
【0063】
〔表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成〕
続いて、表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成を図1に基づいて説明する。図1は、表示システム100を構成する表示装置1及び3Dメガネ50の要部構成を示すブロック図である。図示のように、表示装置1は、制御部2、記憶部3、表示部4、受光部5、発光部6、遮光部8、及び駆動部7を備えている。
【0064】
制御部2は、表示装置1の動作を統括して制御するものであり、記憶部3は、制御部2が使用するデータ等を格納するものである。また、表示部4は画像を表示するものである。
【0065】
受光部5は、上述の距離算出用信号を受光するためのものである。受光部5は、距離算出用信号を受光できるものであればよく、例えばフォトダイオードなどで構成することもできる。なお、距離算出用信号は、その信号単体で受光されるのではなく、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号として受光される。
【0066】
受光部5は、この信号を受光可能な位置に設けられていればよく、配置及び形状は特に限定されない。例えば、発光部6の近傍に配置してもよいし、発光部6から離れた位置に配置してもよい。また、受光部5は、複数設けてもよく、複数の受光部5を表示画面に沿って配列させてもよいし、表示画面を囲むように設けてもよい。
【0067】
発光部6は、上述のシャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号を発する。発光部6は、3Dメガネ50で反射もしくは散乱する光信号を発信可能なものであればよく、例えば赤外光を発するLEDを発光部6として適用することもできる。なお、この信号を3Dメガネ50で受信しなければ、ユーザは立体視を行うことができないので、発光部6は、表示装置1の周囲のユーザが存在すると考えられる範囲に上記信号を放射することが好ましい。
【0068】
遮光部8は、発光部6が発する信号を部分的に遮断するものであり、駆動部7は遮光部8を発光部6上で移動させる。これらの構成により、発光部6が発する光が照射される領域に、遮光部8による影を作ることができ、この影をこの領域内で移動させることができる。
【0069】
また、制御部2には、3D画像表示処理部(表示画像調整手段)10、発光制御部(発光制御手段)11、距離算出用信号検出部(距離算出用信号検出手段)12、駆動制御部(駆動制御手段)13、距離算出部(距離算出手段)14、及び角度算出部(方向特定手段)15が含まれており、記憶部3には、映像調整情報(対応情報)20が含まれている。
【0070】
3D画像表示処理部10は、3D画像を表示させるための処理を行う。具体的には、3D画像表示処理部10は、左目用画像と、右目用画像とを一定の周期で交互に表示部4に表示させると共に、発光制御部11に指示して、これらの画像の切り替えの周期で3Dメガネ50のシャッターが開閉するようなシャッター同期信号を発生させる。
【0071】
また、3D画像表示処理部10は、3D画像の立体強調度を調整する。立体強調度とは、画像が飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見える程度を示すものであり、立体強調度を大きくすることにより、画像がより飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見えることになる。さらに、3D画像表示処理部10は、立体強調度を0にする(2D表示に切り替える)こともできる。
【0072】
なお、立体強調度は、左目用画像と、右目用画像のずれ量に対応し、ずれ量が大きいと立体強調度が大きく、ずれ量が小さいと立体強調度が小さく、ずれ量がない場合は、立体強調度が0(2D表示)になる。つまり、3D画像表示処理部10は、左目用画像と、右目用画像のずれ量を調整することによって、立体強調度を調整する。
【0073】
発光制御部11は、発光部6の発光を制御することによって、シャッター同期信号を発生させる。また、発光制御部11は、発光部6の発光を制御することによって、距離算出用信号を含むシャッター同期信号を発生させる。なお、発光制御部11が発光部6に発信させる信号の詳細については後述する。
【0074】
距離算出用信号検出部12は、受光部5が受光した信号から、距離算出用信号を検出する。受光部5が受光した信号には、シャッター同期信号と距離算出用信号とが含まれているので、距離算出用信号検出部12は、この信号から距離算出用信号を識別して検出する。詳細は後述するが、シャッター同期信号と距離算出用信号は、波形及び周波数が異なっているので、これらの差異に基づいて距離算出用信号を識別して検出する。例えば、シャッター同期信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを用いることによって、距離算出用信号を識別して検出してもよい。また、強度フィルタ(二値化)を用いることによって、距離算出用信号を識別して検出してもよい。なお、二値化の閾値は、距離算出信号及びシャッター同期信号の何れか一方が検出され、他方が検出されないような値とすればよい。
【0075】
駆動制御部13は、駆動部7を制御して遮光部8を移動させることによって、発光部6が発信する信号が放射されない領域(遮光部8によって生じる影の領域)を移動させる。
【0076】
距離算出部14は、距離算出信号に基づいて、表示装置1から3Dメガネ50を着用したユーザまでの距離を算出する。具体的には、距離算出部14は、表示装置1から3Dメガネ50までの距離Lを、2L=ct(c:光速、t:距離算出信号の送信から受信までの時間)の式で算出する。
【0077】
ここで、現在リビング用に販売されているテレビは、20型以上がほとんどである。このサイズのテレビの視聴適正距離は1m程度であり、少なくともこの適正距離の半分以上離れての視聴が好ましいことが知られている。そして、表示装置1から50cm離れた位置に3Dメガネ50があった場合、距離算出信号の送信から受信までの時間tは、t=2×0.5/(3×108)=3.3nsとなる。
【0078】
したがって、距離算出信号の送信から受信までの、少なくとも3.3nsの時間差を検出できるように、受光部5、距離算出用信号検出部12、距離算出部14を構成すればよいことになる。なお、ディスプレイのサイズが大きければ、適正な距離の下限も長くなるため、時間分解能は、長くてよいことになる。
【0079】
また、発光制御部11は、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐため、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とするのが好ましい。例えば、上記の場合、3.3ns以上の間隔を空けて、距離算出用信号を送信すればよい。
【0080】
角度算出部15は、3Dメガネ50を着用したユーザが、表示装置1の正面方向に対してどの程度傾いた位置にいるかを検出する。具体的には、角度算出部15は、表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度を特定する。
【0081】
映像調整情報20は、3D画像表示処理部10が、距離算出部14が算出した距離に応じた表示を行うために用いる情報であり、距離毎に表示設定が対応付けられた情報である。これにより、距離算出部14が算出した距離に応じた表示設定を特定し、その表示設定に従った表示を行うことができる。
【0082】
続いて、3Dメガネ50の要部構成について説明する。3Dメガネ50は、シャッター51、偏光板52、映像分離制御部53、受光部54、及び反射膜55を備えている。
【0083】
シャッター51は、ユーザの目に届く光を遮る閉状態と光を遮らない開状態とを、映像分離制御部53の制御に従って切り替えるものである。なお、図1では簡単のため、シャッター51を1つ示しているが、シャッター51は、右目用と左目用の2つ設けられる。偏光板52も同様である。シャッター51としては、例えば液晶によって偏光方向を切り替え、偏光板52で透過(開状態)または遮光(閉状態)とする液晶シャッターを用いることもできる。
【0084】
偏光板52は、シャッター51を通過した光のうち、一定の偏光方向の光のみをユーザの目に到達させる。
【0085】
映像分離制御部53は、受光部54で受信したシャッター同期信号に従って、シャッター51の開閉を制御する。具体的には、映像分離制御部53は、受光部54で受信したシャッター同期信号から、右目画像用のシャッター同期信号を検出したときに、右目のシャッター51を開状態とし、左目のシャッター51を閉状態とする。また、左目画像用のシャッター同期信号を検出したときに、左目のシャッター51を開状態とし、右目のシャッター51を閉状態とする。
【0086】
受光部54は、シャッター同期信号を受光するためのものである。受光部54は、フォトダイオード等で構成することもできる。
【0087】
3Dメガネ50では、受光部54で受信したシャッター同期信号に従って、映像分離制御部53がシャッター51の開閉を制御することにより、表示装置1の表示部4が発する光のうち、所定の光のみがシャッター51及び偏光板52を通過してユーザの目に届き、立体画像として認識される。
【0088】
反射膜55は、距離算出用信号を表示装置1に反射させるためのものである。このため、反射膜55は、距離算出用信号を反射する材料で構成する必要がある。また、反射膜55は、反射光が表示装置1に向かうような形状・配置で設けられることが好ましい。反射膜55の形状・配置については後述する。
【0089】
なお、ここでは、3Dメガネ50に反射膜55を設ける例を説明するが、表示装置1は、ユーザまたは3Dメガネ50から、何らかの戻り光を検出できればよいので、ユーザが反射膜55に相当する反射材を身に着けていても、ユーザまでの距離を算出することができる。また、反射膜55がない場合でも、シャッター51などからの戻り光を検出できれば、ユーザまでの距離を算出することができる。よって、反射膜55を有さない3Dメガネ50を適用することもできる。ただし、反射膜55を設けることにより、戻り光が検出しやすくなり、3Dメガネ50は、3D画像を見るために必然的に身に着けるものであるから、3Dメガネ50に反射膜55を設けることが望ましい。
【0090】
〔発光部6に発信させる信号について〕
ここで、発光制御部11が発光部6に発信させる信号について、図4及び図5に基づいて説明する。ここでは、対比のため、図4に基づいて従来のシャッター同期信号について説明し、続いて図5に基づいて発光制御部11が発光部6に発信させる信号について説明する。
【0091】
図4は、従来のシャッター同期信号の一例を示し、同図(a)はピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立下りを左目画像用のシャッター同期信号とした例を示し、同図(b)はピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号とした例を示している。
【0092】
図示のように、シャッター同期信号は、一定の周期で強度が増減するパルス信号である。同図(a)のシャッター同期信号の場合、最大強度と最小強度の中間付近を基準として、信号強度が増大したときに右目のシャッターを開放して左目のシャッターを閉じ、信号強度が減少したときに左目のシャッターを開放して右目のシャッターを閉じることにより、一定の周期で左右のシャッターを開閉することができる。
【0093】
また、同図(b)のシャッター同期信号の場合、最初に信号強度の増大を検出したときに、右目のシャッターを開放して左目のシャッターを閉じ、次に信号強度の増大を検出したときに左目のシャッターを開放して右目のシャッターを閉じることにより、一定の周期で左右のシャッターを開閉することができる。
【0094】
このような、通常のシャッター同期用信号は、同じ波形が連続する信号であるため、この信号を受光部5で受光したとしても、どのピークを時間差算出の基準とすればよいかが判別できず、距離を算出することができない。
【0095】
続いて、発光制御部11が発光部6に発信させる信号について図5に基づいて説明する。図5は、発光制御部11が発光部6に発信させる信号の一例を示す図である。
【0096】
同図(a)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち下がり部分(変形部分)を距離算出用信号とした例を示している。図示のように、この例では、ピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立ち下りを左目画像用のシャッター同期信号としている。
【0097】
また、この例では、左から4番目のピークが、他のピークと比べて早いタイミングで、最大強度と最小強度の中間付近まで立ち下がり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっている。これにより、左から4番目のピークの形状は、右肩部分が欠落したような形状となっている。
【0098】
このような、ピークの途中における立ち下がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち下がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0099】
なお、3Dメガネ50が、この立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、直前の立ち上がりからこの立ち下がりまでのパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。言い換えれば、3Dメガネ50でシャッター同期信号を検出する時間分解能よりも短いパルス幅とする。
【0100】
このように、3Dメガネ50が検出できない程度に早いタイミングで立ち下がりを生じさせ、この立ち下がりを距離算出用信号検出部12で検出できるように構成することによって、距離算出用信号の追加がシャッター同期に影響を与えないようにすることができる。
【0101】
また、この立ち下がりは、最大強度と最小強度の間の強度で止まり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっているので、距離算出用信号の次の左目画像用のシャッター同期信号も検出が可能である。
【0102】
なお、3Dメガネ50が、この立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、強度の減少量を、3Dメガネ50によるシャッター同期信号の検出感度より小さくしてもよい。この場合には、例えば、シャッター同期信号は検出されるが、距離算出用信号は検出されないような閾値を設定し、この閾値でシャッター同期信号を二値化して検出することにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにすることができる。
【0103】
つまり、シャッター同期信号と距離算出用信号との信号強度が相違している場合には、その相違に基づいて、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号から、シャッター同期信号を識別して検出することができる。
【0104】
また、シャッター同期信号と距離算出用信号とのパルス幅が相違している場合には、表示装置1が放射する光信号から距離算出用信号に対応する周波数成分を除去する周波数フィルタを3Dメガネ50に設けてもよい。
【0105】
この場合、3Dメガネ50は、周波数フィルタを通過することによって距離算出用信号の周波数成分が除去された光信号からシャッター同期信号を検出してシャッターを開閉させるので、距離算出用信号をシャッター同期信号と誤検出する可能性が低減される。
【0106】
例えば、距離算出用信号のパルス幅がシャッター同期信号より短い場合には、ローパスフィルタを用いることにより、距離算出用信号をほぼ完全に除去することができる。また、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせて、シャッター同期信号の成分のみを検出できるようにしてもよい。これにより、距離算出用信号が、映像分離制御部53で検出されなくなるので、シャッター同期信号を確実に検出することが可能になる。
【0107】
同図(b)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた、立ち下がり部分及び立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。この例では、ピークの立ち上がりを交互に右目画像用のシャッター同期信号及び左目画像用のシャッター同期信号としている。
【0108】
また、この例では、左から4番目のピークが、他のピークと比べて早いタイミングで立ち下がって、また立ち上がり、その後、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっている。これにより、左から4番目のピークの形状は、中央部分が欠落したような形状となっている。
【0109】
このような、ピークの途中における立ち下がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち下がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0110】
なお、同図(a)の場合と同様に、3Dメガネ50が、この立ち下がり及び立ち上がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、この立ち下がりから立ち上がりまでのパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。また、3Dメガネ50を、シャッター同期信号を二値化して検出する構成とすることにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにしてもよい。
【0111】
また、ピークの途中における立ち上がりを距離算出用信号として利用することもできる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、一度立ち下がり、その後の立ち上がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。
【0112】
さらに、この立ち下がり及び立ち上がりの後は、他のピークと同じ強度となっており、他のピークと同じタイミングで立ち下がっているので、距離算出用信号の次のシャッター同期信号も検出が可能である。つまり、距離算出用信号の追加は、シャッター同期信号に影響を与えることがない。
【0113】
上記図5(a)(b)の例のように、シャッター同期信号に含まれる1つのパルスの一部を変形(欠落)させた部分を距離算出用信号とすることが好ましいが、同図(c)のような態様も可能である。同図(c)はシャッター同期信号の1つのパルス中に生じさせた立ち上がり部分を距離算出用信号とした例を示している。
【0114】
この例では、ピークの立ち上がりを右目画像用のシャッター同期信号とし、ピークの立ち下りを左目画像用のシャッター同期信号としている。また、この例では、左から4番目のピークが立ち上がった後、立ち下がるまでの間に、もう一つのピークが出現している。これにより、左から4番目のピークの形状は、中央部が突出したような形状となっている。
【0115】
このような、ピークの途中における立ち上がりは、距離算出用信号として利用することができる。つまり、ピークの立ち上がりが検出された後、通常の立ち下がりのタイミングよりも早く、立ち上がりが検出されたときには、距離算出用信号を受信したと判断することができる。同様に、ピークの途中における立ち下がりを距離算出用信号として利用することもできる。
【0116】
なお、3Dメガネ50が、この突出部分の立ち上がり及び立ち下がりをシャッター同期用信号として検出しないようにするため、この突出部分のパルス幅は、3Dメガネ50がシャッター同期信号を検出する帯域より高い帯域とする。言い換えれば、3Dメガネ50でシャッター同期信号を検出する時間分解能よりも短いパルス幅とする。また、3Dメガネ50を、シャッター同期信号を二値化して検出する構成とすることにより、変形部分の強度変化を3Dメガネ50が認識しないようにしてもよい。
【0117】
また、この突出部分を過ぎると、他のピークと同じタイミングで完全に立ち下がっているので、距離算出用信号の次の左目画像用のシャッター同期信号も検出が可能である。つまり、距離算出用信号の追加は、シャッター同期信号に影響を与えることがない。
【0118】
ただし、同図(c)のように、ピークの上にさらにピークが形成されるような信号形状として距離算出用信号を追加するためには、発光部6のパワーを上げるか、あるいは3Dメガネ50におけるシャッター同期信号の検出感度を上げる必要がある。発光部6のパワー増大は、消費電力の増大を招くので、同図(a)(b)のような信号を発生させる方がより好ましい。
【0119】
以上のように、図5(a)〜(c)の例では、シャッター同期信号における、右目用シャッターの開閉及び左目用シャッターの開閉の契機となる連続的な波形部分を保持しつつ、シャッター開閉に影響を与えない部分の信号波形を変形させ、この変形させた部分を距離算出用信号としている。これにより、シャッター同期信号に影響を与えることなく、距離算出信号を含めることができる。
【0120】
このような波形の信号は、例えば発光部6を印加される電圧に応じた強度の光を発するように構成し、発光制御部11が発光部6への印加電圧を制御することによって生成可能である。
【0121】
なお、上記の例では、複数のパルスの1つを変形させる例を示したが、変形させるパルスは、複数であってもよい。例えば、4つおきに変形させる等のように、所定の個数のパルスに対して1つのパルスを変形させてもよい。これにより、距離算出用信号が定期的に送信されることになり、定期的な距離算出が可能になる。なお、変形させるパルスの周期(変形させるパルス間の間隔)は、少なくとも左目画像用のシャッター同期信号及び右目画像用のシャッター同期信号の周期(間隔)よりも長いことが好ましい。
【0122】
また、発光制御部11は、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とすることが好ましい。これにより、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0123】
〔映像調整情報20の例〕
ここで、映像調整情報20について、具体例を挙げて説明する。図6は、映像調整情報20の一例を示す図である。なお、図6において、a、bは予め定めた定数、X1、X2は予め定めた立体強調度、Lは表示装置1からユーザまでの距離である。
【0124】
図6の映像調整情報20は、距離と立体強調度とが対応付けられたものであり、具体的には、b以上の距離Lに対して立体強調度X1が対応付けられており、bより小さくaより大きい距離Lに対して立体強調度X2が対応付けられている。また、a以下の距離Lに対しては、立体強調度0が対応付けられている。すなわち、a以下の距離Lに対しては、2D表示を行うことを示す情報が対応付けられている。
【0125】
したがって、この映像調整情報20を用いる場合には、距離算出部14が算出した距離がb以上であれば立体強調度X1で3D画像を表示し、算出した距離がbより小さくaより大きければ立体強調度X2で3D画像を表示し、算出した距離がa以下であれば2D表示に切り替える。つまり、aは、不快感等を覚えずに視聴可能な限界距離(不快感等を覚えずに視聴可能な距離の下限値)である。
【0126】
なお、X1はX2よりも立体強調度が大きいものとする。すなわち、立体強調度X1で表示する方がX2で表示するよりも、飛び出した(あるいは奥行きのある)映像が視認される。
【0127】
このように、距離に応じて立体強調度を変えることにより、どのような距離からでも安全に視聴させることができる。また、表示装置1から遠ざかる程、ユーザから視認される立体像の立体感は低下するが、距離に応じて立体強調度が高くなる映像調整情報20を用いることにより、表示装置1までの距離にかかわらず、常に一定の立体感を与えることも可能になる。
【0128】
なお、図示の例では、b以上の距離の場合に、立体強調度をX1としているが、予め定めた上限値(立体視が可能な限界距離)以上の距離の場合には、立体強調度を0としてもよい。余りに離れた位置からの視聴では、立体視の効果がなくなるためである。これにより、立体視の効果がないような状況では、3D表示時よりも消費電力の小さい2D表示に自動的に切り替えることができるので、表示装置1の消費電力を低減することができる。
【0129】
また、映像調整情報20は、コンテンツ毎に用意されてもよい。これにより、ユーザは、表示装置1からの距離にかかわらず、コンテンツ製作者の意図に沿った立体強調度でコンテンツを視聴することが可能になる。
【0130】
〔視聴の適正距離について〕
上記のような映像調整情報20を作成する場合、どの程度の距離から視聴することが適当であり、どの程度近付くと問題があるかを把握しておく必要がある。
【0131】
ここで、例えば、ハイビジョンテレビの場合には、画面の高さの3倍の距離だけ離れた位置から視聴することを想定してコンテンツが作成されている。このため、画面の高さの3倍の距離よりも、画面に近付きすぎると視差角が過大となり、視覚疲労や不快感が生じることがある。
【0132】
これについて、図7に基づいて説明する。図7は、視距離と視差角の対応関係を示す図である。なお、視距離は、表示装置からそれを見るユーザまでの距離を示しており、視差角は、表示画面上の一点を見たときの輻輳角(ユーザの右目と表示画面上の一点とユーザの左目とをこの順番で結んで生じる線分のなす角、図7で実線同士のなす角)と、両眼視差により決まる立体を見たときの輻輳角(ユーザの右目と立体像が見える位置とユーザの左目とをこの順番で結んで生じる線分のなす角、図7で点線同士のなす角)との差を示す。つまり、視差角が大きいほど、画像は飛び出して(あるいは奥行きがあるように)見える。
【0133】
図示のように、視差角は、視距離が短くなるほど大きくなり、視距離が長くなるほど小さくなる。一般に、視差角は、2°以下とすることが好ましく、1°以下とすれば、より安全であると言われている。
【0134】
したがって、映像調整情報20における「距離」は、視差角が2°となる視距離及び視差角が1°となる視距離の何れかまたは両方に基づいて設定すればよい。例えば、視差角が2°となる視距離を図6のaとし、視差角が1°となる視距離を図6のbとしてもよい。なお、上記の説明では、距離の範囲をb以上、bより小さくaより大きい、a以下の3つに区分したが、距離の範囲の区分は2区分としてもよいし、4区分以上としてもよい。
なお、3D映像の視聴による不快感、疲労等の発生には個人差があり、また、コンテンツの内容、視聴時間等の影響もある。このため、映像調整情報20における「距離」を設定する際の基準とする視差角は、上記の例に限られない。
【0135】
〔反射膜55の形状・配置について〕
反射膜55の好ましい形状・配置について、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、表示装置1までの距離から反射膜55の好ましい角度を求める方法を示す図であり、図9は反射膜55の配置例を示す図である。
【0136】
図9では、表示装置から3Dメガネまでの距離Lを、ハイビジョンテレビの視聴に適した3×Hとしている(Hは表示装置の画面の垂直方向の幅)。また、3Dメガネが表示装置の表示面の中心に対して真正面に位置していることを想定している。つまり、表示装置の下端から3Dメガネまでの垂直方向の距離DはH/2ということになる。さらに、ここでは、受光部が表示装置の下端に設けられていることを想定している。
【0137】
このような位置の3Dメガネからの反射光が、表示装置の下端に設けられている受光部に受光されるようにするためには、図示のように、3Dメガネの面(反射膜)が垂直方向に対してなす角度をθとしたときに、θ=arctan(D/L)となるようにすればよい。ここでは、D=H/2であり、L=3Hであるから、θ=9.5°となる。なお、受光部が表示装置の上端に設けられている場合にも、同様にθ=9.5°となる。
【0138】
以上のことから、受光部が表示装置の下端に設けられている場合には、3Dメガネの反射膜は、垂直方向に対して、表示装置側に9.5°傾いて設けられることが好ましい。
【0139】
例えば、3Dメガネ50を図9(a)のような構成としてもよい。図9(a)は、反射膜55を傾斜させた3Dメガネ50の構成例を示している。図示の3Dメガネ50は、点Pを境にユーザ側に傾斜した形状となっており、この傾斜した部分に反射膜55が設けられている。この構成では、傾斜角度θを9.5°とすることによって、反射膜55からの反射光を、表示装置の下端に設けられている受光部に受光させやすくなる。
【0140】
また、3Dメガネ50を図9(b)のような構成としてもよい。図9(b)は、反射膜55を湾曲させた3Dメガネ50の構成例を示している。図示の3Dメガネ50は、点Pを境にユーザ側に湾曲した形状となっており、この湾曲した部分に反射膜55が設けられている。
【0141】
この構成では、湾曲部分と垂直方向とがなす角度θを9.5°とすることによって、反射膜55からの反射光を、表示装置の下端に設けられている受光部に受光させやすくなる。また、反射膜55の表面を湾曲させることによって、反射光を拡散させることができるので、同図(a)の場合と比べて、より反射光を受光部5に受光させやすい。
【0142】
なお、図9(a)(b)の例では、3Dメガネ50自体の形状を傾斜または湾曲させているが、3Dメガネ50に対して反射膜55を傾斜させて固定してもよいし、湾曲した形状の反射膜55を用いてもよい。また、反射膜55として、コーナー・キューブ・ミラーを適用してもよい。この場合、入射光と同じ方向に反射するので、発光部6と受光部5とを近接した位置に配置する。
【0143】
また、図9(a)(b)の例では、3Dメガネ50の偏光板の表側の面に反射膜55を固定した例を示しているが、反射膜55の固定位置は、3Dメガネ50を着用したユーザが表示装置1の方向を向いた状態において、表示装置1の発光部6からの光を受光できる位置であればよく、特に限定されない。例えば、偏光板の内側の面(ユーザに面している側の面)に固定してもよいし、図2等の例のように、偏光板と偏光板の間に固定してもよいし、偏光板の上側や3Dメガネ50の「つる」の部分に固定してもよい。
【0144】
〔3D画像表示時の処理の流れ〕
続いて、表示装置1が3D画像を表示しているときに行う処理の流れを図10に基づいて説明する。図10は、表示装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図10の処理は、表示装置1に3D画像の表示を開始させる操作(表示装置1の電源を入れる操作または2D表示から3D表示に切り替える操作等)を行った直後に行われる処理である。
【0145】
まず、3D画像表示処理部10は、表示部4に3D画像を表示させる(S1)。また、3D画像表示処理部10は、シャッター同期信号を含むパルス信号を送信するように、発光制御部11に指示する。
【0146】
また、距離算出部14は、距離算出用信号を送信するように、発光制御部11に指示する。これらの指示を受信した発光制御部11は、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含むパルス信号を発光部6から発生させる(S2)。発光部6が発生させた信号は、3Dメガネ50の受光部54で受光されると共に、反射膜55で反射されて、表示装置1の受光部5で受光される(S3)。
【0147】
受光部54でこの信号を受光した3Dメガネ50では、映像分離制御部53が、受光した信号から右目画像用のシャッター同期信号と、左目画像用のシャッター同期信号とを検出し、その検出結果に応じてシャッター51の開閉を制御する。これにより、ユーザの右目には右目用画像を、左目には左目用画像を見せる。
【0148】
一方、表示装置1の距離算出用信号検出部12は、受光部5で受光されたパルス信号から、距離算出用信号を検出し、その距離算出信号が検出された時刻を示す受信時刻情報を距離算出部14に送信する。
【0149】
距離算出用信号検出部12から受信時刻情報を受信した距離算出部14は、距離算出用信号の送信を指示した時刻と上記受信時刻情報から、表示装置1から3Dメガネ50までの距離を算出する(S4)。
【0150】
具体的には、距離算出部14は、受信時刻情報が示す時刻から、距離算出用信号の送信を指示した時刻を減算して、距離算出用信号の送信から受信までの時間を求める。そして、表示装置1から3Dメガネ50までの距離Lを、2L=ct(c:光速、t:求めた時間)の式で算出する。
【0151】
なお、距離算出部14は、距離算出用信号の送信を指示したときにタイマーをスタートさせ、距離算出用信号検出部12から距離算出用信号を受信した旨の通知を受信したときにタイマーをストップさせることにより、距離算出用信号の送信から受信までの時間を特定してもよい。この場合には、距離算出用信号検出部12は、受信時刻情報を送信する代わりに、距離算出用信号を受信した旨の通知を距離算出部14に送信する。
【0152】
また、複数人で表示装置1の表示する画像を見ている場合には、各人が使用している3Dメガネ50のそれぞれで反射した距離算出用信号が検出される。このような場合には、最も早いタイミングで受信した距離算出用信号に基づいて距離を算出する。これは、最も表示装置1の近くで見ているユーザが、最も健康被害を受ける可能性が高いと考えられるためである。
【0153】
そして、距離算出部14は、以上のようにして算出した距離を3D画像表示処理部10に通知する。距離算出部14から距離の通知を受信した3D画像表示処理部10は、通知された距離に応じて表示画像を調整する(S5)。
【0154】
具体的には、3D画像表示処理部10は、記憶部3に格納されている映像調整情報20を参照して、距離算出部14から通知された距離に対応する表示設定を特定し、特定した表示設定に従って画像の表示を行う。例えば、図6の映像調整情報20を用いた場合には、距離Lがb以上であれば立体強調度をX1とする。
【0155】
ここで、例えば、図6の映像調整情報20を用いた場合に、距離Lがa以下であったときのように、表示画像の調整によって3D画像から2D画像への切り替えが行われることがある。
【0156】
このため、3D画像表示処理部10は、3D表示を終了したか否かを確認する(S6)。ここで3D表示の終了を確認した場合(S6でYES)には、3D画像表示処理は終了する。一方、3D表示の継続を確認した場合(S6でNO)には、処理はS1に戻る。
【0157】
なお、3D表示を終了すべき距離が通知された場合、3D画像表示処理部10は、視聴位置に問題があることをユーザに通知するために警告を行ってもよい。警告は、文字等を表示部4に表示させることによって行ってもよいし、音や光を発することで行ってもよい。
【0158】
また、S6からS1に遷移した後のS2では、発光制御部11は、前回の距離算出用信号の送信から検出までの時間よりも長い時間が経過したときに、シャッター同期信号と距離算出用信号とを含む信号を送信することが好ましい。前回の距離算出用信号が検出される前に次の距離算出用信号を送信した場合には、検出された距離算出用信号が何れのタイミングで送信したかの判別が困難になり、正確な距離算出ができないおそれがあるためである。
【0159】
すなわち、発光制御部11は、距離算出用信号を放射させる間隔を、距離算出用信号の送信から、この距離算出用信号を距離算出用信号検出部12が検出するまでの間隔以上とすることが好ましい。これにより、先に送信した距離算出用信号の検出前に、次の距離算出用信号が送信されることによって、次の距離算出信号の方が先に検出されて、誤った距離が算出されることを防ぐことができる。
【0160】
また、S6からS1に遷移しないように構成することもできる。つまり、一度距離を測定した後は、3D表示終了まで再度距離を測定しない構成としてもよい。ただし、視聴中にユーザが移動することも考えられるので、上記の例のように、3D表示中は、一定期間ごとに距離を測定し、その結果に応じて立体強調度の調整を行うことが好ましい。
【0161】
さらに、上記では、距離が算出できることを前提として説明を行ったが、視聴者がいない場合や、表示装置1までの距離が近すぎる場合等には、距離の算出ができないことも考えられる。このため、距離算出部14は、距離算出用信号の送信後、所定の時間が経過しても距離算出信号の受信が検出されない場合には、3D画像表示処理部10に指示して2D表示に切り替えさせてもよいし、画像の表示を終了させる(電源を切る)制御を行ってもよい。
【0162】
〔角度算出処理の流れ〕
続いて、表示装置1の正面方向に対して、3Dメガネ50を着用したユーザがどのような角度に位置しているかを算出する角度算出処理の流れを図11に基づいて説明する。図11は、角度算出処理の一例を示すフローチャートである。なお、角度算出処理は、距離の測定と同様に、3D画像の表示中に行われる。
【0163】
まず、角度算出部15は、発光部6からの信号が放射される領域のスキャンを開始する(S10)。具体的には、角度算出部15は、駆動制御部13に指示して、遮光される領域(非照射領域)が、発光部6からの信号が放射される領域の水平方向の一端から他端まで、一定の速度で移動するように、発光部6上で遮光部8を移動させる。
【0164】
つまり、駆動制御部13は、発光部6の水平方向の一端から他端まで一定速度で遮光部8を移動させる。また、角度算出部15は、遮光部8の移動開始から終了までの間、受光部5が検出した信号を取得する。なお、遮光される領域に入った3Dメガネ50は、シャッター同期信号を受信できなくなるため、遮光される領域の移動速度は、シャッターの切り替え速度より速く設定することが好ましい。あるいは、3Dメガネ50が遮光される領域に入った場合でも、同期信号の一部を受信できる程度の小さなサイズの遮光部を用いることによって、シャッター同期信号の受信と、遮光による反射光の強度変化の検出とが両立されるようにしてもよい。
【0165】
発光部6からの信号が放射される領域の水平方向の一端から他端までのスキャンが終了する(S11)と、角度算出部15は、スキャンの間に取得した信号から、反射光が弱くなったときの遮光部8の位置を特定する。そして、特定した位置に基づき、反射光が弱くなったときの角度を特定する(S12)。
【0166】
具体的には、角度算出部15は、表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度を特定する。なお、角度算出部15は、演算によってこの角度を算出してもよいし、予め遮光部8の位置と角度とを対応付けた対応情報を格納しておき、この対応情報から角度を特定してもよい。遮光部8の位置は、遮光部8の移動速度と移動開始からの時間から求めることができる。
【0167】
続いて、角度算出部15は、算出した角度が閾値以上であるか否か確認する(S13)。閾値は予め定められたものであり、例えば35°程度としてもよい。無論、閾値はこの例に限られず、表示するコンテンツ、視聴するユーザ等に応じて35°より大きい値としてもよいし、小さい値としてもよい。
【0168】
ここで、算出した角度が閾値より小さいことが確認された場合(S13でNO)には、角度算出部15は、角度算出処理を終了する。一方、算出した角度が閾値以上であることが確認された場合(S13でYES)には、角度算出部15は、3D画像表示処理部10に指示して3D表示を終了させる(S14)。
【0169】
なお、この指示を受信した3D画像表示処理部10は、3D表示を2D表示に切り替えてもよいし、画像の表示を終了してもよい。また、3D画像表示処理部10は、視聴位置に問題があることをユーザに通知するために警告を行ってもよい。警告は、文字等を表示部4に表示させることによって行ってもよいし、音や光を発することで行ってもよい。
【0170】
そして、上記の例では、角度が閾値以上であるか否かに応じて3D表示の可否を判断しているが、角度の値に応じた立体強調度を予め定めておき、特定された角度に応じた立体強調度で3D表示を行うようにしてもよい。
【0171】
さらに、上記の例では、水平方向の位置を特定しているが、同様にして垂直方向の位置を特定することもできる。垂直方向の角度(表示装置1の水平方向の中心部から正面方向に向かう直線と、該中心部と3Dメガネ50とを結ぶ直線とがなす角度)の閾値は、例えば20°としてもよい。
【0172】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0173】
最後に、表示装置1の各ブロック、特に制御部2は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0174】
後者の場合、表示装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記表示装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0175】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0176】
また、表示装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、立体視用のメガネの左右のシャッターの開閉と、右目用画像と左目用画像との切り替えとを同期させることによって立体視を可能にする表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0178】
1 表示装置
5 受光部
6 発光部
7 駆動部
8 遮光部
10 3D画像表示処理部(表示画像調整手段)
11 発光制御部(発光制御手段)
12 距離算出用信号検出部(距離算出用信号検出手段)
13 駆動制御部(駆動制御手段)
14 距離算出部(距離算出手段)
15 角度算出部(方向特定手段)
20 映像調整情報(対応情報)
50 3Dメガネ(立体視用のメガネ)
51 シャッター
100 表示システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置であって、
自装置の外部に光信号を放射する発光部と、
上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、
上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、
上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、
上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、
距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記距離算出手段は、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出手段による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記発光制御手段は、上記距離算出用信号を含む光信号を放射させ、該距離算出用信号を上記距離算出用信号検出手段が検出した後に、上記距離算出用信号を含む光信号を再び放射させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の一定周期ごとに上記距離算出用信号が含まれる光信号を放射させることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を上記距離算出用信号検出手段が上記距離算出用信号として検出可能とした光信号を放射させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記対応情報は、予め定めた下限値以下の距離、及び予め定めた上限値以上の距離の少なくとも何れかに、二次元画像を表示する表示設定が対応付けられたものであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
上記発光部が発する光信号の一部を遮ることにより、上記発光部が発する光信号が放射される領域内に該光信号の届かない非照射領域を生じさせる遮光部と、
上記遮光部を移動させる駆動部と、
上記駆動部が上記遮光部を移動させている間に、上記受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置に基づいて、上記ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方向特定手段とを備え、
上記表示画像調整手段は、上記方向特定手段が特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置と、上記立体視用のメガネとを含む表示システム。
【請求項9】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、
上記光信号から上記距離算出用信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを備え、
上記周波数フィルタを通過した上記光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させることを特徴とするメガネ。
【請求項10】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、
上記シャッター同期信号と上記距離算出用信号との信号強度の相違に基づき、上記光信号から上記シャッター同期信号を識別して検出することを特徴とするメガネ。
【請求項11】
表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置の制御方法であって、
上記表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネでからの戻り光を受光する受光部とを備え、
上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、
上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、
上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、
距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含むことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項12】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置であって、
自装置の外部に光信号を放射する発光部と、
上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネからの戻り光を受光する受光部と、
上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御手段と、
上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出手段と、
上記距離算出用信号検出手段が検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出手段と、
距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出手段が算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整手段とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記距離算出手段は、上記距離算出用信号の送信から、上記距離算出用信号検出手段による該距離算出用信号の検出までの時間に基づき、上記ユーザまでの距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記発光制御手段は、上記距離算出用信号を含む光信号を放射させ、該距離算出用信号を上記距離算出用信号検出手段が検出した後に、上記距離算出用信号を含む光信号を再び放射させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の一定周期ごとに上記距離算出用信号が含まれる光信号を放射させることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記発光制御手段は、上記シャッター同期信号の信号波形を、シャッター同期信号としての情報を欠落させることなく変形させることにより、該変形部分を上記距離算出用信号検出手段が上記距離算出用信号として検出可能とした光信号を放射させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記対応情報は、予め定めた下限値以下の距離、及び予め定めた上限値以上の距離の少なくとも何れかに、二次元画像を表示する表示設定が対応付けられたものであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
上記発光部が発する光信号の一部を遮ることにより、上記発光部が発する光信号が放射される領域内に該光信号の届かない非照射領域を生じさせる遮光部と、
上記遮光部を移動させる駆動部と、
上記駆動部が上記遮光部を移動させている間に、上記受光部が受光した光信号の光量が減少したときの遮光部の位置に基づいて、上記ユーザが自装置に対して何れの方向に位置しているかを特定する方向特定手段とを備え、
上記表示画像調整手段は、上記方向特定手段が特定した方向が、予め定めた範囲外の方向である場合に、表示する画像を二次元画像に切り替えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置と、上記立体視用のメガネとを含む表示システム。
【請求項9】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、
上記光信号から上記距離算出用信号の周波数成分を除去する周波数フィルタを備え、
上記周波数フィルタを通過した上記光信号から検出したシャッター同期信号に従ってシャッターを開閉させることを特徴とするメガネ。
【請求項10】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置が表示する画像を立体視するためのメガネであって、
上記シャッター同期信号と上記距離算出用信号との信号強度の相違に基づき、上記光信号から上記シャッター同期信号を識別して検出することを特徴とするメガネ。
【請求項11】
表示する画像の切り替えタイミングと、立体視用のメガネのシャッターの開閉タイミングとを同期させて、上記メガネを着用しているユーザに上記画像を立体視させる表示装置の制御方法であって、
上記表示装置は、自装置の外部に光信号を放射する発光部と、上記発光部が放射した光信号の上記ユーザまたは上記メガネでからの戻り光を受光する受光部とを備え、
上記発光部を制御して、上記シャッターの開閉タイミングを示すシャッター同期信号と、自装置から上記ユーザまでの距離を測定するための距離算出用信号とを含む光信号を放射させる発光制御ステップと、
上記受光部が受光した戻り光から上記距離算出用信号を検出する距離算出用信号検出ステップと、
上記距離算出用信号検出ステップで検出した距離算出用信号に基づき、上記ユーザまでの距離を算出する距離算出ステップと、
距離と、画像の立体表示に関する表示設定とが対応付けられた対応情報を参照して、上記距離算出ステップで算出した距離に応じた表示設定で画像を表示する表示画像調整ステップとを含むことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項12】
請求項1から7の何れか1項に記載の表示装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−147328(P2012−147328A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5118(P2011−5118)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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