説明

表示装置および表示方法

【課題】往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することが可能な表示装置を実現する。
【解決手段】液晶テレビ1は、液晶パネル110bに映像が表示されるように、液晶テレビ1の外部に向けて光を照射するバックライト110aと、バックライト110aに光を照射させるか否かを制御するバックライト制御回路110cと、を備えている。バックライト制御回路110cは、バックライト110aが光を照射しない1/96秒の期間とバックライト110aが光を照射する1/96秒の期間とが交互に繰り返すようバックライト110aを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置、およびそのような表示装置における表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画がDVDやBD等の形態で販売されるようになっており、自宅等において液晶テレビやプラズマテレビ等で視聴する機会が増えてきている。
【0003】
DVDやBD等は記録画素数が高く、液晶テレビやプラズマテレビ等は、一般にブラウン管型のテレビに比べ高精細な表示が可能である。
【0004】
また、特許文献1に記載されているように、最近の液晶テレビは、1080/24pの映像入力に対応しているものが多い。
【0005】
1080/24pの映像入力に対応している液晶テレビでは、BDプレーヤ等から1080/24pの映像が入力された場合に、プルダウン処理を介在させることなく、24pの映像を48Hz駆動や120Hz駆動で表示することができるので、映画館で鑑賞する映像の質感を従来の液晶テレビより忠実に再現することができる。
【0006】
また、映画をより高画質な映像で鑑賞するための技術として他にも特許文献1や特許文献2等に開示されている技術がある。
【0007】
ところで、DVDやBD等の形態で販売される映画の中には、最近の映画だけでなく、「オズの魔法使い」「風と共に去りぬ」「巴里のアメリカ人」といった往年の名作映画もある。
【0008】
これらの名作映画は、現在から比較すると古い撮影技術で撮影され古い上映技術で上映されていたため、投影される映像には、昨今のデジタル映像のそれとは異なる独特な精細感、ノイズやちらつき等が生じていた。一般に、ノイズやちらつきは画質に悪影響を与える要素となるが、往年の名作映画をこよなく愛する映画ファンの中には、このような名作映画を鑑賞する場合に、高画質な映像ではなく、独特なノイズやちらつきが生じる当時の映像の雰囲気そのままを楽しみたいと思うファンも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−300785号公報(平成21年12月24日公開)
【特許文献2】特開2008−79287号公報(平成20年4月3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、ローカルディミング技術やノイズを抑えるノイズリダクション技術等、画質を向上させる様々な技術が採用されているため、このことが逆に災いして、往年の名作映画の映像を表示した場合に、当時の映像の雰囲気を忠実に鑑賞者に伝えられないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することが可能な表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、表示面に1秒間にnコマの映像を表示する表示装置において、上記表示面に上記映像が表示されるように、上記表示装置の外部に向けて光を照射する光源部と、上記光源部に光を照射させるか否かを制御する光源制御部と、を備え、上記光源制御部は、上記光源部が光を照射する照射期間と上記光源部が光を照射しない非照射期間とが交互に繰り返すように上記光源部を制御するようになっており、上記照射期間および上記非照射期間は、共に、1÷(m×n)秒(m:2以上の整数)であることを特徴としている。
【0013】
したがって、上記表示装置は、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することができるという効果を奏する。
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係る表示方法は、表示面に1秒間にnコマの映像を表示する表示装置の表示方法において、上記表示面に映像が表示されるように、上記表示装置の外部に向けて光源部が光を照射する照射工程と、上記光源部に光を照射させるか否かを光源制御部が制御する光源制御工程と、を含み、上記光源制御工程にて、上記光源部が光を照射する照射期間と上記光源部が光を照射しない非照射期間とが交互に繰り返すように上記光源制御部が上記光源部を制御するようになっており、上記照射期間および上記非照射期間は、共に、1÷(m×n)秒(m:2以上の整数)であることが望ましい。
【0015】
上記の構成によれば、本発明に係る表示方法は、本発明に係る表示装置と同様の作用効果を奏する。
【0016】
上記表示装置は、上記表示面に表示される映像の画質設定指示をユーザから受け付ける指示受付部をさらに備え、上記指示受付部が受け付けた指示が上記映像を所定の画質に設定する旨の指示である場合に限り、上記光源制御部が上記制御を行うことが望ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記表示装置は、ユーザが所定の画質に設定する旨の指示を行った場合に限り、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することができる。
【0018】
すなわち、上記表示装置は、ユーザが所定の画質に設定した場合には、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を再現し、所定の画質以外の画質に設定した場合には、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を再現しない。
【0019】
これにより、表示装置は、映像を表示するコンテンツの内容に応じて適切な映像を表示することができるというさらなる効果を奏する。
【0020】
上記表示装置は、上記表示面に映像を表示すべき映像信号からノイズを除去するノイズ除去部を備え、上記指示受付部が上記所定の画質に設定する旨の指示を受け付けた場合には、上記ノイズ除去部は上記映像信号からノイズを除去しないことが望ましい。
【0021】
上記の構成によれば、上記表示装置は、ユーザが上記所定の画質に設定する旨の指示を行った場合、表示面に映像を表示すべき映像信号からノイズを除去しない。すなわち、上記映像信号が表わす映像にグレインノイズ等のノイズが含まれる場合には、表示面に表示される映像にはノイズが再現されることになる。
【0022】
したがって、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、より忠実に再現することができるというさらなる効果を奏する。
【0023】
上記表示装置は、上記映像信号に超解像化処理を施す超解像化部をさらに備えていることが望ましい。
【0024】
上記の構成によれば、ユーザが上記所定の画質に設定する旨の指示を行った場合、表示面に表示される映像からはノイズが除去されないだけでなく、上記映像には超解像化処理が施されていることになる。すなわち、表示面に表示される映像にはノイズがよりくっきりと再現されることになる。
【0025】
したがって、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、さらに忠実に再現することができるというさらなる効果を奏する。
【0026】
上記表示装置は、上記表示面に映像を表示すべき映像信号にフィルムデジャダリング処理を施すデジャダリング部を備え、上記指示受付部が上記所定の画質に設定する旨の指示を受け付けた場合には、上記デジャダリング部は上記映像信号に上記フィルムデジャダリング処理を施さないことが望ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記表示装置は、ユーザが上記所定の画質に設定する旨の指示を行った場合、表示面に映像を表示すべき映像信号が24コマの映像信号であっても該映像信号にフィルムデジャダリング処理を施さない。従って、表示面には、コマ送り再生が行われているかのように映像が表示される。
【0028】
したがって、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、より忠実に再現することができるというさらなる効果を奏する。
【0029】
上記表示装置は、上記表示面に映像を表示すべき映像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調部を備えていることが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、表示面に表示される映像は、映像に含まれる物体の像の輪郭がより強調されるようになる。
【0031】
これにより、上記表示装置は、往年のフィルム映画特有の精細感を再現することができる。したがって、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、より忠実に再現することができるというさらなる効果を奏する。
【0032】
上記表示装置は、上記照射期間および上記非照射期間の長さを、1÷(m×n)秒を含む範囲内で、ユーザが指定した長さに設定する設定手段を更に備えている、ことが望ましい。
【0033】
上記の構成によれば、ユーザは映像のちらつき感を調整することができるので、上記表示装置は、映像を鑑賞中のユーザにとってフィルム映像の雰囲気を感じやすい最適な映像を、そのユーザに鑑賞させることができるというさらなる効果を奏する。
【0034】
また、蛍光灯等の点灯周波数には地域ごとに違いがある(例えば、NTSC地域:60Hz、PAL・SECAM地域:50Hz)ため、地域ごとにフィルム映像の雰囲気を感じやすい最適なバックライトの点灯周波数は異なる。上記の構成によれば、上記表示装置は、設置されている地域に応じてフィルム映像の雰囲気を感じやすい最適な照射期間および上記非照射期間をユーザに設定させることができるというさらなる効果を奏する。
【0035】
なお、上記nの値は24であり、上記mの値は4であることが望ましい。
【0036】
上記の構成によれば、上記表示装置は、秒間24コマのフィルム映画の映像をより忠実に再現することができるというさらなる効果を奏する。
【0037】
なお、上記nの値は60であり、且つ、上記mの値は2であってもよいし、上記nの値は50であり、且つ、上記mの値は2であってもよい。
【0038】
上記の構成によれば、上記表示装置は、一般的なテレビ放送などで用いられる60コマの映像をより鮮明に表示することができる。すなわち、上記の構成は、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を忠実に再現するものではないが、出願人が発明の過程で、上記の構成により前述の効果を見出したものである。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係る表示装置は、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶テレビの一部分(特に、映像処理回路およびLCD)の詳細な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶テレビの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、映画(クラシック)モードにおけるバックライトの点灯および消灯のタイミングを示した図である。図3(a)は24pの入力映像を4倍速駆動で表示した場合の図であり、図3(b)は、60pの入力映像をスキャン倍速駆動で表示した場合の図である。
【図4】図4の(a)〜(d)は映画(クラシック)モードにおけるバックライトの点灯周波数を調整するメニュー画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、映画(クラシック)モードにおけるバックライトの点灯周波数を調整する画面の別の一例を示す図である。
【図6】図6は、液晶パネルの各帯状領域の背面にあるバックライトの点灯および消灯を、バックライトスキャン技術を用いて制御するタイミングを示すタイミングチャートと、上記タイミングチャートにおけるある期間において液晶パネルに表示される映像と、を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、以下の説明においては、表示装置として液晶ディスプレイを備えたテレビジョン受像機(以下「液晶テレビ」と呼称する)を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、液晶テレビは、表示装置として機能する機器の一例に過ぎず、例えば、プラズマテレビ、ビデオプロジェクタ、CRT、液晶ディスプレイモニタなど他の機器に置換可能である。
【0042】
本実施形態に係る液晶テレビには、ゲームモードや通常の映画モード等の画質調整モードが備わっているが、従来ない画質調整モードとして映画(クラシック)モードが備わっている。映画(クラシック)モードは、往年の名作映画の映像を表示した場合に前述したような独特な精細感、ノイズやちらつき等ができるだけ再現されるような画質(所定の画質)にするための画質調整モードである。
【0043】
〔液晶テレビの構成〕
液晶テレビ1の構成について、図1および図2を参照して説明する。図2は、液晶テレビ1の構成を示す図であり、図1は、主に、テレビ1の一部分の構成(特に、映像処理回路108およびLCD110の構成)を詳細に示した図である。
【0044】
図2に示すように、テレビ1は、3つのHDMI入力端子11a〜11c、HDMIスイッチ11d、HDMIレシーバ100、映像入力端子101a、音声入力端子101b、BDドライブ102、チューナ103、IP放送チューナ104、衛星放送チューナ105、OSD生成部106、映像セレクタ107、映像処理回路108、LCDコントローラ109、LCD(Liquid Crystal Display)110、音声セレクタ111、音声処理回路112、デジタルアンプ113、スピーカ114、イーサネット(登録商標)I/F115、ROM116、RAM117、CPU118、赤外線受光部119、カメラ120、人感センサ121、及び、照度センサ122を備えている。図2においては、映像信号の経路を実線で、音声信号の経路を1点鎖線で、データや制御信号の経路(バス)を太線で示している。
【0045】
(1)HDMIレシーバ100が受信した映像、(2)映像入力端子101aから入力された映像、(3)BDドライブ102がBD(Blu-ray Disc)から読み出した映像、(4)(地上波デジタル放送用)チューナ103が受信した映像、(5)IP放送チューナ104が受信した映像、及び、(6)衛星放送チューナ105が受信した映像は、それぞれ、映像セレクタ107に供給される。また、(1)HDMIレシーバ100が受信した音声、(2)音声入力端子101bから入力された音声、(3)BDドライブ102がBDから読み出した音声、(4)チューナ103が受信した音声、(5)IP放送チューナ104が受信した音声、及び、(6)衛星放送チューナ105が受信した音声は、それぞれ、音声セレクタ111に供給される。
【0046】
なお、(a)HDMIレシーバ101が何れのHDMI入力端子から入力されるコンテンツを受信するか、すなわち、HDMIスイッチ11dが何れのHDMI入力端子から入力されたコンテンツをHDMIレシーバ100に供給するか、(b)チューナ103が何れのチャンネルを介して伝送されたコンテンツを受信するか、(c)IP放送チューナ104が何れのサーバから配信されたコンテンツを受信するか、(d)衛星放送チューナ105が何れのチャンネルを介して伝送されたコンテンツを受信するかを決める選択制御は、CPU118によって行われる。また、(e)BDドライブ102における再生、停止、早送り、巻戻し、チャプタ遷移などの再生制御も、CPU118によって行われる。
【0047】
映像セレクタ107は、(1)HDMIレシーバ100から供給された映像、(2)映像入力端子101aから供給された映像、(3)BDドライブ102から供給された映像、(4)チューナ103から供給された映像、(5)IP放送チューナ104から供給された映像、及び、(6)衛星放送チューナ105から供給された映像のうちの何れか1つを選択する。映像セレクタ107によって選択された映像は、映像処理回路108に供給される。なお、映像セレクタ107が何れの映像を選択するかは、CPU118によって制御される。
【0048】
映像処理回路108は、映像セレクタ107から供給された映像の画質を調整する。また、映像処理回路108は、映像セレクタ107から供給された映像をスケーリングする。ここで、画質の調整とは、例えば、輝度、シャープネス、及び、コントラストの少なくとも何れかを変化させることを指す。また、スケーリングとは、表示すべき映像本来のアスペクト比を保ったままサイズを縮小することを指す。映像処理回路108によって画質調整とスケーリングとを施された映像は、LCDコントローラ109に供給される。なお、映像処理回路108が画質をどのように変化させるか、及び、映像をどの程度縮小するかは、CPU118によって制御される。
【0049】
LCDコントローラ109は、映像処理回路108から供給された映像が表示されるようにLCD110を駆動する。これにより、映像セレクタ107により選択された映像がLCD110から出力される。なお、OSD生成部106からOSD画像が供給されている場合、LCDコントローラ109は、OSD生成部106から供給されたOSD画像を映像処理回路108から供給された映像に重ねて表示する。また、LCDコントローラ109は、秒間何コマの映像信号が前段から入力されているかをバックライト制御回路110cに通知するようになっている。
【0050】
音声セレクタ111は、HDMIレシーバ100から供給された音声、映像入力端子101aから供給された音声、BDドライブ102から供給された音声、チューナ103から供給された音声、IP放送チューナ104から供給された音声、及び、衛星放送チューナ105から供給された音声のうちの何れか1つを選択する。音声セレクタ111によって選択された音声は、音声処理回路112に供給される。なお、音声セレクタ111が何れの音声を選択するかは、CPU118によって制御される。ただし、映像セレクタ107における映像の選択と、音声セレクタ111における音声の選択と、は連動しており、例えば、映像セレクタ107がHDMIレシーバ100から供給された映像を選択しているときには、音声セレクタ111もHDMIレシーバ100から供給された音声を選択する。
【0051】
音声処理回路112は、音声セレクタ111から供給された音声の音量及び音質を調整する。ここで、音質の調整とは、音声セレクタ111から供給された音声の周波数特性を変化させること(例えば、低域の強調や高域の強調など)を指す。音声処理回路112によって音量及び音質を調整された音声は、デジタルアンプ113に供給される。なお、音声処理回路112によって音量及び音質をどのように変化させるかは、CPU118によって制御される。
【0052】
デジタルアンプ113は、音声処理回路112から供給された音声が出力されるようにスピーカ114を駆動する。これにより、音声セレクタ111により選択された音声がスピーカ114から出力される。
【0053】
CPU118は、赤外線受光部119が受信したリモコン信号、カメラ120が撮像した画像、人感センサ121が出力するセンサ信号、及び、照度センサ122が出力するセンサ信号に応じて上記各部を制御する。人感センサ121のセンサ信号は、その感知範囲内に視聴者が存在するか否かを示す2値信号である。また、照度センサ122のセンサ信号は、照度センサ122の周囲の照度(明るさ)を示す多値信号である。赤外線受光部119を用いた制御としては、例えば、画質調整モードをリモコン信号(画質設定指示)に応じて切り替える制御や、チューナ104にて選択するチャンネルをリモコン信号に応じて切り替える制御、映像セレクタ107及び音声セレクタ111にて選択する映像及び音声をリモコン信号に応じて切り替える制御などが挙げられる。また、カメラ120を用いた制御としては、例えば、映像処理回路108において画質をどのように調整するかを、撮像した画像に基づいて特定した視聴者に応じて切り替える制御などが挙げられる。また、人感センサ121を用いた制御としては、例えば、LCD110のバックライトを点灯するか消灯するかを、感知結果に応じて切り替える制御などが挙げられる。
【0054】
また、CPU118は、画質調整モードが映画(クラシック)モードになっている間、制御信号を画像処理回路108およびLCD110に供給するようになっている。
【0055】
ROM116は、CPU118によって実行されるプログラムなどの固定データが格納される、読み出し可能かつ書き込み不能なメモリである。OSD画像を生成するためにOSD生成部106が参照するJPEGデータやSVG(Scalable Vector Graphics)データなども、このROM116に格納される。一方、RAM117は、CPU118が演算のために参照するデータ、及び、CPU118が演算によって生成したデータなどの可変データが格納される、読み出し可能かつ書き込み可能なメモリである。
【0056】
イーサネットI/F115は、テレビ1をネットワークに接続するためのインターフェースである。上述したIP放送チューナ105は、このイーサネットI/F115を介してインターネット上のサーバにアクセスする。
(映像処理回路108の構成)
映像処理回路108は、テレシネ変換映像検出回路1081、切換回路1082a〜1082c、IP変換回路1083、24コマ映像復元回路1084、超解像回路1085、エッジ強調回路1086、ノイズリダクション回路1087、およびフィルムデジャダリング処理回路1088を備えている。
【0057】
テレシネ変換映像検出回路1081は、映像処理回路108に入力された信号が、テレシネ変換されたインタレース映像信号であるか否かを検出する回路である。
【0058】
IP変換回路1083は、インタレース映像信号をプログレッシブ映像信号に変換する回路である。
【0059】
24コマ映像復元回路1084は、テレシネ変換の逆変換を行い24コマの映像信号を再構成する回路である。
【0060】
超解像回路1085は、入力される映像信号に対して超解像化処理を施す回路である。超解像化処理を施した画像は、超解像化処理を施す前の画像よりも解像度が高くなるようになっている。
【0061】
エッジ強調回路1086は、入力される映像信号に対してエッジ強調処理を施す回路である。エッジ強調処理を施さずに表示する映像に比べ、エッジ強調処理した映像では、映像中の物体の像の輪郭が強調されるようになっている。
【0062】
ノイズリダクション回路1087は、映像信号にノイズリダクション処理を施す回路である。ノイズリダクション処理を施さずに表示する映像に比べ、ノイズリダクション処理を施した映像では、グレインノイズ等のノイズが目立たなくなるようになっている。
【0063】
フィルムデジャダリング処理回路1088は、入力される24コマの映像信号から動きベクトルを検出することにより補間フレームの映像信号を生成し、補間フレームの映像信号をインタリーブして60コマの映像信号に変換する回路である。
【0064】
切換回路1082a〜切換回路1082cは信号の出力部を2つ備え、入力された信号をいずれの出力部から出力するかを、外部から制御信号が入力されているか否かに応じて切り替える回路である。
【0065】
切換回路1082aは、具体的には、テレシネ変換映像検出回路1081がテレシネ変換された60iの映像信号を検出し、テレシネ変換映像検出回路1081から制御信号が送られてきたときには、信号の出力先が24コマ映像復元回路1084になるようにスイッチを切り替える。一方、切換回路1082aは、テレシネ変換映像検出回路1081がテレシネ変換された60iの映像信号を検出していなかったとき(すなわち、制御信号が送られてこないとき)には、信号の出力先がIP変換回路1083になるようにスイッチを切り替える。
(LCD110)
LCD110は、バックライト110a、液晶パネル110b、およびバックライト制御回路110cを備えている。
【0066】
バックライト110aは、液晶パネル110bに向けてバックライトを照射する直下型LEDバックライトである。
【0067】
液晶パネル110bには、液晶パネル110bの液晶を透過したバックライトにより映像が表示される。透過されるバックライトの光量は、ゲートドライバおよびソースドライバの駆動電圧により制御される。
【0068】
バックライト制御回路110cは、バックライト110aの点灯および消灯を制御する。
【0069】
(液晶テレビ1の動作)
次に、本実施形態に係る液晶テレビ1の映像処理回路108〜LCD110の動作について図1を参照しながら以下に説明する。なお、ここで説明する動作は、映画(クラシック)モードと他の画質調整モードとの各モードに画質調整モードが設定されたときの動作、並びに、各モードにおいて、テレシネ変換されたインタレース映像信号が映像処理回路108に入力されたときの動作である。
【0070】
(映画(クラシック)モードの場合の動作)
前述したように、CPU118は、画質調整モードが映画(クラシック)モードになっている間、制御信号を画像処理回路108およびLCD110に供給するようになっている。具体的には、制御信号は、画像処理回路108の切換回路1082bおよび1082c、並びに、LCD110のバックライト制御回路110cに供給されるようになっている。
【0071】
また、切換回路1082bは、制御信号が入力されるとプログレッシブ映像信号の出力先を超解像回路1085に切り替える。同様に、切換回路1082cは、制御信号が入力されるとプログレッシブ映像信号の出力先を切換回路1082bに切り替える。
【0072】
さらに、バックライト制御回路110cは、点灯状態を維持するようバックライト110aを制御するが、制御信号が入力されている間は、バックライト110aが点灯と消灯とを繰り返すように制御するようになっている。
【0073】
より具体的には、バックライト制御回路110cは、バックライト110aが光を照射する照射期間とバックライト110aが光を照射しない非照射期間とが交互に繰り返すようにバックライト110aを制御するようになっているが、照射期間と非照射期間とは、LCD110に表示される映像のコマ数に依存している。すなわち、バックライト制御回路110cは、LCDコントローラ109から入力された、秒間何コマの映像信号が入力されているかを示す情報に基づいて、照射期間と非照射期間とを決定するようになっている。
【0074】
バックライト制御回路110cの上記制御について、秒間24コマの映像信号が入力されている場合と、秒間60コマの映像信号が入力されている場合と、を例に挙げて図3を参照しながら説明する。図3は、映画(クラシック)モードにおけるバックライトの点灯および消灯のタイミングを示した図である。図3(a)は秒間24コマの映像を表示した場合の図であり、図3(b)は、秒間60コマの映像を表示した場合の図である。図3(a)では、4つの「A」が1コマ(コマA)を表わしており(B、Cも同様)、図3(b)では、2つの「A」が1コマ(コマA)を表わしている(Bも同様)。
【0075】
図3(a)に示すように秒間24コマの映像信号が入力されている場合には、バックライト制御回路110cは、照射期間と非照射期間とを1/96秒に決定するようになっている。この場合、1コマの画像を表示している期間中に黒映像が2回挿入されることになる。また、図3(b)に示すように秒間60コマの映像信号が入力されている場合には、バックライト制御回路110cは、照射期間と非照射期間とを1/120秒に決定するようになっている。
【0076】
なお、照射期間と非照射期間とは、上記の具体的な数値に限定されず、例えば、それぞれ、1÷(m×n)秒(n:秒間コマ数、m:2以上の任意の整数)となるように設定されていればよい。なお、バックライト制御回路110cがバックライト110aの点灯と消灯とを交互に繰り返す間欠周期にはバックライト制御回路110cの能力に応じた物理的な下限が存在する。すなわち、上記整数mには上限値が存在し、その値は、間欠周期の下限値に応じた値となる。
【0077】
映画(クラシック)モードにおいて、テレシネ変換されたインタレース映像信号が映像処理回路108に入力されると、インタレース映像信号は切換回路1082aおよびテレシネ変換映像検出回路1081に入力される。
【0078】
テレシネ変換映像検出回路1081は、テレシネ変換されたインタレース映像信号が入力されたことを検出し、切換回路1082aに制御信号を供給する。
【0079】
切換回路1082aは、制御信号が入力されると、入力されたインタレース映像信号をそのまま24コマ映像復元回路1084にスルー出力する。
【0080】
24コマ映像復元回路1084は、テレシネ変換されたインタレース映像信号を24コマのプログレッシブ映像信号に変換し、切換回路1082cに出力する。
【0081】
切換回路1082cは、入力された24コマのプログレッシブ映像信号を切換回路1082bにスルー出力し、切換回路1082bは、入力された24コマのプログレッシブ映像信号を超解像回路1085にスルー出力する。
【0082】
超解像回路1085は、入力されたプログレッシブ映像信号に超解像化処理を施してエッジ強調回路1086に出力する。エッジ強調回路1086は、超解像回路1085から入力されたプログレッシブ映像信号にエッジ強調処理を施し、LCDコントローラ109に出力する。
【0083】
LCDコントローラ109は、エッジ強調回路1086から入力されたプログレッシブ映像信号に応じた映像信号および制御信号を、それぞれ、ソースドライバおよびゲートドライバに供給する。ソースドライバおよびゲートドライバは、それぞれ、映像信号および制御信号に応じた駆動電圧を印加して液晶パネル110bの液晶層における液晶分子の配向を制御する。液晶層を透過したバックライト110aからのバックライトにより、液晶パネル110bには、映像処理回路108により上記映像処理が施された映像が表示されることになる。
【0084】
以上、映画(クラシック)モードにおける液晶テレビ1の動作について説明したが、液晶テレビ1は、切換回路1082cに制御信号が入力されていない場合だけでなく制御信号が入力されている場合であっても(すなわち、常に)、切換回路1082cの信号の出力先がフィルムデジャダリング処理回路1088になるように動作するように構成されていてもかまわない。
【0085】
(他の画質調整モードの場合における動作)
次に映画(クラシック)モード以外の他の画質調整モードが設定された場合の動作について説明する。ここでは、他のモードとは、通常の映画モードであるものとする。
【0086】
切換回路1082bは、制御信号が入力されなくなると、プログレッシブ映像信号の出力先をノイズリダクション回路1087に切り替える。同様に、切換回路1082cは、制御信号が入力されなくなるとプログレッシブ映像信号の出力先をフィルムデジャダリング処理回路1088に切り替える。
【0087】
さらに、バックライト制御回路110cは、バックライト110aが常に点灯状態になるように制御するようになっている。
【0088】
通常の映画モードにおいても、テレシネ変換されたインタレース映像信号が映像処理回路108に入力されると、インタレース映像信号は切換回路1082aおよびテレシネ変換映像検出回路1081に入力される。
【0089】
テレシネ変換映像検出回路1081は、テレシネ変換されたインタレース映像信号が入力されたことを検出し、切換回路1082aに制御信号を供給する。
【0090】
切換回路1082aは、制御信号が入力されると、入力されたインタレース映像信号をそのまま24コマ映像復元回路1084にスルー出力する。
【0091】
24コマ映像復元回路1084は、テレシネ変換されたインタレース映像信号を24コマのプログレッシブ映像信号に変換し、切換回路1082cに出力する。
【0092】
切換回路1082cは、入力された24コマのプログレッシブ映像信号をフィルムデジャダリング処理回路1088にスルー出力する。
【0093】
フィルムデジャダリング処理回路1088は、入力された24コマのプログレッシブ映像信号にフィルムデジャダリング処理を施し、切換回路1082bに出力する。フィルムデジャダリング処理が施された映像は60コマの映像であってもよいし、120コマの映像であってもよい。切換回路1082bは、フィルムデジャダリング処理回路1088から入力されたプログレッシブ映像信号をノイズリダクション回路1087にスルー出力する。
【0094】
ノイズリダクション回路1087は、切換回路1082bから入力されるプログレッシブ映像信号にノイズリダクション処理を施し、LCDコントローラ109に出力する。
【0095】
LCDコントローラ109は、エッジ強調回路1086から入力されたプログレッシブ映像信号に応じた映像信号および制御信号を、それぞれ、ソースドライバおよびゲートドライバに供給する。ソースドライバおよびゲートドライバは、それぞれ、映像信号および制御信号に応じた駆動電圧を印加して液晶パネル110bの液晶層における液晶分子の配向を制御する。液晶層を透過したバックライト110aからのバックライトにより、液晶パネル110bには、映像処理回路108により上記映像処理が施された映像が表示されることになる。
【0096】
(映画(クラシック)モードにおける映像調整機能について)
液晶テレビ1は、映画(クラシック)モードにおいてバックライト制御回路110cがバックライト110aの点灯と消灯とを交互に繰り返す間欠周期を、液晶パネル110bにOSD表示されるユーザインタフェース(UI)中のシャッター効果調整用スライドバーの操作に応じて調整するようになっている。
【0097】
以下では、上記ユーザインタフェースの具体例1および具体例2について説明することにする。
【0098】
(具体例1)
最初に、上記ユーザインタフェースの具体例1について図4を参照しながら以下に説明する。図4(a)〜図4(d)は、ユーザによる図示しないリモコンの操作指示に応じてOSD生成部106が生成し、LCD110が表示する各UIを示している。図中における点模様は、点模様の範囲に映像処理回路108からの映像信号が表す映像が表示されていることを示している。
【0099】
ユーザがメニュー画面を表示させるリモコン操作を行うと、液晶パネル110bには図4(a)に示すようなメニュー画面140が表示される。
【0100】
図4(a)に示すように、メニュー画面140には、色相を調整するための「カラーマネージメント−色相」や彩度を調整するための「カラーマネージメント−彩度」などの様々なコントロールが設けられており、ユーザは、リモコンの上下キーにより各コントロールを選択できるようになっている。
【0101】
そのようなコントロールのうちのひとつに「シャッター効果」を調整するためのスライドバー(以下、「シャッター効果調整用スライドバー」と称する)がある。ユーザはシャッター効果調整用スライドバー132を操作することにより、バックライト110aの点灯周波数を48Hzから60Hzまでの範囲内において2Hz間隔で計7段階に調整することができるようになっている。なお、図中で「0」は上記点灯周波数が60Hzであることを示しており、「6」は上記点灯周波数が48Hzであることを示している。また、シャッター効果調整用スライドバー132の設定値の初期値は「6」となっている。
【0102】
テレシネ変換映像検出回路1081がテレシネ変換されたインタレース映像信号を検出している状態で、リモコン操作によりメニュー画面140からシャッター効果調整用スライドバー132が選択され、リモコンの決定ボタンが押下されると、シャッター効果調整用スライドバー132のみが液晶パネル110bに表示される。この状態で、さらにリモコンの決定ボタンが押下されると、図4(c)に示すように、シャッター効果調整用スライドバー132が下方に移動し、CPU118はリモコンの左右キーの操作によるシャッター効果の調整指示を受け付けるようになる。すなわち、CPU118は、シャッター効果調整用スライドバー132’がiに調整されたことを検出すると、バックライト110aの点灯周波数が60−2×iHzになるようにバックライト制御回路110cに制御させる。
【0103】
一方、テレシネ変換映像検出回路1081がテレシネ変換されていないインタレース映像信号を検出している状態で、リモコン操作によりメニュー画面140からシャッター効果調整用スライドバー132が選択され、リモコンの決定ボタンが押下されると、図4(d)に示すようなUIが表示される。すなわち、液晶パネル110bに表示されている映像がフィルム映像でない場合には、シャッター効果調整用スライドバーを操作してもバックライト110aの点灯周波数は変化しないようになっている。
【0104】
(具体例2)
次に、上記ユーザインタフェースの具体例2について図5を参照しながら以下に説明する。図5は、ユーザによる図示しないリモコンの操作指示に応じて、LCD110が表示するUIを示している。図中における点模様は、点模様の範囲に映像処理回路108からの映像信号が表す映像が表示されていることを示している。
【0105】
ユーザがメニュー画面を表示させるリモコン操作を行うと、液晶パネル110bには図5に示すような画面が表示される。図5に示すように、この画面には2つの映像領域(映像領域140とサイド領域130内の映像領域131)が含まれている。また、サイド領域130内には具体例1で説明したものと同様のシャッター効果調整用スライドバー132が表示される。
【0106】
CPU118は、シャッター効果調整用スライドバー132の設定値がiに調整されたことを検出すると、映像領域131の背面にあるバックライト110aの点灯周波数が60−2×iHzになるようにバックライト制御回路110cに制御させる一方、映像領域131以外の領域の背面にあるバックライト110aの点灯周波数はそのまま維持するようにバックライト制御回路110cを制御する。なお、バックライト制御回路110cによるこの制御は、図示しないエリア駆動回路によって実現される。
【0107】
CPU118は、シャッター効果調整用スライドバー132の設定値がiに調整された状態で決定ボタンが押下されたことを検出すると、バックライト110a全体の点灯周波数が60−2×iHzになるようにバックライト制御回路110cに制御するとともに、映像領域140に表示されている映像が液晶パネル110bの全領域に表示されるように制御を行う。
【0108】
なお、具体例1および具体例2のいずれにおいても、バックライト制御回路110cは、シャッター効果調整用スライドバー132の設定値に関わらずバックライト110aの点灯期間と消灯期間とが同じ長さになるようにバックライト110aを制御するようになっている。
【0109】
以上のように、本実施形態では、バックライト制御回路110cはバックライト110aの点灯周波数を48Hzから60Hzまでの範囲内において2Hz単位で計7段階に制御するようになっているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、バックライト110aの点灯周波数は、任意の周波数の範囲(例えば、40Hzから70Hzまでの範囲)において計n段階に(例えば、1Hz単位で31段階に)制御可能に構成されてもよい。換言すると、CPU118は、同じ長さの点灯期間および消灯期間を、1÷(m×n)秒を含む範囲内で、ユーザが指定した任意の長さに設定可能になっていてもよい。
【0110】
(液晶テレビ1の利点)
以上のように、液晶テレビ1は、秒間24コマの映像を表示することができるが、映画(クラシック)モードにおいては、バックライト制御回路110cは、バックライト110aが点灯する96分の1秒の期間と、バックライト110aが消灯する96分の1秒の期間とが交互に繰り返すようにバックライト110aを制御するので、液晶テレビ1の映像を鑑賞するユーザは、往年のフィルム映画特有の映像のちらつき感を知覚することになる。
【0111】
その他にも、液晶テレビ1に表示される映像には以下の特徴がある。
【0112】
すなわち、映画(クラシック)モードにおいては、液晶テレビ1に表示される映像には、超解像化処理が施されている一方、ノイズリダクション処理が施されていない。したがって、グレインノイズ等を含む往年の名作映画を再生する場合、通常の映画モードの場合(すなわち、超解像化処理を施さずノイズリダクション処理を施す場合)に比べ、表示される映像にはグレインノイズがそのまま再現されることになる。
【0113】
また、映画(クラシック)モードにおいては、液晶テレビ1に表示される映像は、エッジ強調処理が施された映像である。したがって、表示される映像には、往年のフィルム映画特有の精細感が再現されることになる。
【0114】
さらに、映画(クラシック)モードにおいては、液晶テレビ1に表示される映像は、フィルムデジャダリング処理が施されていない映像である。したがって、液晶テレビ1に表示される映像を視聴するユーザは、往年のフィルム映画特有のコマ送り感を体感することになる。
【0115】
以上のことから、液晶テレビ1は、往年の名作映画の映像が醸し出す雰囲気を、従来の液晶テレビやプラズマテレビ等に比べ忠実に再現することが可能である。
【0116】
(付記事項)
なお、映像処理回路108は、超解像回路1085およびエッジ強調回路1086の少なくとも一方を備えていなくとも良い。すなわち、液晶テレビ1は、映画(クラシック)モードにおいて、超解像化処理およびエッジ強調処理の少なくとも一方が施されていない映像を表示するようにしてもよい。
【0117】
また、映像処理回路108は切換回路1082cを備えなくてもよい(この場合、映画(クラシック)モードにおいて、CPU118は、制御信号を切換回路1082bおよびバックライト制御回路110cにだけ供給する)。すなわち、テレシネ変換されたインタレース映像信号に映像処理回路108が映像処理を施す場合、映画(クラシック)モードであっても、液晶テレビ1に表示される映像にはフィルムデジャダリング処理が施されることになる。
【0118】
さらに、映像処理回路108は、ノイズリダクション回路1087は、エッジ強調回路1086と並列に配置されるのではなく、エッジ強調回路1086の後段に配置するようにしてもよい。すなわち、映画(クラシック)モードであっても、液晶テレビ1に表示される映像にはノイズリダクション処理が施されていても良い。
【0119】
また、上記実施形態では、フィルム映画特有の精細感を出すためにエッジ強調回路1086がエッジ強調処理を行うものとしたが、液晶テレビ1においてエッジ強調回路1086が設けられている部分に、エッジ強調回路1086に代えて超解像化処理を施す超解像回路1085を設けることによっても、フィルム映画特有の精細感を出すことができる。
【0120】
また、液晶テレビ1のLCD110は、一般的なRGBの3つの副画素によって1画素が構成されるものであってもよい(すなわち、3原色であってもよい)し、本願出願時における未公開特許出願である特願2010−043103に開示されているような、RGBの各副画素と黄またはシアンの副画素とからなる4つの副画素によって1画素が構成されるものであってもよい(すなわち、4原色であってもよい)。そして、4原色の場合、特願2010−043103に開示されている副画素レベルでのフィルタ処理を行うことによっても、フィルム独特の精細感が得ることができ、特に、肌の質感を、深みがありクリアな質感にすることができる。
【0121】
なお、上記実施形態において「秒間24コマ」とはより厳密には「秒間23.976コマ」を意味しており、「秒間60コマ」とはより厳密には「秒間59.95コマ」を意味している。また、バックライト制御回路110cは、点灯期間と消灯期間とが完全に同じ長さになるように制御する必要はなく、点灯期間の長さと消灯期間の長さとが略同じであればよい。
【0122】
また、上記実施形態では、バックライト制御回路110cがバックライト110aの点灯と消灯とを交互に繰り返す構成にしたが、バックライト制御回路110cは、必ずしも、バックライト110aを完全に消灯する制御を行わなくともよい。すなわち、バックライト制御回路110cは、バックライト110aを通常の輝度で点灯する通常点灯期間とバックライト110aを通常の輝度よりも弱い輝度で点灯する弱点灯期間と、を繰り返すように構成されていてもよい。また、直下型方式のバックライト110aに代えて、エッジライト方式のバックライトを採用してもよい。
【0123】
また、バックライトスキャン方式によりバックライトを制御するバックライトスキャン部を備えた表示装置に対しても本発明を実施することができる。
【0124】
すなわち、バックライトスキャン方式では、表示装置のバックライトスキャン部が、液晶表示パネルの全領域を分割した複数の帯状領域について、各帯状領域を順次照射するようバックライトの各部の点灯と消灯とを制御する。この場合、バックライトは、バックライト制御部により設定された照射期間において、バックライトスキャン部によって点灯の制御が行われた部分のみが点灯するように制御されることになる。
【0125】
以下、図6を参照して具体例を挙げながら、各帯状領域の背部にあるバックライトの点灯タイミングおよび消灯タイミングについて説明する。
【0126】
図6の上側のタイミングチャートは、上記複数の帯状領域の一具体例である帯状領域ア〜エについて、バックライトスキャン部が背部にあるバックライトの点灯および消灯を制御するタイミングを示している。このタイミングチャートにおいて表記アの右方向に記載されている黒塗の部分は消灯を示しており、白塗の部分は点灯を示している。表記イ〜エについても同様である。なお、図6から明らかなように、このタイミングチャートは、表示装置のバックライト制御回路が図3(b)に示したタイミングでバックライトの点灯および消灯の制御を行う場合における模式図である。
【0127】
また、表記VSYNCの右方向に記載されているパルスは、バックライトを点灯または消灯するための同期信号を示している。すなわち、このタイミングチャートには、3つの同期信号が記載されているが、図中で左に記載されている同期信号が送られてから図中で中央に記載されている同期信号が送られるまでの1/120秒間が照射期間に対応し、図中で中央に記載されている同期信号が送られてから図中で右に記載されている同期信号が送られるまでの1/120秒間が非照射期間に対応する。
【0128】
図6のタイミングチャートからわかるように、表示装置は、バックライトスキャン部が複数の帯状領域(図中では帯状領域ア〜エ)のうちの特定の帯状領域(図中では帯状領域ア)の背後にあるバックライトを点灯しようと制御するタイミングと、バックライト制御部がバックライトを点灯しようとするタイミング(照射期間および非照射期間が開始するタイミング)とが、同期するように動作する。すなわち、図6のタイミングチャートの例では、前半の1/120秒間のうち、「帯状領域群アおよびイ」「帯状領域群イおよびウ」「帯状領域群ウおよびエ」「帯状領域群アおよびエ」の順に1/480秒間ずつ各帯状領域群の背後にあるバックライトのみが点灯することになり、後半の1/120秒間では、バックライト全体が消灯することになる。前半の1/120秒間のうち最後の1/480秒間では図6の下側に示すように液晶パネルに映像が表示される。なお、1/480秒間という短い期間であるので、鑑賞者の目には液晶パネル全体に映像が表示されているように見えることは言うもまでもない。
【0129】
以上のように、倍速駆動技術およびバックライトスキャン技術を採用することにより高品位な映像を表示する表示装置においても、本発明は往年のフィルム映画の映像が醸し出す雰囲気を再現することができるという効果を奏する。
【0130】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明に係る表示装置は、テレビ等の表示装置一般に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 テレビ
11a〜11c HDMI入力端子
11d HDMIスイッチ
100 HDMIレシーバ
101a 映像入力端子
101b 音声入力端子
102 BDドライブ
103 チューナ
104 IP放送チューナ
105 衛星放送チューナ
106 OSD生成部
107 映像セレクタ
108 映像処理回路
1081 テレシネ変換映像検出回路
1082a〜1082c 切換回路
1083 IP変換回路
1084 24コマ映像復元回路
1085 超解像回路(超解像化部)
1086 エッジ強調回路(エッジ強調部)
1087 ノイズリダクション回路(ノイズ除去部)
1088 フィルムデジャダリング処理回路(デジャダリング部)
109 LCDコントローラ
110 LCD
110a バックライト(光源部)
110b 液晶パネル
110c バックライト制御回路(光源制御部)
111 音声セレクタ
112 音声処理回路
113 デジタルアンプ
114 スピーカ
115 イーサネットI/F
116 ROM
117 RAM
118 CPU(設定手段)
119 赤外線受光部(指示受付部)
120 カメラ
121 人感センサ
122 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に1秒間にnコマの映像を表示する表示装置において、
上記表示面に上記映像が表示されるように、上記表示装置の外部に向けて光を照射する光源部と、
上記光源部に光を照射させるか否かを制御する光源制御部と、を備え、
上記光源制御部は、上記光源部が光を照射する期間である照射期間と上記光源部が光を照射しない期間である非照射期間とが交互に繰り返すように上記光源部を制御するようになっており、
上記照射期間および上記非照射期間は、共に、1÷(m×n)秒(m:2以上の整数)であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記表示面に表示される映像の画質設定指示をユーザから受け付ける指示受付部をさらに備え、
上記指示受付部が受け付けた指示が上記映像を所定の画質に設定する旨の指示である場合に限り、上記光源制御部が上記制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記表示面に映像を表示すべき映像信号からノイズを除去するノイズ除去部を備え、
上記指示受付部が上記所定の画質に設定する旨の指示を受け付けた場合には、上記ノイズ除去部は上記映像信号からノイズを除去しないことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記映像信号に超解像化処理を施す超解像化部をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記表示面に映像を表示すべき映像信号にフィルムデジャダリング処理を施すデジャダリング部を備え、
上記指示受付部が上記所定の画質に設定する旨の指示を受け付けた場合には、上記デジャダリング部は上記映像信号に上記フィルムデジャダリング処理を施さないことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記表示面に映像を表示すべき映像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調部を備えていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
上記nの値は24であり、上記mの値は4であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
上記nの値は60であり、上記mの値は2であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
上記nの値は50であり、上記mの値は2であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
上記照射期間および上記非照射期間の長さを、1÷(m×n)秒を含む範囲内で、ユーザが指定した長さに設定する設定手段を更に備えている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
表示面に1秒間にnコマの映像を表示する表示装置の表示方法において、
上記表示面に映像が表示されるように、上記表示装置の外部に向けて光源部が光を照射する照射工程と、
上記光源部に光を照射させるか否かを光源制御部が制御する光源制御工程と、を含み、
上記光源制御工程にて、上記光源部が光を照射する期間である照射期間と上記光源部が光を照射しない期間である非照射期間とが交互に繰り返すように上記光源制御部が上記光源部を制御するようになっており、
上記照射期間および上記非照射期間は、共に、1÷(m×n)秒(m:2以上の整数)であることを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8515(P2012−8515A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247940(P2010−247940)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】