説明

表示装置および表示装置の制御方法

【課題】黒映像が表示される期間のない映像表示を可能とし、フリッカを低減することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、複数色の液晶素子を1画素として、マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶パネルと、複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データを書き込む書き込み手段と、液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトと、を有し、書き込み手段は、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、階調データを複数の液晶素子に書き込み、バックライトは、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDを点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3D(3次元)ディスプレイが実用化され、普及しつつある。液晶ディスプレイを用いた左右時分割方式3Dディスプレイでは、左眼用の映像(左眼映像)と右眼用の映像(右眼映像)とが交互に時分割で液晶ディスプレイに表示される。そして、映像表示に同期して、液晶シャッターメガネ(いわゆる「3Dメガネ」)の左眼と右眼のシャッターが交互に時分割で開閉される。すなわち、液晶ディスプレイが左眼映像を表示しているときには、左眼のシャッター(左眼シャッター)が開き、右眼のシャッター(右眼シャッター)が閉じる。液晶ディスプレイが右眼映像を表示しているときには、右眼シャッターが開き、左眼シャッターが閉じる。その結果、左眼映像だけが視聴者の左眼に、右眼映像だけが視聴者の右眼に取り込まれ、視聴者は、映像を立体的に認識することができる。
【0003】
液晶ディスプレイでは、各液晶素子の階調値(画素値)を制御する駆動電圧をフレーム単位で書き換えることで、映像表示が行われる。そのため、駆動電圧の書き換え途中の期間においては、左眼映像と右眼映像とが混在(クロストーク)してしまう。そのような映像(左眼映像と右眼映像とがクロストークした映像)が視聴者に認識されることを防ぐために、従来は、駆動電圧の書き換え期間中に、左右両方の液晶シャッターを閉じていた。すなわち、視聴者には、時系列に、右眼映像、黒映像、左眼映像、黒映像、、、、のように映像が認識されていた。このため、フリッカが認識される課題や映像の輝度が低下する課題があった。
【0004】
例えば、特許文献1に開示の方式では、液晶ディスプレイが、左眼映像と右眼映像とを交互に表示する。そして、液晶素子への左眼映像の駆動電圧の書き込みが完了してから、次の右眼映像の駆動電圧の書き込みが開始されるまでの期間のみ左眼シャッターが開かれる。液晶素子への右眼映像の駆動電圧の書き込みが完了してから、次の左眼映像の駆動電圧の書き込みが開始されるまでの期間のみ右眼シャッターが開かれる。
【0005】
また、特許文献2には、左眼映像(または右眼映像)を赤色成分、緑色成分、青色成分の映像に分け、各色成分の映像を順次表示し、各色成分の映像の時間的な加法混色により、左眼映像(または右眼映像)を表示する方式が提案されている。特許文献2の方式によれば、二色以上の映像を同時に表示することがないため、カラーフィルターが不要となる。特許文献2の方式では、LEDバックライトの発光色を赤色、緑色、青色の間で切り換えることにより、映像の色が制御される。よって、カラーフィルターを有する液晶ディスプレイよりも透過率が向上し、輝度の低下が低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−152897号公報
【特許文献2】特開2003−259395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方式では、左眼映像(右眼映像)の駆動電圧の書き込みが完了するまでの期間、視聴者に黒映像が認識される。また、特許文献2の方式でも、駆動電圧の書き換え中の不完全な映像の表示を防ぐため、駆動電圧を書き替えている期間では、LEDバック
ライトが消灯される。例えば、赤色成分の映像を表示するための駆動電圧から緑色成分の映像を表示するための駆動電圧へ書き替える期間では、赤色成分と緑色成分の映像が混在する。よって、特許文献2の方式によっても、視聴者に黒映像が認識される期間は依然として存在し、フリッカが生じてしまう。
このように従来の左右時分割方式3Dディスプレイでは、表示映像に、視聴者に黒映像が認識される期間が含まれることにより、フリッカが認識される課題があった。
【0008】
本発明は、黒映像が表示される期間のない映像表示を可能とし、フリッカを低減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、書き込まれた階調データに応じた階調値となるように駆動される複数色の液晶素子を1画素として、マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶パネルと、前記複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データを書き込む書き込み手段と、前記液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトと、を有し、前記書き込み手段は、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、前記階調データを前記複数の液晶素子に書き込み、前記バックライトは、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDを点灯することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像表示装置の制御方法は、書き込まれた階調データに応じた階調値となるように駆動される複数色の液晶素子を1画素として、マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶パネルと、前記液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトと、を有する表示装置の制御方法であって、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、前記複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データを書き込むステップと、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDを点灯するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、黒映像が表示される期間のない映像表示を可能とし、フリッカを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1,2に係る3Dディスプレイシステムの構成の一例を示す図。
【図2】実施例1に係る液晶パネルの構成の一例を示す図。
【図3】実施例1に係る表示装置の動作の一例を示す図。
【図4】実施例2に係る液晶パネルの構成の一例を示す図。
【図5】実施例2における各色の階調データの書き込み期間の一例を示す図。
【図6】実施例2に係る表示装置の動作の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施例1>
アクティブマトリクス型液晶ディスプレイの高画素化、高精細化、小型化により、ドライバICの実装が困難となっている。そこで、1ピクセル(1画素)を構成するRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの3サブピクセルが1本のデータ信号線を共有し、ドライバICがそのデータ信号線を介してR、G、Bサブピクセルを時分割に駆動する方式が提案されている。ここで、Rサブピクセルは赤色液晶素子(赤色成分の光を選択
的に透過する液晶素子)、Gサブピクセルは緑色液晶素子、Bサブピクセルは青色液晶素子である。
また、RGB時分割駆動方式では、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ1画面内の全Rサブピクセルに、全サブピクセルに駆動電圧(階調データ)を書き込むのに要する時間の1/3の時間で階調データを書き込むことができる。1画面内のGサブピクセル、Bサブピクセルに対しても、同様に1/3の時間で階調データを書き込むことができる。本実施例では、このRGB時分割駆動方式により駆動されるアクティブマトリクス型液晶ディスプレイを用いる。
【0014】
図1に、実施例1に係る左右時分割方式3Dディスプレイシステムの構成を示す。3Dディスプレイシステムは、大まかに、表示装置101と液晶シャッター付めがね131から構成されている。表示装置101は右眼用の映像(右眼映像)のフレームと左眼用の映像(左眼映像)のフレームを交互に表示することにより立体映像を表示する時分割方式3Dディスプレイである。表示装置101の表示映像に合わせて立体映像の視聴に使用する液晶シャッター付めがね131の左眼と右眼のシャッターが制御される。それにより、液晶シャッター付めがね131を装着している視聴者(不図示)の左眼には左眼映像が入力され、右眼には右眼映像が入力される。
【0015】
表示装置101の構成を説明する。
信号入力部111は、入力された映像信号141をフレームメモリ部112へ書き込む。
フレームメモリ部112は、映像信号を一時的に記憶する記憶媒体である。
液晶駆動信号生成部113は、フレームメモリ部112から液晶素子の駆動に適した順番で映像信号を読み出し、液晶パネル118(液晶素子)を駆動するための走査信号およびデータ信号を生成する。さらに、液晶駆動信号生成部113は、液晶パネル118で表示する映像に応じて、液晶シャッター付めがね131を制御する。
【0016】
走査信号駆動部114は、走査信号線115を介して液晶パネル118に走査信号(選択電圧)を入力する。
データ信号駆動部116は、データ信号線117を介して液晶パネル118にデータ信号(階調データ;駆動電圧)を入力する。
走査信号駆動部114とデータ信号駆動部116により、後述する液晶パネル118が有する複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データが書き込まれる。
【0017】
液晶パネル118は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1画素は、書き込まれた階調データに応じた階調値となるように駆動される複数色の液晶素子からなる。本実施例では、1画素がRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルから構成されているものとする。
LEDバックライト部120は、液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトである。本実施例では、LEDバックライト部120は、赤色LED、緑色LED、青色LEDからなり、液晶パネル118を裏側から照らす。各LEDから発せられた光は、対応する色の液晶素子を透過する。そのため、液晶パネル118には、点灯しているLEDの色に対応する色成分の映像が表示される。
LED制御部119は、液晶パネル118で表示する映像(液晶素子の駆動状態)に応じて、LEDバックライト部120の発光色を切り換える。具体的には、各色のLEDの点灯、消灯を切り換える。本実施例では、液晶駆動信号生成部113の動作に応じて各LEDの点灯、消灯が切り換えられる。
なお、前述の通り、走査信号駆動部114、データ信号駆動部116、液晶パネル118は、RGB時分割駆動が可能な構成とする。
【0018】
液晶パネル118の構成を説明する。図2は、液晶パネル118の画素構成を模式的に表した図である。図2は、液晶パネル118が、横640、縦480個の画素(ピクセル)を有する場合の例である。走査信号駆動部114と液晶パネル118は、480×3=1440本の走査信号線(走査信号線0r、走査信号線0g、走査信号線0b、走査信号線1r、走査信号線1g、走査信号線1b、走査信号線2r、走査信号線2g、走査信号線2b、、、走査信号線478b、走査信号線479r、走査信号線479g、走査信号線479b)により接続されている。データ信号駆動部116と液晶パネル118は、640本のデータ信号線(データ信号線0、データ信号線1、データ信号線2、、、データ信号線639)により接続されている。
【0019】
実施例1に係る液晶パネルの駆動方法について説明する。
まず、走査信号駆動部114が、走査信号線を順次選択する(走査信号線に順次選択電圧を印加する)。選択された走査信号線に接続されたサブピクセルは階調データの書き込みが可能な状態となる。次に、液晶駆動信号生成部113が選択されたサブピクセル(選択された走査信号線に接続されたサブピクセル)の階調データをフレームメモリ部112から読み出す。そして、データ信号駆動部116が、該階調データ(駆動電圧)を、データ信号線を介して選択されたサブピクセルに書き込む。
【0020】
本実施例では、走査信号駆動部114とデータ信号駆動部116により、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、階調データが複数の液晶素子に書き込まれる。具体的には、各色の液晶素子に対する階調データの書き込みが順番に行われる。以下、より詳細に説明する。
【0021】
まず、走査信号駆動部114は、走査信号線0rを選択する(走査信号線0rに選択電圧を印加する)。それにより、走査信号線0rに接続された640個のRサブピクセル(R0−0、R0−1、R0−2、、、R0−639)が階調データの書き込みが可能な状態となる。次に、液晶駆動信号生成部113が、表示する映像(フレーム)の第0ラインのR階調データ(赤色成分の階調データ)をフレームメモリ部112から読み出し、データ信号駆動部116へ送信する。そして、データ信号駆動部116は、R階調データに応じた駆動電圧を、データ信号線0〜データ信号線639を介して、走査信号線0rに接続された640個のRサブピクセルに書き込む。所定期間後、走査信号駆動部114は、走査信号線0rの選択を停止する。以上で、第0ラインのRサブピクセルへの階調データの書き込みが完了する。
ここで、第0ラインは、図2におけるサブピクセルR0−0、R0−1、R0−2、、、R0−639とG0−0、G0−1、G0−2、、、G0−639とB0−0、B0−1、B0−2、、、B0−639とにより構成される映像ラインである。第1ラインから第479ラインについても同様の定義とする。
【0022】
第0ラインのRサブピクセルに対する処理と同様の処理を第1ラインから第479ラインのRサブピクセルに対して順次行うことにより、全Rサブピクセルへの階調データの書き込みが完了する。
Gサブピクセル、Bサブピクセルに対しても、Rサブピクセルと同様の方法で階調データが書き込まれる。
【0023】
全Rサブピクセルへの階調データの書き込み、全Gサブピクセルへの階調データの書き込み、全Bサブピクセルへの階調データの書き込みをそれぞれ1回行うことにより、液晶パネル118を構成する全サブピクセルへの階調データの書き込みが完了する。それにより、1フレーム分の映像が表示可能となる。
また、全体の1/3の走査信号線(走査信号線0r、1r、、、479r)により、全
Rサブピクセルを選択できることから、全サブピクセルに階調データを書き込むのに要する時間の1/3の時間で、全Rサブピクセルに階調データが書き込める。同様に、全サブピクセルに階調データを書き込むのに要する時間の1/3の時間で、全Gサブピクセルに階調データが書き込める。全サブピクセルに階調データを書き込むのに要する時間の1/3の時間で、全Bサブピクセルに階調データが書き込める。
【0024】
図3に、実施例1における、表示装置101の動作、表示装置101が表示する映像、液晶シャッター付めがね131の動作および視聴者が知覚する映像の関係を示す。図3は、右眼映像のn−1番目のフレーム、左眼映像のn番目のフレーム、右眼映像のn番目のフレーム、左眼映像のn+1番目のフレームを、時系列に表示する場合の例である。
表示装置動作301は、図1における表示装置101の動作を示す。
R液晶画素311は、図1における液晶パネル118が有するRサブピクセルを示す。G液晶画素313はGサブピクセル、B液晶画素315はBサブピクセルを示す。
R−LED312は、図1おけるLEDバックライト部120の赤色LEDを示す。G−LED314は緑色LED、B−LED316は青色LEDを示す。
表示映像321は、図1における表示装置101で表示される映像である。
液晶シャッター付めがね制御331は、図1における液晶シャッター付めがね131に対する制御である。
左眼シャッター341は、図1における液晶シャッター付めがね131の左眼用シャッターである。
右眼シャッター342は、図1における液晶シャッター付めがね131の右眼用シャッターである。
視聴者知覚映像351は、視聴者が実際に感じ取る(知覚する)映像である。具体的には、表示装置101が表示する映像であって、液晶シャッター付めがね131を通って、視聴者の網膜上に投影される映像である。
【0025】
以下、図3を用いて、表示装置101の動作、表示装置101が表示する映像、液晶シャッター付めがね131の動作および視聴者が知覚する映像の関係を説明する。左眼映像のn番目のフレームの表示に関わる期間T371〜T383内の各期間における動作について説明する。
【0026】
(期間T371〜T372)
時刻T371において、R液晶画素311への左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データから、左眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T372に完了する。よって、期間T371〜T372にR液晶画素311によって表示される映像は、右眼映像のn−1番目のフレームと左眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T372以降は、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データだけを保持する状態となる。
【0027】
本実施例では、LEDバックライト部120は、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDを点灯する。具体的には、LEDバックライト部120は、そのような点灯、消灯が行われるように、LED制御部119によって制御される。そのため、期間T371〜T372では、R−LED312は消灯状態とされる。そして、G−LED314、B−LED316は点灯状態とされる。LEDは波長分布が狭い光を発する光源であるから、G−LED314およびB−LED316からの光は、R液晶画素311(R液晶画素311に密着している赤色カラーフィルター(図示せず))を透過しない。そのため、階調データの書き込み途中のR映像(赤色成分の映像;R液晶画素311を駆動し、R−LED312を点灯させることによって表示される映像)は、表示映像321に含まれない。
【0028】
このとき、G液晶画素313とB液晶画素315には、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データが書き込まれている。そのため、表示映像321は、右眼映像のn−1番目のフレームのG映像とB映像が合成された映像となる。G映像は、緑色成分の映像(G液晶画素313を駆動し、G−LED314を点灯させることによって表示される映像)である。B映像は、青色成分の映像(B液晶画素315を駆動し、B−LED316を点灯させることによって表示される映像)である。
左眼シャッター341は閉状態、右眼シャッター342は開状態である。
【0029】
(期間T372〜T373)
期間T372〜T373では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。
本実施例では、LEDバックライト部120は、1つ前のフレームの全ての色成分の映像の表示が終了したタイミングで、現在のフレームの階調データの書き込みが完了している少なくとも1色のLEDを点灯する。時刻T373までは、表示映像321として右眼映像のn−1番目のフレームの映像が表示される。具体的には、期間T372〜T373では、表示映像321は、右眼映像のn−1番目のフレームのB映像となる。そのため、R−LED312は消灯状態とされ、R映像は表示映像321に含まれない。R−LED312を消灯状態とするのは、右眼映像と左眼映像(現在のフレームの映像と1つ前のフレームの映像)の混在を防ぐためである。
G液晶画素313は、期間T371〜T372におけるR液晶画素311と同様に、左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込み中である。G−LED314は、期間T371〜T372におけるR−LED311と同様に、消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のG映像は、表示映像321に含まれない。
左眼シャッター341は閉状態、右眼シャッター342は開状態である。
【0030】
(期間T373〜T374)
期間T373〜T374では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。また、R−LED312は、時刻T373から点灯される。それにより、R映像が、表示映像321に含まれる。
G液晶画素313は、期間T372〜T373におけるR液晶画素311と同様に、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、期間T372〜T373におけるR−LED311と同様に、消灯しており、G映像は、表示映像321に含まれない。
B液晶画素315は、期間T371〜T372におけるR液晶画素311と同様に、左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込み中である。B−LED316は、期間T371〜T372におけるR−LED312と同様に、消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のB映像は、表示映像321に含まれない。
よって、期間T373〜T374では、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのR映像となる(図3における符号361)。すなわち、時刻T373で、表示映像321が右眼映像のn−1番目のフレームの映像から左眼映像のn番目のフレームの映像へ切り換えられる。
時刻T373において、左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態となる。
【0031】
(期間T374〜T375)
期間T374〜T375では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。R−LED312は、点灯している。
G液晶画素313は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、期間T373〜T374におけるR−LED312と同様に、時刻T3
74から点灯される。それにより、G映像が表示映像321に含まれる。
B液晶画素315は、期間T372〜T373におけるR液晶画素311と同様に、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。B−LED316は、期間T372〜T373におけるR−LED312と同様に、消灯しており、B映像は表示映像321に含まれない。
よって、期間T374〜T375では表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのR映像とG映像とが合成された映像となる(図3における符号362)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0032】
(期間T375〜T381)
期間T375〜T381では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。R−LED312は、点灯している。
G液晶画素313は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、点灯している。
B液晶画素315は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。B−LED316は、期間T373〜T374におけるR−LED312と同様に、時刻T375から点灯される。それにより、B映像が表示映像321に含まれる。
よって、期間T375〜T381では、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのR映像、G映像、B映像が合成された映像となる(図3における符号363)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0033】
(期間T381〜382)
時刻T381において、R液晶画素311への右眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、左眼映像のn番目のフレームの階調データから、右眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T382に完了する。よって、期間T381〜T382にR液晶画素311によって表示される映像は、左眼映像のn番目のフレームと右眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T382以降は、R液晶画素311は、右眼映像のn番目のフレームの階調データだけを保持する状態となる。期間T381〜T382では、R−LED312は消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のR映像は、表示映像321に含まれない。
G液晶画素313は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、点灯している。
B液晶画素315は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。B−LED316は、点灯している。
よって、期間T381〜382では、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのG映像とB映像が合成された映像となる(図3における符号364)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0034】
(期間T382〜T383)
期間T382〜T383では、R液晶画素311は、右眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。また、R−LED312は消灯状態とされ、R映像は表示映像321に含まれない。R−LED312を消灯状態とするのは、期間T372〜T373と同様に左眼映像と右眼映像の混在を防ぐためである。
G液晶画素313は、期間T381〜T382におけるR液晶画素311と同様に、右眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込み中である。G−LED314は、期間T381〜T382におけるR−LED312と同様に、消灯状態とされる。
B液晶画素315は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。B−LED316は、点灯している。
よって、期間T381〜382では、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレーム
のB映像となる(図3における符号365)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0035】
期間T371〜T383において、前述の動作を行うことにより、期間T373〜T383において左眼映像のn番目のフレームの映像を表示することができる。そして、期間T381〜T393において、期間T371〜T383における動作と同様の動作(左右を逆転させた動作)を行うことにより、期間T383〜T393において右眼映像のn番目のフレームの映像を表示することができる。この動作を繰り返し行うことにより、黒映像がフレーム間に表示されることなく、左眼映像と右眼映像を切り換えながら表示することができる。具体的には、左眼映像のn番目のフレーム、右眼映像のn番目のフレーム、左眼映像のn+1番目のフレーム、右眼映像のn+1番目のフレーム、、、のように、左眼映像と右眼映像を切り換えながら、表示することができる。
【0036】
ここで、視聴者知覚映像について説明する。上述したように、時刻T373に、左眼シャッター341は閉状態から開状態へ、右眼シャッター342は開状態から閉状態へ切り換えられる。そして、期間T373〜T383では、左眼シャッター341は開状態とされ、右眼シャッター342は閉状態とされる。よって、期間T373〜T383において、表示装置101が表示する映像(左眼映像のn番目のフレームの映像)が、視聴者の左眼の網膜上に投影される。期間T373〜T383では、表示映像321は、符号361〜365に示すように変化する。視聴者は、符号361〜365で示す映像の時間的な合成映像を、左眼用の映像として知覚する。また、期間T383〜T393では、右眼映像のn番目のフレームの映像が表示されており、この映像は視聴者の右眼の網膜上に投影されることとなる。
このように、本実施例では、左眼用の映像の少なくとも一部の色成分の映像が表示されているときには、左眼側のシャッターが開かれ、右眼側のシャッターが閉じられる。そして、右眼用の映像の少なくとも一部の色成分の映像が表示されているときには、左眼側のシャッターが閉じられ、右眼側のシャッターが開かれる。それにより、両方のシャッターが同時に閉じることが無くなるため、両方のシャッターを同時に閉じることにより視聴者に黒映像が知覚されることを無くすことができる。また、視聴者の左眼には左眼映像、右眼には右眼映像が入力されるため、視聴者は違和感なく立体映像を視聴することができる。
【0037】
以上述べたように、本実施例によれば、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDが消灯される。それにより、時間的に連続する2フレーム(左眼映像のフレームと右眼映像のフレーム)が混在された映像の表示を低減することができる。
また、本実施例によれば、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、階調データが複数の液晶素子に書き込まれる。そして、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色以外の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDが点灯される。それにより、常にバックライトが点灯され、フレーム間に黒映像が挿入されることなく、入力された映像信号に基づく映像を表示することができる。即ち、黒映像が表示される期間のない映像表示が可能となり、フリッカを低減することができる。
【0038】
また、本実施例によれば、1つ前のフレームの全ての色成分の映像の表示が終了したタイミングで、現在のフレームの階調データの書き込みが完了している少なくとも1色のLEDが点灯される。それにより、時間的に連続する2フレーム(左眼映像のフレームと右眼映像のフレーム)が混在された映像の表示をより低減することができる。
また、本実施例によれば、左眼シャッターと右眼シャッターが両方閉じる期間が無いた
め、常に視聴者の右眼または左眼に映像を入力することができる。その結果、図3の視聴者知覚映像351に示すように、黒映像が知覚される期間がなく、フリッカを低減することができる。
また、映像の赤色成分が視聴者に知覚される期間(R映像の表示期間)は、1フレーム当たり、1フレーム期間の2/3である。従来技術において、黒映像が視聴者に知覚される期間を1フレーム当たり1フレーム期間の1/2とすると、映像の赤色成分が視聴者に知覚される期間は、1フレーム当たり1フレーム期間の1/2となる。よって、本実施例では、赤色成分の輝度が、従来技術の4/3倍となる。緑色成分の輝度、青色成分の輝度も同様である。したがって、本実施例によれば、視聴者が知覚する映像の輝度を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施例では、右眼画像及び左眼画像からなる立体映像を表示する構成について説明したが、表示する映像は立体映像でなくてもよい(2次元映像であってもよい)。表示する映像が立体映像でなくても、上述した作用効果を得ることができる。
また、本実施例における表示装置101の動作を一部変更し、下記のように実施することも可能である。
変更の一例として、期間T373〜T374において、G−LED314を点灯させてもよい(左眼映像のn番目のフレームのG映像を表示してもよい)。これは、該期間において、表示映像321として、左眼映像のn番目のフレームの映像が表示されるため、G−LED314を点灯させても、右眼映像と左眼映像は混在しないためである。
別の変更の一例として、期間T374〜T375において、B−LED316を点灯させてもよい(左眼映像のn番目のフレームのB映像を表示してもよい)。これは、該期間において、表示映像321として、左眼映像のn番目のフレームの映像が表示されるため、B−LED316を点灯させても、右眼映像と左眼映像は混在しないためである。
上記変更例の片方または双方を実施した場合、赤色成分の輝度、緑色成分の輝度、青色成分の輝度が均一ではないため、表示映像のホワイトバランスは変化してしまう。そのため、各色のLEDの個数やLED1個当たりの発光量を調整することにより、各色の1フレーム期間当たりの発光量が、色間で互いに等しくなるように設定されていることが好ましい。例えば、上記変更例の双方を実施した場合、G、B映像の表示期間はR映像の表示期間よりも長くなる。そのため、各色の1個のLEDの単位時間当たりの発光量が等しい場合には、全LEDの個数に対する緑色LEDと青色LEDの個数比を、赤色LEDの個数比よりも少なく設定すればよい。
【0040】
<実施例2>
実施例2では、液晶パネル118の構成が実施例1とは異なるアクティブマトリクス型液晶ディスプレイを用いた実施例を示す。実施例2に係る左右時分割方式3Dディスプレイシステムの構成は、実施例1と同じく図1に示す通りである。ただし、走査信号駆動部114、走査信号線115、データ信号駆動部116、データ信号線117、液晶パネル118は、図4に示す構成とする。
【0041】
実施例2の構成について、実施例1とは異なる点(走査信号駆動部114、走査信号線115、データ信号駆動部116、データ信号線117、液晶パネル118)を中心に、図4を用いて、説明する。図4は、液晶パネル118が横640、縦480個の画素(ピクセル)を有する場合の例である。走査信号駆動部114と液晶パネル118は、481本の走査信号線(走査信号線−1、走査信号線0、走査信号線1、走査信号線2、、、走査信号線478、走査信号線479)により接続されている。データ信号駆動部116と液晶パネル118は、640×3=1920本のデータ信号線(データ信号線0a、データ信号線0b、データ信号線0c、データ信号線1a、データ信号線1b、データ信号線1c、データ信号線2a、データ信号線2b、データ信号線2c、、、データ信号線639a、データ信号線639b、データ信号線639c)により接続されている。図4にお
いて、特徴的である点は、サブピクセルの上側の走査信号線により走査信号駆動部114と接続される場合と、サブピクセルの下側の走査信号線により走査信号駆動部114と接続される場合とがある点である。
【0042】
実施例2に係る液晶パネルの駆動方法について説明する。
実施例1と同じく、まず、走査信号駆動部114が、走査信号線を順次選択する。次に、液晶駆動信号生成部113が選択されたサブピクセルの階調データをフレームメモリ部112から読み出す。そして、データ信号駆動部116が、該階調データを、データ信号線を介して選択されたサブピクセルに書き込む。
具体的には、本実施例では、第1の色(赤色)の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと第2の色(青色)の半分の液晶素子に対する階調データの書き込みが並列に行われる。その後、第3の色(緑色)の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと第2の色の残り半分の液晶素子に対する階調データの書き込みが並列に行われる。
以下、より詳細に説明する。なお、以下では、走査信号線115およびデータ信号線117の結線が実施例1とは異なることにより生じる、駆動方法の違いを中心に、説明する。
【0043】
まず、走査信号駆動部114は、走査信号線0を選択する。それにより、走査信号線0に接続された1280個(第0ラインと第1ライン)のRサブピクセルと640個(第0ライン)のBサブピクセルが階調データの書き込みが可能な状態となる。次に、液晶駆動信号生成部113が、表示する映像の第0ラインと第1ラインのR階調データ、および第0ラインのB階調データをフレームメモリ部112から読み出し、データ信号駆動部116へ送信する。そして、データ信号駆動部116は、入力された階調データを、データ信号線を介して、選択されたサブピクセル(第0,1ラインのRサブピクセルと第0ラインのBサブピクセル)に書き込む。偶数番目の走査信号線(走査信号線2、走査信号線4、、走査信号線478)が順次選択され、同様の処理が行われる。
以上により、全てのRサブピクセルと半数のBサブピクセルとに階調データが書き込まれる。
【0044】
次に、走査信号駆動部114は、走査信号線−1を選択する。それにより、走査信号線−1に接続された640個(第0ライン)のGサブピクセルが階調データを書き込みが可能な状態となる。液晶駆動信号生成部113は、表示する映像の第0ラインのG階調データをフレームメモリ部112から読み出し、データ信号駆動部116へ送信する。データ信号駆動部116は、入力された階調データを、データ信号線を介して、選択されたサブピクセル(第0ラインのGサブピクセル)に書き込む。
その後、走査信号駆動部114は、走査信号線1を選択する。それにより、走査信号線1に接続された1280個(第1ラインと第2ライン)のGサブピクセルと640個(第1ライン)のBサブピクセルが階調データを書き込みが可能な状態となる。次に、液晶駆動信号生成部113が、表示する映像の第1ラインと第2ラインのG階調データ、および第1ラインのB階調データをフレームメモリ部112から読み出し、データ信号駆動部116へ送信する。そして、データ信号駆動部116は、入力された階調データを、データ信号線を介して、選択されたサブピクセル(第1,2ラインのGサブピクセルと第1ラインのBサブピクセル)に書き込む。奇数番目の走査信号線(走査信号線3、走査信号線5、、、走査信号線477)を順次選択し、同様の処理が行われる。
次に、走査信号駆動部114は、走査信号線479を選択する。それにより、走査信号線479に接続された640個(第479ライン)のGサブピクセルと640個(第479ライン)のBサブピクセルが階調データを書き込みが可能な状態となる。液晶駆動信号生成部113は、表示する映像の第479ラインのG,B階調データをフレームメモリ部112から読み出し、データ信号駆動部116へ送信する。データ信号駆動部116は、入力された階調データを、データ信号線を介して、選択されたサブピクセル(第479ラ
インのG,Bサブピクセル)に書き込む。
以上により、全てのGサブピクセルと半数のBサブピクセルとに階調データが書き込まれる。
【0045】
本実施例では、全体の(ほぼ)半数の走査信号線(走査信号線0、2、、、478)により、全Rサブピクセルを選択できることから、全サブピクセルに階調データを書き込むのに要する時間の1/2の時間で、全Rサブピクセルに階調データが書き込める。全体の(ほぼ)半数の走査信号線(走査信号線−1、1、、、479)により、全Gサブピクセルを選択できることから、全サブピクセルに階調データを書き込むのに要する時間の1/2の時間で、全Gサブピクセルに階調データが書き込める。全Rサブピクセルに階調データを書き込む期間と全Gサブピクセルに階調データを書き込む期間とにおいて、同時に全Bサブピクセルに階調データが書き込まれる。まとめると、図5の表のようになる。
【0046】
図6に、実施例2における、表示装置101の動作、表示装置101が表示する映像、液晶シャッター付めがね131の動作および視聴者が知覚する映像の関係を示す。図6は、右眼映像のn−1番目のフレーム、左眼映像のn番目のフレーム、右眼映像のn番目のフレーム、左眼映像のn+1番目のフレームを、時系列に表示する場合の例である。
表示装置動作301、R液晶画素311、R−LED312、G液晶画素313、G−LED314、B液晶画素315、B−LED316、表示映像321、液晶シャッター付めがね制御331、左眼シャッター341、右眼シャッター342、視聴者知覚映像351の定義は、実施例1と同じである。
【0047】
以下、図6を用いて、表示装置101の動作、表示装置101が表示する映像、液晶シャッター付めがね131の動作および視聴者が知覚する映像の関係を説明する。左眼映像のn番目のフレームの表示に関わる期間T571〜T582内の各期間における動作について説明する。
【0048】
(期間T571〜T572)
時刻T571において、R液晶画素311への左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データから、左眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T572に完了する。よって、期間T571〜T572にR液晶画素311によって表示される映像は、右眼映像のn−1番目のフレームと左眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T572以降は、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データだけを保持する状態となる。即ち、R液晶画素311への補正データの書き込みに要する期間T571〜T572は、図5の期間Aに相当する。期間T571〜T572では、R−LED312は消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のR映像は、表示映像321に含まれない。
【0049】
また、時刻T571において、B液晶画素315への左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データから、左眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T572でも完了しない。よって、期間T571〜T572にB液晶画素315によって表示される映像は、右眼映像のn−1番目のフレームと左眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T572では、半数のBサブピクセルが、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データを保持し、残り半数のBサブピクセルが左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持する。期間T571〜T572では、B−LED316は消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のB映像は、表示映像321に含まれない。
【0050】
このとき、G液晶画素313には、右眼映像のn−1番目のフレームの階調データが書き込まれており、G−LED314は点灯状態である。
そのため、期間T571〜T572では、表示映像321として右眼映像のn−1番目のフレームの映像が表示される。具体的には、期間T571〜T572では、表示映像321として右眼映像のn−1番目のフレームのG映像が表示される。期間T571〜T572では、R−LED312とB−LED316は消灯状態であるため、右眼映像のn−1番目のフレームのG映像と左眼映像のn番目のフレームのR,B映像が混在することは抑制される。
左眼シャッター341は閉状態、右眼シャッター342は開状態である。
【0051】
(期間T572〜T573)
期間T572〜T573では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。また、R−LED312は、時刻T572から点灯される。それにより、R映像が表示映像321に含まれる。
G液晶画素313は、期間T571〜T572におけるR液晶画素311と同様に、左眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込み中である。G−LED314は、期間T571〜T572におけるR−LED312と同様に、消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のG映像は、表示映像321に含まれない。
B液晶画素315には、期間T571〜T572に引き続き、左眼映像のn番目のフレームの階調データが書き込まれる。B−LED316は消灯状態である。そのため、書き込み途中のB映像は、表示映像321に含まれない。
よって、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのR映像となる(図6における符号561)。
また、時刻T573において、G液晶画素313とB液晶画素315への補正データの書き込みが完了し、G液晶画素313とB液晶画素315は左眼映像のn番目のフレームの階調データだけを保持する状態となる。G液晶画素313への補正データの書き込みに要する期間T572〜T573は、図5の期間Bに相当する。また、B液晶画素315への補正データの書き込みに要する期間T571〜T573は、期間Aと期間Bを足し合わせた期間に相当する。
時刻T572において、左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態となる。
【0052】
(期間T573〜T581)
期間T573〜T581では、R液晶画素311は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。R−LED311は、点灯している。
G液晶画素313は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、期間T572〜T573におけるR−LED311と同様に、時刻T573から点灯される。それにより、G映像が表示映像321に含まれる。
B液晶画素315は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。B−LED316は、期間T572〜T573におけるR−LED312と同様に、時刻T573から点灯される。それにより、B映像が表示映像321に含まれる。
よって、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのR,G,B映像が合成された映像となる(図6における符号562)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0053】
(期間T581〜T582)
時刻T581において、R液晶画素311への右眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、左眼映像のn番目のフレームの階調データから、右眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T582に完了する。よって、期間T581〜T582にR液晶
画素311によって表示される映像は、左眼映像のn番目のフレームと右眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T572以降は、R液晶画素311は、右眼映像のn番目のフレームの階調データだけを保持する状態となる。期間T581〜T582では、R−LED312は消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のR映像は、表示映像321に含まれない。
G液晶画素313は、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持している。G−LED314は、点灯している。
時刻T581において、B液晶画素315への右眼映像のn番目のフレームの階調データの書き込みが開始される。具体的には、階調データが、左眼映像のn番目のフレームの階調データから、右眼映像のn番目のフレームの階調データに書き換えられる。該書き込み(書き換え)は、時刻T582でも完了しない。よって、期間T581〜T582にB液晶画素315によって表示される映像は、左眼映像のn番目のフレームと右眼映像のn番目のフレームとが混在する映像となる。時刻T582では、半数のBサブピクセルが、左眼映像のn番目のフレームの階調データを保持し、残りの半数のBサブピクセルが右眼映像のn番目のフレームの階調データを保持する。期間T581〜T582では、B−LED316は消灯状態とされる。そのため、書き込み途中のB映像は、表示映像321に含まれない。
よって、表示映像321は、左眼映像のn番目のフレームのG映像となる(図6における符号563)。
左眼シャッター341は開状態、右眼シャッター342は閉状態である。
【0054】
期間T571〜T582において、前述の動作を行うことにより、期間T572〜T582において、左眼映像のn番目のフレームの映像を表示することができる。そして、期間T581〜T592において、期間T571〜T582における動作と同様の動作(左右を逆転させた動作)を行うことにより、期間T582〜T592において、右眼映像のn番目のフレームの映像を表示することができる。この動作を繰り返し行うことにより、黒映像がフレーム間に表示されることなく、左眼映像と右眼映像を切り換えながら表示することができる。具体的には、左眼映像のn番目のフレーム、右眼映像のn番目のフレーム、左眼映像のn+1番目のフレーム、右眼映像のn+1番目のフレーム、、、のように、左眼映像と右眼映像を切り換えながら、表示することができる。
【0055】
以上述べたように、本実施例によれば、第1の色の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと第2の色の半分の液晶素子に対する階調データの書き込みが並列に行われる。その後、第3の色の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと前記第2の色の残り半分の液晶素子に対する階調データの書き込みが並列に行われる。そのような構成にすることにより、液晶パネルが図4のような構成であっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、映像の赤色成分が視聴者に知覚される期間(R映像の表示期間)は、1フレーム当たり1フレーム期間の3/4である。従来技術において、黒映像が視聴者に知覚される期間を1フレーム当たり1フレーム期間の1/2とすると、映像の赤色成分が視聴者に知覚される期間は、1フレーム当たり1フレーム期間の1/2となる。よって、本実施例では、赤色成分の輝度が、従来技術の3/2倍となる。緑色成分の輝度も同様である。映像の青色成分が視聴者に知覚される期間(B映像の表示期間)は、1フレーム当たり1フレーム期間の1/2である。よって、青色成分の輝度は、従来技術と同じである。赤色成分の輝度と緑色成分の輝度が向上することにより、視聴者が知覚する映像の輝度を向上させることができる。
なお、赤色成分の輝度、緑色成分の輝度、青色成分の輝度が均一ではないため、表示映像のホワイトバランスは変化してしまう。そのため、各色のLEDの個数やLED1個当たりの発光量を調整することにより、1フレーム期間あたりの発光量が色間で互いに等し
くなるように設定されていることが好ましい。例えば、R,G映像の表示期間はB映像の表示期間よりも長くなるため、各色1個のLEDの単位時間当たりの発光量が等しい場合には、赤色LEDと緑色LEDの個数を、青色LEDの個数よりも少なく設定すればよい。
【0057】
なお、本実施例では、第1の色が赤色、第2の色が青色、第3の色が緑色である例を示した。即ち、Bサブピクセルへの階調データの書き込み期間が、Rサブピクセル、Gサブピクセルへの階調データの書き込み期間の2倍である例を示した。しかし、第1〜3の色はこれに限らない。例えば、第1の色が青色、第2の色が赤色、第3の色が緑色であってもよい。第1の色が赤色、第2の色が緑色、第3の色が青色であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
101 表示装置
114 走査信号駆動部
116 データ信号駆動部
118 液晶パネル
120 バックライト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込まれた階調データに応じた階調値となるように駆動される複数色の液晶素子を1画素として、マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶パネルと、
前記複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データを書き込む書き込み手段と、
前記液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトと、
を有し、
前記書き込み手段は、一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、前記階調データを前記複数の液晶素子に書き込み、
前記バックライトは、階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDを点灯することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記バックライトは、1つ前のフレームの全ての色成分の映像の表示が終了したタイミングで、現在のフレームの階調データの書き込みが完了している少なくとも1色のLEDを点灯する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記各色のLEDの個数は、1フレーム期間あたりの発光量が色間で互いに等しくなるように設定されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、右眼用の映像のフレームと左眼用の映像のフレームを交互に表示することにより立体映像を表示する時分割方式3Dディスプレイであり、
前記立体映像の視聴に使用するシャッター付めがねを制御する制御手段を更に有し、
前記制御手段は、
前記表示装置で前記立体映像を表示する際に、
左眼用の映像の少なくとも一部の色成分の映像を表示しているときには、左眼側のシャッターを開き、右眼側のシャッターを閉じ、
右眼用の映像の少なくとも一部の色成分の映像を表示しているときには、左眼側のシャッターを閉じ、右眼側のシャッターを開く
ように、前記シャッター付めがねを制御する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記書き込み手段は、各色の液晶素子に対する階調データの書き込みを順番に行う
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記書き込み手段は、第1の色の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと第2の色の半分の液晶素子に対する階調データの書き込みを並列に行った後、第3の色の全ての液晶素子に対する階調データの書き込みと前記第2の色の残り半分の液晶素子に対する階調データの書き込みを並列に行う
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
書き込まれた階調データに応じた階調値となるように駆動される複数色の液晶素子を1画素として、マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶パネルと、前記液晶素子の各色に対応する複数色のLEDからなるバックライトと、を有する表示装置の制御方法であって、
一部の色の液晶素子に対する階調データの書き込み期間が他の少なくとも1色の液晶素
子に対する階調データの書き込み期間に重ならないように、前記複数の液晶素子に、入力された映像信号に応じた階調データを書き込むステップと、
階調データの書き込み期間に、該階調データの書き込みが行われている液晶素子の色に対応する色のLEDを消灯し、他の色のLEDのうち少なくとも1色のLEDを点灯するステップと、
を有することを特徴とする表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150330(P2012−150330A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9615(P2011−9615)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】