説明

表示装置および電子機器

【課題】配線設計の自由度が高く、且つ簡素な配線が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、表示領域および周辺領域が設けられた基板11と、基板11の表面に設けられた第1配線5Aと、基板の裏面に設けられると共に、第1配線5Aと電気的に接続された第2配線とを備え、前記第1配線と第2配線とは、前記基板の周辺領域に設けられた接続部を介して接続され、前記接続部は1または2以上の貫通孔で、前記第1配線は、前記表示領域に接続された複数の配線からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ディスプレイ外部にフレキシブルプリント基板等を備えた表示装置、およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や電気泳動型表示装置等の平面型表示装置では、表示領域にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、各表示素子を制御すると共に、行方向および列方向に複数配置された配線(信号線および走査線)とが設けられている。これら配線は、例えば矩形状の表示装置では、各配線の延在方向の各一辺から取り出され、表示パネルの外部で、例えばドライバIC(Integrated Circuit)やフレキシブルプリント基板(FPC)が接続され、ここから駆動用信号が供給される。
【0003】
これら配線を簡略化する方法としては、例えば表示パネルへドライバIC等を直接実装するチップ実装や駆動ドライバ等の内蔵回路を表示パネルの非表示領域に搭載するドライバ混載等の手法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これら方法を用いることにより表示パネル外部への取り出し配線数が削減され、非表示領域に形成される配線を簡素にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−3741号公報
【特許文献2】特開平6−148671号公報
【特許文献3】特開2010−266849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では、表示領域内の配線数が多くなるほど、表示パネル上に搭載されたドライバICや内蔵回路から外部へ引き出される配線数が増加する。このため、周辺領域が拡大するという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、配線設計の自由度が高く、且つ簡素な配線が可能な表示装置、およびこれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の表示装置は、表示領域および周辺領域が設けられた基板と、基板の表面に設けられた第1配線と、基板の裏面に設けられると共に、第1配線と電気的に接続された第2配線とを備えたものである。
【0008】
本技術の電子機器は、本技術の表示装置を備えたものである。
【0009】
本技術の表示装置または電子機器では、基板の表面および裏面にそれぞれ第1配線および第2配線を設け、これらを電気的に接続することにより、基板の周辺領域に形成される配線の設計の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本技術の表示装置および電子機器によれば、基板の裏面に第2配線を設け、この第2配線と、基板表面に設けられた第1配線とを電気的に接続するようにしたので、基板の周辺領域に形成される配線の設計自由度が向上し、表示領域周辺の配線を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の構成を表す平面図および断面図である。
【図2】図1に示した表示装置の一部の構成を表す断面図である。
【図3】図1に示した表示領域および周辺領域の構成図である。
【図4】本開示の一実施の形態に係る表示装置の他の例を表す平面図および断面図である。
【図5】本開示の一実施の形態に係る表示装置の他の例を表す平面図および断面図である。
【図6】本開示の一実施の形態に係る表示装置の他の例を表す平面図および断面図である。
【図7】本開示の一実施の形態に係る表示装置の他の例を表す平面図および断面図である。
【図8】図1に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図9】従来例1の表示装置の構成を表す平面図である。
【図10】従来例2の表示装置の構成を表す平面図である。
【図11】従来例3の表示装置の構成を表す平面図である。
【図12】図1に示した表示装置の製造方法の流れ図である。
【図13】図1に示した表示装置の製造工程を表す図である。
【図14】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図15】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図16】(A)は適用例3の表側から見た外観を表す斜視図、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図17】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図18】適用例5の外観を表す斜視図である。
【図19】(A)は適用例6の開いた状態の正面図、(B)はその側断面、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
基板の表面および裏面に形成された配線が貫通孔を介して電気的に接合された表示装置
(1−1)全体構成
(1−2)製造方法
2.適用例
【0013】
1.実施の形態
(1−1)全体構成
図1は本開示の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の表面および裏面の平面構成および断面構成を表したものである。図1(A)は表(表示)側から見た平面構成、図1(B)は裏側から見た平面構成、図1(C)は図1(A)のI−I’一点鎖線における周辺領域3の断面構成をそれぞれ表している。この表示装置1は、例えば、有機エレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)現象を利用して発光する有機EL有機ELテレビジョン装置、または電気泳動現象を利用して画像(例えば文字情報等)を表示する電気泳動型ディスプレイ(いわゆる電子ペーパーディスプレイ)である。表示装置1の表示パネル10は、例えば、基板11上に、複数の画素10A(図3参照)がマトリクス状に配置された表示領域2と、周辺領域3とにより構成されている。周辺猟奇3には、表示パネル10の外部に設けられた映像表示用のドライバである信号線駆動回路7Aおよび走査線駆動回路7Bから各画素10Aへの駆動信号を供給する配線(信号線4(第3配線)および走査線5A(第1配線))が設けられている。なお、図1(A)〜(C)は、表示装置1の構造を模式的に表したものであり、実際の寸法・形状とは異なる。
【0014】
図2は、表示領域2の一部の断面構成を表したものである。図2に示したように、表示領域2は、基板11上にTFT層12、表示層13および透明基板14がこの順に積層された構成を有している。図3は、表示装置1の概略構成を表したものである。
【0015】
基板11(表示基板)は、例えば矩形状であり、その上面の中央部にTFT層12、表示層13および透明基板14がこの順に積層された領域が表示領域2となる。一方、基板11のうち、表示領域2を囲む領域が周辺領域3(被表示領域)となる。基板11は例えば、ガラス,石英,シリコン,ガリウム砒素等の無機材料あるいは、ポリイミド,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリカーボネート(PC),ポリエーテルスルホン(PES),ポリエチルエーテルケトン(PEEK),芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等のプラスチック材料等からなる。この基板11は、ウェハなどの剛性の基板であってもよく、薄層ガラスやフィルムなど可撓性基板であってもよい。基板11が可撓性基板であれば、折り曲げ可能な表示装置を実現できる。
【0016】
基板11には、直径数十μm程度の貫通孔11Aが設けられている。この貫通孔11Aは、表示層12等が影響を受けることを防ぐために周辺領域3に設けることが好ましい。具体的には、矩形状の表示パネル10の周辺領域3の一辺、例えば後述する表面配線(信号線4および走査線5A)が引き出された周辺領域3の一辺に設けられる。貫通孔11Aは後述する表面配線層および裏面配線層と同様の材料によって充填され、貫通電極5Cを形成している。
【0017】
TFT層12は、複数のデバイスを含む積層構造を有すると共に、この複数のデバイスは、薄膜(電極等の金属層や、絶縁膜など)を含むものであり、上記のように基板11の中央部(表示領域2)に配置されている。具体的には、画素を選択するためのスイッチング素子としてのトランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)の他、容量素子(保持容量素子など)、画素駆動回路(図3)となる表面配線層(信号線4,走査線5Aなど)および電極(画素電極など)等が挙げられる。なお、TFTは、チャネル層として無機半導体層を用いた無機TFTあるいは、有機半導体層を用いた有機TFTのどちらにより構成されていてもよい。また、その構成は、例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)でもよく特に限定されない。
【0018】
なお、基板11とTFT層12との間には、TFT層12および表示層13への水分や有機ガスの浸入による劣化を防止するために、バリア層(図示せず)を設けてもよい。バリア層は、例えば、酸化シリコン(SiO2),窒化シリコン(Si34),酸化アルミニウム(Al23),窒化アルミニウム(AlN),酸化タンタル(Ta25)または酸化窒化アルミニウム(AlOx1-x(但し、X=0.01〜0.2))により形成される。
【0019】
表示層13は、例えば画素電極と共通電極との間に有機発光層を有する有機EL素子である。画素電極はTFT層12に画素ごとに設けられ、共通電極は表示層13上に設けられた透明基板14の一面に亘り設けられている。なお、表示層13は有機EL素子に限らず、発光層として電気泳動層を有する電気泳動素子でもよい。
【0020】
透明基板14には基板11と同様の材料を用いることができる。透明基板14上には、更に表示層13への水分の浸入を防止する防湿膜および外光の表示面への映り込みを防止するための光学機能膜を設けるようにしてもよい。
【0021】
裏面配線層(第2配線)は、画素駆動回路の一部であり、基板11の裏面側に設けられ、基板11の周辺領域3に形成された貫通電極5Cを介してTFT層12内に形成された表面配線と電気的に接続されている。本実施の形態では、この裏面配線層は、走査線5の一部であり、基板11の表面に設けられた走査線5Aと貫通電極5Cを介して接続された走査線5Bである。この走査線5Bは、図1(B)に示したように、基板11の長軸方向に延在したのち、所定の位置にて短軸方向に屈曲し、基板11の表面に設けられた信号線4の外部への取り出し方向と同じ方向に取り出されている。
【0022】
なお、ここでは走査線5を基板11の裏面に引き回したが、これに限らず、信号線を裏面側に引き回しても構わない。本実施の形態のように、配線数の少ない短辺方向(ここでは走査線5A)を裏面配線によって引き回す場合には、ゲート線が少ないため製造工程が容易になる。一方、長辺方向(ここでは信号線5)を裏面配線によって引き回す場合には、信号線駆動回路7Aおよび走査線駆動回路7B等のドライバICやドライバICを搭載したフレキシブルプリント基板(FPC)などを、短辺方向に形成した配線引き出し部において接続することができる。このため、配線の引き回しの自由度が向上する。更に、基板11として可撓性基板を用いた際には、ドライバICやフレキシブルプリント基板との接続部などの屈曲に弱い部材を短辺方向に集約することができ、表示装置のフレキシブル性がより向上する。また、本実施の形態では、走査線5Bを所定の位置にて屈曲させて引き回したが、これに限らず、例えば図4(A),(B)に示したように、曲線状に引きまわしてもよいし、図5(A),(B)に示したように、複数の線分からなるライン状に引きまわしてもよい。また、表面配線および裏面配線はそれぞれ必ずしも同一辺から取り出す必要はなく、例えば、図6(A),(B)に示したように、裏面配線の半数を表面配線と同一辺から取り出し、残りの裏面配線を表面配線の取り出し辺に対向する辺から取り出すようにしてもよい。更に、信号線4Aおよび走査線5Aは必ずしも同一辺から取り出す必要はなく、例えば図7(A),(B)に示したように、互いに対向する辺から取り出すようにしてもよい。なお、図1,図4〜図7に示したように、表面配線および裏面配線を同一辺または互いに対向する辺から取り出すことによって可撓性基板を用いて作製した際の表示装置の可撓性を向上することが可能となる。
【0023】
更に、本実施の形態では、表面配線と裏面配線とを貫通孔11Aからなる接続部を介して接続したが、表面配線と裏面配線とは電気的に接続されていればよく、貫通孔11Aの他、例えば表面配線および裏面配線を基板11の端辺まで設け、基板11の側面を介して接続するようにしてもよい。但し、本実施の形態ように貫通孔11Aを介して接続することにより、接続部における断線等の不具合の発生を防ぐことができる。この他、別途フレキシブル配線基板を用いて表面配線と裏面配線を接続する接続部(図示せず)を設けてもよい。但し、本実施の形態のように貫通孔11Aを介して接続することにより、部品点数を減らすことができる。
【0024】
また、上記表面配線層(信号線4,走査線5A),裏面配線層(走査線5B)および貫通電極5Cは、一般的な導電材料、例えばモリブデン(Mo),クロム(Cr),タンタル(Ta),チタン(Ti),In合金であるITOやIGO,IGZO等の透明電極、アルミニウム(Al)およびアルミニウム合金等のうちの1種よりなる単層膜、または2種以上よりなる積層膜により構成されている。アルミニウム合金としては、例えばアルミニウム−ネオジム合金が挙げられる。
【0025】
本実施の形態における表示装置1では、画素駆動回路は、例えば表示層13に有機EL素子を用いる場合には、図8(A)に示したように、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csと、第1電源ライン(Vcc)および第2電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された各画素を構成する表示素子とを有する。また、表示層13に電気泳動素子を用いる場合には、図8(B)に示したような画素回路が設けられる。
【0026】
この画素駆動回路は、例えば図3に示したように、列方向には信号線4が複数配置され、行方向には走査線5Aが複数配置されている。各信号線4と各走査線5Aとの交差点が各表示素子に対応している。各信号線4は、フレキシブルプリント基板(FPC)上に設けられた信号線駆動回路7Aに接続され、この信号線駆動回路7Aから信号線4を介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線5は信号線駆動回路7Aと同様にFPCに設けられた走査線駆動回路7Bに接続され、この走査線駆動回路7Bから走査線5を介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0027】
本実施の形態の走査線5では、基板11の表面に設けられた走査線5Aが周辺領域3に形成された貫通電極5Cを介して基板11の裏面に設けられた走査線5Bに接続され、信号線4と同一方向に取り出されている。
【0028】
この表示装置1は、例えば以下のようにして製造することができる。なお、ここでは基板11として可撓性を有する基板を用いた場合の製造工程を説明する。
【0029】
(1−2)製造方法
図9は、この表示装置1の製造方法の流れを表したものである。まず、図10(A)に示したように基板11の裏面に固定層21を介して支持体22を貼りつけたのち、TFT層12および表示層13を形成する(ステップS101,102)。支持体22は、基板11を支持するものであり、例えばガラス基板や金属基板を用いることができる。固定層21は、基板11を支持体22に固定するものである。この固定層21は、汎用的な粘着剤および粘着テープを用いることができる。具体的には、例えばアクリル系接着剤(粘着剤),エポキシ系接着剤,シロキサン系接着剤,ウレタン系接着剤,シランカップリング剤,天然ゴム系接着剤または合成ゴム系接着剤等が挙げられる。これら接着剤は、支持体21と基板11との接触面に、スピンコート法,ダイコートまたはグラビア等の印刷法で塗布することにより形成する。また、粘着テープを用いる場合には、例えば支持体11に粘着テープを添付して固定層12を形成したのち、ラミネータで基板13を固定する。
【0030】
続いて、フォトリソグラフィ等を用いてTFTや表面配線層(信号線4,走査線5Aなど)等の各種のデバイスを含むTFT層12を形成する。次いで、TFT層12上に、例えばTFT層12と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて、表示層13を形成する。そののち、この表示層13上に共通電極,防湿膜および光学機能膜等を備えた透明基板14を貼り合わせる。なお、防湿膜および光学機能膜は、共通電極が形成された透明基板14を表示層13に貼り合わせたのち、透明基板14上に形成してもよい。
【0031】
次に、図10(B)に示したように支持体11を基板13から剥離する(ステップS103)。支持体21と基板11との分離方法は、例えば、剥離開始部にピッキングテープを用いて剥離してもよい。なお、固定層12は支持体11に付着した状態でもよいが、必要に応じて除去してもよい。
【0032】
続いて、図10(C)に示したように基板11を反転して裏面側を上面にし、貫通孔11Aを形成する(ステップS104)。貫通孔11Aの形成方法としては、具体的には、CO2レーザによる加工、穴あけ加工機を用いた加工が挙げられる。また、基板11を溶解する溶剤をインクジェット法やディスペンサーによって局所的に塗布することで貫通孔11Aを形成してもよい。なお、ここでは基板11の裏面側を上面にして貫通孔11Aを形成したが、裏面加工ができれば必ずしも基板11を反転する必要はない。
【0033】
次に、図10(D)に示したように基板11の裏面に裏面配線層(走査線5B)を形成する(ステップS105)。裏面配線層の形成方法としては、例えばインクジェット方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スクリーン印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式または凸版印刷方式等の各種印刷方式の他、スプレイコート等を用いることができる。なお、配線幅と配線間の間隔は、例えばL/S=30μm/30μm〜20μm/20μmであれば十分である。
【0034】
最後に、基板11の表面の長辺方向に取り出された信号線4および同じく裏面の長辺方向に取り出された走査線5Bにそれぞれ信号線駆動回路7Aおよび走査線駆動回路7Bを備えたFPCを、配線引き出し部において、例えば熱圧着により電気的に接続させる。これにより表示装置1が完成する。また、これらの駆動回路は、FPCを介して接続されていなくても、長辺方向に設けられたチップ上に搭載し、配線引き出し部で電気的に接続されていても良い。
【0035】
この表示装置1では、各画素10Aに対して走査線駆動回路7Bから書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路7Aから画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、表示素子の駆動が制御される。
【0036】
本実施の形態の表示装置1では、基板11の裏面に裏面配線を形成し、この裏面配線と、基板11の表面に設けられた画素駆動回路を構成する配線(ここでは走査線5A)とを電気的に接続することにより、配線の取り出し方向を一方向にまとめることが可能となる。これにより、配線設計の自由度が向上し、周辺領域3に設けられる配線パターンを簡素化することが可能となる。即ち、狭額縁化が可能になると共に、可撓性を有する基板を用いた表示装置では、モジュール全体のフレキシビリティーを実現することができる。以下、これについて更に説明する。
【0037】
図11は、従来のディスプレイモジュール(表示装置100A)の平面構成を表したものである。この表示装置100Aでは、表示領域102において行方向および列方向に複数配置された配線(信号線4および走査線5)は、そのまま同方向に延在し、矩形状の基板111の2方向から外部へ取り出される。これら信号線104および走査線105は、それぞれ信号線駆動回路107Aや走査線駆動回路107B等のドライバICが搭載されたFPCに接続されている。このような表示装置100Aでは、基板111として可撓性基板を用いても、矩形状の基板11の二辺に接続されたドライバICやFPCにより、モジュールのフレキシビリティーが阻害されるという問題があった。
【0038】
この問題を解決するために、前述したように図12および図13に示した表示装置100B,100Cが報告されている。この表示装置100Bは、基板111の周辺領域103に信号線駆動回路107Aや走査線駆動回路107B等のドライバICを直接実装(チップ実装)したものであり、これにより、取り出し配線数を減らすことができる。また、表示装置100Cは、通常表示領域102内に形成されるTFTの駆動ドライバ108(内蔵回路)を基板11の周辺領域103に形成したものであり、表示装置100Bと同様に取り出し配線数を減らすことができる。これにより、表示パネル外部への配線の取り出し位置は一ヶ所に集約され、ドライバIC107A,107BやFPC106によるモジュールのフレキシビリティーの阻害は低減される。しかし、このような構成の表示装置100B,100Cでは、基板111上に実装されたドライバIC107A,107Bや駆動ドライバ108から外部へ引き出す配線を周辺領域103に形成する必要がある。このため、少なくともドライバICや駆動ドライバが設けられた側の周辺領域103を広くする必要があり、額縁領域(周辺領域103)が広くなるという問題が生じる。また、表示パネル内における表示領域102の位置が偏り、ディスプレイとしてのデザイン性が低下するという問題も発生する。更に、一般的にチップ実装は、はんだ付けによって行われるが、はんだ付けは200℃以上の加熱が必須であるため、基板111としてプラスチックなどの可撓性基板を用いた場合には、基板の溶解や変形等が発生する。また、表示装置100Cのように、基板111上にTFTを含むドライバを混載する場合には高いTFT移動度が必要になる。チャネルとしてポリシリコン等を用いる無機TFTでは、その移動度は数10〜数100cm2/Vs程度と高いため問題ないが、有機TFTの移動度は現状1cm2/Vs程度であり、移動度が不足している。このように、図12や図13に示した表示装置100B,100Cでは、表示装置として利用可能な材料が限定され、特に、フレキシビリティーを有するモジュールに適用することは困難であった。
【0039】
これに対して、本実施の形態の表示装置1では、基板11の表面側に形成される信号線4および走査線5等の画素駆動回路のうち、一方を基板11の裏面側をひきまわすようにした。これにより、周辺領域3に形成される配線設計の自由度が向上する。
【0040】
以上のように本実施の形態の表示装置1では、基板11の裏面に配線を設け、この裏面配線と表面に設けられた配線とを電気的に接続するようにしたので、周辺領域3に形成される配線の設計自由度が向上し、配線の外部への引き出しを一方向から行うことが可能となる。これにより、この表示装置1を、可撓性基板を用いて作製した場合には、表示装置1全体のより高いフレキシビリティーが実現する。また、表示領域2の配線を簡素化することが可能となるため、表示装置1の狭額縁化が可能となる。
【0041】
上記表示装置1は、例えば次の適用例1〜6に示した電子機器に搭載することができる。
【0042】
(適用例1)
図14(A)および図14(B)は、電子ブックの外観を表したものである。この電子ブックは、例えば、表示領域210,非表示領域220および操作部230を有している。操作部230は、図10(A)に示したように表示領域210と同じ面(前面)に形成されていても、図14(B)に示したように表示領域210とは異なる面(上面)に形成されていてもよい。
【0043】
(適用例2)
図15は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有している。
【0044】
(適用例3)
図16は、デジタルスチルカメラの外観を表したものである。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示領域420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有している。
【0045】
(適用例4)
図17は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示領域530を有している。
【0046】
(適用例5)
図18は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示領域640を有している。
【0047】
(適用例6)
図19は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。
【0048】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、表示層12を電気泳動型の表示体により構成する場合について説明したが、表示層12は、液晶,有機EL(Electroluminescence)あるいは無機EL等により構成されていても
よい。
【0049】
また、図1では、貫通孔11Aの径の大きさが表面側と裏面側で同一径となっているものを例示したが、表面側と裏面側とで異なっていてもよく、複数の貫通孔11Aの径が全て同一であっても、異なっていてもよい。
【0050】
更に、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0051】
更に、上記実施の形態等では、表示装置1の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。
【0052】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)表示領域および周辺領域が設けられた基板と、前記基板の表面に設けられた第1配線と、前記基板の裏面に設けられると共に、前記第1配線と電気的に接続された第2配線とを備えた表示装置。
(2)前記第1配線と第2配線とは、前記基板の周辺領域に設けられた接続部を介して接続されている、前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記接続部は1または2以上の貫通孔である、前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記第1配線は前記表示領域に接続された複数の配線からなり、前記第2配線はそれぞれ前記第1配線に電気的に接続された複数の配線からなる、前記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
(5)前記基板は矩形状を有し、前記第1配線は前記基板の少なくとも一辺に沿って設けられた貫通孔を介して前記第2配線に接続されている、前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)前記第1配線は、前記基板の表面において前記表示領域に接続され、前記第2配線は、一端が前記基板の一辺において前記接続部を介して前記第1配線と電気的に接続されると共に、他端が前記基板の他辺に設けられた配線引き出し部まで配設されている、前記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の表示装置。
(7)前記表示領域は、行状に設けられた複数の信号線と、列状に設けられた複数の走査線と、前記信号線と走査線との交点に設けられた画素とを有し、前記第1配線は前記信号線または前記走査線の一方に接続されている、前記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の表示装置。
(8)前記信号線は信号線駆動回路に電気的に接続され、前記走査線は走査線駆動回路に電的に接続されている、前記(7)に記載の表示装置。
(9)前記信号線または前記走査線の一方は前記第1配線,前記接続部および前記第2配線を介して前記配線引き出し部に接続され、前記配線引き出し部は前記信号線駆動回路または前記走査線駆動回路に電気的に接続されている、前記(8)に記載の表示装置。
(10)前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の同一辺に設けられている、前記(8)または(9)に記載の表示装置。
(11)前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の前記配線引き出し部が設けられた他辺に設けられている、前記(8)乃至(10)のいずれか1つに記載の表示装置。
(12)前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の対向する辺にそれぞれ設けられている、前記(8)乃至(11)のいずれか1つに記載の表示装置。
(13)前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、一方が前記矩形状を有する基板の前記引き出し部が設けられた他辺に設けられると共に、他方が前記他辺と対向する辺に設けられている、前記(8)乃至(12)のいずれか1つに記載の表示装置。
(14)前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は駆動回路基板上に設けられている、前記(8)乃至(13)のいずれか1つに記載の表示装置。
(15)前記駆動回路基板は、フレキシブルプリント基板である、前記(14)に記載の表示装置。
(16)前記基板の表面に前記第1配線とは異なる層に配設された第3配線を有し、前記第3配線および前記第2配線は、前記貫通孔が設けられた前記基板の一辺とは異なる他の一辺から取り出されている、前記(5)乃至(15)のいずれか1つに記載の表示装置。
(17)前記基板は可撓性基板である、前記(1)乃至(16)のいずれか1つに記載の表示装置。
(18)前記可撓性基板は矩形状を有し、一辺の方向に対する可撓性が他辺の方向に対する可撓性よりも高い、前記(17)に記載の表示装置。
(19)表示装置備え、前記表示装置は、表示領域および周辺領域が設けられた基板と、前記基板の表面に設けられた第1配線と、前記基板の裏面に設けられると共に、前記第1配線と電気的に接続された第2配線とを有する電子機器。
【符号の説明】
【0053】
1,100A,100B,100C…表示装置、2…表示領域、3…周辺領域、4…信号線、5(5A,5B,5C)…走査線、6…FPC、7A…信号線駆動回路、7B…走査線駆動回路、10…表示パネル、11…基板、11A…貫通孔、12…TFT層、13…表示層、14…透明基板、21…固定層、22…支持体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域および周辺領域が設けられた基板と、
前記基板の表面に設けられた第1配線と、
前記基板の裏面に設けられると共に、前記第1配線と電気的に接続された第2配線と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第1配線と第2配線とは、前記基板の周辺領域に設けられた接続部を介して接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記接続部は1または2以上の貫通孔である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1配線は前記表示領域に接続された複数の配線からなり、前記第2配線はそれぞれ前記第1配線に電気的に接続された複数の配線からなる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板は矩形状を有し、前記第1配線は前記基板の少なくとも一辺に沿って設けられた貫通孔を介して前記第2配線に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1配線は、前記基板の表面において前記表示領域に接続され、前記第2配線は、一端が前記基板の一辺において前記接続部を介して前記第1配線と電気的に接続されると共に、他端が前記基板の他辺に設けられた配線引き出し部まで配設されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示領域は、行状に設けられた複数の信号線と、列状に設けられた複数の走査線と、前記信号線と走査線との交点に設けられた画素とを有し、前記第1配線は前記信号線または前記走査線の一方に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記信号線は信号線駆動回路に電気的に接続され、前記走査線は走査線駆動回路に電的に接続されている、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記信号線または前記走査線の一方は前記第1配線,前記接続部および前記第2配線を介して前記配線引き出し部に接続され、前記配線引き出し部は前記信号線駆動回路または前記走査線駆動回路に電気的に接続されている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の同一辺に設けられている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の前記配線引き出し部が設けられた他辺に設けられている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、前記矩形状を有する基板の対向する辺にそれぞれ設けられている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項13】
前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は、一方が前記矩形状を有する基板の前記引き出し部が設けられた他辺に設けられると共に、他方が前記他辺と対向する辺に設けられている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項14】
前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路は駆動回路基板上に設けられている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項15】
前記駆動回路基板は、フレキシブルプリント基板である、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記基板の表面に前記第1配線とは異なる層に配設された第3配線を有し、前記第3配線および前記第2配線は、前記貫通孔が設けられた前記基板の一辺とは異なる他の一辺から取り出されている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項17】
前記基板は可撓性基板である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
前記可撓性基板は矩形状を有し、一辺の方向に対する可撓性が他辺の方向に対する可撓性よりも高い、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
表示装置備え、
前記表示装置は、
表示領域および周辺領域が設けられた基板と、
前記基板の表面に設けられた第1配線と、
前記基板の裏面に設けられると共に、前記第1配線と電気的に接続された第2配線と
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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