説明

表示装置のリペア装置

【課題】 表示装置に用いられる表示用部材のリペアにおいて、リペア手段と被修正部分との位置精度を向上させる手段を提供する。
【解決手段】 表示装置に用いられる表示用部材の表示欠陥部分をリペアする、リペア装置において、
前記表示用部材の片方の面側からリペアを行うリペア手段と、
前記表示用部材の表示エリアより外側を、前記リペア側と反対側から支持するための主支持手段と、
前記リペア手段に対向して配置された、前記表示用部材を観察するための観察手段と、
前記リペア手段と前記観察手段とを連結する連結手段とを備え、
前記リペア手段と前記観察手段と前記連結手段とが一体となって、前記表示用部材に対して、前記表示用部材の表示面と平行な方向に相対移動が可能であり、
前記観察手段又は前記連結手段には、前記リペア手段と対向する位置に、前記表示用部材を支持するための、補助支持手段が取り付けられていることを特徴とする、リペア装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置、EL(エレクトロルミネセンス)表示装置、プラズ
マ表示装置等の表示装置又は前記表示装置に用いられる表示用部材の、欠陥修正(つまり、リペア)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置は大型化、高精細化しており、製造工程においては極めて厳しい品質管理が行われている。一方、製品の低価格化が進んでおり、歩留まりの向上が求められている。その中で、製造された表示装置の表示用部材を検査し、表示画素に欠陥が見つかった場合でも、表示欠陥部分をリペアすることで、出荷可能な品質にできる場合が多くある。リペアを行ない、表示用部材の良品出荷数を増やすことで、表示装置の良品歩留まり率向上と、低価格化につなげることができる。
【0003】
従来のリペア技術として、欠陥部分にレーザを照射してリペアを行う、レーザリペア装置がある(特許文献1)。
【0004】
また、表示装置の表示用部材の製造工程における欠陥検査の後に、欠陥部分を補修するものがある。詳しくは、表示画素が常時輝点となる輝点不良の発生を防止するために、液状物質の転写塗布を行う技術を用いて、液状物質を先端部に付着させた針を、ワークに接触させて転写塗布し、リペアを行なう技術が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、表示装置の欠陥検査を行う発明において、大型基板の保持および撓みの補正に関する技術が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−264961号
【特許文献2】特開平8−182949号
【特許文献3】特開2006−38775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示装置に用いられる表示用部材のリペアにおいて、リペア手段と被修正部分との位置精度の善し悪しは、リペア工程の歩留まり率に影響を及ぼす。さらに、リペア工程の歩留まり向上は、表示装置の良品歩留まり率を向上させ、低価格化の達成にもつながる。
【0008】
しかし、レーザリペア装置においては、レーザ光線をレンズにより集光させて、被修正部分に照射させている。そのため、リペア手段と被修正部分との、表示用部材の厚み方向(つまり、垂直方向)の距離が変動すると、照射したレーザのエネルギー密度が変動し、適切なリペアが行えないという問題が生じる。
【0009】
一方、塗布リペア装置においては、リペア手段である修正用針の先端部で保持した修正液を、修正対象となる表示用部材の被修正部分に塗布する際、液を転写させて行っている。この転写過程において、修正用針の垂直方向の位置精度が悪いと、適切な塗布リペアが行えないという問題が生じる。もし、修正用針の先端で保持した修正液が、被修正部分に触れなければ、転写が行われない。もしくは、外部からの振動により、修正用液が落下してしまい、デブリやサテライトと呼ばれる、飛散液が被修正部分の周囲にも付着してしまう現象が起きる。また、修正用液を転写した後に、修正用針の先端が被修正部分に接触してしまうと、転写した修正液が周囲に拡がってしまう。修正用液が周囲に拡がると、転写面積が増え、塗膜が薄くなってしまう。そうなると、被修正部分以外の画素を遮光してしまったり、被修正部分の遮光性が悪くなってしまう。
【0010】
また、リペア手段と被修正部分との、表示用部材の上面と平行な方向(つまり、水平方向)の位置精度は、被修正部分と修正用針の先端との水平方向の位置がずれることで悪くなる。
【0011】
従来は、リペアの後に、被修正部分の状態を確認し、正しくリペアができているかを確認し、位置精度やリペアの良否判断を行っていた。しかし、前記確認の動作は処理時間の延長につながるだけでなく、位置ずれしてリペアしてしまった場合の再修正もしくは再修正不能による廃棄処分など、無駄が多かった。
【0012】
そこで本発明の目的は、
表示装置に用いられる表示用部材のリペアにおいて、リペア手段と被修正部分との位置精度を向上させる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
表示装置に用いられる表示用部材の表示欠陥部分をリペアする、リペア装置において、
前記表示用部材の片方の面側からリペアを行うリペア手段と、
前記表示用部材の表示エリアより外側を支持するための主支持手段と、
前記リペア手段に対向して配置された、前記表示用部材を観察するための観察手段と、
前記リペア手段と前記観察手段とを連結する連結手段とを備え、
前記リペア手段と前記観察手段と前記連結手段とが一体となって、前記表示用部材に対して、前記表示用部材の表示面と平行な方向に相対移動が可能な構造をしており、
前記観察手段又は前記連結手段には、前記リペア手段と対向する位置に、前記表示用部材を支持するための補助支持手段が取り付けられていることを特徴とする、リペア装置である。
【0014】
上記リペア装置を用いるので、撓みやすい大型の表示用部材であっても、中央部から周囲部まで、被修正部分の位置にかかわらず、リペア手段と被修正部分との垂直方向の距離を、常に一定に保ち、表示欠陥部分をリペアすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
表示装置に用いられる表示用部材の、常時輝点となる表示欠陥部分に遮光性の液体材料を塗布し、前記表示欠陥部分を常時滅点化させてリペアする、リペア装置において、
前記表示用部材の片方の面側から前記遮光性の液体材料を塗布する塗布手段と、
前記表示用部材の表示エリアより外側を支持するための主支持手段と、
前記塗布手段に対向して配置された、前記表示用部材を観察するための観察手段と、
前記塗布手段と前記観察手段とを連結する連結手段とを備え、
前記塗布手段と前記観察手段と前記連結手段とが一体となって、前記表示用部材に対して、前記表示用部材の表示面と平行な方向に相対移動が可能な構造をしており、
前記観察手段又は前記連結手段には、前記塗布手段と対向する位置に、前記表示用部材を支持するための、補助支持手段が取り付けられていることを特徴とする、リペア装置である。
【0016】
上記リペア装置によれば、撓みやすい大型の表示用部材であっても、中央部から周囲部まで、被修正部分の位置にかかわらず、リペア手段と被修正部分との垂直方向の距離を、常に一定に保ち、常時輝点となる表示欠陥部分に遮光性の液体材料を塗布し、表示欠陥部分を常時滅点化させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
前記リペア手段の先端位置が、前記観察手段の観察エリア内のどの位置にあるかを検出できる手段を備えていること特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のリペア装置である。
【0018】
この構成によれば、リペア手段の先端位置を適宜モニタリングできるため、位置ずれ量の監視やずれ量のフィードバックが容易にできるようになる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、球状ころを用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置である。
【0020】
この構成によれば、リペア位置を水平方向に変更する際に、移動がスムーズとなり、かつ垂直方向の距離を一定に保つことが容易となる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、流体噴射手段を用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置である。
【0022】
この構成によれば、リペア位置を水平方向に変更する際に、接触部分がないので移動がスムーズに行える。
【0023】
請求項6に記載の発明は、
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、エア吸引手段を用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置である。
【0024】
この構成によれば、表示用部材を垂直にした装置構成或いは吊り下げ保持する場合であっても、基板の撓みを防止して、垂直方向の距離を一定に保つことが容易となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の装置を用いるので、確実かつ正確に、再現性の高いリペアを行うことができる。その結果、リペアの良否判断時間を省くことができ、処理時間が短縮できる。さらに、
表示用部材の歩留まりが向上し、廃棄の無駄が無くなり、コストダウンにもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図である。
【図3】本発明の実施形態の一例を示す要部正面図である。
【図4】本発明の別の実施形態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例を示す斜視図である。図において直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向とする。特にZ方向は矢印の方向を上とし、その逆方向を下と表現する。
【0028】
リペア装置1は、装置ベース10の上に配置された主支持手段2と、主支持手段2の上方に配置されたリペア手段3と、主支持手段2の内側に配置された観察手段4と、観察手段4の側方に配置された補助支持手段5と、制御部9を含んで、構成されている。
【0029】
主支持手段2は、装置ベース10上に取り付けられたX軸移動機構21と、X軸移動機構21上に取り付けられたY軸移動機構22と、Y軸移動機構22上に取り付けられた中抜きテーブル23とを含んで、構成されている。X軸移動機構21は、その上に取り付けられたY軸移動機構22をX方向に移動させることができ、Y軸移動機構22は、その上に取り付けられた中抜き形状のテーブル23をY方向に移動させることができる。
【0030】
テーブル23は、中抜き部分の寸法が、表示用部材100の表示用エリアより大きく、所定の幅と厚みを持った形状をしている。さらに、テーブル23は、上面に溝や孔(図示せず)が形成されており、前記溝や孔は、開閉制御用バルブを介して真空源に接続されている。テーブル23は、上面にリペア対象となる表示用部材100を載置でき、さらに前記溝や孔を負圧にすることにより、表示用部材100を吸着保持することができる構造をしている。そのため、テーブル23は、高速かつ往復移動した場合でも、載置した表示用部材100を位置ずれしないように保持できるようになっている。
【0031】
リペア手段3は、テーブル23の上方に、リペア対象となる表示用部材100と対向する位置に配置され、装置ベース10上に取り付けられた連結アーム60を介して取り付けられている。
【0032】
観察手段4は、テーブル23の内側かつ、リペア対象となる表示用部材100よりも下方に、前記リペア手段3と対向する位置に配置され、カメラブラケット61を介して、装置ベース10に取り付けられている。観察手段4は、観察カメラ41とレンズ42とを含んで構成され、リペア手段3や表示用部材100を観察することができる。
【0033】
補助支持手段5は、レンズ42の側方に配置された補助支持部材50が、カメラブラケット61に取り付けられて構成されている。
補助支持手段5は、補助支持部材50の先端部51が、テーブル23の表示用部材100を載置する面と同じ高さになるように取り付けられており、表示用部材100をテーブル23に載置した際に、表示用部材100がたわまないように、下方から支える構造をしている。
【0034】
リペア装置1には、X軸移動機構21、Y軸移動機構22、テーブル23、リペア手段3及び観察手段4などをコントロールするために、各種制御機器を備えた制御部9が併設されている。
【0035】
図2は、本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図である。
制御部9には、制御用コンピュータ90と、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、情報記録手段94と、機器制御ユニット95とが接続されて含まれている。
【0036】
制御用コンピュータ90としては、マイコン、パソコン、ワークステーションなどの、数値演算ユニットが搭載されたものが例示される。
情報入力手段91としては、キーボードやマウスやスイッチなどが例示される。
情報出力手段92としては、画像表示ディスプレイやランプなどが例示される。
【0037】
発報手段93としては、ブザーやスピーカ、ランプなど、作業者に注意喚起をすることができるものが例示される。
情報記録手段94としては、メモリーカードやデータディスクなどの、半導体記録媒体や磁気記録媒体や光磁気記録媒体などが例示される。
機器制御ユニット95としては、プログラマブルコントローラやモーションコントローラと呼ばれる機器などが例示される。
【0038】
制御用コンピュータ90には、画像処理ユニットを介して、カメラ41から出力された映像信号が入力される。
【0039】
機器制御ユニット95には、X軸移動機構21と、Y軸移動機構22と、リペア手段3と、テーブル23に接続されたエア制御用機器やその他の制御用機器(図示せず)とが、接続されている。機器制御ユニット95は、接続されている各制御用機器に対して制御信号を与えることにより、前記各制御用機器を動作させたり静止させたりすることができるようになっている。
【0040】
リペア装置1は、前記のような構成をしているので、リペア手段3と、リペア対象となる表示用部材100の上面との距離を一定に保ったまま、表示用部材100を水平方向に移動させることができる。そのため、表示エリア全面に対して、リペアを行うことができる。
【0041】
図3は、本発明の実施形態の一例を示す要部正面図である。
装置ベース10上に、カメラブラケット61を介して取り付けられた、カメラ41とレンズ42を含む観察手段4と、連結アーム60を介して取り付けられたリペア手段3とが、テーブル23上に載置されたリペア対象となる表示用部材100を挟んで、お互いが対向するように配置されている。さらに、カメラブラケット61には、補助支持部材50が取り付けられており、補助支持部材50の先端部51は、テーブル23の上面と同じ高さとなるように配置されている。そのため、表示用部材100の下面は、補助支持部材50の先端部51によって下方から支えられ、その結果、表示用部材100の上面と、リペア手段3の先端部31との距離は、一定に保たれる。
【0042】
リペア手段3として、レーザや光エネルギーを用いたもの、インクジェットなどの塗布方式、転写塗布方式のものが例示できる。
【0043】
レーザや光エネルギーを用いたものは、リペア手段3の先端部31からレーザや光エネルギー照射し、表示欠陥部分に集光させ、表示欠陥部分を透明化させたり黒色化させたり、電気配線パターンの金属部分を蒸発又は昇華させることができる。
【0044】
インクジェットなどの塗布方式のものは、遮光性の液体材料を、リペア手段3の先端部31から噴射し、表示用部材100の表示欠陥部分に着弾させて塗布する。
【0045】
転写塗布方式のものは、リペア手段3の先端部31から表示用部材100に向けて、遮光性の液体材料を付着させたニードルを伸ばし、前記遮光性の液体材料を表示欠陥部分に付着させて塗布する。
【0046】
本発明の実施形態では、リペア手段3と観察手段4とを連結する連結手段6として、装置ベース10上に取り付けられた連結アーム60とカメラブラケット61を例示し、カメラブラケット61に補助支持手段5である補助支持部材50を取り付けた形態を例示した。これ以外に、補助支持手段5は、レンズ42に取り付けた形態や、装置ベース10に直接取り付ける形態や、連結アーム60が観察手段4にまで延びて連結されている形態なども例示できる。
【0047】
よって本発明のリペア装置1は、リペア手段3と表示用部材100の上面との距離を一定に保たれているので、撓みやすい大型の表示用部材であっても、中央部から周囲部まで、被修正部分の位置にかかわらず、リペア手段と被修正部分との垂直方向の距離を、常に一定に保ち、表示欠陥部分をリペアすることができる。
さらに、リペア手段3として、レーザや光エネルギーを用いたものであれば、リペア部のエネルギー密度の変動やばらつきを防ぐことができ、安定したリペア品質を得ることができる。
【0048】
一方、塗布方式による塗布リペア装置であれば、表示用部材100の常時輝点となる表示欠陥部分に、遮光性の液体材料が塗布されるので、前記表示欠陥部分を常時滅点化させることができる。さらに、インクジェットなどの塗布方式であれば、インクの飛翔変形、デブリ、サテライト、にじみなどの変化をコントロールすることができ、それらの変化を最小限に抑えた状態を維持することができる。また、転写塗布方式であれば、転写時の押し付け力や押し込み量、或いはギャップ量の、変動やばらつきを防ぐことができる。その結果、安定したリペア品質を得ることができ、その状態を維持し続けることが容易となる。
【0049】
観察手段5は、表示用部材100の位置決め基準マーク110(図示せず)に焦点を合わせて観察でき、さらにはリペア手段3の先端31にも焦点を合わせて観察することができることが好ましい。そうすることで、リペア手段3の先端31が、観察手段5の観察エリア内のどの位置にあるかを検出できる。さらに、観察エリア内のずれ量と、X軸移動機構21及びY軸移動機構22の動作量とのキャリブレーションを行っておけば、表示用部材100のリペアするときに、位置決め基準マーク110の位置を検出した後、正確な位置にリペアを行うことができる。
【0050】
このとき、位置決め基準マーク110と、リペア手段3の先端31との距離が、レンズ42の焦点深度以内であれば、共に焦点が合うように、レンズ42の焦点位置を設定する。一方、位置決め基準マーク110と、リペア手段3の先端31との距離が、レンズ42の焦点深度以上に離れている場合、または焦点合わせを厳密に行いたい場合には、それぞれの観察場所に応じて、レンズ42の焦点合わせを行う。
【0051】
さらに、リペアを開始した際に観察した、リペア手段3の先端31の座標位置を登録しておき、時間経過とともに、リペア手段3の先端31の座標位置のずれを監視することもできる。このとき、リペア手段3の先端31の座標位置にずれが生じた場合は、ずれ量に応じてリペア位置を補正してリペアを行うことができる。或いは、位置ずれが大きい場合や、リペア手段3の先端31が観察エリアから外れた場合には、制御部9から作業者に再調整を促すような警報や表示を出すようにすることもできる。
【0052】
本発明のリペア装置1は、前述のようにして、リペア手段の先端位置が、前記観察手段の観察エリア内のどの位置にあるかを検出するので、リペア手段の先端位置を適宜モニタリングできるため、位置ずれ量の監視やずれ量のフィードバックが容易にできるようになる。
【0053】
本発明のリペア装置1の補助支持手段5は、表示用部材100を支える部分、つまり表示用部材100と接触する補助支持部材50の先端部51が、樹脂などでできており、かつ先端に丸みを帯びていることが好ましい。そうすることで、リペア位置を水平方向に変更する際に、移動がスムーズとなり、かつリペア手段3と表示用部材100との垂直方向の距離を一定に保つことが容易となる。
【0054】
また別の形態として、補助支持部材50の先端部51は、球状ころになっていることが、好ましい。そうすることで、補助支持部材50の先端部51の耐摩耗性が向上し、長時間メンテナンスフリーで、リペア手段3と表示用部材100との垂直方向の距離を一定に保つことが容易となる。
【0055】
また、本発明のリペア装置1の補助支持手段5は、補助支持部材50の先端部51が、エアやガスなどの流体噴射ができる構造にしても良い。例えば、補助支持部材50を、中空パイプからなる部材とし、表示用部材100を支える部分から流体が噴射できるようにする。先端形状は、丸孔、楕円、四角、星形などの形状とし、単孔だけでなく、多孔形状や複数列スリットも選択できる。さらに、孔形状、個数、大きさは、表示用部材100の大きさや重量と、噴射する流体の圧力や流量などとのバランスを考え、適宜組合せて選択すれば良い。そうすれば、リペア位置を水平方向に変更する際に、接触部分がないので移動がスムーズに行える。
【0056】
さらに、本発明のリペア装置1の補助支持手段5は、前述の接触支持方式と、流体噴射とを組み合わせた構造のものであっても良い。また、補助支持手段5に加わる垂直方向の荷重を検出し、その荷重に応じて若しくは表示装置の部位に応じて、流量や圧力を変化させるようにしても良い。そうすることで、補助支持部材50の先端部51に加わる荷重が軽減され、耐摩耗性が向上し、長時間メンテナンスフリーで、リペア手段3と表示用部材100との垂直方向の距離を一定に保つことが容易となる。
【0057】
図4に、本発明の別の実施形態の一例を示す斜視図を示す。
前述までの説明において、本発明のリペア装置1は、表示用部材100を移動できるテーブル23上に載置する形態としていた。しかし、装置ベース10上にテーブル支持部材25を介して取り付けられたテーブル23に表示用部材100を載置し、リペア手段と観察手段と補助支持手段とを一体的に動かす形態としても良い。
【0058】
前述までの説明において、本発明のリペア装置1は、表示用部材100を水平方向に設定し、テーブル23上に載置する形態としていた。しかし、この形態に限らず、表示用部材100を垂直方向に設定したり、上方から吊り下げる形態としても良い。
【0059】
この場合、表示用部材100は、重力や外力が働くことにより、リペア手段側に撓みが生じる。そのため、補助支持手段の先端をエア吸引手段とし、表示用部材100の撓みが無くなるように支えるような構造としても良い。そうすれば、リペア側の面から支える必要がなくなり、リペア側の面にホコリ、汚れ又はキズが付くことを防ぐことができる。
【0060】
また、、補助支持手段の先端をエア吸引手段と球状ころとを組み合わせた構造としても良い。そうすることで、表示用部材100の重量が重くなった場合でも、確実に吸引して表示用部材100の撓みが無くなるように支えでき、かつ水平方向にスムーズに移動することができる。











【符号の説明】
【0061】
1 リペア装置
2 主支持手段
3 リペア手段
4 観察手段
5 補助支持手段
6 連結手段
9 制御部
10 装置ベース
21 X軸移動機構
22 Y軸移動機構
23 テーブル
25 テーブル支持部材
27 X軸移動機構
28 Y軸移動機構
31 先端部
41 観察カメラ
42 レンズ
50 補助支持部材
51 先端部
60 連結アーム
61 カメラブラケット
90 制御用コンピュータ
91 情報入力手段
92 情報表示手段
93 発報手段
94 情報記録手段
95 機器制御ユニット
100 表示用部材
110 位置決め基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に用いられる表示用部材の表示欠陥部分をリペアする、リペア装置において、
前記表示用部材の片方の面側からリペアを行うリペア手段と、
前記表示用部材の表示エリアより外側を支持するための主支持手段と、
前記リペア手段に対向して配置された、前記表示用部材を観察するための観察手段と、
前記リペア手段と前記観察手段とを連結する連結手段とを備え、
前記リペア手段と前記観察手段と前記連結手段とが一体となって、前記表示用部材に対して、前記表示用部材の表示面と平行な方向に相対移動が可能な構造をしており、
前記観察手段又は前記連結手段には、前記リペア手段と対向する位置に、前記表示用部材を支持するための補助支持手段が取り付けられていることを特徴とする、リペア装置。
【請求項2】
表示装置に用いられる表示用部材の、常時輝点となる表示欠陥部分に遮光性の液体材料を塗布し、前記表示欠陥部分を常時滅点化させてリペアする、リペア装置において、
前記表示用部材の片方の面側から前記遮光性の液体材料を塗布する塗布手段と、
前記表示用部材の表示エリアより外側を支持するための主支持手段と、
前記塗布手段に対向して配置された、前記表示用部材を観察するための観察手段と、
前記塗布手段と前記観察手段とを連結する連結手段とを備え、
前記塗布手段と前記観察手段と前記連結手段とが一体となって、前記表示用部材に対して、前記表示用部材の表示面と平行な方向に相対移動が可能な構造をしており、
前記観察手段又は前記連結手段には、前記塗布手段と対向する位置に、前記表示用部材を支持するための、補助支持手段が取り付けられていることを特徴とする、リペア装置。
【請求項3】
前記リペア手段の先端位置が、前記観察手段の観察エリア内のどの位置にあるかを検出できる手段を備えていること特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のリペア装置。
【請求項4】
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、球状ころを用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置。
【請求項5】
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、流体噴射手段を用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置。
【請求項6】
前記補助支持手段の前記表示用部材を支える部分が、エア吸引手段を用いた構造をしていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリペア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−180467(P2011−180467A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46041(P2010−46041)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】