説明

表示装置及びコンピュータプログラム

【課題】 直感的なユーザインターフェースにより、簡単な操作で、全方位画像と歪み補正画像との表示の切替えを行なうことができる表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置としてのビューワ端末1は、全方位画像を取得する全方位画像取得部16と、パネルインターフェース11を備えた画像表示部19と、全方位画像の一部又は全部について歪み補正をして歪み補正画像を生成する歪み補正画像生成部15と、画像表示部19に全方位画像又は歪み補正画像が表示されているときに、パネルインターフェース11を用いて、表示されている画像に対して直接行われた、全方位画像の表示と歪み補正画像の表示との間の切替えのための操作を検出する操作検出部12と、画像表示部19に全方位画像又は歪み補正画像を表示させるとともに、操作検出部12にて検出された操作に従って、全方位画像の表示と歪み補正画像の表示との間の切替えを行なう画像補正シーケンサ13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置に関し、特に、全方位カメラで撮影された映像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、全方位カメラの映像をモニタに表示する表示装置が知られている。全方位カメラは水平視野角360度の魚眼レンズを用いて映像を生成するので、その映像(以下、「全方位画像」という。)は円形状又はドーナツ形状であり、外周に近い位置ほどひずみが大きくなるという特性がある。従って、従来の表示装置においては、撮影範囲の全体を確認できる全方位画像の表示のほか、全方位画像の全体又はその一部の切出し範囲について歪み補正を行なった画像(以下、「歪み補正画像」という。)の表示も可能とされている。そして、この表示の切替えは、ユーザの指示に基づいて行なわれる。
【0003】
一方、全方位カメラの映像を表示する表示装置は、例えば以下のようなシーンで利用される。ビジネスのシーンでは、携帯電話等の携帯端末を表示装置として、工事現場、施設、店舗等に設置された全方位カメラの映像を表示する。また、全方位カメラが監視カメラとして用いられる場合には、全方位カメラが鉄道のホームや駐車場等の監視対象場所に設置され、本部ないしは中央指令室で全方位カメラの映像が表示され、警備員がこれを監視する。さらに、全方位カメラを設置する際の作業員が電柱の上などの高所に、監視カメラとして用いられる全方位カメラを設置する場合には、設置工事事業者が、腕時計タイプなど、装着型の表示装置を用いて、全方位カメラの映像を確認しながら画角を調整する。
【0004】
表示装置がモニタを備えたパーソナルコンピュータによって実現される場合には、マウスやキーボード等の操作入力手段があり、ユーザはこの操作入力手段を操作することで表示の切替えを指示することができる(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−136584号公報
【特許文献2】特開2008−301034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、携帯電話等の小型の携帯端末を表示装置とする場合には、操作入力手段が物理的に制約され、従来のように、マウスやキーボードといった操作入力手段を採用できないことがある。上記のように高所作業者に装着される表示装置の場合には、表示装置はより小型になり、操作入力手段に対する制約はより厳しくなる。
【0007】
また、上記の本部ないしは中央指令室の表示装置のように、物理的な制約が比較的少ない場合においても、複雑な操作を行なわずに、より直感的な操作で、全方位画像と歪み補正画像との間の表示の切替えをできるようにするのが望ましい。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、直感的なユーザインターフェースにより、簡単な操作で、全方位画像と歪み補正画像との表示の切替えを行なうことができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の表示装置は、全方位画像を取得する画像取得部と、パネルインターフェースを有するタッチパネル式の表示部と、前記全方位画像の一部又は全部について歪み補正をして歪み補正画像を生成する歪み補正画像生成部と、前記表示部に前記全方位画像又は前記歪み補正画像が表示されているときに、前記パネルインターフェースを用いて、表示されている画像に対して直接行われた、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えのための操作を検出する操作検出部と、前記表示部に前記全方位画像又は前記歪み補正画像を表示させるとともに、前記操作検出部にて検出された操作に従って、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えを行なう表示制御部とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、ユーザは、タッチパネル式の表示部に全方位画像又は歪み補正画像が表示されているときに、その表示されている画像に対して、表示切替えのための操作を直接入力することができるので、簡単な操作で、直感的に、全方位画像と歪み補正画像との表示の切替えを行なうことができる。
【0011】
上記の表示装置において、前記表示制御部は、前記表示部に前記全方位画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記全方位画像に対してピンチアウト操作がされたことを検出した場合に、前記全方位画像の表示を前記歪み補正画像の表示に切り替えてよい。
【0012】
この構成により、ユーザによる全方位画像に対するピンチアウト操作と、全方位画像が展開されて歪み補正画像が表示されるという表示の切替えとが直感的に一致するので、ユーザは、より直感的に表示の切替えを行なうことができる。
【0013】
上記の表示装置において、前記表示制御部は、前記表示部に前記歪み補正画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記歪み補正画像に対してピンチイン操作がされたことを検出した場合に、前記歪み補正画像の表示を前記全方位画像の表示に切り替えてよい。
【0014】
この構成により、ユーザによる歪み補正画像に対するピンチイン操作と、歪み補正画像が全方位画像に戻される表示の切替えとが直感的に一致するので、ユーザは、より直感的に表示の切替えを行なうことができる。
【0015】
上記の表示装置において、前記歪み補正画像は、前記ピンチアウト操作がされた箇所を基線として前記全方位画像をパノラマ展開したパノラマ画像であってよい。
【0016】
この構成により、ユーザによるピンチアウト操作と、全方位画像からパノラマ画像への表示の切替えとが、直感的に一致しているので、ユーザは、全方位画像からパノラマ画像への表示の切替えのための操作を簡単な操作で、直感的に行なうことができる。
【0017】
上記の表示装置において、前記歪み補正画像は、前記ピンチアウト操作がされた箇所が拡大された切出し画像であってよい。
【0018】
この構成により、ピンチアウト操作と、拡大された切出し画像の表示とが、直感的に一致しているので、ユーザは、切出し画像の表示のための操作を簡単な操作で、直感的に行なうことができる。
【0019】
上記の表示装置において、前記表示制御部は、前記表示部に前記全方位画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記全方位画像に対してタップ操作がされたことを検出したときに、前記全方位画像のタップ操作がされた箇所について、前記表示部に前記歪み補正画像を表示させてよい。
【0020】
この構成により、ユーザによる全方位画像に対するタップ操作と、そのタップ箇所の歪み補正画像の表示とが直感的に一致するので、ユーザは、歪み補正画像の表示のための操作を簡単な操作で、直感的に行なうことができる。
【0021】
上記の表示装置は、さらに、前記表示制御部は、前記操作検出部にて検出された操作に基づいて、画像の補正パラメータを決定してよく、前記表示装置は、さらに、前記表示制御部が決定した補正パラメータに従って、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えの途中に表示する中間画像を生成する中間画像生成部を備えていてよく、 前記表示制御部は、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えの途中に、前記表示部に、前記中間画像生成部にて生成された前記中間画像を表示させてよい。
【0022】
この構成により、ユーザは、中間画像によって表示の切替え過程を見ることができるので、自らが行なった操作を直感的に認識することができるとともに、切替え前の表示と切替え後の表示との間の相関を認識することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、コンピュータプログラムであり、このコンピュータプログラムは、タッチパネル式の表示部を備えた表示装置にて実行されることにより、その表示装置を上記の表示装置として機能させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、タッチパネル式の表示部に全方位画像又は歪み補正画像が表示されているときに、その表示されている画像に対して、表示切替えのための操作を直接入力することができるので、簡単な操作で、直感的に、全方位画像と歪み補正画像との表示の切替えを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態におけるビューワ端末の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における画像補正シーケンサの詳細な構成を示すブロック図
【図3】(a)本発明の実施の形態における全方位画像を示す図 (b)本発明の実施の形態における全方位画像からパノラマ画像への切替えの際の基線を指定するためのドラッグ操作を示す図 (c)本発明の実施の形態における全方位画像からパノラマ画像への切替えの際のピンチアウトの操作を示す図 (d)本発明の実施の形態における全方位画像からパノラマ画像への切替えの際の中間画像を示す図 (e)本発明の実施の形態における全方位画像からパノラマ画像への切替えの際の中間画像を示す図 (f)本発明の実施の形態におけるパノラマ画像を示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態におけるパノラマ画像を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるパノラマ画像から全方位画像への切替えの際の中間画像を示す図 (c)本発明の実施の形態における全方位画像を示す図
【図5】本発明の実施の形態における全方位画像からパノラマ画像への切替え及びパノラマ画像から全方位画像への切替えのフロー図
【図6】(a)本発明の実施の形態における全方位画像を示す図 (b)本発明の実施の形態における切り出し画像の指定のためのタップ操作を示す図 (c)本発明の実施の形態における切り出し画像の拡大のためのピンチアウト操作を示す図 (d)本発明の実施の形態における切り出し画像の移動のためのドラッグ操作を示す図 (e)本発明の実施の形態におけるマルチ画面への切替えのためのシェイク操作を示す図 (f)本発明の実施の形態におけるマルチ画面を示す図
【図7】本発明の実施の形態におけるシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えを説明する図
【図8】(a)本発明の実施の形態におけるダブルパノラマ画像からシングルパノラマ画像への切替えのためのピンチイン操作を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるダブルパノラマ画像からシングルパノラマ画像への切替えの際の中間画像を示す図 (c)本発明の実施の形態におけるシングルパノラマ画像を示す図
【図9】(a)本発明の実施の形態におけるシングルパノラマ画像のスクロールのためのフリック操作を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるシングルパノラマ画像のスクロールを示す図
【図10】(a)本発明の実施の形態におけるダブルパノラマ画像のスクロールのためのフリック操作を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるダブルパノラマ画像のスクロールを示す図
【図11】(a)本発明の実施の形態におけるパノラマ画像のスクロールのための操作の変形例を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるパノラマ画像のスクロールを示す図
【図12】(a)本発明の実施の形態における高画質画像表示のためのピンチアウト操作を示す図 (b)本発明の実施の形態における高画質画像表示を示す図 (c)本発明の実施の形態における高画質画像の切出し領域の移動のためのドラッグ操作を示す図
【図13】(a)本発明の実施の形態における全方位画像を示す図 (b)本発明の実施の形態における全方位画像の回転のための回転操作を示す図 (c)本発明の実施の形態における全方位画像の回転を示す図
【図14】本発明の実施の形態における第1の変形例の全方位画像からパノラマ画像への切替えを示す図
【図15】本発明の実施の形態における第2の変形例の全方位画像からパノラマ画像への切替えを示す図
【図16】(a)本発明の実施の形態における第3の変形例のパノラマ展開のためのドラッグ操作を示す図(b)本発明の実施の形態における第3の変形例のパノラマ展開のためのピンチアウト操作を示す図
【図17】(a)本発明の実施の形態における第4の変形例のダブルパノラマ展開のためのドラッグ操作を示す図(b)本発明の実施の形態における第4の変形例のダブルパノラマ展開のためのピンチアウト操作を示す図
【図18】(a)本発明の実施の形態における第5の変形例の全方位画像からの表示の切替えのためのピンチアウト操作(半径方向)を示す図 (b)本発明の実施の形態における第5の変形例の切出し画像を含むマルチ画像を示す図
【図19】(a)本発明の実施の形態における第5の変形例の全方位画像からの表示の切替えのためのピンチアウト操作(円周方向)を示す図 (b)本発明の実施の形態における第5の変形例のパノラマ画像を示す図
【図20】(a)本発明の実施の形態における第6の変形例のシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えのためのピンチアウト操作(縦方向)を示す図 (b)本発明の実施の形態における第6の変形例のシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えの中間画像を示す図 (c)本発明の実施の形態における第6の変形例のダブルパノラマ画像を示す図
【図21】(a)本発明の実施の形態における第6の変形例のシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えのためのピンチアウト操作(横方向)を示す図 (b)本発明の実施の形態における第6の変形例のシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えの中間画像を示す図 (c)本発明の実施の形態における第6の変形例のシングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えの中間画像を示す図 (d)本発明の実施の形態における第6の変形例のダブルパノラマ画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態における表示装置としてのビューワ端末の構成を示すブロックである。ビューワ端末1は、パネルインターフェース11、操作検出部12、画像補正シーケンサ13、中間画像生成部14、歪み補正画像生成部15、全方位画像取得部16、全方位画像デコード部17、画像キュー18、及び画像表示部19を備えている。なお、画像表示部19とパネルインターフェース11とは重なって設けられ、これにより、タッチパネル式の表示部が形成されている。
【0027】
パネルインターフェース11は、ユーザの指による操作を受け付けて、操作位置の情報を出力する。操作検出部12は、パネルインターフェース11から操作位置の情報を受けて、パネル操作に変化があった場合に、その変化内容に基づいて、ユーザによってなされたパネル操作の内容を検出する。ユーザの指によるパネルインターフェース11への操作には、タップ、ドラッグ、フリック、ピンチ(ピンチアウト及びピンチイン)、及び回転が含まれる。
【0028】
タップとは、パネルインターフェース11の1箇所を指で軽く叩く操作、即ち、1つの指先でパネルインターフェース11に触れた後、その指をパネルインターフェース11上で移動させることなく、パネルインターフェース11から離す操作をいう。ドラッグとは、パネルインターフェース11を指で引きずる操作、即ち、1つの指先をパネルインターフェース11に付けたまま動かし、指の動きを停止させてパネルインターフェース11から指を離す操作をいう。フリックとは、パネルインターフェース11を指ではじく操作、即ち、1つの指先をパネルインターフェース11に付けたまま動かし、指の動きを止めないでパネルインターフェース11から指を離す操作をいう。
【0029】
ピンチアウトとは、2つの指先をパネルインターフェース11に付けたまま、互いの距離が遠くなるように、2つの指先のいずれか一方又は双方をパネルインターフェース11上で移動させる操作をいう。ピンチインとは、逆に、2つの指先をパネルインターフェース11に付けたまま、互いの距離が近くなるように、2つの指先のいずれか一方又は双方をパネルインターフェース11上で移動させる操作をいう。回転とは、2つの指先をパネルインターフェース11に付けたまま、互いを結ぶ線分がパネルインターフェース11の面内で回転するように、2つの指先のいずれか一方又は双方をパネルインターフェース11上で移動させる操作をいう。
【0030】
なお、ユーザの指による操作には、上記のほかに、ダブルタップ、ロングタップ等が含まれてよい。また、ビューワ端末1に電子コンパスが内蔵されており、ビューワ端末1の加速度(姿勢)を検知できる場合には、ユーザは、ビューワ端末1自体を振ったり(シェイク)、傾けたりすることで操作入力を行なってよい。この場合には、操作検出部12は、ビューワ端末1の加速度に変化があった場合に、その変化内容に基づいてユーザによる操作を検出する。
【0031】
画像補正シーケンサ13は、パネル操作の内容に従って、次に生成して表示する画像の補正パラメータ(中心座標、範囲、回転、歪み等)を決定することで、画像表示部19に画像を表示させるとともに、全方位画像、中間画像、及び歪み補正画像(歪み補正画像は、パノラマ画像及び切出し画像を含む。)の表示の切替えを行なう。補正パラメータは全方位画像に対して補正を行なう際に用いられるパラメータである。全方位画像に補正パラメータが適用されることで、歪み補正画像又は中間画像が生成される。画像補正シーケンサ13は、本発明の表示制御部に相当する。
【0032】
中間画像生成部14は、全方位画像から歪み補正画像、又は歪み補正画像から全方位画像に切り替える際の中間画像を生成する。中間画像とは、切替え途中に表示する画像である。中間画像生成部14は、画像補正シーケンサ13から入力した補正パラメータに基づいて、パネル操作の内容に応じた中間画像を生成する。中間画像生成部14は、全方位画像から歪み補正画像、又は歪み補正画像から全方位画像に、段階的に切り替わるように見せるために、必要に応じて複数の中間画像を生成する。
【0033】
歪み補正画像生成部15は、画像補正シーケンサ13から入力した補正パラメータに基づいて全方位画像に対して歪み補正を行い、歪み補正画像を生成する。全方位画像取得部16は、魚眼レンズを用いた撮像装置(カメラ)によって撮影された全方位画像を取得する。この撮像装置は、水平画角360度、垂直画角180度の視野角を有する。全方位画像は、円形又はドーナツ型の画像であり、中心から離れるほど歪みが大きくなっている。撮像装置は、撮影対象場所の高所に設けられ、下向きに撮影を行なう。全方位画像取得部16は、撮影装置によって撮影された全方位画像を圧縮された画像ファイルの形式で取得する。全方位画像取得部16は、例えば、無線通信によって全方位画像の画像ファイルを受信する。
【0034】
全方位画像デコード部17は、全方位画像取得部16にて取得された全方位画像の画像ファイルをデコードして、全方位画像を展開する。画像キュー18は、全方位画像デコード部17にて展開された全方位画像を一時的に保存し、必要に応じて、画像補正シーケンサ13又は画像表示部19に出力する。画像表示部19は、中間画像生成部14にて生成された中間画像、歪み補正画像生成部15にて生成された歪み補正画像、全方位画像でコード部17にて展開された全方位画像を、モニタを用いて表示する。画像表示部19は、本発明の表示部に相当する。
【0035】
図2は、画像補正シーケンサの詳細な構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像補正シーケンサ13は、パネル操作インターフェース部131、タイマ制御部132、目標画像判定部133、表示画像判定部134、補正パラメータ算出部135、及び画像補正インターフェース部136を備えている。
【0036】
パネル操作インターフェース部131は、パネル操作に変化があった場合に、その変化の内容を操作検出部12から取得する。タイマ制御部132は、最終的な目標画像を表示するまでの表示切替期間のタイマ制御を行う。全方位画像から歪み補正画像に表示を切り替える場合には、歪み補正画像が目標画像となり、歪み補正画像から全方位画像に表示を切り替える場合には、全方位画像が目標画像となる。パネル操作があると、タイマ制御部132は、その操作(タップ、ドラッグ、フリック、ピンチアウト、ピンチイン、回転)の具体的内容(操作位置及び強度)に応じてタイムアウト値を設定する。タイムアウトするまでは、中間画像が表示され、タイムアウト後に目標画像が表示される。
【0037】
目標画像判定部133は、現在のパネル操作の内容に基づいて、目標画像の判定を行う。即ち、目標画像判定部133は、全方位画像が表示されているときに歪み補正画像へ表示を切り替える操作入力があった場合には、歪み補正画像を目標画像とする。この場合に、歪み補正画像には、パノラマ画像と切出し画像とがあるので、目標画像判定部133は、目標画像がパノラマ画像であるか切出し画像であるかも判定する。また、目標画像判定部133は、歪み補正画像が表示されているときに、全方位画像へ表示を切り替える操作入力があった場合には、全方位画像を目標画像とする。
【0038】
表示画像判定部134は、タイマ制御部132によるタイマ制御に従って、現在表示する画像(全方位画像、歪み補正画像、又は中間画像)を決定する。補正パラメータ算出部135は、表示する画像が中間画像である場合、それまでの操作入力の履歴や現在の操作入力の内容、及びタイマ値に従って、次に表示する中間画像の補正パラメータを決定する。補正パラメータには、中心座標、回転、及び歪みに関するパラメータが含まれる。画像補正インターフェース部136は、表示画像判定部134にて決定された表示画像ごとに、画像生成処理を呼び出す。
【0039】
以上のように構成されたビューワ端末1を用いて行なう表示の切替えを説明する。表示の切替えには、(1)全方位画像からパノラマ画像への切替え、(2)パノラマ画像から全方位画像への切替え、(3)全方位画像から切出し画像を含むマルチ画像への切替え、(4)シングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替え、(5)ダブルパノラマ画像からシングルパノラマ画像への切替え、(6)パノラマ画像のスクロール、(7)切出し画像の切出し範囲の変更、(8)全方位画像の回転がある。以下、順に説明する。
【0040】
(1)全方位画像からパノラマ画像への切替え
図3は、全方位画像からパノラマ画像への表示の切替えを説明する図である。なお、本実施の形態では、ビューワ端末1の表示部が長方形であり、本来は円形である全方位画像は、その上下の一部が切れて表示されているが、このように表示される画像も全方位画像と呼ぶ。図3(a)のように全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、これをパノラマ画像に展開したいときは、まず、基線(展開線)の選択を行う。基線の選択では、ユーザは、図3(b)に示すように、全方位画像の中心から円周方向へドラック操作を行なう。次に、図3(c)に示すように、ドラッグした線を跨ぐようにして、ピンチアウトの操作を行なう。
【0041】
操作検出部12は、この操作の類型(ドラック及びピンチアウト)、速度、及び位置を検出して画像補正シーケンサ13に出力する。画像補正シーケンサ13の操作パネルインターフェース部131は、この操作の内容及び位置を入力して、これをタイマ制御部132及び目標画像判定部133に出力する。
【0042】
目標画像判定部133は、現在表示している画像(全方位画像)と操作の内容及び位置に基づいて、この操作が、全方位画像からパノラマ画像への変更であると判断し、目標画像はパノラマ画像であると判定し、その結果を表示画像判定部134及びタイマ制御部132に出力する。タイマ制御部132は、ピンチアウト操作における2つの指先が離れる速度に基づいて、全方位画像からパノラマ画像までの遷移に費やす時間を決定し、タイマをスタートさせる(即ち、指先の離れる速度が速いほど遷移時間を短くする)。
【0043】
表示画像判定部134は、タイマ制御部132からのタイマ値がタイムアウト値に達していない場合には、そのタイマ値に従った中間画像を表示させるべく、表示すべき画像が中間画像である旨を画像補正インターフェース136に通知し、タイムアウト値及び現在のタイマ値、又はタイムアウト値に対する現在のタイマ値の比率を補正パラメータ算出部135に出力する。
【0044】
補正パラメータ算出部135は、タイムアウト値に対する現在のタイマ値の比率に従って、中間画像を生成するための補正パラメータを生成し、画像補正インターフェース部136に出力する。表示画像判定部134は、タイマ値がタイムアウト値に達したら、表示すべき画像が目標画像(即ち、パノラマ画像)である旨を画像補正インターフェース部136に通知する。
【0045】
画像補正インターフェース136は、表示画像判定部134から表示すべき画像が中間画像である旨の通知を受けたら、中間画像生成部14による中間画像生成処理を呼び出して、中間画像生成部14に、補正パラメータ算出部135にて算出された補正パラメータを出力する。中間画像生成部14は、補正パラメータ算出部135から入力した補正パラメータを用いて全方位画像を補正して、中間画像を生成し、画像表示部19に出力する。
【0046】
タイマ制御部132は、所定の中間画像フレームレートでタイマ値を表示画像判定部134に出力し、表示画像判定部134は、その都度タイマ値がタイムアウト値に達していないかを判断して、タイマ値がタイムアウト値に達するまで、表示すべき画像が中間画像である旨を画像補正インターフェース136に通知し、タイムアウト値及び現在のタイマ値、又はタイムアウト値に対する現在のタイマ値の比率を補正パラメータ算出部135に出力する。そして、補正パラメータ算出部135は中間画像を生成するための補正パラメータを算出して、中間画像生成部14はその補正パラメータを使用して中間画像を生成する。これにより、タイムアウトするまでは上記の中間画像フレームレートで中間画像が生成される。
【0047】
図3(d)及び(e)は、上記のようにして生成される中間画像を示している。中間画像は、円形の全方位画像から長方形のパノラマ画像に遷移する過程の画像であり、上方高は下に押し潰され、左右方向は外側に伸ばされ、基線に切り込みが入れられて徐々に下半分を消去していくように遷移する。
【0048】
タイマ制御部132から中間画像フレームレートでタイマ値が出力された結果、表示画像判定部134にてタイマ値がタイムアウトしたと判断された場合は、画像補正インターフェース136は、表示画像判定部134から表示すべき画像が目標画像(即ち、歪み補正画像)である旨を歪み補正画像生成部15に通知する。歪み補正画像生成部15は、この通知を受けると、全方位画像を補正して、図3(f)に示すように、歪みのないパノラマ画像を生成する。
【0049】
なお、パノラマ画像は水平画角360度の全方位が画像表示部19に表示されてもよいし、360度の水平画角の一部範囲に該当する部分のみが表示されてもよい。後者の場合には、スクロール操作によってパノラマ画像を左右にスクロールできるようにしてもよい。
【0050】
なお、上記の例では、基線を全方位画像の中心から垂直下方向に引いてパノラマ展開をしたが、これに限られず、基線を全方位画像の中心から任意の円周方向に引いてもよい。この場合にも、中間画像生成部14及び歪み補正画像生成部15は、この基線から切り離すように全方位画像を展開して、中間画像及びパノラマ画像生成する。
【0051】
(2)パノラマ画像から全方位画像への切替え
図4は、パノラマ画像から全方位画像への表示の切替えを説明する図である。図4(a)のようにパノラマ画像が表示されている場合に、ユーザは、これを全方位画像に変更したいときは、パノラマ画像上で左右方向にピンチイン操作を行なう。操作検出部12は、この操作の類型(ピンチイン)、速度、及び位置を検出して画像補正シーケンサ13に出力する。画像補正シーケンサ13の操作パネルインターフェース部131は、この操作の内容及び位置を入力して、これをタイマ制御部132及び目標画像判定部133に出力する。
【0052】
目標画像判定部133は、現在表示している画像(パノラマ画像)と操作の内容及び位置に基づいて、この操作が、パノラマ画像から全方位画像への変更であると判断し、目標画像は全方位画像であると判定し、その結果を表示画像判定部134及びタイマ制御部132に出力する。タイマ制御部132は、ピンチイン操作における2つの指先が近づく速度に基づいて、パノラマ画像から全方位画像までの遷移に費やす時間を決定し、タイマをスタートさせる(即ち、指先の近づく速度が速いほど遷移時間を短くする)。
【0053】
補正パラメータ算出部135は、タイムアウト値に対する現在のタイマ値の比率に従って、中間画像を生成するための補正パラメータを生成し、画像補正インターフェース部136に出力する。表示画像判定部134は、タイマ値がタイムアウト値に達したら、その旨を画像補正インターフェース部136に通知する。
【0054】
画像補正インターフェース136は、表示画像判定部134から表示すべき画像が中間画像である旨の通知を受けたら、中間画像生成部14による中間画像生成処理を呼び出して、中間画像生成部14に、補正パラメータ算出部135にて算出された補正パラメータを出力する。中間画像生成部14は、補正パラメータ算出部135から入力した補正パラメータを用いて全方位画像を補正して、中間画像を生成し、画像表示部19に出力する。
【0055】
タイマ制御部132は、所定の中間画像フレームレートでタイマ値を表示画像判定部134に出力し、表示画像判定部134は、その都度タイマ値がタイムアウト値に達していないかを判断して、タイマ値がタイムアウト値に達するまで、表示すべき画像が中間画像である旨を画像補正インターフェース136に通知し、タイムアウト値及び現在のタイマ値、又はタイムアウト値に対する現在のタイマ値の比率を補正パラメータ算出部135に出力する。そして、補正パラメータ算出部135は中間画像を生成するための補正パラメータを算出して、中間画像生成部14はその補正パラメータを使用して中間画像を生成する。これにより、タイムアウトするまでは上記の中間画像フレームレートで中間画像が生成される。
【0056】
図4(b)は、上記のようにして生成される中間画像を示している。中間画像は、パノラマ画像が上方向に引き伸ばされ、左右方向は内側に押し潰されるように遷移する。
【0057】
タイマ制御部132から中間画像フレームレートでタイマ値が出力された結果、表示画像判定部134にてタイマ値がタイムアウトしたと判断された場合は、画像補正インターフェース136は、表示画像判定部134から表示すべき画像が目標画像(即ち、全方位画像)である旨を画像キュー18に通知する。画像キュー18は、この通知を受けると、全方位画像を画像表示部19に出力し、画像表示部19は、図4(c)に示すように全方位画像を表示する。その際に、パノラマ画像上でピンチインした位置が目標画像である全周囲画像の上中心に対応するようにしてもよい。
【0058】
図5は、上記の(1)及び(2)の切替えのフロー図である。図5に示すフローは、1フレームごとに繰り返し実行される。操作検出部12は、パネルインターフェース11に操作があるか否かを監視し(ステップS51)、パネルインターフェース11に操作があると(ステップS51にてYES)、画像補正シーケンサ13の目標画像判定部133が、目標画像がパノラマ画像であるか全方位画像であるかを判定する(ステップS52)。
【0059】
そして、タイマ制御部132がタイムアウト値を更新し(ステップS53)、補正パラメータ算出部135が補正パラメータを生成する(ステップS54)。そして、中間画像生成部14は、生成された補正パラメータを用いて中間画像を生成する。
【0060】
次にステップS51に戻ると、既に表示の切替えのための操作は終了しているので、パネルインターフェース11操作は無いと判断されて(ステップS51にてNO)、タイマ制御部におけるタイマ値がタイムアウトしているか否かを判断する(ステップS56)。タイマ値がタイムアウトしていない場合は(ステップS56にてNO)、補正パラメータ算出部135にてそのタイマ値を用いて再び補正パラメータを算出して(ステップS54)、中間画像生成部14にて中間画像を生成する(ステップS55)。
【0061】
上記の処理を繰り返して、ステップS56にてタイマ値がタイムアウトしたと判断されたときは(ステップS56にてYES)、表示画像判定部134は、目標画像判定部133の判定に従って、目標画像がパノラマ画像であるか否かを判定する(ステップS57)。目標画像がパノラマ画像であるときは(ステップS57にてYES)、歪み補正画像生成部15にて、全方位画像に歪み補正を行なってパノラマ画像を生成する(ステップS58)。目標画像が全方位画像であるときは、画像キュー18から全方位画像を補正することなくそのまま画像表示部19に出力して、画像表示部19にてこれを表示する(ステップS59)。
【0062】
(3)全方位画像から切出し画像を含むマルチ画像への切替え
図6は、全方位画像から切出し画像を含むマルチ画像への切替えを説明する図である。図6(a)のように全方位画像が表示されている場合に、全方位画像では、予め図示しない動体検出手段により前のフレームとの差分が閾値以上となる領域が動体として検出されており、ユーザは、そのいずれかの動体領域を切り出して切出し画像を表示したい場合には、図6(b)に示すように、切り出したい領域をタップする。
【0063】
操作検出部12は、この操作の類型(タップ)、速度、及び位置を検出して画像補正シーケンサ13に出力する。画像補正シーケンサ13は、動体領域を全方位画像から切り出して、歪み補正画像生成部15は、この切り出した領域について、歪み補正を行い、切出し画像を生成する。画像表示部19は、図6(c)に示すように、生成された切出し画像を全方位画像に重畳させて表示される。このとき、切出し画像は、全方位画像中の切り出した領域に重なる位置を初期位置として、全方位画像に重畳される。
【0064】
図6(c)に示すように、ユーザは、全方位画像に重畳表示された切出し画像に対してピンチアウト操作を行なうことで、切出し画像を拡大することができる。また、ユーザは、全方位画像に重畳表示された切出し画像に対してピンチイン操作を行なうことで、切出し画像を縮小することができる。
【0065】
さらに、ユーザは、図6(d)に示すように、複数の領域についてそれぞれ切出し画像を生成することで、複数の切出し画像を全方位画像に重畳表示させることもできる。切出し画像が全方位画像に重畳されている場合に、ユーザがビューワ端末1を振る(シェイク)操作を行なうと、重畳表示されている切出し画像は、全方位画像とともに並べられて表示され、図6(f)に示すように、マルチ画面が生成される。
【0066】
(4)シングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替え
図7は、シングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えを説明する図である。1つのパノラマ画像が表示されている場合(シングルパノラマ画像)に、図7に示すように、このパノラマ画像に対してピンチアウト操作を行なうことで、上下2段のパノラマ画像が表示される(ダブルパノラマ画像)。ダブルパノラマ画像では、上下のそれぞれのパノラマ画像は、互いに重複しない水平画角180度分のパノラマ画像を表示してよい。
【0067】
(5)ダブルパノラマ画像からシングルパノラマ画像への切替え
図8は、ダブルパノラマ画像からシングルパノラマ画像への切替えを説明する図である。図8(a)に示すように、ダブルパノラマ画像が表示されている場合に、ユーザは、これをシングルパノラマ画像に変更したいときは、上下のそれぞれのパノラマ画像に1つずつ指を触れて、それらの距離を近づけるように、上下にピンチインの操作を行なう。
【0068】
中間画像補正部15は、図8(b)に示すように、2つのパノラマ画像が重なるように(上側のパノラマ画像が上面になるように)して、上側のパノラマ画像が下方に、下側のパノラマ画像が上方に移動するような中間画像を生成し、最終的には図8(c)に示すように、上側のパノラマ画像のみを表示する。
【0069】
(6)パノラマ画像のスクロール
図9は、シングルパノラマ画像のスクロールを説明する図である。図9(a)に示すようにパノラマ画像が表示されている場合において、ユーザが、このパノラマ画像を横方向にスクロールしたいときは、パノラマ画像をスクロールしたい方向にフリックする。
【0070】
図9(a)の例では、パノラマ画像が右方向にフリックされたので、図9(b)に示すように、パノラマ画像が右方向に移動する。なお、フリック操作の後には、フリック操作の強度(指がパネルインターフェース11から離れる際の指の移動速度)に応じた量だけパノラマ画像を移動させてスクロールを停止してもよいし、フリック操作があった場合には、一定の速度でスクロールを継続してもよい。さらに、フリック操作の強度の強度に応じてパノラマ画像の移動の速度を決定してもよい。
【0071】
図10は、ダブルパノラマ画像のスクロールを説明する図である。図9(a)に示すようにダブルパノラマ画像が表示されている場合において、ユーザが、このダブルパノラマ画像を横方向にスクロールしたいときは、ダブルパノラマ画像の上下のいずれか一方をスクロールしたい方向にフリックする。
【0072】
図9(a)の例では、上側のパノラマ画像が右方向にフリックされたので、図9(b)に示すように、上側のパノラマ画像が右方向に移動する。このとき、下側のパノラマ画像も、上側のスクロールに応じて右側に移動する。なお、シングルパノラマの場合と同様に、フリック操作の後には、フリック操作の強度に応じた量だけ上下のパノラマ画像を移動させてもよいし、フリック操作があった場合には、一定の速度でスクロールを継続してもよい。さらに、フリック操作の強度の強度に応じて上下のパノラマ画像の移動の速度を決定してもよい。
【0073】
図11は、パノラマ画像のスクロールの変形例を説明する図である。パノラマ画像のスクロールは、上記のようなフリック操作のほか、ビューワ端末1を傾ける操作によっても行なうことができる。図10(a)のように、パノラマ画像が表示されている場合において、ビューワ端末1の右側が下方に、左側が上方になるように、ビューワ端末1を傾けることで、図10(b)に示すように、パノラマ画像は右側に移動する。また、ビューワ端末1を逆方向、即ち、右側が上方に、左側が下方になるように傾けることで、パノラマ画像は左側に移動する。なお、この変形例においても、傾きの度合いに応じてパノラマ画像の移動の速度を可変させてよい。
【0074】
なお、パノラマ画像のスクロールは、ドラッグ操作によっても行なうことができる。この場合には、パノラマ画像は、ドラッグ操作によって引きずられた方向に、引きずられた量だけ移動する。
【0075】
(7)切出し画像の切出し範囲の変更
図12は、切出し画像の切出し範囲の変更を説明する図である。図12(a)に示すように、全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、この全方位画像の一部領域を高画質(歪がなく、高解像度)で表示したいときは、当該領域に対してピンチアウト操作を行なう。なお、このとき、動体検出手段によって動体として検出された領域のみがこのピンチアウトの操作の対象とされてよい。
【0076】
ピンチアウトの操作を受けると、歪補正画像生成部15は、該当領域の切出し画像を生成して、画像表示部19は、図12(b)に示すように、この切出し画像を全画面表示する。切出し画像中で動体が移動し、ユーザがこの移動体とともに切出し画像を生成する領域を移動させたい場合には、図12(c)に示すように、全画面表示された切出し画像を移動したい方向にドラッグする。歪み補正画像生成部15は、ドラッグに応じた方向及び量で切出し領域を移動させて、新たな切出し画像を生成し、画像表示部19はこのようにしてドラッグされている間連続的に生成される切出し画像を表示する。
【0077】
(8)全方位画像の回転
図13は、全方位画像の回転を説明する図である。図13(a)に示すように、膳方画像が表示されている場合において、この全方位画像を回転させたいときは、図13(b)に示すように、画像中の任意の2点を2つの指で同時に触れて、当該2点を結ぶ線が画面内で回転するように、2つの指の両方又はいずれか1方をパネルインターフェース11上で移動させる。
【0078】
このような回転操作に従って、画像表示部19は、表示する全方位画像の方向を変更する。なお、2つの指が同時にフリックされることで、指をパネルインターフェース11上から話した後にも全方位画像を継続して回転させるようにしてもよい。
【0079】
上記の表示の切替えについては、種々の変形が可能である。以下、変形例を説明する。
【0080】
(第1の変形例)
図14は、第1の変形例を示す図である。第1の変形例は、全方位画像からパノラマ画像への切替えの変形例である。図14に示すように全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、これをパノラマ画像に展開したいときは、全方位画像の左右両端部分にそれぞれ指を触れて、外方向に広げるようにピンチアウト操作を行う。なお、モニタが小さい場合には、このピンチアウトの操作は片手(例えば親指と人差し指)で行なうことができ、モニタが大きい場合には、図14に示すように、両手を使ってピンチアウト操作を行なえばよい。
【0081】
上記のピンチアウト操作により、全方位画像は外方向に引っ張られるようにして連続的にパノラマ画像に展開される。このとき、例えば、2つの指で触れた箇所を直線で結び、その中点から垂直方向に伸ばした直線上に中心座標を位置させるように、全方位画像をパノラマ画像に展開することができる。
【0082】
この第1の変形例によっても、全方位画像の左右両端をピンチアウトするという操作と、全方位画像が外方向に引っ張られてパノラマ画像に推移するという表示の切替えとが感覚的に一致して、ユーザの操作性及び見易さが向上する。
【0083】
(第2の変形例)
図15は、第2の変形例を示す図である。第2の変形例は、全方位画像からパノラマ画像への切替えの変形例である。図15に示すように全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、これをパノラマ画像に展開したいときは、全方位画像の上下両端部分にそれぞれ指を触れて、内方向に狭めるようにピンチイン操作を行う。なお、モニタが小さい場合には、このピンチインの操作は片手(例えば親指と人差し指)で行なうことができ、モニタが大きい場合には、図15に示すように、両手を使ってピンチイン操作を行なえばよい。
【0084】
上記のピンチイン操作により、全方位画像は内方向に潰されるようにして連続的にパノラマ画像に展開される。このとき、例えば、2つの指で触れた箇所を直線で結び、その直線上に中心座標を位置させるように、全方位画像をパノラマ画像に展開することができる。
【0085】
この第2の変形例によっても、全方位画像の上下両端をピンチインするという操作と、全方位画像が内方向に潰されてパノラマ画像に推移するという表示の切替えとが感覚的に一致して、ユーザの操作性及び見易さが向上する。
【0086】
(第3の変形例)
図16は、第3の変形例を示す図である。第3の変形例は、全方位画像からパノラマ画像への切替えの変形例である。図16(a)に示すように全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、これをパノラマ画像に展開したいときは、全方位画像の中央部を、図16(a)のように左右方向に切込みを入れるようにドラッグ操作し、次に、図16(b)に示すように切込みを入れた線を跨ぐようにして、2つの指で上下にピンチアウト操作を行なう。
【0087】
上記の一連の操作により、全方位画像はドラッグされた線から切り込みが入れられ、ドーナツ状になるように連続的にパノラマ画像に展開される。このとき、例えば、ドラッグされた線の中点から垂直方向に伸ばした直線上に中心座標を位置させるように、全方位画像をパノラマ画像に展開することができる。
【0088】
この第3の変形例によっても、全方位画像の中央部に切り込みをいれてピンチアウトするという操作と、全方位画像がドーナツ状になるように切り込みを広げてパノラマ画像に推移するという表示の切替えとが感覚的に一致して、ユーザの操作性及び見易さが向上する。
【0089】
なお、上記の例では、全方位画像の中央部を横方向にドラッグして切込みを入れ、その切込みを開くように上下にピンチアウトの操作を行なったが、これに限らず、全方位画像の中央部を縦方向にドラッグして切込みを入れ、その切込みを開くように左右にピンチアウトの操作を行なっても、全方位画像がドーナツ状になるように切り込みを広げてパノラマ画像に推移するようにしてよい。
【0090】
(第4の変形例)
図17は、第4の変形例を示す図である。第4の変形例は、全方位画像からパノラマ画像への切替えの変形例である。この変形例では、全方位画像からダブルパノラマ画像に表示が切替えられる。図17(a)に示すように全方位画像が表示されている場合に、ユーザは、これをダブルパノラマ画像に展開したいときは、図17(a)に示すように、全方位画像の横方向の直径に切込みを入れるようにドラッグ操作を行なう。そして、図17(b)に示すように、切込みを入れた線を跨ぐようにして、2つの指で上下にピンチアウト操作を行なう。
【0091】
上記の一連の操作により、全方位画像はドラッグされた線を境に、上下それぞれについてパノラマ展開されて、ダブルパノラマ画像が表示される。このとき、例えば、ドラッグされた線の中点から垂直方向に伸ばした直線上に中心座標を位置させるように、全方位画像を上下それぞれのパノラマ画像に展開することができる。
【0092】
この第4の変形例によっても、全方位画像の中央部に切り込みをいれてピンチアウトするという操作と、全方位画像の切込みを境とする上半分及び下半分がそれぞれパノラマ画像に展開されて上下に並べられるという表示の切替えとが感覚的に一致して、ユーザの操作性及び見易さが向上する。
【0093】
(第5の変形例)
図18及び図19は、第5の変形例を示す図である。第5の変形例は、全方位画像からの切替えの変形例である。この変形例では、全方位画像上でのピンチアウトの行う方向に応じて目標画像を切り替える。図18(a)に示すように、全方位画像の半径方向にピンチアウトの操作が行なわれた場合は、図18(b)に示すように、切出し画像を含むマルチ画像が目標画像とされ、上記の「(3)全方位画像から切出し画像を含むマルチ画像への切替え」で説明したのと同様の動作を行なう。このとき、ピンチアウトされた位置にある人物が拡大されて切出し画像として表示される。
【0094】
一方、図19(a)に示すように、全方位画像の円周方向にピンチアウトの操作が行われた場合は、図19(b)に示すように、パノラマ画像が目標画像とされ、上記の「(1)全方位画像からパノラマ画像への切替え」で説明したパノラマ画像への切替えと同様の動作を行なう。このとき、ピンチアウトされた指の位置を結んだ線分の中心と全方位画像の中心を結んだ線分を基線としてパノラマ展開が行なわれる。
【0095】
(第6の変形例)
図20及び図21は、第6の変形例を示す図である。第6の変形例は、シングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替えの変形例である。この変形例では、シングルパノラマ画像上でピンチアウトを行う方向に応じて中間画像を切り替える。図20(a)に示すように、シングルパノラマ画像に対して縦方向にピンチアウトを行った場合は、図20(b)に示すように、「(4)シングルパノラマ画像からダブルパノラマ画像への切替え」で説明したのと同様にして中間画像を生成して表示し、図20(c)に示すダブルパノラマ画像を表示する。
【0096】
一方、図21(a)に示すように、シングルパノラマ画像に対して横方向にピンチアウトを行った場合は、図21(b)に示すように、ピンチアウトされた指の位置を結んだ線分の中心を通る垂直な線分でパノラマ画像を切断して、図21(c)に示すように、切断された2つのパノラマ画像の一方が上部へ、他方が下部へと移動する中間画像を生成して表示し、図21(d)に示すダブルパノラマ画像を表示する。なお、図21(d)及び図21(d)にて点線で示されている部分は、中間画像では表示されない隠れた部分である。この隠れた部分が中間画像の進展とともに、徐々に表示されていく。
【0097】
以上のように、本実施の形態のビューワ端末1によれば、画像が表示されているときに、パネルインターフェース11を用いて、直感的なユーザインターフェースにより、簡単な操作で、各種の表示の切替えを行なうことができる。また、本実施の形態のビューワ端末1によれば、表示が切り替わる過程で中間画像が生成されて表示されるので、ユーザは、表示が切り替わる前後において相関を認識し易くなる。
【0098】
なお、上記のビューワ端末1の動作は、コンピュータプログラムがビューワ端末1に備えられた演算処理装置によって実行されることで実現されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明は、簡単な操作で、直感的に、全方位画像と歪み補正画像との表示の切替えを行なうことができ、全方位カメラで撮影された映像を表示する表示装置等として有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 ビューワ端末
11 パネルインターフェース
12 操作検出部
13 画像補正シーケンサ
14 中間画像生成部
15 歪み補正画像生成部
16 全方位画像取得部
17 全方位画像デコード部
18 画像キュー
19 画像表示部
131 パネル操作インターフェース部
132 タイマ制御部
133 目標画像判定部
134 表示画像判定部
135 補正パラメータ算出部
136 画像補正インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方位画像を取得する画像取得部と、
パネルインターフェースを有するタッチパネル式の表示部と、
前記全方位画像の一部又は全部について歪み補正をして歪み補正画像を生成する歪み補正画像生成部と、
前記表示部に前記全方位画像又は前記歪み補正画像が表示されているときに、前記パネルインターフェースを用いて、表示されている画像に対して直接行われた、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えのための操作を検出する操作検出部と、
前記表示部に前記全方位画像又は前記歪み補正画像を表示させるとともに、前記操作検出部にて検出された操作に従って、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えを行なう表示制御部と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示部に前記全方位画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記全方位画像に対してピンチアウト操作がされたことを検出した場合に、前記全方位画像の表示を前記歪み補正画像の表示に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部に前記歪み補正画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記歪み補正画像に対してピンチイン操作がされたことを検出した場合に、前記歪み補正画像の表示を前記全方位画像の表示に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記歪み補正画像は、前記ピンチアウト操作がされた箇所を基線として前記全方位画像をパノラマ展開したパノラマ画像であることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記歪み補正画像は、前記ピンチアウト操作がされた箇所が拡大された切出し画像であることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記表示部に前記全方位画像が表示されている場合において、前記操作検出部が、前記表示部に表示されている前記全方位画像に対してタップ操作がされたことを検出したときに、前記全方位画像のタップ操作がされた箇所について、前記表示部に前記歪み補正画像を表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記操作検出部にて検出された操作に基づいて、画像の補正パラメータを決定し、
前記表示装置は、さらに、前記表示制御部が決定した補正パラメータに従って、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えの途中に表示する中間画像を生成する中間画像生成部を備え、
前記表示制御部は、前記全方位画像の表示と前記歪み補正画像の表示との間の切替えの途中に、前記表示部に、前記中間画像生成部にて生成された前記中間画像を表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
タッチパネル式の表示部を備えた表示装置にて実行されることにより、その表示装置を請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の表示装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−169723(P2012−169723A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26766(P2011−26766)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】