説明

表示装置及び表示システム

【課題】表示器を駆動する電力供給手段に障害が発生した場合に、障害が発生した電力供給手段を報知し、表示手段による表示情報の提供を継続することが可能な表示装置及び表示システムを提供する。
【解決手段】表示装置は、複数の表示手段に個別的に電力を供給する複数の電力供給手段の電力値が所定の基準値を下回った電力供給手段を個別的に検知する異常検知手段と、この異常検知手段により得られた検知結果を報知する報知手段とを備える。また、表示装置は、異常検知手段で検知された電力供給手段と予備電力供給手段とを切り換えて、当該予備電力供給手段から前記検知された電力供給手段に係る表示手段に電力を供給させる切換手段を備える。さらに、表示装置は、複数の表示手段を点灯制御する表示制御手段に電力供給する冗長構成された複数の表示制御用電力供給手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示システムに関し、特に、旅客案内情報を表示する表示装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道等の交通機関では、表示システムによる旅客案内表示が行われている。この表示システムでは、駅のホームや改札口等に設けられた複数のLED(Light Emitting Diode)表示器を有した表示装置に列車の行き先、出発順序等をそれぞれ表示し、旅客に旅客案内情報を提供するものである。
【0003】
図10は、従来の表示システムの構成を示す図である。なお、同図に示す表示システムは駅構内における旅客案内表示システムである。表示システム全体を統括的に制御する表示制御装置10から、列車ダイヤや行き先、列車種別等の旅客案内情報と当該旅客案内情報の表示を制御する表示制御情報とが表示装置20に送信されると、LEDコントローラ21は、この表示制御情報に基づき、LED表示器221〜224(以下、LED表示器221〜224を総じてLED表示器22という)のそれぞれに旅客案内情報を表示させる。これにより、放送等の人間による案内を実施することなく、旅客案内情報を表示によって継続的に案内することが可能になっている。
【0004】
ここで、電源装置30から供給される電力をLED表示器22に個別的に供給するスイッチングレギュレータ(以下、AVRという)231〜234(以下、AVR231〜234を総じてAVR23という)の何れかが、経年による劣化や故障等により、正常な駆動電力をLED表示器22に供給できなくなる場合がある。例えば、AVR233に障害が発生した場合には、LED表示器223が表示不能となる。また、LEDコントローラ21に駆動電力を供給するAVR24に障害が発生した場合には、全てのLED表示器22が表示不能となる。このような場合、従来の表示システムでは、障害の発生及び障害発生部位を判断できず、障害が発生しているかどうかを確認するためには、駅職員や保守員等が実際に現場に足を運び目視による確認を行う必要があり、障害復旧までに要する時間が増大するという問題がある。また、従来の表示システムでは、障害が発生したAVR23に係るLED表示器22に旅客案内情報を表示させることができないため、旅客に旅客案内情報を提供することができないという問題がある。
【0005】
一方、従来、複数の発光素子(LED)が配列された発光素子ユニットの各発光素子の発光と非発光によって任意のパターンを表示する表示器と、表示制御手段から送信されるパターン情報に従って発光素子ユニットの表示を制御する発光素子制御手段と、から成る表示装置において、特定のパターンの発光を行ったときのLEDに流れる電流値に基づいて発光素子の故障を検知し、この検知信号を表示制御装置に送信することで、遠隔位置から故障を検知することが可能な表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−141094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の表示装置では、発光素子がマトリックス状に配列された発光素子ユニット内における発光素子の故障を所定のパターン情報に基づいて検知ことは可能であるが、AVR自体の故障を検知することはできないため、LED表示器の故障かAVRの故障かを切り分けることができず、上述した課題を解決することはできない。また、障害発生により欠落した表示情報を補償することができないため、表示手段(表示器)に表示する表示情報を維持することができず、旅客に旅客案内情報を提供することができない。
【0007】
本発明の第1の課題は、表示手段を駆動する複数の電力供給手段に障害が発生した場合に、この障害が発生した電力供給手段を報知することが可能な表示装置及び表示システムを提供することである。
また、本発明の第2の課題は、表示手段を駆動する電力供給手段に障害が発生した場合であっても、表示手段による表示情報の提供を継続することが可能な表示装置及び表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数の表示手段と、
前記複数の表示手段を点灯制御する表示制御手段と、
前記複数の表示手段に個別的に電力を供給する複数の電力供給手段と、
前記表示制御手段に電力を供給する冗長構成された複数の表示制御用電力供給手段と、
前記表示手段に供給される電力の値が所定の基準値を下回った電力供給手段を個別的に検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段により得られた検知結果を報知する報知手段と、
異常時のバックアップ用として待機する予備電力供給手段と、
前記異常検知手段により検知された電力供給手段と前記予備電力供給手段とを切り換えて、当該予備電力供給手段から前記異常が検知された電力供給手段に係る表示手段に電力を供給させる切換手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
更に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記表示情報は、旅客案内情報であることを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の表示装置と、当該表示装置が備えた複数の表示手段に個別的に表示情報を表示させる表示制御装置と、を有した表示システムであって、
前記表示制御装置は、
前記表示装置からの報知信号に基づいて、当該報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、他の表示手段に表示させる制御手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記制御手段は、前記報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、当該表示手段に隣接する他の表示手段に表示させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、複数の電力供給手段から表示手段に供給される電力の値が所定の基準値を下回った電力供給手段を個別的に検知し、この検知結果を報知するため、障害が発生した電力供給手段を個別的に報知することができる。
また、表示制御手段に電力を供給する複数の表示制御用電力供給手段が冗長構成であるため、一の表示制御用電力供給手段に障害が発生した場合であっても、他の表示制御用電力供給手段により表示制御手段に電力を供給することが可能であり、表示手段による表示情報の提供を継続することができる。
また、異常検知手段により検知された電力供給手段と予備電力供給手段とを切り換えて、当該予備電力手段から前記検知された電力供給手段に係る表示手段へ電力を供給することが可能であるため、表示手段による表示情報の提供を継続することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、表示手段により旅客案内情報を表示することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、表示装置からの報知信号に基づいて、当該報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、他の表示手段に表示させる。これにより、障害が発生した電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、他の正常な表示手段に代替して表示させることが可能であるため、表示手段による表示情報の提供を継続することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、表示装置からの報知信号に基づいて、当該報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、当該表示手段に隣接する他の表示手段に表示させる。これにより、障害が発生した電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、当該表示手段に隣接する他の正常な表示手段に代替して表示させることが可能であるため、表示手段による表示情報の提供を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されないものとする。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施の形態の表示システム100の構成を示す概略図である。なお、同図に示す表示システム100は駅構内における旅客案内表示システムである。
表示システム100は、図1に示すように、表示制御装置10、表示装置20、電源装置30等から構成され、表示制御装置10と表示装置20と間はデータ電送線により接続されている。
【0018】
表示制御装置10は、駅のプラットホーム、改札口、コンコース等に設置された表示装置20の複数のLED表示器22に、それぞれ列車のダイヤや行き先、列車種別等の旅客案内情報を表示させるものである。
図2は、表示制御装置10の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、表示制御装置10は、制御部11、表示部12、操作部13、記憶部14、通信制御部15等から構成され、各部がバス16を介して接続されている。
【0019】
制御部11は、表示制御装置10を構成する各機能部への指示や各機能部間のデータの入出力を行い、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。より具体的には、制御部11は、ROM及び/又は記憶部14に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークメモリに展開し、当該システムプログラムに従って各部を制御する。
【0020】
具体的に、制御部11は、不図示の計時手段により計時される時刻情報や、中央司令所等の上位装置からの指示に基づいて、記憶部14に記憶された旅客案内情報を読み出し、この旅客案内情報を後述する表示装置20のLED表示器221〜224のそれぞれに表示すべき旅客案内情報を指示する表示制御情報を生成し、この表示制御情報を旅客案内情報とともに表示装置20に送信することで、表示装置20のLED表示器221〜224に個別的に旅客案内情報を表示させる。
【0021】
また、制御部11は、表示装置20から送信される障害報知信号を受信すると、この障害報知信号に基づいて、障害が発生したAVR23を報知する画面を表示部12に表示させる。これにより、障害が発生したAVR23を迅速に報知することができる。なお、本実施形態では、表示部12により障害発生を報知することとしたが、これに限らず、例えば、ブザー等の音声出力手段や、インジケータランプ等の光発光手段等を別途備え、これらを介して障害が発生したAVR23を報知する態様としてもよい。
【0022】
さらに、制御部11は、表示装置20から送信される障害報知信号を受信すると、この障害報知信号に基づいて、表示制御情報を生成し、表示装置20に通信制御部15を介して送信する。
【0023】
表示部12は、表示制御回路、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等により構成され(何れも不図示)、制御部11から入力される表示データに基づいて画面表示を行う。
【0024】
操作部13は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部11に出力する。
【0025】
記憶部14は、プログラムやデータ等が予め記録されている不図示の記憶媒体を有しており、この記録媒体は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記録媒体は、記憶部14に固定的に設けられるもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、この記録媒体には、システムプログラム、当該システムに対応する各種処理プログラム、及び各種処理プログラムで処理されたデータ等を記録する。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部11は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0026】
また、記憶部14は、自己駅管内の列車ダイヤや行き先、列車種別等の旅客案内情報を予め記憶する。なお、本実施形態では、旅客案内情報を表示制御装置10が予め保持している態様としたが、これに限らず、中央司令所等の上位装置から通信制御部15を介して取得する態様としてもよい。
【0027】
また、記憶部14は、表示装置20に備えられたAVR231〜234と、当該AVR231〜234のそれぞれに係るLED表示器221〜224と、を対応付けた表示器−AVRテーブルを予め記憶する。
【0028】
通信制御部15は、表示制御装置10と表示装置20との間で授受される各種情報の送受信を可能とするインターフェースである。
【0029】
図1に戻り、表示装置20は、LEDコントローラ21、LED表示器221〜224(以下、LED表示器221〜224を総じてLED表示器22という)、スイッチングレギュレータ(以下、AVRという)231〜236(以下、AVR231〜234を総じてAVR23という)、リレー251〜254(以下、リレー251〜254を総じてリレー25という)等から構成される。
【0030】
LEDコントローラ21は、表示制御装置10から送信された旅客案内情報を受信し、この旅客案内情報に基づいてLED表示器221〜224を点灯制御することで、LED表示器221〜224のそれぞれに表示すべき旅客案内情報を表示させる。なお、本実施形態では、このLED表示器221〜224の表示器が、図3に示すように、表示装置20の表面(図3(a)参照)及び裏面(図3(b)参照)にそれぞれ2個ずつ配置されているものとするが、LED表示器の数量、配置態様はこれに限定されないものとする。
【0031】
また、LEDコントローラ21は、AVR23のそれぞれに対して設けられたリレー25と接続されており、このリレー25を介して入力されるAVR23の通電状態を示す電気信号に基づいて、各AVR23の状態を常時監視する。
【0032】
ここで、AVR231〜234、AVR241及びAVR242は、NFB(No Fuse Breaker)31を介して電源装置30から供給される交流の駆動電力(例えば、AC100V)を直流電力に変換し、この変換された直流電力をLEDコントローラ21及びLED表示器22のそれぞれに供給するスイッチングレギュレータである。
【0033】
AVR241及びAVR242(以下、AVR241及びAVR242を総じてAVR24という)は、何れか一方の主系AVR24からLEDコントローラ21に駆動電力の供給を行うようになっており、主系AVR24に障害が発生した際には、もう一方の予備系AVR24に切り換わり、この予備系AVR24からLEDコントローラ21に駆動電力の供給を行うことが可能な冗長構成となっている。なお、AVR24のうち何れかを主系又は予備系とするかは任意に設定可能あるものとする。このように、LEDコントローラ21への駆動電力の供給回路(経路)を二重化することにより、AVR241又は216の一方に障害が発生した場合でも、他方のAVRにより駆動電力を供給することが可能であるため、LED表示器22による表示案内を継続することができる。なお、本実施形態では、冗長構成をAVR241及びAVR242の二つから構成することとしたが、その数はこれに限らないものとする。
【0034】
リレー251〜254は、AVR231〜234と一対一に対応するよう設けられている。ここで、AVR23の通電時には、リレー25内のコイルに発生する電磁力により、接点が閉状態(ON)となり、当該リレー25を介してAVR23の通電状態を示す電気信号が個別的にLEDコントローラ21に出力される。
【0035】
一方、AVR23の何れかが経年による劣化や故障等により、正常な駆動電力をLED表示器22に供給できない場合、つまりAVR23の異常時には、リレー25内のコイルの電磁力が低下又はゼロとなるため、接点が開状態(OFF)となり、LEDコントローラ21への電気信号が切断される。この場合、LEDコントローラ21は、電気信号が切断されたAVR23を指示する障害報知信号を表示制御装置10に送信する。
【0036】
例えば、図4に示すように、AVR233に障害が発生し、駆動電力をLED表示器223に供給できなくなった場合には、リレー253の接点がOFFとなる。この場合、LEDコントローラ21は、AVR233に障害が発生したことを検知し、AVR233を指示する障害報知信号を表示制御装置10に送信することになる。
【0037】
次に、図5及び図6を参照して、AVR23の障害発生時において表示制御装置10によりに実行される表示制御処理について説明する。
図5は、表示制御処理の手順を示したフローチャートである。なお、図5の各処理は、制御部11による制御の下、ROM又は記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0038】
まず、表示装置20のLEDコントローラ21より送信された障害報知信号が受信されると(ステップS11;Yes)、この障害報知信号に指示された障害発生箇所であるAVR23を報知する画面を表示部12に表示させる(ステップS12)。
【0039】
次いで、記憶部14に記憶された表示器−AVRテーブルが参照されて、この障害が発生したAVR23に係るLED表示器22が特定される(ステップS13)。例えば、障害発生箇所としてAVR233が障害報知信号に指示されていた場合には、LED表示器223が特定される。
【0040】
続いて、特定されたLED表示器22に表示させている旅客案内情報を、当該特定されたLED表示器22に隣接する他の正常なLED表示器22に表示させる表示制御情報が生成され(ステップS14)、この生成された表示制御情報が通信制御部15を介して表示装置20に送信されて(ステップS15)、本処理は終了する。
【0041】
ここで、図6を参照して、上述した表示制御処理の前後において、表示装置20に表示される旅客案内情報について説明する。
表示装置20において、AVR233に障害が発生した場合、図6(a)に示すように、LED表示器223の表示が不能となる。この場合、表示制御装置10は、本来LED表示器223に表示すべき旅客案内情報を、当該LED表示器223に隣接するLED表示器224に表示させる表示制御情報を表示装置20に送信する。これにより、LED表示器224の表示を図6(b)に示すように変更し、表示案内を継続させる。
【0042】
一般に、図3及び図6で示した表示形態の場合、上段の表示器(LED表示器221及びLED表示器223)から後段の表示器(LED表示器222及びLED表示器224)にかけて列車の出発順序が表示される場合が多い。上段の表示器が表示不能な状態となった場合、旅客は直近する列車の出発時刻を確認することができず、適切な旅客案内情報を提供することができない。そのため、上述したように上段の表示器に表示される旅客案内情報を後段の表示器に代替して表示させることにより、適切な旅客案内情報を提供することが可能になる。なお、後段の表示器が表示不能な状態となった場合には、ステップS14の処理を行わないこととしてもよく、LED表示器22の配置態様に応じた処理を行うことが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態では、表示不能となったLED表示器22に隣接する他のLED表示器22に代替して表示させることとしたが、これに限らず、表示不能となったLED表示器以外の他のLED表示器22に表示させる態様としてもよい。
また、図6で説明した表示制御処理を表示装置20自体で行う態様としてもよく、その場合には、本表示制御処理の機能を司る図2で示した各部を表示装置20が備えるものとする。
【0044】
以上のように、第1の実施形態によれば、複数のAVR23の異常を個別的に検知し、この検知結果を報知するため、障害が発生したAVR23を報知することができる。また、異常が検知されたLED表示器22の旅客案内情報を、他の正常なLED表示器22に表示させる表示制御情報をLEDコントローラ21に送信することが可能であるため、LED表示器22による旅客案内情報の提供を継続することができる。
【0045】
<第2の実施形態>
次に、表示システム100の第2の実施形態について説明する。なお、説明の簡略化のため、上述した第1の実施形態と同一要素については同符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0046】
まず、図7を参照して、本実施形態の表示装置20について説明する。
図7に示すように、AVR23からLED表示器22のそれぞれに供給される駆動電力が電源監視回路26に流入されるようになっている。ここで、電源監視回路26は、AVR23から供給される駆動電力の電圧値を常時監視し、当該電圧値が所定の基準値を下回った場合に、当該基準値を下回ったAVR23を指示する指示信号を個別的にLEDコントローラ21に出力するようになっている。なお、本実施形態では、LED表示器22を正常に駆動させることが可能な駆動電力の最低値を、上述した電圧値判断の際の基準値とする。これにより、経年劣化や故障等により駆動電力の供給量低下しつつある場合に、障害発生の前兆を報知することが可能となる。ここで、駆動電力の電圧判定の基準となる基準値は、AVR23から出力される正常時の電圧値に基づいて設定することが好ましい。
【0047】
LEDコントローラ21は、電源監視回路26から出力された指示信号を受信すると、この指示信号に基づいて、基準値を下回ったAVR23を指示する障害報知信号を表示制御装置10に送信する。そして、表示制御装置10は、表示装置20から送信される障害報知信号を受信すると、この障害報知信号に基づいて基準値を下回ったAVR23を報知する画面を表示部12に表示させる。これにより、LED表示器22を正常に駆動させる駆動電力の供給が不能となる前に、障害発生の前兆を報知することが可能となるため、障害発生前に交換等処理することができる。
【0048】
以上のように、第2の実施形態によれば、供給される駆動電力の値が所定の基準値を下回ったAVR23を報知することができる。これにより、AVR23の経年による劣化や故障等を迅速に報知することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
次に、表示システム100の第3の実施形態について説明する。なお、説明の簡略化のため、上述した第1の実施形態と同一要素については同符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0050】
まず、図8及び図9を参照して、本実施形態の表示装置20について説明する。
図8に示すように、表示装置20は、異常時のバックアップ用として待機する予備のAVR27を備え、このAVR27からLED表示器22の各々に駆動電力を供給することが可能な経路が各々配設されている。この経路上には、リレー281〜284(以下、リレー281〜284を総じてリレー28という)が設けられている。ここで、AVR23の通電時には、リレー28内のコイルに発生する電磁力により、接点が開状態(OFF)となり、AVR27からの駆動電力はLED表示器22の何れにも供給されず待機状態となる。
【0051】
一方、AVR23の何れかが経年による劣化や故障等により、正常な駆動電力をLED表示器22に供給できない場合には、リレー28内のコイルの電磁力が低下又はゼロとなるため、接点が閉状態(ON)となる。これにより、駆動電力の異常が発生したAVR23からAVR27へと切り換えられ、AVR27からの駆動電力は異常が発生したAVR23に係るLED表示器22に供給される。
【0052】
例えば、図9に示すように、AVR233に障害が発生し、駆動電力をLED表示器223に供給できなくなった場合には、リレー283の接点がONとなる。この場合、AVR233からAVR27へと切り換えられ、AVR27からの駆動電力がLED表示器223に供給されることになる。さらに、リレー253により、AVR233の障害が検知され、この障害報知信号が表示制御装置10に送信されることになる。
【0053】
以上のように、第3の実施形態によれば、異常が検知されたAVR23と予備のAVR27とを切り換えて、当該予備のAVR27から異常が検知されたAVR23に係るLED表示器22に電力を供給することが可能であるため、LED表示器22による旅客案内情報の提供を継続することができる。
【0054】
上記実施形態における表示システム100の細部構成および詳細動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、駅における列車の旅客情報を表示する場合を説明したが、これに限らず、空港等の他の交通機関において使用される態様としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、表示制御装置10に対し一の表示装置20が接続された態様を示したが、これに限らず、表示制御装置10に対し複数の表示装置20が接続された態様としてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、障害が発生したAVR23を報知する画面を表示部12に表示することとしたが、さらに、当該障害が発生したAVR23に係るLED表示器22を記憶部14に記憶された表示器−AVRテーブルを参照することで特定し、この特定したLED表示器22が表示不能な状態であることを報知する画面を表示することとしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、障害が発生したAVR23を表示制御装置10の表示部12に表示することで報知することとしたが、これに限らず、表示装置20自体にインジケータランプ等報知手段を備えることとしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、LEDコントローラ21に駆動電力を供給するAVR24の障害検知は行わないこととしたが、これに限らず、冗長構成としたAVR24の主系AVR24に対し、リレー25と同様のリレー回路又は電源監視回路26を設けることで、主系AVR24に障害が発生した際の検知を行う態様としてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、表示手段としてLED表示器を用いた場合を説明したが、これに限らず、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD、ELD(Electro Luminescence Display)等、所定の文字情報や図形を表示可能な手段であれば特に問わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態における表示システムの構成を示す概略図である。
【図2】表示制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】表示装置に具備された表示器の態様を示す図であって、(a)表示装置の表面に設けられた表示器を示す図であり、(b)表示装置の裏面に設けられた表示器を示す図である。
【図4】第1の実施形態においてAVRに障害が発生した場合の動作を説明するための図である。
【図5】表示制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】AVRの障害発生時における表示制御の一例を示す図であって、(a)表示装置の裏面上段部における表示器が表示不能となった場合を模式的に示した図であって、(b)(a)の障害時における表示制御結果を示す図である。
【図7】第2の実施形態における表示システムの構成を示す概略図である。
【図8】第3の実施形態における表示システムの構成を示す概略図である。
【図9】第3の実施形態においてAVRに障害が発生した場合の動作を説明するための図である。
【図10】従来の表示システムの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0062】
100 表示システム
10 表示制御装置
11 制御部
12 表示部
13 操作部
14 記憶部
15 通信制御部
16 バス
20 表示装置
21 LEDコントローラ
22 LED表示器
23、231、232、233、234 AVR
24、241、242 AVR
25、251、252、253、254 リレー
26 電源監視回路
27 AVR
28、281、282、283、284 リレー
30 電源装置
31 NFB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示手段と、
前記複数の表示手段を点灯制御する表示制御手段と、
前記複数の表示手段に個別的に電力を供給する複数の電力供給手段と、
前記表示制御手段に電力を供給する冗長構成された複数の表示制御用電力供給手段と、
前記表示手段に供給される電力の値が所定の基準値を下回った電力供給手段を個別的に検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段により得られた検知結果を報知する報知手段と、
異常時のバックアップ用として待機する予備電力供給手段と、
前記異常検知手段により検知された電力供給手段と前記予備電力供給手段とを切り換えて、当該予備電力供給手段から前記検知された電力供給手段に係る表示手段に電力を供給させる切換手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示情報は、旅客案内情報であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置と、当該表示装置が備えた複数の表示手段に個別的に表示情報を表示させる表示制御装置と、を有した表示システムであって、
前記表示制御装置は、
前記表示装置からの報知信号に基づいて、当該報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、他の表示手段に表示させる制御手段を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記報知信号で報知された電力供給手段に係る表示手段の表示情報を、当該表示手段に隣接する他の表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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