説明

表示装置及び輝度調整方法

【課題】高輝度化及び大画面化を推し進めながらも、特殊部品を使用することなく消費電力を低く抑えることができる表示装置及び輝度調整方法を得る。
【解決手段】点灯制御部14と表示部10との間に点灯データのデータ数を演算するデータ検出部15と、点灯データのデータ数に基づいて輝度調整を行う機能を有する輝度制御部142を備える。データ検出部15は、表示データから点灯制御部14で点灯データに変換された信号を取り込み所定値と比較する。点灯データ計算値と所定値との比較において、点灯データ計算値が所定値を超える場合、表示部10の輝度を下げる点灯輝度信号を輝度制御部142に入力し駆動回路13を制御する。これにより、表示部10に供給する駆動信号は点灯輝度のデューティ比が低くなり即ちオンする期間が短くなって、表示部10の輝度が下がり、消費電力が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitted Diode:発光ダイオード)等の発光体を所定間隔で複数個並べ夫々を電力制御することにより文字やアニメーションなどを表現でき、商店の看板、商品のコマーシャル、情報表示などに利用される表示装置及び該表示装置における輝度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の発光体を用いた表示装置は、多機能化が進み、特に高輝度化、大画面化が進んでいる。これに伴い消費電力も上がるため、電源部の最大許容電力を高く設計する必要がある。
【0003】
一方、電源部の最大許容電力が上がると、電源部のコストが高くなるため、電源部の最大許容電力をなるべく抑えたいという要望がある。
【0004】
通常、電源部の設計の際は、点灯率100%時の消費電力にも対応できるように設計するが、実際の使用環境では60%以下でしか使われないため無駄がある。そこで、特許文献1のように、表示部に流れる電流値を検出して輝度を調整する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図3は、特許文献1に記載の表示装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、表示装置は、表示部(LEDドットマトリックス)10と、電源部11と、表示部10の点灯を制御する点灯制御部50と、電源部11から表示部10に供給される電流値を測定する電流測定部51とを有する。表示部10は、図4に示すように、LEDを所定間隔で複数個並べて構成されたものである。
【0006】
図4,図5は表示部10の外形を示す図であり、図4は正面図、図5は側面図である。図4,図5に示すように、複数のLED101が回路基板102上に所定間隔で配置され、全面がパネル103で覆われてフレーム104で固定された構造を採る。
【0007】
図3に戻り、電源部11は、商用電源100Vを直流5Vの点灯電圧に変換して表示部10及び点灯制御部50に供給する。点灯制御部50は、外部より入力される表示データに従って表示部10の各LED101をオン、オフさせる表示信号を生成して表示部10に供給する。
【0008】
この場合、表示部10の各LED101には電源部11より点灯電圧が印加されるので、各LED101に対してオン期間を設定することで点灯状態となる。また、点灯制御部50は、電流測定部51で測定された電流値から表示部10の平均点灯率を求め、その平均点灯率に応じて表示部10に供給する電流値又は表示部10の点灯時間を制御して、表示部10の消費電力が設計値を超えないように調整するようにしている。表示部10の点灯率は、全てのLED101の数に対する瞬間に同時点灯しているLED101の数の比である。
【0009】
【特許文献1】特開2004−341434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の表示装置においては、表示部10に流れ込む電流の値を測定するために、電流値を電圧値に変換する抵抗やトランス等の特殊部品を用意する必要がある。このような特殊部品は、製品の設計(LED素子の数など)が変更されたときに、その都度変更する必要が生じ、その度に特殊部品を用意するのはコスト上の無駄が多い。
【0011】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、高輝度化及び大画面化を推し進めながらも、特殊部品を使用することなく消費電力を低く抑えることができる表示装置及び輝度調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表示装置は、通電することにより発光する発光体が複数個配置された表示手段を備える表示装置において、外部より入力された表示データのデータ数を計数する表示データ計数手段と、前記表示データ計数手段で計数された表示データ数に基づいて前記表示手段の輝度を調整する輝度調整手段とを備えるものである。
【0013】
この構成によれば、表示データのデータ数に基づいて表示手段の点灯率(表示手段に設けられた発光体の全体の数に対する点灯している発光体の数の割合)が高いときに輝度を下げることができるので、表示部に流れ込む電流の値に基づいて輝度調整する従来の表示装置と比べて、抵抗やトランス等の特殊部品を用意する必要がない。したがって、表示装置の高輝度化及び大画面化を推し進めながらも、特殊部品を使用することなく消費電力を低く抑えることが可能となる。
【0014】
また、上記構成において、前記輝度調整手段は、表示データ数が上限値に達するまでは前記表示手段を最大輝度で点灯させ、表示データ数が上限値を超えると前記表示手段の輝度を下げるものとしても良い。
【0015】
この構成によれば、点灯率が最大のときに必要な電源容量、熱対策を軽減できるので、大画面化及び高輝度化に伴う大容量の電源、冷却用ファンの強化、放熱対策などのコストアップとなる要因を低く抑えることが可能となる。また、商品の設計(LED素子の数など)を変更する場合には、上限値の変更で対応することができる。
【0016】
また、上記構成において、表示装置周囲の照度を検出する照度検出手段を備え、前記輝度調整手段は、前記照度検出手段からの照度情報に従い、表示装置周囲が予め設定された程度まで暗くなると表示データ数に基づく輝度調整を中止するものとしても良い。
【0017】
この構成によれば、表示装置周囲が予め設定された程度まで暗くなると表示データ数に基づく輝度調整を中止することで、輝度の低下を目立ち難くすることができ、美観の低減を最小限に抑えることができる。
【0018】
また、本発明の輝度調整方法は、通電することにより発光する複数の発光体が複数個配置された表示部を備える表示装置の輝度調整方法において、外部より入力された表示データのデータ数を計数するステップと、前記ステップで計数された表示データ数に基づいて前記表示手段の輝度を調整するステップと、を備えるものである。
【0019】
この方法によれば、表示部の点灯率が高いときにのみ輝度を下げることができるので、表示部に流れ込む電流の値に基づいて輝度調整する従来の表示装置と比べて、抵抗やトランス等の特殊部品を用意する必要がない。したがって、表示装置の高輝度化及び大画面化を推し進めながらも、特殊部品を使用することなく消費電力を低く抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示データのデータ数に基づいて表示部の輝度調整を行うので、表示装置の高輝度化及び大画面化を推し進めながらも、特殊部品を使用することなく消費電力を低く抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。なお、この図において前述した図3と同一の機能を有する部分には同じ符号を付けるとともに、その説明を省略する。図1に示すように、本実施の形態の表示装置1は、表示部(LEDドットマトリックス)10と、電源部11と、受光回路12と、駆動回路13と、点灯制御部14と、データ検出部15とを備えて構成される。
【0023】
電源部11は、商用電源100Vを直流5Vの点灯電圧に変換して表示部10及び点灯制御部14に供給する。なお、電源部11の電圧は、製品規格毎に異なるものであり、例えば、商用200Vや、直流9V、12Vなどの場合もある。
【0024】
受光回路12は、表示装置1の周囲の照度を検出し、照度情報を出力する。駆動回路13は、パルス幅変調方式により表示部10を駆動するものであり、表示信号と輝度信号に基づいて表示部10の各LED101の電力制御(オン、オフ)を行う。
【0025】
点灯制御部14は、CPU(中央処理装置)及び該CPUを動作させる制御プログラムが書き込まれたメモリ(いずれも図示略)と、A/D変換器141と、輝度制御部142とを有している。点灯制御部14は、外部より入力された表示データを、駆動回路13が表示部10の各LED101を点灯するための表示信号(点灯データ)に変換する。また、点灯制御部14は、表示データから表示部10の輝度を設定する輝度信号を生成し出力する。
【0026】
点灯制御部14のA/D変換器141は、受光回路12が出力する外光輝度検出信号(照度情報)をデジタル変換する。
【0027】
点灯制御部14の輝度制御部142は、表示データに基づいて輝度信号を可変する。また、輝度制御部142は、受光回路12から出力された外光輝度検出信号値を基に表示装置1周囲の明暗に合わせた表示輝度調整を行う。すなわち、外光が明るければ輝度を上げ、暗ければ輝度を落とすように輝度信号を可変する。さらに、輝度制御部142は、外光輝度検出信号値が輝度減光設定値に達した場合(即ち外光輝度検出信号値が輝度減光設定値まで低下した場合)に、後述する点灯データ数に基づく輝度調整を中止する。即ち、外光輝度が輝度減光設定値に対応する程度まで装置周囲が暗くなった場合に点灯データ数に基づく輝度調整を中止して、輝度の低下を目立ち難くする。
【0028】
データ検出部15は、点灯制御部14から出力された点灯データの点灯データ数をカウントし、所定値と比較する。なお、所定値はデータとして点灯制御部14の輝度制御部142にて保持され、表示装置1の電源投入時に読み出されてデータ検出部15に設定される。点灯データの計算値と所定値との比較において、点灯データ計算値が所定値を超える場合、表示部10の輝度を下げる点灯輝度信号を点灯制御部14の輝度制御部142に入力し、駆動回路13を制御させる。
【0029】
これにより、表示部10に供給する駆動信号は、点灯輝度のデューティ比が低くなって(即ちオンする期間が短くなって)表示部10の輝度が低下する。このデータ検出部15によって点灯率に応じて変化するデータを監視することが可能となり、表示部10の消費電流が増加しても、表示部10における点灯率が高い場合に限り輝度を下げることで、消費電力を制限することが可能となる。
【0030】
なお、表示部10は表示手段に対応し、データ検出部15は表示データ計数手段に対応し、点灯制御部14は輝度調整手段に対応する。また、受光回路15は照度検出手段に対応する。
【0031】
図2は、点灯制御部14の動作を示すフローチャートである。同図において、処理を開始すると、並行して外光輝度の読み込みを行う(ステップS10)。即ち、受光回路12が出力する外光輝度検出信号を読み込む。
【0032】
そして、読み込んだ外光輝度検出信号の値即ち外光輝度検出信号値Lfを予め設定された輝度減光設定値Leと比較し(ステップS11)、輝度減光設定値Le未満であれば、ステップS10に戻り、外光輝度検出信号値Lfが輝度減光設定値Le以上になるまで、ステップS10とステップS11の処理を繰り返す。
【0033】
このステップS10、S11の処理を繰り返している間は、表示部10の点灯輝度が外光の暗さに同期して点灯輝度のデューティ比が低くなり即ちオンする期間が短くなるため、消費電力は小さくなっており、点灯データが最大でも電源部11の負荷は減少している。
【0034】
この場合、点灯データの検出を無効とする。すなわち、周囲が暗くなっていて、表示部10の点灯輝度が既に低くなっているため、敢えて点灯データ数による輝度調整を行う必要がないので、点灯データの検出を無効とする。
【0035】
一方、ステップS11の判定において、外光輝度検出信号値Lfが輝度限定値Le以上であれば、ステップS12に進み、点灯データの入力を有効とする。点灯データ入力が有効となった後、点灯データの検出を行い(ステップS13)、さらに検出した点灯データを一定時間内での点灯データ数の平均値Dbを求めるための演算処理を行う(ステップS14)。
【0036】
点灯データの平均値Dbを求めた後、点灯データ上限値Daと比較し(ステップS15)、点灯データ平均値Dbがデータ数上限値Da未満であれば(ステップS15の判定でNoの場合)、最大点灯率の点灯輝度データを駆動回路14に入力する(ステップS16)。これにより、駆動回路13が表示部10に対し、点灯輝度が最大となる電力制御制御を行う。ステップS16の処理を終えた後はステップS12に戻る。
【0037】
これに対し、ステップS15の判定において、点灯データ数平均値Dbが点灯データ数上限値Da以上であれば(ステップS15の判定でYesの場合)、輝度を減光させるための点灯輝度データを駆動回路13に入力する(ステップS17)。これにより、駆動回路13が表示部10に対し、低いデューティ比で電力制御を行う。ステップS17の処理を終えた後はステップS12に戻る。
【0038】
このように本実施の形態の表示装置1によれば、データ検出部15で点灯データを監視して、表示部10の点灯率が高い場合(即ち発光するLED数が多く、負荷が高い場合)にのみ輝度を下げるので、表示装置1の大画面化及び高輝度化の目的を損なわず輝度調整ができる。
【0039】
さらに、点灯率が最大のときに必要な電源容量、熱対策を軽減できるので、大画面化及び高輝度化に伴う大容量の電源、冷却用ファンの強化、放熱対策などのコストアップとなる要因を低く抑えることが可能となる。また、製品設計(LED数など)を変更する場合には、点灯データ上限値Daの変更で対応することができる。
【0040】
また、一定時間内での点灯データの平均値を求め、求めた平均値の点灯データ数検出値に基づいて輝度調整するので、最適な輝度調整が可能となる。
【0041】
また、受光回路12で外光の暗さに同期して点灯輝度のデューティ比が低くなり即ちオンする期間が短くなっている期間は点灯データ検出を無効とすることで、夜間など周囲が暗くなった場合に点灯輝度を更に下げてしまう弊害は無くなり、表示内容を明確に把握することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、点灯データ平均値Dbが点灯データ上限値Daを超えたときに直ぐに輝度を下げるようにしたが、点灯データ平均値Dbが点灯データ上限値Daを超えたときから点灯データ平均値Dbの増加に従って段階的に輝度を下げるようにしても良い。
【0043】
また、上記実施の形態では、外部から入力される表示データを、表示部10の駆動回路13に送信する点灯データに変化した後で、その点灯データを用いてLEDの点灯する数を計数する構成について説明したが、これに限らず、点灯データに変換する前の表示データを用いて、表示データを計数しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、高輝度化を推し進めながらも、消費電力を低く抑えることができるといった効果を有し、広告用の電飾スタンド看板などへの適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態に係る表示装置の点灯制御部の動作を説明するためのフローチャート
【図3】従来の表示装置の概略構成を示すブロック図
【図4】図3の表示装置の外形を示す正面図
【図5】図3の表示装置の外形を示す側面図
【符号の説明】
【0046】
1 表示装置
10 表示部
11 電源部
12 受光回路
13 駆動回路
14 点灯制御部
15 データ検出部
141 A/D変換器
142 輝度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電することにより発光する発光体が複数個配置された表示手段を備える表示装置において、
外部より入力された表示データのデータ数を計数する表示データ計数手段と、
前記表示データ計数手段で計数された表示データ数に基づいて前記表示手段の輝度を調整する輝度調整手段と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記輝度調整手段は、表示データ数が上限値に達するまでは前記表示手段を最大輝度で点灯させ、表示データ数が上限値を超えると前記表示手段の輝度を下げる請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
表示装置の周囲の照度を検出する照度検出手段を備え、
前記輝度調整手段は、前記照度検出手段からの照度情報に従い、表示装置の周囲が予め設定された程度まで暗くなると表示データ数に基づく輝度調整を中止する請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
通電することにより発光する発光体が複数個配置された表示部を備える表示装置の輝度調整方法において、
外部より入力された表示データのデータ数を計数するステップと、
前記ステップで計数された表示データ数に基づいて前記表示部の輝度を調整するステップと、
を備える輝度調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−233830(P2008−233830A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77521(P2007−77521)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】