表示装置収納ケース
【課題】より簡便な作業によって、上ケースと下ケースとを強固に固定することができる表示装置収納ケースを提供する。
【解決手段】上ケース11が、底面から延びる壁部を有する下ケース12に被さることによって上ケース11と下ケース12とが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、下ケース12の壁部に、壁部からケース外側に突出する凸部14a,15aが設けられ、上ケース11の壁部における凸部14a,15aに対応する位置に開口部13が設けられ、開口部13の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部16が設けられている。
【解決手段】上ケース11が、底面から延びる壁部を有する下ケース12に被さることによって上ケース11と下ケース12とが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、下ケース12の壁部に、壁部からケース外側に突出する凸部14a,15aが設けられ、上ケース11の壁部における凸部14a,15aに対応する位置に開口部13が設けられ、開口部13の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部16が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の表示装置を構成する部品を収納するケースに関し、特に、第1ケースと第2ケースとが嵌り合うことによって内部に表示装置を構成する部品を収納する表示装置収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル等の表示パネルを有する表示装置が、カーナビゲーション装置や携帯機器等の機器において広く用いられている。機器に表示装置を組み込むために、表示パネルが表示装置収納ケース(以下、収納ケースという。)に収納され、収納ケースが機器に組み込まれることが多い。
【0003】
収納ケースとして、上ケースと下ケースとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。そのような収納ケースを用いる場合には、上ケースと下ケースとが嵌り合うことによって表示パネルを収納ケース内に収納する。
【0004】
図7は、特許文献1に記載された表示装置収納ケースを示す斜視図であり、図8(A)は、図7におけるA部分を拡大して示す断面図であり、図8(B)は、図7におけるB部分を拡大して示す断面図である。
【0005】
図7に示すように、下ケース52は、長方形の底面の各辺から直立する壁部を有し、長方形の短辺から直立する壁部には、複数の爪部54a,54b,54cが設けられている。その壁部に対向する壁部にも、同様に、複数の爪部が設けられている。爪部54a,54b,54cのうち中央の爪部54bは、斜め上方に延び、他の爪部54a,54cは、斜め下方に延びている。また、長方形の長辺から直立する壁部には、複数の爪部55a,55b,55cが設けられている。その壁部に対向する壁部にも、複数の爪部が設けられている。爪部55a,55b,55cのうち中央の爪部55bは、斜め上方に延び、他の爪部55a,55cは、斜め下方に延びている。
【0006】
上ケース51の内面には、下ケース52に嵌った状態で爪部54a,54b,54cおよび爪部55a,55b,55cに対応する位置に、凹部53が設けられている。
【0007】
上ケース51と下ケース52とを嵌め合わせるときに、下ケース52における上向きの爪部54b,55bを閉じた状態(壁部に収納されるような状態)にして、下ケース52に対して上ケース51を被せる。斜め下方に延びている爪部54a,54c,55a,55cは、上ケース51が下降してくるときに上ケース51に押されて閉じる方向に一時変形するので、上ケース51の下降を阻止しない。
【0008】
下ケース52に対して上ケース51が完全に被さると、爪部54a,54b,54cおよび爪部55a,55b,55cは、図7に示すような開いた状態(斜めに延びた状態)になる。斜め下方に向いた爪部54a,54c,55a,55cは、下ケース52に対して上ケース51が完全に被さったときに、凹部53の下面に当接するようなサイズである。また、斜め上方に向いた爪部54b,55bは、凹部53の上面に当接するようなサイズである。よって、下ケース52に対して上ケース51が完全に被さると、爪部54aは、図8(A)に示すように、凹部53の下面に掛かったような状態になる。斜め上方に向いた他の爪部も同様な状態になる。また、爪部54bは、図8(B)に示すように、凹部53の上面に掛かったような状態になる。斜め下方に向いた他の爪部も同様な状態になる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−195264号公報(段落0021−0024、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図7および図8に示された収納ケースにおいて、斜め上方を向いた爪部および斜め下方を向いた爪部と凹部53とによって、上ケース51と下ケース52とは強固に固定される。また、上ケース51と下ケース52とを固定するときにねじ止め等の工数を要する作業を必要としない。
【0011】
しかし、斜め上方を向いた爪部54b,55bが存在するので、上ケース51を下ケース52に被せるときに、下ケース52における上向きの爪部54b,55bを引っ込むようにする必要がある。よって、ねじ止め等の作業に要する工数に比べると遥かに短い時間ではあるものの、ある程度の作業時間を要する。
【0012】
そこで、本発明は、より簡便な作業によって、第1ケースと第2ケースとを強固に固定することができる表示装置収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による表示装置収納ケースは、表示装置を構成する部品(例えば、バックライトユニット20や液晶表示パネル30)を収容する表示装置収納ケースであり、底面から延びる壁部を有する第1ケース(例えば、上ケース11)が、底面から延びる壁部を有する第2ケース(例えば、下ケース12)に被さることによって第1ケースと第2ケースとが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、第2ケースの壁部に、該壁部からケース外側に突出する凸部(14a,15a)が設けられ、第1ケースの壁部における凸部に対応する位置に開口部(13)が設けられ、凸部は、第2ケースの底面側の突出量が大きくなる傾斜を有するように形成され、第1ケースにおける開口部の下部に、凸部下面に当接する部分(例えば、傾き部16)が設けられ、当接する部分は、第1ケースにおける壁部の内面よりもケース内側に突出して凸部の下面に当接する領域(例えば、傾き部16の上面)を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様では、第1ケースにおける開口部の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部(例えば、傾き部16)が設けられている。
【0015】
第2ケースにおいて、傾き部に対応する位置に開口部(例えば、開口部12A)が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より簡便な作業によって、第1ケースと第2ケースとを強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1(A)は、本発明による表示装置収納ケース(以下、ケースという。)の第1の実施の形態(実施の形態1)を示す斜視図である。図1(A)に示すように、平面形状(横断面形状)が略矩形(完全な矩形も含む。以下、長方形という。)のケース100は、第1ケースに相当する上ケース11と第2ケースに相当する下ケース12とで構成されている。上ケース11と下ケース12とは、例えばステンレス製のものである。なお、上ケース11と下ケース12との素材として合成樹脂を使用可能であるが、加工のしやすさ等の観点から、金属製であることが好ましい。
【0019】
下ケース12は、上方が開放し、長方形の底面の各辺から直立する壁部を有し、長方形の短辺から直立する壁部には、長手方向に複数の凸部14aが設けられている。その壁部に対向する反対側の短辺に相当する壁部にも、同様に、複数の凸部が設けられている。長方形の長辺から直立する壁部には、長手方向に複数の凸部15aが設けられている。その壁部に対向する反対側の長辺に相当する壁部にも、同様に、複数の凸部が設けられている。凸部14a,15aは、下ケース12の外側に向かって突出している。
【0020】
なお、図1(A)に示す例では、長方形の短辺から直立する壁部に3つの凸部14aが設けられ、長方形の長辺から直立する壁部に4つの凸部15aが設けられているが、凸部14aの個数および凸部15aの個数は図1(A)に示された例における個数に限られない。各壁部に、少なくとも1つの凸部が設けられていればよい。
【0021】
上ケース11は、長方形の底面の各辺から下方に延びる壁部を有し、下方が開放している。上ケース11には、下ケース12に嵌った状態で凸部14a,15aに対応する位置に、矩形の開口部13が設けられている。なお、開口部13の形状は矩形に限られない。
【0022】
図1(B)は、図1(A)における1つの凸部14aを含む部分を長方形の長辺方向の切断線で切断した縦断面を示す断面図である。但し、図1(B)には、断面の一部のみが示されている。図1(B)に示すように、下ケース12の内部には、例えば、バックライトユニット20と液晶表示パネル30とが収納される。図1(B)には、拡散シートやレンズシート等21、および緩衝用等のために下ケース12内に設置されている部材40も示されている。なお、部材40はなくてもよい。そして、下ケース12にそれらが収納された状態で、上ケース11が下ケース12に被せられる。よって、上ケース11と下ケース12とが嵌り合ったときに、下ケース12は上ケース11の内側に存在する。
【0023】
凸部14aは、縦断面において、下ケース12の開放側(上ケース11が被される側)の突出量が小さく、下ケース12の底面側の突出量が大きく、突出の程度が、開放側から底面側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、凸部14aは、開放側から底面側に向かう傾斜を有する。傾斜は、開放側を起点として外側に向かって徐々に広がるような傾斜である。そして、突出の頂点17から、縦断面において、上ケースの壁部の厚さよりも広い幅がある上ケース当接部18が設けられている。凸部15aの形状は、凸部14aの形状と同様である。よって、図1(B)には凸部14aのみが示されているが、以下、凸部15aも含めて説明を行う。
【0024】
図1(B)に示すように、上ケース11における開口部13の下部(下ケース12の底面に近い側)において、上ケース11の内側に向かう傾きが付けられている。傾きが付けられている部分を、傾き部16という。傾き部16は、上ケース11の壁部の先端(図1(B)において下側)から開口部13の下側までの間に位置する所定位置を起点として、そこから先(開口部13の下側に向かう部分)がケース内側に倒れ込むような傾斜を有する。そして、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、傾き部16の上面Tに、凸部14a,15aにおける上ケース当接部18の裏面が当接する。下ケース12において、凸部14a,15aの下側には、傾き部16を受け入れるために、下ケース12の内側に向かって、傾き部16の傾斜に沿って傾斜する内側傾き部19が設けられている。
【0025】
図1(B)に示すように、傾き部16の上面Tは、上ケース11における壁部の内面(図1(B)においてSで示される。)よりもケース内側で凸部14a,15aの下面(具体的には、上ケース当接部18の裏面)に当接する。
【0026】
図2は、上ケース11および下ケース12の寸法例を示す説明図である。図2に示す例では、上ケース11の壁部の厚さは0.3mmであり、下ケース12の壁部の厚さは0.3mmである。また、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態において、上ケース11と下ケース12との間隙は、0.1mmである。そして、縦断面における上ケース当接部18の幅は0.7mmである。また、図2に示す例では、傾き部16の最先端(図2において最右の位置)Pは、下ケース12の内面の位置Qに合っている。
【0027】
下ケース12にバックライトユニット20と液晶表示パネル30とを収納した後、上ケース11と下ケース12とを嵌め合うときに、下ケース12の上から上ケース11を下方に押し込む。上ケース11が下降してくるときに、上ケース11の先端が凸部14a,15aの傾斜に沿って広がりつつ下降するので、凸部14a,15aは上ケース11の下降を阻止しないことになる。そして、下ケース12における凸部14a,15aが、上ケース11における開口部13と嵌り合うようにして、上ケース11と下ケース12とが固定される。
【0028】
従って、上ケース11と下ケース12とを嵌め合わせて固定するときに、ねじ止め等の工数を要する作業を必要としない上に、凸部14a,15aに対して何等の処理も施す必要がなく、作業は簡便である。なお、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、上ケース11の先端の広がりが元の状態(広がっていない状態)に回復する。そして、その状態では、凸部14a,15aが開口部13からややはみ出た状態になるとともに、上ケース11の傾き部16の上面が、凸部14a,15aの下面(上ケース当接部18の裏面)に当接した状態になる。
【0029】
図3は、比較例を示す断面図である。図3に示す比較例では、ケース110における上ケース11に傾き部16が設けられていない。上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、開口部13の下部Rに、凸部14a,15aの上ケース当接部18の裏面が当接する。
【0030】
図1(B)に示された本実施の形態のケース100と、図3に示されたケース110とを比較すると、ケース100では、下ケース12に凸部14a,15aが設けられている上に、ケース内側に向かって傾く傾き部16が上ケース11に設けられているので、図3に示されたケース110に比べて、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定される。例えば、下ケース12が図1(B)および図3における右側にずれたことを想定すると、図1(B)に示されたケース100に比べて、図3に示されたケース110の方が、下ケース12が上ケース11から外れやすくなる。換言すれば、図1(B)に示されたケース100の方が、上ケース11または下ケース12がずれたときに、外れるまでの余裕(マージン)が大きい。従って、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定されていることになる。
【0031】
実施の形態2.
図4(A)は、本発明によるケースの第2の実施の形態(実施の形態2)を示す断面図である。図4(B)は、凸部14aの周辺を示す斜視図である。図1(B)に示されたケース100おいて下ケース12には、下ケース12の内側に向かう内側傾き部19が設けられていたが、図4に示すケース101では、内側傾き部19に代えて、傾き部16を受け入れる開口部12Aが設けられている。図4に示す構造においても、傾き部16が上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0032】
図5は、本発明によるケースの他の例を示す断面図である。図1(B)に示されたケース100おいて上ケース11には傾き部16が設けられていたが、図5に示すケース102では、上ケース11における開口部13の下側(下ケース12の底面に近い側)がケース内側に略90°に折り曲げられた部分である平坦部16aが存在する。平坦部16aの幅は、上ケース11の壁部の厚さ(例えば、0.3mm)よりも大きい。図5に示す構造においても、平坦部16aが上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0033】
図6は、本発明によるケースのさらに他の例を示す断面図である。図6に示すケース103では、上ケース11における開口部13の下側(下ケース12の底面に近い側)に、上ケース11の壁部の厚さ(例えば、0.3mm)よりも幅が広い幅広部16bが設けられている。図6に示す構造においても、幅広部16bが上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0034】
以上に説明したように、本発明では、下ケース12に、下ケース12の外側に向かって突出している凸部14a,15aが設けられ、上ケース11における凸部14a,15aに対応する位置に開口部13が設けられ、さらに、開口部13の下部において、凸部14a,15aの下面に当接する部分が設けられ、当接する部分は、上ケース11における壁部の内面よりもケース内側で凸部14a,15aの下面に当接する箇所を含むように形成されているので、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定される。
【0035】
例えば、第1の実施の形態において、凸部14a,15aの下面に当接する部分は傾き部16であり、上ケース11における壁部の内面よりもケース内側で凸部14a,15aの下面に当接する箇所は、傾き部16の上面である。また、図1(B)に示された例では、傾き部16の上面Tの全面が、Sで示される上ケース11における壁部の内面よりもケース内側に位置しているが、一部が上ケース11における壁部の内面よりもケース内側に位置する(例えば、図1(B)に示されたSから延びる破線が傾き部16の上面Tに掛かるように傾き部16の傾斜の程度を小さくする)ようにしてもよい。
【0036】
なお、上記の各実施の形態では、表示パネルとして液晶表示パネル30を例にしたが、有機ELパネル等の他の表示パネルを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ナビゲーション装置などの機器に組み込まれる表示装置であって、タッチパネルが備えられた表示パネルを収納する用途に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)は本発明によるケースの第1の実施の形態を示す斜視図、(B)は凸部を含む部分のケースの縦断面を示す断面図。
【図2】上ケースおよび下ケースの寸法例を示す説明図。
【図3】比較例を示す断面図。
【図4】(A)は本発明によるケースの第2の実施の形態を示す断面図、(B)は凸部の周辺を示す斜視図。
【図5】本発明によるケースの他の例を示す断面図。
【図6】本発明によるケースのさらに他の例を示す断面図。
【図7】従来のケースを示す斜視図。
【図8】(A)は図7におけるA部分を拡大して示す断面図、(B)は図7におけるB部分を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
【0039】
11 上ケース
12 下ケース
12A 開口部
13 開口部
14a,15a 凸部
16 傾き部
18 上ケース当接部
19 内側傾き部
20 バックライトユニット
30 液晶表示パネル
100,101,102,103 ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の表示装置を構成する部品を収納するケースに関し、特に、第1ケースと第2ケースとが嵌り合うことによって内部に表示装置を構成する部品を収納する表示装置収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル等の表示パネルを有する表示装置が、カーナビゲーション装置や携帯機器等の機器において広く用いられている。機器に表示装置を組み込むために、表示パネルが表示装置収納ケース(以下、収納ケースという。)に収納され、収納ケースが機器に組み込まれることが多い。
【0003】
収納ケースとして、上ケースと下ケースとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。そのような収納ケースを用いる場合には、上ケースと下ケースとが嵌り合うことによって表示パネルを収納ケース内に収納する。
【0004】
図7は、特許文献1に記載された表示装置収納ケースを示す斜視図であり、図8(A)は、図7におけるA部分を拡大して示す断面図であり、図8(B)は、図7におけるB部分を拡大して示す断面図である。
【0005】
図7に示すように、下ケース52は、長方形の底面の各辺から直立する壁部を有し、長方形の短辺から直立する壁部には、複数の爪部54a,54b,54cが設けられている。その壁部に対向する壁部にも、同様に、複数の爪部が設けられている。爪部54a,54b,54cのうち中央の爪部54bは、斜め上方に延び、他の爪部54a,54cは、斜め下方に延びている。また、長方形の長辺から直立する壁部には、複数の爪部55a,55b,55cが設けられている。その壁部に対向する壁部にも、複数の爪部が設けられている。爪部55a,55b,55cのうち中央の爪部55bは、斜め上方に延び、他の爪部55a,55cは、斜め下方に延びている。
【0006】
上ケース51の内面には、下ケース52に嵌った状態で爪部54a,54b,54cおよび爪部55a,55b,55cに対応する位置に、凹部53が設けられている。
【0007】
上ケース51と下ケース52とを嵌め合わせるときに、下ケース52における上向きの爪部54b,55bを閉じた状態(壁部に収納されるような状態)にして、下ケース52に対して上ケース51を被せる。斜め下方に延びている爪部54a,54c,55a,55cは、上ケース51が下降してくるときに上ケース51に押されて閉じる方向に一時変形するので、上ケース51の下降を阻止しない。
【0008】
下ケース52に対して上ケース51が完全に被さると、爪部54a,54b,54cおよび爪部55a,55b,55cは、図7に示すような開いた状態(斜めに延びた状態)になる。斜め下方に向いた爪部54a,54c,55a,55cは、下ケース52に対して上ケース51が完全に被さったときに、凹部53の下面に当接するようなサイズである。また、斜め上方に向いた爪部54b,55bは、凹部53の上面に当接するようなサイズである。よって、下ケース52に対して上ケース51が完全に被さると、爪部54aは、図8(A)に示すように、凹部53の下面に掛かったような状態になる。斜め上方に向いた他の爪部も同様な状態になる。また、爪部54bは、図8(B)に示すように、凹部53の上面に掛かったような状態になる。斜め下方に向いた他の爪部も同様な状態になる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−195264号公報(段落0021−0024、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図7および図8に示された収納ケースにおいて、斜め上方を向いた爪部および斜め下方を向いた爪部と凹部53とによって、上ケース51と下ケース52とは強固に固定される。また、上ケース51と下ケース52とを固定するときにねじ止め等の工数を要する作業を必要としない。
【0011】
しかし、斜め上方を向いた爪部54b,55bが存在するので、上ケース51を下ケース52に被せるときに、下ケース52における上向きの爪部54b,55bを引っ込むようにする必要がある。よって、ねじ止め等の作業に要する工数に比べると遥かに短い時間ではあるものの、ある程度の作業時間を要する。
【0012】
そこで、本発明は、より簡便な作業によって、第1ケースと第2ケースとを強固に固定することができる表示装置収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による表示装置収納ケースは、表示装置を構成する部品(例えば、バックライトユニット20や液晶表示パネル30)を収容する表示装置収納ケースであり、底面から延びる壁部を有する第1ケース(例えば、上ケース11)が、底面から延びる壁部を有する第2ケース(例えば、下ケース12)に被さることによって第1ケースと第2ケースとが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、第2ケースの壁部に、該壁部からケース外側に突出する凸部(14a,15a)が設けられ、第1ケースの壁部における凸部に対応する位置に開口部(13)が設けられ、凸部は、第2ケースの底面側の突出量が大きくなる傾斜を有するように形成され、第1ケースにおける開口部の下部に、凸部下面に当接する部分(例えば、傾き部16)が設けられ、当接する部分は、第1ケースにおける壁部の内面よりもケース内側に突出して凸部の下面に当接する領域(例えば、傾き部16の上面)を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様では、第1ケースにおける開口部の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部(例えば、傾き部16)が設けられている。
【0015】
第2ケースにおいて、傾き部に対応する位置に開口部(例えば、開口部12A)が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より簡便な作業によって、第1ケースと第2ケースとを強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1(A)は、本発明による表示装置収納ケース(以下、ケースという。)の第1の実施の形態(実施の形態1)を示す斜視図である。図1(A)に示すように、平面形状(横断面形状)が略矩形(完全な矩形も含む。以下、長方形という。)のケース100は、第1ケースに相当する上ケース11と第2ケースに相当する下ケース12とで構成されている。上ケース11と下ケース12とは、例えばステンレス製のものである。なお、上ケース11と下ケース12との素材として合成樹脂を使用可能であるが、加工のしやすさ等の観点から、金属製であることが好ましい。
【0019】
下ケース12は、上方が開放し、長方形の底面の各辺から直立する壁部を有し、長方形の短辺から直立する壁部には、長手方向に複数の凸部14aが設けられている。その壁部に対向する反対側の短辺に相当する壁部にも、同様に、複数の凸部が設けられている。長方形の長辺から直立する壁部には、長手方向に複数の凸部15aが設けられている。その壁部に対向する反対側の長辺に相当する壁部にも、同様に、複数の凸部が設けられている。凸部14a,15aは、下ケース12の外側に向かって突出している。
【0020】
なお、図1(A)に示す例では、長方形の短辺から直立する壁部に3つの凸部14aが設けられ、長方形の長辺から直立する壁部に4つの凸部15aが設けられているが、凸部14aの個数および凸部15aの個数は図1(A)に示された例における個数に限られない。各壁部に、少なくとも1つの凸部が設けられていればよい。
【0021】
上ケース11は、長方形の底面の各辺から下方に延びる壁部を有し、下方が開放している。上ケース11には、下ケース12に嵌った状態で凸部14a,15aに対応する位置に、矩形の開口部13が設けられている。なお、開口部13の形状は矩形に限られない。
【0022】
図1(B)は、図1(A)における1つの凸部14aを含む部分を長方形の長辺方向の切断線で切断した縦断面を示す断面図である。但し、図1(B)には、断面の一部のみが示されている。図1(B)に示すように、下ケース12の内部には、例えば、バックライトユニット20と液晶表示パネル30とが収納される。図1(B)には、拡散シートやレンズシート等21、および緩衝用等のために下ケース12内に設置されている部材40も示されている。なお、部材40はなくてもよい。そして、下ケース12にそれらが収納された状態で、上ケース11が下ケース12に被せられる。よって、上ケース11と下ケース12とが嵌り合ったときに、下ケース12は上ケース11の内側に存在する。
【0023】
凸部14aは、縦断面において、下ケース12の開放側(上ケース11が被される側)の突出量が小さく、下ケース12の底面側の突出量が大きく、突出の程度が、開放側から底面側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、凸部14aは、開放側から底面側に向かう傾斜を有する。傾斜は、開放側を起点として外側に向かって徐々に広がるような傾斜である。そして、突出の頂点17から、縦断面において、上ケースの壁部の厚さよりも広い幅がある上ケース当接部18が設けられている。凸部15aの形状は、凸部14aの形状と同様である。よって、図1(B)には凸部14aのみが示されているが、以下、凸部15aも含めて説明を行う。
【0024】
図1(B)に示すように、上ケース11における開口部13の下部(下ケース12の底面に近い側)において、上ケース11の内側に向かう傾きが付けられている。傾きが付けられている部分を、傾き部16という。傾き部16は、上ケース11の壁部の先端(図1(B)において下側)から開口部13の下側までの間に位置する所定位置を起点として、そこから先(開口部13の下側に向かう部分)がケース内側に倒れ込むような傾斜を有する。そして、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、傾き部16の上面Tに、凸部14a,15aにおける上ケース当接部18の裏面が当接する。下ケース12において、凸部14a,15aの下側には、傾き部16を受け入れるために、下ケース12の内側に向かって、傾き部16の傾斜に沿って傾斜する内側傾き部19が設けられている。
【0025】
図1(B)に示すように、傾き部16の上面Tは、上ケース11における壁部の内面(図1(B)においてSで示される。)よりもケース内側で凸部14a,15aの下面(具体的には、上ケース当接部18の裏面)に当接する。
【0026】
図2は、上ケース11および下ケース12の寸法例を示す説明図である。図2に示す例では、上ケース11の壁部の厚さは0.3mmであり、下ケース12の壁部の厚さは0.3mmである。また、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態において、上ケース11と下ケース12との間隙は、0.1mmである。そして、縦断面における上ケース当接部18の幅は0.7mmである。また、図2に示す例では、傾き部16の最先端(図2において最右の位置)Pは、下ケース12の内面の位置Qに合っている。
【0027】
下ケース12にバックライトユニット20と液晶表示パネル30とを収納した後、上ケース11と下ケース12とを嵌め合うときに、下ケース12の上から上ケース11を下方に押し込む。上ケース11が下降してくるときに、上ケース11の先端が凸部14a,15aの傾斜に沿って広がりつつ下降するので、凸部14a,15aは上ケース11の下降を阻止しないことになる。そして、下ケース12における凸部14a,15aが、上ケース11における開口部13と嵌り合うようにして、上ケース11と下ケース12とが固定される。
【0028】
従って、上ケース11と下ケース12とを嵌め合わせて固定するときに、ねじ止め等の工数を要する作業を必要としない上に、凸部14a,15aに対して何等の処理も施す必要がなく、作業は簡便である。なお、上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、上ケース11の先端の広がりが元の状態(広がっていない状態)に回復する。そして、その状態では、凸部14a,15aが開口部13からややはみ出た状態になるとともに、上ケース11の傾き部16の上面が、凸部14a,15aの下面(上ケース当接部18の裏面)に当接した状態になる。
【0029】
図3は、比較例を示す断面図である。図3に示す比較例では、ケース110における上ケース11に傾き部16が設けられていない。上ケース11と下ケース12とが嵌り合った状態では、開口部13の下部Rに、凸部14a,15aの上ケース当接部18の裏面が当接する。
【0030】
図1(B)に示された本実施の形態のケース100と、図3に示されたケース110とを比較すると、ケース100では、下ケース12に凸部14a,15aが設けられている上に、ケース内側に向かって傾く傾き部16が上ケース11に設けられているので、図3に示されたケース110に比べて、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定される。例えば、下ケース12が図1(B)および図3における右側にずれたことを想定すると、図1(B)に示されたケース100に比べて、図3に示されたケース110の方が、下ケース12が上ケース11から外れやすくなる。換言すれば、図1(B)に示されたケース100の方が、上ケース11または下ケース12がずれたときに、外れるまでの余裕(マージン)が大きい。従って、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定されていることになる。
【0031】
実施の形態2.
図4(A)は、本発明によるケースの第2の実施の形態(実施の形態2)を示す断面図である。図4(B)は、凸部14aの周辺を示す斜視図である。図1(B)に示されたケース100おいて下ケース12には、下ケース12の内側に向かう内側傾き部19が設けられていたが、図4に示すケース101では、内側傾き部19に代えて、傾き部16を受け入れる開口部12Aが設けられている。図4に示す構造においても、傾き部16が上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0032】
図5は、本発明によるケースの他の例を示す断面図である。図1(B)に示されたケース100おいて上ケース11には傾き部16が設けられていたが、図5に示すケース102では、上ケース11における開口部13の下側(下ケース12の底面に近い側)がケース内側に略90°に折り曲げられた部分である平坦部16aが存在する。平坦部16aの幅は、上ケース11の壁部の厚さ(例えば、0.3mm)よりも大きい。図5に示す構造においても、平坦部16aが上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0033】
図6は、本発明によるケースのさらに他の例を示す断面図である。図6に示すケース103では、上ケース11における開口部13の下側(下ケース12の底面に近い側)に、上ケース11の壁部の厚さ(例えば、0.3mm)よりも幅が広い幅広部16bが設けられている。図6に示す構造においても、幅広部16bが上ケース当接部18に当接するので、第1の実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0034】
以上に説明したように、本発明では、下ケース12に、下ケース12の外側に向かって突出している凸部14a,15aが設けられ、上ケース11における凸部14a,15aに対応する位置に開口部13が設けられ、さらに、開口部13の下部において、凸部14a,15aの下面に当接する部分が設けられ、当接する部分は、上ケース11における壁部の内面よりもケース内側で凸部14a,15aの下面に当接する箇所を含むように形成されているので、上ケース11と下ケース12とがより強固に固定される。
【0035】
例えば、第1の実施の形態において、凸部14a,15aの下面に当接する部分は傾き部16であり、上ケース11における壁部の内面よりもケース内側で凸部14a,15aの下面に当接する箇所は、傾き部16の上面である。また、図1(B)に示された例では、傾き部16の上面Tの全面が、Sで示される上ケース11における壁部の内面よりもケース内側に位置しているが、一部が上ケース11における壁部の内面よりもケース内側に位置する(例えば、図1(B)に示されたSから延びる破線が傾き部16の上面Tに掛かるように傾き部16の傾斜の程度を小さくする)ようにしてもよい。
【0036】
なお、上記の各実施の形態では、表示パネルとして液晶表示パネル30を例にしたが、有機ELパネル等の他の表示パネルを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ナビゲーション装置などの機器に組み込まれる表示装置であって、タッチパネルが備えられた表示パネルを収納する用途に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)は本発明によるケースの第1の実施の形態を示す斜視図、(B)は凸部を含む部分のケースの縦断面を示す断面図。
【図2】上ケースおよび下ケースの寸法例を示す説明図。
【図3】比較例を示す断面図。
【図4】(A)は本発明によるケースの第2の実施の形態を示す断面図、(B)は凸部の周辺を示す斜視図。
【図5】本発明によるケースの他の例を示す断面図。
【図6】本発明によるケースのさらに他の例を示す断面図。
【図7】従来のケースを示す斜視図。
【図8】(A)は図7におけるA部分を拡大して示す断面図、(B)は図7におけるB部分を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
【0039】
11 上ケース
12 下ケース
12A 開口部
13 開口部
14a,15a 凸部
16 傾き部
18 上ケース当接部
19 内側傾き部
20 バックライトユニット
30 液晶表示パネル
100,101,102,103 ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を構成する部品を収容する表示装置収納ケースであり、底面から延びる壁部を有する第1ケースが、底面から延びる壁部を有する第2ケースに被さることによって第1ケースと第2ケースとが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、
前記第2ケースの壁部に、該壁部からケース外側に突出する凸部が設けられ、
前記第1ケースの壁部における前記凸部に対応する位置に開口部が設けられ、
前記凸部は、前記第2ケースの底面側の突出量が大きくなる傾斜を有するように形成され、
前記第1ケースにおける前記開口部の下部に、前記凸部下面に当接する部分が設けられ、当接する部分は、前記第1ケースにおける壁部の内面よりもケース内側に突出して前記凸部の下面に当接する領域を含む
ことを特徴とする表示装置収納ケース。
【請求項2】
第1ケースにおける開口部の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部が設けられている
請求項1記載の表示装置収納ケース。
【請求項3】
傾き部に対応する第2ケースにおける位置に開口部が設けられている
請求項2記載の表示装置収納ケース。
【請求項1】
表示装置を構成する部品を収容する表示装置収納ケースであり、底面から延びる壁部を有する第1ケースが、底面から延びる壁部を有する第2ケースに被さることによって第1ケースと第2ケースとが嵌り合う構造の表示装置収納ケースにおいて、
前記第2ケースの壁部に、該壁部からケース外側に突出する凸部が設けられ、
前記第1ケースの壁部における前記凸部に対応する位置に開口部が設けられ、
前記凸部は、前記第2ケースの底面側の突出量が大きくなる傾斜を有するように形成され、
前記第1ケースにおける前記開口部の下部に、前記凸部下面に当接する部分が設けられ、当接する部分は、前記第1ケースにおける壁部の内面よりもケース内側に突出して前記凸部の下面に当接する領域を含む
ことを特徴とする表示装置収納ケース。
【請求項2】
第1ケースにおける開口部の下部に、ケース内側に倒れ込むような傾斜を有する傾き部が設けられている
請求項1記載の表示装置収納ケース。
【請求項3】
傾き部に対応する第2ケースにおける位置に開口部が設けられている
請求項2記載の表示装置収納ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−209702(P2008−209702A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46682(P2007−46682)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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