説明

表示装置用マルチチャンネルドライバ及びそのガンマ補正方法

【課題】 特に表示装置のドライバの実際のレイアウト面積を有効に縮小し、製造コストを低減する表示装置用マルチチャンネルドライバ及びそのガンマ補正方法を提供する。
【解決手段】 本発明の表示装置用マルチチャンネルドライバ及びそのガンマ補正方法は、先ずmビットにより模擬されたガンマ曲線のmビットカウント信号(m_Bits DI)をnビットカウント信号(n_Bits DI)に変換した後、該nビットカウント信号(n_Bits DI)を他方のnビット入力信号(DI[n:1])と共にPWM駆動部材(21)に入力し、比較した後、PWM駆動信号として特定のデータチャンネル(11)に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に表示装置のドライバの実際のレイアウト面積を有効に縮小する表示装置用マルチチャンネルドライバ及びそのガンマ補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現有のデジタル式表示装置は、その殆どがマルチチャンネルドライバを採用しており、その一つがガンマ補正方法或いは装置である。また、前記現有の表示装置はその種類によってチャンネル数が異なるため、それに応じてレイアウト面積のサイズも変わってくる。
【0003】
次に、従来のデータチャンネルドライバについて説明する。
図5に示すように、従来のデータチャンネルドライバ(60)は、それぞれ二つのmビット入力端及びPWM(Pulse Width Modulation)出力端を有し、その内の二つのmビット入力端がそれぞれmビットレジスタ(D[m])と接続される、複数のmビットデジタル比較器(61)と、前記各mビットデジタル比較器(61)における一方の入力端のmビットレジスタ(D[m])と接続されるmビットカウンタ(62)と、mビットとnビットとの関係を示すデータを有し、出力端がそれぞれ各mビットデジタル比較器(61)における他方の入力端のmビットレジスタ(D[m])と接続されるルックアップテーブル(63)と、を備える構成である。
また、前記データチャンネルドライバ(60)にはnビット入力信号が入力され、ルックアップテーブル(63)により該nビット入力信号がmビット信号に変換された後、mビットレジスタ(D[m])を介して各mビットカウンタ(62)の入力端に送られる。
【0004】
更に、前記データチャンネルドライバ(60)に用いられるmビットデジタル比較器(61)の主な機能としては、カウンタの出力信号とドライバの入力信号とを比較して、駆動信号を表示装置(50)のデータチャンネル(51)に送信することであるが、通常、カウンタ信号のmビット数は入力信号のnビット数より大きいことから、該mビットデジタル比較器(61)には、ハイビット数のmビットデジタル比較器が採用される。そうすることにより、前記nビット入力信号を、先ずルックアップテーブル(63)によってmビット入力信号に変換した後、デジタル比較器(61)に送信してmビットカウンタ(62)からのmビット入力信号と比較し、駆動信号を出力している。また、前記データチャンネルドライバ(60)に用いられるデジタル比較器(61)の数量は通常、表示装置のデータチャンネルの数量と対応していると共に、mビットデジタル比較器(61)の二つの入力端はそれぞれmビットレジスタ(D[m])と接続され、これにより、入力信号を一時的に保存している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、若し前記のようなデータチャンネルドライバ(60)を表示装置のデータチャンネルドライバ(51)に用いると、デジタル比較器(61)とmビットレジスタ(D[m])の使用量が倍増してしまうと共に、現在では、表示装置に対する高解析度及び高画素の要求が益々高くなりつつあることから、表示装置には多くの制御回路が用いられているが、その制御回路の増加に伴って駆動部材の数量も自然に増加してしまうので、ドライバの回路におけるレイアウトの複雑化や製造コストの増大などの問題が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、mビットカウント信号を出力するmビットカウンタと、前記mビットカウンタに接続され、ガンマ曲線に対応するmビットカウント信号からnビットカウント信号を得て出力するガンマ補正ユニットと、それぞれ二つの入力端及び一つの出力端を有し、一方の入力端はnビットレジスタを介してガンマ補正ユニットの出力端と接続され、nビットカウント信号を受信すると共に、他方の入力端はnビットレジスタを介してnビット入力信号を受信し、それらnビットカウント信号とnビット入力信号を比較した後、PWM駆動信号として表示装置におけるデータチャンネルに出力する、複数のPWM駆動部材と、を有し、前記mとnとの関係は、m>nであることを特徴とする表示装置用マルチチャンネルドライバ、及び、入力信号が位置するガンマ曲線の範囲を決定する一つのmビット入力信号の、nビットに対応する電圧範囲に対する、複数の異なる傾き及び長さのセグメントから成る近似のガンマ曲線により、mビット入力信号が位置する前記セグメントの何れかを判断して、前記セグメントに対応する電圧範囲の最小電圧値を出力するステップと、mビット信号から前記セグメントに対応するmビット入力信号の最小値(Xa-1)を減算すると共に、該セグメントの傾きで除算することにより、mビット入力信号と対応するnビットで表示される電圧値を求めるステップと、前記ステップにより求められた電圧値を前記電圧範囲の最小電圧値に加算し、mビット入力信号と対応する実際の電圧値を求めるステップと、を有することを特徴とする表示装置用マルチチャンネルドライバのガンマ補正方法、を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ガンマ信号の補正により、ハイビット数のmビット入力信号をロービット数のnビット信号に変換させることから(この時、m>nの関係を有する)、ドライバをマルチデータチャンネルの表示装置に用いる時、ロービット用のデジタル駆動部材を採用できるので、表示装置における全てのドライバのレイアウト面積を縮小させることができる。
【0008】
また、前記ガンマ補正方法は、表示装置のマルチデータチャンネルドライバ上に用いられ、該ドライバは、ガンマ曲線を模擬するガンマ補正ユニット及び複数のPWM駆動部材を有し、その内、ガンマ補正ユニットは、カウンタから出力されるハイビットのmビットカウンタ信号をローレベルのnビットカウンタ信号に変換し、その後、該nビットカウンタ信号はPWM駆動部材の入力端に入力され、該PWM駆動部材により入力信号とカウンタ信号とを比較しPWM駆動信号とした後、特定のデータチャンネルに出力する。
【0009】
上述したように、本発明では、前記PWM駆動部材における二つの入力信号は皆、nビットであることから、ドライバにおいてロービット数であるnビット用のPWM駆動部材を採用できるので、前記に示したような従来の課題、例えば、ドライバの回路におけるレイアウトの複雑化や製造コストの増大などの課題を解決することができる。
【0010】
更に、本発明の技術をデジタル表示装置に用いれば、ドライバにおいてロービットの駆動部材を採用できることから、如何なるマルチデータチャンネルの表示装置にも適用できるので、実用性がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係るドライバをマルチデータチャンネルの表示装置に用いた場合の回路ブロック図であり、図2、本発明に係るガンマ補正ユニットの作業の流れを示すフローチャートであり、図3は、本発明に係るmビット信号と特定の電圧範囲との関係を示す対応表であり、図4は、本発明に係る図3の部分曲線図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の表示装置用マルチチャンネルドライバは、表示装置(10)及びドライバ(20)を備え、該表示装置(10)のデータチャンネル(11)はそれぞれ、対応するドライバ(20)の出力端と接続される。
また、該ドライバ(20)は、mビットカウント信号(m_Bits DI)を出力するためのmビットカウンタ(22)と、前記mビットカウンタ(22)の出力端に接続され、ガンマ曲線を用いてmビットカウント信号(m_Bits DI)をガンマ曲線の特定範囲に対応させ、該ガンマ曲線の特定範囲に対応するnビットカウント信号(n_Bits DI)を出力するガンマ補正ユニット(23)と、それぞれ二つの入力端及び一つの出力端を有し、一方の入力端はnビットレジスタ(D[n])を介してガンマ補正ユニット(23)の出力端と接続されることにより、nビット入力信号(DI[n:1])を受信すると共に、他方の入力端はnビットレジスタ(D[n])を介してnビット入力信号(DI[n:1])を受信し、それら二つのnビット入力信号(DI[n:1])を比較した後、PWM駆動信号として表示装置(10)におけるデータチャンネル(11)に出力する、複数のPWM駆動部材(21)と、を有する。尚、本実施例においては、前記PWM駆動部材(21)はnビット用のデジタル比較器を採用している。
【0014】
更に、前記mビットカウンタ(22)から出力されるmビットカウント信号(m_Bits DI)のビット数は、nビット入力信号(DI[n:1])のビット数より大きく(即ち、m>nの関係である)、前記ガンマ補正ユニット(23)は、mビットをnビットに変換するためのガンマ模擬曲線を提供するものであり、mビットカウンタ(22)から出力されたmビットカウント信号(m_Bits DI)は、ガンマ補正ユニット(23)によりnビットカウント信号(n_Bits DI)に変換されて、nビット入力信号と共にPWM駆動部材(21)に入力され、比較された後、PWM駆動信号として、対応するデータチャンネル(11)に出力される。
【0015】
図2乃至図4に示すように、前記ガンマ補正ユニット(23)の補正方法の流れとしては、入力信号が位置するガンマ曲線の範囲を決定すると共に、一つのmビット入力信号の、nビットに対応する電圧範囲(Vmin~Vmax)に対する、複数の異なる傾き及び長さのセグメント(L1,L2,L3)から成る近似のガンマ曲線(C1')により、mビット入力信号が位置するセグメント(L1,L2)の何れかを判断し、そのセグメントに対応する電圧範囲(Vmin~Vmax)の最小電圧値(nビットで表される偏移値)を出力するステップ(231)と、mビット信号から前記セグメントに位置するmビット入力信号の最小値(Xa-1)を減算すると共に、該セグメントの傾きで除算することにより、mビット入力信号と対応するnビットで表示される電圧値(G')を求めるステップ(232)と(前記演算式は、
【0016】
【数1】

【0017】
である)、前記ステップにより求められた電圧値(G')を、ステップ(231)により出力される偏移値に加算し、mビット入力信号と対応する実際の電圧値を求めるステップ(233)と、を順次に行うものである。
【0018】
上述したように、前記ガンマ補正ユニット(23)には、近似のガンマ曲線(C1')が記憶されており、該近似のガンマ曲線(C1')のセグメント数は、使用者が模擬したガンマ曲線(C1)の精密度が高いほど多くなる。更に、近似のガンマ曲線(C1')と対応する電圧範囲は、nビットの数値により表わされるので、mビットカウンタ(22)にmビットカウント信号(m_Bits DI)が入力されると、直ちにそれと対応するnビット信号(n_Bits DI)を算出することができる。
【0019】
図4に示すように、前記ガンマ補正ユニットは、除算器から構成され、該除算器の演算式は、
【0020】
【数2】

【0021】
であり、その中の、G'は、mビット信号から変換されたnビット信号であり、CNTは、mビット信号であり、Xaは、セグメントの最大値であり、Xa-1は、セグメントの最小値であり、a+1は、セグメントの数量である。
【0022】
また、本発明の表示装置用マルチチャンネルドライバのガンマ補正方法には、ルックアップテーブルを更に有してもよく、該ルックアップテーブルには、mビットとnビットとの関係を示すデータが記憶され、そのデータに基づいてmビット入力信号をnビット電圧信号に変換してもよい。
【0023】
上記説明したように、この構成によれば、ガンマ補正ユニット(23)によりハイビットカウント信号は、対応するロービットカウント信号に変換されると共に、該ロービットカウント信号はドライバ(20)に入力されたロービット入力信号と共にPWM駆動部材(21)の二つの入力端にそれぞれに入力されることから、ドライバ(20)には、ロービット用のデジタル比較器及びレジスタを採用すればよく、更に、各データチャンネル(11)はそれぞれ一つのデジタル比較器と接続されるので、ドライバ(20)における回路のレイアウト面積を縮小できると共に、ドライバ(20)全体の製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るドライバをマルチデータチャンネルの表示装置に用いた場合の回路ブロック図である。
【図2】本発明に係るガンマ補正ユニットの作業の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係るmビット信号と特定の電圧範囲との関係を示す対応表である。
【図4】本発明に係る図3の部分曲線図である。
【図5】従来のドライバをマルチデータチャンネルの表示装置に用いた場合の回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
10 表示装置
11 データチャンネル
20 ドライバ
21 PWM駆動部材
22 mビットカウンタ
23 ガンマ補正ユニット
C1 ガンマ曲線
C1' 近似のガンマ曲線
L1,L2,L3 セグメント
DI[n:1] nビット入力信号
D[n] nビットレジスタ
D[m] mビットレジスタ
n_Bits DI nビットカウント信号
m_Bits DI mビットカウント信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
mビットカウント信号を出力するmビットカウンタと、
前記mビットカウンタに接続され、ガンマ曲線に対応するmビットカウント信号からnビットカウント信号を得て出力するガンマ補正ユニットと、
それぞれ二つの入力端及び一つの出力端を有し、一方の入力端はnビットレジスタを介してガンマ補正ユニットの出力端と接続され、nビットカウント信号を受信すると共に、他方の入力端はnビットレジスタを介してnビット入力信号を受信し、それらnビットカウント信号とnビット入力信号を比較した後、PWM駆動信号として表示装置におけるデータチャンネルに出力する、複数のPWM駆動部材と、を有し、
前記mとnとの関係は、m>nであることを特徴とする表示装置用マルチチャンネルドライバ。
【請求項2】
前記PWM駆動部材は、nビット用デジタル比較器であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用マルチチャンネルドライバ。
【請求項3】
前記ガンマ補正ユニットは、除算器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置用マルチチャンネルドライバ。
【請求項4】
前記ガンマ補正ユニットは、ルックアップテーブルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置用マルチチャンネルドライバ。
【請求項5】
入力信号が位置するガンマ曲線の範囲を決定する一つのmビット入力信号の、nビットに対応する電圧範囲に対する、複数の異なる傾き及び長さのセグメントから成る近似のガンマ曲線により、mビット入力信号が位置する前記セグメントの何れかを判断して、前記セグメントに対応する電圧範囲の最小電圧値を出力するステップと、
mビット信号から前記セグメントに対応するmビット入力信号の最小値(Xa-1)を減算すると共に、該セグメントの傾きで除算することにより、mビット入力信号と対応するnビットで表示される電圧値を求めるステップと、
前記ステップにより求められた電圧値を前記電圧範囲の最小電圧値に加算し、mビット入力信号と対応する実際の電圧値を求めるステップと、を有することを特徴とする表示装置用マルチチャンネルドライバのガンマ補正方法。
【請求項6】
前記ガンマ補正ユニットは、除算器から構成され、該除算器の演算式は、
【数1】

G'は、mビット信号から変換されたnビット信号であり、
CNTは、mビット信号であり、
aは、セグメントの最大値であり、
a-1は、セグメントの最小値であり、
a+1は、セグメントの数量であることを特徴とする請求項5に記載の表示装置用マルチチャンネルドライバのガンマ補正方法。
【請求項7】
ルックアップテーブルを更に有し、該ルックアップテーブルにはmビットとnビットとの関係を示すデータが記憶され、そのデータに基づいてmビット入力信号をnビット電圧信号に変換することを特徴とする請求項5に記載の表示装置用マルチチャンネルドライバのガンマ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−201609(P2006−201609A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14605(P2005−14605)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(504427835)點晶科技股▲ふん▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】