表示装置
【課題】フレームの明暗に係わらずコントラストの良好な表示を実現することを目的とする。
【解決手段】1フレーム分のサブフィールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフィールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置100において、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段91と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段92と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段81とを設ける。
【解決手段】1フレーム分のサブフィールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフィールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置100において、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段91と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段92と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段81とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレーム内変調によって中間調を再現する表示装置に関し、AC型のPDP(Plasma Display Panel:プラズマディスプレイパネル)による表示に好適である。
【0002】PDPは、基板対を支持体とする薄型の自己発光表示デバイスであり、カラー画面の実用化を機にテレビジョン映像やコンピュータのモニターなどの用途で広く用いられるようになってきた。PDPの課題の1つに背景輝度の低減がある。
【0003】
【従来の技術】AC型PDPは、壁電荷を利用して点灯状態を維持するいわゆるメモリ機能を持たせるために主電極を誘電体で被覆した構造をとる。表示に際しては、点灯(発光)すべきセルのみが帯電した状態を形成するライン順次のアドレッシングを行い、その後に全てのセルに対して一斉に交番極性の点灯維持電圧Vsを印加する。点灯維持電圧Vsは(1)式を満たす。
【0004】Vf−Vwall<Vs<Vf …(1)
Vf :放電開始電圧Vwall:壁電圧壁電荷の存在するセルでは、壁電圧Vwallが点灯維持電圧Vsに重畳するので、セルに加わる実効電圧(セル電圧ともいう)Veff が放電開始電圧Vfを越えて放電が生じる。点灯維持電圧Vsの印加周期を短くすれば、見かけの上で連続的な点灯状態が得られる。表示の輝度は単位時間あたりの放電回数に依存する。したがって、中間調は、セル毎に1フレームの放電回数を階調レベルに応じて適切に設定することによって再現される。カラー表示は階調表示の一種であって、表示色は3原色の輝度の組合せによって決まる。
【0005】PDPの階調表示方法としては、1フレームを輝度(すなわち放電回数)の重み付けをした複数のサブフィールドで構成し、サブフィールド単位の点灯の有無の組合せによって1フレームの総放電回数を設定するフレーム内変調法が広く知られている(特開平4−195188号)。一般には、各サブフィールドに対して重みが2n (n=0,1,2,3…)で表されるいわゆる“バイナリーの重み付け”を行う。例えばサブフィールド数が8であれば、階調レベルが「0」〜「255」の256階調の表示が可能である。
【0006】バイナリーの重み付けは重みに冗長性がなく多階調化に適している。しかし、階調幅(階調の1段分の輝度差)を階調範囲の全域にわたって均等とするには、サブフィールド毎にアドレッシングを行わなければならない。また、サブフィールド毎にアドレッシングに先立って画面全体の帯電状態を均等化するリセット処理(アドレッシング準備処理)を行う必要がある。リセット処理を省略すると、壁電荷の残留するセル(前回点灯セル)と他のセル(前回非点灯セル)とで放電条件が異なることになり、確実にアドレッシングを行うことが困難になる。リセット処理及びアドレッシングは放電を伴うので、コントラスト及び消費電力の観点からすればこれらの回数がより少ないのが望ましい。特に表示画素数の多いHDTVなどの用途のPDPではアドレッシング用の回路部品の負担が大きいので、発熱対策の上からもアドレッシング回数の低減が切望される。
【0007】そこで、従来において、所定数のサブフィールドを複数個のサブフィールド群に区分し、各サブフィールド群に属するサブフィールドの重みを等しくし、サブフィールド群毎に1回ずつリセット処理を行う駆動方法が提案されている(特許第2639311号)。この駆動方法によれば、リセット処理の回数及びアドレッシングの回数がともにサブフィールド数からサブフィールド群数に減少するので、コントラスト及び消費電力の改善を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の表示装置では、サブフィールド群の数が一定であった。このため、全体的に暗いフレームを表示するときに、画面の大半を占める背景部分がリセット処理及びアドレッシングのための放電によってうっすらと光って浮き上がって見えてしまうという問題があった。比較的に明るいフレームの場合には背景部分が多少明るくてもそれよりも明るい部分が多くあるので目立たない。
【0009】本発明は、フレームの明暗に係わらずコントラストの良好な表示を実現することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明においては、輝度を表す画素値のヒストグラム(輝度分布)を算出してフレームを判別し、判別の結果に応じて階調表示に係わるフレーム構成を切り換える。例えば、低輝度の画素に偏った分布であれば、サブフィールド群数の少ないフレーム構成を適用し、階調数よりも背景輝度の低減を優先させる。最低輝度から最大輝度まで拡がる分布であれば、サブフィールド群数の最も多いフレーム構成を適用して階調再現性を高める。
【0011】請求項1の発明の装置は、1フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1フレーム分の前記サブフイールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフィールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えている。
【0012】請求項2の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布をその特徴量と設定閾値との比較によって判別する。請求項3の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する。
【0013】請求項4の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する。
【0014】請求項5の発明の表示装置において、前記分布演算手段は、1フレーム単位で輝度分布を算出する。請求項6の発明の表示装置において、前記分布演算手段は、複数フレーム単位で輝度分布を算出する。
【0015】請求項7の発明の表示装置においては、入力信号がインタレース信号である場合に、前記分布演算手段で算出される1以上のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される。
【0016】請求項8の発明の表示装置は、時系列に並ぶフレームのうちの注目フレームとそれに隣接した少なくとも一方のフレームとが類似するか否かを判定する類似判定手段と、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む連続した複数のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、前記注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似しないときには、当該注目フレームの輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用し、当該注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似するときには、連続した複数のフレームの輝度分布の判別の結果に応じて、複数の前記フレーム構成のうちの1つを選択して当該注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えている。
【0017】請求項9の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、その特徴量と設定閾値との比較によって判別する。
【0018】請求項10の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する。
【0019】請求項11の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する。
【0020】請求項12の発明の表示装置において、フレームは表示色の異なる3個のプレーンからなるカラー画像であり、前記分布演算手段は、プレーン毎に輝度分布を算出し、前記制御手段は、輝度分布範囲の最も広いプレーンの輝度分布の判別の結果に応じて、前記フレーム構成の選択を行う。
【0021】請求項13の発明の表示装置において、前記特徴量は、画素を輝度の昇順に並べたときの設定番目の画素の輝度である。請求項14の発明の表示装置において、前記設定閾値は、前記各フレーム構成で再現可能な輝度の最大値又はそれに近い値である。
【0022】請求項15の発明の表示装置においては、入力信号がインタレース信号である場合に、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む複数のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るプラズマ表示装置100の構成図である。プラズマ表示装置100は、マトリクス形式のカラー表示デバイスであるAC型のPDP1と、画面(スクリーン)を構成する多数のセルCを選択的に点灯させるための駆動ユニット80とから構成されており、壁掛け式テレビジョン受像機、コンピュータシステムのモニターなどとして利用される。
【0024】PDP1は、対をなす第1及び第2の主電極X,Yが平行配置され、各セルCにおいて主電極X,Yと第3の電極としてのアドレス電極Aとが交差配置された3電極面放電構造のPDPである。主電極X,Yは画面の行方向(水平方向)に延び、一方の主電極Yはアドレッシングに際して行単位にセルを選択するためのスキャン電極として用いられる。アドレス電極Aは列方向(垂直方向)に延びており、列単位にセルを選択するためのデータ電極として用いられる。主電極群とアドレス電極群とが交差する領域が画面となる。
【0025】駆動ユニット80は、コントローラ81、フレームメモリ82、データ処理回路83、サブフィールドメモリ84、電源回路85、Xドライバ86、Yドライバ87、及びアドレスドライバ88の基本構成要素に加えて、本発明に特有の3つの構成要素(輝度分布算出回路91、輝度分布判別回路92、及び類似判定回路93)を有している。駆動ユニット80にはTVチューナ・コンピュータなどの外部装置からR,G,Bの各色の輝度レベル(階調レベル)を示す画素単位のフレームデータDFが各種の同期信号とともに入力される。
【0026】フレームデータDFは、フレームメモリ82に一旦格納された後、データ処理回路83へ送られる。データ処理回路83は、点灯させるサブフィールドの組合せを設定するデータ変換手段であり、フレームデータDFの示す階調レベルに応じたサブフィールドデータDSFを出力する。サブフィールドデータDSFはサブフィールドメモリ84に格納される。サブフィールドデータDSFの各ビットの値は、サブフィールドにおけるセルの点灯の要否、厳密にはアドレス放電の要否を示す情報である。
【0027】Xドライバ回路86は主電極Xに駆動電圧を印加し、Yドライバ回路87は主電極Yに駆動電圧を印加する。アドレスドライバ88は、サブフィールドデータDSFに応じてアドレス電極Aに駆動電圧を印加する。これらドライバ回路には電源回路85から所定の電力が供給される。
【0028】また、フレームデータDFは、フレームメモリ82への格納と並行して、輝度分布算出回路91及び類似判定回路93に入力される。輝度分布算出回路91は、R,G,Bの各プレーン毎に各輝度レベルの画素を数えるヒストグラマであり、各プレーンの輝度分布データ(輝度ヒストグラム)D91r,D91g,D91bを輝度分布判別回路92へ出力する。輝度分布は、注目する単一のフレームのみについて算出されるとともに、注目フレームを含む複数個分(例えば5個分)のフレームについても算出される。類似判定回路93は、j(任意の整数)番目のフレーム(注目フレーム)がその1つ前の(j−1)番目のフレームと類似するか否かを判定する。判定の結果を示す判定データD93は輝度分布判別回路92に入力される。輝度分布判別回路92は後述の要領でフレーム毎に輝度分布を判別し、その結果を示す判別データD92をコントローラ81へ出力する。コントローラ81は、データ処理回路83に対して、予め記憶している複数種(本例では3種)のフレーム構成の中から判別データD92の値に応じた1つのフレーム構成の適用を指示する切換え信号Ssfを与える。切換え信号Ssfに従ってフレームデータDFからサブフィールドデータDSFへの変換が行われる。
【0029】図2は本発明に係るPDP1の内部構造を示す分解斜視図である。PDP1は一対の基板構体10,20からなる。PDP1において、主電極X,Yは前面側の基板構体10の基材であるガラス基板11の内面に、行毎に一対ずつ配列されている。行は水平方向のセル列である。主電極X,Yは、それぞれが透明導電膜41と金属膜(バス導体)42とからなり、厚さ30μm程度の誘電体層17で被覆されている。誘電体層17の表面にはマグネシア(MgO)からなる厚さ数千オングストロームの保護膜18が設けられている。アドレス電極Aは、背面側の基板構体20の基材であるガラス基板21の内面に配列されており、誘電体層24によって被覆されている。誘電体層24の上には、高さ150μmの平面視直線帯状の隔壁29が各アドレス電極Aの間に1つずつ設けられている。これらの隔壁29によって放電空間30が行方向にサブピクセル(単位発光領域)毎に区画され、且つ放電空間30の間隙寸法が規定されている。そして、アドレス電極Aの上方及び隔壁29の側面を含めて背面側の内面を被覆するように、カラー表示のためのR,G,Bの3色の蛍光体層28R,28G,28Bが設けられている。放電空間30には主成分のネオンにキセノンを混合した放電ガスが充填されており、蛍光体層28R,28G,28Bは放電時にキセノンが放つ紫外線によって局部的に励起されて発光する。表示の1ピクセル(画素)は行方向に並ぶ3個のサブピクセルで構成される。各サブピクセル内の構造体がセル(表示素子)Cである。隔壁29の配置パターンがストライプパターンであることから、放電空間30のうちの各列に対応した部分は全ての行Lに跨がって列方向に連続している。
【0030】以下、プラズマ表示装置1におけるPDP1の駆動方法を説明する。図3は第1のフレーム構成を示す図である。2値の点灯制御によって階調再現を行うために入力画像である時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7,SF8,SF9,SF10,SF11,SF12,SF13,SF14,SF15,SF16に分割する。言い換えれば、フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16の集合に置き換えて表示する。各サブフィールドSF1〜SF16には、アドレッシング期間TAとサステイン期間(表示期間)TSとを割り当てる。そして、アドレッシングの回数を低減するためにサブフィールドSF1〜SF16を複数(例示では3)のサブフィールド群SFG1,SFG2,SFG3に区分する。表示順序の先頭から第5番目までの5個のサブフィールドSF1〜SF5の集合を第1のサブフィールド群SFG1とし、第6番目から第10番目までの5個のサブフィールドSF6〜SF10の集合を第2のサブフィールド群SFG2とし、残りの第11番目から第16番目までの6個のサブフィールドSF11〜SF16の集合を第3のサブフィールド群SFG3とする。各サブフィールド群SFG1〜SFG3には、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。本実施形態においては、第1のサブフィールド群SFG1に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを最小の「1」とし、第2のサブフィールド群SFG2に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「6」とし、第3のサブフィールド群SFG3に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「36」とする。ここで、第2及び第3のサブフィールド群SFG2,SFG3における各サブフィールドの重みは最小の重み(「1」)の整数倍であり且つそれより小さい重みの総和に1を加えた値である。すなわち、6=1×5+1であり、36=1×5+6×5+1である。このような重み付けのフレーム構成によれば、サブフィールドの点灯の有無を組み合わせることによって、階調レベル「0」〜「251」の階調幅の均等な252階調の表示を実現することができる。したがって、この第1フレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は2523である。
【0031】なお、各サブフィールド群SFG1〜SFG3において、必ずしも全ての重みを同一にする必要はなく、適宜に選定することができる。例えば、第3のサブフィールド群SFG3の1個のサブフィールドSF13の重みを「35」とし、重み「36」の輝度を得る場合に、重み「35」のサブフィールドSF13と重み「1」の1個のサブフィールドSF1とを点灯させるようにしてもよい。また、重みの順に表示する必要もない。例えば、重みの大きいサブフィールドをフレーム期間の中間に配置するといった最適化を行うことができる。動画像表示における偽輪郭を防止する上では、点灯又は非点灯の極端な連続を避けるのが望ましい。ただし、各サブフィールド群SFG1〜SFG3に属するサブフィールドは連続的に表示され、ある群のサブフィールドどうしの間に他の群のサブフィールドが挿入されることはない。
【0032】アドレッシング準備期間TRは各サブフィールド群SFG1〜SFG3の最前に設けられており、消去アドレス駆動の場合は、このアドレッシング準備期間TRにおいて、後述の駆動シーケンスによって全てのセルに点灯維持に必要な壁電荷を帯電させる電荷形成処理が行われる。したがって、電荷形成処理を行った状態のまま点灯維持電圧を印加すると、全てのセルが点灯する。各サブフィールドのアドレッシング期間TAでは、点灯不要のセルのみについて壁電荷を消去する消去アドレッシングが行われる。壁電荷の消去されたセルは、再び電荷形成処理が行われるまで、点灯維持電圧を印加しても点灯しない。サステイン期間TSでは全てのセルに対して同時に交番極性の点灯維持電圧が印加され、壁電荷の残存するセルの点灯状態が維持される。各サブフィールド群SFG1〜SFG3において、n(5又は6)個のサブフィールドのうちのm(0≦m<n)個のサブフィールドを点灯させる階調レベルのセルについては、(m+1)番目のアドレッシング期間TAで壁電荷が消去される。n個のサブフィールドを点灯させる階調レベルのセルについては壁電荷の消去は行われない。
【0033】例えば階調レベル「3」を再現するには、重みが1である3個のサブフィールドSF1〜SF3のサステイン期間TSにおいてセルを点灯させればよい。この場合、第1のサブフィールド群SFG1のアドレッシング準備期間TRにおいて画面全体に電荷が形成され、第4番目のサブフィールドSF4のアドレッシング期間TAにおいて該当セルに対して電荷消去が行われる。また、階調レベル「2」を再現する場合には、第3番目のサブフィールドSF3のアドレッシング期間TAにおいて電荷消去が行われ、第3〜第5番目のサブフィールドSF3〜SF5のサステイン期間TSにおいて該当セルは非点灯である。
【0034】このように各サブフィールド群SFG1〜SFG3毎に再現すべき階調レベルに応じて電荷消去を行う時期を変更することにより、画面全体の電荷形成処理の回数をサブフィールド群数に減らすことができ、アドレッシング回数をサブフィールド群数以下に減らすことができる。消去形式のアドレッシングであるので、再現すべき階調レベルが最大の「251」のときにはアドレッシングは不要である。
【0035】図4は第2のフレーム構成を示す図である。上述のフレーム構成と同様に時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16に分割し、各サブフィールドSF1〜SF16にはアドレッシング期間TAとサステイン期間TSとを割り当てる。第2のフレーム構成においては、サブフィールドSF1〜SF16を2個のサブフィールド群SFG1b,SFG2bに区分する。表示順序の先頭から第8番目までの8個のサブフィールドSF1〜SF8の集合を第1のサブフィールド群SFG1bとし、第9番目から第16番目までの8個のサブフィールドSF9〜SF16の集合を第2のサブフィールド群SFG2bとする。各サブフィールド群SFG1b,SFG2bには、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。第1のサブフィールド群SFG1bに属する全てのサブフィールドの輝度の重みを最小の「1」とし、第2のサブフィールド群SFG2bに属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「9」とする。このような重み付けによれば、階調レベル「0」〜「80」の階調幅の均等な81階調の表示を実現することができる。
【0036】この第2のフレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は813 であるが、サブフィールド群数が2であるので、背景輝度を第1のフレーム構成による表示の67%程度に低減することができる。
【0037】図5は第3のフレーム構成を示す図である。上述の第1及び第2のフレーム構成と同様に時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16に分割し、各サブフィールドSF1〜SF16にはアドレッシング期間TAとサステイン期間TSとを割り当てる。第3のフレーム構成においては、全てのサブフィールドSF1〜SF16を1個のサブフィールド群SFG1cにまとめる。サブフィールド群SFG1cには、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。全てのサブフィールドSF1〜SF16の輝度の重みを最小の「1」とする。このような重み付けによれば、階調レベル「0」〜「16」の階調幅の均等な17階調の表示を実現することができる。
【0038】この第3のフレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は173 であるが、サブフィールド群数が1であるので、背景輝度を第1のフレーム構成による表示の33%程度に低減することができる。
【0039】図6は駆動シーケンスの一例を示す電圧波形図である。ここでは代表として第1のフレーム構成を図示してあるが、各期間TR,TA,TSの駆動波形は第2及び第3のフレーム構成においても同様である。ただし、サステイン期間TSのパルス数は輝度の重みにほぼ比例する。
【0040】アドレッシング準備期間TRにおいては、主電極Xに正極性の電圧パルスPrを印加する第1過程と、主電極Xに正極性の電圧パルスPrxを印加し且つ主電極Yに負極性の電圧パルスPryを印加する第2過程とによって、前回点灯セル及び前回非点灯セルに所定の極性の壁電荷が形成される。なお、第1過程では、アドレス電極Aを正電位にバイアスし、アドレス電極Aと主電極Xとの間の不要の放電を防止する。第2過程に続いて、帯電の均一性を高めるため、主電極Yに正極性の電圧パルスPrsを印加して全てのセルで面放電を生じさせる。この面放電によって帯電極性は反転する。その後、電荷の消失を避けるため、主電極Yの電位を緩やかに低減させる。
【0041】アドレッシング準備期間TRに続くアドレッシング期間TAにおいては、先頭のラインから1ラインずつ順に各ラインを選択するために、選択すべき主電極Yに負極性のスキャンパルスPyを印加する。ラインの選択と同時に、非点灯とすべきセル(今回非点灯セル)に対応したアドレス電極Aに対して正極性のアドレスパルスPaを印加する。選択されたラインにおけるアドレスパルスPaの印加されたセルでは、主電極Yとアドレス電極Aとの間で対向放電が起こって誘電体層17の壁電荷が消失する。アドレスパルスPaの印加時点では主電極Xの近傍には正極性の壁電荷が存在するので、その壁電圧でアドレスパルスPaが打ち消され、主電極Xとアドレス電極Aとの間では放電は起きない。このような消去形式のアドレッシングは、書込み形式と違って電荷の再形成が不要であるので、高速化に適している。
【0042】サステイン期間TSにおいては、不要の放電を防止するために全てのアドレス電極Aを正極性の電位にバイアスし、最初に全ての主電極Xに正極性のサステインパルスPsを印加する。その後、主電極Yと主電極Xとに対して交互にサステインパルスPsを印加する。本実施形態では、最終のサステインパルスPsは主電極Yに印加される。サステインパルスPsの印加によって、アドレッシング期間TAにおいて壁電荷の残されたセル(今回点灯セル)で面放電が生じる。
【0043】サステイン期間TSに続くアドレッシング期間TAにおいては、帯電分布を整える目的で、主電極Xに電圧パルスPrを印加するとともに主電極Yに電圧パルスPrsを印加する。そして、アドレッシング準備期間TRと同様に主電極Yの電位を緩やかに低減させ、その後に第1番目のアドレッシング期間TAと同様にライン順次のアドレッシングを行う。
【0044】次に各フレームFの表示に適用するフレーム構成の選択の要領を説明する。図7は輝度分布の判別方法を説明するための図である。図7の例では輝度分布の特徴量に基づいて輝度分布が第1〜第3のフレーム構成のいずれを適用すべき分布であるかを判別する。例えば、輝度ヒストグラムの90%点を特徴量とすると、最低輝度付近に偏った分布(a)では特徴量が第1の閾値(16)より小さい。この閾値は図5の第3のフレーム構成で表現可能な最大輝度である。このような分布(a)のフレームについては第3のフレーム構成を適用する。低輝度側に偏った分布(b)では特徴量が閾値(16)と閾値(80)との間の値である。分布(b)のフレームについては第2のフレーム構成を適用する。低輝度から高輝度まで拡がる分布(c)では特徴量が閾値(80)より大きい。この分布(c)のフレームについては第1のフレーム構成を適用する。
【0045】特徴量は90%点に限らず、95%点又は100%点といった他の点を基準にフレーム構成を選んでもよい。また、閾値は16及び80に限らず、各フレーム構成で表現できる輝度の最大値に近い値であればよい。ただし、最大値より大きい値に設定した場合は輝度の高い側の階調が最大値に丸められるので最大値より小さめに設定するのが望ましい。これらの閾値に関する事項は以下の判別方法にも同様に当てはまる。輝度分布の算出の形態としては、1フレーム単位で算出してもよいし、複数フレーム単位で算出してもよい。後者の場合には、背景輝度の低減に加えて次の効果がある。すなわち、連続した複数のフレームに着目したとき、特徴量が閾値の付近で変動するような場合にフレーム毎にフレーム構成を切り換えることによる背景輝度のちらつきを避けることができる。
【0046】ところで、本実施形態においては、上述したとおり1つのフレームFについてR,G,Bの各色毎に輝度分布が算出される。フレーム構成の選択は各色についての輝度分布のうちの1つを基準に行われる。
【0047】図8は3色の輝度分布の一例を示す図である。フレーム構成の選択に際しては、R,G,Bの各色別に輝度分布の特徴量(例えば90%点)が、16未満、16以上80未満、又は80以上のどの範囲に入るかを判別する。そして、特徴量を含む範囲が最も高輝度側である色の輝度分布に着目して当該フレームFについてのフレーム構成の選択を行う。図8の例では90%点が80以上であるBの輝度分布に着目することになる。
【0048】図9及び図10は輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。まず、あらかじめ設定されている閾値(16),(80)のそれぞれについて、それ以下の輝度の画素の数の全画素数に対する割合を求める。図示の例では前者は20%、後者は97%である。次に、求めた割合と割合の設定閾値90%との大小関係を調べる。その大小関係から輝度分布の90%点と閾値(16),(80)との関係がわかるので、その関係に応じて図7の例と同様にフレーム構成を選択する。図9の例では90%点が閾値(16)から閾値(80)までの範囲内にあるので、第2のフレーム構成を選択する。なお、閾値以下の輝度の画素数の全画素数に対する割合を求めるのではなく、閾値以下の輝度の画素数自体を設定閾値と比較する方法を採用してもよい。図10R>0の例では、ヒストグラムの90%点がR,Gでは閾値(16)から閾値(80)までの範囲内にあり、Bでは閾値(80)から所定値(251)までの範囲内にある。したがって、この場合は第1のフレーム構成が選択される。
【0049】図11及び図12は対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。プラズマ表示装置1においては、注目フレームが隣接するフレームと類似するか否かによって判別対象の輝度分布が切換えられる(これは輝度分布の算出の対象フレームを切り換えるのと同等である)。すなわち、類似の度合いが閾値より大きく、判定データD93が類似を示すとき(一連のフレームを連続的なシーンの映像と見做すとき)には、複数フレームについて算出された輝度分布に基づいてフレーム構成が選択される。一方、判定データD93が非類似を示すとき(シーンが大きく変化するとき)には、注目フレームのみについて算出された輝度分布に基づいてフレーム構成が選択される。このように類似判定の結果に応じてフレーム構成の選択形態を変更することにより、連続したシーンにおいて、画像の特徴量がフレーム構成選択の閾値の近辺で変化した場合の背景部分の輝度変化による画像の乱れを避けることができる。
【0050】以上の実施形態によれば、フレームの類似判定の結果をフレーム構成の切換えに反映させるので、より乱れのない表示を実現することができる。ただし、類似判定回路93を省略し、輝度分布の判別の結果のみに応じて最適のフレーム構成を選択するようにしてもよい。また、必ずしも1フレーム毎にフレーム構成を選択する必要はなく、2フレーム以上の単位でフレーム構成の選択しても背景輝度の低減を図ることができる。上述の実施形態においては消去アドレッシングを例示したが、本発明は書込みアドレッシングを行う場合にも適用可能である。
【0051】本発明に係る表示の対象には、テレビジョン映像に代表されるインタレース形式の画像が含まれる。NTSC方式では図13のように1フレームFは奇数フィールドf1と偶数フィールドf2とで構成される。PDP1による表示では、各フィールドを所定数のサブフィールドに分割することになる。
【0052】ところで、奇数フィールドf1の画像信号と偶数フィールドf2の画像信号とは互いに極めて類似しており、どちらか一方の画像信号から求めた輝度分布は両フィールドで構成される1フレーム分の画像信号から求めた輝度分布とほぼ同一となる。したがって、プラズマ表示装置100に対する入力信号がインタレース信号である場合において、輝度分布は1フレームを構成するいずれか1つのフィールドの画像信号を基に算出すれば十分である。注目フレームの輝度分布を1つのフィールドの画像信号のみに注目して算出する方法は、算出回路の規模を小さくできる、演算時間が短縮できるという点で有利である。
【0053】
【発明の効果】請求項1乃至請求項15の発明によれば、フレームの明暗に係わらずコントラストの良好な表示を実現することができる。
【0054】請求項8の発明によれば、連続したシーンにおける背景部分の輝度変化に起因する表示の乱れを避けることができる。請求項7又は請求項15の発明によれば、入力信号がインタレース信号である場合に、回路コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ表示装置の構成図である。
【図2】本発明に係るPDPの内部構造を示す分解斜視図である。
【図3】第1のフレーム構成を示す図である。
【図4】第2のフレーム構成を示す図である。
【図5】第3のフレーム構成を示す図である。
【図6】駆動シーケンスの一例を示す電圧波形図である。
【図7】輝度分布の判別方法を説明するための図である。
【図8】3色の輝度分布の一例を示す図である。
【図9】輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。
【図10】輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。
【図11】対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。
【図12】対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。
【図13】インタレース信号の場合の輝度分布の算出形態を示す図である。
【符号の説明】
100 プラズマ表示装置(表示装置)
F フレーム
SF1〜16 サブフィールド
C セル
TA アドレッシング期間
TS サステイン期間(点灯維持期間)
TR アドレッシング準備期間
91 輝度分布算出回路(分布演算回路)
92 輝度分布判別回路(分布判別手段)
81 コントローラ(制御手段)
93 類似判定回路(類似判定手段)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレーム内変調によって中間調を再現する表示装置に関し、AC型のPDP(Plasma Display Panel:プラズマディスプレイパネル)による表示に好適である。
【0002】PDPは、基板対を支持体とする薄型の自己発光表示デバイスであり、カラー画面の実用化を機にテレビジョン映像やコンピュータのモニターなどの用途で広く用いられるようになってきた。PDPの課題の1つに背景輝度の低減がある。
【0003】
【従来の技術】AC型PDPは、壁電荷を利用して点灯状態を維持するいわゆるメモリ機能を持たせるために主電極を誘電体で被覆した構造をとる。表示に際しては、点灯(発光)すべきセルのみが帯電した状態を形成するライン順次のアドレッシングを行い、その後に全てのセルに対して一斉に交番極性の点灯維持電圧Vsを印加する。点灯維持電圧Vsは(1)式を満たす。
【0004】Vf−Vwall<Vs<Vf …(1)
Vf :放電開始電圧Vwall:壁電圧壁電荷の存在するセルでは、壁電圧Vwallが点灯維持電圧Vsに重畳するので、セルに加わる実効電圧(セル電圧ともいう)Veff が放電開始電圧Vfを越えて放電が生じる。点灯維持電圧Vsの印加周期を短くすれば、見かけの上で連続的な点灯状態が得られる。表示の輝度は単位時間あたりの放電回数に依存する。したがって、中間調は、セル毎に1フレームの放電回数を階調レベルに応じて適切に設定することによって再現される。カラー表示は階調表示の一種であって、表示色は3原色の輝度の組合せによって決まる。
【0005】PDPの階調表示方法としては、1フレームを輝度(すなわち放電回数)の重み付けをした複数のサブフィールドで構成し、サブフィールド単位の点灯の有無の組合せによって1フレームの総放電回数を設定するフレーム内変調法が広く知られている(特開平4−195188号)。一般には、各サブフィールドに対して重みが2n (n=0,1,2,3…)で表されるいわゆる“バイナリーの重み付け”を行う。例えばサブフィールド数が8であれば、階調レベルが「0」〜「255」の256階調の表示が可能である。
【0006】バイナリーの重み付けは重みに冗長性がなく多階調化に適している。しかし、階調幅(階調の1段分の輝度差)を階調範囲の全域にわたって均等とするには、サブフィールド毎にアドレッシングを行わなければならない。また、サブフィールド毎にアドレッシングに先立って画面全体の帯電状態を均等化するリセット処理(アドレッシング準備処理)を行う必要がある。リセット処理を省略すると、壁電荷の残留するセル(前回点灯セル)と他のセル(前回非点灯セル)とで放電条件が異なることになり、確実にアドレッシングを行うことが困難になる。リセット処理及びアドレッシングは放電を伴うので、コントラスト及び消費電力の観点からすればこれらの回数がより少ないのが望ましい。特に表示画素数の多いHDTVなどの用途のPDPではアドレッシング用の回路部品の負担が大きいので、発熱対策の上からもアドレッシング回数の低減が切望される。
【0007】そこで、従来において、所定数のサブフィールドを複数個のサブフィールド群に区分し、各サブフィールド群に属するサブフィールドの重みを等しくし、サブフィールド群毎に1回ずつリセット処理を行う駆動方法が提案されている(特許第2639311号)。この駆動方法によれば、リセット処理の回数及びアドレッシングの回数がともにサブフィールド数からサブフィールド群数に減少するので、コントラスト及び消費電力の改善を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の表示装置では、サブフィールド群の数が一定であった。このため、全体的に暗いフレームを表示するときに、画面の大半を占める背景部分がリセット処理及びアドレッシングのための放電によってうっすらと光って浮き上がって見えてしまうという問題があった。比較的に明るいフレームの場合には背景部分が多少明るくてもそれよりも明るい部分が多くあるので目立たない。
【0009】本発明は、フレームの明暗に係わらずコントラストの良好な表示を実現することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明においては、輝度を表す画素値のヒストグラム(輝度分布)を算出してフレームを判別し、判別の結果に応じて階調表示に係わるフレーム構成を切り換える。例えば、低輝度の画素に偏った分布であれば、サブフィールド群数の少ないフレーム構成を適用し、階調数よりも背景輝度の低減を優先させる。最低輝度から最大輝度まで拡がる分布であれば、サブフィールド群数の最も多いフレーム構成を適用して階調再現性を高める。
【0011】請求項1の発明の装置は、1フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1フレーム分の前記サブフイールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフィールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えている。
【0012】請求項2の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布をその特徴量と設定閾値との比較によって判別する。請求項3の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する。
【0013】請求項4の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する。
【0014】請求項5の発明の表示装置において、前記分布演算手段は、1フレーム単位で輝度分布を算出する。請求項6の発明の表示装置において、前記分布演算手段は、複数フレーム単位で輝度分布を算出する。
【0015】請求項7の発明の表示装置においては、入力信号がインタレース信号である場合に、前記分布演算手段で算出される1以上のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される。
【0016】請求項8の発明の表示装置は、時系列に並ぶフレームのうちの注目フレームとそれに隣接した少なくとも一方のフレームとが類似するか否かを判定する類似判定手段と、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む連続した複数のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、前記注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似しないときには、当該注目フレームの輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用し、当該注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似するときには、連続した複数のフレームの輝度分布の判別の結果に応じて、複数の前記フレーム構成のうちの1つを選択して当該注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えている。
【0017】請求項9の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、その特徴量と設定閾値との比較によって判別する。
【0018】請求項10の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する。
【0019】請求項11の発明の表示装置において、前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する。
【0020】請求項12の発明の表示装置において、フレームは表示色の異なる3個のプレーンからなるカラー画像であり、前記分布演算手段は、プレーン毎に輝度分布を算出し、前記制御手段は、輝度分布範囲の最も広いプレーンの輝度分布の判別の結果に応じて、前記フレーム構成の選択を行う。
【0021】請求項13の発明の表示装置において、前記特徴量は、画素を輝度の昇順に並べたときの設定番目の画素の輝度である。請求項14の発明の表示装置において、前記設定閾値は、前記各フレーム構成で再現可能な輝度の最大値又はそれに近い値である。
【0022】請求項15の発明の表示装置においては、入力信号がインタレース信号である場合に、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む複数のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るプラズマ表示装置100の構成図である。プラズマ表示装置100は、マトリクス形式のカラー表示デバイスであるAC型のPDP1と、画面(スクリーン)を構成する多数のセルCを選択的に点灯させるための駆動ユニット80とから構成されており、壁掛け式テレビジョン受像機、コンピュータシステムのモニターなどとして利用される。
【0024】PDP1は、対をなす第1及び第2の主電極X,Yが平行配置され、各セルCにおいて主電極X,Yと第3の電極としてのアドレス電極Aとが交差配置された3電極面放電構造のPDPである。主電極X,Yは画面の行方向(水平方向)に延び、一方の主電極Yはアドレッシングに際して行単位にセルを選択するためのスキャン電極として用いられる。アドレス電極Aは列方向(垂直方向)に延びており、列単位にセルを選択するためのデータ電極として用いられる。主電極群とアドレス電極群とが交差する領域が画面となる。
【0025】駆動ユニット80は、コントローラ81、フレームメモリ82、データ処理回路83、サブフィールドメモリ84、電源回路85、Xドライバ86、Yドライバ87、及びアドレスドライバ88の基本構成要素に加えて、本発明に特有の3つの構成要素(輝度分布算出回路91、輝度分布判別回路92、及び類似判定回路93)を有している。駆動ユニット80にはTVチューナ・コンピュータなどの外部装置からR,G,Bの各色の輝度レベル(階調レベル)を示す画素単位のフレームデータDFが各種の同期信号とともに入力される。
【0026】フレームデータDFは、フレームメモリ82に一旦格納された後、データ処理回路83へ送られる。データ処理回路83は、点灯させるサブフィールドの組合せを設定するデータ変換手段であり、フレームデータDFの示す階調レベルに応じたサブフィールドデータDSFを出力する。サブフィールドデータDSFはサブフィールドメモリ84に格納される。サブフィールドデータDSFの各ビットの値は、サブフィールドにおけるセルの点灯の要否、厳密にはアドレス放電の要否を示す情報である。
【0027】Xドライバ回路86は主電極Xに駆動電圧を印加し、Yドライバ回路87は主電極Yに駆動電圧を印加する。アドレスドライバ88は、サブフィールドデータDSFに応じてアドレス電極Aに駆動電圧を印加する。これらドライバ回路には電源回路85から所定の電力が供給される。
【0028】また、フレームデータDFは、フレームメモリ82への格納と並行して、輝度分布算出回路91及び類似判定回路93に入力される。輝度分布算出回路91は、R,G,Bの各プレーン毎に各輝度レベルの画素を数えるヒストグラマであり、各プレーンの輝度分布データ(輝度ヒストグラム)D91r,D91g,D91bを輝度分布判別回路92へ出力する。輝度分布は、注目する単一のフレームのみについて算出されるとともに、注目フレームを含む複数個分(例えば5個分)のフレームについても算出される。類似判定回路93は、j(任意の整数)番目のフレーム(注目フレーム)がその1つ前の(j−1)番目のフレームと類似するか否かを判定する。判定の結果を示す判定データD93は輝度分布判別回路92に入力される。輝度分布判別回路92は後述の要領でフレーム毎に輝度分布を判別し、その結果を示す判別データD92をコントローラ81へ出力する。コントローラ81は、データ処理回路83に対して、予め記憶している複数種(本例では3種)のフレーム構成の中から判別データD92の値に応じた1つのフレーム構成の適用を指示する切換え信号Ssfを与える。切換え信号Ssfに従ってフレームデータDFからサブフィールドデータDSFへの変換が行われる。
【0029】図2は本発明に係るPDP1の内部構造を示す分解斜視図である。PDP1は一対の基板構体10,20からなる。PDP1において、主電極X,Yは前面側の基板構体10の基材であるガラス基板11の内面に、行毎に一対ずつ配列されている。行は水平方向のセル列である。主電極X,Yは、それぞれが透明導電膜41と金属膜(バス導体)42とからなり、厚さ30μm程度の誘電体層17で被覆されている。誘電体層17の表面にはマグネシア(MgO)からなる厚さ数千オングストロームの保護膜18が設けられている。アドレス電極Aは、背面側の基板構体20の基材であるガラス基板21の内面に配列されており、誘電体層24によって被覆されている。誘電体層24の上には、高さ150μmの平面視直線帯状の隔壁29が各アドレス電極Aの間に1つずつ設けられている。これらの隔壁29によって放電空間30が行方向にサブピクセル(単位発光領域)毎に区画され、且つ放電空間30の間隙寸法が規定されている。そして、アドレス電極Aの上方及び隔壁29の側面を含めて背面側の内面を被覆するように、カラー表示のためのR,G,Bの3色の蛍光体層28R,28G,28Bが設けられている。放電空間30には主成分のネオンにキセノンを混合した放電ガスが充填されており、蛍光体層28R,28G,28Bは放電時にキセノンが放つ紫外線によって局部的に励起されて発光する。表示の1ピクセル(画素)は行方向に並ぶ3個のサブピクセルで構成される。各サブピクセル内の構造体がセル(表示素子)Cである。隔壁29の配置パターンがストライプパターンであることから、放電空間30のうちの各列に対応した部分は全ての行Lに跨がって列方向に連続している。
【0030】以下、プラズマ表示装置1におけるPDP1の駆動方法を説明する。図3は第1のフレーム構成を示す図である。2値の点灯制御によって階調再現を行うために入力画像である時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7,SF8,SF9,SF10,SF11,SF12,SF13,SF14,SF15,SF16に分割する。言い換えれば、フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16の集合に置き換えて表示する。各サブフィールドSF1〜SF16には、アドレッシング期間TAとサステイン期間(表示期間)TSとを割り当てる。そして、アドレッシングの回数を低減するためにサブフィールドSF1〜SF16を複数(例示では3)のサブフィールド群SFG1,SFG2,SFG3に区分する。表示順序の先頭から第5番目までの5個のサブフィールドSF1〜SF5の集合を第1のサブフィールド群SFG1とし、第6番目から第10番目までの5個のサブフィールドSF6〜SF10の集合を第2のサブフィールド群SFG2とし、残りの第11番目から第16番目までの6個のサブフィールドSF11〜SF16の集合を第3のサブフィールド群SFG3とする。各サブフィールド群SFG1〜SFG3には、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。本実施形態においては、第1のサブフィールド群SFG1に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを最小の「1」とし、第2のサブフィールド群SFG2に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「6」とし、第3のサブフィールド群SFG3に属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「36」とする。ここで、第2及び第3のサブフィールド群SFG2,SFG3における各サブフィールドの重みは最小の重み(「1」)の整数倍であり且つそれより小さい重みの総和に1を加えた値である。すなわち、6=1×5+1であり、36=1×5+6×5+1である。このような重み付けのフレーム構成によれば、サブフィールドの点灯の有無を組み合わせることによって、階調レベル「0」〜「251」の階調幅の均等な252階調の表示を実現することができる。したがって、この第1フレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は2523である。
【0031】なお、各サブフィールド群SFG1〜SFG3において、必ずしも全ての重みを同一にする必要はなく、適宜に選定することができる。例えば、第3のサブフィールド群SFG3の1個のサブフィールドSF13の重みを「35」とし、重み「36」の輝度を得る場合に、重み「35」のサブフィールドSF13と重み「1」の1個のサブフィールドSF1とを点灯させるようにしてもよい。また、重みの順に表示する必要もない。例えば、重みの大きいサブフィールドをフレーム期間の中間に配置するといった最適化を行うことができる。動画像表示における偽輪郭を防止する上では、点灯又は非点灯の極端な連続を避けるのが望ましい。ただし、各サブフィールド群SFG1〜SFG3に属するサブフィールドは連続的に表示され、ある群のサブフィールドどうしの間に他の群のサブフィールドが挿入されることはない。
【0032】アドレッシング準備期間TRは各サブフィールド群SFG1〜SFG3の最前に設けられており、消去アドレス駆動の場合は、このアドレッシング準備期間TRにおいて、後述の駆動シーケンスによって全てのセルに点灯維持に必要な壁電荷を帯電させる電荷形成処理が行われる。したがって、電荷形成処理を行った状態のまま点灯維持電圧を印加すると、全てのセルが点灯する。各サブフィールドのアドレッシング期間TAでは、点灯不要のセルのみについて壁電荷を消去する消去アドレッシングが行われる。壁電荷の消去されたセルは、再び電荷形成処理が行われるまで、点灯維持電圧を印加しても点灯しない。サステイン期間TSでは全てのセルに対して同時に交番極性の点灯維持電圧が印加され、壁電荷の残存するセルの点灯状態が維持される。各サブフィールド群SFG1〜SFG3において、n(5又は6)個のサブフィールドのうちのm(0≦m<n)個のサブフィールドを点灯させる階調レベルのセルについては、(m+1)番目のアドレッシング期間TAで壁電荷が消去される。n個のサブフィールドを点灯させる階調レベルのセルについては壁電荷の消去は行われない。
【0033】例えば階調レベル「3」を再現するには、重みが1である3個のサブフィールドSF1〜SF3のサステイン期間TSにおいてセルを点灯させればよい。この場合、第1のサブフィールド群SFG1のアドレッシング準備期間TRにおいて画面全体に電荷が形成され、第4番目のサブフィールドSF4のアドレッシング期間TAにおいて該当セルに対して電荷消去が行われる。また、階調レベル「2」を再現する場合には、第3番目のサブフィールドSF3のアドレッシング期間TAにおいて電荷消去が行われ、第3〜第5番目のサブフィールドSF3〜SF5のサステイン期間TSにおいて該当セルは非点灯である。
【0034】このように各サブフィールド群SFG1〜SFG3毎に再現すべき階調レベルに応じて電荷消去を行う時期を変更することにより、画面全体の電荷形成処理の回数をサブフィールド群数に減らすことができ、アドレッシング回数をサブフィールド群数以下に減らすことができる。消去形式のアドレッシングであるので、再現すべき階調レベルが最大の「251」のときにはアドレッシングは不要である。
【0035】図4は第2のフレーム構成を示す図である。上述のフレーム構成と同様に時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16に分割し、各サブフィールドSF1〜SF16にはアドレッシング期間TAとサステイン期間TSとを割り当てる。第2のフレーム構成においては、サブフィールドSF1〜SF16を2個のサブフィールド群SFG1b,SFG2bに区分する。表示順序の先頭から第8番目までの8個のサブフィールドSF1〜SF8の集合を第1のサブフィールド群SFG1bとし、第9番目から第16番目までの8個のサブフィールドSF9〜SF16の集合を第2のサブフィールド群SFG2bとする。各サブフィールド群SFG1b,SFG2bには、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。第1のサブフィールド群SFG1bに属する全てのサブフィールドの輝度の重みを最小の「1」とし、第2のサブフィールド群SFG2bに属する全てのサブフィールドの輝度の重みを「9」とする。このような重み付けによれば、階調レベル「0」〜「80」の階調幅の均等な81階調の表示を実現することができる。
【0036】この第2のフレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は813 であるが、サブフィールド群数が2であるので、背景輝度を第1のフレーム構成による表示の67%程度に低減することができる。
【0037】図5は第3のフレーム構成を示す図である。上述の第1及び第2のフレーム構成と同様に時系列の各フレームFを16個のサブフィールドSF1〜SF16に分割し、各サブフィールドSF1〜SF16にはアドレッシング期間TAとサステイン期間TSとを割り当てる。第3のフレーム構成においては、全てのサブフィールドSF1〜SF16を1個のサブフィールド群SFG1cにまとめる。サブフィールド群SFG1cには、アドレッシング準備期間TRを割り当てる。全てのサブフィールドSF1〜SF16の輝度の重みを最小の「1」とする。このような重み付けによれば、階調レベル「0」〜「16」の階調幅の均等な17階調の表示を実現することができる。
【0038】この第3のフレーム構成を適用した場合の表示可能な色の数は173 であるが、サブフィールド群数が1であるので、背景輝度を第1のフレーム構成による表示の33%程度に低減することができる。
【0039】図6は駆動シーケンスの一例を示す電圧波形図である。ここでは代表として第1のフレーム構成を図示してあるが、各期間TR,TA,TSの駆動波形は第2及び第3のフレーム構成においても同様である。ただし、サステイン期間TSのパルス数は輝度の重みにほぼ比例する。
【0040】アドレッシング準備期間TRにおいては、主電極Xに正極性の電圧パルスPrを印加する第1過程と、主電極Xに正極性の電圧パルスPrxを印加し且つ主電極Yに負極性の電圧パルスPryを印加する第2過程とによって、前回点灯セル及び前回非点灯セルに所定の極性の壁電荷が形成される。なお、第1過程では、アドレス電極Aを正電位にバイアスし、アドレス電極Aと主電極Xとの間の不要の放電を防止する。第2過程に続いて、帯電の均一性を高めるため、主電極Yに正極性の電圧パルスPrsを印加して全てのセルで面放電を生じさせる。この面放電によって帯電極性は反転する。その後、電荷の消失を避けるため、主電極Yの電位を緩やかに低減させる。
【0041】アドレッシング準備期間TRに続くアドレッシング期間TAにおいては、先頭のラインから1ラインずつ順に各ラインを選択するために、選択すべき主電極Yに負極性のスキャンパルスPyを印加する。ラインの選択と同時に、非点灯とすべきセル(今回非点灯セル)に対応したアドレス電極Aに対して正極性のアドレスパルスPaを印加する。選択されたラインにおけるアドレスパルスPaの印加されたセルでは、主電極Yとアドレス電極Aとの間で対向放電が起こって誘電体層17の壁電荷が消失する。アドレスパルスPaの印加時点では主電極Xの近傍には正極性の壁電荷が存在するので、その壁電圧でアドレスパルスPaが打ち消され、主電極Xとアドレス電極Aとの間では放電は起きない。このような消去形式のアドレッシングは、書込み形式と違って電荷の再形成が不要であるので、高速化に適している。
【0042】サステイン期間TSにおいては、不要の放電を防止するために全てのアドレス電極Aを正極性の電位にバイアスし、最初に全ての主電極Xに正極性のサステインパルスPsを印加する。その後、主電極Yと主電極Xとに対して交互にサステインパルスPsを印加する。本実施形態では、最終のサステインパルスPsは主電極Yに印加される。サステインパルスPsの印加によって、アドレッシング期間TAにおいて壁電荷の残されたセル(今回点灯セル)で面放電が生じる。
【0043】サステイン期間TSに続くアドレッシング期間TAにおいては、帯電分布を整える目的で、主電極Xに電圧パルスPrを印加するとともに主電極Yに電圧パルスPrsを印加する。そして、アドレッシング準備期間TRと同様に主電極Yの電位を緩やかに低減させ、その後に第1番目のアドレッシング期間TAと同様にライン順次のアドレッシングを行う。
【0044】次に各フレームFの表示に適用するフレーム構成の選択の要領を説明する。図7は輝度分布の判別方法を説明するための図である。図7の例では輝度分布の特徴量に基づいて輝度分布が第1〜第3のフレーム構成のいずれを適用すべき分布であるかを判別する。例えば、輝度ヒストグラムの90%点を特徴量とすると、最低輝度付近に偏った分布(a)では特徴量が第1の閾値(16)より小さい。この閾値は図5の第3のフレーム構成で表現可能な最大輝度である。このような分布(a)のフレームについては第3のフレーム構成を適用する。低輝度側に偏った分布(b)では特徴量が閾値(16)と閾値(80)との間の値である。分布(b)のフレームについては第2のフレーム構成を適用する。低輝度から高輝度まで拡がる分布(c)では特徴量が閾値(80)より大きい。この分布(c)のフレームについては第1のフレーム構成を適用する。
【0045】特徴量は90%点に限らず、95%点又は100%点といった他の点を基準にフレーム構成を選んでもよい。また、閾値は16及び80に限らず、各フレーム構成で表現できる輝度の最大値に近い値であればよい。ただし、最大値より大きい値に設定した場合は輝度の高い側の階調が最大値に丸められるので最大値より小さめに設定するのが望ましい。これらの閾値に関する事項は以下の判別方法にも同様に当てはまる。輝度分布の算出の形態としては、1フレーム単位で算出してもよいし、複数フレーム単位で算出してもよい。後者の場合には、背景輝度の低減に加えて次の効果がある。すなわち、連続した複数のフレームに着目したとき、特徴量が閾値の付近で変動するような場合にフレーム毎にフレーム構成を切り換えることによる背景輝度のちらつきを避けることができる。
【0046】ところで、本実施形態においては、上述したとおり1つのフレームFについてR,G,Bの各色毎に輝度分布が算出される。フレーム構成の選択は各色についての輝度分布のうちの1つを基準に行われる。
【0047】図8は3色の輝度分布の一例を示す図である。フレーム構成の選択に際しては、R,G,Bの各色別に輝度分布の特徴量(例えば90%点)が、16未満、16以上80未満、又は80以上のどの範囲に入るかを判別する。そして、特徴量を含む範囲が最も高輝度側である色の輝度分布に着目して当該フレームFについてのフレーム構成の選択を行う。図8の例では90%点が80以上であるBの輝度分布に着目することになる。
【0048】図9及び図10は輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。まず、あらかじめ設定されている閾値(16),(80)のそれぞれについて、それ以下の輝度の画素の数の全画素数に対する割合を求める。図示の例では前者は20%、後者は97%である。次に、求めた割合と割合の設定閾値90%との大小関係を調べる。その大小関係から輝度分布の90%点と閾値(16),(80)との関係がわかるので、その関係に応じて図7の例と同様にフレーム構成を選択する。図9の例では90%点が閾値(16)から閾値(80)までの範囲内にあるので、第2のフレーム構成を選択する。なお、閾値以下の輝度の画素数の全画素数に対する割合を求めるのではなく、閾値以下の輝度の画素数自体を設定閾値と比較する方法を採用してもよい。図10R>0の例では、ヒストグラムの90%点がR,Gでは閾値(16)から閾値(80)までの範囲内にあり、Bでは閾値(80)から所定値(251)までの範囲内にある。したがって、この場合は第1のフレーム構成が選択される。
【0049】図11及び図12は対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。プラズマ表示装置1においては、注目フレームが隣接するフレームと類似するか否かによって判別対象の輝度分布が切換えられる(これは輝度分布の算出の対象フレームを切り換えるのと同等である)。すなわち、類似の度合いが閾値より大きく、判定データD93が類似を示すとき(一連のフレームを連続的なシーンの映像と見做すとき)には、複数フレームについて算出された輝度分布に基づいてフレーム構成が選択される。一方、判定データD93が非類似を示すとき(シーンが大きく変化するとき)には、注目フレームのみについて算出された輝度分布に基づいてフレーム構成が選択される。このように類似判定の結果に応じてフレーム構成の選択形態を変更することにより、連続したシーンにおいて、画像の特徴量がフレーム構成選択の閾値の近辺で変化した場合の背景部分の輝度変化による画像の乱れを避けることができる。
【0050】以上の実施形態によれば、フレームの類似判定の結果をフレーム構成の切換えに反映させるので、より乱れのない表示を実現することができる。ただし、類似判定回路93を省略し、輝度分布の判別の結果のみに応じて最適のフレーム構成を選択するようにしてもよい。また、必ずしも1フレーム毎にフレーム構成を選択する必要はなく、2フレーム以上の単位でフレーム構成の選択しても背景輝度の低減を図ることができる。上述の実施形態においては消去アドレッシングを例示したが、本発明は書込みアドレッシングを行う場合にも適用可能である。
【0051】本発明に係る表示の対象には、テレビジョン映像に代表されるインタレース形式の画像が含まれる。NTSC方式では図13のように1フレームFは奇数フィールドf1と偶数フィールドf2とで構成される。PDP1による表示では、各フィールドを所定数のサブフィールドに分割することになる。
【0052】ところで、奇数フィールドf1の画像信号と偶数フィールドf2の画像信号とは互いに極めて類似しており、どちらか一方の画像信号から求めた輝度分布は両フィールドで構成される1フレーム分の画像信号から求めた輝度分布とほぼ同一となる。したがって、プラズマ表示装置100に対する入力信号がインタレース信号である場合において、輝度分布は1フレームを構成するいずれか1つのフィールドの画像信号を基に算出すれば十分である。注目フレームの輝度分布を1つのフィールドの画像信号のみに注目して算出する方法は、算出回路の規模を小さくできる、演算時間が短縮できるという点で有利である。
【0053】
【発明の効果】請求項1乃至請求項15の発明によれば、フレームの明暗に係わらずコントラストの良好な表示を実現することができる。
【0054】請求項8の発明によれば、連続したシーンにおける背景部分の輝度変化に起因する表示の乱れを避けることができる。請求項7又は請求項15の発明によれば、入力信号がインタレース信号である場合に、回路コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ表示装置の構成図である。
【図2】本発明に係るPDPの内部構造を示す分解斜視図である。
【図3】第1のフレーム構成を示す図である。
【図4】第2のフレーム構成を示す図である。
【図5】第3のフレーム構成を示す図である。
【図6】駆動シーケンスの一例を示す電圧波形図である。
【図7】輝度分布の判別方法を説明するための図である。
【図8】3色の輝度分布の一例を示す図である。
【図9】輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。
【図10】輝度分布の判別方法の他の例を説明するための図である。
【図11】対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。
【図12】対象フレーム数の異なる輝度分布の一例を示す図である。
【図13】インタレース信号の場合の輝度分布の算出形態を示す図である。
【符号の説明】
100 プラズマ表示装置(表示装置)
F フレーム
SF1〜16 サブフィールド
C セル
TA アドレッシング期間
TS サステイン期間(点灯維持期間)
TR アドレッシング準備期間
91 輝度分布算出回路(分布演算回路)
92 輝度分布判別回路(分布判別手段)
81 コントローラ(制御手段)
93 類似判定回路(類似判定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】1フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1フレーム分の前記サブフィールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフイールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布をその特徴量と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項4】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項5】前記分布演算手段は、1フレーム単位で輝度分布を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】前記分布演算手段は、複数フレーム単位で輝度分布を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】入力信号がインタレース信号である場合において、前記分布演算手段で算出される1以上のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される請求項1記載の表示装置。
【請求項8】1 フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1 フレーム分の前記サブフイールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフイールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、時系列に並ぶフレームのうちの注目フレームとそれに隣接した少なくとも一方のフレームとが類似するか否かを判定する類似判定手段と、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む連続した複数のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、前記注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似しないときには、当該注目フレームの輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用し、当該注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似するときには、連続した複数のフレームの輝度分布の判別の結果に応じて、複数の前記フレーム構成のうちの1つを選択して当該注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項9】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、その特徴量と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項10】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項11】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項12】フレームは表示色の異なる3個のプレーンからなるカラー画像であり、前記分布演算手段は、プレーン毎に輝度分布を算出し、前記制御手段は、輝度分布範囲の最も広いプレーンの輝度分布の判別の結果に応じて、前記フレーム構成の選択を行う請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】前記特徴量は、画素を輝度の昇順に並べたときの設定番目の画素の輝度である請求項2又は請求項8記載の表示装置。
【請求項14】前記設定閾値は、前記各フレーム構成で再現可能な輝度の最大値又はそれに近い値である請求項2乃至請求項4のいずれか又は請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項15】入力信号がインタレース信号である場合において、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む複数のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される請求項8記載の表示装置。
【請求項1】1フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1フレーム分の前記サブフィールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフイールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、注目フレームを含む1以上のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布をその特徴量と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項4】前記輝度判別手段は、算出された輝度分布を設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する請求項1記載の表示装置。
【請求項5】前記分布演算手段は、1フレーム単位で輝度分布を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】前記分布演算手段は、複数フレーム単位で輝度分布を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】入力信号がインタレース信号である場合において、前記分布演算手段で算出される1以上のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される請求項1記載の表示装置。
【請求項8】1 フレームを輝度の重みづけをした3以上のサブフィールドで構成し、各セルの点灯の要否を設定するアドレッシング期間と点灯状態を維持する点灯維持期間とをサブフィールド毎に割り当て、且つ1 フレーム分の前記サブフイールドの組を1以上のサブフィールド群に区分し、サブフイールド群の最初に画面全体の帯電状態を均等化するアドレッシング準備期間を割り当てて階調表示を行う表示装置であって、時系列に並ぶフレームのうちの注目フレームとそれに隣接した少なくとも一方のフレームとが類似するか否かを判定する類似判定手段と、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む連続した複数のフレームの輝度分布を算出する分布演算手段と、算出された輝度分布を設定条件に照らして判別する輝度判別手段と、前記注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似しないときには、当該注目フレームの輝度分布の判別の結果に応じて、サブフィールド群の数が異なる複数のフレーム構成のうちの1つを選択して前記注目フレームの階調表示に適用し、当該注目フレームとそれに隣接した前記フレームとが類似するときには、連続した複数のフレームの輝度分布の判別の結果に応じて、複数の前記フレーム構成のうちの1つを選択して当該注目フレームの階調表示に適用する制御手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項9】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、その特徴量と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項10】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の数と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項11】前記輝度判別手段は、前記注目フレームの輝度分布及び前記連続した複数のフレームの輝度分布の少なくとも一方を、設定範囲内の値の画素の全画素数に対する割合と設定閾値との比較によって判別する請求項7記載の表示装置。
【請求項12】フレームは表示色の異なる3個のプレーンからなるカラー画像であり、前記分布演算手段は、プレーン毎に輝度分布を算出し、前記制御手段は、輝度分布範囲の最も広いプレーンの輝度分布の判別の結果に応じて、前記フレーム構成の選択を行う請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】前記特徴量は、画素を輝度の昇順に並べたときの設定番目の画素の輝度である請求項2又は請求項8記載の表示装置。
【請求項14】前記設定閾値は、前記各フレーム構成で再現可能な輝度の最大値又はそれに近い値である請求項2乃至請求項4のいずれか又は請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項15】入力信号がインタレース信号である場合において、前記注目フレームの輝度分布、及び当該注目フレームを含む複数のフレームの輝度分布は、各フレームを構成する偶数又は奇数フィールドのいずれか一方の輝度分布から算出される請求項8記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図9】
【図13】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図9】
【図13】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2000−35774(P2000−35774A)
【公開日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−202481
【出願日】平成10年7月17日(1998.7.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年7月17日(1998.7.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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