説明

表示装置

【課題】 照明装置と反射型液晶表示装置とを備えた表示装置において、高コントラスト化を図る。
【解決手段】
反射型LCD300の反射電極33の表面に対向して照明装置200が配置されている。照明装置200には、陽極11、ストライプ状の陰極12、及び有機層13からなる有機EL層15が形成されている。また、陰極12を覆って遮光層16が形成されている。ここで、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と反射型LCD300の表示面上における視野角の広い方向Aとが直交するように配置されている。表示面上における視野角の広い方向Aは、配向膜34,38の配向方向に対して、液晶層42の液晶分子の回転方向に45度ずれた方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、照明装置と反射型液晶表示装置とを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以降、「LCD」と略称する)は、薄型で低消費電力であるという特徴を備え、現在、コンピュータのモニターや携帯電話等の携帯情報機器のモニターとして広く用いられている。LCDには、透過型LCD、反射型LCD、半透過型LCDがある。透過型LCDは、液晶に電圧を印加するための画素電極として透明電極を用い、LCDの後方にバックライトを配置し、このバックライトの透過光量を制御することで周囲が暗くても明るい表示ができる。しかし、昼間の屋外のように外光が強い環境では、十分なコントラストが確保できない特性がある。
【0003】
反射型LCDは、太陽光や室内灯などの外光を光源として用い、LCDに入射するこれらの外光を、観察面側の基板に形成した反射層からなる画素電極、即ち反射電極によって反射する。そして、液晶に入射し、反射電極で反射された光のLCDパネルからの射出光量を画素毎に制御することで表示を行う。この反射LCDは、光源として外光を用いるため、外光がない環境では表示を行えないという問題がある。
【0004】
半透過型LCDは、透過機能と反射機能の両方を併せ持ち、周囲が明るい環境にも暗い環境にも対応することができる。しかしながら、この半透過型LCDでは、1つの画素内に、透過領域と反射領域を有するため、1画素当たりの表示効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、反射型LCDにフロントライトを設けることで暗い環境下でも表示を可能とすることが考えられた。図7は、従来例に係るフロントライトと反射型LCDとを備えた表示装置を示す図である。反射型LCD100の表示面に対向して透明アクリル板110が配置されている。この透明アクリル板110の反射型LCDと対向する面と反対側の面には複数の逆三角形状の溝111が形成されている。また、透明アクリル板110の側面には光源112が配置されている。光源112から透明アクリル板110に導入された光は、溝111の傾斜面で反射型LCD100の方向に屈折され、反射型LCD100の表示面に入射される。
【0006】
なお、本願に関連する技術文献としては、以下の特許文献が挙げられる。
【特許文献1】特開2003−255375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光源112から透明アクリル板110の中に導入された光は、透明アクリル板110に設けられた溝111の傾斜面で反射型LCD100の方向に屈折されるとともに、それとは逆方向である観察者113がいる方向にも多少は屈折されるため、その光が透明アクリル110から漏れ出て観察者113の目に入り、LCDのコントラストを低下させるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、照明装置と反射型液晶表示装置とを備えた表示装置であって、照明装置は、透明基板と、この透明基板上にストライプ状に配置された発光薄体と、発光薄体の一方の面を反射型液晶表示装置の表示面に対向させて配置されており、さらに、発光薄体は、その長手方向と前記表示面上における視野角の広い方向とが直交するように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置によれば、暗い環境下においてもコントラストの高い表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る照明装置と反射型LCD(液晶表示装置)とを備えた表示装置を、その照明装置側から見た平面図であり、図2は図1のX−X線に沿った断面図である。ただし図1では、全ての構成要素のうち一部のみを図示している。
【0011】
図1及び図2に示すように、照明装置200が、その光の照射面を反射型LCD300の表示面に対向するようにして配置されている。即ち、照明装置200は反射型LCD300のフロントライトの光源である。
【0012】
最初に、照明装置200の構造について説明する。ガラス基板等からなる第1の透明基板10と第2の透明基板20との間に挟まれるようにして、有機エレクトロルミネッセンス素子層15(以降、「有機EL素子層15」と略称する)が形成されている。有機EL素子層15は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料からなり、第1の透明基板10上の実質的に全面に形成された陽極11と、この陽極11上に形成された有機層13と、有機層13上に形成され、一定のピッチを有して所定の形状に、例えばストライプ状にパターニングされた陰極12とからなる。
【0013】
ここで、有機層13は、いわゆる電子輸送層、発光層、正孔輸送層からなる。また、陰極12は、例えばアルミニウム層(Al層)、もしくはマグネシウム層(Mg層)と銀層(Ag層)からなる積層体、もしくはカルシウム層(Ca層)等からなる。また、陽極11の厚さは約100nm、陰極12の厚さは約500nm、有機層13の厚さは約100nmであることが好ましい。
【0014】
この有機EL素子層15では、陽極11と陰極12とによって挟まれた有機層13の領域が発光領域13aとなる。即ち、陰極12の直下にある有機層13が発光領域13aであり、この領域の有機EL素子層15が発光薄体となる。この発光領域13aを平面的に見ると、陰極12と同じ所定の形状、即ちストライプ状の形状を有している。この発光領域13aは、陽極11に正の電位、陰極13に負の電位が印加されることで全方位光(直線偏光もしくは円偏光ではない光)を発光する。それ以外の領域の有機層13は発光せず、非発光領域となる。なお、発光領域13aから発光される光は、上記ストライプ状の形状の長手方向に沿って一様に放射され、主に、その長手方向と直交する向きに放射される。
【0015】
また、ストライプ状にパターニングされた陰極12を覆って、遮光層16が形成されている。遮光層16も陰極12と同じ所定の形状、即ちストライプ状にパターニングされている。遮光層16は、発光領域13aから上方に放射される光を遮るためのものなので、そのために光を反射する光反射層か、もしくは光を吸収する光吸収層としての機能を有する必要がある。
【0016】
遮光層16は、光反射層として機能する場合、例えばクロム(Cr)や酸化アルミニウム層(Al層)等により形成される。また、遮光層16は、光吸収層として機能する場合、ホトレジスト材料に黒色顔料を含有させた黒色顔料層、ホトレジスト材料に黒色染料を含有させた黒色染料層、もしくは酸化クロム層等により形成される。また、遮光層16の厚さは約10nm以下であることが好ましい。
【0017】
この照明装置200の発光領域13aから、下方(観察者113とは反対側)へ向かう光は、透明な陽極11及び第1の透明基板10を通して反射型LCD300へ入射する。また、発光領域13aから上方(観察者113の方向)へ向かう光は、陰極12と遮光層16によって下方へ反射されるか吸収される。そのため、照明装置200をその上方から見ている観察者113の目に発光領域13aからの光が直接入ることが極力抑止される。
【0018】
この遮光効果を高める上では、遮光層16の幅は、パターニングされた陰極12の幅よりも大きいことが好ましい。さらにいえば、図3に示すように、パターニングされた陰極12のエッジと遮光層16のエッジとの間の距離L1は、有機層13の発光領域13aの厚さとパターニングされた陰極12の厚さの合計L2と等しいか、それよりも大きいことが、遮光効果をさらに高める上で好ましい。
【0019】
なお、本実施形態の上記構成では、陰極12が一定のピッチを有する所定の形状、例えばストライプ状にパターニングされ、陽極11はパターニングされていないが、他の実施例として、陰極12と陽極11とを入れ替えてもよい。即ち、図2において、陽極11を陰極12の位置に配置し、陰極12を陽極11の位置に配置してもよい。この場合、陽極11が上記所定の形状にパターニングされ、陰極12はパターニングされないことになる。即ち、陽極11の直上の有機層13の領域が発光領域13aとなる。
【0020】
また、それとは異なる他の実施例として、陽極11及び陰極12については全くパターニングしないで全面に形成し、有機層13を構成している電子輸送層、発光層、正孔輸送層の3層のうち、少なくとも1層が上記所定の形状にパターニングされていてもよい。この場合、これら3層の全てが重畳するように形成されている領域が発光領域となり、3層のうちいずれかの層が欠けている領域が非発光領域となる。
【0021】
また、発光領域13aから発光した光が後述する反射型LCD300で反射されて観察者113に視認される際に、観察者113の目に違和感を与えないようにする上で、パターニングされた陰極12(もしくは陽極11、もしくは有機層13を構成する上記3層のうちいずれか1層)のピッチは、約1mm以下であることが好ましい。
【0022】
以降、陰極12が所定の形状、即ちストライプ状にパターニングされたものとして説明を行う。しかしながら本実施形態は、上述したように、陰極12以外の層が発光領域13aを決定する層としてパターニングされた場合についても同様の構成及び動作を有し、同様の効果を奏するものである。
【0023】
次に、反射型LCD300の構造について説明する。図2に示すように、例えばガラス基板からなるTFT基板30に区分された複数の画素領域のそれぞれに、スイッチング用の薄膜トランジスタ31(以降、「TFT」と略称する)が形成されている。TFT31は層間絶縁膜32によって被覆されている。また、層間絶縁膜32上には、各TFT31に対応して、例えばアルミニウム(Al)等の光を反射する金属材料からなる画素電極、即ち反射電極33が形成されている。反射電極33は、それに対応するTFT31のドレインもしくはソースと、層間絶縁膜32に形成されたコンタクトホールCHを通して、不図示の導電性の充填材等により接続されている。
【0024】
隣接する反射電極33の間には、所定の離間領域、即ち、所定の幅のスリット部37Sが設けられている。このスリット部37Sは、後述する液晶層40の配向分割用の配向制御部としての機能を有する。さらに、反射電極33及びスリット部37Sを覆うようにして、液晶分子をTFT基板31に対して所定の角度で配向するための配向膜34が形成されている。
【0025】
また、反射電極33が形成されたTFT基板30と対向して、例えばガラス基板からなる対向基板35が配置されている。対向基板35の表面(TFT基板31と対向する面)には、例えばITOからなる共通電極36が形成されている。共通電極36上には、後述する液晶層42の液晶分子を異なる2つの所定の方向に配向分割する配向制御部として、突起部37Pが形成されている。この突起部37Pは、例えばレジスト材料のパターニング等により形成される。さらに、共通電極36及び突起部37Pを覆うようにして配向膜38が形成されている。
【0026】
一方、対向基板35の裏面(観察者113と対向する面)には、光の波長λの4分の1の光学的位相差を生じさせる位相差板として、λ/4波長板39(4分の1波長板)が配置されている。λ/4波長板39は、直線偏光から円偏光への変換、もしくは円偏光から直線偏光への変換を行う。このλ/4波長板39には、さらに、広帯域の波長の光に対しても上記偏光の変換を可能にするために、光の波長λの2分の1の光学的位相差を生じさせる不図示のλ/2波長板(2分の1波長板)が積層されて配置されてもよい。λ/4波長板39上には、さらに、例えば拡散粘着層からなる光散乱層40、偏光板41がこの順番で積層されている。光散乱層40は照明装置200からの全方位光を、反射電極33に均一に照射されるように散乱させるものである。また、偏光板41は、所定の偏光軸を有しており、それに入射する全方位光から、その偏光軸に応じた直線偏光を抽出するものである。
【0027】
そして、TFT基板30と対向基板35との間には液晶層42が封入されている。液晶層42は、例えば、正の誘電率異方性を有し、かつ所定の旋光性を有するように螺旋状に配向された液晶分子(例えばネマティック液晶)からなり、TN(Twisted Nematic)モードやMTN(Mixed TN)モードによって駆動する。この場合、液晶層42を挟む1対の配向膜34,38は、その配向方向が互いに直交するように配向処理されている。
【0028】
この液晶層42は、1枚の偏光板41を用いた反射型液晶LCDに適したものであれば、上記以外の液晶層であってもよい。即ち、液晶層42は、正の誘電率異方性を有しホモジニアス配向された液晶分子(例えばネマティック液晶)からなり、電界制御複屈折モード、即ちECB(Electrically Controlled Birefrigence)モードによって駆動するものであってもよい。この場合、液晶層42を挟む1対の配向膜34,38は、その配向方向が互いに平行になるように配向処理されている。
【0029】
もしくは液晶層42は、負の誘電率異方性を有して垂直配向された液晶分子(例えばネマティック液晶)からなり、垂直配向モード、即ちVA(Vertically Aligned)モードによって駆動するものであってもよい。この場合、液晶層42を挟む1対の配向膜34,38は、液晶分子を配向膜に対して垂直に初期配向させる、いわゆる垂直配向膜である。
【0030】
次に、照明装置200と反射型LCD300との結合関係について説明すると、図1及び図2に示すように、照明装置200は、反射型LCD300の上方に近接して配置されることが好ましい。しかしながら、照射装置200と反射型LCD300との間に空気層が存在すると、照明装置200の第1の透明基板10から放射された光は、その空気層に入るときに反射して観測者側に戻り、コントラストを低下させるおそれがある。
【0031】
そのため、第1の透明基板10と同じ屈折率を有した樹脂層45(例えばUVキュアラブル樹脂層もしくは可視光キュアラブル樹脂層)を介して照射装置200と反射LCD300とを接合することにより、光の屈折を極力抑止することが好ましい。
【0032】
次に、照明装置200と反射型LCD300との配置関係について説明する。図1及び図2に示すように、照明装置200の陰極12及び遮光層16のピッチP1は、反射電極33のピッチP2と同じである。この場合、陰極12及び遮光層16は、反射型LCD300の表示に寄与しない複数の反射電極33間のスリット部37Sの真上に配置することが好ましい。これにより、反射電極33で反射された光の大部分が遮光層16で遮られることなく、それらの隙間を通って観察者113に視認されるようになる利点がある。
【0033】
また、照明装置200の陰極12及び遮光層16のピッチP1を反射電極33のピッチP2よりも小さくし、かつピッチP2に対するピッチP1の比、即ちP1/P2を1/自然数としてもよい。ピッチP1とピッチP2が同じであると、反射型LCD300の表示において干渉縞やモアレ縞(moire)が生じる場合があるが、このようにピッチP1とピッチP2の比を設定することで、それらの現象を抑止することができる。
【0034】
もしくは、これとは逆に、照明装置200の陰極12及び遮光層16のピッチP1を反射電極33のピッチP2よりも大きくし、かつピッチP1/ピッチP2)を自然数としてもよい。これによっても、上記干渉縞等の現象を抑止することができる。
【0035】
さらに本実施形態では、照明装置200及び反射型LCD300は、上記配置関係に加えて、以下に示すような配置関係を有している。次に、その配置関係の詳細について図面を参照して説明する。図4乃至図6は、本発明の実施形態に係る表示装置を照明装置側から見た平面図である。なお、図4、図5及び図6は、それぞれ、液晶42がTNモードで駆動する場合、ECBモードで駆動する場合、VAモードで駆動する場合の平面図を示している。また、図4及び図5では、説明の便宜上、配向膜34,38、及びパターニングされた陰極12及び遮光層16のみを図示する。また、図6では、偏光板41、及びパターニングされた陰極12及び遮光層16のみを図示する。
【0036】
図4に示すように、TNモードで駆動する液晶層42では、その表示面上における視野角の広い方向Aは、配向膜34の配向方向(破線矢印)もしくは配向膜38の配向方向(実線矢印)に対して、液晶分子の回転方向に45度ずれた方向である。そして、発光領域13aを決定する陰極12及び遮光層16は、その長手方向と上記視野角の広い方向Aとが直交するようにして配置されている。この配置関係により、発光領域13aから発光された光は、主に、反射型LCD300の表示面上における視野角の広い方向Aに沿って入射し、さらに上記方向Aに沿って、反射電極33により観察者113側に反射される。
【0037】
また、図5に示すように、ECBモードで駆動する液晶層42では、その表示面上における視野角の広い方向Bは、配向膜34の配向方向(破線矢印)もしくは配向膜38の配向方向(実線矢印)に対して直交する方向である。そして、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と上記視野角の広い方向Bとが直交するようにして配置されている。言い換えれば、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と配向膜34,38の配向方向とが平行になるようにして配置されている。この配置関係により、発光領域13aから発光された光は、主に、反射型LCD300の表示面上における視野角の広い方向Bに沿って入射し、さらに上記方向Bに沿って、反射電極33により観察者113側に反射される。
【0038】
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、VAモードで駆動する液晶層42では、その表示面上における視野角の広い方向は2通り存在する。1つは偏光板41の偏光軸に対して直交する方向C1であり、他方は偏光板41の偏光軸に対して平行な方向C2である。
【0039】
そして、図6(A)に示すように、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と上記視野角の広い方向C1とが直交するようにして配置されている。言い換えれば、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と偏光板41の偏光軸とが平行になるように配置されている。
【0040】
もしくは、図6(B)に示すように、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と、もう一方の視野角の広い方向C2とが直交するようにして配置されている。言い換えれば、陰極12及び遮光層16は、その長手方向と偏光板41の偏光軸とが直交するようにして配置されている。
【0041】
これらの配置関係により、発光領域13aから発光された光は、主に、反射型LCD300の表示面上における視野角の広い方向C1もしくはC2に沿って入射し、さらに上記方向に沿って、反射電極33により観察者113側に反射される。
【0042】
次に、上述した反射型LCD300の動作について説明する。最初に、照明装置200から反射型LCD300に入射した全方位光は、偏光板41の偏光軸に応じた直線偏光となり、光散乱層40を介してλ/4波長板39を透過して円偏光となる。この円偏光は、対向基板35及び共通電極36を透過して液晶層40に入射する。
【0043】
このとき、反射電極33及び共通電極36への電圧印加の有無によって液晶層42の電界が変化し、液晶層42の光学的位相差が画素ごとに変化する。そして、液晶層42に入射した円偏光は、この光学的位相差、及び反射電極での反射により、左右いずれかの回転方向を有した円偏光となって出射する。この円偏光は、再びλ/4波長板39を透過して、その回転方向に応じた直線偏光となって偏光板41に入射する。ここで、その直線偏光は、その偏光軸が偏光板41の偏光軸と一致する場合には偏光板41を透過して白表示となり、直交する場合には偏光板41を透過せずに黒表示となる。
【0044】
ここで、上記表示の際には、有機EL素子層15の発光領域13aからの光は、主に、反射型LCD300の表示面上における視野角の広い方向に沿って入射する。さらにその光は、上記視野角の広い方向に沿って、反射電極33により観察者113側に反射する。そのため、上記いずれのモード(TN、ECB、VAの各モード)においても、表示の際のコントラストを極力向上させることが可能となる。また、外光下における表示の際に輝度を極力向上することが可能となる。
【0045】
また、配向制御部として設けられた複数の反射電極33間のスリット部37S、及び共通電極36の突起部37Pによって液晶層42の配向分割が可能となり、さらに広い視野角を得ることができる。
【0046】
また、上記構成の照明装置200によれば、遮光層16によって、観察者113に対する発光領域13aの光の漏れが極力抑止され、反射型LCD300の表示の際のコントラストを従来例に比して高くすることができる。例えば、暗い環境下、即ち外光が不充分な環境下においても、表示の際のコントラストを従来例に比して高めることができる。
【0047】
なお、上記実施形態の反射型LCD300では、配向制御部として突起部37Pを共通電極36に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図示しないが、共通電極36に、突起部37Sの替わりにスリット部37Sを設けてもよい。もしくは突起部37Pの形成は省略されてもよい。
【0048】
また、反射する金属材料からなる反射電極33は、アルミニウム(Al)からなるものとしたが、本発明はこれに限定されず、例えばITOからなる透明電極と反射膜との積層体であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態の照明装置200には、発光薄体として有機EL素子層15が形成されるものとしたが、有機EL素子層15の替わりに、その他の発光薄体、例えば無機EL素子層が形成されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態の照明装置200には、陰極12を覆う遮光層16が形成されたが、遮光層16の形成は省略されてもよい。この場合、発光領域13aから光が僅かに観察者113側に漏れるものの、陰極12が遮光層として兼用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置を照明装置側から見た平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置を部分的に拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示装置を照明装置側から見た平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示装置を照明装置側から見た平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示装置を照明装置側から見た平面図である。
【図7】従来例に係る照明装置を備えた表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 第1の透明基板 11 陽極 12 陰極
13 有機層 13a 発光領域 15 有機EL素子層
16 遮光層 20 第2の透明基板 30 TFT基板
31 薄膜トランジスタ 32 層間絶縁膜 33 反射電極
34,38 配向膜 35 対向基板 36 共通電極
37P 突起部 37S スリット部 39 λ/4波長板
40 光散乱層 41 偏光板 42 液晶層
45 樹脂層 100 反射型LCD 110 透明アクリル板
111 逆三角形状の溝 112 光源 113 観察者
200 照明装置 CH コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置と反射型液晶表示装置とを備えた表示装置であって、
前記照明装置は、透明基板と、この透明基板上にストライプ状に配置された発光薄体と、を備え、前記発光薄体の一方の面を前記反射型液晶表示装置の表示面に対向させて配置されており、
前記発光薄体は、その長手方向と前記表示面上における視野角の広い方向とが直交するように配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
正の誘電率異方性を有し螺旋状に配向された液晶分子からなり、ねじれネマティックモードで駆動する液晶層と、前記液晶層を挟み、互いに水平方向で直交する配向方向を有した1対の配向膜と、を備え、
前記表示面上における視野角の広い方向は、前記配向方向に対して前記液晶分子の回転方向に45度ずれた方向であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
正の誘電率異方性を有しホモジニアス配向された液晶分子からなり、電界制御複屈折モードで駆動する液晶層と、前記液晶層を挟み、互いに水平方向で平行な配向方向を有した1対の配向膜と、を備え、
前記表示面上における視野角の広い方向は、前記配向方向に対して直交する方向であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
負の誘電率異方性を有し垂直配向された液晶分子からなり、垂直配向モードで駆動する液晶層と、前記液晶層上に配置され、所定の偏光軸の直線偏光を抽出する偏光板と、を備え、
前記表示面上における視野角の広い方向は、前記所定の偏光軸に対して直交する方向、もしくは平行な方向のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光薄体は、陽極及び陰極を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子からなることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記陽極又は陰極のうち少なくとも一方は、ストライプ状にパターニングされていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記陰極がストライプ状にパターニングされ、その陰極が前記陽極の上方に配置されていることを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記陽極と陰極との間に電子輸送層、発光層、及び正孔輸送層を備え、前記電子輸送層、発光層及び正孔輸送層のうち、少なくとも一つがストライプ状にパターニングされていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光薄体の他方の面を覆うようにして、遮光層が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−323304(P2006−323304A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148543(P2005−148543)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】