説明

表示装置

【課題】強調した画像を明るく表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】複数の信号線と、複数の信号線に直交する複数の走査線と、画像信号を複数の信号線に供給するデータ線駆動回路8と、走査信号を複数の走査線に供給する走査線駆動回路9と、信号線と走査線との交差部にマトリクス状に配列され、複数の信号線に画像信号を供給した状態で、走査線に走査信号を供給することにより発光する複数の発光素子と、を備えた表示装置1において、複数の信号線のうち、同一の画像信号を複数回供給する信号線を指定する信号線指定回路6と、同一の画像信号が信号線に複数回供給されるタイミングに同期して走査信号が走査線に供給されるように、走査線駆動回路9から制御信号を出力させる走査回数制御回路4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマトリクス状に配列されたOEL(Organic ElectroLuminescence:有機EL)発光素子を発光させて表示する表示装置に係り、特定の発光素子の発光量を増加させて視聴者が視聴した時の明るさを向上させる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の発光素子からは明るい画像を得たい場合の表示装置が、特許文献1に記載されている。
特許文献1には、走査線期間の中の画像信号期間内に発光素子を発光させて所定の明るさで表示を行い、表示装置の表示部の発光を画像信号期間とともに予め指定された帰線期間内でも発光させて明るくして強調したい画像を視聴者に提供することが記載されている。
以下では、特許文献1に記載されている表示装置について図7及び図8を用いて説明する。
図7は、特許文献1に記載されている表示装置を示す概略ブロック図である。図8は、発光素子の発光期間を示す図である。
【0003】
図7に示すように、従来の表示装置100は、画像メモリ102と、高輝度検出回路103と、発光期間設定回路104と、走査線駆動回路105と、データ線駆動回路106と、発光素子107と、から構成される。
【0004】
画像メモリ102は、画像入力部101から出力される画像信号D100を入力して記憶し、記憶された画像信号を読み出して画像信号101として高帰度検出回路103へ出力する。
高輝度検出回路103は、画像信号D101を入力して所定の基準レベル以上の高輝度レベルが検出されると高輝度レベルを検出した走査線期間における帰線期間の発光をONにするパルスP100を生成し、データ線駆動回路106に出力する共に、高輝度レベルを検出した画像信号を画像信号D102として発光期間設定回路104へ出力する。
発光期間設定回路104は、画像信号D102に準じて発光素子の発光期間D103を設定し、データ線駆動回路106へ送る。
走査線駆動回路105は、画像信号の走査線期間に応じて発光素子107の走査線を駆動する駆動パルス(L0,L1,L2,..,Lm)を生成して発光素子107へ供給する。
データ線駆動回路106は、発光期間D103とパルスP100とを入力して発光素子107に流す発光電流を制御する駆動パルス(S0,S1,S2,..,Sn)を供給する。
発光素子107は、マトリクス状に構成されており、走査線を駆動する駆動パルス(L0,L1,L2,..,Lm)と発光電流を制御する駆動パルス(S0,S1,S2,..,Sn)とを入力し、所定の走査線位置の発光素子に電流が供給されて発光する。
【0005】
図8(A)に示すように、走査線期間Th0は画像信号期間Tmaxと帰線期間TBLにより構成される。そして、図8(B)に示すように発光素子107の発光期間は、基準レベルの最大発光期間を画像信号期間Tmaxとする。そして、基準レベル以上の高輝度レベル時の発光期間は帰線期間TBL内に発光期間Tb0を設定してTmax+Tb0を高輝度レベル時の発光期間Tpeakとする。従って、図8(B)に示されるように、高輝度レベルではない画像信号の走査線における走査線アドレスA00,A02では発光期間をTmaxとし、高輝度レベル時の走査線アドレスA11では発光期間をTpeakとする。
【0006】
次に、従来の表示装置100の動作について図7、図8を用いて説明する。
まず、表示装置100に入力された画像信号D100を画像メモリ102に記憶する。そして、画像メモリ102に記憶された画像信号D101を読み出して高輝度検出回路103に入力し、所定の基準レベル以上の高輝度レベル部分を検出した場合は、帰線期間TBLの発光をONにし、所定の基準レベル未満では帰線期間TBLの発光をOFFにするパルスP100を生成するとともに高輝度レベル部分は発光データとして画像信号に付加した画像信号D102を生成する。この高輝度レベル部分の発光データを付加した画像信号D102を発光期間設定回路104に入力して画像信号期間Tmaxに加算して高輝度レベル部分を帰線期間TBL内で発光するよう発光期間データD103を生成する。そして発光期間データD103と帰線期間TBLの発光をONにするパルスP100とをデータ線駆動回路106に入力することにより、高輝度レベル部分を含む走査線では帰線期間TBLにも発光電流を流し、高輝度レベル部分を含まない走査線では帰線期間TBLには発光電流を流さない駆動パルス(S0,S1,S2,..,Sn)を生成して発光素子107に供給する。
【0007】
このようにして、高輝度レベル検出時には帰線期間TBLにも発光素子107を発光させることにより、常に同一の走査線期間で、それぞれの走査線における発光が1回の状態で、
所定の基準レベル以上の高輝度レベル(白ピーク)を表示させていた。
【特許文献1】特開2004−295001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の表示装置においては、画像信号期間に比較して短期間である帰線期間ではわずかな増加した期間の発光しか得ることができないため、強調した画像を明るく表示することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、強調した画像を明るく表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、複数の信号線と、前記複数の信号線に直交する複数の走査線と、画像信号を前記複数の信号線に供給するデータ線駆動回路と、走査信号を前記複数の走査線に供給する走査線駆動回路と、前記信号線と前記走査線との各交差部に配列され、前記複数の信号線に前記画像信号を供給した状態で、前記走査線に走査信号を供給することにより発光する複数の発光素子と、を備えた表示装置において、前記発光素子の明るさを増加させる場合に、前記複数の信号線のうち、同一の前記画像信号を複数回供給する信号線を指定する信号線指定回路と、前記同一の画像信号が前記信号線に複数回供給されるタイミングに同期して前記走査信号を前記走査線駆動回路から制御信号を出力させる走査回数制御回路と、を備えたことを特徴とする表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前記複数の信号線のうち、同一の前記画像信号を複数回供給する信号線を指定する信号線指定回路と、前記同一の画像信号が前記信号線に複数回供給されるタイミングに同期して前記走査信号を前記走査線駆動回路から制御信号を出力させる走査回数制御回路と、を備えているので、発光素子の発光量を増加させることが出来るため、強調した画像を明るく表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態に係る表示装置について図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の構成を説明するための図である。
図2は、本発明の実施形態に係る表示装置の発光状態を説明するための図であり、(A)は発光期間を示す図であり、(B)は発光期間に対する発光量を示すグラフを示す図である。
図3は、本発明の実施形態に係る表示装置の高輝度レベルの発光量を得る為の過程を示す図であり、(A)は最初の発光状態を示す図であり、(B)は高輝度レベル部分の発光を示す図であり、(C)は(A)、(B)の発光が加算されて表示されたときの発光量を示す図であり、(D)は発光する位置を示す図である。
図4は、走査線ごとの最大発光期間を示す図である。
図5は、発光素子の動作を説明するための図である。
図6は、発光素子に流す電流と輝度の関係を示すグラフの図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態における表示装置1は、高輝度検出回路3と、走査回数制御回路4と、画像メモリ5と、信号線指定回路6と、発光期間設定回路7と、データ線駆動回路8と、走査線駆動回路9と、発光素子10と、から構成される。
【0014】
高輝度検出回路3は、画像入力部2から1画面分の画像信号D0を入力し、画像信号D0の走査線毎の最高輝度レベルを検出して所定の基準レベル未満であればその走査線のアドレスをアドレスA0jとし、所定の基準レベル以上であればその走査線のアドレスをアドレスA1kとして検出し走査回数制御回路4へ出力し、各アドレスをそれぞれ付加した画像信号を画像信号D1として画像メモリ5へ出力する。
【0015】
走査回数制御回路4は、アドレスA0jとアドレスA1kとを入力し、アドレスA0jはそのままの走査線数としアドレスA1kは2倍の走査線数として1画面分合計し、その合計した走査線数に基づいてアドレスA0jの走査線とアドレスA1kの2倍の走査線数からなるそれぞれの走査期間を連続して1画面分の走査パルスとして設定した走査パルスP0を発光期間設定回路7と走査線駆動回路9へ出力し、画像メモリ5に画像信号D1を記憶する時は、アドレスA0jとアドレスA1kをそのまま用いた記憶用アドレスとし、画像メモリ5に記憶された画像信号を読み出した画像信号D2を信号線指定回路6へ出力するときは、アドレスA0jを1回用いて読み出し、アドレスA1kにおいては2回繰り返し用いて読み出す読み出し用アドレスとして構成されるアドレスA2jkを画像メモリ5へ出力し、アドレスA1kを2回繰り返して読み出す時の2回目の読み出しアドレスをアドレスA3kとして生成し信号線指定回路6へ出力する。
【0016】
画像メモリ5は、アドレスA2jkと画像信号D1とを入力し、画像信号D1を記憶する時はアドレスA2jkの記憶用アドレスを用い、記憶した画像信号を読み出す時はアドレスA2jkの読み出し用アドレスを用いて読み出した画像信号D2を信号線指定回路6へ出力する。
【0017】
信号線指定回路6は、アドレスA3kと画像信号D2とを入力し、アドレスA3kの走査線位置における画像信号D3は画像信号D2から所定の基準レベルを減算したレベルとし、アドレスA3k以外のアドレスの走査線位置の画像信号D3は所定の基準レベル以上のレベルを減算したレベルとした画像信号D3を生成し発光期間設定回路7へ出力する。
【0018】
発光期間設定回路7は、走査パルスP0と画像信号D3とを入力し、画像信号D3のレベルに応じてそれぞれの走査線期間毎に発光素子10が発光する期間を制御する発光データD4を生成し、データ線駆動回路8へ出力する。
【0019】
データ線駆動回路8は、発光データD4を入力し、発光素子10のデータ線に発光データD4に基づいた発光期間分の電流(S0,S1,S2,..,Sn)を発光素子10へ流す。
【0020】
走査線駆動回路9は、走査パルスP0を入力し、発光素子10の走査線の駆動を制御する制御パルス(L0,L1,L2,..,Lm)を生成し、発光素子10へ出力する。
【0021】
発光素子10は、マトリクス状に配列された発光素子からなり、発光データD4に基づいた電流(S0,S1,S2,..,Sn)と走査線の駆動を制御する制御パルス(L0,L1,L2,..,Lm)とを入力して、走査線毎に発光素子を発光させる。
【0022】
次に動作について説明する。
まず、図1に示すように、画像入力部2から表示装置1へ1画面分の画像信号D0を入力する。そして、表示装置1の走査回数制御回路4において、画像信号D0の走査線毎に最高輝度レベルを検出して所定の基準レベル未満であれば、その走査線のアドレスをアドレスA0jとして検出し、所定の基準レベル以上であれば、その走査線のアドレスをアドレスA1kとして検出する。
【0023】
次に、アドレスA0jとアドレスA1kアドレスを走査回数制御回路4において、アドレスA0jの指定する走査線数と、アドレスA1kの指定する走査線数の2倍とを1画面分合計する。
その合計した走査線数に基づいて1画面分の画像信号D0の転送期間から、アドレスA0jにおける走査線期間とアドレスA1kの走査線期間とを算出して、それぞれの走査線期間毎の走査パルスP0を生成する。
【0024】
更に、走査回数制御回路4では、画像メモリ5の記録用アドレスと読み出し用アドレスとからなるアドレスA2jkを生成して画像メモリ5の記録/読み出しを制御する。
このアドレスA2jkに使用される記録用アドレスは、画像メモリ5で画像信号を記録する時に、アドレスA0jとアドレスA1kとをそのまま用いて構成する。走査線期間も全て同じとする。
【0025】
次に、アドレスA2jkに使用される読み出し用アドレスでは、画像メモリ5に記憶された画像信号を読み出す時に用いるアドレスA0jの指定する走査線は1回として、アドレスA1kの指定する走査線は2回としてそれぞれ用いる。
そして、各走査線の走査線期間の1画面分の合計期間は、記録用アドレスと読み出し用アドレスとも同じとする。従って読み出し用アドレスでは記録用アドレスに比較して各アドレスで指定する1走査線期間の時間は短くなる。このようにして、画像信号の記録/再生を一定時間とすることにより連続して処理を行えるよう設定する。
【0026】
従って、画像メモリ5で記憶した画像信号D1を読み出す時は、アドレスA2jkの読み出しアドレスを用いて、記憶した画像信号D1がアドレスA0jの指定する走査線の時(最高輝度レベルが所定の基準レベル未満)であれば1回、記憶した画像信号D1がアドレスA1kの指定する走査線の時(最高輝度レベルが所定の基準レベル以上)であれば2回、読み出す。この画像メモリ5から読み出された画像信号を画像信号D2とする。
この画像メモリ5では、走査線数を変えて読み出すため1画面分の記憶容量が必要であるが、更に1画面増加して2画面分とすることにより交互に記録/再生を行い、連続動作をさせるよう設定してもよい。
【0027】
次に、画像メモリ5から読み出された画像信号D2を信号線指定回路6において、アドレスA1kを2回繰り返して読み出す時の2回目の読み出しアドレスであるアドレスA3kで指定される走査線の画像信号D2のレベルは、最高輝度レベルが所定の基準レベル以上となっているから、所定の基準レベルで減算して、(最高輝度レベル−所定の基準レベル)とする。アドレスA3kで指定されない画像信号D2は所定の基準レベル未満のレベルとし、所定の基準レベル以上となっていれば超過した分だけ削除しておく。このようにして信号線指定回路6から出力される画像信号を画像信号D3とする。
【0028】
次に、走査パルスP0と画像信号D3とを発光期間設定回路7で入力し、画像信号D3のレベルに順じてそれぞれの走査線期間毎に発光素子10の発光する期間を制御する発光データD4を生成する。この発光データD4を入力したデータ線駆動回路8は、発光素子10のそれぞれのデータ線毎に発光データD4によって制御された発光期間分の電流(S0,S1,S2,..,Sn)を発光素子10へ送る。
【0029】
そして、発光素子10では、まず、マトリクス状に配列された発光素子10にデータ線毎に、発光データD4によって制御された発光期間分の電流(S0,S1,S2,..,Sn)と、発光する走査線の駆動を走査パルスP0を走査線駆動回路9へ入力して得られた制御パルス(L0,L1,L2,..,Lm)とを入力して、所定の基準レベル未満の画像信号に相当する発光期間分の電流が供給される走査線の場合は、所定の基準レベル未満の画像信号に相当する発光期間で1回発光させ、、高輝度レベルを表示する所定の基準レベル以上の画像信号が供給される走査線の場合は、まず、所定の基準レベル未満の画像信号の最大値に相当する発光期間分で1回目を発光させ、次に所定の基準レベル以上の画像信号レベルに相当する発光期間で2回目の発光を同じ走査線のアドレスで行うことにより、所定の基準レベル以上の発光量を得て視覚的に高輝度を表示する。
【0030】
次に本発明の実施形態に係る表示装置の発光期間について図2〜図4を用いて詳細に説明する。
図2(A)に示すように、所定の基準レベル未満の走査線アドレスであるアドレスA01、A04では走査線を1回ずつ指定し、所定の基準レベル以上の走査線アドレスであるアドレスA12、A13では、同じ走査線を2回指定する。
そして、走査線期間から非発光期間(従来例の帰線期間に相当する)を除いた期間を発光期間とする。
所定の基準レベル以上の走査線アドレスにおける1回目の発光期間は、所定の基準レベル未満の走査線期間(Th0)の発光期間(Tmax)と同じに設定する。
そして、所定の基準レベル以上の走査線アドレスにおける2回目の発光期間(Tp)は画像信号の高輝度レベルに順じて設定するものとする。
非発光期間(図2(A)の(1)に記載のTBL0,TBL1)は発光データの転送用及び発光素子の充放電に用い、画質に影響を与えない範囲で出来るだけ少なく設定する。
【0031】
図2(B)に示すように、発光期間に対し発光素子10の発光期間に対する発光量(明るさ)は比例しているから、画像信号の高輝度レベル時には、発光期間Tmaxに2回目の発光期間Tpが加算された発光量となる。発光量maxは発光期間Tmaxに相当し、発光量Peakは発光期間Tmax+Tpに相当する。
従って、所定の基準レベル未満の走査線アドレスA01,A04では発光期間Tmaxで、この場合表示される発光量はmaxとなり、所定の基準レベル以上の走査線アドレスA12,A13では発光期間Tmax+Tpで、この場合表示される発光量はpeakとなる。このようにして、発光期間に応じた発光量(明るさ)が表示される。
【0032】
図3(A)に示すように、所定の基準レベル以上の走査線アドレスにおける発光素子10の発光による1回目は、発光期間(Tmax)が最大である。そして図3(B)に示すように2回目に所定の基準レベル以上の高輝度レベル部分のみを発光期間(Tp)として発光させる。
そうすると、図3(D)に示すように図3(A)、図3(B)の発光を2回とも同じ発光素子位置とすると、図3(C)に示すように、発光期間がTmaxとTPが加算された発光量となって視覚的な高輝度レベル部分として表示される。
そして高輝度レベル部分以外は、1回目の発光期間がTmax未満となる発光期間により所定の発光量で表示される。
尚、図3(A)、図3(B)のグラフの縦軸は発光期間を示し横軸は発光素子の水平方向位置を示す。図3(C)のグラフの縦軸は素子別の発光量を示し横軸は発光素子の水平方向位置を示す。図3(D)のHnは、発光素子の水平方向素子数を示し、Vmは走査線数を示す。そして図3(D)においては中央の走査線を発光させている状態を示す。
【0033】
図4に示すように、1画面の最大発光期間は、走査線数m×最大発光期間H1であり、画像入力部2から順次送られてくる画像信号D0の1画面の画像部分の転送時間に相当し、常に一定である。
このため、1画面分の走査線数mの最大発光期間を全て同一に削減し、この削減した発光期間を高輝度レベル部分の発光期間に充当する。例えば、最大発光期間の削減率をkとすると修正最大発光期間Tmaxは、
Tmax=(1−k)H1となる。
これが各走査線の1回目の修正最大発光期間となる。
【0034】
そして、高輝度部分の2回目の発光期間H2(図2、図3のTpに相当)は、高輝度部分の走査線数をpとすると、
H2=mkH1/Pとなる。
具体的な例として、例えば、1画面の走査線数mを200本、最大発光期間H1を150μsecとし、最大発光期間の削減率kを0.1、高輝度レベル部分の走査線数pを20本とすると、
H2=200×0.1×150μsec/20=150μsecとなり、高輝度レベル部分の発光期間H2は最大発光期間H1と等しくなる。
従って、最大発光期間の削減率kを0.1とすれば、高輝度レベル部分の発光期間は最大発光期間の略2倍となり、従来の最大発光期間で表示できる発光量の略2倍の発光量(視覚的高輝度)が得られる。
特に動画の場合は、高輝度レベルの有無に係らず削減率を一定となるように発光期間削減部分を非発光期間とすることで画面毎に同じレベルの輝度が変動しないよう設定する。
【0035】
次に本発明の実施形態における発光素子について図5、図6を用いて説明する。
図5に示すように、発光素子10は、電流を流すと発光状態となり(EL0)、電流を流さないと発光せずに負荷容量(EL1)となる有機EL素子をマトリクス状に複数配置したものである。
この発光素子10に電流を流して発光させるために、データ線駆動回路8は、電流源Ia0とスイッチSW0とを複数配置して所定位置の発光素子10に電流を供給するものであり、走査線駆動回路9は、電圧源V0と保護抵抗R0と複数のスイッチSW1とからなり、発光素子10の走査線に電圧を加えた時はOFF状態となり電流が流れず発光しないよう設定され、そして発光素子10の走査線に電圧を加えず接地電位とした時にはON状態となり、その結果、発光素子10に電流が流れて発光するよう設定されている。
【0036】
図6に示すように、発光素子10が発光して得られる輝度を増加させるためには、発光素子10に流す電流を多くするか発光期間を長くして発光する輝度を増加させる。
しかし、発光素子10に流す電流を多くすると寿命が短くなる。このため、出来るだけ少ない電流を用いて寿命を長くしようとすると、高輝度を得るために時間が長くかかり実用的ではなくなる。
【0037】
この対応として、例えば、図6に示されている6000(cd/m2)以下の輝度を高輝度未満の表示用として流す電流を略200μAとし、発光期間を(B)の実線で示される標準発光期間に設定する。そして9000(cd/m2)付近を高輝度として流す電流を略200μAとし、発光期間を(A)の一点鎖線で示される長発光期間に高輝度時のみ設定する。このようにして、高輝度を得ると共に発光素子の寿命を短くすることなく長く保つことができる。
【0038】
尚、図6のグラフは、縦軸に発光素子の発光する輝度(cd/m2)、横軸に発光素子に流す電流(μA)を設定し、発光期間を標準(150μsec)、長(標準の略1.4倍)、短(標準の略0.6倍)として表示したものである。
また、本発明の実施形態で述べたように発光素子の発光期間を制御すれば、表示される輝度を制御できる(PWM方式:Pulse Width Modulation)が、図6に示すように発光素子の電流量を制御しても表示される輝度を制御できる(PAM方式:Pulse Amplitude Modulation)のはもちろんである。
【0039】
以上述べてきたように、本発明の実施形態によれば、高輝度レベルを表示するために所定の基準レベル以上の画像信号が供給される走査線の発光素子10を、所定の基準レベル未満の画像信号レベルの最大値に相当する発光期間と、所定の基準レベル以上の画像信号レベルに相当する発光期間との2回の発光期間で同じ走査線のアドレスの発光素子10を発光させることにより、高輝度レベルの発光量を得ることが出来る。
また、1画面の発光期間の合計を一定としながら、高輝度レベル部分の走査線における発光素子の発光期間を増加することにより、発光素子の寿命を短くすることなく高輝度レベルに相当する十分な発光量で高輝度レベルの画像を表示することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示装置の発光状態を説明するための図であり、(A)は発光期間を示す図であり、(B)は発光期間に対する発光量を示すグラフを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の高輝度レベルの発光量を得る為の過程を示す図であり、(A)は最初の発光状態を示す図であり、(B)は高輝度レベル部分の発光を示す図であり、(C)は(A)、(B)の発光が加算されて表示されたときの発光量を示す図であり、(D)は発光する位置を示す図である。
【図4】走査線ごとの最大発光期間を示す図である。
【図5】発光素子の動作を説明するための図である。
【図6】発光素子に流す電流と輝度の関係を示すグラフの図である。
【図7】従来の表示装置を説明するための構成図を示す。
【図8】従来の表示装置の発光期間を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・表示装置、2・・・画像入力部、3・・・高輝度検出回路、検出回路、4・・・走査回数制御回路4、5・・・画像メモリ、6・・・信号線指定回路、輝度レベル信号付加手段、7・・・発光期間設定回路、8・・・データ線駆動回路、9・・・走査線駆動回路、10・・・発光素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線と、前記複数の信号線に直交する複数の走査線と、画像信号を前記複数の信号線に供給するデータ線駆動回路と、走査信号を前記複数の走査線に供給する走査線駆動回路と、前記信号線と前記走査線との各交差部に配列され、前記複数の信号線に前記画像信号を供給した状態で、前記走査線に走査信号を供給することにより発光する複数の発光素子と、を備えた表示装置において、
前記発光素子の明るさを増加させる場合に、前記複数の信号線のうち、同一の前記画像信号を複数回供給する信号線を指定する信号線指定回路と、
前記同一の画像信号が前記信号線に複数回供給されるタイミングに同期して前記走査信号を前記走査線駆動回路から制御信号を出力させる走査回数制御回路と、
を備えたことを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−41017(P2007−41017A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221703(P2005−221703)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】